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 こんなときだけは元気なんだから。アルクェイド・ブリュンスタッドは驚きと感心がミックスした表情で遠野志貴を見上げる。彼女の恋人は今、アルクェイドを悦ばせるため、必死になって腰を振っていた。


 志貴の手がアルクェイドの腰を掴み、自分の方へ引き寄せる。突くというよりも彼女の膣奥に押し付けるようにして志貴は動く。


 アルクェイドは長い脚を彼の腰に回す。彼女は志貴の背中で両足首をしっかりロックすると、下のポジションから妖艶に腰をくねらせた。


「アルクェイド!」


「これやってあげると志貴はすぐ射精するのよね。そんなに気持ちいいのこれ?」


 射精欲の限界に達した志貴は、ソロパートを演奏中のギターリストのように表情を歪め、もう少しだけ長くこの快感を味わおうとする。


 気持ちいいけど射精したくないと我慢する恋人の顔がかわいく思えたアルクェイドは、もっと彼に意地悪したくなった彼女は前後左右に腰を振る。


「あぁぁ~~~」


 アルクェイドは彼女の濡れた肉筒を、あらゆる角度から志貴のチンポに擦りつけた。そうすると彼はたまらない快感に身を震わせつつ息を漏らす。


「情けないわね。もう降参なの? 元気なのは最初だけ?」


「偉そうに言うけど、今日は俺よりアルクェイドの方がたくさんイッてるじゃないか」


 志貴の言葉はまったくもって正しかった。彼は今晩すでに四回射精しているが、アルクェイドはそれよりも遥かに多くイッている。彼女の内部は今日の総仕上げとばかり特大の絶頂に向かって突き進んでいた。


「意地悪なこと言うのね」


「アルクェイドの膣内すごく柔らかくなってるし、どんどん濡れてきてる。そうやって腰をくねらせられると本当にもう保たないかも」


「いっぱいイカせてあげる。私、志貴が射精してるときの顔好きよ。かわいい」


「意地悪」


 二人の情熱はもはや抑えがたいほど燃え上がっている。


 志貴の手がアルクェイドの両頬を掴む。彼が唇を重ねてくると、アルクェイドの方からも僅かに顎を突き出して応じた。二人は触れ合う角度を変えながら何度も唇を押し付け合う。


 志貴のキスから自分への愛と情熱を感じ、アルクェイドは体の芯から震えるほどの高揚を味わう。


 彼の指が光り輝く金髪を掻き分けアルクェイドの頭を掴む。彼女の方からも彼の首に腕を回した。


 二人の唇が離れても志貴は相変わらず熱っぽい視線を恋人に向ける。今日これが恐らく最後の交わりになる。最後にどんなことを求められるのだろうか。アルクェイドは頬を赤く染め、次の出来事への期待に胸を躍らせた。


 志貴が再びキスをする。だが今度は唇には軽く触れるだけ。すぐに彼はアルクェイドの首筋に舌を這わせる。そして軽く甘噛みした。


 痛気持ちいい感覚にアルクェイドの呼吸は浅く速くなる。志貴の体から発せられる温もりを感じながら、二人はしばらく抱擁を楽しんだ。激しく動いて肉欲を求めるだけではない、お互いの親密さを再確認するような穏やかな交わりを楽しむ。


 やがて二人は体を離し、再び快楽の階段を駆け上がるためスパートを掛けた。


 志貴は再び正常位で大きく動き始めた。ロングストロークと小刻みな動きを交えながらアルクェイドを雌悦へと追い詰めていく。


 アルクェイドは悦びに体を震わせながら快感の声を上げた。彼女の息がどんどん短くなっていくにつれて、志貴の腰もどんどん加速していく。彼の突き込みは硬く、深く、今まで以上に愛しい女の熱くドロドロと蕩けた場所を力強く穿った。その快感の並が次々に押し寄せてきて、アルクェイドはオーガズムの寸前まで追い詰められたのを感じる。


 真祖の姫君は今、自分と志貴の息遣いにだけ集中している。それ以外の音は聞こえない。彼が腰を一突きするたび自分たちの欲望が激しくなっていくのを感じた。


 二人の欲望は止めどもなく膨らみ続ける。アルクェイドは己の体が熱を持ち、頬は紅潮し、快感が川のように体内を駆け巡っていくのが分かった。心臓が早鐘を打つ。全身に広がった性感は爆発しそうなほど膨らんだ。筋肉が緊張し、呼吸はますます荒く、浅くなる。


「ああああ! イイッ! もっときてぇ! めちゃくちゃにしてぇ!」


 アルクェイドはプライドの高い女性である。普段の彼女ならもっと激しく私を犯してなど絶対に言わない。だが志貴とのセックスでイキそうになっているときだけは話が別だ。このときだけ彼女は、恋人のオスの魅力に負けたくなる。


 彼女が求めると志貴は彼に可能な全力の動きで応じた。二人の下腹部は容赦なく打ち合わされる。志貴の男根が搔き出した愛液でアルクェイドは肛門まで濡らした。


 志貴は自分の快感が高まっていくのを感じながら、両手で彼女の腰を強く掴み、力いっぱい突き刺した。子宮口をトンと突いてやった衝撃に反応してアルクェイドの肉筒が締め上げてくると、彼は深い悦びのうめき声を上げた。


 アルクェイドも快感に咽び泣く声を上げ、二人は同時に達した。


「はっ、ああっ! ああああぁぁあぁ!」


 すべての体力を使い果たした志貴は彼女の体に倒れ込み、汗で濡れ光る恋人の首に顔を埋めた。どちらも呼吸を整えるまでは言葉が出てこなかった。だが言葉は必要なかった。ただ抱き合ったまま、二人は満たされた時間を過ごした。


「普段は貧弱なのにベッドの上でだけは元気なんだから」


 先に回復したアルクェイドは、志貴のベッドヤクザぶりを呆れたように指摘する。


「仕方ないだろ。それだけアルクェイドに魅了されてるんだから」


 アルクェイドは思わず顔を赤らめて微笑み返した。


「セックスばかりじゃなく口説き文句も上手になったのね」


「おかげさまでね」


「今週末だけど予定どおり海に行けるのよね?」


 彼女は己の不利を悟って話題を変えた。


「もちろん。楽しみにしているよ」


 


     2


 


 ソフトボール坂居こと坂居俊樹がAV男優になって三年。学生時代レスリングで全国大会にも出場した肉体派男優は、女の体を軽々と扱うマッチョセックスに定評があった。


 身長一九〇センチ、体重一二〇キロの坂居と組めば、大半の女優は画面の中で子供のように映る。男の大きさや強さを象徴する坂居の活躍は、同性は元より、強い男に抱き潰されるようなセックスがしてみたい女性からも好評だった。


 今、彼は真夏のビーチにいた。


 人でごった返すビーチは大勢の海水浴客がひしめき合っている。彼らは布面積で言えば下着姿も同然の格好で歩いていた。


「晴れてよかったね監督。撮影延期しなくて済みそうだ」


 坂居は傍らに立つ男に声をかけた。中肉中背でどこにでもいそうな四〇代の男性だった。坂居をプロレスラーのような体型と呼ぶなら、彼の横に立つ男はどこにでもいる普通のおじさんである。


「天気予報は晴れだったのに先週まさかの大雨だったもんな。二週連続で延期にならなくて良かった」


 監督と呼ばれた男は夏の日差しに目を細め、ビーチを歩く水着美女たちに視線を向けたまま坂居に答えた。彼の名前はロドリゲス安藤。すでに業界歴も二〇年に達しようかというAV監督である。


 映像系の専門学校を卒業した後に小さな制作会社に就職。そこが数年で倒産して無職になった後、再就職した会社がAVの制作会社だったのだ。望んだ仕事ではなかった。成り行きで入った業界だった。しかし現在では、これこそ自分の天職だと思っている。


 安藤も大方の男性と同じくエロいことや可愛い女性は大好きだし、彼女たちを綺麗に撮ることに苦心する時間が好きだ。苦労の甲斐あってか彼の作品は業界内からもファンからも、女優を魅力的に見せる術に長けていると好評だ。


「これはという女の子はいました?」


「今のところいないね。そっちこそどうだ? よさそうな女の子は見つかったか?」


「まだですね」


 坂居はそう言いつつ、周囲を見回した。浜辺には夏の開放感に浮かれ、乳や尻を揺らして歩く女がたくさんいる。中にはビキニ姿の若い娘もいた。どの娘がいいか、なんて考える必要もなかった。全員いい女だ。だがいくら坂居がオス力を持て余したアルファオスだとしても、この浜辺にいる美女を全員抱くのはさすがに難しい。それに今回はナンパものAVに出演してくれる素人娘を物色している最中なのだ。撮影に使える時間を考えれば一〇人も二〇人もお持ち帰りというわけにはいかない。厳選に厳選を重ねる必要があった。


「それより監督の目から見てどうです、今回の企画」


「ん? ああ、悪くないと思うぞ。浜辺で見つけた女の子をマジックミラー号に連れ込んでマッサージして……まあ新規性や独自性があるかと言われたら困るが夏の定番だろ。お約束みたいな企画もたまになら悪くはない」


 安藤は坂居をAV業界に引っ張り込んだ張本人にして、彼をスター男優に押し上げた仕掛人でもあった。


 格闘技オタクの安藤はプロだけでなくアマチュアの試合も幅広く観戦していたため、レスリング時代から坂居のことを知っていたのだ。


 安藤から見て坂居は一目で強いオスと分かる筋骨隆々としたヘビー級レスラーの体格に、意外とかわいい系のベビーフェイスが乗っかった逸材だった。この男をAV業界に引っ張り込めばマッチョ系男優の分野で一〇年は天下が取れるとインスピレーションが働いた。


 その直感を信じて行動した結果、今や坂居はアダルトビデオ界において欠かせない人気AV男優になっている。もちろん体格やパワフルなセックスのインパクトも大きいが、一番の理由は彼が生来持っている人間的魅力によるものだろう。


 長身でガッシリした青年だが気性は穏やかで笑顔が多く、声も柔らかでメロディアスな響きを伴う。女優との間に信頼関係を築くことが大事なAV男優という仕事において、彼の対人コミュニケーションの柔らかさは見た目の威圧感を和らげる大きな武器だった。


 穏やかで優しい性格で聞き上手である点も評判が良かった。街中で女の子に話しかける企画でも、坂居は優しい笑顔で話を聞き、女の子たちの緊張を和らげる。彼が街に繰り出すナンパものでは、最初は坂居の体格に驚き、軽く恐怖していた女の子の表情が彼と話しているうちに柔らかくなっていく変化も見どころの一つに挙げられた。


 もっとも、坂居は己の性格がレスラーとしては大成を邪魔したとも自己分析している。


 競技者としての坂居は優しすぎたのだ。もちろん坂居とて試合に出れば勝ちたい、負けたくないくらいは思う。だがトップを目指すためにはそれだけでは足りない。彼には自分が一番になる、邪魔する人間は力づくで倒そうとするほどの闘争心はなかった。


 大学卒業後もレスリングを続けるか迷っていた坂居に「君の体格を活かせばAV界のマッチョ系男優でトップになれる」と誘いを掛けたのが安藤だった。


 坂居は自分がアスリート向きのメンタルではないことに同意した。また、恵まれた体格を活かせば、業界の内外が注目する存在になれるという安藤の言葉にも心を動かされた。


 坂居に対しては「体格の割にかわいい顔をしている。もっと厳しい顔つきじゃないとキャラに合ってないのでは?」と指摘する声もあった。だが安藤は坂居のベビーフェイスや生来の優しさこそ彼の武器だと思っていた。


 安藤が坂居に求めたのは二面性だった。S男やM女が求めるマッチョの激しいズコバコセックスだけではなく、彼なら無尽蔵のスタミナと気遣いで女主人に仕える男娼の如く女優を悦ばせることも可能ではないかと考えたのだ。


 ファンの間では腕力やチンポの大きさを誇示する路線を黒坂居、優しさで女性を包む路線を白坂居と呼ぶことがある。


 この路線にも業界内部からは「最初のうちだけでも、どちらかに絞ったほうが良いのでは?」と異なるキャラクターが一人の役者の中に混在することを危惧する声があった。しかし安藤には独自の業界分析で勝算があった。


 今やアダルトビデオは男だけが観るものではない。如何にして女性人気を獲得するかも重要な時代だ。


 彼は坂居を女性にとっての理想的な大型犬にプロデュースしたのだ。体が大きくて力は強いけど気持ちは優しく、主人には忠実な犬だ。


 黒坂居の路線で彼の強さや本気になったときの怖さを見せたあと、白坂居の路線では一転して親密になった特定の女性には全力で尽くす姿を見せる。そのギャップによって女性たちは自分も坂居のような大型犬が欲しいと思うようになった。


 単純な売上という点では、男性の優位性を示すような黒坂居路線のビデオのほうが売れているが、白坂居路線には熱狂的な固定ファンがついている。


 今回の撮影も坂居が女性を気持ちよくしてあげる白路線だった。


「海に着いたばかりで体調が悪いから一緒に遊べないって、なにやってるのよもう!」


 浜辺を眺めていると、どこからかそんな声が聞こえた気がした。周囲を見回すと水着姿の女の子が何人もいて、その中の一人が木陰に座り込む男の子に声をかけている。カップルだろうか? どちらもまだ若い。二十歳には届いていないように見える。


「ごめんアルクェイド。本当にダメなんだ……」


「そんなに具合悪いの?」


 心配そうな顔で少年に付き添う金髪の美少女。どうやら彼女はあの少年を看病しているようだ。少年の容態を尋ねる少女の表情はまるで自分のことのように真剣だ。


「少し休めば良くなるかもしれない。悪いけどしばらくここで休ませてくれないか?」


「わかったわ」


 ごめん、と少年は死人のように青白い顔で言った。


「軟弱な彼氏だな」


 二人の様子を見ていた安藤が言った。


「これしきの日差しで女の子に悲しい思いをさせるなんてさ」


「そうは言っても今日はたしかに暑いですよ。車の中はエアコン大丈夫なんでしょうね」


「さっき様子を見てきた時はひんやりしてた。激しく動くには最適な温度だったな」


「ならいいですけど」


 それより、と坂居は少女の顔に目を向けたまま安藤に囁く。


「あの女の子なんてどうです? 滅多に見ない美少女ですよ」


「奇遇だな。俺も同じことを考えてた」


 少年の言葉から察するに少女の名前はアルクェイドらしい。


 美しい顔に魅力的な体型。今はそれを惜しげもなく晒す白ビキニを来ていた。二人の脇を通り過ぎる男たちはアルクェイドを見つめ、彼女の背中や腰の紐を解きたい衝動と必死に戦っている。


「サイズ分かりますか?」


「俺のスカウターによればスリーサイズは上から八八センチ、五五センチ、八五センチだな」


「さすが監督。相変わらずの観察眼ですね」


 安藤は満更でもなさそうに鼻を鳴らした。


 坂居はアルクェイドの全身を舐めるように見つめる。久しぶりだった。この女を抱きたいと強く渇望するのは。


 女優のビジュアルレベルが表の芸能界レベルまで上がっていると言われる昨今のAV業界。坂居もアイドルや女優顔負けの美女を何人も抱いてきた。実際に何人かは元アイドルの肩書を持っていた。しかし今、アルクェイドという少女を見た瞬間、それらの記憶は遠い過去のものとなった。


 ただ彼女だけを抱きたい。


 ……いいや、違う。


 彼女を征服したい。彼女を屈服させて自分のものにしたいという強烈な乾きが生まれた。


 レスリング時代でも、ここまで特定の相手に勝ちたいと思うことはなかった。坂居は自分でもコントロールできない感情に戸惑う。これは、この感情は何だ? どうしてこれほどまでの激情が俺の中に渦巻くのだろう?


「どうかしたか?」


「なんでもないです」


「主演男優がヤリたいと言ってるんだ。今回はあの娘にマジックミラー号に乗ってもらおう」


 表面上は冷静を装っていたが、坂居は安藤の言葉で小躍りしそうだった。頭のなかではすでに、あの美少女を如何にして快楽漬けにして、撮影後も関係を続けるか考えていた。


「せっかく海まで来たんだからアルクェイド一人だけでも砂浜を歩いてきなよ。俺も回復したら追いかけるから」と少年は言った。


 それは坂居が待ち望んでいた一言だった。


「いいアイディアだ」


 アルクェイドは迷っているようだったが、やがて意を決し、少年のそばを離れた。自分のせいでアルクェイドも楽しめないのは申し訳ないと言った彼の言葉が効いたようだ。一緒にいても少年はアルクェイドの優しさを引け目に感じてしまうだろう。


「今がチャンスだ」


 安藤が促すよりも早く坂居は動き出していた。


「俺は撮影の準備をしておく。お前は上手く誘えよ」


 言われるまでもなく。坂居は心の中で返事しながらアルクェイドの背中を追いかけた。


 


     3


 


「それでは今日一人目の女の子です。お名前をカメラに向かってよろしくお願いします」


 カメラが回りだすと安藤という男が喋りだした。眼の前にいるアルクェイドよりもカメラの向こうで見ているであろう視聴者を意識した、愛想の良い明朗な喋り方だった。


「アルクェイド・ブリュンスタッドよ。この車って変わってるのね」


「そうなんですよ。外から中は見えないのに中から外は見える変わった車でしょ」


「それにマットレスも敷いてあるし。このまま快適に眠れそうね」


 アルクェイドは初めて見るマジックミラー号に興味津々だ。猫のように目を丸くしてキョロキョロと辺りを見回す。


「お話を先に進めてもよろしいですか」


「ええ、どうぞ」


「ありがとうございます。先ほどスタッフの方から説明があったとおり今日は無料マッサージを受けていただきます。美容にいいマッサージで腕のいい先生をお呼びしてますので安心して任せてください。施術のあとにビフォーアフターでどれだけ変わったか彼氏さんに見てもらおうという企画です」


 安藤は長台詞にもかかわらず一度もつっかえることなく、立て板に水とばかり言葉を紡ぎ続ける。


「本来であればマジックミラー号の外で彼氏さんには待っていただくのですが、なんでも今ちょっと体調を崩されてるとかで」


「日差しに当たりすぎたみたいね。本人は少し休めば大丈夫と言ってたから大丈夫じゃないかしら」


「終わったら彼氏さんに綺麗になったアルクェイドさんを見てもらいましょうね」


 そう言って安藤は、わざとらしく「でも~」と間延びした声を出す。


「アルクェイドさんには美容マッサージなんて必要ないかもしれないですね。私も映像の仕事を長くやってますけど、こんな美人さん初めてですよ」


「褒めても何も出ないわよ?」


 アルクェイドはつっけんどんに返した。志貴以外の人間から褒められても彼女の心には響かない。


 そんなこと知る由もない安藤は上機嫌に言葉を続ける。


「いえいえ、本当ですって。私が保証します。それじゃそろそろ始めましょうか」


 安藤の言葉を合図にマジックミラー号の奥にある扉が開く。中から出てきたのは見覚えのある男性だった。こんな目立つデカブツをすぐに忘れるはずもない。


「彼がマッサージするの? さっき会った人ね」


 志貴と別れビーチを一人で散策していたアルクェイドに声をかけてきた男だ。彼が撮影に協力して欲しいと言うので、アルクェイドは暇つぶしに丁度いいかと思いついて来たのだった。


「お恥ずかしい話、ローカルケーブルテレビ局の深夜番組なものですから予算が少なく、スタッフの人数も限られているので先生に出演者探しから協力してもらっているんです」


 面目ないという感じで安藤は照れ笑いを浮かべた。


「先生は有名な方なので腕前のほうは保障しますよ」


「ふうん、そうなの?」


 場を盛り上げようと空元気の大声で笑う安藤。対してアルクェイドは気のない返事をするばかりだ。彼女が中座していないのは、まだ決定的に不快な出来事が起きていないという、ただその一点に尽きる。少しでも不快な真似をされたら志貴のもとに戻るつもりでいた。もし彼女がそうしたいと望めば、この場にいる誰もアルクェイドを止められない。


「じゃあ、始めてもらいますかね」


 安藤はゆっくりと優しい口調で言った。その言葉を皮切りに本格的な撮影が開始する。


「では、まずはうつ伏せでここに寝てください」


 坂居の指示に従ってアルクェイドはマットレスに横たわった。


 すぐに男の指が肩から背中へと滑っていく。その手には迷いも淀みも性的な関心も感じられない。


 坂居の手はあくまでも事務的に、マッサージ師が自分の仕事をするさり気なさで美女の体を撫で回す。


 彼の手が背中から腋に滑り込んでくると、アルクェイドは体をピクピク震わせた。くすぐったい感覚から逃れようとする彼女に、坂居は「力を抜いてください」と言うと、そのまま腋を撫でた。


 アルクェイドはくすぐったさに身をよじったが、まだマッサージは始まったばかり。こんなことで音を上げたくないと我慢する。


 坂居の手を受け入れ続けているうちに、彼女は体の緊張が解けてリラックスしていく感覚を覚え始めた。


 気持ちいいわね。デカい図体のくせに繊細なタッチは意外。


 時間が経つにつれて、アルクェイドのリラックス度は深まっていった。そして彼女は徐々に意識が遠のいていく。睡魔が迎えに来て、アルクェイドはウトウトし始めた。


「次はオイルを使ったマッサージしていきます」


 坂居の声は心地よく、遠くに聞こえた。アルクェイドは小さく頷くことが精いっぱいだった。


 坂居の手は優しく、温かい。オイルの感触も気持ちいい。背中で感じる彼の熱が心地よい。彼女は自分の体がマットレスに溶けていくような感覚を味わう。


 坂居の手はアルクェイドの体のラインに沿って、繊細でありながらしっかりとしたタッチで動く。背中のくぼみ、関節の隙間など、要所を的確に捉えていた。彼の動きは正確で、ゆっくりとした手付きは余裕と確かな理論的裏付けを感じさせた。彼は一箇所に長く留まることなく、優雅に次の場所へと移動していく。


 アルクェイドの肉体はますますリラックスする。まるで硬く結び合わされた筋肉の絡まりを丁寧に解かれている気分だ。


 だがしかし。彼女が本当にリラックスしてマッサージを受けられる時間は終わりに近づいてきた。


 坂居はアルクェイドがうつ伏せでいることを利用して、スタッフたちと静かに目を合わせる。彼らは無言で、そろそろ性感マッサージに移行しようと示し合わせた。


 坂居はアルクェイドの太ももを両手で挟むと、円を描くように撫で摩りながら脚の付け根に向かいマッサージしていく。その手はより敏感な部分を探り始めていた。内ももをマッサージしながら指をビキニのクロッチ部分に近づけていく。


 アルクェイドは男の手が性器に接近する感触で体を硬くした。


「ここは触らなくていいわ」


「でも、ここは意外と凝る部分ですし、リンパも詰まっているから解放してあげると気持ちいいですよ」


「必要ないって言ってるの!」


 アルクェイドは静かだが聞いた者は逆らい難い口調で意思表示した。その声に坂居は動きを止めた。


「分かりました。それでは次は体の前の方をマッサージしていきますので、仰向けになってください」


 アルクェイドが反転すると、坂居は彼女の胸や腹にもオイルを垂らしていく。


 せっかく良い気分で寝ていたのに。アルクェイドは股間を触られ起こされたことを恨めしく思う。


 このとき、彼女の中に疑念が生まれた。このマッサージ師は本当に信用できるのかだろうか? そもそも、普通のマッサージシーンを撮影したいだけなら、鏡張りの車を用意する必要などないはずだ。


 彼女の疑問はまったくもって正しかった。もしこのとき、アルクェイドが自分の中の違和感を深く追求していたら、未来は違うものになっていただろう。


 坂居の手が、アルクェイドの体に垂らしたオイルを塗り伸ばしていく。彼女の完璧な肉体がオイルで妖しく光った。


 体勢を変えても坂居のマッサージは相変わらずアルクェイドのツボを的確に捉えた。彼女の首と肩に当てられた坂居の手は、堅く、しかし優しく美女の肉体を揉む。鎖骨と乳房の間をくるくると揉みほぐす手付きは、粘土を扱う陶芸家のように繊細さと明確な意志が宿っていた。


「ここの筋肉が張ってると肩こりになるんですよ」


 言いながら坂居は、オイルの潤滑性を利用して、徐々にアルクェイドのビキニトップに手を滑り込ませていく。


 彼の大きく力強い手にマッサージされ、真祖の姫君の魅力的な乳房は形を変える。オイルでテカる体は興奮と血流改善により全身が紅潮し始めた。


 志貴の小さくて繊細な手とは違う、坂居の大きくて無骨な手のギャップが、アルクェイドの肉体にこれまで感じたことのない感覚を呼び覚ましていく。


「あぁ……そこ、いい……」


 思わず艶めかしい吐息を漏らし、彼女は自分の甘い声に驚いて頬を朱に染めた。聞かれてしまったかと恥ずかしく思いながら坂居の反応を窺うが、彼は特に気にすることもなくマッサージを続けていた。


 そうやって素知らぬふりをされると、マッサージに不慣れな私には恥ずかしいことだけれど、彼にとってはなにもおかしいことではないのだと感じる。だから変に意識するほうが異常なのだとアルクェイドは己を納得させた。


 だが実際には坂居も、アルクェイドほどの美女が喘ぐ声は無視できず、自分の下半身が滾り始めるのを感じていた。彼がパンツに丸太のような巨根の陰を浮き上がらせずに済んだのは、勃起や射精のタイミングを意志でコントロールする訓練を積んだプロのAV男優だったからだ。


 もしカメラが回っていない場所でのプライベートセックスであれば、今ごろアルクェイドは彼女の腕ほどもある勃起のシルエットを目の当たりにしていただろう。


 坂居は女性の性感を高め、欲情させる術に自信を持っていた。事実、アルクェイドは最初に漏らした恥ずかしい声のあとも嬌声が止まらず、体の熱は高まる一方だった。彼女の頬はますます赤くなり、目は潤んできた。坂居の技術は確実にアルクェイドを発情に導いていた。


 そしてついに男の手が境界線を越える。坂居は脚をもじもじさせて快楽に耐える美女の乳首を摘んだ。柔らかく膨らんだ乳房の尖端にある桜色の突起を刺激する。


「んっ! んっ! くっ! ああっ!」


 彼の不意打ちにアルクェイドは全身が疼くのを感じた。


 なおも坂居はマッサージをやめようとはしない。偶然触れたと言うにしては長く、テクニシャンな乳首攻めにアルクェイドは制止の声をかける。


「もういいから! もうそこは充分リラックスしてるから他をやって」


 坂居は頷き、ゆっくりと胸から手を離した。


「次はお腹周りの筋肉をほぐしていきましょう。骨盤周りの柔軟性も大事ですからね。特に女性は腹部のケアも大切です」


 坂居の手がアルクェイドの腹部を一定のリズムと優しい手付きで動かしていく。彼の指は複雑なパターンと円を描き、彼女の体から緊張を解き放っていく。何度も何度も揺さぶられているうちに、性感帯ではないはずの場所から不穏で甘美な気配が立ち上ってくる。


「ここは丹田と呼ばれる場所で不思議なパワーが宿っているとされているんですよ。マッサージしていると体がポカポカしてきませんか?」


「そうね……う、ううっ、ああっ♡ なにか不思議な感じがするわ」


 彼の親指に丹田を押された瞬間、そこを起点に全身へ快感電流が走り抜けた。


(ああ……なに、今の感覚は?)


 未知の感覚に戸惑うアルクェイドの反応を見て、坂居は笑みを浮かべた。ここが君のツボかと声には出さずつぶやくと、彼は執拗に彼女のヘソ下を攻めた。


 最初は円を描くようにして、時には強く押し込む。彼女の薄い腹部が軽く凹むくらい押してやると、その度にアルクェイドの体がビクッと動いた。女の反応を窺いつつ彼は機械のように正確な動きで美女の体を調べていく。


 坂居の手は、アルクェイドの敏感な場所を目覚めさせようとするかの如く、同じ場所を揉み続けている。まるで熟練したマッサージ師のような手付きだ。いや実際、彼はマッサージのために触っているのだが。


 アルクェイドの息は乱れ、肌は火照り、玉の汗が浮かんだ。明らかに異常な発汗だが男は手を止めない。


「や、やめなさぁ……んんっ♡」


 坂居の手が下腹部を押すと、アルクェイドは制止の言葉を途中で打ち切り、甘い声を漏らした。メスの発情声がオスの海綿体を熱くする。坂居の下半身では血液と精液が沸騰した。


「ここが一番硬いんです。もう少し緩めていきましょう」


 彼は手のひら全体をアルクェイドのへそ下に押し当てる。眠っている子供を起こす親のように、彼女の体を揺さぶった。


 男の手はオイルに濡れてヌルヌルしているため、摩擦による抵抗は少ない。おかげで痛みはなく、たまらない快楽だけを女に与えた。


「あんっ! そんなに激しくしたらダメっ」


 このマッサージで坂居がやろうとしていることは、まさしく寝た子を起こすことだった。体の外から適度な圧力と振動を加えることにより、アルクェイドのポルチオを活性化させる。


「ああ、これ、だめ……♡」


 アルクェイドの肉体は一瞬にして反応する。まるで何かに引き寄せられるように、彼女の腰は勝手に動き出した。お腹フェチの男なら一晩中だってキスして舐めて頬ずりしたくなる彼女の腹部が妖艶にくねる。ターゲットを捉えた男の手は、より速く、より激しく動いた。


「く……、これは……いやァ……、う、あッ!」


 アルクェイドは快感に身を任せ、体を震わせた。快楽を訴える喘ぎが唇から漏れ、終わりなき官能の波に弄ばれる。


 今度は男のマッサージを拒むことができなかった。さっきは乳首を触られたので「ストップ」と言えた。だが今回、男の手はアルクェイドの腹部を触っているだけである。彼は性器に触れていない。この状態で過剰に反応するのは、彼に対して欲情している自分を認めることになる気がして声に出せなかった。


 だからアルクェイドは、ポルチオマッサージの生み出す快感に耐え続けることを選んだ。


 人間離れした美女の肉体が生み出す完璧な曲線を男の手がなぞっていく。彼は力強い意思と確かな技術で硬軟織り交ぜた攻めを展開する。女体を操作し慣れた坂居の手によって、アルクェイドの体内で眠っていた神経は次々に目覚めの時を迎える。


「ん、あ゛っ♡♡♡ い゛っ♡ はあぁぁあ゛っ♡♡♡ おおぉ゛っ♡♡」


 アルクェイドの呼吸も嬌声も乱れに乱れる。自分がなにをされているかも理解できない金髪美人が、セックスのプロに子宮を弄ばれている姿は、傍らで撮影していたスタッフたちにも性的興奮を与える。


 お腹を触られているだけなのに、おまんこが濡れて恥ずかしいから隠さなきゃとアルクェイドが長い脚を擦り合わせると、男たちは前かがみになった。


 快感に身をくねらせる彼女の胸が柔らかそうに揺れると、男たちはパンツの中で先走り汁を垂らした。


「あんっ♡ あぁあああっ! そこっ、だめぇっ♡ それっ、だめぇえっ♡ んひゃああっ♡」


 アルクェイドの体は坂居の手と連動して動く。加速する心臓の鼓動に合わせるかのように腰が上下する。全身が温かい快楽の気配に包み込まれる。すべての神経が男の手と繋がっている錯覚さえ抱いた。


 坂居が繰り出す熟達した動きの一手一手がアルクェイドの体に性感の波紋を広げる。彼女は圧倒的で崇高な感覚に酔いしれた。


 そして、頃合いと見た彼の指が美女の脚の間に移動した。クリトリスに優しく触れてあげると、アルクェイドは体を震わせた。


 ポルチオマッサージで活性化した下腹部へのタッチは、微弱な電流が皮膚の上で踊っているような衝撃をもたらす。


 男の手が包皮の上からクリトリスを回し揉みするとアルクェイドは息を呑んだ。ゆったりとした動きで旋回する指が彼女のクリトリスを縁取る。


「ああ! だめ、だめぇっ! そんなに、いじっちゃ……ああ、ああああんっ!」


 狭い室内にアルクェイドの声が響き渡る。彼女は震える手で坂居の手首を掴んだ。


「もうマッサージはいいから。これで終わりにして」


 最強の吸血鬼であるはずの美女は、ただの人間の男に懇願する。彼の手首を掴む手にもほとんど力が入っていない。これ自体が異常なことだった。


 もしアルクェイドが本気でこの窮地を脱したいと考えているなら、坂居の腕を捻り上げるなり、握り潰すなり、もぎ取ってしまうなりできた。それなのに彼女は、ほとんど力を込めていない手で坂居の手を止め、言葉で説得しようとする。


 彼女は部屋の熱く湿った空気が体にまとわりついてくるのを感じた。冷房を利かせているはずなのに全然そうとは感じない。


「イッたんですか?」


 アルクェイドの言葉には動じず、坂居はポルチオマッサージだけで君は達してしまったのかと質問した。彼の顔は興奮と好奇心で輝いていた。


「そんなこと関係ないでしょ!」


 アルクェイドは叫ぶ姿もどこか弱々しい。


 颯爽とビーチを歩いていたときの彼女とは大違いだ、と坂居は思った。


 男の手によって活性化したポルチオや、そこに連なる卵巣や膣を揺さぶるような愛撫により、彼女は今まで経験したことのない種類のオーガズムに襲われたのだ。彼女がどんなに強く美しい存在であろうとも、女性としての機能は同じだったということだ。


「あっ……くぅっ……!」


 絶頂後の余韻で動けないまま呻く彼女に、坂居は再び手を動かした。彼の手の動きに合わせて女の白い体がピクンと跳ねる。アルクェイドは相変わらず駄目だ、駄目だと口で言うばかりで実力行使はしない。それどころか男の手を歓迎するように彼女の脚は、ゆっくり開いていく。それは彼女自身も意図した動きではなかったのだろう。すぐに気づき、はっとした表情で脚を閉じようとする。しかし坂居が左手でアルクェイドのポルチオを揺らしたまま、右手で彼女の内ももを優しく撫でであげると、真祖の姫君の脚は呆気なく脱力する。


 男が水着の際から手を入れ、彼女の膣内に再び指を滑り込ませた。


 アルクェイドの腟内は男の指を強く締め付けてしまう。それが入ってくるなという意思表示なのか、彼を悦ばせようと歓迎しているのか彼女自身にも分からない。


「はぁ……はぁ……、やめてって言ってるでしょ」


 彼女の声は上擦り震えている。言葉とは裏腹に瞳は媚びるように潤み、唇は物欲しそうに半開きになっていた。


 こんな顔をされて止まれる男はいないと坂居は思った。彼は体外式ポルチオマッサージを再開し、同時に膣内の指先を動かしてGスポットを刺激し始めた。


「はっはあっ、あんっ、い、いきなりソコ……、すご……、いい」


 その巧みなテクニックに女体はいとも簡単に屈服する。隠しておきたい本音が口をついて出る。自分の意思では止められない。


 ポルチオに走る甘美な感触に抗えず女体が震え出す。先ほどまでの威勢が薄れる。声は官能の吐息を吐き出す以外の仕事はしていない。このまま快楽に身を任せてしまおうかという悪魔の囁きが聞こえた気がした。


(なに考えてるのよ私!)


 ここで快感に流されたら自分はどうなる。志貴を裏切るなんてできない。彼以外の男に身を委ねるなんて間違っている。快楽によって思考が鈍っていることに気付き愕然とした。アルクェイドは自分の理性を叱咤する。だが彼女の意志に反して肉体はすでに敗北寸前のところまで追いつめられていた。


(ダメよダメっ! そんなとこ触らないでっ!)


 必死に抵抗する心と裏腹に、体は素直に反応する。ポルチオとGスポットを同時に攻められるたびに彼女の股間からは粘度の高い液体が溢れ出た。女の股ぐらが分泌するはしたない液体とマッサージオイルの混合液が潤滑油となり、ますます男はスムーズに指を出し入れする。ぐちゅぐちゅという卑猥な水音は、マジックミラー号の室内どこにいても聞こえるほど大きくなった。


 もう十分だと判断して坂居は指を引き抜いた。出ていかないでと吸い付いてくるアルクェイドの媚び媚びマン肉の感触を楽しみながら、ゆっくりと引き抜く。指にはねっとりと透明な粘液が絡み付いていた。


「次は体の中からマッサージしていきます。特殊な道具を使うので準備できるまで少々お待ち下さい」


 坂居は自分のパンツに手を掛けると一気に下ろした。ボロンと音を立てて姿を現した巨大な逸物は勃起しかかっていた。まだ完全に勃起させていないのは坂居の趣味だ。いきなり最大サイズのデカチンを見せつけるより、目の前で勃起が成長していく過程を女に見せつけるのがたまらない。


 案の定、すでに最大サイズだと思っていた坂居のチンポがグングン成長し、さっきのは半勃ち状態でしかないと知るやアルクェイドは目を丸くした。深紅の瞳が零れ落ちそうなほど限界まで目を見開き驚く。なにせ半勃起でも坂居のデカチンは志貴より一回り大きいのだ。それが成長過程でしかなかったことを彼女は知る。


「まさかそんなもの入れる気なの?」


 アルクェイドの狼狽ぶりが実に良い、と坂居は思った。そしてもっと彼女を楽しませてやろうと決心する。この美しい少女をいっぱい愛してあげたい、俺の愛と快楽で作った牢獄に閉じ込めて絶対に逃げられないようにしてあげたい。


「ほぼ準備は完了ですね。仕上げはアルクェイドさんにお願いします」


 彼は九〇パーセントほど勃起したチンポを彼女に握らせた。アルクェイドは男の手を振りほどかなかった。


「これを使ってマッサージしてください」と言って、坂居は自分の股間にマッサージオイルを垂らした。


「ほら、こうやってください」


 彼は自分の手を重ね、アルクェイドに竿を握らせる。それから軽く手を上下させた。まるでオナニーするときのようにシコシコと動かす。すると肉棒はすぐにフル勃起状態に達した。


「すごい……」


 彼女は思わず感嘆の声を漏らしてしまった。太く長く硬い肉の棒が天を向いてそそり立っている。


「これを……ここに塗ればいいのね」


 オイルに塗れたアルクェイドの手がデカチンに官能的なマッサージを施す。手のひらさえも完璧な美女の手コキによって、坂居はうめき声を上げ、穏やかな顔になる。彼女のマッサージは絶妙な力加減で、雲のように優しく男のチンポを包み込み、ゆったりと扱き上げるものだった。


 彼女の指は絹のように滑らかで、男の体の敏感な部分を柔らかく、丁寧に愛撫した。彼女の手はデカチンの長さを確かめるように根本から先端まで扱いた。ほとんど力を入れてないような軽いタッチにもかかわらず、男を興奮させ、焦らす魔性の手コキだった。


 坂居の呼吸は荒くなり、心臓は高鳴る。今にも暴発しそうなほどの快感を覚えた。


「アルクェイドさん上手ですよ。本当にとてもお上手です」


 アルクェイドは坂居の言葉に反応しない。彼女はデカチンを気持ちよくしてげあることの方に夢中だった。真祖の姫とて潜在的にはビッチの才能を秘めている。それは普通の女と変わりなかった。彼女は今、目の前のペニスをどう弄ってやれば男が喜ぶのか、それだけを考えていた。


 マッサージは次第に激しさを増し、アルクェイドは坂居の顔から彼が感じているであろう快感を読み取った。彼の顔は紅潮している。目を閉じ、手コキの気持ちよさに身を委ねていた。


 さっきまで私を性的に翻弄していた強いオスが、今は私の手コキで快感に身を震わせている。彼女の背筋を愉悦が走り抜ける。アルクェイドの指は彼のシャフトの根本から先端まで、ゆっくり円を描くようになぞる。


「アルクェイドさん、もう充分です。もう準備は完了です」


 坂居はアルクェイドの手に自分の手を添え、チンポから離した。そのとき初めて彼女は、自分が何をしていたか自覚したようだった。自分が男のモノを握り、上下に擦っていたことに驚き赤面する。


「アルクェイドさんが念入りに準備してくれたおかげで、あなたのことをこれまで以上に気持ちよくしげあられそうです」


 アルクェイドの真紅の瞳は坂居と視線を合わせることを拒む。彼女の頬には薔薇のような赤みが差した。坂居の目にアルクェイドは、自分の身に起きていることをすべて受け入れながら、居心地が悪そうにも満足しているようにも見えた。そんな少女の姿を見て坂居の胸は彼女への愛しさで膨らみ、唇には大きな笑みが浮かぶ。


 坂居の手がアルクェイドの脚を開いた。彼女は顔を背けたまま小さく「あっ」と呟いた。


 坂居の大きな手がアルクェイドのビキニに掛かった。彼は濡れて彼女の肌に貼り付いた水着を脱がせていく。


 アルクェイドは羞恥心と怒りの波が押し寄せてくるのを感じた。どうして私はこんなにも愚かながことができるんだろう? 私には志貴だけがいてくれれば良いと思っていたのに、こうして親しくもない男の前で彼に自分の裸を見せている。私はなにをしているんだ? 志貴への一途な想いを維持したまま彼以外の男がもたらしてくれる快楽への興味は尽きない。彼女は激しい内的葛藤状態に置かれた。


 坂居の目はアルクェイドの体を上から下まで舐めるように観察し、その曲線美を堪能した。


 彼はアルクェイドの膝裏を持ち上げ、彼女の腰を浮かせる。そのまま勃起したチンポを彼女の割れ目に滑らせた。彼の鈴口から溢れ出る先走り汁が潤滑油となり、彼の巨根をスムーズに前後させる助けとなる。亀頭の先端でクリトリスを刺激するたび、彼女が小さな喘ぎ声を上げることに気付き、重点的にそこを責めることにする。


 彼の動きに合わせて、二人の腰が動く。彼の腰の動きが速くなるにつれ、アルクェイドの口から漏れる吐息が荒くなる。同時に彼の息づかいもまた激しくなっていった。


 お互いの股間を擦りつけ合う動きを彼は何度も繰り返し、アルクェイドの肉体が与えてくれる素晴らしい感覚を余すことなく味わった。彼女の割れ目に対して腰を突き出すたびに、愛蜜の量は増えてヌルヌルが増す。坂居は潤滑剤の力を借りてますます摩擦による性感を高めていく。


「挿れますよ。良いですね」


 アルクェイドは一度だけ「駄目よ」と言った。


 だけど彼の腰の動きは止まらなかった。坂居は過去の経験から知っていた。このまま素股で擦り続けていれば、女は挿入を拒む意思を失ってしまうと。


「挿れても問題ないですよね?」


 アルクェイドは今の自分の状態を言い表す言葉が見つからなかった。やめろと言いたいのに彼女の体は動こうとしない。


 彼女が志貴に示せた唯一の誠実さは、最後まで「はい」と言わなかったことだけだった。


 坂居は優しく彼女の体を開くと、ゆっくり硬いペニスを濡れた蜜壺の中に挿れていく。撮影スタッフたちの間でどよめきが広がった。普段は一度カメラに映らないところへ離れ、コンドームを付けてから戻ってくる。モザイクで局部を隠す日本のAVでは、生ハメやナカ出しを謳っていても実際には疑似のケースが多い。だが今の坂居は正真正銘コンドームを付けない生チンポを挿入した。


 打ち合わせなしの生ハメに安藤が驚く。しかし彼はすぐに監督としての仕事に戻った。坂居が本気でピストンすれば、どんな女でも簡単にイキ狂わせるだろう。安藤は国宝級の金髪美女がデカチンでイキまくり、狂いまくる姿を撮りたかった。


「もっと近づいて結合部を撮るんだ」


 カメラマンに指示して二人が繋がっている箇所を接写する。モザイクで隠しても目の肥えたAVソムリエたちには、生ハメかゴムありか分かる。彼らへのアピールだった。


「ああっ!」


 太い肉棒が膣壁を押し広げ、奥へ奥へと侵入していく感覚にアルクェイドは思わず声を上げた。彼女は体の内側から快感が放射状に広がっていくのを感じた。全身は期待に震え、静脈を電気が流れているような感覚に陥る。真紅の目は快楽のために見開かれる。唇からは熱い息が吐き出される。


 坂居はアルクェイドの膣圧に負けじとさらに深く突き入れていった。膣肉は侵入者に絡みつき、締め付け、歓待するように蠢動した。膣内のヒダが肉茎を擦ると、痺れるような快感が走る。彼女の中はとても温かく、そして柔らかく、まるで生き物のように男のモノを包み込んだ。彼女の性器は名器中の名器だ。


 坂居はアルクェイドの細いウエストを両手で掴み、ゆっくりと抽送を始めた。最初は浅く、徐々に深いストロークへと変えていく。


「んっ……んくっ……はぁっ……」


 アルクェイドの呼吸が乱れ始める。彼女の表情から苦痛の色は消え、代わりに恍惚とした色が浮かび始めた。


 坂居のセックスは優しかった。あのデカチンで滅茶苦茶に打ちのめされるのかと一抹の不安も抱いていたが、彼はアルクェイドの反応を見ながら、少しずつストロークの深さを変えていく。彼の動きからは自分が気持ちよくなるのと同じか、それ以上に女性にもこのセックスで幸せを感じてもらいたいとする気遣いが感じられた。


 坂居は次第にスピードを上げ、力強く突き上げるようになっていく。アルクェイドは自分の中で彼が熱く硬く大きく膨らんでいくのが分かった。


(すごい……)


 彼女は心の中で感嘆の声を漏らした。自分の体の中で大きなものが動いているのが分かる。それはとても熱くて太くて硬かった。これが男性なんだと思った。自分の中で何かが弾け飛びそうだった。それでは今まで志貴が私に与えてくれていたものは? それを深く追求してはいけない気がした。とても恐ろしいことだと感じた。


 坂居はアルクェイドの秘所のキツい締まり具合を感じながら、ゆっくりと慌てず腰を動かし続けた。最初はペニスの先端だけを使っていたが、今では八割方膣洞の中に収めている。


「あっ、あっ、あっ、あぁあっ!」


 膣奥のある場所に大きな亀頭が当たると、アルクェイドはひと際高い嬌声を上げた。


「ここですか、アルクェイドさんの弱点は」


 彼女は首を左右に振ったが否定しても無駄だった。坂居は一度動きを止めてから角度を変えてもう一度同じ場所を攻め立てる。再び彼女の口から悲鳴が上がる。


「ここが好きなんですね」


 坂居は構わず同じ場所を執拗に攻め立てた。


「あああっ! だめぇっ、そこはっ、やめてぇえっ! あああっ!」


 敏感な部分を刺激されるたび、彼女の口から甲高い悲鳴が上がる。脳天まで響くような衝撃的な快感だった。理性は完全に吹き飛んでしまい、もう何も考えられない。頭の中が真っ白になる。ただ気持ちいいという感覚だけが脳内を支配する。


 坂居の突きは激しく、力強くなり、アルクェイドの体に快感の奔流を叩き込んだ。彼女は心臓を高鳴らせ、喘ぎ声を漏らしつつ、目を閉じていた。


 アルクェイドの肉体は、彼が送り出してくる一突きごとに悦びと恐怖の両方を感じた。坂居が与えてくれる快感は、彼女の心を蝕む。それはアルクェイドを掛け値なしに真の至福の境地へと押し上げようとするほど強烈なものだったが、同時に、私を打ちのめしてすべてを奪い去っていくものだとも感じた。


 すべてを手放して彼に屈してしまいたくなる内なる衝動との戦いだった。


 アルクェイドが自分の腕の中で震えるのを感じながら、坂居は胸に痛みを覚えるほど興奮した。彼のデカチンは彼女のヌルつく狭い部分に入り込み、スムーズにピストンされる。二人の腰の動きはまるで振り付けされたダンスのように調和し、完璧に一体となって前後する。彼はより深く、もっと深くと彼女を限界まで追い詰めていく。


 坂居はアルクェイドの正体を知らない。もし彼女が最強の真祖になるため作り出された究極の存在だと知っていたら、彼の興奮はさらに増していただろう。そんな高貴で強い美女でも、俺のチンポには逆らえないという事実に男という生き物は歓びを覚える。だが一方では、彼は知らないからこそ純粋に彼女を愛しく思い、彼女と一つになりたがったとも言えた。


「あ゛っあ゛っあ゛っあ゛っあ゛っあ゛っあ゛っ♡ だめっ♡ ダメになっちゃう♡」


「いいんですよ。そのままイッてください」


「ああぁっ♡ あああぁっ♡ ああぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」


「うぐっ!」


 ひときわ強く腰を打ち付けた瞬間、アルクェイドの背中が大きく仰け反り、膣が強く収縮した。絶頂に達したのだ。それと同時に膣全体が振動し、男根を強く締め上げてきた。あまりの快感に思わず声が出てしまった。なんとか歯を食い縛って耐えきった。ここで射精してしまってはあまりに情けない。


「何度でも気持ちよくなっちゃいましょうね。アルクェイドさんの膣内で凝ってる部分はだいたい分かりましたよ。これから入念にほぐしていきますからね」


 坂居はそう言うと、再び激しい抽送を開始した。今度は先ほどよりも速く力強い。


 彼の肉棒はカリ首でゴリゴリと膣内を削り、亀頭で子宮口をノックした。その度に、アルクェイドの口から甘い声が漏れる。


 自分の声が信じられないというように、彼女は両手で口を押さえた。


 一度絶頂を迎えたことで、彼女の体はさらに感度を増し、坂居が与える全ての刺激に反応してしまうようになっていた。


 坂居は右手でクリトリスをいじりながら、左手で乳房を揉み、乳首をつまんだ。


「んぐぅううううっ!」


「どうですか、乳首も感じるでしょう?」


「あっ、はぁあっ! だめぇっ、そこ、そこ感じちゃっ!」


 アルクェイドは目に涙を溜めて喘ぎ続ける。胸への愛撫もさることながら、膣奥から湧き上がってくる快楽は今までの比ではなかった。まるで全身の神経細胞に直接電流を流し込まれたかのような激感である。指先まで痺れて力が入らない。


 すでに二度もイカされたというのに、まだ足りないとばかりに膣壁が激しく痙攣しているのが分かる。自分の体ではないように感じた。それほどまでに今の彼女は発情しきっていた。


「ここを突かれるのが好きな人なら、こういう動きもたまらないでしょう」


 そう言いながら彼はピストン運動を繰り返しつつ、腰をサークリングさせた。縦の動きに別方向の動きも加わった複雑な攻めは、最強の真祖をデカチンで悦んでる普通の女の子に変えてしまう。


「ああぁっ! ああぁああぁっっっ!」


 もはや彼女にできることは、ただただ獣のような声を上げて身悶えることだけ。


「はぁああん! すごいっ凄いすごいすごいっ!」


 腟内を蹂躙されるアルクェイドの口からは坂居を称賛する言葉しか出てこない。


(ああ……志貴以外の男に抱かれるなんて……)


 頭ではそう思っていても、体が言うことを聞いてくれない。それどころか、もっともっとと欲しがってしまう自分がいる。こんなはずじゃなかったのに……。


「ああっ、イクッ、またイキそう!」


 マジックミラー号の中には興奮と汗と欲望が入り混じった性臭が充満する。それは陶酔的で頭がクラクラしてしまうほどだった。


 アルクェイドの抵抗がなくなり始めたのを感じた坂居は情熱を抑えられなくなった。


 彼の動きはより流動的で力強くなる。ピストンの一撃、一撃が彼女を限界まで追い込む。アルクェイドは坂居の下で快楽にうめき、喘ぐ。二人の体は激しくリズムを刻みながら、忘我の境地へと駆け抜けていく。


 坂居は腰振りのスピードを上げると、さらに激しい動きを見せた。彼の手はアルクェイドの体を上下になぞると、背中に回り込んで彼女の尻を包み込むようにして、より強く自分の股間へ引き寄せた。ただでさえアルクェイドの行き止まりまで易易と達する坂居のデカチンは、彼女の限界を突破して膣奥に突き刺さる。


「ここが凝ってますね。彼氏さんに揉んでもらってないんですか」


「知らないっ♡ こんなところ、されたこと……なっ♡ はぁ♡ あああっ♡ あっ♡ あっ♡ い、い、イイッ♡ イイッ♡ す、すごいっ♡ こ、このまま、このまま突いてッ♡ ああっ、ま、またイクっ♡ あっ♡ い、いやっ♡ いやぁぁっ♡」


「分かりますか? アルクェイドさんは膣奥のここ、ここを大きな亀頭でトントン、トントンされるのが一番気持ちいいんですよ。だけど彼氏さんのじゃ届かなかったんですね。かわいそうに……」


 坂居はアルクェイドの弱点を見つけると、そこに重点的に刺激を与え続けた。俺はお前の恋人より遥かに格上のオスだと彼女の体に刻みつける。彼は優しく語りかけながらも、決して手を緩めなかった。


 坂居がアルクェイドをキツく抱きしめ、自分たちの体を密着させたように、アルクェイドもまた、彼がいなくなってしまうことを恐れてでもいるかのように腕を巻き付けしがみついた。浮気相手にこんなことしちゃ駄目だ。理性では分かっている。それでも彼の巨根が志貴では入って来られない場所まで侵入し、初めて感じる快楽を与えてくれると、その存在感に圧倒され彼女は彼から離れたくないという気持ちを強める。


 アルクェイドの喉から歓喜の悲鳴が上がり、室内に響き渡った。それは突然猛烈な暴風雨が発生したような声量で、狭い室内の壁に反響した。


「あ゛ああああ! イグっ! イグううううううううっ! イ゛っ♡ イ゛っ♡」


 これまでに感じたことがないほど強烈な雌悦が彼女の体を駆け巡り、震え上がらせた。彼女の声は悦びと降伏と解放の感覚に満ち満ちていた。何者にも邪魔されない純粋な歓びの歌だった。


 そうしながら下半身では膣洞が蠢き、坂居のチンポを締め付け精液を絞り出そうとしていた。


 快感の閾値を超え、理性を手放したアルクェイドの蜜壺は、濡れた肉壁で坂居のチンポを磨いた。積極的になった彼女の秘所は名器だった。急な変わりように坂居は歯を食いしばってうめきつつ、負けてたまるかとアルクェイドの膣奥を突いた。


「そうだアルクェイド。気持ちいいなら我慢しないで。君が気持ちよくなってる声をもっと聞かせてほしい。ここが好いんだろ?」


 この美少女の喉から、もっと淫靡な嬌声を絞り出したい。その一念で坂居は、アルクェイドの敏感な場所を亀頭で擦り続けた。


 最奥の少し手前にある天井側のスポットを攻め立てると、アルクェイドは背筋を反らせて喘いだ。


「ひゃうん! そ、そこぉお!」


「やっぱりここが一番感じるんだね」


 アルクェイドの反応を見て、坂居は確信する。


 彼はその場所を集中的に攻め立てた。角度を変え、速度を変えて、緩急をつけて、何度も執拗に。


「ああぁんっ! や、やめなさぁああぁぁああっ!」


「やめないよ。君は今すごくいい顔をしているんだから」


 そう言って彼はさらにペースを上げた。パンパンパンという音がリズミカルに響くようになる。


「ぁああぁぁあああっっっ!」


 あまりの快感に耐えきれず、アルクェイドは嬌声を通り越し悲鳴を上げた。だが彼は動きを止めない。むしろさらに強く突き上げてくる。


「ひぎぃっ?」


「今まで誰も、アルクェイドの気持ちいい場所がここにあるって教えてくれなかったんだね」


 そう言いながら坂居はさらに強く押し込んだ。そのまま子宮の近くで小刻みに振動させる。まるで子宮そのものを揺らしているようだ。


「ひ、ひぁあっ! う、ひぃああっ♡ あ、あぅ……うぅ……♡」


 体外式ポルチオマッサージでイキ癖がつきかけていた子宮を揺さぶられ、アルクェイドは再び絶叫した。


「あんまり激しくしてばかりでも体がもたないからね。火がついた状態の体をじっくり解きほぐす感じでいこうか」


「ひ♡ ひいいいいいいいいいい♡ なに、なになになになに、なにごれぇ! こんなの知らない、こんなの知らないいいい!」


「やっぱり若いから。セックスで気持ちよくなる方法と言ったら、とにかく情熱に任せて動く方法しか知らないんだね。それじゃ駄目なんだよ。こういうのはね、ゆっくり時間をかけて、緩急を織り交ぜながら少しずつ開発していくんだ」


「あぎっ、んあひっ、ひひっ、ひぃぃん♡ だめ、だめだめだめ、やめてっ、あひいいいいい!」


 ゆったり絡みつかせるような動きで腟内を捏ねくり回す。小憎たらしいほど余裕を感じさせる動きは、性急かつ情熱的に求めてくる志貴とは違う、セックス慣れした大人のテクニックだ。


 激しい突き入れはない。けれどその分、膣内の感触を楽しむかのようなストロークが長く続き、余計に深く男根の存在を意識してしまう。


(あ、ああっ……こんな、こんなに奥まで!)


 下腹部全体が熱い。内側から燃やされているみたいだ。彼の肉棒の輪郭はハッキリと感じられるし、膣壁に触れる感触もある。自分の股間が彼の腰によって叩き潰され、押しつぶされているのが手に取るように分かる。


 テンポを遅くして体への負担を和らげたぶん、彼はアルクェイドの唇に自分の唇を重ね恋人同士がするようなキスハメを申し込む。


 アルクェイドは口付けられた瞬間こそ驚きに目を丸くしたが、彼のキスはハードかつディープでありながら底しれぬ優しさに満ちていた。目を閉じて受け入れると、彼の体から香ってくる男らしい香りに五感が刺激される。アルクェイドが深く息を吸い込むと、それは媚薬のように彼女の神経を乗っ取った。


「んむ、ちゅ、ちゅっ、はふ、ふぅ、れる、ぷはっ、はむっ、んぅ♡」


 舌を絡ませ唾液を交換する。相手の舌が口の中をなぞるたび、ゾクゾクとした感覚が背中を走った。


(ああ……こんな……)


 なんていやらしいキスをしているんだろう。こんな濃厚なキスは志貴ともしたことがない。なのにどうして嫌じゃないのだろう。それどころか、もっとして欲しいと思ってしまう自分がいる。


(ああ……わたし……もう……)


 いつの間にか彼女は自分から舌を絡めて求めるようになっていた。それに応えるように彼もまた強く求めてきた。息もできないほどの激しい口づけを交わし続けるうちに、いつしか二人の体はぴったりと重なり合っていた。


(ああ……すごい……)


 抱き合うことで伝わってくる彼の体温が心地良い。逞しい胸板の感触に安らぎすら覚えてしまう。


 気がつけば、彼女は自分から夢中で腰を動かしていた。いつか志貴にしてあげたような下から攻めるための動きではない。そんな余裕はない。ただただ自分が気持ちよくなりたくて本能が背中を押していた。


「急に積極的になったじゃないか」


「だ、だってぇ……」


 自分でもどうしようもないのだ。体が勝手に動いてしまうのだから仕方ないではないか。


「こうすると気持ちいいだろう?」


 言いながら彼は腰を使ってきた。先ほどとは違う角度から抉り込んでくるような動きだ。


「うあぁあんっ!」


 彼が少し動くだけでアルクェイドの全身が跳ね上がるように痙攣する。その反応を楽しむように坂居はピストンを続けた。


「ほら、どうだい?」


「やぁああぁぁあぁっ!」


 坂居の問いかけに答える余裕はなかった。ただひたすら襲い来る快楽に翻弄されるだけだ。しかしそれでも彼には十分伝わったようだ。満足げに微笑むとピストン運動を続ける。


「ん、あっ、あっ、いいっ、いい、気持ち、あ、もっと、もっと」


「やっと素直になってきたね。それでいいんだよ。今は俺が君を気持ちよくしてあげる時間なんだから、我慢なんてする必要はないんだからね」


「で、でも、私ばっかり、気持ちよくなって、あ、あなたのほうが、苦しいんじゃ、あ、あう、うう、ん、んん」


「大丈夫。心配しなくてもいいよ。俺は俺でちゃんと楽しんでるから」


 坂居はそう言って笑い飛ばした。実際彼はこの状況を楽しんでいた。これほどまでに美しく可愛らしい少女が自分の下で喘ぎ悶えているのだ。嬉しくならないわけがないではないか。


 しかも彼女の膣内は驚くほど締まりが良く、気を抜くとすぐに果ててしまいそうになるほど気持ちが良かった。油断すればこちらが先にイッてしまいそうだ。経験豊富なプロのAV男優でも気が抜けない。それほどまでにアルクェイドは名器だった。


 これは長く楽しむことができないかもしれないな。射精タイミングのコントロールには自信があった坂居も、自分のチンポが夢のように美しい少女を夢中にさせている事実に抑えが利かなくなり始めていた。


 アルクェイドへの愛しさと射精欲が歩を並べて込み上げてくる。


 ふと視界の端でなにかの動く気配がした。そちらを見ると安藤がカンペを出している。指示内容は体位を変えろ。


 坂居は舌打ちしそうになった。男女が密着した状態でのラブラブ正常位は、男の体で女の体が隠れてしまう。この体位が好きというユーザーも多いが、多くの男性は女優の体が見たくてAVを買っている。そのため女の体を隠す時間が長く続くと発売後のレビューでは不評がつく。


 これがAVの撮影であることに彼は煩わしさを感じた。こんなことを仕事中に考えてしまうのは初めてだった。それだけこの行為に夢中になっているということだろう。


 抱きしめたアルクェイドの肉体は全身どこも抜群の触り心地だった。撮影でなければ一晩中でも抱き合ったまま、ゆるゆると腰を揺らしてスローセックスで楽しみたかった。


「体勢を変えるよ」


 そう告げて体を起こそうとしたが彼女は抱きついたまま離れてくれない。この少女も自分と同じ気持ちなのだと思うと坂居は嬉しくなった。


「このままがいいの?」


 小さく頷きつつアルクェイドは腕に力を込める。


 そんな彼女を愛おしく思い、坂居は再びキスをした。今度は触れるだけの優しいキスだ。彼女もそれに応じるように応じてくれる。それだけで心が満たされていくような気がした。


 だがプロの男優として、カメラが回っている場所で仕事を忘れる訳にはいかない。キスをしながらゆっくりと体を起こし、対面座位の格好になる。そしてそのまま彼女を抱き上げた。


「ちゅっ、んっ、んんっ……あっ……! んぅ、はっ……、んっ、んぅっ……ふぅ……」


 挿入したまま立ち上がり駅弁スタイルを完成させると、アルクェイドは彼女自身の体重で深く突き刺さる男根の感触に一瞬だけ唇を離し喘いだが、すぐまた抱きつき直してキスをせがみ始めた。


 浮気相手と舌を絡め、お互いの構内を舐め回すキスが気に入ったらしい。


 彼女の尻を両手で支えるようにして持ち上げる。彼女は嬉しそうに微笑んだ。それがなんとも可愛らしい。ずっと見ていたくなる。だが今は仕事中なのだと根が真面目な坂居は個人的な欲望を振り払う。


「さて、それじゃあそろそろ本気出そうか」


「え? あぅうっ! あ、あひぃぃいぃいっ! あ゛ーっ! あ゛ぁあーッ! おぐぅううう! ひぃい! あひぃい! あひぃい!」


 いきなり始まった縦揺れの振動にアルクェイドは目を白黒させて絶叫した。子宮口どころか内臓全部を掻き混ぜられるような衝撃。


(なにこれ?)


 今まで経験したことのない激しさに混乱するばかりだ。まるで脳天まで串刺しにされているような感覚に恐怖すら覚えてしまう。


(こんなの知らない……こんなのされたことない……)


 あまりの快感に涙が溢れてきた。それを舐め取るように坂居がキスをする。


(だめ……もう、もう無理……)


 意識が朦朧としてきたところで、ようやく彼は動きを止めた。


「どうだった?」


「すごかった……」


「まだ終わりじゃないよ」


 そう言って再び坂居はアルクェイドの体を駅弁で突き上げる。


 パンパンパンッと肉を打つ音が部屋に響く。これを見てオナニーするであろう視聴者に見せつけるため、わざと大きな音が立つように突いているのだ。


「あひっ、あぎっ、ひっ、ひっ、ひっ、あぎっ」


 もはや喘ぎ声というよりは悲鳴に近い。無理もない。いくら志貴がセックス中だけ絶倫のベッドヤクザに変貌すると言っても、もともとの虚弱体質まで克服できるわけではないのだ。


 駅弁ファックのような男側に体力を要求するセックスは経験がなかった。


「いぎゃっ、あっ、いや、いや、いや、やめで、やっ、はぐううぅぅぅ、ひゃぐぅぅぅ、いぐ、いぐ、いぐ、いぐううぅぅぅ」


 暴力的なまでの未知の快楽にアルクェイドは酔いしれる。


 もう自分がなにを言っているのかも分からない。ただ与えられる快楽に身を任せて喘ぐだけだ。


(軽いなぁ……)


 初めての駅弁ファックで頭が沸騰している少女とは対照的に、坂居は自分が抱えている女の身体データを検討していた。


 身長が高いわりに体重が軽すぎる気がする。だからといって限界まで絞り込まれたモデル体型ということでもない。胸や尻や太ももには男を喜ばせるだけの肉がついている。一体どういう成長の仕方をすれば、こんな理想的な身体になるのか不思議だった。


「んはぁっ♡♡♡ あ゛っあ゛っ♡♡ あ゛っ♡ あ゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ゛♡♡♡」


 アルクェイドの腕から力が抜ける。彼女の体は徐々にずり下がっていく。もはや自力で体を支えることすらできないようだ。


 そんな彼女の尻をしっかりと掴み直し、さらに激しくピストン運動を続ける。彼女の膣奥から愛液が溢れ出し、結合部から泡立った白濁液が流れ落ちる。


「次は後ろからですよ」


 マットレスの上に下ろしてやると、今度はアルクェイドも大人しく従った。彼女は四つん這いになってお尻を突き出す。体位を変えていろんな角度から挿入するほうが気持ちいいと気づいたのだろう。


 実に飲み込みが早い娘だ。


「ふあぁああっ♡」


 アルクェイドはバックからの挿入に甘い悲鳴を上げた。すでに何度も絶頂に達しているためか、膣内の感度は天井知らずに上昇しているようで、かなり敏感になっていた。少し突いただけでビクビクっと痙攣しながら絶頂を迎えてしまう。だがそれで彼の動きが止まることはない。むしろより激しいストロークで攻め立てる。


 当然だ。


 打てば響くという言葉もあるが、今のアルクェイドの肉体はまさにそれだった。突けば突いただけよがり狂うのだ。


 男というのは結局チンポで物を考える生き物だ。自分のチンポで女をイカせ、支配することに至上の喜びを感じるものなのだ。ならば当然、目の前の女が感じれば感じるほど男は興奮する。しかもそれがとびきりの上玉ならなおさらである。


「やぁあああ! やぁあああ! だ、め! らめぇぇぇぇええ! らめらめぇ! しょれぇ、そんなのぉ! お、おぐ、おく、つかれちゃらぁ! あ、あ、あ、あぁあああ!」


 舌っ足らずで未熟な喋り方になりながら、必死に「あなたのチンポが気持ちいい」と訴える美女の姿は、むしろ男を煽る興奮剤だ。だからもっと激しくしてやる。




 坂居の呼吸は荒くなり、うめき声も大きくなる。低い唸り声は本能のままに交尾する動物が発する原始の響きがあった。鍛え上げた下腹部をアルクェイドの尻にぶつける。欲求に従い快楽だけを追求した。


 理性などとうに消え去っている。あるのは獣欲だけだった。


 アルクェイドの喘ぎ声や叫び声は、まるで自分の限界を超えたかのように狂おしくなり、体は快楽に冒されきっていた。汗に塗れた両手はシーツを握りしめる。膝立ちになった脚は大きく開かれているが、その太ももの内側はガクガクと震えていた。上半身を支えている両腕からは力が抜け、前のめりに崩れそうになるところをなんとかこらえている状態だ。


 坂居のピストンに合わせて彼女の乳房が激しく揺れる。痛いほど張り詰めた乳首は空気との摩擦だけでも感じてしまうほどだった。下半身では、男の巨根を悦ばせようと膣洞を締め付ける。彼女の身体はとっくに屈服していた。


 二人の動きの激しさと体を打ちつけ合う音は、他の音や気配を掻き消してしまった。世界に自分たち二人だけしか存在しないと思うまで高揚した気分で、彼らは高みへと上り詰めていく。


「出しますよ。中に、全部、奥に、子宮の奥に、注ぎ込むっ!」


「駄目よ! だめ、膣内は駄目。それだけは志貴のものなんだから」


「まだそんなことを!」


 坂居は無性に腹が立った。これだけ気持ちよく快楽漬けにしてやった。アルクェイド本人も大悦びしている。それなのに、まだ俺よりあの軟弱な坊やを選ぶのか、膣内射精はあの男だけの特権だと拒否するのか。


 ふざけるなと思った。ここまでやっておいて今さら「膣内射精だけは拒否したから、浮気チンポに負けてない」と言い逃れするつもりか?


 そうはさせないぞという怒りを込めて腰を振る。


 アルクェイドの口から絶叫が上がった。


「おおぉーーっ! ぎもぢ、いいっ! おお、あああ! すごいっ! いい!」


「マッサージの仕上げは腟内に特別な薬液を流し込み、膣内の状況を内側から改善していきます。あくまで治療行為ですからご安心ください」


 取ってつけたようなマッサージ設定を持ち出すと、坂居はアルクェイドの腰をしっかり掴み直した。彼女の子宮口に狙いを定めて最も大量の精液を注げる角度に体の位置を調節する。


 そしてフィニッシュに向かい全力ピストンを叩き込む。


 アルクェイドは背中を丸め、歯を食いしばって喘ぎ、シーツを握りしめていた指をより強く手のひらに食い込ませた。狂ったように首を振りたくって泣き叫ぶ。普段の彼女を知っている人間からすれば想像もできない痴態であった。それほどまでに激しい快感に襲われているのだ。


 坂居の肉棒が子宮口を直撃するたびに目の前がチカチカするほどの衝撃が走る。そのたびに脳髄が焼き切れそうなほどの快感に襲われた。あまりの快感に気が狂いそうだ。


(むりぃ、これ、もう、耐えられない!)


 志貴以外の男とセックスするのが愉しかった。大きな体に伸し掛かられて最奥まで突き回されるのが気持ちいい。大きなチンポに抱きつぶされて負けるのが心地よいなんて知らなかった。


(こんなの初めて……)


 こんなにも強烈な快楽があるなんて知らなかった。ましてやそれを与えてくれるのが志貴以外の人間だとは想像もしなかった。


 この気持ちよさには抗えない……志貴以外の男のモノを受け入れることに抵抗はあるけれど……それ以上に……セックスに溺れてしまいたくなる……このまま溺れて何もかも忘れてしまいたいと思ってしまう……。


 でも……もしそうなったら……私は……。


「出すよ、出るよっ!」


「やっ、やめて、中はっ、中はぁあああ!」


「くぅううううっ!」


 坂居は快楽に浸りきったうめき声とともに大量の精液を膣内に吐き出した。


「ふぁあああぁあああああああぁぁああああぁぁぁあああああっ!」


 あまりの快感にアルクェイドは、断末魔の絶叫を轟かせながら体を大きく震わせる。そして糸が切れたように崩れ落ちた。ビクンッビクッビクッと体を跳ねさせながら余韻に浸るその姿は、まさしく一匹のメスとして完成された姿であった。


「はぁ……はぁ……」


 肩で息をする彼女の中から萎えてもなお太いままの肉棒が引き抜かれる。すると栓を失った秘所からドロリと白濁液がこぼれだした。


「お疲れ様でした」


「すごかった……」


 完全に脱力してベッドに倒れ伏す彼女を、坂居は優しく背後から抱きしめる。汗ばんだ肌を密着させ、二人で激しく喘ぎながら、お互いの熱や震えを感じ取っていた。


(気持ちよかった……)


 全身に広がる心地良い疲労感に身をゆだね、アルクェイドはぼんやりと天井を見上げる。


(私……本当に犯されちゃったんだ……)


 今さらのように実感が湧いてくる。志貴以外の男に体を許し、彼とのセックスでは感じたことないほどの喜悦を教えられた。坂居はすべてが志貴とは大違いだった。チンポの大きさも、それを使いこなすテクニックも、女をその気にさせてしまう触り方も。何もかもが志貴とは別次元だった。


 アルクェイドは、背後から回り込んできた坂居の手に自分の手を重ね、今しがた彼の精液を飲み込んだばかりの子宮に置いた。ここだ。思えばここをマッサージされたときから変になった。それ以前のマッサージも気持ちよかったが、まだ理性を保てた。


 彼の手が子宮に狙いを定め、体外からポルチオを揺らし始めると、アルクェイドはたちまちのうちに発情してしまった。


 クリトリスを弄られるような直接的な性感ではない。しかし体の内側からじわじわと湧き上がってくる欲望は、今まで体験したものと比べ物にならず、あっという間に歯止めが利かなくなってしまった。


「すごく良かったよ」


 坂居の大きな体がアルクェイドの上に覆いかぶさる。彼はまっすぐに彼女の真紅の瞳を見つめると、激しくしてしまったごめんといたわるように額や頬にキスを繰り返した。


「ありがとう」とアルクェイドは静かに囁いた。


「どういたしまして、と言いたいところだけど、なににお礼を言われてるのかな?」


 アルクェイドは恥ずかしそうに顔を背け、うつむき加減で坂居の胸板に向かって呟いた。


「今まで知らなかったことを教えてくれたことに。それと、いっぱいイカせてくれたから、かしら?」


「そのくらいなんてことないよ」


「だけどひとつだけ聞かせて」


 彼女はピロートークにまでカメラを向けてくる男たちに目をやった。それからマジックミラー号の室内を見回すと、最後に自分の横で寝そべっている男に視線を戻した。


「これって本当はなんの撮影なの?」


 


 4


 


 とあるマンションの一室。アルクェイド・ブリュンスタッドは裸で男と抱き合い、情熱的な口づけを交わしていた。


「ちゅ♡ れろッ♡ れろれろ♡ はむ♡ んん、んふぅ♡」


 鼻に掛かった息を漏らし、うっとりと蕩けさせた表情で片時も離れたくないと意思表示するかのように、彼女は男の首に腕を回してぶら下がる。


 大柄な男だった。身長一六七センチと女性にしては背が高いアルクェイドでも、彼の前に立つと大人と子供ほど差がある。彼女が抱きつく彼の首は発達した僧帽筋に埋まり肩との境目が分からない。肩もメロンを埋め込んだように丸々と肥大していた。


 彼女の相手は海で愛を交わした男――坂居俊樹だった。


 撮影のあとに連絡先を交換した二人の関係は数週間経った今も続いている。マジックミラー号での激しい情事のあと、どちらもあの素晴らしい体験を一夏のアバンチュールで終わらせる気にはなれなかった。


 志貴以外の人間とのセックスに溺れるなど数週間前のアルクェイドなら考えられないことだった。彼以外と契りを交わすなど想像したこともない。だが、たとえ真祖の姫でも女。卓越したオス力を持つ男の魅力には抗いがたい。己の不注意と出来心から一度坂居とセックスしてしまった彼女は、それ以来彼の力強くも意外とソフトな女性の扱いにハマってしまった。


 無尽蔵とも思えるスタミナで、彼は何度も何度もアルクェイドをイカせた。脆弱な人間のオスのくせにベッドでは坂居が一方的にアルクェイドをリードする。彼とセックスしている間だけ彼女は、まるで自分が普通の人間の女になったような錯覚に陥る。


 こんな気分は志貴との性交でも経験したことがなかった。弱い生き物として扱われることがこんなに気持ちよくて幸せだなんて、坂居のデカチンで鳴くまで知らなかったのだ。


「ちゅぱぁ……はぁあ……あぁ……っ♡♡」


 唾液の交換が終わり唇が離れる。二人はしばし見つめ合う。


 玄関ドアを締めた瞬間どちらからと言うこともなく抱き合い、熱い抱擁を交わす。そしてそのまま唇を重ねて舌を絡ませ合った。


 もう我慢できないとばかりにアルクェイドは彼の手を引いて寝室へと直行した。そしてベッドにダイブし、正面から抱きしめ合ってキスをする。互いに舌を絡め合わせながら服を脱がしあう。


「んっ、ちゅっ、ぷはぁ……ねぇ、今日はどんな風にして欲しい? 私からしようか?」


 唇を離してそう尋ねると、男は無言でズボンを脱ぎ去った。はち切れんばかりに勃起したペニスを取り出す。グロテスクに脈打つそれは、すでに臨戦態勢に入っている。


 それを見て、彼女も服を脱いでいく。ゆっくりと焦らすように、見せつけるように一枚ずつ脱いでいった。やがて下着姿になると、前かがみになって胸を強調しながら男の手を取った。


 柔らかく大きな乳房の感触を楽しむように男が揉みしだいてくる。それだけで甘い吐息が漏れた。ブラの上から乳首を摘まれた。尖った果実を転がされるだけで下腹部の奥がキュンとする。ショーツは既に湿っていた。


 坂居に胸を揉ませたまま、アルクェイドはブラを外す。たわわな果実を見て彼はゴクリと喉を鳴らす。まるで飢えたケダモノのようだと思った。もっとも自分も似たようなものなのかもしれない。せっかく志貴の学校が休みの週末に彼と過ごさず、浮気相手の家に朝から転がり込み、今日は一日中セックスだけしているつもりなのだ。


 志貴のことは今でも好きだしセックスもする。だけど、私はこの男に惹かれている、彼と寝ているときは大きなチンポで悦ぶだけのか弱いメスにされてしまう。人間と吸血鬼。たとえ種族が違っても、女の体は逞しいチンポで可愛がられると、相手のことが好きになるようにできているのだ。それを自覚するとアルクェイドは興奮で背筋が震えた。


 坂居がおっぱいに夢中になっている隙を狙って、アルクェイドは彼の股間に手を伸ばす。そこにはもう待ちきれないといった様子の彼の分身があった。指先で先端に触れるとビクンッと震えるのがわかった。


(相変わらず大きい)


 こんなモノが本当に自分のナカに入るのだろうか。何度も飲み込んでなお不安になる。それほど彼の男性器は女を圧倒する。けれど同時に期待してしまう自分がいる。早くコレが欲しいと子宮が疼いている。


「ふふっ」


 思わず笑みが零れてしまう。彼の性欲の強さには呆れるばかりだけれど、こうして求められることは素直に嬉しかった。これからこの凶悪な肉棒が私の奥深くを貫き、何度も何度も絶頂させてくれるのだと思うと、アルクェイドは自分の中のメスが満たされる光景を想像して嬉しくなる。


 だから自分からも彼に奉仕してあげたくなった。


「舌よりしゃぶってもらいたそうなものが大きくなってるじゃない」


 そう言うと彼は一瞬驚いた顔をしたあと、すぐに嬉しそうに微笑んだ。


 ベッドに腰掛ける彼の足の間に座り込む。目の前に突き出された巨大な肉槍をまじまじと見つめる。血管を浮き上がらせピクピク痙攣させているソレは、とても美味しそうに見えた。


 まずは匂いを嗅ぐことにした。鼻腔に広がるオスの匂いに頭がくらくらしてくる。たまらず舌を伸ばす。亀頭に這わせるようにして舐めた。


 塩辛い味が広がる。鈴口から透明な液体が溢れてきたのでそれも舐め取る。しょっぱいような苦いような不思議な味が口の中に広がった。


「ふふっ、ピクピクしてかわいい、何度も私のこと気持ちよくしてくれた大きいおちんちん、今日もいっぱい私のナカで動かしたくて興奮してるんだ」


 金髪美少女の唇が硬い勃起の周りを何度も往復し、舌がぬるぬるした表面を上下に滑る。唾液と一緒に彼の先走り汁も一緒に啜れば、その優しい吸引力で酒井の滾りは膨張の一途。


 口の中で感じる熱量の増大に、アルクェイドはますます興奮した。彼女の口は一定のリズムで動き、彼の男根の隅々まで探り当てた。唾液まみれになった肉棒をじゅぽじゅぽと音を立ててフェラチオすると、音だけでも興奮してしまう。口の中で発生したフェラ音が頭蓋で響き、耳までダイレクトに伝わる。


 卑猥なBGMを聴きながら、彼女は自分の秘所に指を伸ばした。すでにそこは湿っている。人差し指を挿入し刺激すると、快感が背筋を駆け上ってきた。クリトリスも同時に弄るとあっという間に愛液が流れ出る。


「んぽぉ♡ んぽ♡ んぼっ♡ んふぅぅっ♡ ちゅぶっ♡ ぢゅるっ♡ ぢゅぞぞぞぉっ♡」


 下品な水音を立てながら、アルクェイドは一心不乱に口淫奉仕を続ける。喉奥まで使い、頬をすぼめて唇で吸い付く。口内では舌が激しく蠢き、坂居の男根を攻め立てる。


 上目遣いに坂居の様子を窺うと、彼は快感に顔を歪ませていた。必死に射精を堪えているようだが、それも時間の問題だろう。坂居の限界は近い。


(早く出して♡)


 心の中でそう呟き、ラストスパートをかける。激しく頭を動かし、舌を縦横無尽に動かす。


「ううっ!」


 坂居が呻き、腰が震えた。次の瞬間、大量の精液が放出される。びゅくびゅくと吐き出される白濁液を一滴残らず飲み干すため、アルクェイドはさらに強くバキュームする。


 坂居は絶頂に達したあとも、アルクェイドの口に陰茎を入れたまま動かなかった。最後の一滴を出し切ると、ゆっくりと引き抜く。


「はぁ、はぁっ、ああっ……」


 ベッドの上で両脚を投げ出し、彼に見せつけるようにショーツを脱いだ。愛液でびっしょり濡れたクロッチ部分が糸を引いていた。それを見た彼がごくりと生唾を飲み込んだのが見えた。


 大きく股を開き、両手で割れ目を開いて見せる。ピンク色の粘膜がヒクつき、透明な液体がトロトロと溢れてくる様を見せつけた。膣穴の入り口から覗く子宮口がぱくぱくと開閉を繰り返している。


「ねえ、お願い……もう我慢できないの。あなたの太くて硬いので、私のおまんこ掻き回して♡」


 ベッドの上に仰向けで横たわる。その上に覆い被さってくる男を受け入れる体勢を取る。脚を大きく広げ、自分で太ももを抱え込んで秘部を晒す姿は我ながら滑稽だと思った。でもこうすれば挿入するとき彼も楽だろうと思ったのだ。それになによりアルクェイドもその方が好きだったりする。


 彼に抱かれているときはデカマラ大好きなはしたない女になりきって――事実、今の彼女はそこまで堕ちてしまっているのだが――おちんぽねだりする。


 坂居は、いきり立った巨根を握り狙いを定める。そして、一気に腰を突き出した。


「あひぃぃぃぃっ♡♡♡」


 ずぶずぶと男根が膣内に侵入する。日本人離れした体格に見合った巨根が肉襞を掻き分け、奥へ奥へと突き進む。その度に、アルクェイドの口から歓喜の悲鳴が上がった。


 坂居は体重をかけてのしかかるようにして、抽送を開始する。


「あぁっ! すごっ、いいっ! もっと、突いてぇ!」




 ぱんっぱんっという肌を打つ乾いた音と、ぐちゅっぬぷっという粘度の高い水音が混ざり合い淫靡な音楽を奏で始めた。結合部から泡立った粘液が飛び散る。


「ひっ! ひぃあっ! あぁぅっ! おおぉぉっ! そこっ、すごっ! すごっ! あぁっ! すごいぃっ!」


 坂居の情熱的な腰使いに揺さぶられながら、アルクェイドはあられもない声を上げることしかできない。ベッドの上で彼女は、一糸まとわぬ全裸姿でよがり狂っていた。シーツを握りしめる手に力が入るが、それでも抑えきれない快楽の波が押し寄せる。


「すごいぃ! 気持ち良すぎておかしくなっちゃうぅ!」


 坂居の巨躯や巨根を受け入れるためには限界まで脚を開く必要がある。恥ずかしがっていては彼のイチモツは入らない。星の代弁者とも呼ばれる高貴な美女は、娼婦さながら淫らな格好で男に抱かれていた。


「おおお……すげぇ……今日もすごい締まるぞ!」


 ギチギチと音がするまで坂居の男根を締め上げるアルクェイドのマンコ。男も負けじと激しいストロークを繰り返し、奥深くへと挿入を繰り返す。亀頭が子宮口に当たるたびにアルクェイドから喘ぎ声が上がった。


「ああぁっ、すごっ! あなたのおちんちんが太いからよッ♡♡ そんなに突かれたら、わたし壊れるっ」


 アルクェイド・ブリュンスタッドという絶世の美女が、その美しい顔に似合わぬだらしないメス顔を晒している。彼女の美貌はもうすっかり快楽に蕩とろけきっていた。気高い王族の眼差しなど見る影もない。そこには男を悦よろこばすためだけに存在する雌畜が横たわっている。


 坂居が正常位で腰を振りながらアルクェイドに抱きつく。彼の体が覆いかぶさると女の体は完全に覆い隠されてしまう。まるで巨人に捕まったかのようだ。


 全身でお互いの熱を感じながら二人は腰を揺らす。


 坂居の下腹部にクリトリスが擦れ、アルクェイドは甘い吐息を漏らした。


 セックスに没頭するアルクェイドの裏で、坂居もまた彼女との行為に熱中していた。


 仕事の撮影では止められたラブラブ正常位もプライベートならやり放題だ。こうやって彼女の華奢な体を腕の中に閉じ込め、ビクビクっと震える体を上から押さえつけ、どこにも逃さないぞ、お前は俺のチンポで可愛く鳴いてるのが一番お似合いで幸せなんだと執念深く腰を動かしている時間がたまらない。


(そろそろかな)


 旋回運動を続けながらも、坂居は自分の下で乱れる少女を見た。蕩けきった表情を浮かべて絶頂の時を待つ彼女の顔を見ていると、自然と笑みが浮かんでしまう。


 初めてビーチで見たときのような凛とした表情はない。


「イッちゃいそうなの?」


 アルクェイドがこくこくと頷く。絶頂が近いようだ。


 一度イカせてあげるため、ピストンの速度を上げ、何度も最奥を叩く。そのたびにアルクェイドから悲鳴にも似た嬌声が上がる。坂居の男根を受け入れ、精を搾り取ろうと締め付けを強くしてくる。その締めつけの強さに思わず暴発しそうになる。それを堪えて射精を我慢しながら犯し続ける。


「うあっ……イクっ、もうイクぅっ……!」


 まだ挿れてから然程時間が経ってないというのに、もうアルクェイドは限界を訴える。その声は切羽詰まったもので今にも達してしまいそうだった。


(たまらないな)


 こんなに綺麗な顔と体をした女が自分のチンポと相性抜群なうえ、抱けば抱くほど馴染んでさらに良くなるのだから最高すぎる。もっと気持ちよくしてあげて、もっと可愛い反応を引き出したいと思うのは、男の性だろう。


 さあ、イケ、イキやがれ。そう念じつつ彼はトドメとばかりに肉棒を押し込んだ。


「ひゃああああぁぁぁぁっっ♡♡♡ イクっ♡ イクっ♡ もうらめぇっ♡ イクぅぅううぅぅぅ~~~~~ッッッ♡♡♡」


 アルクェイドは仰け反るように背中を逸らす。膣奥に叩きつけられた熱く白い奔流に全身がガクガク痙攣していた。目の奥でチカチカと火花が飛び散っている。あまりの快感に頭の中が真っ白になったまま戻ってこれない。


 イッてる最中にも坂居はアルクェイドを休ませない。彼はそのまま激しく抽送を始めた。精液を放出したばかりの陰茎が、ぐちゅぐちょといやらしい音を立てて抜き差しされる。


「ああっ♡ 待って……まだ……イってる最中だからぁ♡」


 強すぎる快感に恐怖すら覚えたのか、涙を流しながら懇願する彼女を無視して男は動く。むしろ彼女の言葉によって興奮した様子で、息を荒げている。


 もう誰も俺のことを止められないと言わんばかりに、坂居は自分の力に酔いしれていた。


 坂居が荒い息を吐き、何度も彼女の腟内を出入りすると、胸の下で快楽の唸り声が聞こえてきた。


 激しい突き上げがアルクェイドの体に衝撃を与える。恥骨と恥骨をぶつけ合う荒々しいピストンを受け止め、彼女の心臓は高鳴った。この瞬間を楽しむ以外に重要なことはなにもないと感じ、すべての心配事が消え去っていた。


「あああっ! ああぁっ! あああぁっ!」


 獣のように叫びながら、彼女は悦びに打ち震えていた。何度も何度も繰り返し貫かれ、その度に意識が飛びそうになった。その度に強い力で抱きしめられることで現実に呼び戻され、また強烈な快感を与えられるというループに陥っていた。


 もはや彼女は抵抗することもなくされるがままになっている。完全に屈服させられてしまった。それでもなお容赦なく坂居は腰を打ち付けてくる。快楽を追い求める獣となって一心不乱に貪り続けるその姿は浅ましくさえあった。


 だがそんな姿さえも今の彼女にとっては愛おしいものにしか映らない。冷静さを欠くほどの情熱で彼が私を欲してくれている。そのことに原始的で純粋な悦びを感じずにはいられなかった。


 アルクェイドの奥深くまで突き刺す坂居は、とても楽しそうだった。彼の目は情熱に満ち、顔は至福の表情を浮かべ、とにかく君を抱けて嬉しいと全身で表していた。


 彼の愛情にアルクェイドの胸が熱くなる。それと同時に子宮口が下りてきて亀頭の先端とキスをしたのが分かった。その瞬間、全身に電流が走ったかのような衝撃が走ると同時に視界が白く染まった。


「んあぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」


 絶叫とともに絶頂を迎えたアルクェイドは全身を大きく震わせた。全身の筋肉が強張り、手足がピンと伸びきったまま硬直する。膣内が激しく収縮を繰り返し、男根を締め上げる。その動きに合わせるようにして、彼も射精を迎えた。どぴゅるるるという音が体内に響き渡りそうなほど大量の精子が流れ込んでくる。子宮口にぴったり押し付けられた鈴口から熱い液体が溢れ出し、子宮内を満たしていく感覚があった。


(すごい……いっぱい出てる……)


 ドクンドクンという脈動が伝わってくる。それを感じるたびに彼女の下腹部がきゅんっと疼き、幸福感に包まれた。


 長い射精が終わると坂居はゆっくりと腰を引いていく。ずるりと引き抜かれると、栓を失ったことで中から白濁液が大量に逆流してきた。


 先程まで自分を満たしていた膨満感が喪失したことで、アルクェイドは物寂しい気分を味わった。なにも入ってないことのほうが普通なはずなのに、今の彼女はもうそれでは物足りない。自分の肉体は、あの大きなチンポを挿れてもらい、ピッタリと穴を埋めてもらうことで完成するのだと信じるところまで来ていた。


 そんな彼女の考えを察してか、坂居は素早くアルクェイドを四つん這いにする。彼の手は射精直後でも力強さく長いペニスを持ち、ゆっくりと彼女のヌルつく膣穴に再突入した。


「あ゛っ♡ あ゛っはぁ♡ あふ♡」


 バックから挿入されたピストンが激しさを増すと、アルクェイドは悦びのうめき声を上げた。彼の硬いイチモツが腟内を満たし、信じられない勢いで入り込んでくると未体験の悦びに思考が支配される。


「くっ、あ゛あ゛っ、い゛ぃぃいー♡ いぃぃーー♡ あ゛っ♡」


 アルクェイドが恍惚の表情で絶叫する度に、坂居は彼に限界などないかのようにピストンの強度を上げていった。


 坂居の大きな体が汗で濡れ光るアルクェイドの体に背後から覆いかぶさる。彼は背中にキスしながら彼女の胸を揉んだ。テクニックなんか必要ない。とにかく揉みたいから揉むんだという獣欲に任せた動き。仕事でもプライベートでも他の女相手には見せたことがない、欲望に突き動かされた動きで渾身のピストンを繰り返す。


 いやらしく揉まれる乳房への愛撫に反応してか、それとも尻に押し付けられる剛直の感触に反応したのか定かではないものの、彼女はビクビクッと体を震わせた。その震えに合わせて彼女が感じていることが分かり、さらに嬉しくなった男は乳首を摘まみ上げ、引っ張るようにして刺激を与えた。すると面白いように反応するので、ついついやりすぎてしまう。


「ん゛い゛いぃ゛いぃッ! お゛っお゛っお゛ぉッ! お゛お゛ぉ――っ! お゛お゛お゛お゛ぉっーー!」


 乳首を強く摘むとアルクェイドの腟内はきゅうっと締まる。自分の手がこの美しい少女を玩具のように弄び、支配している。その実感を得るだけで興奮のあまり頭がどうにかなってしまいそうだった。


 この女は俺のものだ。俺だけのものなんだ。そう思うとますます興奮する。もっとこいつを自分のものにしたい。もっとこいつが俺のものだと確かめたい。もっとこの極上の体を味わい尽くしたい。もっとこの体を滅茶苦茶にしたい。もっとこの体を自分のチンポで貫きたい。もっともっともっともっと――!


 坂居は獣の本能に従い、ひたすら腰を振り続けた。理性などとうに吹き飛んでおり、ただ目の前の女を孕ませることしか考えられなかった。


「あひっ♡ あっ♡ あああっ♡ イクイクイクイクぅっ♡♡」


 彼の強靭な体がアルクェイドをベッドに押さえつける。彼女はシーツを握りしめながら絶頂に耐えるも、次の一突きが来た瞬間、呆気なくイカされてしまう。うねうねと膣洞を蠕動させる。その動きが彼の子種を絞り出した。ビュッと勢いよく吐き出された精液が子宮口を叩くと、それだけでもイッてしまいそうになるくらい気持ちがいい。


 二人は至福の疲労の中でベッドに倒れ込んだ。部屋は彼らの荒い呼吸の音と濃密なセックス臭でいっぱいだった。


 坂居はアルクェイドを背後から抱き寄せた。彼女の背中に自分の胸をピッタリと押し付ける。お互いの体温を感じつつ背後から彼女の耳に愛の言葉を囁いた。


「信じられないくらい良かった。こんなに気持ちのいいセックスは初めてだ」


「私もよ……こんなセックス初めて……」


 坂居がアルクェイド相手に特別な縁や渇望を感じていたように、彼女の方も二人の間に肉体的な繋がり以上の絆を見出しつつあるように見えた。


 二人は暫くの間、ただ黙ってそこに横たわり、抱擁を交わす温かさと心地よさを感じていた。


 先に動いたのは坂居だった。彼は体を起こしてアルクェイドを見下ろす。


「もう休憩は終わり。もっと気持ちよくさせてあげる」


 その言葉にアルクェイドは、欲望と期待に満ちた瞳で彼を見上げた。彼女の心臓は踊りだしていた。


 坂居は身を乗り出して彼女の唇に熱烈なキスをした。舌を差し入れると彼女もそれに応えるように舌を絡めてくる。唾液を交換し合い、歯列を舐め回し、口内粘膜を刺激し合う濃厚なディープキスを交わした後、ようやく唇を離した。


 彼の手が背後からアルクェイドの体を撫で回す。もはや彼女の性感帯の位置なら見ずとも分かるほど、坂居はアルクェイドの体を把握していた。一向に萎えない剛直を膣穴に埋め込んだまま、彼女の胸とクリトリスを優しく愛撫する。


「んぁっ! あふっ……んんっ! こ、これ……」


「こうやって自分のヌルヌルを擦り付けるようにして、指先でクリ撫でられるの好きだろ?」


「うん……気持ちいい……」


 すっかり気持ちいいことに弱く、素直になってしまったアルクェイドの姿に、坂居はますます興奮してくるのを感じた。


 自分が彼女をここまで堕落させたのだという事実に悦びを覚える。


 クリトリスを撫でてあげると、彼女は快楽に合わせて腰をくねらせた。そうすると膣内で肉壁とチンポが擦れてさらに快感が生まれる。そんな連鎖反応を楽しみながら、徐々に手の動きを早くしていく。指の動きに合わせて膣内が収縮し始めてきたのが分かった。


「動いてあげようか?」


 そう尋ねると彼女はコクンと頷いた。それを合図に腰を動かし始めると、すぐに甘い声が漏れ始めた。


「あぁっ! あんっ! はぁっ……! ああんっ!」


 坂居は自分の太ももをアルクェイドの脚の間に挟むと、彼女の脚を開かせ背面側位で腰を使い始めた。手は彼女の腹部に回して抱き寄せた。


 ゆったりとしたリズムで坂居が体を揺らすと、アルクェイドは自分の体が骨抜きになっていくのを感じた。決して激しい動きではないにもかかわらず、体の奥底から熱がこみ上げてきて止まらない。彼と触れ合った場所すべてが性器になってしまったかのような錯覚すら覚えるほど敏感になっている。


(私って淫乱だったんだ)


 そんな自分に呆れながらも、今この瞬間だけはそれが嬉しいと思ってしまう。


(だってこんなにも満たされているんだもの)


 アルクェイドは自分で自分をコントロールできなくなっていた。彼女の思考は快楽で曇る。坂居の執拗で巧みなタッチが生み出す性感を甘受することしか考えられない。


 そんなとき彼が耳元で囁いた。


「俺と付き合ってよ。アルクもそうしたいって思ってるんでしょ」


 耳を甘咬みしながら囁く彼の言葉にアルクェイドは心を踊らせた。彼の腕に抱かれたい、二人でもっと多くの快楽を分かち合いたいと彼女は考えた。二人の関係をもっと明確な一言で表せる形まで進めたい。だが一方で彼女の中の良心的な部分が、それはいけないと押し留める。これまで志貴がどれだけ私のために尽くしてくれたか忘れたの? それを思うとアルクェイドの心は罪悪感と恐怖でいっぱいになる。


 もっと坂居と親密な間柄になりたい意識と、それは許されないことだという規範的な意識とがアルクェイドの中で戦っていた。


「志貴と別れたくない」


 そう呟く声は胸を締め付けるほど溢れた感情により震えていた。


 坂居は微笑みながら、彼女の顔に掛かった髪を掻き上げた。


「分かってる。無理にどちらかを選ぶ必要はない。彼と別れず、俺のことも君の恋人にしてくれればいいんだ」


 いずれはすべてを乗っ取り自分だけの物にするつもりでも、今はまだこの辺で妥協しておこう。焦る必要はない。セックスも交渉事も一緒。激しく追い詰めるだけでなく、時には相手に猶予を与える必要がある。


「俺を選んでくれたら、君のことを大事にしてあげる。絶対に後悔なんてさせないからさ」


 そう言って微笑みかけると、彼女は少し考える素振りを見せた。その仕草を見て内心ほくそ笑む。あと一押しといったところだろう。


 坂居はアルクェイドを抱く腕に力を入れた。強く抱き締めながら、今度は先ほどよりも強く速く腰を動かす。より深くまで届くよう角度をつけ、ピストンを繰り返す。


「はぁ、ン! でも、でも!」


「なんなら彼は心の恋人、俺は肉体だけの恋人でもいいから。彼のチンポより気持ちよくしてやるから!」


 彼女の言葉を遮り、畳みかけるように言うと、彼女は戸惑いを見せた。


 迷うということは隙があるということだ。その隙を目掛けて坂居は最後の攻勢を仕掛けた。


 背面側位から松葉崩しに体位を変えると、彼女の膣奥に亀頭を押し付けた。志貴と俺、どっちのチンポが強いかとっくに分かってるんだろと彼女の肉体に問いただす。


 坂居の怒張がアルクェイドを屈服させていく。お前はもはや俺の女なんだぞ、俺なしで満足できるはずないだろと彼女が認めたくない事実をわからせていく。


「彼氏くんとのセックスじゃ、こんな風に一番奥までギュウギュウにチンポ押し付けて、グリグリしながら膣奥イキさせてもらえないんでしょ。毎日このチンポ使って子宮アクメしないと満足できない体になっちゃったくせに、なにを悩む必要あるの?」


「あぁっ、あっ、ダメぇ! 子宮ぐりぐりしないでっ! 奥、そんなにされたら、私、またイクっ、イッちゃ――っ!」


「俺のことも恋人にするって言うまでやめないよ。子宮口にチンポ押し付けて、はいって言えるかイキ狂って頭おかしくなるまでスクリューし続けるから」


 その言葉とともに始まった運動によって、アルクェイドは数え切れない回数イカされた。途中から坂居は動きを止め、彼女がどう動くか見守っていた。


 アルクェイドの腰が勝手に前後に動き、肉棒を根本までくわえ込んで、結合部を密着させながら円を描くようにグラインドさせる様は圧巻だった。自ら快感を求めて動く姿は浅ましく卑猥だ。その姿はあたかも発情期を迎えた獣。


 坂居は彼女の下腹部に手を当てた。へその下辺りを撫で擦る。


「ここがなにか分かるよね。初めての日も、その後も、会う度にたっぷりマッサージしてあげた場所だよ」


 そう言うとアルクェイドの顔が引き攣った。すっかり体外式ポルチオマッサージでイキ癖がついたアルクェイドの下腹部は、外から触れられるだけで快感を感じるようになっていた。


「あのマッサージ、クセになっちゃって大変でしょ? 何度も失神するまでイキまくったよね」


「や、やめて……今あんなの、耐えられない……」


 弱々しく首を振る彼女を無視して、坂居は再び腰を振り始めた。秘奥へ一直線に突き入れるようなストロークだ。


 二人の体がぶつかり合う音が部屋に響く。ベッドがギシギシと軋みを上げていた。


「くっ……ああん、あっ、だめ……あふんっ……いったばかり……ああんっ……はうっ」


 坂居は下腹部へのマッサージとピストンを同時に繰り返し、アルクェイドを追い詰めていく。


「んぁっ……ふぁぁっ、あぁっ、ん、んんんっ!」


 彼女の目はトロンとして焦点が定まらず、口端から唾液が垂れている。


 そんな彼女にトドメを刺すべく坂居は体位を変えた。仰向けにすると、両足を大きく開かせ、上から抱きつぶすようにピストンする。いわゆる種付けプレスで子宮口に叩きつけるように亀頭をめり込ませた。


「んんんん゛~~~っ! はっ、は、はげしいぃぃぃっ! あっ、あ、あ、ああっ、あああぁあっ!」


 アルクェイドは悲鳴を上げるが、坂居はそれを許さないとばかりに唇を塞ぐ。


 舌を差し入れ、口腔内を蹂躙する。その間にも激しい抽送は続く。彼女の膣内で陰茎が大きく膨らんでいくのを感じた。限界が近いのだ。


「大丈夫だから。他のことは忘れて一緒に楽しもう」


 彼の優しい声がアルクェイドを悪い道に唆す。抗い難い欲求が込み上げてくるのを感じた。


 私は彼が欲しい。その瞬間、アルクェイドは己が何を欲しているか、はっきり自覚した。


「分かった」と喘ぎつつ言うと、彼女は自分の核が欲望の波に呑み込まれていくのを感じた。「私もあなたが欲しい」


 その言葉を聞くと坂居は再びアルクェイドの口を塞いだ。今度は貪るようなものではなく、お互いの愛を確かめ合う優しいキスだ。彼は恋人になったばかりの少女を気遣いながらも情熱的に舌を絡めた。


「このまま君のナカに種を植え付けて孕ませたい」


 耳元で囁かれた熱い吐息混じりの言葉。それを聞いた途端、全身の血流が激しくなる感覚に襲われた。心臓から送り出された血液は身体中を巡り、やがて下腹部へと集中していく。子宮がきゅっと収縮するのが感じられた。


 吸血鬼のアルクェイドは人間の精液では妊娠しない。だから、これまでも膣内射精を拒否せず、毎回生ハメセックスしてきたのだ。しかし、それが分かっていてなお、アルクェイドは「私もあなたの精子で妊娠したい!」と答えていた。


 自分たちの種族が違うことも忘れるくらい、彼女は盛り上がっていた。


「あひっ♡ おくっ♡ しきゅうがっ……きひゃうッ♡♡ おっ♡ おっ♡」


「俺の子を産んでくれよ。アルクェイド!」


「うんっ、うんっ、はらむっ、はらませてぇっ!」


「くぅっ、出るぞ!」


「きてっ、いっぱいだしてっ、あぁぁぁぁイク、イックゥウウッ!」


 子宮の奥まで届くほど深く挿入した肉棒から大量の精が放たれた。その熱さにアルクェイドは身を震わせ絶頂を迎える。


 膣内に注がれる粘っこい液体の感触に彼女は幸福を感じていた。


 坂居の体の下でアルクェイドは余韻に浸り、荒くなった呼吸を整えていた。


「……はぁ……ふぅ……すごかったぁ……」


 放心状態のまま呟く彼女を尻目に、坂居はゆっくりと腰を引いた。ずるりと引き抜かれた陰茎の先には白濁した粘液が大量に付着していた。


「孕んでるといいな」


 祈りを込めるように坂居はアルクェイドの子宮がある辺りを撫でた。その静謐な行為でさえも彼女の肉体は快楽を感じ、早くも次の行為を待ち望むようになっていた。


真夏の海で美女を嵌めてハメちゃうマジックミラー号




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