美しく聡明な客室乗務員が支配される悦びを植え付けられる記録(メイス・フラゥワー) (Pixiv Fanbox)
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人間は平等ではない。
そんな面白みの欠片もないクリシェを実感する時間がメイス・フラゥワーにはある。ハウンゼンの客室乗務員として、上流階級を気取った男たちにサービスしている時だ。
ハウンゼンは月と地球を往復するシャトル。この往復便に搭乗できる人間は限られている。金かコネ。最低でもどちらかを有している必要がある。
つまりハウンゼンの乗客は全員がハイソサエティな人間なのだが、日常的に彼らと顔を合わせているメイスは、品性は金では変えないという言葉を嫌でも実感する。
我が物顔で振る舞う横暴な客の対応に追われるだけならまだ良いほう。恋人や夫婦連れで登場する人間の側によると、男のほうがメイスに目を奪われるか誘惑してくる。それを察した隣の女は自分のパートナーではなく、メイスのほうに色目を使うなという非難がましい視線を向けてくるのだ。
あなたのパートナーを誰も取りませんよ、人のものを横取りするほど餓えてはいませんからね、とメイスは女の嫉妬を気づかないふりでやり過ごす。こんなことで腹を立てていてはハウンゼンの客室乗務員など務まらない。
なにせメイスはとびっきりの美人だ。体つきや醸し出す雰囲気は成熟した大人の女性だし、片目を隠すように垂れ下がったブロンドは如何にも旧時代の映画スターにいそうな金髪美人。口元のほくろは彼女のそこにキスしたいと男に思わせる蠱惑的なチャームポイント。
自分の体をどう見せれば、使えば男が悦ぶか知っている彼女の立ち居振る舞いはすれ違うオスに邪な気分を抱かせる。特に腰から尻、太もも、ふくらはぎのラインが絶品。彼女の後ろ姿だけで堪え性のない男は下半身に血が滾って仕方ない。
黒いストッキングに包まれた長くしなやかな脚を見ながら、男たちはこう考えてしまうわけだ。あの尻を見ながらバックで深いところを突いて鳴かせるのはグッドアイデアだが、正常位で挿入して気持ちよくなった彼女のほうから俺の腰に脚を絡ませてくるようになれば言うことなし。
メイスのような経験豊富そうで比較対象もそれなりに持っているだろう成熟した女性とワンナイトを過ごし、彼女の口から「こんなにすごいの初めて」「あなたが一番よ」「どれだけ私を気持ちよくしてしまうの」と言わせたい。そんな思春期のころに抱いた妄想を四十になっても五十になっても、あるいはそれ以上の年齢になっても持ち続けるしょうがない生き物を男性と呼ぶ。
自分が男の子供じみた性欲の対象にされていることを自覚したとしても、宇宙空間にいる限りメイスに逃げ場はない。彼女にできることは、愛想笑いを浮かべながらも断固たる姿勢で男どもの誘いを躱し、シャトルが無事に目的地へたどり着くまで時間を稼ぐことだけ。
しかし、そんな方法が通じない相手や状況もある。たとえば今。
今日のシャトルは地球連邦のエグゼクティブという男性の貸し切りだった。先日のハイジャック事件により、やはり重要人物が一箇所に集まり移動するのは危険と警護の観点から見直された。その結果、少人数に分かれて移動するようスケジュールの見直しが発生した。もしくは、本当に金とコネの両面に恵まれている人物なら、ハウンゼンを貸し切るという豪気な方法で問題解決を図る。
今、メイスの目の前にいる男は、その類の人物だった。
年齢は四十代。世間的には中年と呼ばれる年頃だが、七十になっても八十になっても権力の座に居座り続ける人間が幅を利かす世界では、彼でもまだ若手と中堅の狭間といったところ。
彼はトラビス・ペイジという名前で、如何にも自分は競争を勝ち抜き権力の座に就いた優秀な人物だという強烈な自負心や、傲慢さが溢れ出しているタイプの男だった。
とある哲学者が言うところによれば、能力主義の弊害は競争が公平性を欠くものだったことより、多くの人が競争は公平に成されていると信じていることによって起きる。能力主義者は他人の成功や失敗を全て、その人物の能力に帰結させる。人間個人の価値と彼の社会的地位には相関があると考えるのだ。
往々にして能力主義者は運を成功の要素に認めないか軽視する。彼らは成功者の経歴を見て、たまたま破れかぶれの博打が成功しただけとは思わない。そんな難しい判断を下せるなんて先見の明があった凄い人だと感動する。能力主義者が重視するのは現時点で成功しているかどうかだ。彼らは成功したという結果から『~であれば、あの人には能力があるに違いない』と推論するだけである。その人に本当に能力があるのかの証明は必要としない。
逆に能力はあるが何らかの事故によって発揮できず不遇な立場に置かれている人もいるだろう。彼らに対して能力主義者は冷淡だ。社会的に成功してない=何者でもない=じゃあこいつには価値がない、というのが能力主義者の一般的な考え方である。彼らがどこを見て人を判断しているか。相手の所得と資産額だ。
こうした能力主義の害は、多くの人が自分たちは不確定要素の影響が強いランダムな競争を強いられていると感じている時より、この世は正しく回っていて能力主義に間違いはなく競争は平等に成されていると信じている時のほうが強く出る。
つまり、その競争で勝った人間は、自分は公平な競争の勝者なのだから価値がある人間だ、幾ら敗者を傷つけるような言動をしても良いし、弱者が何か言ってきても負け犬の遠吠えなど相手しなくて良いと考え傲慢に振る舞うようになる。他者の窮状や境遇に対して冷淡になれるのだ。
そして、人生で大きな成功を掴み取れなかった側の人物も、自分の所得が低いのは私が無価値な人間だからだ、平等な競争で勝てなかった私に何かを求める権利はないと考えるようになる。
高級シャトルの客室乗務員は見た目の美しさだけでは務まらない。博識なメイスは件の哲学者の言葉を知っていたし、それはトラビスに当てはまると頭の中で両者を結びつけていた。
月のターミナルを出発してから、トラビスは頻繁にメイスを名指しで呼んだ。サービスする相手が一人しか乗っていないシャトルは、最低限の人員で航行しているため、普段よりも乗務員と客が互いの存在を個人として強く認識しやすい。
「少しお酒に付き合ってくれないか」と何度目か分からない呼び出しでトラビスは言った。
「就業中ですので」
「そうは言うけどハウンゼンを降りたら会ってくれないだろ」
メイスは確信を持ってイエスと答えられたが言葉は飲み込む。代わりに彼女は、トラビスを正面から見て、目元に笑みを浮かべながら言った。
「私、あまりお酒には強くないので、酔ってしまったらトラビス様に粗相をするかもしれませんよ」
メイスの言葉に、トラビスは脂下がった表情を作る。美男子と呼んで差し支えない男だが、やはり欲が前面に出てくる瞬間は他の男と変わらない。だらしない本性が表情に表れる。
「見たいな。君のような美人が男相手にどんな粗相をしてくれるのか」
「分かりました。では、一杯だけ」
メイスは特権意識に凝り固まった男たちとハウンゼンで多数顔を合わせてきた。目の前の男は話して通じる相手じゃないという感触を彼女が得るには充分な会話だった。通常の運行であれば以後の対応を他の客室乗務員にパスできるが、今日は地球までトラビスの相手をし続けなければならない。この調子で呼び出されては敵わないと彼女は妥協した。
メイスが答えると、トラビスは満足げに笑う。そして彼は君の分のグラスも持ってくるようにと言った。
メイスはハウンゼン内のバースペースへ行く。バーテンダーに事情を説明すると彼は渋面を作りながら彼女用のグラスも用意してくれた。
「あの人は自分を何様だと思ってるんでしょうね。あの人に限ったことではなく、ハウンゼンに乗る人間はだいたい皆そうですけど」
このバーテンダーは明け透けな会話を好む。客がいないところではよく愚痴をこぼしていた。
「ごめんなさい。私のせいで迷惑をかけて」
「あなたのせいじゃありませんよ。あんな奴らに愛想笑いを振りまいて疲れないんですか?」
「慣れてるから」
「嫌味ですね」
「いいえ。事実を述べただけ。そうやって楽しませるのも私の仕事のうちだから」
そう言って微笑むと、バーテンダーは呆れた様子だった。
「そんな仕事ならやめてしまえば良いのに。こんなことを言えば怒られるかもしれないが、そういう生き方って疲れませんか?」
若く直情傾向のあるバーテンダーは悪い人間ではない。ただ独善的過ぎるし遠慮を知らない。明らかに彼の物言いは相手の個人的な事情に踏み込みすぎていた。しかし、メイスは気にせず首を横に振って答えた。
「そんなことないわ。私にとってはこれが天職だし、今の自分に誇りを持っているもの。それを否定することは誰にもできないはずよ」
メイスの返答にバーテンダーは感心したような表情になる。
「あなたみたいに自信を持った人を見るとなんだか勇気づけられる。俺も頑張ろうって思えます」
「そう言っていただけると嬉しいわ。でも、あなただって立派な人よ。こうしてハウンゼンのバーテンを務めているのは並大抵の努力で出来ることじゃないと思うから」
「俺なんかまだまだですよ。いつか宇宙で一番のバーテンダーになってみせますから」
若さ故の根拠のない発言。それでもメイスにとって、その無邪気さはとても眩しいものに感じられた。思わず目を細める彼女にバーテンダーは少し照れたような表情を浮かべる。
メイスは頷きつつ、バーテンダーに向かって小さく手を振る。そしてそのまま踵を返してバースペースを出て客室へ続く通路へ向かった。
「お待たせしました」
「君と時間を過ごせるなら幾らだって待つよ……と言いたいところだが、もう地球の重力圏に入っている。到着まで一時間ちょっとと言ったところだろう。時間がない。早く掛けてくれ」
トラビスはそう言って自分の隣の椅子を指し示した。メイスは素直に従う。
「注いであげよう」
「いえ。お客様にそのようなことは」
「遠慮しないで。さあ、どうぞ」
トラビスはそう言ってワインボトルを掲げる。メイスが戸惑っていると、彼は勝手に彼女のグラスへ赤い液体を注ぎ始めた。注がれた量はそれほど多くなかったが、芳醇な香りが漂ってくる。
その香りだけで高価なものだと分かる代物だ。
「君と一緒に飲めるなんて光栄だな」
言いながら彼はグラスを高々と掲げる。乾杯ということらしい。メイスは軽く頭を下げ、自分もグラスを掲げた。
一口飲んでみると、口当たりが良く飲みやすい味が舌の上に広がる。美味しいわねと言うとトラビスは嬉しそうに頷いた。
「そうだろう? 私も好きなんだこの銘柄が」
どうやらこの男は機嫌が良いようだった。メイスのような美女と相席できているのだ。酒で気が緩んだ隙を狙ってこの後の予定もと想像すれば気分だって良くなるだろう。彼女のほうにはトラビスの誘いに応じる気など少しもなかったが。
上機嫌のまま、彼は口を開く。
「君は本当に美しいね……今まで出会った女性の中でも間違いなく一番だ」
突然始まった歯の浮くような賛辞に、メイスは慣れた微笑を一つ返した。彼が本当にそう思っているかなんて分からない。女を口説くときとセックス中の男のセリフほど信用できない言葉がこの世にあるだろうか。だが問題ない。メイスはトラビスの一番じゃなかろうが気にしないし、なりたいとも思わないからだ。
当たり障りのない笑顔に彼は何を見たのだろう。トラビスの顔はさらに明るくなる。
「本当にそう思うんだよ」
「ありがとうございます」
「いや、本当だよ! ああ、もっと君を褒めたいな……」
興奮した口調で言いながら、トラビスはグラスのワインを飲み干す。
「そう言えば君の名前を訊いてなかったな」
「メイスと申します」
「ファミリーネームは?」
「フラゥワーです」
「フラワー?」
「よく間違えられます」と言ってメイスはグラスに口をつける。一杯だけの約束なので早いところ飲み干してしまえば良いのだが、あなたとの時間を急いで打ち切りましたと露骨な態度に出すのは気が引けた。
「花のように美しい君ならフラワーでも間違いとは言えないと思うがね」
「花の命は短いとも言いますわ」
「だからこそ満開の時期を心残りなく楽しむべきだとは思わないかな」
トラビスはメイスを見つめながら言う。その視線は熱い。まるで視線自体が熱を持っているようだ。
「君を見ていると胸がドキドキしてくるよ」
これは彼の本心なのだろうか。それとも女をベッドに誘うための駆け引き?
「まあ、ご冗談を」
いつもどおり軽くいなしたが、彼女は自分の鼓動が速くなっているのを感じた。ドックン、ドックンと胸の鼓動が伝わってくる。アドレナリンが噴出する。物凄い勢いで血流が増えている気がした。
「本当なんだよ。君みたいな人を目の前にして何も感じない男はいない。なあ、どうだろう。このまま私としばらく一緒に過ごすというのは。仕事だからってトンボ返りという訳ではないのだろう」
そう言いながらトラビスはメイスの肩に手を回してきた。メイスは、少し困ったような表情を作り、やんわりとトラビスの手を退ける。すると彼は、今度は手を腰へと伸ばしてきた。腰のラインを確かめるように撫でてくる。その手つきには性的なニュアンスが含まれていた。
(ああ、駄目)
彼に触れられると感じてしまう自分がいた。下半身からじんわりと熱が広がっていく。子宮のあたりがキュンと疼くような感覚がある。体が反応していた。今すぐこの男とセックスしたいと疼いている。
駄目だと分かっているのに興奮してしまう自分を止めることができない。頭では拒絶しなければならないと思っているのに体が言うことを聞かない。
明らかにメイスの肉体は通常の状態ではなかった。
「ん……っ」
吐息とともに声が漏れる。それが合図だったかのようにトラビスの手が動いた。制服の上から胸を揉まれた。ブラ越しに伝わる感触を楽しむようにして揉む手付きは欲望に満ちていた。乳首に触れないように注意しながら円を描く指先。その指先が先端に触れるたび、乳輪で生まれた快感が脳髄にまで走る。
「あッ……」
反射的に声が出てしまった。慌てて口を噤んだがもう遅い。トラビスの視線が一瞬鋭くなったような気がした。彼の瞳に獣じみた光が宿っているのを見て取る。獲物を狙う肉食獣の目だ。
「どうしたんだい?」
白々しいことを言う男に対して、彼女は首を横に振ることしかできない。彼女は男ならむしゃぶりつきたくなるような瑞々しい唇を真一文字に引き結ぶ。これ以上は彼の卑猥な行為で悦びを示したくなかった。だというのに彼女の口は訴えるために歌い続けた。
「い、いえっ! いえ、何でもないです……んっ! んっ! あっ!」
「可愛い声じゃないか」
トラビスの愛撫は終わらない。今度はゆっくりと揉み解すような動きに変わる。五指全てを使ってじっくりと丁寧に胸全体を撫でられる。体の奥の方からじわりとした感覚が沸き上がってくるのが分かった。甘い痺れにも似た感覚はやがて全身に広がっていき、皮膚の表面を覆う神経が敏感になっていくのが分かる。
直接肌に触れたくて仕方がない。もっと強い刺激が欲しいと思ってしまう。それを自覚してしまったら我慢できなくなる。無意識のうちに腰をくねらせていた。
「んっ……はぁ……あん……や、やめ……はぁ、んっ……!」
彼の左手がメイスの腰を抱き寄せながらヒップに掛けてのラインを撫で回す。反対側の手は胸を揉みつつ胸元のボタンを緩め始めていた。前を開いた制服の間から下着に包まれたバストトップが覗く。フロントホックタイプのブラジャーだ。
「君は着痩せするたちらしいな。期待以上のボリュームだ」
トラビスの声は弾んでいた。美尻なのは分かっていたが、脱がせてみれば目測以上の巨乳。全身で愉しめそうだと悦んでいるのだろう。
彼の手がスカートの内側に入り込んでくる。太腿を這う掌の感触。ストッキング越しだからまだ耐えられるが、直接触られたらあっという間に陥落してしまいそうだった。
そんなメイスの気持ちを見透かすように、トラビスはさらに大胆になる。ショーツの上から秘所をなぞり始めたのだ。割れ目に沿って上下に動く太い指。布を隔てているとは言え敏感な部分へのダイレクトアタックは強烈過ぎた。
「んんっ! ああぁッ!」
思わず嬌声を上げてしまう。メイスが弾かれたように首をガクンと後ろへ傾けると、豊かな金髪が揺れた。
「ダメです、ダメ。そんなとこっ、ろぉ」
彼女は両手でトラビスの手の動きを止めようとする。だが彼の力は強い。メイスが全力で押し返しても彼は悠然と指を動かし続ける。女の必死の抵抗を嘲笑うように、触れるか触れないかの絶妙なタッチでおまんこくすぐりを愉しんでいた。
「何がダメなものか」
トラビスはそう言ってクリトリスをタップした。電流のような鋭い快感が背筋を駆け抜ける。電撃のような衝撃に彼女の体はビクンッと跳ね上がった。絶頂に達したわけではないだろうが軽くイッているかもしれない。その証拠に膣口がパクリと開き愛液が溢れ出る。粘度のある透明な液体が流れ落ちる。
(こ、こんな簡単にイカされるなんて……!)
信じられない思いでメイスは愕然とした。自分で慰めるときとは比べものにならないほどの快感に頭が真っ白になってしまう。全身の細胞が活性化している気がする。ますます心臓が激しく脈打ち体温が上がるのを感じた。
しかもそれだけではない。下腹部の辺りから何かが這い上がってくるような感覚があった。それは徐々に強くなり、彼女の意識を侵食していく。
(なにこれ……なんなの?)
困惑していると不意にトラビスが口を開いた。
「どうやら効いてきたようだな」
「え……?」
彼の言葉を理解する前に次の一手が飛んでくる。彼はグラスに残ったワインを口に含むとそのままメイスへキスしてきたのだ。いきなりのことだったので避けることもできなかった。唇の隙間から生温くなったアルコールが流れ込んできて口内を満たしていく。
「んくっ? んんーっ!」
彼女は必死に逃れようとしたが、先ほどまで腰を抱き寄せていたトラビスの手が、今は彼女の後頭部を押さえていた。男の力で無理やり唇を押しつけられ逃げることができない。それどころか舌まで絡め取られてしまう。唾液混じりの赤い液体が二人の口の間で何度も掻き混ぜられた。そして最後に舌が引き抜かれて唇が離れる。
「ふぅ……」
一息ついたところで再びワインを流し込まれた。ゴクリ、と音を立てて嚥下させられる。口の端から溢れたワインが首筋を伝って胸元まで流れていくのが分かった。
「何を飲ませたんですか?」
睨むような目つきで尋ねる彼女にトラビスは笑うばかりである。
「だいたいの予想はついているんじゃないかな」
そう言ってトラビスは背広のポケットから一本の小瓶を取り出した。ラベルには『D10』と記されている。
「この薬はいわゆるセックスドラッグさ」
事も無げに言う男にメイスは唖然とするしかなかった。こんなものを飲まされてはたまらないという気持ちと同時に、こんなものを飲まされたのだから我慢できなくても仕方ない、思う存分セックスできるという喜びが同時に湧き上がってくるのだから始末が悪い。彼女は自分が酷く淫乱になってしまったような気がしてならなかった。彼女とて普段なら絶対こんな風に欲情したりしない。だが、今の彼女は違った。
「欲しいかい?」
「そ、そんなもの、欲しくありません」
「嘘はいけないよ。本当は欲しくて堪らないんだろう? 正直に言いなさい」
「う、うう……」
「言ってごらん? 素直になって楽になろうじゃないか」
耳元で囁かれる言葉に抗えない自分をメイスは感じていた。理性とは裏腹に肉体は更なる快感を求めている。子宮の奥が疼いて堪らなかった。早くアソコを掻き回して欲しいと訴えてくるようだ。
(だめ……このままじゃ本当におかしくなる)
それでも彼女は頑なに首を横に振る。そんな彼女を見てトラビスは小さく溜め息を吐いた。
「ここまでして説得してもダメか。それなら君が自分でしている姿を見せてくれ」
「……え?」
「自慰をして見せろと言っているんだ」
トラビスの言葉にメイスは耳を疑った。彼はハウンゼン機内で自慰をしろと強要しているのだ。幾らなんでもそこまで無礼で不躾で恥知らずな命令をされるとは思っていなかった。人前でオナニーするなんて有り得ないことだ。それも自分から進んでするなど考えられない。そんなことしたくない。そう思う反面、彼女の聡明な頭は今すぐ処理しなければこのムラムラは収まらないこと、彼の手で触れられたくないのなら自分でするしかないことを理解してしまう。
体が熱い。子宮が疼く。あそこが切なくて仕方がない。もう我慢できないくらいになっていた。このまま放っておいたら気が狂ってしまうだろう。そうなるくらいならいっその事――。
彼女は自分の胸元に手を伸ばした。制服の上から乳房に触れる。手のひら全体で包み込むようにして揉みほぐすだけで気持ちが良かった。乳首を重点的に転がすとピリッとした刺激が走る。その感覚を求めて何度も繰り返していると次第に硬く尖ってきた。コリコリになった乳首を弄くり回すとジンとした甘い痺れが伝わってくる。
(ああっ! 気持ちいいっ!)
彼女は夢中で胸を揉み続けた。その姿を見た男は満足げに頷いている。
「さあ、もっとだ」
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そう言われてしまえば従うしかない。彼女はブラジャーを外し、ブラウスの前を開けた。赤いレースのブラジャーの下から豊満な胸が姿を現す。白い肌の上にピンク色の乳首がピンと勃ち上がっていた。それを見たトラビスはニヤリと笑い、メイスのスカートの中に手を入れる。
「あぁ! ダメッ、自分でしろとおっしゃったじゃないですか」
「脱がせてあげるだけだ。このままだと濡れて気持ち悪いだろう?」
彼の手がメイスの下着をストッキングごと下ろす。彼女は軽く腰を浮かせ彼の手をサポートした。
ショーツを脱ぐと自分が如何に秘所を濡らしていたか分かる。クロッチ部分には恥ずかしい染みが出来て糸を引いていた。愛液は太ももまで伝い落ちている。まるで粗相でもしたかのような有様だ。
「これは凄いな」
トラビスは感心したように言う。メイスの顔が羞恥で赤く染まった。
「見ないで、ください」
「そう恥ずかしがることはない。君の体は素晴らしい」
「ああ、んっ」
彼の指がクリトリスに触れた。親指と中指で挟まれるようにして擦られる。
「この気持ちいいお豆さんも使って自慰するんだ。どういう風に触られると感じるか実演しなさい」
「あ、あんっ! ああぁんッ!」
彼女の口から艶めかしい声が上がる。両手を使って一心不乱に股間を弄り回す姿は娼婦のようだ。普段の理知的なメイスを知っている者ほど、今の彼女は信じられないだろう。左手で包皮をめくり、右手で勃起したクリトリスを捏ね回す。もっぱら自慰をするときはクリオナ派だった。膣奥は自分で触れても男性にしてもらうときに比べ物足りない。満たされない欲求を再確認してしまう。だからといって道具に頼るのも妙な虚しさを覚えた。
そんな姿をトラビスは黙って見つめていた。時折、グラスを傾けつつ、淫らなショーを楽しんでいるように見える。その視線を感じて余計に興奮したメイスは、さらに激しく指を動かすのだった。
「はぁっ、ン! はっ、はっ、はっ……! ンっ! クアン! ひ、あ……んあぁ!」
鼻に掛かった声を出しながらメイスは腰を前に突きだす。まるで男の挿入をねだるように腰を浮かせ、自らクリトリスを指に押しつけた。興奮で勃起し、凝り立った肉芽を指先で弾くたびに快感が全身を駆け巡る。その度にビクビクッと体を震わせながら悶える様は淫靡としか言いようがなかった。
(あぁ……すごい……こんなに感じたことないわ)
いったいどれだけ強力な媚薬を私に盛ったの、とメイスはトラビスを睨もうとした。その動きの最中に気づいてしまった。自分たちの右斜め前方からこちらを見ている人影があることに。
彼と目が合う。それは先ほど言葉を交わしたバーテンの青年だった。彼は驚愕した顔でこちらを見ていた。心配して様子を窺いに来てくれたのかもしれない。だけど最初の心がけがどうあれ、今の彼は年上美女のオナニーを覗き見する出歯亀だった。
「隠すことないじゃないか。もっと君の綺麗なところを見せてあげれば良い」
トラビスもバーテンの存在に気がついたようだ。閉じかけたメイスの右脚を持ち、座席の手すりに乗せた。大きく開脚させられて大事な部分が丸見えになる。愛液まみれの性器がトラビスだけでなく、同僚の青年にまでさらされてしまった。
羞恥心と情けなさが襲ってくる。だがそんな気持ちとは裏腹におまんこはますます潤みを増していくのが分かる。知り合いに見られている事実が彼女の劣情に火をつける。愛液は太ももや座席だけでなく床まで汚していた。
「どうした? もうイキそうなのか? 随分と早いじゃないか」
嘲るようなトラビスの声に、メイスは必死になって首を横に振る。違うのだと言いたかったが言葉が出てこなかった。
その代わりに口から出るのは喘ぎ声ばかりだ。絶頂が近いことは自分でも分かっていた。あと一押ししたらイッてしまうだろう。
「そんなに腰を振って、よほど良いんだな」
彼の言葉どおり、メイスはカクカクと小刻みに腰を前後させている。少しでも快感を得ようという浅ましい動きだ。そればかりか空いた手で乳房を揉み始めた。柔らかな膨らみに指を埋め、ぐにゃりと形を変えさせる。充血して敏感になった乳首を摘み上げれば、鋭い愉悦が彼女の体を貫いた。
「ふあっ! ああぁっ! イクっ! イっちゃうっ!」
乳首を磨り潰す刺激が待望の一押しとなった。ビクンッと全身が痙攣し背中が大きく仰け反る。秘所から吹き出した潮が座席を濡らした。恥知らずにもメイスはトラビスと青年が見ている前でオナニー絶頂したのだ。
(私……人前でこんな……)
あまりの恥ずかしさに涙がこぼれそうになる。だが同時に言いようのない開放感があった。ずっと抑圧されていたものが解き放たれたような爽快な気分だ。
(どうしよう……凄く気持ちいい……)
頭がボーっとする中、ぼんやりと考える。すると不意にトラビスの手が伸びてきた。彼はメイスの顎をクイッと持ち上げると唇を重ねてくる。
こんな状況では抵抗があるのが普通だろう。だが、今のメイスはされるがままになっていた。むしろ自分から積極的に舌を絡ませていく。彼の首に腕を回し抱きついた。
「そろそろ私も楽しませてもらおうか」
そう言って彼はズボンの前を寛げる。むわりとオスの精臭が隣席のメイスのところまで臭ってきた。美女の自慰行為を至近距離で見物しながら先走りで竿を濡らしていたらしい。彼の興奮がダイレクトに伝わってくるとメイスの体もエキサイトする。自慰では不可能だった場所まで触れて欲しくてイッたばかりの蜜壺が切なく戦慄いた。
あれが自分の中に入ると思うと期待せずにはいられない。思わずゴクリと唾を飲み込んだ。
トラビスは自分の肉棒を握り、見せつけるように手で扱いた。カリ高の大きな亀頭の先端からは透明な液体が滲み出ている。血管が浮き出た赤黒い陰茎はまさに凶器と呼ぶに相応しい威容を誇っていた。
(大きいわ)
これが自分の中に入ってくるのだと考えるだけでメイスは、躾がなってない犬のようにご馳走を求めて動き出してしまう。彼の前に跪くと先ほどトラビスが彼女にしてくれたことを返すように、彼の下着をズボンごと足首まで引き下ろした。
トラビスの巨根がメイスの視界を占有する。目の前で湯気を立てるホカホカの肉棒を前に彼女は制御を失う。舌を突き出し根本から、ねろ~んと舐め上げた。途端に口の中に広がる雄の味。
(美味しい)
そんなところを舐めて美味しいはずがない、というのは常識的な判断だ。しかし媚薬で嬌声発情状態にある今のメイスは、男の排泄器官を舐めた瞬間、脳内でシナプスがバチバチ弾ける感覚を味わった。
我慢できずに先端を口に含んだ。唾液を絡めるようにしてしゃぶる。舌の上で転がすように愛撫したかと思えば、今度は喉奥まで飲み込むようにしてピストン運動を繰り返す。じゅぼっ、ずぷっ、ぶちゅっという卑猥な音が車内に響いた。その音を聞きながらトラビスもまた興奮していくのが分かった。
彼が呻きながら腰を突き出してきた。口内のモノはさらに硬度を増していく。大きさも倍以上に膨らんだ。メイスはトラビスのペニスに喉の奥を突き上げられる苦しささえ心地よかった。口の中いっぱいに膨らんだソレはとても入りきらないので、根元の余った部分は右手で扱く。
唇は窄めて強く吸い付き、舌で裏筋を刺激することも忘れない。
「ぐっ! お、おぉ……」
頭上から苦しそうな声が聞こえたかと思うと口の中に熱い飛沫がぶちまけられた。どぴゅっと勢いよく出されたザーメンを彼女は一滴残らず飲み干した。粘り気のある苦い味が広がる。だけど嫌な感じはしない。彼の精液を気持ち良く搾り出して差し上げられたかと思うと、精液を収納したばかりの胃がカッと熱を持つ気がした。
飲みきれなかった分が口の端を伝って顎まで垂れてくる。粘つく白濁液を指で掬い取るとメイスは口に咥えた。
ちゅぱちゅぱと音を立てて吸うと、青臭い匂いが鼻を通り抜ける。それがまたたまらない。
「上手だな。どこで覚えた?」
「私も年齢なりに経験はございますので」
かしこまった言い方で答えると男は気に入ったと言って笑った。そして脚を大きく開く。そこへ座れと促しているのだ。
「後ろ向きでだ。あの坊やにイキ顔のサービスをくれてやろう」
まさか恥ずかしいから嫌だとは言わないよな、とトラビスは質問の形を摸した脅迫を仕掛けてくる。ゴチャゴチャ面倒を掛けるなら挿入してやらないと言いたいのだ。もちろん彼とてここまでしておいて終わりは本意じゃないだろう。メイスが拒否しても何だかんだと理由をつけて挿入はしてくれるはずだ。
――挿入してもらいたい、彼が私の穴を逞しい肉茎で埋めてくれると期待している時点でメイスの答えは決まっていたし、そんなことトラビスにもお見通しだった。だからこの一連のやり取りは、賢ぶった美女に自分から「私にチンポぶち込んで気が遠くなるまでファックしてください」と下品なおねだりをさせるための、形式張ったプロトコルでしかない。
そんな見え透いた意図には気づかないふりをして、メイスはスカートをたくし上げるとトラビスに背を向ける形で彼に跨った。左手で座席に手をついて、大きく脚を開く。愛液まみれの秘所がさらされる。ひくひくと蠢く花弁は早く欲しいとばかりに涎を垂らしていた。右手は自身の陰唇を、くぱぁと広げている。
その状態でトラビスに向かってお尻を突き出せば、ちょうど彼が挿入するのに具合の良い角度になった。尻を振って挿入の角度を合わせる。びしょ濡れの膣口は最初の一歩さえエスコートしてやれば、あとは腰を下ろすだけで勝手に肉棒を飲み込んだ。
「はぅぅ、んんんっ♡ んんっ♡ くぁぁっ、ふぁっ♡」
ズブズブと生温かい水たまりを掻き分けトラビスの亀頭が奥へ進んでくるのが分かる。待ち焦がれた男根の感触に膣内が悦び打ち震えるのが分かる。媚肉が一斉に絡みついてきて肉棒を奥へと誘っていく。圧倒的な質量に貫かれ軽く達してしまう。そうすると四肢から力が抜け、メイスの体は地球の重力によって下へ引っ張られる。ストンと落ちた腰が彼の巨大なものを根本まで飲み込んだ。
「ひゃうぅぅっ! あっ、あっ、あぐぅぅぅっ♡ くぅぅぅ、はぁぁぁぁっ♡」
彼女の口から甘ったるい悲鳴が漏れた。最奥に到達した剛直の先端が子宮口を押し上げたのだ。脳髄を痺れるような快感が走った。今まで感じたことのない感覚にメイスは混乱しそうになる。
(すごい……こんな太いのが入ってるのね)
下腹部に力を入れれば形がありありと分かるような気がした。まるでパズルのピースのようにピタリとハマっているのが実感できる。隙間など一切ない。完全に一体化していた。脈動するペニスはそれ自体が呼吸しているかのようだった。
「はぁっ♡ ああぁぁ……すご……おっきいわ……」
自分の胎内にあるものの正体を意識した瞬間、ぞくぞくっとした感覚が背中を駆け抜けた。思わず声が出てしまったことに自分でも驚いてしまう。そんな初々しい反応を見せた美女に対して、背後の男が意地の悪い笑みを浮かべた。
「どうだい? なかなか良いものだろう」
「んっ……ええ、とっても気持ち良いわ」
「もっと良くしてやろうか?」
そう言って、男が腰を前後に揺らし始めた。メイスを自分のペニスに座らせたまま、背面座位でグラインドさせる。膣内ではGスポットへの加圧と解放が繰り返される。センシティブな場所に太く硬いチンポを押しつけられ、擦られる刺激で早くも身体から力が抜けていく。男の手は乳房に伸びていた。双丘を捏ねる手に抱き寄せられる。彼の胸に背中から倒れ込めば、今度は首筋を舐め上げられ、耳たぶを食まれた。
「ふぅううっ……あああっ!」
また声を出してしまう。男は彼女の反応を見て笑い声を上げる。耳の中に舌を差し込まれながら囁かれた。
「気持ち良いかい?」
彼女は答えられなかった。気持ち良すぎてまともに考えることができないのだ。全身が熱くて汗だくになっていた。頭の中が真っ白になってしまっている。何も考えられない。身体の奥から湧き出てくる快感だけが意識を支配してしまっていて、思考力が奪われてしまっている。
もう我慢できない。身体が震えてきた。こんな状態のままでは頭がおかしくなってしまうかもしれないと思った。男の手が乳房から離れ、お腹に触れてくる。子宮のあたりを優しく撫でられて彼女は身悶えた。
「もう私のサイズには慣れたね。そろそろ本腰を入れようと思うんだが」
乱暴に膣奥を突き崩してもらいたいのはメイスも同じ気持ちだった。
「思いっきり突き上げてください。お願いします。早くイカせてください。私をめちゃくちゃにしてぇ♡」
その願いはすぐに叶えられた。彼の手が力任せにメイスの体を引き寄せる。ごちゅっと一度、子宮手前のお腹側にあるポイントを押し潰される。硬く力強い勃起に一突きされ「へぐっ!」とメイスは呻いた。
それから彼の腰が容赦なく動いた。パンパンパンと打擲音がビートを刻む。ピストン運動に合わせて豊かなバストがたぷたぷと揺れた。メイスも自分から彼に合わせて動く。
「はぁはぁっ! い、いぃっ、イイッ! 気持ちいいっ♡ んんっ、くぅぅっ! あんっ、あっ、はぁぁっ♡」
声が我慢できなかった。理性が吹き飛んでしまった。肉欲に支配され、獣のような喘ぎ声を漏らし続けるメイス。結合部から溢れ出た愛液がトラビスの太股を濡らしていく。彼女は何度も何度もイカされた。何度イったか分からない。媚薬の効果もあり、メイスの肉体は性感帯を弄ばれるたびにオーガズムを連続して味わった。
(あぁぁ……すごい。すごい。このクスリ使いながらのセックス強すぎるわぁ♡♡)
メイスは男と肌を触れ合わせるのが心地よかった。背面座位でイカされたあとは体の向きを変え体面で繋がった。ハウンゼンの座席は広い。トラビスの太ももを跨いだメイスが座面に膝をつき、自分の体を支える余地があった。
メイスは膝立ちで彼に抱きつき自ら腰を振った。とにかく気持ちいいところに彼の極太チンポをぶち当てたかった。それ以外のことは二の次三の次だった。
「はぁはぁ、くぅうっ♡ あぁぁっ! あぁぁっ♡ ひぁぁぁっ、イクッ! んひぃいいっ! イキます、またイキまひゅぅっ♡♡」
対面騎乗位の状態でイキ狂うメイスの耳にトラビスの声が届いた。
「あの坊やが見ているぞ」
誰のことだったか咄嗟に思い出せなかった。そんな男の子がいたなと振り返る。彼は欲に血走った眼を取り繕うことも出来ず、物陰に身を隠すのも忘れメイスとトラビスの常時を食い入るように見つめていた。メイスと目が合ってもお構いなし。
「膣内が締まったぞ。見られていることを思い出して感じたのか。君みたいな美人が淫乱というのは一番男が興奮するパターンだぞ。到着しても放してもらえるとは思わないことだ。このままホテルまで連れて行くからな」
「こんな強いクスリを使っておいて。そんなこと言うなんてズルいですわ♡ んはぁっ! あっ! は、激しいっ♡♡」
いけないことをしているという思いがあるから余計に感じてしまう。羞恥と快楽の狭間で翻弄されるメイス。トラビスの動きも獣じみた獰猛さを発揮し始める。憧れの年上美女が中年男とセックスしているのに見ていることしか出来ない青年へ、それなら見ていろと誇示するように下からメイスの体を突き上げた。
「あっ♡ あっ♡ やっ♡ い、い、やっ、あっ♡ あっ、あっ♡ あっ! あっ♡」
メイスはトラビスの上で乱れに乱れた。乳房を振り乱し、膣肉を引き締める。子宮口にキスをされるたび意識が飛びそうになる。それでもまだ足りない。もっともっと気持ち良くなりたい。貪欲に求め続ける。
トラビスが「ほぅ……」と熱い吐息をこぼした。彼の手がメイスの臀部へと伸びる。尻を鷲掴みにして持ち上げられる。
「んはぁぁっ♡ だめっ、んっ、くっ♡♡」
ダメじゃないだろうと言いたげにトラビスがさらに激しく責め立てる。腰を打ち付け、膣奥を小突くピストン運動が加速した。肉棒の先端が子宮口をこじ開けようとしてくる。
「んひぅぅううっ♡♡ くひぁあああっ!」
ずっぽりと嵌め込まれる亀頭は、そのまま子宮口を押し上げるとぐりぐりと円を描く。子宮に刺激が走る。膣道の半ばにあるGスポットへの圧迫と合わせて快感の波が押し寄せてくる。もう耐えられなかった。
メイスは体を仰け反らせると甲高い悲鳴を上げた。子宮に響く喜悦の衝撃が全身に広がる。頭が真っ白になり意識が飛ぶ寸前だった。
トラビスの手がメイスの体を離そうとする。
大きな肉棒が抜けてしまう。己の魂の一部を剥がされるような思いだった。メイスは彼の首にしがみついた。
「ああっ、いやぁああっ♡ 抜かないでっ♡ 奥までくださいっ♡ ナカに出してっ♡ あなたの精子、全部注ぎ込んでぇえっ!」
メイスは必死になって彼を引き留めようとした。膣穴を締める。腰を動かせば、それが射精を促していることになる。
トラビスは苦笑する。
「体位を変えるだけだ。立って座席を掴みなさい。後ろから思いっきり犯してやる」
言われたとおりにするメイス。彼の前にお尻を差し出すと再び挿入された。背面から犯されるのも良い。彼の巨根でお腹いっぱいになる。強いオスに躾けられている感覚で子宮がきゅんっと疼いた。
「んんっ、あっ……あぁ……ふぁぁ……ああんっ♡♡」
ただ気持ち良いということだけが思考を支配していた。もっと強くして欲しい。何も考えられないくらいメチャクチャにしてもらいたい。
もちろん媚薬の効果はあるのだろう。だが、それを抜きにしても、こんなに大きくて強い男根で貫かれれば、いずれ自分は屈してしまっていただろう。媚薬はその取っかかりに過ぎなかったのだと思う。
物事には一を一〇〇にするより、〇を一にすることのほうが大変な場合もあるので、単なる取っかかりと切って捨てられもしないのだが。
(すごい……大きい……太くて……硬い……気持ち良いぃっ♡♡)
「はあぁああああっ、んあぁぁああっ、すご、あぁ、あぁぁ~ッ♡♡」
客室乗務員であるメイスにとってハウンゼンは職場だ。そして今は会社の制服を着ている。それなのに今日はじめて会った男の生チンポに膣ヒダをゴリゴリ削られて、よがり声を上げまくっているのだからとんでもない話だった。
(あ、あれだけイカされたっていうのに、また……くぁあぁああ~♡♡)
メイスは自分がイッてるかどうかすら分からない状態だった。トラビスに突き上げられているだけで頭が真っ白になってしまうのだ。彼が動きを止めてくれたことでやっと少し冷静になれた気がした。
背後のトラビスを振り返る。彼と目が合った。その途端に再び身体の奥底から愛欲が溢れ出す。
「どうして欲しいか言ってごらん」
優しい声色だ。彼の声を聞いているだけでも脳髄が痺れていくような感覚に陥る。
「正面から……あなたの顔を見ながら……あなたのモノを奥まで挿入してください……」
「それで?」
「そのまま私の一番奥まで突いて、私を犯し尽くしてください!」
言ってしまった。自分のセリフを自分の耳で聞き、メイスは羞恥で全身を朱に染めた。こんな甘ったれた被虐願望を持つ女ではないと自認していた。それなのに、一度言葉に出してしまうとその欲望を止めることができない。
「よくできたね……偉いぞ」
彼は一度チンポを引き抜くと、メイスの体を座席に押し倒す。そして自分も座面に片膝をつくと正面から挿れ直した。
「んうっ♡ んあっ♡ うふっ♡」
いくらハウンゼンの座席が広いと言ってもベッドの上とは勝手が違う。二人は正面から抱き合うように密着し、限られたスペースで快楽を貪った。
「あっ♡ んっ♡ これ、しゅごい♡ あひっ♡ ひゅもひぃれすぅ♡」
「呂律も回らない舌なら不要だな。どれ、吸ってやるから出しなさい」
そう言うなり彼は口づけをして、メイスの舌を吸い出した。舌先から根元に至るまで丁寧に舐りながら吸い上げる。舌根を強く圧迫されたまま吸引されると腰が砕けそうになるほど気持ちよかった。
過去に付き合った男性の中にもキスが上手いと感じるボーイフレンドはいたが、トラビスのキステクは格別だった。舌先でチロチロと口蓋をくすぐりながら巧みに舌を操ってくるのだ。
「んぷぁ♡ もっとぉ♡」
キスをしつつ膣内で肉棒を動かされると、膣内が締まって肉茎の形がはっきりと分かった。膣道を擦るカリ首の段差が膣壁をゴリっと引っ掻く。キスをしたまま膣奥を何度も穿たれる。あまりの快感に膣全体が痙攣を始めた。子宮口がパクパクと開閉を繰り返し亀頭に吸い付いているのが分かる。彼の剛棒はメイスの弱点を的確に突いていた。
メイスは両腕でトラビスに抱きついた。そして、多くの男が夢見たように、黒ストッキングに包まれた美脚を中年男の腰に絡ませる。トラビスは応えるように抽送を早めた。二人の結合部からジュプッヌチュッという水音が響き渡る。膣内が掻き混ぜられる。泡立った愛液が逆流する。
「あっ、んはぁっ♡ イキます、また、イク、あぁぁっ! んひぁあぁあぁぁあぁぁぁぁっ!」
強烈なアクメが押し寄せてくる。オーガズムを迎える瞬間、意識が漂白されるほどの恍惚感が全身を貫いた。
飲みきれなかった白濁液が秘穴から溢れ出した。
「あっ、あっ、あぁっ♡」
小刻みに体を震わせるたびにぴゅっ、びゅるっと少量の潮を吹き出しているようだ。それほど激しいエクスタシーだった。
そんな状態でトラビスはさらに責め立ててきた。正常位で深く突き入れたまま腰を回しグラインドさせる。ポルチオ責めによる極大な愉悦に加えてクリトリスへの愛撫も追加される形になる。二箇所同時に攻められて今度こそ意識が飛んだ。
○
トラビスは宣言どおりハウンゼンが空港に着陸してもメイスを放してはくれなかった。彼女をホテルへ連れ帰ると、そこでも一晩中セックスの相手を務めさせた。
ここではスペースが限られていた機内とは違い、フルに美女の肉体を愉しめる。彼の欲望に満ちた眼差しと逞しいチンポによって、数え切れないくらいの回数イカされてしまった。
今もメイスは騎乗位で自ら進んで腰を振っていた。子供がデキてしまう心配など頭になく、むしろ望んで彼の精液を求めた。強いオスに種付けされる悦びが彼女のアイデンティティも倫理観も支配していた。
(すごいわ……この人、本当にセックスが上手すぎる……)
もうすっかり虜になってしまった。彼の精力は無尽蔵だ。何発出しても精液が薄まる気配さえない。何時間でも続けられそうだった。しかも体力だけでなく技術にも長けていた。メイスの弱いところは完璧に把握されている。そこを憎たらしいくらい的確に突いてきた。
今のメイスは成熟した大人の女などではない。彼の手のひらの上ならぬチンポの上で踊らされる、都合の良い肉人形だった。
「だめっ♡ だめえっ♡ いくっ♡ またつよいのきちゃ――あ、あああああああっ♡♡♡ はっ、はぁ♡ んぅ♡ やっやめぇ♡ はぁああ~~~~っ♡♡♡」
騎乗位の体勢になった当初、メイスは生意気にも反撃を試みた。彼をイカせるつもりで動いたのだ。しかし、体のポジションが上か下かなど二人の関係には些末な問題だった。生物の格としてトラビスがメイスを絶対的に支配する力関係が完全にできあがっていた。彼女は下から突き上げられ、一方的に快感を与え続けられるばかりだった。
(ダメ……全然歯が立たないわ……こんなの初めてよ……強すぎるぅ♡ こんな風に一方的にイカされたことない♡ なにをしても、この御方には勝てないんだって思い知らされちゃう♡)
メイスは敗北感と共に言い知れぬ高揚を覚えた。彼に負けを認めることに対するマゾヒスティックな快感だ。
腰を掴まれ固定されると激しく突き上げられた。硬い巨根に膣内全体をくまなく擦られる刺激に目が眩んだ。
(こ、こんな奥まで突かれたことない! 頭おかしくなるっ♡♡)
膣洞いっぱいにチンポを詰め込まれてお腹を内側からボコォっと押し上げられているみたいだ。そんな状態でズポズポされて、膣壁まで引きずり出されるんじゃないかと思ってしまうほど強烈に擦り上げられた。一突きごとに意識を失いそうだ。もう何も考えられなくなってひたすら喘ぐだけしかできなかった。それでも手加減は一切されない。ただただ自分が気持ち良くなるためだけに動いている男に、好き放題に貪り尽くされた。
騎乗位から後背位に移行してピストン運動を繰り返すトラビス。されるがままのメイスは、彼の動きに合わせて自らも腰を動かす。
無意識に媚びるような動きをしてしまう自分に気付いていても止められない。そうすると一層強い刺激を得られることに気付いたのだ。そうやって自分から積極的に求めていくうちに、自分がどんどん淫乱になっていくのが分かった。
「あ、んっ、あっあっ♡ い、イくぅっ♡」
「そろそろ出すぞ!」
「んっ♡ ああぁっ♡」
メイスは喘ぎ声で答えることしかできなかった。
そして――。
「んっ、ふあぁぁあああぁぁぁんっ♡♡♡」
何度目かの射精が子宮を満たした。こんな量の精液を膣内射精された経験はメイスにもない。この男の子供を妊娠させられてしまう。そのことに危機感を覚える神経はとっくに焼き切れていた。
「ああ、すごい……こんなにいっぱい出されて……」
下腹部の膨らみに手を当ててうっとりとつぶやく。
「さすがに少し休むか。だが今日で終わりじゃないぞメイス。私は君のことが本当に気に入った。しばらく私と一緒にいなさい。何も不自由はさせない。欲しいものなんでも与えよう」
要は愛人のお誘いだった。きっと数時間前のメイスだったら歯牙にも掛けなかったろう。そんな生き方は自分の主義じゃないと突っぱねていたはずだ。しかし、今の彼女はトラビスに支配される雌悦を知ってしまっていた。彼に逆らうという発想すら湧いてこない。
「はい♡」
まるで少女に戻ったかのように可愛らしく微笑み、素直に頷くメイス。彼女の態度にトラビスは満足げに頷いた。そうして二人は契約の口づけを交わすのだった。
後書き
久しぶりに『お題箱付きプラン』更新で~す!
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』よりメイス・フラゥワー。
登場時間は短くても序盤で「エロい!」という印象を残し去って行きましたね。当初もっとあっさり書くつもりだったのが気づいたらノリノリになってしまい、1日で2万文字近く書きましたね。
やればできるじゃねーか! 普段からやれ!!
途中にある能力主義うんぬんはマイケル・サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』から。
前半の能力主義の害はともかく、後半でサンデルが処方する解決策は彼が共同体主義という思想の持ち主であることや、現代アメリカの社会状況を背景にしているため日本とは真逆な部分も多い。たぶんこれ、このまま感心して日本に持ち込んだら、かえって日本の場合は悪化するよな~と思いながら読んでました。
そんな思想の話ができるメイスですら、強いオスのデカチンには勝てなかったよ……。