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Skeb依頼より。


原作:プリンセス・プリンシパル

キャラ:ドロシー

シチュ:あるときアンジェ&ドロシー(二人同時が無理ならドロシー)に竿役に暗殺任務がくだるが失敗し囚われ犯される

竿役とのセックスでのあまりの気持ちよさに身体は完堕ち

その後開放されるが味方組織には手を回されており逆らえず何度も呼び出され犯される

最後は秘密を暴かれ手の打ちようのない状況におとされ完全降伏

竿役は20歳くらいの若い文武両道イケメン。





本文


 ドロシーが身を捩ると後ろ手に拘束された手錠が耳障りな金属音を奏でた。両手首に嵌められた鉄の輪は緩む気配さえない。無駄な抵抗を試みていると長手袋の下で手首が痛んだ。


「あまり無駄なことはしないほうがいい。せっかくの綺麗な肌に傷がつくだけだ」


 正面に立った男が見下ろしてくる。美男子という言葉がピッタリくる男だった。金髪碧眼にドロシーを大きく上回る長身、剣術とレスリングで鍛えた身体は一見して取っ組み合いでは分が悪いと分かる。


 だからこそ油断した隙を狙って銃殺したかったのだが失敗した。


(くそっ! ドジっちまった。まさか狙いがバレてたなんて)


 ドロシーが任務失敗の悔しさで顔を歪めると、彼は勝ち誇った表情を作る。芝居の登場人物のように作り物めいた表情なのに、もともとの美貌が現実離れしているため不自然に感じない。


 だが美しいのはあくまで外見だけの話。彼は間違いなく悪魔のような人間だ。


 かつては一つの国だったアルビオン王国とアルビオン共和国。数年前に起きた革命の結果によって国は二つに分断され、両国の間には越えられない壁ができた。


 ドロシーは王国の生まれだったが父親の暴力に耐えかねて家出した日に革命が起き、以後は共和国でスパイになる訓練を受けながら過ごした。スパイになれば潜入任務で王国に戻れるからだ。身寄りのない幼い子供が一人で生きていくためには選択肢がなかったとも言える。


 スパイとなったドロシーは王国の名門学校クイーンズ・メイフェア校に生徒として潜入した。二十歳にして女子高生を名乗ることに抵抗がないわけではない。しかし潜入任務の|偽装身分《カバー》で名門校に通う女子高生というのは、なかなか適しているのだ。


「俺のことはどこまで聞いてきた」


 男の質問にドロシーは黙秘する。


「あまり安っぽい脅しは口にしたくないんだが、強情を張ると身のためにならんぞ。どうせ最後は吐きたくなるんだ。早く楽になったほうがいい」


 そう語る男の顔には嗜虐心が透けて見えた。きっとこれまでも多くのスパイに同じことを言ってきたのだろう。


 男の名前はアンガス・ユリシーズ伯爵。王国の名門貴族家の当主で元軍人。父親の急逝に伴い軍は除隊して爵位を継いだ。銃声とは縁遠い場所に引っ込んだ、お貴族様……というのは表向きの話。


 軍を辞めたあと彼は諜報部に異動した。任務は王国内に入り込んだ共和国のスパイを炙り出し、捕まえ、拷問して逆に情報を吐かせること。


 アンガスが猟犬に雇われてから既に共和国のスパイは二十人近く見つかっている。


(こいつはヤバいやつだ)


 経験からくる直感がドロシーに確信させる。彼のような危険な人物を相手にしていると自覚すると、恐怖心を抑えるため意識的に感情を麻痺させなければやっていられない。心を殺す。訓練では散々やってきた。


 そんなドロシーの反応を楽しむようにアンガスは続けた。


「そうだな、まずは名前を教えてもらおうか」


「……答えるつもりはない」


「ならば質問を変えよう。君は処女か?」


 口を開かないドロシーにアンガスは畳み掛ける。


「黙るつもりなら当ててやろう。夜会で男に胸を押しつけ、二人きりになりたいとハニートラップを仕掛けてくる女が処女とは普通なら考えにくいが、部屋に入ったとき君は僅かに身を固くした。さり気なく手首を掴んで脈も計ってみたが少しばかり速くなってたぞ」


 相手をするつもりはない。ドロシーは心を凍らせたまま男の言葉をやり過ごそうとする。


「試しにベッドに押し倒してみたときの焦りっぷりも、とても経験豊富な女には見えなかった。まるで実年齢よりずっと幼い少女のよう。見た目は色っぽいのに中身は初心なんだな。処女だからか?」


 疑問の形で発しながらも男は既に確信を持っている様子だ。


 アンガスの言うとおりドロシーは経験がない。養成所では女の武器に必要だからと男の楽しませ方は一通り教えてもらった。手でする方法、口でする方法、ドロシーのように胸元が豊かな女は男のモノを挟んで扱く方法。


 しかし世の中には処女であることにこだわりを持つ男も多い――特に手慣れていそうな見た目で経験がない女を贔屓する男も多いため、そういったターゲットへの要員としてドロシーは処女のまま王国に派遣された。


「当たったろ?」


 男が答え合わせを求める。


 それでも無言を貫いた。


「だんまりかい? この状況ではあまり賢い判断じゃないかもしれないよ」


 そう言って微笑むアンガス一歩こちらへ近づいてくる。明らかに加害の意識を持った男の接近。ドロシーは一歩後ろへ下がった。


「逃げることはない。君にとっても悪い体験じゃないはずだ。こう言うとあれだが俺は慣れてるからね。女の子が初めてを経験するには最適な相手だと思うよ」


 また近づいてくる。


 また下がる。


 数歩それを繰り返すと背中が壁に当たった。


 ここは夜会の主催者が用意したプレイルーム。破廉恥なパーティで出会った男と女が一晩だけの愛を語らう場所。だから必要な物はシャワーとベッドだけ。それなりの広さしかない。


 これ以上逃げ場がなくなったドロシーに彼がゆっくりと近づいてくる。そして耳元に顔を寄せてきた。


 耳たぶを舐めるような距離で囁かれる。


「大丈夫、最初はみんな不安になるけどすぐに良くなる」


「くっ!」


 生暖かい息が耳に吹きかかる。ぞわぞわする感覚に身を竦めたドロシーは歯を食い縛った。


 これから自分の身に起こるであろう事態を想像して鳥肌が立つ。ここで処女を失ったあと、彼が一回で解放してもらえるとは思えない。尋問という大義名分を得た男が捕まえた女スパイにどんなことをするか、ドロシーは養成所で聞かされてきた。


「特にあなたは綺麗だし発育もいいから、スパイとバレたら大変な目に遭うわよ」


 危機意識を持たせるためだろうか、教官はドロシーを名指しして言った。もしそうなったら辱めを受ける前に自分で始末をつける覚悟だった。だが、いざその時が訪れると躊躇してしまう。


(スパイになった時点で死ぬ覚悟はできてたつもりだったけど、まだ私は生きることに未練があるらしい)


 己の生への執着を自覚した次の瞬間、ドロシーの身体が浮き上がった。アンガスが彼女の身体を横抱きに抱き上げたのだ。いわゆるお姫様抱っこで軽々と持ち上げられる。


「――ちょっ」


「暴れるな。さすがに危ないぞ」


 ドロシーは男好きする豊満なスタイルが自慢の女だ。決してお子様体系ではない。それでもアンガスは羽毛でも運ぶように力強い足取りで真っ直ぐに部屋を横切る。


 そのまま部屋の中央にある大きなベッドまで運ばれていく。ベッドに降ろされると抵抗する間もなく彼がのし掛かってきた。


 アンガスはベッドに両手足をつき、ドロシーに体重を浴びせかけないようにしてくれているが、それでも男の身体の重さや熱気、女とは違うゴツゴツした感触が伝わってくる。


 入室した直後も彼にベッドへ押し倒され、そのまま抱かれそうになった。そのときはシャワーを浴びてからじゃないと嫌だと言い、先に彼を浴室へ送り込んだ。あとから自分も行くから鍵は開けておいてくれと言い添えて。


 ドロシーは銃を持って無防備な彼のもとへ向かった。


 だがアンガスは最初からドロシーの殺気に気づいていて、わざと誘い込んだのだ。銃片手にシャワー室へ飛び込むと、横から伸びてきた大きな手に腕を掴まれ捻じり上げられた。


 あっと言う間に肘を極められた。格闘術の訓練も受けたドロシーには、その状態から関節技を抜ける方法がないこと、無理に脱出しようとすれば肘の靱帯が損傷することまで瞬時に分かってしまう。


 降参したドロシーは彼に手錠を嵌められ現在に至る。


「さっきは誰かさんがシャワー室に乱入してきたおかげで浴び損なった」


「今から浴びてきてもいいんだぜ」


「遠慮させてもらうよ。こんなに綺麗な身体を前にして我慢も限界だ。そろそろ君の味見をしたいんだが構わないだろ?」


 アンガスは、ねっとりとした視線をドロシーの身体に向けた。いくら貴公子然とした見た目でも中身は性欲旺盛な二十代前半の男。加えてコントロールの資料でも『文武両道の天才だが唯一の弱点は無類の女好きで、見た目が整ってる女なら労働者階級でも貴族でも関係なく寝室に連れ込むこと』と書かれるくらい、アンガスは色事に目のない男だった。


 彼の視線を受けてドロシーは反射的に身がすくむ。


 自分を見る目に肉食獣が持つ捕食の欲求が込められている気がした。今まで経験したことのない種類の恐怖を覚え顔を横に背けた。


「そんなに怖がるな。君は俺の言う通りにしていればいい」


 そう言うと彼はジャケットを脱ぎ始めた。続いてシャツを脱いで上半身裸になる。鍛え抜かれた筋肉が露わになり、男臭いとも違う柑橘類のような匂いが香ってくる。


 アンガスの動きからドロシーは目が離せないでいた。


 悔しいことに見惚れてしまったのだ。男の裸体に。引き締まった肉体に視線が釘付けになってしまう。


(私ってばなにやってんだ)


 敵であるはずの男、それもこれから自分を犯そうとしている男に目を奪われるなどあってはならない、そんな時間あるなら脱出するため暴れねばならないのに、彼の洗練された所作に見惚れてしまう。どうすれば自分の性的魅力を最大限に演出できるか知っている男の動きだった。


「本当に初心なんだな。そんな反応をされると楽しくなってくる」


「黙れ! とっとと服着て出てけ!」


「そう邪険にするなって。可愛い顔が台無しだぞ」


 アンガスはドロシーの頬に口づけをした。ちゅっと軽く唇が触れるだけのキス。それだけで頬が紅潮するのを自覚した。


「やめろっ」


 慌てて顔を背けようとするも、いつの間にか後頭部に手を回され動きを封じられていた。頬どころか瞼にまで唇を押し当てられる。熱い息が肌を撫でるたびゾクゾクした感覚が全身を駆け巡る。


「んっ……ふっ……」


「敏感だな。そんな反応されたら興奮を抑えられないじゃないか」


 彼の吐息で睫毛が震えた。間近に迫った男の顔を直視できなくてドロシーは目を閉じる。


 暗闇の中で唇を塞がれる。侵入してくる舌の感触。別な舌に絡め取られる舌と唾液の音。ぴちゃぴちゃという淫らな水音に鼓膜を揺さぶられた。


 口移しで注ぎ込まれる唾液の味を覚えてしまうほど長い接吻が続く。息苦しささえ感じ始め、抵抗しようにも手足に上手く力が入らない。


「ふぁ……んんっ……」


 頭がボーッとする。まるでお酒を飲んだときのように思考が鈍っていくのが分かった。きっとこの濃厚なディープキスのせいだろう。


(キスってこんな気持ちいいものなんだ……)


 知りたくなかった事実を実感させられる。このまま続けば自分がどうなるのか、想像できてしまったからこそ怖かった。必死に頭を振って逃れようとするが、しつこく追いかけてくる彼の唇に捉えられたまま、舌を吸われてしまう。口腔内に溢れる唾液に溺れそうだ。


 彼が唇を離した僅かな隙にドロシーも息継ぎしようとする。しかしアンガスはすぐさま唇を押しつけてきて、再び舌を絡め取られた。


(こいつの肺活量どうなってんだよ。こんなの繰り返されたら……)


 次第に何も考えられなくなる。思考を放棄して本能に身を任せたくなる。


「ふああぁ……」


 自分でもびっくりするくらい甘ったるい声が漏れた。


 こんなの私の声じゃないと否定したい。だが意思に反して漏れる声が止まらない。


 返したくもない淫らな反応を返してしまう。


「まだキスだけなのに、いくらなんでも感じすぎだろ。共和国のスパイはこんなことも教えてもらえないのか」


「うるさい! 誰が感じてるか!」


 お前が上手すぎるからだろうとは言えない。


「はいはい分かったよ」


「頭を撫でんな!」


「おっとすまない」


 まるで子供をあやすような彼の手つき。つい怒鳴ってしまったドロシーだったが、彼に触れられると背中を悪寒とは違う電流が走り抜けた。


「じっくり馴らして初めてでも忘れられないくらい気持ちよくさせてやる。最高に幸せで自分から俺に協力したくなるくらいな」


「うるせー! そんなことあるか。さっきからふざけた御託ばかり並べやがって」


「そうあってほしいね。あっさり堕ちたのではつまらない」


 そしてまたキスが再開された。今度はゆっくり時間をかけて、互いの唇の形を確かめ合うように優しく触れ合うだけの口付けを繰り返す。


 恋人同士が戯れるようなキス。最初は反発していたドロシーだったが、優しい口付けに次第に翻弄されていった。身体が熱く火照る。頭部で発生した熱がお腹の下あたりに熱が溜まっていくような感覚を覚える。


 そこになにがあるか自覚すると彼女の困惑も大きくなる。


(こんなやつにされて濡れるはずないのに……)


 ショーツの奥で秘裂は既に潤っていた。割れ目から溢れてくる体液でクロッチが張り付くのが分かる。それは紛れもなく性的興奮を示していた。自分は感じている――それを自覚すると同時に羞恥心が込み上げてきた。


 思わず股を閉じようと太ももを擦り合わせるも、間にアンガスの身体を挟まれていてうまくいかない。むしろ擦り合わせたことにより、彼の身体を股間に強く押し付ける結果になっただけだった。


(まずい、早く離れないと!)


 これ以上この男に好き勝手させるわけにはいかないと思った瞬間、唇が離れた。解放されたのだ、と思うより先に男の舌が首筋に這わされた。


「ひゃん!」


 予想だにしなかった刺激に驚きの声が漏れた。首筋を舐め上げられる感覚に鳥肌が立つ。


「やっ……やめろ」


 咄嗟に手で押し退けようとしたが背後で手錠が鳴るばかり。


 アンガスは唇をどんどん下へと滑らせていく。首筋、鎖骨、肩先ときて胸元に到達した。ドロシーは彼を誘惑するため大きく胸元が開いたドレスを着てきた。そこに顔を埋められ汗の匂いを嗅がれる。谷間を流れる風を感じると恥ずかしさで死にそうになった。


「やだっ、やめろ」


「嫌なのか?」


「当たり前だろっ、変態」


 言葉で拒絶してもこの状況から抜け出す手立てはない。自由を奪われて抵抗できず一方的に弄ばれる屈辱的な状況に歯噛みする。


「そうか、俺は君の匂い好きだけどな」


「バカだろ!」


「もっとよく嗅がせてくれ」


 そう言うと、男はドロシーの背中に手を回し、ドレスのファスナーを下ろしていく。器用に片手でフックを外し背中が大きく開かれた。締め付けを失ったドレスはいとも容易く剥ぎ取られる。


「やっぱり綺麗な身体してるな」


「ジロジロ見るなっ」


「そう言われてもな、見ない方が失礼だろ」


「あっ」


 剥き出しの背中を撫で回される。手のひらで直接肌に触れられただけで感じてしまう自分の身体が恨めしかった。男に素肌を触られて喜んでいるような反応を示す自分が許せない。それなのに与えられる快感に抗えない。悔しくて涙が出そうになる。


 それでもせめて声は漏らすまいと唇を噛み締めていると、彼の手が前に回って双球を持ち上げた。


 膨らみをそっと撫でられる感触に思わず声が漏れる。


「んんっ……!」


 ドロシーはオナニーで胸を使って感じたことがない。乳首を弄れば性感は得られるが、乳房はただの脂肪の塊にしか思えなかった。だからこそ、こんなものに夢中になり、大事な警備の役目を疎かにする男たちが馬鹿馬鹿しくて仕方なかった。


 ――だというのに。


 自分で触ってみたときはなにも感じなかった部位なのに、他人に触られると未知の快感が生まれた。


(こいつに触られるとぜんぜん違う!)


 認めたくない事実だった。だが否定しようにも身体は正直だ。男に乳房を弄ばれ嫌悪感より気持ち良さのほうが勝っている。その証拠に下腹部の奥深くで名付けがたい寂寥感が生まれ、とぐろを巻いている。


 じくじくと治りかけの傷口が疼くように、無視しようとしてもできない感覚がドロシーを苦しめていた。


(こんなの知らないっ……なんでっ……どうしてっ)


 自分の肉体の変化についていけない。混乱していると突然胸に鋭い痛みが走った。


 視線を下ろすと山の頂で実った果実の先端が抓られている。痛い、と抗議しようとした次の瞬間には反対側の突起が咥えられていた。


 敏感な突起を左右同時に刺激され、身体がビクンッと跳ねた。電流のような衝撃が走る。その反応をアンガスは見逃さない。


 痛みを覚えるくらい抓られたところから一転して、今度は優しく丁寧に、壊れ物を扱うように転がされる。反対側でも舌で舐めたり吸ったり甘噛みされたりした。


 緩急をつけた愛撫に自然と声が出てしまう。


「ふぁっ、んっ、あぁっ」


「可愛い声を出すじゃないか」


「ちがっ、んっ、あんっ」


「違わないだろ」


「ふぁっ?」


 乳首を舐られながら反対側の手は乳房を大きく揉んでくる。乳首でしか感じないと思っていたのに彼が触れる部分は、厚い脂肪層を貫通して神経に直接作用する。


 乳房を鷲掴みにされたまま、反対側の乳首を根本から掘り起こすように舌先で転がされると堪らない快感に襲われた。


「もうビンビンだな」


「うるさい、こんなはずじゃ……ひっ、だ、めぇっ、あああぁっ」


「もっと感じろ。感じやすい女は好きだ」


「あんたに好かれても嬉しくなんかないッ」


 悪態を吐きつつも肉体は彼に靡き始めていた。胸を揉まれて感じるなんて信じられないが、自分の身体に起きてる反応は否定できない。それがとても悔しい。その口惜しさから憎まれ口を叩いてしまう。


 こんな女の反応は過去にも経験済みなのだろう。アンガスは意に介さず行為を続ける。


 彼の唇は胸の頂点から鎖骨に上り、再び胸元へ落ちてくるが今度はサイドに流れた。ちゅっちゅっと可愛らしい音を立てて肌が啄まれる。優しいリップ音なのに与えられる刺激は針を刺されたように強い。


「んふっ……」


 くすぐったさとむず痒さにドロシーの口から熱い吐息が漏れた。


「このあたりが感じるタイプか」


 言うなり彼は横乳の部分を指でタッピングするように叩く。軽い振動を与えながら乳房の際を撫でていく。


「ひゃっ、んっ……ッ」


 触れられている部分に弱い電流が流れた気がした。


 彼が触れているのは胸のほんの表面部分だけだと言うのに、それだけで身体の力が抜けてしまう。


 自分でもしたことがない触れられ方をして心がざわめいた。これはまずいという本能的な恐怖が快感よりも先にきた。耐えなければ。一度流されたら踏みとどまれなくなるやつだ。


 しかし経験豊富な男は僅かな隙も見逃してくれない。


 そこが弱点かと言うように喉奥をクックッと鳴らすと、もっといい声を聞かせろとばかり執拗に乳房と腋の境目を撫でてくる。


「あっ……そこ、だめぇっ……そこばっかり、しつこいんだよ!」


 たまらず甘い声を漏らしてしまう。まるで発情した猫みたいな鳴き声が自分のものだと認識した瞬間、羞恥心で全身が燃え上がったかのように熱くなった。それを誤魔化すため直後に強がってみせるが、虚勢は張るだけ却って弱味を強調してしまう。


 見えないラインをなぞるようにアンガスの指先は官能が生まれる場所を往復する。


 なぜ自分が感じているかも分からないまま、ドロシーは両手足がびくびくと震え、腰がくねってしまうことを抑えられなかった。


 どうにか男の舌から逃げようと身体を捻る動きは、彼女の意図とは逆に艶めかしいボディラインを強調して異性への誘惑になってしまう。


(クソッ、どうしてこんなことに!)


 心の中で何度も叫ぶ。もちろん現実は何も変わらない。むしろ状況は悪化の一途。


 いつの間にか股の間に入った男の膝がドロシーの大事なところに押し付けられる。胸だけでも高ぶりが抑えられなくなっていた彼女は、股間からの甘い刺激に甲高い声を上げてしまった。


「ああっ、ふあっ……やだっ、やめろ!」


「嫌だ? こんなにグショグショにしてるのに説得力ないな。俺の膝まで染み出してきてるぞ」


 ショーツを濡らす蜜を指摘され頬が熱くなる。


「濡らしてるのは悪いことじゃないぞ。君が俺の指で気持ちよくなってくれている証拠だ。それに濡れてないとこれから先のことはちょっと辛いぞ」


 そう言って股間に膝をグリッと押しつけられると、これまでのモヤモヤした感覚とは違う、直接的な性感が蜜壺に突き刺さる。下半身で弾けた悦びが脳髄にまで駆け上がってくる。


「あっ、ふあああ、ぁ、あっ……、ん、」


 反射的に仰け反りそうになったが背後に拘束された手錠のせいで思うように動けない。それどころか背中を反らすと胸が突き出され、もっと弄ってほしいとばかり強調されてしまう悪循環。


 ショーツはもう役に立たないほどぐしょ濡れになっていた。そんなみっともない姿を曝していることすら忘れてしまいそうになるくらい気持ちいい。


 上半身では相変わらず横乳への責めが続いた。表面を揺らす動きから今は深部へ聞かせる指圧に変わっている。腋下から胸に掛けてのラインをぐりぐりと円でも描くように押し回される。指が肌に沈み込むたび、言いようのない疼きが生まれ、やがて快感の波となっていく。


(胸だけでイキそうになってる!)


 これまで経験したことのない感覚だった。胸など触れられたところで何ともないと思っていたのに、自分は明らかに性的興奮を覚えている。未知の快感に襲われ混乱の極みに達する。


「なんっ、これっ……変っ! 変だっ! やめろ! もうっ……やめてくれぇえ!」


 ドロシーが悲鳴を上げるとアンガスの動きが止まった。一瞬安堵の息が漏れるもすぐに絶望することになる。乳首を弄っていたほうの手もサイドに流れ、反対側と同じように腋と乳房の間にある敏感な場所に触れてきた。


 あれを両方一編にやられる。ドロシーは真っ青になった。


「ま、待て、もう無理だから! これ以上されたらわたし、変にっ――」


「見たいな。君が暗殺するはずだった男の愛撫で変になるところ」


 アンガスは不敵に笑うと、左右の手で神経が鋭敏な箇所をマッサージしてくる。人差し指から薬指に掛けての三本で広範囲を揉みほぐされた。初めての感覚に肌が粟立った。嫌悪ではない。紛れもなく快感からくる反応であった。


 彼の唇が胸への愛撫をやめドロシーの耳に近づいてくる。かぷりと耳殻に噛みつかれると背筋が引き攣った。


 不意打ち気味の愛撫が生み出す快楽に為す術なく呑み込まれていく。


 ――じゅるるる、ちゅぷっ。


 淫らな水音が頭の中に響く。耳が熱い。身体全体が火照っている中でも彼に触れられている場所は特に神経が鋭敏になっている。


 耳を甘噛みされ、横乳のスイートスポットを押し回され、女の弱点には膝が押しつけられる。快感の三点責めにドロシーは狂い始める。


 口から涎を零しながら悶え狂う様は娼婦も顔負けの淫乱ぶりだ。


「んひっ♡ ひぃぃいっ、はあぁ……♡ だ、ダメェ、ダメダメダメダメ……♡ あ、あ、ひぃん、あくぅぅうん♡♡」


 今まで知らなかった性感を教え込まれる恐ろしさがあった。心が堕ちることを拒否しているのに、肉体は勝手に昇り詰めようとする。このまま快感に屈服すれば二度と戻れなくなる予感があって必死に抗おうとする。


 だがその抵抗こそがアンガスを楽しませていることに気づけない時点で、敗北は既に決まっていた。彼は無抵抗な獲物を一方的に蹂躙するより、抵抗してくる相手を従わせることのほうに歓喜を見いだす人間だった。


「そろそろイキそうか?」


 間断なく喘ぎ声が漏れる口ではアンガスの問いかけに答えらない。首を左右に振ることで意思を示す。


 本当はもう限界だった。


 今すぐ楽になりたいと全身が訴えかけている。しかしドロシーはまだプライドを捨てきれずにいた。


 そんな彼女に対しアンガスは許しを与える口ぶりで言った。


「我慢するな。君は俺にイかされるんだ」


 そして指を強く押し込まれた瞬間、快感が爆ぜた。目の前が真っ白になり何も見えなくなる。同時に頭の中で何かが弾けるのを感じた。


 全身が弓なりに反り返り身体が痙攣を起こす。


 絶頂に達したのだと悟ったときには何もかも遅かった。


 射精したらクールタイムに入る男のオーガズムと違い、女は一度達してから本番が始まる。山の頂上まで登った肉体は下りることを許してもらえず、延々と終わりのない連続アクメ地獄が続く。


 ここからはアンガスにとってのボーナスステージだった。ドロシーの身体を責める方法は幾らでもある。彼女には未だ本人でも知らない性感帯が隠れ潜んでいた。それを一個ずつ暴いて彼女に教えてやる。


 初心な女にセックスの手ほどきをして自分好みに染めてやるのは男の欲望を刺激した。


 他方ドロシーからしてみたら、ただでさえ性経験においては大人と子供ほども差があるのに、一度イッたことで神経が剥き出しになった状態の身体を好き勝手されるのは、快楽と共に苦痛が伴う行為だった。


 連続イキで呼吸困難になりながら身体中隈なく愛撫される。


 しかも彼が満足するまでこの拷問は続くのだ。こんな状態で耐えられるはずがないと思った。


「も、もう……やめて……頭がおかしくなる……」


 息も絶え絶えに哀願すると男は優しく頭を撫でてきた。その手つきは慈愛に満ちていたが、吐き出される言葉は無慈悲だった。


「初めてにしては頑張ったじゃないか。だがもう少しだけ頑張ってみよう」


 紳士的な態度とは裏腹に容赦はなかった。彼はドロシーの衣服を完全に脱がせ一糸まとわぬ姿にしてしまう。


 服を脱がすのに邪魔だからと手錠を外されたが、悦楽に浸りきった四肢では力が入らず男の支配から抜け出せない。赤ん坊を着替えさせるように簡単な手つきで全裸に剥かれてしまう。


「とても綺麗だよ。ところで、そろそろ名前くらいは教えてくれてもいいんじゃないかな。これから男女の仲になろうというんだ、もっと親しくなったっていいだろ」


「……断る」


「つれないなぁ」


 言葉ほど残念そうには見えない。むしろ楽しんでいるような節さえある。この男は根っからのサディストだ。相手の反応を見て自分の性欲を満たしたいタイプなのだろう。


 アンガスの指が下着から解放されたドロシーの秘部を探ってくる。人差し指と中指でスリットを広げられると、蜜道を濡らしていた粘液と甘酸っぱい女の匂いが一緒に漏れ出してくる。性的に悦んでしまった証拠の香りが部屋中に広まる。


「もうドロドロ。こんなに蜜を出して……これじゃあ食べてほしがってるみたいじゃないか」


 アンガスの言うとおりだった。秘裂に指を突っ込まれると粘度のある愛液が絡みついてくる。指を動かすとクチュクチュと淫靡な音が奏でられる。


「あっ……ちが……それは……」


 否定の言葉を口にするが、何の意味もないことは分かっていた。自分の身体が自分のものでないようにコントロールできない。


(違う……私はこんなこと望んでいない……なのにどうしてこんな……)


 悔しさと恥ずかしさが入り混じり、またしても涙が込み上げてくる。泣きたくなんかないのに感情的になると自然と目頭が熱くなってきてしまう。


 最初に感情を殺してやり過ごすと決めたはずなのに、今では感情でしか物事を捉えられなくなっていた。


(こいつの前で泣くもんか!)


 唇を噛んで涙を堪える。それが彼女の精一杯だった。


 アンガスはその虚勢も見抜いていただろう。だが、わざわざ指摘する野暮な真似はしなかった。代わりに指の動きを激しくした。


 二本の指で膣内をかき回されるとグチョグチョと卑猥な音が響く。


「んぁっ♡ そんなっ……そこぉ、ダメだっ♡ そんなに激しくしたら、壊れ――るぅッ♡ ふぁああぁっ♡ あっ――あぁぁぁっ♡ ン゛ぁあ、あっ、あっ♡ やめろお゛ぉおおおっ♡」


「嘘はいけないな」


 弱点を発見した男は執拗だった。膣内の敏感な場所を擦り上げながら、親指を使って陰核を押し潰すように捏ね回す。その巧みな手管には強者の余裕が感じられた。


 指が膣の天井を擦るたび腰が浮き上がった。綺麗にベッドメイキングされていたシーツは、腰の下でぐちゃぐちゃにもつれている。手錠を外され自由になった両手で指どおりの良い布を力いっぱい握り込む。


 ずり上がって逃げられないよう、彼は自分の身体を浴びせてドロシーをベッドに縫い付けてくる。


 後頭部に添えられた手が首の角度を調節してくる。最適な傾きを与えられたドロシーの口が彼の口で塞がれる。逃げられないように舌を舌で絡め取られ、口内までも蹂躙される。


 顔を背けようとしても大きな手に頭を掴まれていてできない。強引に引き戻されてもう一度口付けられる。舌の裏側まで丁寧に舐められてこそばゆい感覚がこみ上げる。


(なんでこいつ、私の弱いところばっかり狙ってくるんだよ!)


 悔しいことにアンガスのキスはとても上手かった。先ほどの口付けで口の中の性感帯は全て把握されてしまったようだ。


 彼の唇や舌の動きに合わせ、勝手に甘い吐息が零れた。


「はぁ……ふ……ぁ……ちゅぷ……んぅ……♡」


 唾液を交換し合う水音が頭の中に反響する。濃厚な口付けを交わす間もアンガスの手淫は止まらない。二本に増やされた指が膣内で蠢く。抜き差しする動きから蜜道を広く掻き混ぜる動きへ。舌と連動でもしてるかのような変化で、上も下も同時に責められた。


 下半身で生じる快感と合わさって全身が溶けるように熱い。興奮によって全身の肌が赤みを増し、白い肌はピンク色に染まった。


「ふぅっ……ちゅぱっ……くちゅっ、れろ……あむぅ……」


 激しいキスの最中でも快感は止むことなく襲ってくる。男の舌が縦横無尽に暴れ回り、こちらの舌を捕らえようと追いかけてくる。その舌先が何度も上顎を撫で上げ、反射的に首を後ろに反らしてしまう。そこに追い打ちを掛けるように今度は歯茎の裏を舐められる。


「んんん~~っっ!」


 我も忘れて雌悦に浸ってしまうほどの快感が押し寄せる。ジタバタと暴れながら逃げ出そうとするが、逃がさないとばかり頭に添えられた彼の手に力が入る。


「んんーっ♡ あむぅっ♡ んっ♡ んんっ♡」


 生き物としての格が彼と自分では違う。肉体を通じて心にまで上下関係が刷り込まれる。


 己より強い者に囚われ、無理やり快楽を流し込まれる感覚に心がざわめく。先に手懐けられてしまった肉体が精神にも働きかけてくる。さっさと堕ちて可愛がってもらってしまえと。


(またイかされるっ……このままじゃイカされるっ……)


 達するのが時間の問題だと悟ったとき、不意に唇が離れた。


「そろそろ限界だろ? もう素直に話したらどうだい?」


「い……イヤだっ! 誰がお前みたいな奴に屈するか」


 快楽に呑まれかけていた理性がギリギリのところで踏みとどまった。


「なかなかしぶといな」


 アンガスは楽しそうに言うと手の動きを速めた。


 膣洞で蠢く肉ヒダを手懐けるように一枚ずつ撫でさする。優しく甘やかしたかと思うと膣壁ごと強く押し込み、凹んだ肉をすりすりと揉み込む。指を根本まで深く突き入れたかと思えば、浅い場所で恥ずかしい蜜を掻き出すようにピストンさせた。


「ひっ♡ やっ、やだ! そこは弱いからやめてくれ! ああっ♡ あひぃぃいっ♡♡」


「感じすぎて苦しい場所だから拷問になるんだろ。君は俺と何をしてるつもりだったのかな」


 そうだ、これは拷問だった、恋人に抱いてもらう愛のある行為などではなかったとドロシーは思い出す。自分は敵に捕まり辱めを受けてる真っ最中なのだ。


 だというのに身体は快感に従順だ。彼の指先が動くと痺れるような心地良さが駆け巡ってくる。


「んぐっ……くっ……このぉっ……!」


 このままいい様にされるのは癪だった。何とか抵抗しようと考えるのだが身体が動かない。思考だけがグルグル回って空回りしている。手錠さえなければという言い訳はもう通用しない。


(ああ、そっか、もう抵抗する体力もないのか……)


 己の状況を冷静に観察したドロシーは、もはや逆転の望みがないことを知った。


 彼の指が、舌が、唇が触れるところは全部熱い。皮膚の下を流れる血潮の温度が上がった気がする。頭が熱暴走を起こし、視界は霞がかかったみたいにぼんやりとしていてよく見えない。全身は汗びっしょりになって、秘裂からは愛液が溢れっぱなしになっていた。


 もうどれくらい時間が経ったのか見当もつかない。時計を見るだけの余裕もなかった。ただ与えられる悦楽を貪り続けることしかできない。


(イクっ!)


 再び達する兆候があった。今度はさっきよりも深く、高く、大きく。山の頂だと思っていた場所がせいぜい八合目だと思い知らされる。どれだけ自分の身体は気持ちよくなれてしまうんだと己の貪欲さにドロシーは怯えた。


「凄いぞドロシー。さっきから腰が浮きっぱなしだ。ここを捏ねられると堪らないんだろう」


 アンガスはそう言うとGスポットを強く抉ってきた。指先で腹側にある弱点を集中的に嬲られて悶絶する。


 何度も何度もそこばかり繰り返される。


 蜜壺からは壊れた蛇口のように愛蜜が吹き出し、アンガスの手は手のひらどころか手首まで濡れている。


(負けたくない、絶対負けるもんか!)


 そんな気概とは裏腹に、一度火が付いた身体は止められない。子宮の奥のほうが切なく疼くのを感じた瞬間、膣肉全体が収縮して指を締め上げた。


 今までにないほど強烈な締め付けだったらしく彼も驚いた様子だった。


「ドロシーの身体は俺に女にされたがって悦んでいるようだぞ。ほら聞こえるだろう、膣内の音が大きくなってきてる」


 ぐちょぐちょにぬかるんだ水音が響く。雨降りの日に長靴で泥んこを歩いたような音だ。


「やめろ! そんな音を聞かせるなっ!」


 耳を覆いたくなるが腕を動かすこともできない。


「ねえ、ドロシー、さっきから俺が君の名前を呼んでることにも気づかないくらい、これに夢中なのかな」


「はぁ……はぁっ……え?」


 アンガスの指摘でようやく気づいた。そういえばこの男はさっきから何度かドロシーと呼んでいたような気がする。まだ名前は教えてないのにだ。


「わたし……なま、えっ……おしえてな、い……」


「すまないね。本当は最初から君のこと知ってたんだ。共和国の女スパイに俺の暗殺命令が下ったと耳にしてね。どんな女が来るか下調べして待たせてもらった」


(こいつ、はじめから私を狙ってたのか!)


 アンガスはハニートラップを予期して逆に待ち伏せていたのだ。計画の詳細や送り込まれてくる人員まで分かってるなら、コントロールに内通者がいる可能性が高い。


 そうとも知らず自分は彼と二人きりになれたことで計画が順調だと思いこんでしまった。


 迂闊な自分に腹が立つ。


 今さら気づいたってどうしようもない。


「あっあっあっあっ――あぁっっ♡♡♡ あああっ♡♡♡」


 高ぶった肉体はまたしても暗殺対象の手によって高みへと導かれる。腰から下が別の生き物になったかのようにガクガク震え出した。


「イキそうか? 我慢せずにイっていいんだぞ」


 アンガスは耳元で甘く囁くと陰核を押してくる。親指の腹で敏感な豆粒がゴリュッと滑った。自分が出した淫らな汁でクリトリスを擦られて気が狂いそうになる。


 法悦の極みに達する直前、最後の力を振り絞ってドロシーは叫ぶように訴えた。


「あっ♡ ああ゛っ♡ やめっ♡ もうイっちゃうっ♡ イカされちゃうっ♡♡ イキたくないのに♡♡ もう許してぇええええっっ♡♡♡」


「ああ許してやる。イッていいぞ、盛大にイケ」


 トドメとばかりに彼は乳首を口に含んだ。唇を使って優しく甘噛みする。同時に膣内では二本の指がGスポットを責め立てる。クリトリスを捏ねくる指との巧みなコンビネーションに為す術もなく翻弄されるしかなかった。


 じゅるるるっと下品な音を立てて吸われた瞬間、喉が詰まって窒息しかけた。


 ぐっと空気が喉奥で圧縮されたあと一転して、詰まっていたパイプが通ったように大音量の喘ぎが絞り出される。


「うっ♡ うぁっ♡ あへっ♡ おっ……あひっ♡ ほ、ほほっ♡ ゆるひへぇっ♡ ゆるひてぇぇっ♡ もうゆるひてっ♡ おっ♡ おっ♡ んおぉぉぉおおおおおっっ♡♡♡」


 頭の中で火花が飛び散り、目の前が真っ白になる。


 全身が硬直し、次の瞬間には弛緩した。


「あっ♡ ああぁぁ――っっ♡♡ あ゛ぁ~~っ♡♡♡」


 脳髄が蕩けるような甘い刺激が身体中を駆け巡る。


 喉ばかりではない。膣肉も悲鳴を上げながらアンガスの指を食い締めていた。彼の指に絡みついた肉ヒダが異物を美味しそうにしゃぶる。膣全体が蠢く蠕動運動は、もっと深いところまで触って欲しいと誘い込んでいた。


(なにこれ……こんな感覚知らない……)


 キモチイイだけではない。強烈なエクスタシーと背中合わせに切なさ、物寂しさ、寄る辺なさ、そんな言葉でしか表しようのない感情も生まれた。


 気持ちいい、とにかく気持ちいい。だが同時に心細い。


 そのとき、アンガスが手を握ってくれた。大きくて温かい手だった。彼の手に包まれていると不思議と安心する。


 本当は殺さなければならない相手なのに。この男を殺さなければ任務は終わらないというのに。


 ドロシーからも手を握り返した。まるで恋人同士のように指を絡め合う。すると不思議なことに心が安らいだ。さっきまであった切なさや物寂しさが消えていく。


 後に残ったのは悪いクスリでも使ったような多幸感。


「さて、そろそろいいか」


 アンガスが身体を起こした。ズボンの前を寛げる。下着から取り出された逸物は雄々しくそそり立っていた。太く長い幹には血管が浮き上がり、亀頭の先端からは透明な液体が溢れている。


「これから何をされるか分かるかい?」


 勃起したペニスを見せつけられて分からぬはずはない。しかし口に出して言うのが恐ろしくて、ドロシーは彼から顔を背けてしまう。


「これが今から君の中に入るんだ」


 彼の欲望が下腹部に押し当てられた。熱い。そして大きい。見なくても気配だけで威容は伝わってくる。


「嫌なら今すぐ舌を噛んで死ぬといい。好色で絶倫な男に捕まった女スパイが尊厳と秘密を守るにはそれしかない。だけど」


 アンガスは自分の肉棒を手で支えると先端を秘裂に押し当てた。愛液と先走り液が入り混じって淫猥な音を立てる。挿入への期待からか勝手に腰が動いてしまう。


(ダメだ、欲しいなんて思っちゃダメなんだ)


 頭では分かっているのに身体は本能に正直だった。早く入れてほしいと腰が揺れる。自分から彼を迎えに行ってしまう。


「俺を受け入れるなら今日の暗殺任務も共和国も、どうでもよくなるくらい気持ちよくしてやる」


 極太の亀頭冠が未開通の肉を押し開く。彼の一番太い部分がドロシーの肉を巻き込みながら侵入してくる。


「んぁっ♡ あっ♡ ふぁああっ♡♡」


 まだ先端しか入ってないのに甘ったるい声が出てしまった。


(こいつ、わざとゆっくり……大きさとか、形とか、硬さとか、理解させるために時間を掛けて……)


 初めて男のモノを受け入れたはずなのに、ドロシーの身体は既に快感を覚え始めていた。


 膣内を埋め尽くしている肉茎の大きさは圧巻だ。エラの張ったカリ首、脈打つ竿、その下の二つの玉袋、すべてが規格外。


 これで膣ヒダをゴリゴリ擦られたらどれだけ気持ちよいだろう。指であれだったのだ。指より遥かに力強く、硬く、出っ張った反り返りでグチャグチャにされたら。


 考えただけで背筋が震えた。


 アンガスが腰を沈めてくる。ぐちゅっと音を立てて膣洞が押し広げられていく。少しずつ、着実に。


「どうやらドロシーは本当に初めてだったらしいな」


 彼の先端が膣内で何かに触れていた。その何かがアンガスの行く手を阻んでいるらしい。彼は腰を一旦止めると、その場で小刻みな律動を繰り返した。


「んっ♡ あぁっ♡ そこぉっ♡」


「ここかな?」


「ふぁぁあっっ♡♡♡」


「もっと感じるんだドロシー。男はな、自分で感じてくれている女は可愛く見えるものさ、もっと俺に気に入られるように媚びるんだ。そうすれば生かしておいてやる」


「な、なにを……ひゃぁんっ♡」


「スパイは重罪だ。若い女だからといって手心を加えてもらえるとは思わぬほうがいい。こんな生ぬるい方法ではなく、血生臭い拷問で吐き出させるだけ情報を吐き出させたあと、処刑される可能性だってあるんだ」


 処刑。その言葉が夢見心地になっていた頭を瞬時に現実へと引き戻す。


 それは王国に潜入したときから覚悟していたことだった。スパイと露見しては幸福な未来など望めぬ。しかし可能性の一つとして頭で理解していることと、実際に我が事として降りかかってくることは違う。


 恐怖で身が竦むと膣洞も狭まりアンガスの剛直を搾ってしまう。


「怖がるなドロシー。俺のために働くなら生かす道を考えてやる」


「二重スパイになれって言うのか」


「見た目だけじゃなく察しもいいな。頭の回転が速い女は好きだぞ」


 アンガスの腰が一歩深く沈められる。処女膜が限界まで引き伸ばされる感触があった。


「うっ♡ くぁっ♡ う゛っ♡ あっ♡ あ゛っ♡」


 今まで誰も受け入れたことのない場所を蹂躙されながら喘ぐことしかできない。


 ここで断ったらどうなるのかと考えてみる。


 ドロシーの名前や所在は全てアンガスに把握されている。よしんばこの窮地を脱出できたとしても学園には戻れない。学園に近づけなければ何も知らないチームメンバーに、自分たちがスパイだとバレだと伝えることもできない。


(単独で出てきたことが徒になったか)


 ドロシーのチームは五人。だがそのうち正規のスパイ訓練を受けたのは彼女とアンジェの二名だけ。ちせは主命とあらば人を斬る覚悟もあろうが、プリンセスとベアトリスに至っては一般人と呼んで差し支えない。


 覚悟が決まってない人間をぞろぞろ連れて来るのは邪魔になるかもしれない。それに正規のスパイでない彼女たちに経験させたい部類の仕事でもなかった。


(アンジェは心配してたっけ。どんな任務でもバックアップが必要だ、自分が後詰めでついて行くって。……言うこと聞いてりゃよかったな)


 一人で大丈夫だと大見得を切って出てきてこの様だとドロシーは自嘲する。


(私一人だけなら自業自得だが、あいつらを道連れにするわけには……)


 自分のために仲間まで殺されるのは耐えられない。それを必要な犠牲と割り切れるほど、ドロシーの心は凍りついていなかった。


 身体から力を抜く。努めて脱力するとアンガスはこちらの意図を汲み取ってくれた。


「賢明な選択だ」


 言葉と同時に一気に貫かれた。熱い塊が肉ヒダを掻き分けて入ってくる。


「ひゃううううんっっっ♡♡♡」


 処女膜を破られる瞬間は痛みを感じたが、その後は脳が痺れるほどの幸福感が全身を包み込んだ。


「あはっ♡♡ あんっ♡♡ あああぁああっ♡♡♡」


 喘ぎ声の抑えようもない。一息に最奥まで貫かれた衝撃で意識が別なところへ持って行かれる。


 子宮口に亀頭がぶつかるたび視界がチカチカ明滅する。下腹部から脳へ快感の波が何度も押し寄せてくる。


「どうだ、俺の味は?」


 アンガスが抽送しながら尋ねてくる。答える余裕はない。まともに言葉を紡ぐことすらままならないのだ。


「んぐぅ♡ おぉっ♡ んおぉおおお゛お゛っ♡♡ ぉお゛っ♡」


「思ったとおり男を咥える才能あるな。お前の中は最高だぞドロシー。そっちはどうだ。答えろ!」


「あぅ♡ あひぃぃっ♡♡♡」


 パンパンという音が室内に響く。


 膣壁が削られるようにカリ高の男根が出し入れされる。一往復ごとに快感の度合いが強くなっていく気がした。もう何も考えられない。具合はどうかって? 最高だ。最高すぎて人間の言葉を忘れてしまう。


 アンガスの問いにドロシーは何度も頷いて答えた。彼の怒張が自分の胎内に入っているというだけで幸せを感じるほど官能の渦に呑まれている。


 これ以上気持ちよくされたらどうなってしまうのか。期待感が高まり胸が高鳴る一方で、未知の感覚に恐怖も覚えていた。


 その怯えが表情に出ていたのか、アンガスは叩きつけるようなピストンから責め方を変え、今度は焦らすようなストロークを始めた。


 最初は小刻みに腰を律動させながら膣壁の至るところを刺激される。どこを触られても気持ちいいが中でも数カ所、視界を閃光が駆け抜け目の前が白一色に染まるポイントがあった。


「ここか、こっちもかな」


(探られてる、私のナカを。どこが感じるか調べられてる)


 医者の触診にも似た動きで次々に弱点を暴かれてしまう。自分でも触れたことがない膣奥の淫らな場所を他人に教えられる。恥ずかしいと思うより先に身体が悦びを感じていた。


 アンガスは亀頭の先端で膣奥にあるスポットを突いた。


「ひぎぃっっっ♡♡♡ あぅっ♡ そこっ♡ らめぇっ♡ ふぁぁああっ♡♡♡」


 突かれた場所から全身に甘美な漣が走る。痺れるような感覚が手足の先まで広がって、腰がガクガクと震えた。膣内がキュンキュンと締まり、アンガスの形がはっきりと分かった。


 愛液の分泌量が尋常ではない量になり、剛直と粘膜の間に滑りをもたらしていく。挿入時に感じていた圧迫感や痛みは消えていた。代わりに快感のボルテージが上がりっぱなしになる。


「だいたい分かったぞ。こうだろ」


 そう言ってアンガスはリズミカルなピストン運動に移行する。


「んぁぁ♡ やめっ♡ やめろぉぉおおっ♡♡♡」


 ずちゅっ、じゅぽっという淫らな水音を立てながらペニスが出し入れされる。淫蜜が掻き出されるたび気が狂いそうになった。


「一度受け入れたんだ。諦めて気持ちよくなることだけ考えてなさい」


 パンパンに張り詰めた亀頭で子宮口を捏ねくり回されると背中が仰け反る。ドロシーは白い喉を天井に向けた。


 全身を貫く快感に理性が溶けていく。アンガスの言う通りに何もかも忘れて享楽に浸りたくなる。


「いやだぁぁっ♡ やめろ……やめてくれ……こんなの、知らないぃいっ♡」


 ドロシーの口から出た言葉は拒絶ではない。許容量をはるかに超えた快楽に戸惑っているだけだ。


 初めてのセックスが気持ちよすぎて、全身がバラバラになってしまいそうなほど感じている。その証拠に彼女は無意識のうちに自ら腰を振っていた。下から腰を突き出し、もっとポルチオを捏ねてほしいと尻を回す。


 執拗な愛撫を重ね、どこを触られてもよがってしまうほど敏感にされた身体の最もセックス向きな場所を、セックスのための道具で責められて平気でいられるはずがない。


 身体は歓喜に打ち震え、目から随喜の涙をこぼす。


「あっ♡ あひっ♡ あうぅうっ♡♡ また、なかで、おっきく♡ ひぃッ! もう大きくするな、そんなの入らねえよ!」


「慣れると大きいほうが好きになる。早く俺の形に馴染むんだな」


 断言されてドロシーは何も言い返せなかった。経験不足ゆえ彼の言葉を嘘とも本当とも判断できない。


 子宮口に鈴口がめり込む感触があった。これまで経験したことがないほど奥まで侵入を許してしまっている。秘めやかな場所に押しつけたまま彼が腰を回す。ぐりぐりと子宮口を押されると瞼の裏に火花が散った。


「うあぁああっ♡♡ それ駄目っ♡ だめぇぇっ♡♡♡ これ無理っ♡ 耐えられないぃぃいっっっ♡♡♡」


 一際高い声とともに腰が浮き上がる。足指がぎゅっと丸まり爪先がシーツを噛んだ。


 責められてるのは下腹部だが、そこで生じた快楽物質は神経を通じて全身に伝わるため、全身あちこちが疼く。


「もう少しだけ耐えろ。俺もイクぞ」


 アンガスは額に玉の汗を浮かべ、僅かに開いた唇の隙間から息を吐き出す。そして恥骨と恥骨をぶつけるような激しいピストンを開始した。


「んっ、んんっ、はぁぁあ……ああぁんッッ!」


 蕩けた媚粘膜を突き回され、シーツを握る手足に力が入った。膣内を蹂躙されるのがこんなに気持ちいいとは知らなかった。


「イくっ、また……イキたくないぃいっ♡」


 必死に歯を食いしばって耐えるが絶頂はすぐそこまできている。


「堪えなくてもいいんだぞドロシー。ほらイッてしまえ」


「やっ……やだっ、やだって……いってる、のに……あぅうううっっ!!」


 アンガスは、子宮を亀頭で押し上げると同時に、手を子宮の真上に置いた。そして膣内から突き上げるのとタイミングを合わせ、外からも圧迫する。


 内と外からの同時攻撃をポルチオに受け、ドロシーは張り詰めた緊張の糸が容易く断たれる。


(あ……やばい……死ぬ……私……死んじゃう……)


 強烈なエクスタシーが子宮を中心にして全身に広がっていく。子宮全体がジンジンと疼き、膣道は激しく収縮する。


「~~~~~~ッッッ♡♡♡♡」


 声にならない叫びをあげてドロシーは達した。その余波で子宮口がアンガスの先端を咥え込み吸引する。


 アンガスの男根から熱い迸りが放出される。大量の白濁を子宮に注ぎ込まれた。体内から存在を造り変えられる。共和国の女スパイではなく、彼の女に上書きされてしまうのを感じた。


 空中に放り出されるような衝撃で息を止めたまま絶頂していたドロシーは、長いオーガズムに溺れていたが、やがて意識が戻ってくる。


(あぁ……膣内射精までされたんだ私……)


 ようやく現状を認識できたとき、彼女の心は敗北感でいっぱいになった。スパイとして鍛えてきた肉体は短時間で彼の前に屈服した。せめて心までは支配させない。そう思って気丈に振る舞おうとするが、守っていたつもりの名前や所属といった秘密はとっくに知られており、チームの他のメンバーさえ把握されている。


 全てにおいてアンガスは自分の上を行っていた。


 抵抗など無駄だと諦めてしまったほうがいいのかもしれない。彼が言うように従順で可愛い女として振る舞い、愛人の真似事でもしたほうが賢いのだろう。


 しかし、それを素直に受け入れてしまうのは癪だった。


「……お前なんか大嫌いだ」


「そうか? 俺は好きだぞドロシーの身体」


「死ね!」


 まだ身体に力が入らないながらも、なんとか悪態をつく。


 アンガスは満足そうに笑い、ドロシーの身体を引っ繰り返した。尻を掲げさせる格好。バックから犯すつもりらしい。


「えっ? ちょっ! まさか、まだ続けるつもりか!」


「当然だろう? 言ったよな、ドロシーを捕まえた男は好色で絶倫なんだって。一回で済むと思ってたのか?」


「んぁっ♡ そんなっ♡ ふぁっ♡♡♡」


「お前はこれから俺専用だ。どこへも逃げられない。たっぷりと可愛がってやる」


 男は一度射精すると連射できない、そんな養成所で教えられた知識とは異なり、アンガスの屹立は勢いを失っていなかった。まだまだ犯したりないと再挿入される。


 膣内の浅い部分をカリ首で抉られながら、数回に一度子宮口を押し上げられ、膣内で快感が弾ける。


「ひぅっ♡ んぁっ♡ あっ♡ ああぁぁっ♡♡♡ んぐっ♡ あぅっ♡」


「さっそく俺のモノに馴染んできたな」


 背後から囁くアンガスの声は満足げだ。


「こういう動きもいいだろ」


 彼は一度抽送を止め、ゆっくりと腰をしゃくり上げ始める。肉棒の反り返りが膣内を刺激し、それだけで腰が砕けそうになった。


「あぁああ♡ あんっ♡ あぅうん♡」


「だけどやっぱり一番は激しく突かれることか?」


 肉槍が勢いよく出入りを繰り返す。根本まで押し込むや切っ先が抜ける寸前まで引き、また休む間もなく根本まで埋め込む。愛液とナカ出し精液の混合液が秘裂を濡らし、互いの陰毛を絡み合わせることで泡立っていた。


(ああ……すごい……私の身体……悦んでる……)


 一突きごとに手足から力が抜け倒れそうになる。身体が快楽の味を覚え始め、さらなる刺激を欲する。ドロシーは自分のほうからも尻を押しつけ、グラインドさせた。


「こんなに濡らして、そんな動きまで。お前は最高の淫乱女だよドロシー」


 彼女の媚びた動きは男の望むところでもあったらしく、剛直はさらに大きさを増した。亀頭のエラがヒダを擦り上げるたびに手足が麻痺する。


(あぁっ♡ こんなの知ったら戻れないっ!)


 子宮を押し潰されると快楽中枢に火がついてしまったかのように熱くなる。蜜壺から淫蜜が溢れ出すのが分かった。


「はぁ♡ はぁ♡ い、いいっ♡ 気持ちいいっ♡ 子宮の中まで犯されてっ♡ んっ♡ はあっ♡♡ ああ♡ あ゛っ♡ あ゛っ♡ こつ、こつすごいいいいっ♡♡♡」


 バックからのピストンでドロシーの巨乳が派手に揺れる。背後から覆い被さったアンガスがそれを両手で掬い上げた。


 前戯で暴かれた耳や首筋の性感帯に舌を這わされつつ、乳房も丹念に揉まれた。


 うなじにキスされたかと思うと、所有者の印でも押すかのように甘噛みされる。


「ここなら髪で隠れるから大丈夫だろ」


 耳元で囁く彼にダメだとは言えない。


 うなじから背筋へと彼の唇は移る。背骨を一個ずつ数えるようにキスされる。戯れのような愛撫がもどかしい。


 彼の指が背中をなぞる。腰から下は大きすぎる性感に押し潰され、彼の滾りを感じる以外の感覚はなくなってしまったのに、背中は触れられただけで全身わなないてしまう。


「ふわぁあ♡」


「敏感だな」


 アンガスの指先がペンキを塗る刷毛のように背中を何往復もする。


「今まで抱いたどの女よりも感じやすい。こんな極上の身体を味わえるなんて俺は幸せ者だ」


 言いながら背中を愛撫していた手が腋に滑り落ちてくる。まさかと思った次の瞬間には横乳のツボを押された。


 ドロシーの反応は劇的だった。背筋を弓なりに仰け反らせ、顎を天井に向ける。子宮口を突き上げられるのとは別の、身体の奥底から込み上げてくる絶頂だった。


 絶頂の最中であってもアンガスの責め手は緩まない。腰を密着させて円を描くように動かすと子宮口がコリコリとした弾力を伝えてきた。


「うぁああぁぁっっ♡♡♡ やめ……やめて……イク……またイってるぅ……んうぅうっ♡♡♡」


 ドロシーは身悶えしながら懇願する。


「もうダメだっ! ああぅうううぅ♡♡♡ これ以上は耐えられないぃぃ……」


 涙混じりの哀願にも耳を貸さず、彼はピストンを続けた。激しい動きではない。だがそのぶん深いストロークになる。カリ首がGスポットから膣奥まで満遍なくこそぎ上げられる。膣壁全体が降参して彼に媚びを売っていた。


 そして再びあの高みがやってくる。


「イっ……イくぅうううううッッ♡♡♡ また、くるぅううッッ♡♡♡」


 大きく開いた口から絶叫が飛び出る。膣粘膜全体が収縮し、彼の分身にしがみつく。これまでで一番深くて大きなアクメを迎えていた。全身が痙攣して呼吸すらままならない。


 四つん這いを支えていた四肢から力抜けて今度こそベッドに倒れ込んだ。


「少し休憩しようか。息を整えたら他にもいろいろと試してみよう」


(まだするつもりなのか、本当に底なしかよ)


 彼の旺盛すぎる性欲に呆れながら、ドロシーは束の間の休息を味わった。




     ※




 その日からドロシーは週に一回程度のペースでアンガスから呼び出しを受けるようになった。


 コントロールには『隙がないため暗殺を実行できなかったが、彼の懐に飛び込むことには成功したので暗殺の機を窺いながら、彼が油断するときを待つ』と報告した。


 アンガスにそう言えと指示された。


「暗殺に失敗して拘束された。だけど五体満足で帰してもらえましたなんて話してみろ、裏切りを疑われてその場で捕まるぞ」


 恐らく彼の言うとおりだろうとドロシーも納得した。


 表向きはアンガスの情婦になった体で動いている。彼が女を取っ替え引っ替えするのは今に始まったことではないので、表の顔しか知らない貴族たちはまた新しい女を作ったのか程度にしか思ってない。


 裏では共和国を裏切る二重スパイとしてアンガスに情報を渡している。だけど彼が本当に欲しいものは、下っ端スパイが持ち出せる程度の情報じゃないことにドロシーは気づいていた。




「んっ♡ あんっ! くぅぅっ♡」


 光を落とした暗い寝室で橙色の柔らかい光に女の裸体が浮かび上がる。ベッドの上で男に跨がり腰をくねらせる彼女の肉体は、二十歳の瑞々しさに溢れていた。


「――あぁぁああっ♡」


 自分で腰を動かし、膣内の好いところにアンガスの段差がくっきりしたモノを引っ掛けると、ドロシーは仰け反る。長く艶めいた黒髪が背中で大きく広がる。一突き毎に大きく柔らかそうな乳房がプルプル震えた。


「すればするほど上手くなるじゃないか。ハニートラップを仕掛けてきたクセに処女だと知ったときは驚いたが、こうやって教え込む楽しみを残して俺に会いに来てくれたんだな」


 男が嘲笑うと、彼女は頬を赤くして恥ずかしそうに顔を背ける。


 しかし拗ねた表情も下からトンッと行き止まりを突き上げられたら瓦解する。


「ん゛んッ♡♡♡」


 脳天まで貫かれる感触に舌を突き出して仰け反った。そのまま後ろに倒れ込んでしまいそうになったが、アンガスの手が腰に回されているせいで倒れ込むことができない。


 結合部から愛液が溢れ出て二人の下腹部を汚した。


 すっかり飼い慣らされたポルチオは、奥の奥を貫かれると身動きできなくなってしま。腰の力だけで自分の身体を軽々と跳ね飛ばす彼の力強さにくらくらする。


「くぅっ♡ ひぁあっ♡♡ すごっ♡ いいっ! 気持ちいいっ♡♡♡」


 アンガスは両手で女の柔らかな尻を掴み、乱暴に揉んだ。むにゅっと尻肉が歪み、指先が沈み込んでいく。


 そのまま彼のほうへ引き寄せられると、結合が深まった膣内で子宮が亀頭にイジメられる。


「んあぁっ! や、やめろぉ……んぅっ♡ おくっ、ぐりぐりするなぁぁ……おっ♡ んっ♡」


 下半身を両手でしっかり固定される。膣奥は今晩だけで数え切れない回数の絶頂を刻み込まれた。イク感覚が刷り込まれ敏感になっている。


 鋭敏な神経が集中する場所を攪拌されると、幸せな窒息感に襲われた。


「んんっ♡ んんっ♡ んくッ……♡ ンんんんぅ……はぁ……あぁんっ♡ あひぁっ♡ ひゃうぅうっ! あっ♡ だめっ♡ そこばっか♡ ずるいっ♡ イくッ!」


「なにがズルいんだ? 言ってみな」


 意地悪そうに笑う男はさらに腰使いを激しくする。肉棒の先端が膣壁を抉り、カリ首がヒダヒダを掻き出すように擦る。一擦り毎にドロシーは我を忘れていく。ただ目の前の快感に流されるだけの存在になり果てる。


「こんなっ……はっ、あっ♡ すごいので、女を、自分のっ! ――言いなり、にぃッ♡ しやがってぇえっ♡♡」


「それで?」


「こ、このクズ野郎っ! はぁあんッッ♡♡♡ こんなに、はぁあっ♡♡♡ 盛りやがって♡♡ 変態のクズ野郎っ♡♡♡ んんンッ♡」


「俺とのセックスで夢中になってるドロシーだって十分変態じゃないか。騎乗位で嬉しそうに腰振っておいて言えた台詞じゃないぞ」


「そんなこと、言ったって……んあ゛っ♡ あ、あんたのが、かたいぃいっ♡♡ わたしの弱いところっ、ずっとグリグリされてぇ……ひぃんっ♡ ま、また、イキそ……い、いやっ♡ まだイキたくないぃっ♡ イカされたくないぃぃいっ♡♡♡」


「もっと動いて俺を気持ちよくしてくれよ」


 そう言ってアンガスはさらに彼女の尻を左右に揺さぶる。膣内で男根が暴れると内臓まで揺さぶられるような錯覚に陥った。


「んあ゛ぁぁあ゛あ゛っっ♡♡♡」


 彼の上で踊るような格好になりながら、必死に身体を上下させる。こんなこと長く続けられていたら身がもたない。少しでも早く彼を射精させようと、自ら子宮口へ鈴口を押しつけるように動いた。膣奥の子宮口は亀頭の先っぽにキスするように蠢く。


「そろそろイッておこうか」


「ふわぁああぁあっっ♡♡♡ ちょっと待っ、待て! それはダメだぁっ♡♡♡」


 彼の指先が陰核に触れてきた。皮を剥いて剥き出しになった突起を指の腹で撫で回す。快感の神経を直接触られるような感覚だった。


 腰から力が抜け上体を立てておけず、彼の胸板に倒れ込んでしまう。


 飛びついてきたドロシーの身体を受け止めると、アンガスは密着した状態から腰だけ別な生き物かのように激しく動かす。


「ふわっ♡ ふわぁああっっ♡♡♡ やめてくれぇぇええっ♡♡♡」


 男の広い胸板に抱きしめられながら官能に翻弄される雌の声を出した。背中に回された腕の力強さが心地よかった。


「はぁっ♡ あっ♡ あんっ♡ ふぁあああッ♡♡♡」


 尾を引く悲鳴を上げながらピストンに合わせて腰を振りたくった。身体が勝手に動き出し止められない。もうこの男から離れられないのだと悟ってしまう。


「ぅぁああアッ♡ あっ♡ は、んっ♡ ぅひンっ♡ く、くるぅうううッ♡ ああああッ! ふぁああああ!」


 身体の奥で熱い飛沫を感じると同時に意識が爆ぜた。気が遠くなる。全身の細胞が彼との行為に酔い痴れていた。


 肩で息をしながら呼吸を整えていると、男が頭を撫でてくれた。その手つきは優しくて、まるで本当の恋人のようだった。


「最近の調べで分かったことだが、ドロシーはアンジェの正体を知っているか?」


 朦朧とした頭では唐突な話題の変化についていけない。ドロシーはしばし沈黙してから首を横に振った。


「そうか。それなら知っておくといい」


 そう言ってアンガスは話し始める。その内容はドロシーにとって衝撃的なものだった。


 自分たちがプリンセスと呼んでいる王女は偽物で、もともとは路上生活をする孤児だったこと、アンジェこそが本物の王女シャーロットであること。


「幼いころ外見が瓜二つだった彼女たちはお互いの立場を入れ替え、たまに違う人間として過ごしていた。革命の日も入れ替え遊びを楽しんでいたのだろう。だが革命の混乱で元に戻る機会を逸してしまった」


「そんな……」


「俺が調べた限りだと、革命直後の王宮でシャーロット王女は、自分は本物の王女じゃないと叫んだそうだ。だが周囲は殺気立った雰囲気に錯乱した王女が、おかしなことを言ってると真剣に取り合わなかった」


 アンガスの言葉が頭に入らない。彼がなにを言っているのか理解できなかった。


「……うそだ」


 思わず否定の言葉を口にする。しかし同時に納得している自分がいた。彼の言うとおりだとすれば、プリンセスと瓜二つの少女がたまたま共和国でスパイをやっていて、自らスパイと王女を入れ替えるチェンジリング作戦を立案して共和国に行きたがった理由が説明できそうだった。


「こんな話をしたのは他でもない」


 彼が下から腰を揺らしてくる。まだ硬いままの剛直が精液だらけの膣内を掻き回した。


「二人を捕まえるのに協力してもらいたい」


「なんのために」


「決まってるじゃないか」


 彼はドロシーを抱きしめたままベッドの上で横に転がる。


 天地がひっくり返る目眩が落ち着くと、上下のポジションが入れ替わり正常位で刺し貫かれる格好になっていた。


「本物のプリンセスと偽物のプリンセスを食べ比べしたいのさ。せっかくそっくりな顔をしているんだ。どちらか片方だけではもったないだろ? 俺は可愛い女の子が大好きなんだ」


「……下衆野郎」


 吐き捨てるように呟く。


「お前は最低最悪の下衆野郎だ。もげ落ちちまえ」


「そんなことを言って。本心じゃないんだろ」


 顔を寄せてきて軽くキスをする。それから何度も角度を変えて唇をついばむバードキスを繰り返す。唇を甘噛みされると強張っていた肩から力が抜け、それ以上は文句を言えなかった。


「これがなくなったら今後の人生、なにを楽しみに生きていくつもりだ」


 今度は耳に唇を寄せて囁く。舌が耳穴に侵入してきたかと思うと、ピチャピチャと音を立てて舐められた。水音が頭の中に響く。くすぐったさと気持ちよさがない交ぜになって、頭の中まで犯されている気分になった。


「うああっ、ああっ♡ やめっ……やあぁああっ♡ あぐっ、ううっ♡」


 男はニヤニヤ笑いながら耳朶を噛む。歯型の跡が残るほど強く噛まれ、痛みと快感にドロシーは仰け反る。


「ひぅっ♡ んっ……くぅっ♡」


「こんなにいいことを独り占めするつもりか? 楽しいことはみんなで分かち合わないと」


 男の律動に合わせドロシーの身体が上下に揺れる。肉棒の先端が子宮口をノックするたびに甘い声が漏れる。その反応を楽しむようにリズミカルな抽送が続いた。


「私が協力しなかったら……あぁ♡ くそっ♡ んあ゛あ゛ぁぁあ゛あ゛っっ♡♡♡ どうする、つもりなんだ、よぉッ!」


「どうもしないさ。他にも方法は考えてある。だけどドロシーが協力してくれれば一番手堅い」


 ピストン運動に合わせて乳房が揺れ、男を誘うように媚びていた。それを両手で鷲掴みにして力強く揉んでくる。指先が乳首を掠める。


「はぁッ♡♡ んぁっ♡ あっあっあっあっ♡♡ おふっ♡♡ ふうぅんッ♡♡♡」


 膣内で膨張していく陰茎の存在を感じると、無意識のうちに膣壁を締めていた。雄の精を求めて蠢く肉ヒダの感触に男が嬉しそうに笑う。


「ドロシーの身体は俺の言うことを聞く気みたいだな」


「そ、そんなことないぃいいっ♡♡ あひぃっ♡♡ やぁあっ♡♡ あひっ♡♡ おほぉおおっ♡♡♡」


 アンガスは腰の動きを速めた。膣奥のポルチオを容赦なく小突かれる。激しい突き上げにドロシーは絶叫した。苦痛に歪む表情を見て興奮したのか、さらに勢いをつけて突き込んできた。


「あぎっ♡♡ あふぅっ♡ はっ、激しすぎるぅうっ♡♡♡ も、もっとゆっくりしろぉおぉっ♡♡」


 息も絶え絶えになりながら訴えるが、却って男を喜ばせてしまう。


「そんなに気持ちよすぎて辛いのか?」


 意地の悪い質問をされ、顔が赤くなるのを感じた。


「二人を引き入れたら自分が相手してもらえなくなると思ってるんだろ。安心しろ。二人にしたのと同じだけドロシーにもしてやる」


 結合部からは愛液が飛び散りシーツを汚していた。汗と涎と涙でグショグショになった顔は酷い有り様だろうが、今のドロシーには自分の姿を気にするする余裕もない。


 脳髄まで蕩けそうだった。熱い吐息を漏らしながら絶頂に向かって駆け上がる。


「あっあっあっ! やっあっ♡ いくぅっ♡ また、いくうううううっ♡」


「イキそうなんだろ? だったら俺の言うことを聞け」


 耳元で囁かれた言葉に頷くことしかできない。もう限界だった。この男の手でイキたかった。


「イキたぃっ♡ もうイキたいぃっ♡♡♡」


 ドロシーは切羽詰まった声で叫ぶ。


 この男に狙われた時点で終わりだ。私が意地を張っても、どのみち二人も自分と同じ目に遭う。それなら素直に従って私は私でイカせてもらったほうが利口だ。


 ドロシーはアンジェやプリンセスの身に起こるであろう事への責任を自分の中から押しやった。


 覚悟を決めてしまうと急速に抵抗心が薄れていく。代わりに快感への渇望が高まった。早くイカせて欲しいという欲求に頭が支配される。


「ああっ♡ 分かったぁッ♡ なんでも言うこと聞くからぁあッ♡ はやくっ、イカせてくれえぇええッッ♡♡♡」


「いい子だ」


 アンガスは満足げに微笑むとピストン運動を再開する。亀頭が子宮口にめり込むような勢いで叩きつけられた。膣内では無数のヒダが絡みつき、陰茎を舐めしゃぶるように蠕動している。それが気持ちよくてたまらないのだろう。彼の表情が恍惚としていた。


 射精が近いことを悟りドロシーは身構える。程なくしてその時はやってきた。


 勢いよく白濁が。膣内を満たす大量の精液の感触に身体を震わせる。同時にオーガズムを迎えた。


 ひときわ甲高い嬌声を上げる。五感のすべてがアンガスの気配と彼が与えてくれる快楽に支配された。


「ああ……いっぱい出てる……♡」


 うっとりとした恍惚の表情で呟く。自分がどれだけ卑猥な表情をしているのか自覚はなかった。


「これからも俺の言うことはよく聞くんだ。お前はもう俺の女なんだからな」


 アンガスはドロシーの顎を掴むと唇を奪った。忘れようもないくらい深く覚えさせられた彼の味を感じつつ、ドロシーは自分からも抱きしめ返して頷いた。


暗殺に失敗したドロシー_横書き


暗殺に失敗したドロシー_縦書き


後書き


大英帝国の首都ロンドンを思わせる街にベルリンの壁よろしく東西を別つ壁が建てられた世界を舞台に、女子高生たちがスパイアクションを繰り広げるアニメ『プリンセス・プリンシパル』は近々劇場版第3弾が公開されます。


……禊の宣伝はこれくらいにして。


ドロシーいいよね。20歳なのに潜入任務のため女子高生を演じさせられてたり、学校では人避けもあって不良を演じてるのに酒は飲めるがタバコはからっきしで噎せたり、潜入先で父ちゃんと再会したのにあんなことになっちまったり。


お色気担当なのにハニートラップの方法が「おっぱいを揺らしながら近づく」しかないあたり、公式設定の実は純情と合わさって処女っぽい。


今回はドロシーをじっくり責めてたら入らなかったけどアンジェ。


共和国の優秀なスパイだが実は王国の本物の王女


幼少期にアンジェと入れ替わり現在は王女として暮らしてる元孤児で掏摸の少女がプリンセス。


お二人ともどことは申しませんがグッズ絵になると盛られてません? 特にプリンセス。