AI生成画像の著作権の問題 (Pixiv Fanbox)
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ネットが普及し画像や動画があふれ誰もが作れる時代となり、それと共に著作権の問題も頻発するようになりました。さらに人ではないAIが急速に発達し、このところAI絵師?界隈を賑わせているのがこちらのツイート。
このツイートは米国の知的財産弁護士のフランクリン・グレイブス氏が投稿したものでカシュタノバ⽒の「Zarya of the Dawn」というAIを利用したコミックの著作権が米国著作権局(USCO)によって取り消されたことを伝えています。
(ここからの内容は私の解釈として書いて言いますので誤りもあるかと思います)。
著作権取り消しまでの経緯
このコミックはAIによる画像生成ができる「Midjourney」を利用して作成された書籍で世界で初めてAI生成画像で著作権を認められたケースとして話題になりました。
しかし、作者は申請時にイラストがAIを利用し作成したものと申告をおこなっておらず、認定後に本人によりネット上で公表されたことでUSCOは初めてその事実を知ることとなりました。
そのため改めて検証した結果、作中の文章や編集に対しては著作物と認めるものの画像についてはAI生成物なので当初の「コミック」としての認定は不服の申し立てもあったけれども取り消しという結論に至りました。
AIによる画像生成の仕組み
「Midjourney」(AI)の画像を生成する仕組みはユーザーが入力したテキスト(プロンプト)を読み取り、それに基づいてデータベースから画像を生成します。
ユーザーは「プロンプト」を通じて操作し、Midjourneyはそれに応じていくつかの画像をランダムに提示します。この元になるデータベースとはネットなどから収集した画像(作者の許可を得ているかは不明)などを学習させたものです。
重要な点はMidjourneyは人間のように文法などを理解しないため、プロンプトの単語やフレーズをデータベースと比較し画像生成に使用しています。
そのため、最初はユーザーの予想するものとは異なる画像が生成され、プロンプトなどを調整し反復することにより理想のイメージ近づける必要があります。
AI生成画像が著作権を認められない理由
前提として著作権保護対象には下記が必要であるとしています。
・「作者が十分な創造性を含み独自に創作したものでなければならない」
(資料には例としてABC順の電話帳などは創造性のかけらもないと書かれてるw)
・「著作物は人間が作成したものでなければならない」
文章などは作者がAIを利用していないと陳述しているため認められている。
そして過去の判例から、「Midjourneyによって生成された画像は著作権によって保護された作者のオリジナルではない」と結論が出ており、「人間の作成者から創造的な入力や介入なしに、ランダムまたは自動的に動作する機械または機械的プロセスによって作成された作品は認定されない」と説明があり、そのため問題のコミックは創造的な画像を生み出したのはユーザーではなくMidjourneyであるため、「実際に形成していないユーザー」は作者として認定されないとしています。
作者による反論
作者はこの結論に対して、「Midjourneyを用いてコストと時間をかけ、プロンプトやその他の入力を微調整し、何百、何千回とプロンプトを提供し、何百回と完ぺきなイメージになるように反復しその作成過程の試行錯誤などには創造性がある」と主張します。
しかし、プロンプトは画像に「影響」を与えるものの特定の結果を指示するものではなく、ランダムに生成されたノイズから始まり、ユーザーの最終的な画像を生成するのには十分な制御ができていない(人間による創造的な入力や介入ができていない)ため、その主張は認められないとあります。
また、それに付随する時間と労力、努力に関しては法に基づく創造性を持っているかどうかの判断の根拠にはならないとされました。
AI生成画像に加筆や修正した場合の著作権
今回の画像の中でPhotoshopを使用し一部加筆修正したもの(顔のパーツや顔の差し替えなど)がありましたが、その修正が微々たるものであったため「十分な創造性のあるオリジナル」とは言えないとして認められませんでした。
また、差し替えについてもMidjourneyの生成物を使用し合成したと思われるうえ、作者が主張する手書きであると証明が出来ないため判断できないとされました。
おわりに
と書いてきましたがこの件はまだ係争中で現時点での話です。
私はDazStudioで絵を作成し投稿しています。レンダリングした絵には私の著作権が認められています。そこで、つねづね流行りのAI生成物に著作権はあるのだろうか?と気になったので今回の件を調べ書いてみました。
感想としては現時点ではAI生成物(特に画像)は、クリアしなくてはならない課題が多く、個人利用はともかく商業利用には適さないだろうなと思いました。
参考程度になれば幸いです。