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 スチールドラムの一種、タングドラム:Tongue Drumを購入しました。前々から欲しい欲しいとずっと思っていて高い(5~10万円)のでずっと躊躇していたのですが、どうやら最近のステイホームで手軽に演奏できる楽器の需要が増したらしく、量産されて凄く安い(1万円以下)のものが出回るようになったため、早速購入しました。


youtube post: 1I8ketPjdKY

 金属の銅に舌(Tongue)のような切れ込みを入れて音程を付けたスチールドラムです。マレット(ばち)で叩いてもよし、指で叩いてもよし。水琴窟のような音がするステキな金属ドラムです。

 別に学術的な分類があるわけではありませんが、私は楽器は「社交的楽器」「内省的楽器」の2種類があると把握しています。

 一般的なのは社交的楽器で、これは「演奏して人に聴かせる楽器」です。奏者より聴衆に音がよく聞こえるような構造をしており、奏法が難しく曲芸的でパフォーマンスの様相を呈しています。聴いた人が「面白い、凄い、楽しい」と感じる楽器です。

 それに対し内省的楽器は「演奏する自分が聴く楽器」です。演奏している自分によく聞こえる構造をしており、サスティン(余韻)が異様に長く、複雑な奏法、他者に聞こえる程の大音量で演奏するとそのサスティンの長さのため音が重層しすぎグワングワンしてうるさいほど。サワリという音にわざわざ雑音を加えて音程を不安定にする機構があるのも特徴です。


youtube post: SPlWOnup7a4

 内省的楽器の極めつけはアフリカの民族楽器ムビラです。サウンドホールが奏者の方を向いており、奏者にしか音がちゃんと聞こえません。サウンドホールの周囲に瓶の王冠が釘でユルく打ち付けられており、鳴らすとそれが振動しジャーッジャーッというサワリ音が鳴るのも特徴です。

 私は内省的楽器が好きで、タングドラムは実に私好みです。マレットで叩くと澄んだ音がしますが、指で叩くと金属特有の倍音がゆらゆらと音程を不安定に揺さぶり非常にシャーマニック(呪術的)な音がし、これを自分の生体リズムに合わせて叩くとあっさりトランス(脱魂、恍惚)します。

 深く深く内省(自分を深く省みる)し、自分のリズムに合わせた演奏は人に聴かせるものではありません。ただ自分だけが楽しい、自分以外が聞いても楽しくない。

 そんな音楽があります。あるんです。

 まるで「お絵かき楽しす」だけで描いた、他者の評価をまるで無視して「上手いと思ってほしい」「凄いと思ってほしい」という見栄や虚飾の一切を取り除いた絵のように。

(YouTube)


(YouTube)


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