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第0話はこちら https://www.pixiv.net/fanbox/creator/355065/post/418529

第3話 敗北

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(あ、ああ、ああああっ……)

 

 興奮で身震いしそうになる。本当に犯されてしまうんだ、これから。グチョグチョに濡れた私の性器と、バルガスの性器が、くちゅりと音を立ててキスをした。

 

「ひんっ……♡」

 

 それだけで腰がぴくりと軽く浮いてしまう。三日前、犯されるメイドを見ながら自分を慰めていたときに、どれほど虚しかったか。あのとき私は、ただただ知りたかった。どれほど気持ちが良ければ、そこまで乱れることができるのかと。

 

 そうして今、私は身体にそれを教え込まれた。指でかき混ぜられただけで、狂ったように喘いでしまったのだ。本当に凄かった。そう、たかが前戯で我を忘れるほどに。ならば、あれを──雄の性器を挿れられたら、私は、一体どうなってしまうんだろう。

 

 バルガスと、目があった。ドクンと鼓動が高鳴る。バルガスは見下ろし、私は見上げる。それがどうしようもなく互いの立場を認識させて、

 

 

     ずにゅううううぅぅぅぅっ…………!♡

 

 

「────ぁ、」

 

 膣壁を掻きわけながら、ずぶずぶと。私の中に、異物が侵入してきた。

 

「っっひいいいいいいいいぃぃぃぃぃ!!♡」

 

 ビクン! と身体を跳ね上げて、視界がぐるんと回る。再び海老反りにさせられて、頭が上を向いたのだ。見えるのは白い壁。脳がじゅくじゅく溶け、性器からはおびただしい電気信号が送られてくる。

 

 私は、かつてないほどの多幸感を覚えさせられていた。

 

「ふぁ……ぁああああああ……♡」

 

 バルガスの性器が、私の奥の奥まで、埋め尽くした。口がパクパクと開き、視界が涙でボヤける。

 

「ふむ……締りはいいがすんなりと入ったな。感じているからなのか、それとも既に経験があるのか?」

 

 ぐちゅん!

 

「あひっ! あっ、あるわけ、ないでしょっ……!」

 

「ふ、そうか。ならば貴様は私に処女を捧げたというわけだな」

 

「ひっ……♡」

 

 ゾクゾクと流れる電気に身を震わせながらも、思う。既に玩具を挿れたことがあるものの、男性経験の有無で処女を定義するのであれば、私は紛うことなき処女だろう。

 

 いや言葉の定義はともかく、私の初体験の相手はこの男だ。それはもう間違いない。そう、汚されたのだ。

 

(ああ、私、ついに……取り返しのつかないことを、してしまった……♡)

 

 改めて認識した瞬間に、私の被虐心がゾクゾクと刺激される。なんて、なんて甘美なんだろう。私はなぜか、ある種の感動を覚えていた。

 

 誇り高いはずの私が、汚された。そんな事実に、言いようのない喜びが胸の内を広がっていく。私自身の、いや、女の弱さを、どうしようもなく理解させられてしまう。

 

「そら、動くぞ」

 

 ズルズルと、あの歪な性器の、不自然に膨れていた先端が、私の膣壁をガリガリと引っ掻きながらゆっくりと抜かれていく。

 

 律儀に私の身体はビクビクと反応し、喪失感を伴った凄まじい気持ちよさに、私を覆うように両手をついているバルガスの腕を、ギュッと掴んでしまう。

 

「んはぁあああっ♡ あっ、あっ、あぁあああ……っ♡」

 

 そして次の瞬間、再び乱暴に一突きされて、

 

「あひいいいいいっ!! お゛、っんおおおおおッ!」

 

 全身から根こそぎ力が奪われる。それほどの暴力的な快感が、私を蹂躙する。身体は抵抗する気なんて全くなく、キュンキュンとバルガスのペニスを切なげに、媚びるように締め付けている。

 

 バルガスの腰の動きが、速くなっていく。

 

 ズパン、ズパン、ズパン!

 ずるるるるっ、にゅるっ、にゅるっ、にゅるっ!

 

「おへええええっ!?♡ だへっ、は、はげしすぎっ、いひっ、あ゛ーっ!♡ あ゛ーっ!♡ やめてぇぇえっ♡」

 

 理性を吹き飛ばすほどの快楽に、私は泣き叫んで懇願する。実際はやめてほしいなんて欠片も思っていない。無意識に発してしまっている言葉ではあるが、私は理解している。

 

 私がこの男に泣かされていることを、より自覚したいのだ。そして貴方のペニスでどうしようもないくらいに感じていますと伝えて、自身の被虐心を満たしたいのだ。

 だから、叫ぶ。

 

「だめぇっ、だめっ、やめへぇっ、それ駄目なのぉぉぉっ!♡ 駄目になるっ、私っ、駄目になっちゃ、あはぁんっ、んはぁああーーーっ!」

 

 もはや身体は何一つ私の意思では動いていない。バルガスの動きに合わせて大きく身体を震わせて、身体中が悲鳴じみた嬌声をあげて、目の前の男に服従を伝えている。

 

 お尻を、おびただしい量の液体がダラダラと伝い続けている。ほぼ全て、私が分泌した愛液だろう。

 

 バルガスはニヤニヤと私を見下ろしながら、ズパンズパンと私の腰を打ち続けている。

 

(あぁあああ……ッ!♡ これ、これ、これぇ……ずっと、こうされたかったのぉ……!♡)

 

 最低な男に余裕たっぷりに組み伏せられて、見下ろされて、自分勝手に突かれて──なのに、私は情けなく喘いでしまって。

 

 それが、バルガスの女性を見下す発言を自分の身体で肯定してしまっているようで、堪らなくゾクゾクする。

 

「ぐひいいいいっ……♡ おっ、あひゃっ、あうっ、あうっ、ひぅぅぅううんッ!♡」

 

 私は甘えたような、獣じみた嬌声をあげることしかできずにいた。想像を遥かに超えた快感に身体も心も蕩けきって、全てを雄に委ねてしまっている。

 

 ずっと羨ましかった。あの本の主人公が。悔しそうに喘ぐ、メイドが。たった今、それが叶っている。私は今、プライドをボロボロにされながら、犯されている。

 

(ああ、あああうぅ……♡)

 

 涙が溢れた。快感による反射ではなく、感動で。

 

 ああ、なんて気持ちがいいんだろう。

 

 悔しいのが気持ちいい。

 

 バルガスに弄ばれるのが気持ちいい。

 

 無理やり昂ぶらされてしまうのが気持ちいい。

 

 情けないのが気持ちいい。

 

 気持ちいい。気持ちいい。気持ちいい。

 

 それしか言えない。凄まじい多幸感に満たされている。捕食された虫のように、無様にビクビクと痙攣し続けながら。

 

 ぬりゅん、ぬりゅん、ぬりゅん、ぬりゅん。

 

 びくびく、びくっ。びくん、びくん。

 

「だめぇえええ……わたじっ……おっ、おかしくなるううう!!」

 

 異常なほどに脳内麻薬が分泌され続けて、本当に馬鹿になってしまうのではないかと恐怖するほど頭が痺れている。

 

 身体だけでも泣き叫ぶほどに凄まじい快楽なのに、心までもが陶酔してしまっていた。望んでいたはずなのに、果《・》て《・》がなさすぎて、怖い。

 

「ふん、随分と気持ちよさそうだな?」

 

「あぁっ……き……気持ちいいですぅっ!!♡」

 

 なのに、私は更に、貪欲により高みを貪ろうとする。どうすればより気持ちよくなれるか|学《・》|習《・》してしまった私の口から、無意識に服従する言葉が飛び出す。

 

 それを受けたバルガスの笑みで、自身の情けなさを認識することで、

 

「うぐう゛うううううッ♡」

 

 狂おしい程の悦びが生まれ、私はどんどん馬鹿になっていく。

 

 ぶしゃっ♡ ぶしゃっ♡

 

 容赦なく突かれながらも、時折その隙間からいやらしい汁を吹き出してしまう。

 

 ズバンっ、ズバンっ、ズバン!

 

「がひぇっ! あひゅっ、んおぉ゛ほッ♡!」

 

 気を抜けば意識が飛んでしまいそうな、私の常識を壊す快楽が全身を暴れまわっている。

 

 女は、男に犯されることでここまでの快感を得ることができるのか。これは、無理だ。”勝てない”

 

 女は男に、勝てない。

 

 能力的なことではないのだ。それだけの話で終わるのであれば、私はほとんどの男よりも優れていると言える。けれど。

 

 身体の根本的な部分がもう、男に服従するようにできている。バルガスは、そういう事を言っているのだ。私の性癖とか、そんなものは誤差にすぎない。どんな女だろうが、ここまでの快感を与えられたら、絶対に心が折れる。いや、心が、媚びる。

 

 ドロドロに溶け切った私の性器が、簡単にバルガスの性器を受け入れていく。ぐちゅっといやらしい音を響かせながら、男の性器は私の身体の深いところを抉り、そして私はその刺激であっけなく泣かされる。

 

 性交とは、粘膜の擦り合いだ。そう言葉にすれば同等であるかのように聞こえるのに、現実を見れば、女は男に泣かされ続ける。

 

「ひいっ♡ あひっ、あひぃいいいんッ♡ はげっ、激しすぎりゅっ、もっと、優しくしてへぇっ!!」

 

 ああ、とうとう恋人同士のような事まで口走ってしまった。気持ちが良すぎておかしくなっちゃうから、優しく可愛がってくださいと、私はそう言ったのだ。

 

「優しくだと? 貴様のような雌豚に優しくする必要などないわ、そのまま溺れていろ」

 

「あぎゅうううううッ!♡ じひぃっ、ぬッ、しんじゃうぅっ!!」

 

 背筋に走る甘すぎる痺れが、私の根幹をゆっくりと溶かしていく。脳はとっくにオーバーヒートしていて、身体なんてどこを見ても、可愛がってもらえて気持ちがいいですと懸命に訴えている。

 

 こんなの、堪えられるはずがない。もうイク。あっという間に昇ってしまったけど、わかる。物凄い波が来る。

 

 下手をしたら本当に廃人になるかもしれない。そんな馬鹿な心配を真面目にするほど、私を蹂躙するペニスが、凄すぎる。

 

(──廃、人?)

 

 ゾッと、背筋が震えた。

 

 大袈裟な想像かもしれないが、しかしありえないことではない。快感が異常すぎて、脳の回路が壊れてしまう可能性が絶対にないとは言い切れない。

 

 狂おしいほどに心と身体は満たされているが、だからといって廃人になることまで受け入れられるわけがない。絶対に嫌だ。

 

 安全を考えるならば、逃げるべきである。

 

 さすがにそこまで簡単に人が狂うことはないとは思うが、実際にどうなってしまうかなんてわからない。多分大丈夫だろう、でイカされた結果狂っただなんて、全く笑えない。

 

(で、も──どうやっ、)

 

 殺意を糧に昏倒させる呪いはかけている。意識を失ったら転移する魔術も発動済だ。けど、どちらも発動条件は満たしていない。今すぐ満たすこともできない。ひょっとしたらイった瞬間にその衝撃で気を失う可能性はあるが、イく衝撃で脳が壊されることを心配しているのだから、イったあとに転移しても意味がない。

 

 では、今から新たに魔術を行使する?

 

 ずちゅっずちゅっずちゅっずちゅっ!!

 

「あお゛おおおおッ、ひっ、んぎいいいいいいッ!!」

 

(む、無理──ぜったい、むひっ……♡)

 

 ただでさえ、魔力拡散薬を飲まされているのだ。魔力を収縮させにくい状態でも私ならば魔術を行使できるとはいえ、それはあくまで、まともに集中できる状態であればの話だ。こんな、ペニスが容赦なく私の中をほじくり回している中で、魔術を行使するなんてできるはずがない。

 

 力で抵抗する? 考えるまでもなく不可能だ。つまり私自身では、もうこの場は切り抜けられない。

 

「お、お゛っおねがひいいっ、とまっ、とまってえええええええッ!!♡」

 

 私は力を振り絞って、絶叫するように懇願した。瞬間、脳がじゅくんじゅくんと痺れるのを感じ──私は瞬時に失策であることを悟った。

 

「なんだ、やかましい」

 

 でも。

「いッ……イキそうなんでしゅっ……!♡ 本当に、おかしくなっちゃ、こわ、怖いのぉっ! おねが、おねがいだから、やめてくださいぃ……!」

 

 止まらない。結果なんて、わかりきっているのに。

 

「ふはははははっ! 何かと思えば、知らんな。勝手に狂え。何、安心しろ……そうなったら責任をとって、面倒を見てやるとも。家畜小屋で、奴隷に世話をさせるだけの話だがな。くくく」

 

 バルガスはそう嬉しそうに言い放つと、より強く腰を打ち付けてきた。ただ乱暴に突かれているだけなのに、降参しきっている私の身体は否応なく快感を送り込まれてしまう。

 

 ずぶぶっ、ずぶん、ずぶっ、じゅぱん!!

 

「おぐぅっ♡ やあ、やらああああああッ!♡ だっ、ああっ、あはぁああ~~~ッ!♡」

 

 昇る。昇っていく。先程私を狂わせたあの指の刺激ですら、やはりあれは前戯でしかなかったのだと、納得させられてしまうほどの高みに。

 

 膣内で暴れまわるペニスに翻弄されながら、乳房がぶるんぶるんと揺れる。パンパンとリズミカルに侵入してくるペニスが、子宮を揺さぶっている。

 

 きゅん、きゅん。精液を搾り取ろうとするかのように、膣が懸命にバルガスのペニスを締め付けていた。

 

「ひゃひっ、くうっ、んひっ、もっ♡ もう、む、むりっ♡」

 

「ふん、もう達するのか? 淫乱な女だな」

 

 ゾクゾクゾクゾクっと全身を淫らな電撃が襲い、痺れる。

 

 イク、イク、イク。また、こいつにイカされる。

 

 ずにゅるるるるるるっ!

 

 愛液を掻き分けながらペニスが引き抜かれて、すぐさま。

 

「イっ─────」

 

「その面を見ていてやろう。そら無様に鳴け、小娘」

 

 じゅぶうううううううう!!

 

 膣肉を押し広げながら、侵入してくる。

 

「っっっくうううううううううううう!!」

 

 スパークに、神経が灼かれた。

 

 屈服感と多幸感が混じりあった、圧倒的な絶頂。

 

「……ッ! ……ッ!」

 

 深すぎる。

 

 余韻によるものかと勘違いするようなタイミングで小刻みにぴく、ぴくと身体が跳ねるが、その実、私の身体はまだ絶頂し続けている。身体が一定のタイミングでびくりと震える度に、絶頂感が更に上乗せされていく感覚。

 

「かひゅうぅぅっ────♡」

 

 呼吸ができない。引き絞ったような音が、喉から漏れる。同時に、身体が山なりに反って角度がついたせいか、私の口からダラーっと涎が伝った。

 

「……………………ッ!!!♡」

 

 ばちん、ばちんと視界が弾ける。虐め抜かれた身体は、歓喜に打ち震えていた。そうしてようやく、深い深い底から戻ってきた身体が、今度は異常なまでに痙攣しはじめる。

 

 ビクン! ビクン! ビクン! ビクン!

「おふっ! っお、お、お、おうッ……!♡」

  

 今度こそ訪れた余韻であったが、それは余韻などと呼べるほど生易しい刺激ではなく、小刻みに爆発しているかのような、一回一回が軽い絶頂を伴っていた。

 

 何から何までが未知の体験である私は、涙と涎を垂れながしながら、ただただ常軌を逸した快感に流されている。性器など、見るまでもなくビショビショのグチャグチャになっているのがわかった。私が意識できていなかっただけで、もしかしたらずっと愛液を噴き続けていたかもしれない。

 

 そして、ようやく余韻が収まりかけてきたとき、不意に私の膣が、ずどんと抉られた。

 

「なぁ゛っ……!?」

 

 ずちゅん、ずちゅん、ずちゅんっ。

 

 私を狂わせる動きが、再開した。最初から今まで、一貫していたことではあるが、この男は私の身体のことなどまるで意に介していないようだ。

 

「まっ、ま゛ぁっ……!! んひっ、あぐ、あっ、あッ!?」

 

 絶頂したばかりの膣が容赦なく擦られ、降りきった子宮が乱暴に突かれていく。

 

「牝豚のくせにこんな牛みたいな乳で恥ずかしいとは思わないのか?」

 バルガスは挿入に合わせぶるんぶるんと激しく揺れる下品な乳を鼻で笑うと、今まで自分のペニスへ叩きつけるために

 掴んでいた私の腰から手を離し、 私の完全に勃起しきっている乳首ごと強引に胸を鷲掴み、挿入を再開した。

 

「ひゃあああああっ!」

 

 膣から半分ほどペニスが抜かれ、激しく突かれる。乳首はバルガスの分厚く硬い手の平に押しつぶされて、ぐりぐりと刺激されていた。

 膣壁がペニスの雁に掻かれる。ぐにゅう、と乳房を取っ手のように引っ張られる。

 

 ぐにゅ、ずちょっ!

 ぐりい、ぬぷっ!

 ぎゅうう、ぐちゃっ!

 

「あひゃああぁあぁあぁああ……ッ! これ、だめ、これだめへぇっ……!」

 

 乳首と乳房がいたぶられて、子宮がきゅうんと痺れる。痺れた子宮口を、ペニスの先端が小突き回す。

 

 私の身体は、完全に泣きが入っていた。

 

(……し、ぬぅッ……!)

 

 身体中のいたるところから汁を垂らし、吹き出し、乳首とクリトリスはガチガチに勃起し、逆に性器は、トロットロに蕩けている。

 

 もっとしてほしいのか、それとも気持ちよすぎてもう許して欲しいのか自分でもわからないが、身体が完全に降参しきっているということだけは間違いない。

 

(あぁぁ……うそ、イクッ……また、イっちゃいそお……!♡)

 

 乳首と子宮という女の弱点を同時に責められ、いともあっけなく私は昇りつめていく。まさに、快楽地獄。その終端は、バルガスが射精をするまでだ。

 

 私に終わらせる権利はなく、そしてバルガスが絶頂を迎えないのであれば、私はただ苛められて、過ぎた歓喜に泣かされ続けることしかできない。

 

 ゴリゴリと、お腹の中から突かれて私は弾む。ああ、また──

 

「いっく♡ いっぐぅぅうッ♡」

 

 先程絶頂を迎えたばかりの身体が、再びバルガスに絶頂させられた。深さこそ先には及ばないものの、指でイカされたとき並みの強い絶頂感に襲われる。

 きゅううううううう、っと膣が締まるのと同時に、バルガスの性器も中で痙攣しはじめた。

 

 さすがに、この男もイったのだろうか。

 

「くく……中々の具合だ。牝豚としても優秀のようだな」

 

「ぐひっ、ぐっ、ひぃん♡」

 

 ビクビクと身体を震わせていると、豚のような鳴き声が、口から勝手に漏れ出てくる。

 

 私とバルガスは、汗だくの身体を密着させながら、息を荒げていた。

 

「──ふう」

 

 ずりゅううううっとペニスが引き抜かれると、直後にドロリとした感覚が膣口から溢れた。

 

「あひっ……♡」

 

 (精、液──中に、出されたぁ……)

 

 これ以上ない充実感と、極度の疲労が身体を包み込む。はぁはぁと息を荒げ、滲む天井を眺めていると──

 

「何を惚けている。まだ終わっていないぞ」

 

「へぇあっ!?」

 

 コルセットのベルトを掴まれると、鞄を持ち上げるように簡単にぐるんと身体を反転させられた。私は間抜けな声をあげて四つん這いになり、直後。

 

 後ろからずぶううううっと再び性器が挿入された。

 

「はぐううううううっ!?」

 

 予想していなかった刺激に、ガクンと前のめりに崩れ落ち両肘をついてしまう。

 

「身体を倒すな。」

 

 そんな言葉と共に、両手が後ろに引っ張られて、ぐいと上半身を無理やり持ち上げられる。その体制のままバルガスはズン、ズパンと、腰を動かし始めた。

 

「ひはぁあああ……ッ! き、くぅうううううん♡」

 

 膝をついた状態で、両手を後ろに引っ張られて犯されている。胸はぶるんぶるんと揺れ、起き上がったせいか涎が、今までにも増してだらだらっと口から垂れ流れ始めた。

 

 つーっと口からだらしなく糸を引いたまま、私は恍惚していた。二度もイカされて、それでもまだ挿入されるなんて。完全に、バルガスの玩具に成り果ててしまっている。こんな、性欲の捌け口みたいな扱いを受けて、私は理解した。私を狂わせるこのペニスに、理解させられた。

 

 これが、女であるということなんだ。これに悦びを覚えるように、身体は創られている。

 

「ふんっ、ふんっ」

 

 余裕綽々と腰を振り続けるバルガス。対する私は、ずっと、ただただ泣き叫び続けている。

 

「あひぃっ! あひいぃいんッ!♡」

 

 こんなの、反則だ。勝てるわけないじゃないか。

 

 ボロボロと涙を零しながら、溢れ出る多幸感にやはり抗えない。

 

(ああ、私──、……)

 

 不意に確信する。私はこんな男にイジめられてどうしようもなく悦んでしまう、変態だ。女の本能が男に屈服することで、私もただの雌に過ぎないことを自覚させられて、気が触れそうなくらいに満たされてしまう、そんな変態だ。

 

「──ッ!!♡」

 

 ガクガクンッ! と大きく揺れ、私は更に絶頂を迎えた。

 

 バルガスは変わらずに、私の性器を責め続けている。ばちゅん、ばちゅんと、粘液が肉棒と絡まりあう音が部屋に響く。

 

「え゛──あへっ……♡」

 

 絶頂の極みからゆっくりと降りていったかと思った刹那、子宮がペニスに叩かれて、そのまま再び絶頂を迎えた。

 

「ふはははっ……いいぞ、いいぞぉ……! 私をもっと愉しませろ、卑しく鳴き続けろ!!」

 

「んひぃんッ!♡ あへっ、あへぇぇええ……ッ♡」

 

 叫び続けているせいか、喉がカラカラに乾いている。それでも、掠れた、蕩けきった雌の嬌声を、必死に身体が絞り出していた。絶頂が、終わらない。ずっとずっと、イキ続けている。

 

 バルガスに手を引っ張られていた状況から、そのまま上半身を起こされて、バルガスにもたれかかっている体制にされた。

 

 ぐちゅんっぐちゅんっぐちゅんっ!

 

「……っ!♡ …ッ!♡」

 

 ぼやけた視界が、ガクガクと揺れている。

 

 ほぼ真下から、突き上げられるように何度も、何度も乱暴にペニスが膣内を暴れまわり、快感信号に身体が灼かれ続ける。何度も何度も、何度も何度も絶頂させられて、私の脳が、本当にドロリと溶けたような、そんな気がした。

 

「しゅ、しゅごひっ……♡ しゅごいいぃぃぃッ!」

 

 もう、このまま、私を滅茶苦茶にしてほしい。被虐心がじゅぷじゅぷと刺激されて、私の心が完全に、ポッキリと折られてしまった。もう、何もかもがどうでもいい。気持ちよくしてもらえるのなら、それ以外に何もいらない。


 多分私は、女に生まれたのが運の尽きだったのだ。男であったなら、きっと両親の望み通りに、優秀な魔術師として生涯を終えたのだろう。なに一つの落ち度もなく。

 

 けれど私は、女で。そしてこの味を、女の喜びを、嫌というほど身体に刻み込まれてしまった。きっと、まぐわうという行為そのものが、女をマゾヒズムに目覚めさせるように出来ている(・・・・・)。

 

 股を大きく開いて、組み敷かれて、見下ろされて犯されるとか、犬のような恥ずかしい格好をさせられて、後ろから犯されるとか。

 

 そんな、誰がどう見ても絶対的に弱者である立場で、次々と理性を蕩かすほどの快感が送り込まれてくるのだ。こんな状況で、男に逆らおうなんて思えるはずがない。

 

 身体の芯を貫かれると、私の全てが支配されたかのような錯覚を覚える。そんな状態で、何度も何度もイカされると、蕩けて弱りきった心が勘違いしてしまうのだ。

 

 私はこの人のモノだ。この人に滅茶苦茶にされたい。全てを捧げたい。この逞しい殿方の子供を、孕みたい。

 

 きっと、雌とは。

 

 自分を犯してくれる、自分よりも強くて、自分を感じさせくれる、つまり雄として優秀な存在に対面したとき。

 

 それだけでその相手に完全に服従する弱い生き物だ。

「くはははは……自分の立場が、理解できたか? 貴様は、所詮、女なのだッ!!」

 

「はひぃっ♡、はひぃいぃ……おぼえまひたっ……男の人には絶対勝てないって♡、覚えましたぁッ♡!!」

 

 互いに膝立ちでまぐわっていた体勢から、どすんと私は前に押し倒されて、再び四つん這いにさせられる。バルガスはそのまま私の背中から覆いかぶさると、左手で私の乳首を、右手でクリトリスをぎゅうっと強く握ってきた。

 

「はひゃえええええぇぇッッ……♡ ぐっ、狂゛う……。ほんどにっぐるっちゃううううッ……♡!」

 

 身体を灼くスパークがずっと、物凄い勢いで神経を駆け巡っている。激しい快感の電気信号に身体はボロボロにされていて狂いそうだ。

 

 絶え間なく続く絶頂にメロメロにさせられている身体を、バルガスは好き放題犯しぬいている。

 

 ぐりぐりぐりぐりぐり。

 ずぷんぬぷぬぷぬぷ、ぐちゅぐちゅぐっちゅ。

 

「あ゛ぁーッ!♡ い、いぐううう♡、もうずっとイってるのにぃ♡、またいくう゛う……♡!」

 

「くっくっ……よく鳴く雌豚だッ……もう一度、出してやる!」

 

「だ、ひてぇっ……わたひの中に、せいえきだしてぇっ……♡」

 

 ラストスパートをかけるように、バルガスの動きが早くなる。

 

(乳首と、クリトリスと、膣と、子宮が……全部、いじめられてるぅっ……♡!)

 

 マグマのように熱い快楽の波が押し寄せてきた。もはや肘で上半身を支えることも叶わず、床に倒れ込んでグッタリと揺らされながら、波に押し流されていく。

 

「いぐっ……♡、いっぐぅ…………♡!!」

 

 びゅる、びゅるるるるるうううっ。

 

 子宮口に密着したバルガスの性器が、私の胎内に精液を吐き出した。勢いよくビチビチと子宮壁を突き上げる射精の刺激が背筋を痺れさせる。

 轟と燃え盛る炎の中に突っ込んだような、灼熱の絶頂。

 びゅーっびゅーっ!

 

 バルガスの射精に負けじと、私の尿道も激しく潮を吹き、床のタイルにバシャバシャと音を立てながら水たまりを作っている。

 

 ガクガクと痙攣する身体の上と下の口から涎が溢れ出る。自分がなぜここにいるのか、この身体は自分の身体なのか、一瞬理解できなくなるくらいに脳がドロドロに溶けている。

 

「…………ッ!!」

 

 私は瞼を閉じかけながら、身体中の快感を貪りつくしていた。やがて精液の放出を終えると、バルガスはゆっくりと性器を引き抜いた。それだけのことで、ビクンと身体が跳ねてしまう。その完膚なきまでの被食者の立場に、胸が打ち震えた。

 

「ふぅ……小娘の割に中々の具合だったぞ。褒めてやろう」

「はぁっ……!♡ はぁっ……!♡」

 

 全身が疲労感に襲われている。ここまで深く、そして何度もイカされたのだから無理もない。もちろん、その質も量も自慰なんかとは比べ物にならない凄まじさだった。

 

(あぁ……き、き、きもちよかったぁぁぁ……♡)

 

 心も身体も、満たされてしまった。事後に残ったこの倦怠感と、ゾクリと妖しく痺れ続ける感覚が、非常に心地良い。

 

 大げさな話だが。私はこの時、初めて──

 

 生きる意味を、見つけたような気がした。

 

 

「今後、私の気が向いたときにまた可愛がってやる。わかるな?」

 

「ぁ……ッ♡」

 

 ブルっと身体が震えた。本当は、この後は始末してしまうつもりだったのだが、少しの間こいつに飼われるのも、悪くないかもしれない。

 

「さて、可愛がることができるかどうかは、リア様次第ですね」

 

 突如。私とバルガスしかいなかったはずのこの場に、第三者の声が響き渡った。

 

「何っ──がはっ!?」

 

 糸が切れたかのようにバルガスが崩れ落ちるのを横目に、腰が抜けている身体を懸命に起こすと、そこには──

 

「お疲れ様です、リア様。お身体は大丈夫ですか?」

 

 セラが立っていた。一瞬、思考が止まる。

 

「──え」

 

「後始末は全てしておきました。ゲルウェンの方には、計画が全て成功したと伝わっているはずですので、後の裁定はお任せします」

 

「セラッ……!? ど、どうしてここに……あ、ちっ……ちちち、違うの、これはッ……!」

 

 胸と股間を隠しながら、後ずさる。見られた。こんな姿を、見られてしまった。私は慌てて弁明しようとするが、しかし。私は素っ裸で、全身ドロドロのグチャグチャ、おまけにバルガスの下半身は裸。どう見ても事後である。

 

「……」

 

 いや、こうなったら仕方がない。なぜここにいるかはわからないが、もう一度セラの記憶を消そう。

 そう思った矢先だった。

 

「この男の処遇、どうされます? 殺しますか? それとも、生かしておいて後で楽しまれます?」

 

「……へ? いや、え?」

 

 再び混乱に陥る私。今なんて言った?

 

「どっ……どういう意味?」

 

「そのままの意味です。これからも火遊びをなさるおつもりなんですよね?」

 

 背中を嫌な汗が伝った。あれ、ひょっとして全て見透かされてるのではないだろうか。

 

「ちょっ……ちょっと待って。あの、セラ……ど、どこまでわかっているの?」

 

「どこまで、ですか……。恐らく全て理解できているとは思うのですが、さすがに何かしら見落としはあるかもしれませんね」

 

 全て。全てと言ったか。

「あの……それは、つまり、今回の一連の流れを……理解とかしちゃっていたり、するのかしら?」

 

「それは三日前から今に至るまでのことでしょうか」

 

 ボンッと頭が破裂した。ハッキリとは言われなかったが、しかし三日前という単語は決定的だ。三日前のあの出来事については記憶が消したはずなのだから。これで、両親の下に向かうという命令を無視しただけという可能性も消えた。セラは、初めから全てわかっていたんだ。

 

「おっ……おかしいじゃない!」

 

 涙がじわああっと溜まり、視界が滲む。子供みたいだったが恥ずかしすぎてどうにもならない。

 

「何がでしょう」

 

「私は絶対に記憶を消したし、その後に催眠だってかけたのに!! 私の魔術が失敗していたなんて言わせないわよ!? 一体なにをしたの!!」

 

 余りの羞恥で語気が強くなってしまう。

 

「ああ……そういえばその事については少し怒っているんです。私を急に眠らせようとしてきたときは本当に驚きました。リア様が私にそんな酷い真似をされるなんて、思ってもいませんでしたから。最も、真意を確かめようと狸寝入りをしていた私の横で急に”一人遊び”されはじめたときは、余りの衝撃にそんなショックも吹き飛びましたが」

 

「ぎゃああああああああッ!?」

 

 そこから、そこからか。つまり、私はあのとき、セラが起きている横で堂々と自慰に耽っていたと……そういう?

「おや、そんなはしたない声を出してはいけませんよ」

「貴女のせいよっ!!」

 八つ当たり気味に私は叫んだ。叫んだところでこの恥ずかしさは消えなかったけれど。

 

「……う、うう、死にたい」

 

 涙声で呟く私。本気ではないが、穴があったら入りたいくらいに恥ずかしい。私は何でこんな目にあっているんだろう。

 

「お察しします。でも、リア様が悪いんですよ」

 

 それはもう、完全にその通りだろう。今回私は、私だけの都合でセラを眠らせ、記憶を消して、暗示をかけて、その上でこの城から追い出そうとしたのだから。そこまでの事をされて、それでも私を守ろうと動いてくれた(多分)のだから、感謝こそすれ怒ることなんてできようはずもない。

 

「うん……ごめんなさい……というかセラって、魔術の心得もあったのね……私の魔術は、全部抵抗していたの?」

 

 私の魔術にそうと悟られずに抵抗できていたのであれば、かなりのレベルの使い手ということになるが、セラならそれくらいできても驚きはしない。いや驚いたけど、妙に納得できる。

 

「心得はありますが、リア様の魔術に抵抗できるほどではないですね。実は私、魔術が一切効かない体質なんです」

 

「……は?」

 

 何を言っている?

 

「いや、だって、これまで何度もセラに魔術を……」

 

「ですから、効いた”フリ”です。体内に侵入してきた魔力から、どのような効力の魔術なのか解析して、演技をしていました」

 

「は?……はぁ?」

 

 解析はまだいいだろう、一流の魔術師であれば誰でもできる。

 

 けど──魔術が一切効かない体質?

 

(そんな馬鹿な話が──)

 

「……いや、ちょっと待って! 私が魔術を学び始めたばかりの頃、貴女の怪我を治癒魔術で治したことがあったはずよ。あの時魔術によって傷が癒えたところを私は確かに見たし、そればっかりは効いたフリもできないでしょう。魔術が効かない体質というのなら、アレは何?」

 

「私の体質、ONOFFが可能なので」

 

「……」

 

 なんだよそれは。

 

「……じゃあ何、セラはその体質で私の魔術を全て無効化して、裏で自由に動いていたということ?」

 

「そうなりますね。ああ、それと事後報告になりますが──」

 

「ま、まだ何かあるの……?」

 

「リア様が一昨日開発された、遠視を応用した記録魔術。とても便利そうでしたので、使わせて頂きました」

 

 セラの頭上に、映像が映し出される。

 

『はひぃっ、はひぃいぃ……おぼえまひたっ……男の人には絶対勝てないって、覚えましたぁッ!!』

 

 大音量で音が響き渡った。一瞬、時が止まる。なんか私に似ている人が、叫んでる。

 

「……」

 

 嫌な汗が、ぶわっと湧き出てきた。

 

「どうされました? ああ、今のところリア様をお守りするためにしか活用していませんのでご安心を。もちろん、この術式はリア様のものなので、使うなと言われれば今後一切使用しません」

 

「わざと言ってるでしょ!?」

 

「はて?」

 

 人差し指を頬に当てて、小首を傾げるセラ。いや、無表情でそんな可愛らしい仕草をされても。

 

『だ、ひてぇっ……わたひの中に、せいえきだしてぇっ……』

 

 私は瞬時に、形成されている魔術に魔力をぶつけて、映像を霧散させた。未だ魔力拡散薬の影響下にあると思われる身体だが、かつてない速さだった。

 

「おや、酷いことを」

 

「どっちがよ!? 今の再生箇所、絶対に悪意があったでしょう!」

 

「ともかくこの魔術、相手にバレずに遠隔設置が可能で、しかも魔力が許す限り複数設置ができる為、私の仕事が大変やりやすくなります。できればこれからも使用許可を頂けると嬉しいです」

 

 私の糾弾はスルーされた。というかお前はメイドで、仕事は家事だ。

 

「もう勝手にして……いいわよ、セラならどの術式を使っても……」

 

「ありがとうございます。非常に助かります」

 

「……」

 

「……」

 

「……あの、セラ」

 

「はい」

 

「一生のお願い。私の”秘密”に関することだけ、記憶を消させて」

 

「お断りします」

 

「なんでよッ!?」

 

 間髪入れずに断られてしまった。

 

「リア様の身を守るためです。リア様が今後一切ああいった真似をなさらないのでしたら構いませんが、とても我慢ができそうな様子ではありませんでしたので」

 

「うぐっ……」

 

 ぐうの音も出ない。確かに私はもう、自慰なんかで自分の身体を誤魔化すつもりはない。

 

「……そういえば。今回のことを含めて……その、止めないのね」

 

「私は基本的にリア様の意思を尊重します。……それに、男の人に虐められたいだなんて可愛らしい望みだと思いますよ、私は。王城内には、それこそ吐き気を催すほどの変態嗜好の方もいらっしゃいますし」

 

「う……」

 

 ハッキリと、私の歪んだ願望を言い当てられて、かぁっと顔が熱くなる。

 

「……尊重してくれるのなら、このことはさっぱりと忘れて──」

 

「いえ、最優先はリア様の安全ですので。今回の件も、私が守り切れない事態が発生する可能性があると判断していたら止めていました。一応問題はないと判断したからこそリア様の自由にして頂いたわけですが、それでも危険な火遊びであることに変わりはないので、これからはもう少し私を頼ってください」

「……いやでも、メイドの貴女にそんなことをさせるわけには──」

 

「ユピテル様とセレス様からは黙っている様に言われていましたが、私は元々リア様の護衛も仰せつかっています。それに、これからもリア様が今回のようなことを続けられるのであれば、その護衛は必須でしょう」

 

「あう……あの、でも、それって……私の、その、痴態を……」

 

「仕事上嫌でも目にすることになるとは思いますが、それくらいは我慢してください。といいますか、既に私にガッツリ見られているわけですから、開き直ってしまえばいいのでは?」

 

 ガッツリて。いやガッツリ見られたんだろうけど。くそう、そんな簡単に受け入れられることじゃないんだよ。幼少時から一緒だったメイドに赤裸々な部分を見られるって、親に知られる並に恥ずかしいんだけれど。

 

「それに──今回の件、リア様にしては穴だらけでした。バルガスに殺害を封じるための呪いをかけていたようですが、行為の最中にバルガス以外の人間が殺しにきたらどうしていましたか? もしくはそこまでの直接的な殺害でなくても、同じく行為の最中に無理やりあの媚薬を過剰摂取させられていたら、どうでしょうか。他にもいくらでも方法は思いつきます。身を守らなければいけないリア様自身が自ら危険に飛び込んでいるのですから、どうしても事前準備だけでは限界があるのです」

 

「……」

 

 呪いに関しては、範囲展開するよう改善すればそれは防げるかもしれない。けれど、範囲外から魔術や矢で攻撃されたら対応できない。それも含めて、特定の条件に限定させれば大抵のことは魔術でどうにかできるだろうが、起こり得る全ての危機を予測しそれに対応させる魔術を準備しておくことなど不可能だ。

 

 それを考えるならば、確かにセラのように、何か予想外のことが起こったときでもその場に合わせた対応が可能な人材が控えていることが望ましい。

 

 他人に知られるなんて死んでも御免なのだが、他ならぬセラであればまだ、恥ずかしいで済ませることができる。いや、済ませたくはないが、既に知ってしまっていて、しかも記憶を消せないのならばもう済ませるしかない。

 

「……セラはいいの? 戦闘行為とかならともかく、私の下らない趣味で無駄な仕事をさせられて。私が言うのもなんだけど、すっごく馬鹿馬鹿しい護衛だと思うんだけど……」

 

「そうですね。自覚があるのなら、控えて頂けると助かりますが」

 

「……」

 

 ごめんなさい、無理です。

 

「……頼ってくださいとは申し上げましたが。例え頼られなくとも、今回のように勝手に動くだけですので……できれば受け入れて頂けた方が、無駄を省けます」

 

「それは……そうね、うん」

 

「納得していただけましたか。では今後、男性と性交なさりたい時は、実行に移す前に私に伝えてください」

 

「……」

 それはハードル高い。できれば勝手に察してくれないだろうか。

 

「さて、では改めて、この男についてはどうなさいますか?」

 

 セラが、床で気を失っているバルガスをチラリと流し見た。

 

「あー……こいつは……」

 

「殺しますか?」

 

 サラっというな。私も元々そのつもりではあったけど。

 でも──

 

「うーーーん……ちょっと、勿体ないかも……気持ちよかったし」

 

 ボソっと、小声で呟くように本音を漏らす私。

 

「はい? 申し訳ありません、良く聞こえませんでした。もう一度お願いします」

 

「……」

 

 絶対聞こえていたよね。もしかして私、これからずっとこうしてセラにからかわれ続けるんだろうか。

 ……言いようのない気恥ずかしさに、私はハア、と諦めの溜息をついた。

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