わるい小鬼2024。 (Pixiv Fanbox)
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平素は格別のご厚誼を賜り厚く御礼申し上げます。
勤務を終え、自宅のアパートに帰ると、小鬼がベッドに寝そべっていた。
「あーあ、小鬼に侵入されちゃったね」
不敵に笑う小鬼。
「鬼を払うための豆、欲しくなぁい?」
そういって人差し指を立てる。
1万円か・・・想定よりリーズナブルだ。
独身サラリーマンの自宅内に見知らぬ少女がいるとう絶体絶命な事態。
諭吉1枚で片付くというのは、むしろありがたい。
しかし・・・この豆、ぶつけてよいのだろうか。
なんというか、罪悪感が・・・・・・
と思ったけれど、なぜか豆を持っていると「理解らせたい欲求」がふつふつと湧いてきた。
これが節分の力、これが諭吉の力、これが大人の力・・・!
小鬼に向かい、ぱらぱらと豆をまく。
「やぁ~ん、退治されちゃう~♪」
キャッキャと歓声を上げる小鬼。
血走った目でときにソフトに、ときに大胆に豆をぶつける自分。
なんだろう、知らなかった己の『癖』がムクムクと湧き上がってくる・・・
長いようで短い濃密な時間。
あっという間に豆をまき終えてしまった。
「やだー、服の中に豆が入っちゃった・・・♡」
小さな黒ビキニの中から豆を取り出し、升に収める小鬼。
「小鬼をいじめたわるーい福豆、欲しくなぁい?」
そういって9本の指を立てる。
・・・
・・・・・
・・・・・・・
満面の笑みで手を振り去っていった小鬼。
累計諭吉10枚で鬼を退治した福豆を手に入れられたのは、むしろありがたい。
ポリポリと福豆をかじると、素朴でなつかしい味がした。
・・・明日からもがんばろう。
それではまたお会いできる日までごきげんよう。