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 平和を守るヒーロー達の拠点、ヒーロー本部のトレーニング室。道場のような内装にデザインされたトレーニング室で、声を張り上げる大きな影があった。

「ちぇすとぉ!」

 空気を切るような音と共に、低い男の声が響き渡る。声の主──上下を白い空手着に包んだ壮年の虎獣人は前に突き出した右拳を下げると同時に、今度は左拳を前に突き出した。

「……ちぇすとぉッ!」

 再び先程と同じ空気を切るような音と共に、パンッ! と何かが破裂したような音が道場に響く。この音は壮年の虎獣人──ベテランヒーローグランタイガーが正拳突きを行う音だった。力強く行われる正拳突きの反動が道着を張らせ、破裂したような音を鳴らしているのだ。

 正拳突きが繰り出される度に腰に巻かれた黒色の帯が振れ、飛んだ汗が光を反射する。

「ちぇすとぉッ!」

 節くれだった無骨な手と道着の上からでもわかる太い腕。空を切る勢いで拳を放ってもその足はバランスを崩す事無く床に張り付いており、纏う雰囲気はまるで地に根を張る大木のようだ。

 道着を着た老年の虎獣人の目は鋭く前を見据えており、今まで戦ってきた敵、そしてこれから戦うであろう仮想敵をその先に見ているのだろう。この眼力に射抜かれて少しでも怯まないヴィランはいない。そこから放たれる威圧感はヒーローの中でも上層のベテラン、ベテランの中でも最上位の強さを誇ると言われるに相応しいものだった。

「グランタイガー、やはりここにいたか」

 グランタイガーが次の正拳突きを繰り出そうとしたその時、道場の扉が開く。現れたのはグランタイガーに負けず劣らずの体格を持った深緑の鱗を持つワイシャツ姿の龍人──ベテランヒーロードラゴフレイムだった。

 それを見たグランタイガーは先程の真剣な表情から一転、人の好さそうな笑みを浮かべて手を上げる。

「お~! ドラゴフレイムではないか!」

 蓄えた口髭と腰に手を当て、ガハガハと笑いながらワイシャツ姿の龍人へと大股で歩み寄っていく。先程の真剣な表情とのギャップを初めて見た者は驚くかもしれないが、どちらかというとこちらの親しみやすい気さくな雰囲気がグランタイガーの素であった。

「相変らず精が出るな」

「わはは! まだまだ若い奴らにも負けていられんからな。日々鍛錬じゃ」

「そうだな。私もお前を見習うとしよう」

 グランタイガーが豪快な笑い声を上げる一方ドラゴフレイムは口角を上げず、持ち前の三白眼でグランタイガーを睨め付けるようにしながら言葉を繋いでいく。ドラゴフレイムをよく知らない者はその不機嫌にも見える表情を見て不安になることだろう。しかしどうやら本人曰く不機嫌などではなく、睨め付けているつもりないらしい。元々表情が表に出辛く、更に龍人特有の強面であることがそう勘違いされる原因らしかった。

「うむ、今問題になっている雄豚十字軍についてなのだが」

「! 何か続報があったのか?」

 にこやかな笑みを浮かべていたグランタイガーが鍛錬をしていた時と同じ真剣な表情に戻る。

 雄豚十字軍──近頃台頭している異能力持ちヴィランとその大量の手下達で構成されたヴィラン組織だ。ヴィランも含め構成員全員が肥満体型であることが特徴で、頭であるヴィランの名はブタータと言った。

 ブタータは他者を己の配下として支配する異能力を持っており、人々を攫い着実に手下を増やし続け勢力を拡大させていた。手下達はブタータによって雄豚戦闘員と名付けられ、皆が種族問わず豚鼻付きの黒マスクを被っており、その肥満体型を際立たせる黒の全身タイツ、黒のレザーグローブ、黒のブーツを身に付けているのが特徴だ。

「捜査を続け様々な情報を解析した結果、拠点の場所がある程度絞り込めそうなのだ」

「なんと!」

「うむ。しっかりとした絞り込みはまだ当分先になりそうなのだがな。勢力の大きさやブタータ本人の異能力、雄豚戦闘員達の異能力を鑑みれば下手に手を出すことはできん。油断せずに作戦を練り、ヒーロー総動員で──」

 ドラゴフレイムが言葉を言い終える前、道場内──否、ヒーロー本部内に警報が鳴る。この警報は侵入者が街にヴィランが出現した事をヒーロー達に知らせる為の物だった。

『緊急事態発生! 各地に大量の雄豚戦闘員達が出現! 中には異能力持ちも複数おり、市民達を一斉に襲っています!』

「何!?」

「何じゃと!?」

『パトロール中のヒーローは直ちに近くの現場に向かわせています。しかし雄豚戦闘員達の数が多い為手が回らず、ヒーローの増援が必要です。街の状況を把握した後一人一人に指令を送ります。それまでに本部のヒーロー達は出撃準備を行い、指令を送られたヒーローから直ちに現場に向かってください。繰り返します──』

 放送が繰り返され始めるのと同時に、グランタイガーとドラゴフレイムは顔を見合わせる。そして両者共に同時に左腕を前に突き出すと、手首に巻かれたヒーロー端末を操作する。

「「──変身!」」

 瞬間、ヒーロー端末が光り輝いた。光は粒子となってグランタイガーの空手着、ドラゴフレイムのワイシャツを覆っていく。粒子が弾けると共に、グランタイガーは紺と青と黒を基調にした空手着をモチーフにしたような全身タイツ姿に、ドラゴフレイムは暗めの朱色と赤と白を基調にしたビジネススーツをモチーフにしたような全身タイツ姿に変化していた。黒のラインが入った白色のグローブとブーツ、ベルトを身に着け、目元を覆った粒子がそれぞれの色に対応した青と赤色のバイザーへと変わる。白色のマントをはためかせ、二人は完全なヒーローグランタイガー、ドラゴフレイムへと変身を完了させた。

 パンパンに膨れ上がった男らしい太い腕。歳のせいで脂肪がついてしまい胸と腹は丸みを帯びてしまっているが、その分厚い胴体から発せられる圧と力は並みのヒーローとは比べ物にならない。どっしりとした上半身は丸太の様な太い脚で支えられており、その安定感は二人のヒーローとしての豊富な経験を物語っていた。

『グランタイガー、ドラゴフレイム。聞こえているかね』

「司令官! 聞こえております!」

 それぞれのヒーロー端末から老年の男性の声が聞こえる。声の主はヒーロー本部の頭、猫獣人の猫田司令だ。

『雄豚戦闘員の数は多く、騒ぎに便乗して暴れる雄豚十字軍と関係のないヴィランもいる。ヒーロー達の人手が足りない状況だ。そんな中、頭であるブタータの出現も確認された』

 端末から聞こえる猫田司令の言葉は続く。

『そこで、ヒーローのトップである君達二人にブタータの元へと向かってもらいたい。ブタータを倒すことができればこれ以上の被害拡大を止める事ができるが、拠点の件もある。無理をせず市民達の安全を最優先で頼むよ』

「了解した!」

「了解しました!」

『ありがとう……検討を祈っているよ』

 その言葉と共に端末にブタータの位置情報が送られる。それを確認したベテランヒーローグランタイガーとドラゴフレイムの二人はその場から駆け出したのだった。



*****



「ブーヒヒ! 行け行け手下共! 市民共を捕らえろ!」

 街駅前の広場の中心。人通りの多い目立つ場所でブタータは雄豚戦闘員達に号令を下していた。それを受けた雄豚戦闘員達は「ブヒィーッ!」という豚の鳴き声のような掛け声を上げ、逃げ惑う市民達を追い回していく。

「ブヒヒヒヒ!」

 雄豚十字軍の頭であるブタータは豚鼻付きマスクを被っておらず元々の種族が豚獣人だ。そして、その声や体格の特徴から決して若くはない事が予想できる。

 ブタータは雄豚戦闘員マスクの代わりに目元の見えない黒のアイマスクを着けており、でっぷりと肉付いた顎に不精髭を生やしていた。相撲取りのような体型の身体は雄豚戦闘員と同じ黒の全身タイツに覆われており、違うのは赤に白のラインが入ったグローブとブーツ、そして赤のマントを身に着けていることだった。

「ブーヒヒヒ! 行け行け! やっちまえブ……ッ! ヒィ~~!?」

 愉快そうに笑いながら命令を下していたブタータの身体が真横に吹き飛ぶ。何事かと雄豚戦闘員達が視線を向けた先──ブタータが元々いた場所には、白のマントをはためかせ、紺と青と黒を基調にした空手着をモチーフにしたヒーロースウツを身に纏う虎獣人が立っていた。

「ブタータよ、遂にお主にもお灸を据える時が来たようじゃのう」

 ヒーロースウツを纏った虎獣人──グランタイガーが不敵に笑う。すると宙から大量の炎が降り注ぎ、市民達と雄豚戦闘員達を分断する。遅れて、暗めの朱色と赤と白を基調にしたスーツ姿をモチーフにしたヒーロースウツを身に纏う龍人──ドラゴフレイムも到着した。

「ふう……お前は相変わらず足が速いな」

「わはは! ドラゴフレイム、まだまだお主も鍛錬が足りんのお~!」

「私も速度は速い方だと自負しているのだがな……しかし、精進しよう」

 ドラゴフレイムは炎を操る異能力を持っている。口から高火力の火炎を放って攻撃し、手や足から炎を噴出させれば空を高速で移動することも可能だ。

 一方グランタイガーは重力を操る異能力。その鍛え上げられた肉体と異能力との組み合わせによる力と移動速度はヒーローの中でも規格外であった。

「ぶ、ブヒィーッ!」

 動きの止まっていた雄豚戦闘員達が吹き飛ばされた主の命令を遂行する為、その障害となるヒーロー二人に襲いかかる。しかし、風船のように丸々と肥えた雄豚戦闘員など二人の熟練ヒーローの敵ではない。鍛え上げられた肉体で向かってくる雄豚戦闘員をいなし、二人を無視して負けじと市民を襲う雄豚戦闘員達も異能力を使った遠隔攻撃で戦闘不能にしていく。

「ブタータは?」

「ワシが一度蹴りをかましてやった」

 そう言ってグランタイガーが見た方向──ブタータが吹っ飛んで行った場所には土煙が舞っており、ブタータにお見舞いした蹴りの威力の凄まじさを物語っていた。

「……大丈夫なのか?」

「わはは、大丈夫じゃ。如何にヴィランと言えどワシも殺しはせん。むしろ手加減をしたせいでまだ悪さをする可能性があるからの、ちと様子を見てくる」

 ここは頼んだぞ! と告げながらグランタイガーは雄豚戦闘員を退けブタータの元へ向かう。ブタータは仰向けになって倒れており、気絶しているように見えた。拘束する為にその身体に手を伸ばそうとすると、ブタータの指がピクリと動き即座にその上半身を起き上がらせた。その様子を見たグランタイガーは目を丸くして感嘆の声を上げる。

「ほほう、あの一撃を受けて起き上がれるとはの。タフさだけは大した奴じゃ」

「き、貴様~! 俺様の頬を蹴りやがって、許さねえブヒ!」

「許されないのは貴様の方じゃブタータ。これまで犯してきた罪を償ってもらうぞ」

 鋭い眼差しでブタータを見下ろしながらその肉太の腕を掴む。その瞬間、ブタータはニヤリと笑みを浮かべ口を大きく開いた。

「雄豚戦闘員共! 人質を出せ!」

「!」

 ブタータの言葉にグランタイガーとドラゴフレイムの動きが止まる。見れば、周りの建物から大勢の雄豚戦闘員が人質を傍に抱えながら姿を現していた。人質の数だけで見ても優に五十人は越えており、如何にグランタイガーとドラゴフレイムの力をもってしても全員を無傷で助け出すことは不可能だ。

「おっと! 動くなブヒ! 俺様の腕を掴むそのご立派な手を離すブヒ! そうすればあの人質共の命はないと思えブヒ」

「なんと卑怯な……!」

「ブヒヒ! ヴィランの戦いに卑怯も何もないブヒ! 作戦は大成功ブヒな……しかしさっきの攻撃で気絶していたらヤバかったブヒ……」

 頬を腫らしながら冷や汗を垂らすブタータの腕を離すと、グランタイガーは問いかける。

「何が望みじゃ? ここで貴様を無傷で見逃す事か?」

「ブヒヒ! それだけじゃ雄豚十字軍を総動員させて街を襲った意味がないブヒ! 戦力的にマイナスにしかならんブヒからな……俺様が望むのは戦力の増強ブヒ~!」

「……市民達が攫われ雄豚戦闘員に変えられることを見逃せというのか? しかし、それはできん相談じゃな」

 市民に手を出すことは絶対に許さないとグランタイガーはブタータを睨め付け威圧感を放ち続ける。ブタータはそれに気圧されている様子だったが、負けじと言葉を続ける。

「ブヒヒ、そんな事をしてもまだマイナスブヒ。ボスである俺様の所にはお前らトップヒーローが来てくれると思っていたブヒからな……俺様が望むのは、貴様等グランタイガー、ドラゴフレイムの雄豚戦闘員化ブヒ!」

 ブタータの言葉にグランタイガーとドラゴフレイムの目が見開く。驚いた二人の様子を見て、ようやくブタータは心に余裕ができたのかニヤリと厭らしい笑みを浮かべた。

「この俺様の異能力が刷り込まれた豚鼻付き雄豚戦闘員マスクを着けるブヒ! これを着けたら人質共を見逃してやるブヒ、さもなくば……!」

「これを着ければ良いんじゃな?」

「人質共の命は……え?」

 ブタータが取り出した二つのマスクをグランタイガーは奪い取ると、その一つをドラゴフレイムへと投げる。ドラゴフレイムはそれを受け取ると、グランタイガーと目を合わせコクリと頷いた。そして何の躊躇いもなく、二人はそれを頭に被ったのだった。

 歴戦を思わせる虎獣人と龍人の顔がマズルの下部分を残し漆黒に染まる。マズルの上半分はマスクの豚鼻部分に覆われ、他の雄豚戦闘員と同様、口元は本来の種族の特徴を残しながら鼻だけ豚獣人にされたような風貌になってしまった。

「ぐおっ!?」

「ぐッ!?」

 瞬間、二人がマスクを押さえ蹲った。マスクに刷り込まれたブタータの異能力による洗脳攻撃が始まったのだ。二人の脳内にブタータの声と思想が少しづつ刷り込まれていく。

 ブタータという人物は素晴らしく、この身を尽くしてでも従うべき存在であると。ブタータのような肥満体型は恥ずかしいものではなく、この世で最も美しいフォルムであると。男であるブタータが最も至高な存在であると思えるよう、男を、男の身体を、男の臭いを好きになるよう趣味趣向を書き換えられていく。

「ぐ、お゛お゛ぉ……ッ!」

「が、あ……ッ!」

 フゴフゴと豚鼻付きマスク越しに鼻が鳴る。周囲に集まる雄豚戦闘員の、正面にいるブタータの匂いを嗅ぎ取っているのだ。鼻孔に届く雄の臭いが良い匂いであると、脳内に響くブタータの声が二人を洗脳していく。

「ごッ、フゴッ」

「フゴォッ」

「……ぶ、ブーヒヒヒ! 作戦大成功ブヒ~! ヒーロー打ち破ったり! これで貴様等は俺様が、太った男が大好きな変態雄豚戦闘員に早変わりブヒ! その滾った性欲に従い、俺様の忠実な下僕として──!」

 一度は呆気に取られていたブタータだったが、高笑いをしながらよろよろと立ち上がる。腰に手を当て、得意げに勝利宣言をしようとしたその時。

「貴様の忠実な下僕として、何じゃ?」

「へ?」

 押さえていた手を頭から離し、グランタイガーは言い放った。そう、ブタータを貴様と言い放ったのだ。それはブタータに洗脳され忠実な下僕へと変えられた雄豚戦闘員の台詞では決して無かった。

「ワシから見ればまだまだ若造の、それも悪人である貴様の洗脳に負けるヒーローではないわ!」

 ブタータと雄豚戦闘員の動揺を感じ取り、今が好機とグランタイガーが異能力を発動した。

 グランタイガーの異能力が可視化され、構えた右腕に黒色のオーラが集まる。それは重力を乗せた強烈な一撃を叩き込むグランタイガーの得意技──重力正拳“グラビティフィスト”の構えだった。洗脳が失敗したと判断したブタータは情けない悲鳴を上げ、雄豚戦闘員達に号令を下す。

「て、撤退ーーーッ!」

 命の危険を覚えたブタータの、一秒でも早くこの場から逃れたい思いを乗せた簡素な命令に雄豚戦闘員が答えた。黒のグローブに包まれた両手を合わせると、ブタータを含めた雄豚戦闘員達全員が紫色の光に包まれる。グランタイガーの一撃を受ける紙一重のところで、ブタータ達は完全に姿を消し去ったのだった。

「逃してしまったか……! ワシも多少は洗脳の影響を受けてしまったという事かの……」

 グランタイガーが己の右拳を見つめる。万全の状態なら、ワープで逃れられる前にブタータに一撃をお見舞いできるという確信があったようだ。

「しかし上出来だろう。奴らは自分達だけを逃がす余裕しかなかったらしい。市民達はみな無事のようだぞ」

「ドラゴフレイム! そうか……。しかし、わはは、やはりお主も無事だったか」

 豚鼻マスクを被った二人のヒーローが向かい合う。見渡せば、人質に取られていた獣人達が己を危機から救い出した二人の英雄に向かって歓声を上げていた。

 こうして雄豚十字軍が総動員して街を襲った大事件は、ヒーロー達の活躍によってたった一人の犠牲もなく解決したのだった。



*****



 一日後。

 雄豚十字軍が総動員して街を襲った大事件は、一人の犠牲もなく解決した──ように思えたのだが実際の所は違っていた。

 なんと、グランタイガーとドラゴフレイムが被らされた豚鼻付き雄豚戦闘員マスクが脱げなくなってしまったのだ。ヒーロー本部の技術力をもってしても取り外すことはできず、二人は雄豚戦闘員マスクを被ったまま私生活を過ごし、ヒーロー活動を行わなければならなくなってしまった。二人共しっかりとヒーローとしての意思を持ち、雄豚戦闘員のように洗脳もされていない為そこは問題ないのだが、トップのヒーロー二人がヴィラン組織の手下のマスクを被っているというのは中々恰好が付かなかった。

 しかし脱げないものは仕方がない。グランタイガーはヒーロー活動を行いながら今日も待機時間を使い、空手着を着て道場で鍛錬を行い続ける。

 ドラゴフレイムも豚鼻マスクを着けながらだが、ヒーロー活動の合間に新人ヒーローの育成や雄豚十字軍の本拠地についての詳しい捜査を続けていた。

 そして、夜が更けていった。


*****


「よし、それでは……」

 グランタイガーの自宅。ネクタイを緩めたワイシャツスラックス姿のグランタイガーは、食堂の椅子に座ると肉厚な両手を合わせ、目の前の自作料理を見やった。

「いただきます!」

 そう言って大盛にご飯が盛られたお椀を手に取り、虎人の一口サイズになるようご飯を運んで口の中に頬張る。

「んぐ、んぐ……」

 ご飯を飲み込み味噌汁を啜る。今度は焼魚を摘まみご飯と一緒に頬張った。

(うむ、我ながら上出来じゃな)

 心の中で自身の料理の腕前を褒めながらグランタイガーは黙々と料理を食べ続けた。


「ご馳走さん!」

 肉厚な両手を再び合わせ、食器をテーブルから下げる。流し台で食器を洗いながら、グランタイガーはある違和感に気付いていた。

(まだ少し腹が減っとるな……)

 食器を洗い終わり、自身の丸い腹に手を当てる。今日の献立は大盛りのご飯二杯と野菜の漬物に肉じゃが、そして焼魚と味噌汁だ。決して少ない量でない。

 食べ終わったばかりだというのにこうまで物足りないと感じたことはなかったはず……とグランタイガーが考えていると、手を当てていた腹からぐう~、という間抜けな音が鳴った。

(疲れでいつもより腹が減ったのか……? しかし、今日は大変な戦闘もなかったんじゃがなあ)

 食器は洗ってしまったし、明日の朝食分にまで手を出すのは気が引ける。これ以上食べるのは我慢しようと風呂場に向かおうとしたその時、再びグランタイガーの腹が大きく鳴った。

「……よし!」

 困った表情を浮かべていたグランタイガーだったが、しばらくすると腰に両手を当て決意の表情に変わる。

(ダイエット中だが仕方あるまい。腹が減っては何とやら、と言うしな。不足の事態でも万全に動けるよう、コンビニで弁当でも買って腹を満たすとしよう)

 心の中で言い訳をしながらネクタイを締め直して玄関に向かう。玄関前の姿見には、体格の良いワイシャツスラックス姿の虎獣人──であることが辛うじてわかる豚鼻マスクを身に着けた中年の男が立っていた。それを見てグランタイガーは眉間を押さえながら珍しく溜息を吐く。

(しかしというか、やはりこのマスクは締まらんな……)

 これから道行く市民達に奇異の目で見られるであろう事を憂いながら、グランタイガーは革靴を履き玄関の扉へと手を伸ばしたのだった。



*****



 翌日。朝を告げる目覚ましの音が寝室に鳴り響く。布団の中から少し色褪せた黄色の獣毛に覆われた腕が伸び、目覚ましを消した。眠気眼を擦りながら壮年の虎獣人──グランタイガーは起き上がった。

「む、ぐう……」

 普段は目覚ましがなる前に起きるのだが、今日は身体が重く上手く起き上がれない。しかし、その原因はグランタイガーも何となく分かっていた。

 何故なら昨日は追加でコンビニ弁当を一つ平らげただけではなく、夜中に小腹が空いて起きてしまい、今朝の朝食分をつまみ食いしてしまったからだ。睡眠時間も少なく、その質も低いとなれば身体が重いのも当然だろう。

「……」

 普段の自分の様子が違うのは、身体の重さだけではなかった。寝巻きである甚平姿のグランタイガーの股間。その部分が朝勃ちで持ち上がりテントを張ってしまっていたのだ。

「ワシも良い歳なんだがなあ……」

 ポリポリと頬を掻きながら甚兵のズボンを下ろすと、赤色の褌が顔を出す。褌を横にずらすと、ビンビンに勃起したちんぽが天に向かって反り勃った。

 ゆっくりと手を伸ばしてちんぽに触れると、ビクンと身体を震わせ甘い息が漏れる。

(それにしても、こんなに元気になったのは何年ぶりじゃ……?)

 ヒーロー活動と鍛錬を続け、いつの間にか薄れていた性欲が何故か今日はこんなにも高まっている。この朝勃ちも自分の手で“処理”をしなければ治まらなさそうだ。

「ッ、ふぅう……」

 久々と言えどそのやり方はしっかりと右手に染み付いている。竿を手で包み込むようにしてから上下に優しく擦り始めると、快感で吐息が漏れる。

 少しだけ余った皮を使い雁首に刺激を与えるとビクビクと身体が跳ね、先走りが飛んだ。

「ぬお゛ッ、ぉ……♡」

 久々に行う自慰行為が快感を増長させるのか、グランタイガーの記憶のものより快感が強い。近頃機会はめっきり減ってしまってはいたが、元々グランタイガーはかなりの性豪だ。かつての自分に今の自分を重ね気持ちを昂らせていく。

「き、もちいい……♡」

 フーッ♡ フーッ♡ と鼻息が荒くなっていく。忘れていた雄の本能が呼び覚まされ、竿を扱く手の速度が早くなる。まるで自慰を覚えたての子供のように、自慰行為に夢中になっていく。

「お゛……♡ ほ……ッ♡」

 ゾクゾクゾク♡ と背筋に快感が走った。仰向けになりながらも気がつけば足はガニ股になっており、快感で足の指が縮こまっている。ちんぽを扱きながらも雄の本能に従い、己の手を膣に見立てるかのように無意識の内に腰が上下に動いていた。

「射精る……ッ♡ 射精るぞッ♡♡ ぬお゛ッ♡ お゛ッ♡」

 行き場を失った左手は肉づいた腹の上に置かれ、円を描くようにゆっくりと撫で回している。そして早くも、グランタイガーに限界が訪れた。

「イ゛クッ♡ イ゛ッ♡ …………ッ♡」

 うわ言の様に口走ると同時に、グランタイガーが全身を震わせる。瞬間、ぷっくりと膨らんだ亀頭の先端。鈴口が開き中からドプッ♡ ドプッ♡ ドブッ♡ と濃厚な精液が噴き出した。

「~~~ッ♡」

 久々に行う射精の快感をグランタイガーは舌を出しながら享受する。ハッ♡ ハッ♡ と息を吐きながら、惚けた瞳で精液を断続的に放つちんぽを眺め続けていた。

 噴き出る精液は若い頃のグランタイガーに負けず劣らずの量と勢いだった。真上に吹き上がって落ち、グランタイガーの股座とシーツを汚していく。

「ぬ、お゛……♡ ぉ……♡」

 どっしりした身体を敷布団に沈ませながら、グランタイガーは射精の余韻に浸っていた。たまに義務で行っていた自慰行為とは違い、久々の激しい快楽を伴った自慰はグランタイガーの精神を蝕み、いつもの冷静な思考能力を奪う。

 どれ程の間惚けていただろう。グランタイガーはハッと目を見開くと慌てて上半身を起こした。

「い、いかん……♡ 早く身支度をして本部に行かねば」

 あれ程精液を放ったというのに、まだ頭の中に靄が掛かっているようだ。シャワーを浴びて着替えてから朝食を済ませて、身支度をしていく。射精してから時間が経っているというのに、グランタイガーはまだどこか夢心地だった。

 玄関に向かい姿見を通ると、雄豚戦闘員のマスクを被った己の姿が視界の端に映る。先程行った自慰行為の気持ち良さが頭を離れぬまま、グランタイガーは玄関の扉に手を伸ばすのだった。



*****



 あれから一週間が経った。夜、ヒーロー活動が終わったグランタイガーは、同じく本日のヒーロー活動を終えたドラゴフレイムをヒーロー本部に割り当てられた自室へと呼び出していた。

 理由は簡単、二人の共通の問題である雄豚戦闘員マスクについてだった。

「ドラゴフレイムだ」

「お~! よく来てくれた。入ってくれ」

 ノックと共にドラゴフレイムの低い声が扉越しに聞こえた為、部屋の中に迎え入れる。ドラゴフレイムは一般人を装う為のワイシャツ姿ではなく、いつもの暗めの朱色と赤と白を基調にしたヒーロースウツを身に着けていた。グランタイガーも同様、紺色と青と白を基調にしたヒーロースウツに身を包んでいる。

「好きなように座っとくれ」

「うむ」

 ソファに座るグランタイガーに向かい合うように、大きめのテーブルを挟んだ反対側のソファにドラゴフレイムが大股開きで座る。どっしりとした大きな尻が沈み込み、ギシ……と音を立ててソファの形を変形させた。予想以上に沈み込んだソファに対し気まずそうに頬を掻くと、ドラゴフレイムは口を開いた。

「やはり、この雄豚戦闘員マスクを着けてからお前も調子がおかしいのか?」

 ヒーロースウツを身に着けた二人のベテランヒーローはバイザーではなく、ヴィラン組織の下っ端の証であるマスクを被っている。脱げないので仕方がないのだが、そうした格好で向かい合っているというのは何とも奇怪な光景だった。しかしそれ自体は大した問題ではないとでも言うように二人は話を続けていく。

「う~む。既にブタータの声は聞こえんのだがどうにもな。まず、以前と明らかに変わったのは食欲じゃ」

「私もだ。その、恥ずかしい事だが以前の倍以上は食べるようになってしまった」

 二人して互いの姿を見比べる。以前の二人は歳のせいで太ってしまってこそいたが、筋肉も多く若者達から見ても格好良いと形容できる体型であった。しかし今の二人は違う。頬と顎に叩けば微かに揺れる程に肉が付き、胸や腹も以前より膨らんでいる。筋肉の浮き出ていた両腕や両足も、より脂肪が付いて硬い、というよりもムッチリと柔らかそうな見た目になってしまった。横幅が大きくなったせいで空手着やスーツをモチーフのデザインも多少横に引き伸ばされ、どこか不格好になってしまっている。

「しかしお主もこの短期間で太ったの~」

「他人事のようだがお前もだぞ。グランタイガー」

「わはは。しかしこれで確信したな。最近の身体の変調はこの雄豚戦闘員マスクのせいじゃ」

「同じ症状を持つ者も私達だけのようだしな」

 腕を組み言葉を返すドラゴフレイムに対し、グランタイガーは大きくなってしまった腹を撫でながら口を開く。

「このまま太り続けたら、本当に雄豚戦闘員のようになってしまいそうじゃな」

「うむ……できるだけ自分達でも摂生し、早くブタータの拠点突き止めこのマスクを外す方法を聞き出さなければならん。太っているのも問題だが……私達がこのマスクを被り続けている事自体良くないからな。指揮にも影響があるし、この姿ではイマイチ市民達を安心させることもできない」

「それは同意じゃな。周りの自分達を見る目が痛いわい」

 そうして二人のベテランヒーローは近況を報告し合う。雄豚十字軍についてや、新人ヒーローの教育について。

 しかし、会話しながら二人はどこか一つの話題を避けているように見えた。ひとしきり話した後、互いにその話題について触れたくなったのか少しの沈黙が訪れる。

「……のう、ドラゴフレイム」

「な、なんだ」

「身体の変化についてじゃが、食欲の他にもあるんじゃろ?」

「……」

 ドラゴフレイムが腕を組みながら目を閉じ、少し顔を赤らめた後大げさに溜息を吐いた。

「……ある。という事はやはりお前もか、グランタイガー」

「そうじゃ。食欲の変化を見ても、ブタータの洗脳が全く効いていないという訳じゃなさそうじゃな」

「軽くだが雄豚戦闘員化が進んでしまっているという訳か」

「うむ。それでなんだが……ドラゴフレイム、お主は一日に何回するんじゃ?」

 突然の問いにドラゴフレイムが大きく吹き出す。

「急に何を聞くんだ!」

「情報共有も大事じゃろう。互いに影響の度合いが違うかもしれんからな。比べて相手より重症であればより気を付けた方が良いという事じゃ」

 もっともらしい物言いにドラゴフレイムの動きが止まる。腕を組んでしばらく考え込んだ様子だったが、意を決したように口を開いた。

「五……三回だ」

「今五回と言いかけなかったか?」

「……! 五回だ! 五回! 情けない話だが、シてもシても性欲が収まらん! グランタイガー、お前は!?」

 顔を赤らめながら大口で怒鳴るドラゴフレイムに、珍しくグランタイガーが気圧される。

「うおお、そう怒らんでもいいじゃろ。その……ワシも五回程度じゃ」

 そしてグランタイガーも気まずそうにして自慰の回数を答えるのだった。

「……そうか、以前は週に一度するかどうかだったんだが。これ程までに性欲が強くなってしまうとは思わなかった」

「わはは、二人して年甲斐もなく盛ってしまっているというわけか」

「笑い事ではないんだがな……」

「ワシも多すぎやないかと気にしておったが、お主もそうなら気にするほどではないじゃろ」

「それはそれで少し楽観的すぎやしないか?」

 お互いの自慰回数が同じだとわかって一種の安心感を覚えたのか、先程までの空気が嘘のように二人の口数が増え始めた。そして男同士なのだから気にする必要もないだろうと二人の会話は段々と下世話な物へと変わっていく。

「それでオナニーなんじゃが、太ってきているせいか少しやり辛くないかの?」

「そうだな。前はそんなことはなかったのだが、胸と腹のせいで竿が見えず腕が伸ばしにくい。それどころか竿自体も少し肉で埋もれてしまっているからな」

「わはは! ワシもじゃ。まさかこの歳になってからこんな悩みを抱える事になるとはのう」

 話が盛り上がっている間に、いつの間にか部屋の中に熱気が籠り始めていた。元々そこまで広くない部屋で、横幅の大きい巨漢二人が向かい合って話しているのだからそれも当然の事なのかもしれない。次第に二人は汗を掻き始め、部屋に熱気が籠る速度が上昇していく。

 ドラゴフレイムが額の汗を腕で拭うと、組まれていた腕に隠れていた豊満な胸と腹が露わになる。グランタイガーは何故か同性の男であるはずの胸に視線が吸い込まれてしまう。

「どうした? グランタイガー」

「ドラゴフレイム、少し暑くないか?」

「……確かに、いつの間にかこんなに汗を掻いてしまった。少し冷房を……って、グランタイガー、それは……!」

「今日は朝に一度しか抜いとらんからな、ムラムラしてきてしまった」

「だからと言って……」

 嗜めようとしながらドラゴフレイムの視線がグランタイガーの股座に吸い込まれる。ヒーロースウツの股間部分が、一目で勃起しているのがわかる程に押し上げられていたのだ。普段はここまでくっきりと浮かび上がらないグランタイガーの逸物。そこから放たれているであろう雄の匂いを鼻が嗅ぎ取り、ドラゴフレイムの興奮を昂らせていく。

「物は相談なんじゃが……性欲が強まってしまったことはワシ等だけの秘密。太ってしまってオナニーがやり辛いのもワシ等だけの秘密じゃ。じゃから、ワシ等でお互いの性欲を解消する手伝いをしないか?」

「そ、それは……」

 ドラゴフレイムはグランタイガーの提案を断ろうとするも言い淀んでしまう。グランタイガーの放つ雄の熱気がむさ苦しく感じないだけではなく、むしろ魅力的に感じてしまっていたからだ。

「どうじゃ? ドラゴフレイム♡」

 グランタイガーは好色そうな笑みを浮かべ、ソファにもたれ掛かり股間を強調する。

 ドラゴフレイムはグランタイガーと古くからの付き合いだ。昔は性豪だったことと、男色の趣味があるわけではない事も分かっていた。

 グランタイガーは豪快な性格だ。扱き合い程度なら男同士でする事にあまり抵抗がなく、この誘いも半分は冗談だがもう半分は本気なのだろうとドラゴフレイムは想像できていた。

「全く……」

 はあ、と熱の籠った溜息を吐く。普段のドラゴフレイムなら断っていたであろうが、今日のドラゴフレイムはいつもと違った。赤を基調にしたヒーロースウツの股間部分を勃起で持ち上げながら、好戦的な眼差しでグランタイガーを見つめる。

「ブタータを捕らえこのマスクが脱げるようになるまでだけ、だ。毎日こんなに昂ってしまってはまともにヒーロー活動もできんからな」

「勿論じゃ」

 ドラゴフレイムとグランタイガーが立ち上がると、お互いが目と鼻の先の距離になるように向かい合う。汗ばんだ身体の熱気と雄の匂いが二人の鼻腔をくすぐった。息が荒くなり、互いの鼻息が胸に当たるのがわかる。グランタイガーとドラゴフレイムがおずおずと右手を伸ばすと、先程からヒーロースウツを持ち上げ主張している互いの雄の象徴に手を触れた。

「お゛……ッ♡」

「ッ♡」

 他者から与えられる刺激は自分で行うものよりも強く、腰砕けになりそうになってしまう。しかし互いに助け合い、相手の性欲を発散させなければこの行為は終わらない。早く目的を達成する為鍛え上げて来た足腰で踏ん張ると、肉厚な手の平で互いの肉竿を包み込むように撫でた。

「ふうッ♡ ふッ♡」

「ん゛ッ♡ ……♡」

 グランタイガーとドラゴフレイムの肉竿が互いの掌の中で脈打つ。行き場を失った二人の左手は相手の腰に回り、ドラゴフレイムとグランタイガーは自然と胸と腹を密着させる体勢になっていた。先走りが絡み合う粘ついた音と、ヒーロースウツの布擦れ音が部屋に響く。肉欲を発散しようと肉厚な身体がぶつかり合い、部屋を雄の熱気で満たしていく。互いに押し付け合う柔らかい胸と腹の触感、背中に回した手の平から伝わる相手の肉感に辛抱たまらないと言った様子でグランタイガーが口髭を蓄えた口を開いた。

「ドラゴフレイム……なんじゃこの身体は♡ 肉でムッチリとしてしまいおって♡ 自慢の筋肉は何処に行った♡」

「それはこっちの台詞だグランタイガー♡ 毎日道場で鍛錬している割にはだらしないぞ♡ 足も、腕も、背中も、もう少し痩せた方が良いのではないか?」

「お、お主ほどではないわ♡ 大勢の若いヒーローを教えるトップが、こんなたるんだ腹でどうする♡」

「何だと……♡ 貴様の方こそたるんどる♡ こんな女子のように柔らかい胸なんぞで……♡」

 トップのヒーロー同士、男同士でまぐわう罪悪感と背徳感を紛らわすかのように、互いに言い合い睨め付け合う。厭らしく相手の股間を弄りながら、雄の本能に従って腰を押し付けると、鼻息が荒くなりどんどんヒートアップしていく。

 雄豚戦闘員マスクを被った二人のマズルがどんどん近づいていく。そしてその興奮に従うまま、マスクの豚鼻同士をピトッ♡ とくっつく。

「フッ♡ フゴッ♡ お゛ッ♡」

「ふう゛ッ♡ ふッ♡」

 少し動けば口と口が触れ合う距離。どちらからともなく、微かに開いた口から舌が伸びた。性欲を発散する為だけなら、これ以上の行為をする必要はないはずだ。

 心臓が脈打ち、これ以上はいけないと脳が警告を発しつつも己の内から湧き上がってくる未知の欲求に逆らうことができない。

「どういうつもりじゃドラゴフレイムッ♡ 互いの性欲の発散を手伝うことだけがワシ等の目的だ。こんな、舌なんぞを伸ばして……ッ♡」

「こっちの台詞だグランタイガー♡ こんな、男同士で舌を絡める必要など……♡」

 互いに潤んだ瞳で見つめ合い、言い合いながらも着実に舌が伸びていく。唾液を纏った肉厚な二人の舌の先端がゆっくりと近づき、そして──。

「れろ……ッ!?♡ ッ♡ ~~~~ッ♡」

「はへッ♡ ~~ッ♡ ~~~~ッッ♡」

 舌同士がくっつき互いの唾液が混ざり合った瞬間、二人の背筋にゾクゾクと激しい快感が走る。先程まであれほど口で抵抗していたというのに、一度舌同士を触れ合うと積極的に舌を伸ばして絡め合わせていく。

「ぬお゛ぉ……ッ♡ 駄目だッ♡ こんな、男同士のキスが気持ちいいわけが……ッ♡」

「れろッ♡ はッ♡ そう思うなら舌を引っ込めろドラゴフレイム♡ お主の舌がワシの舌に絡みついてきて敵わん♡♡」

 気が付けば腰と股間に回していた両手を愛し合う恋人のように互いに繋ぎ合っている。腰をヘコヘコと動かし、肉竿同士をスーツ越しに擦り合い快感を享受している。

「ぬッ♡ ふううッ♡ なんという熱気、汗の臭いじゃ……♡ で、射精る……ッ♡ 射精すぞドラゴフレイムッ♡」

「私もだグランタイガーッ♡ お前の雄の匂いと肉の感触で、私は……ッ♡ フゴッ♡」

 舌をべろべろとむさ苦しく絡め合いながら豚鼻部分を擦り合わせ互いの汗ばんだ体臭を嗅ぎ合う。目が細まり、カクカクと腰を前後に動かす速度が速まっていく。そして。

「ぬお゛ぉッ♡ 射精るッ♡ 射精るぞッ♡ フゴッ♡ ごッ♡ ────ッ♡♡」

「イグッ♡ イ゛ッ♡ お゛ッ♡ お゛ぉ~~~~~ッ♡♡」

 ギュウウ♡ と互いの手を握り合い、二人の巨体がビクンと激しく揺れる。瞬間、むっちりと密着する二人の腹の下。ヒーロースウツ越しに擦り合わせていたちんぽの先からびゅるッ♡ びゅるッ♡ びゅるるるるッ♡ と濃厚な白濁液が噴き出した。

 あまりの勢いにヒーロースウツを貫通した二人の精液は交差し、互いの腹を濡らし合う。射精の快感に腰砕けになった二人はかろうじてガニ股で立ちながらも、互いのちんぽを押し付け合い射精の快感を増幅させることに集中していた。

「フッ♡ ふう゛ぅッ♡ フゴッ♡」

「ハッ♡ はへっ♡ フギッ♡」

 頭がのぼせそうになりながらも、二人は鼻を擦り付け合い互いの熱気を、匂いを体内に取り込んでいく。肉厚な舌は互いの唾液がもっと欲しい絡まり合い、相手の口内を蹂躙し、受け入れ続けていた。

「……ッ♡」

「っ♡」

 すりすりと硬さを失い始めたちんぽを擦り合わせ、射精の余韻に浸る。二人はしばらくの間言葉も交わさず、互いにまぐわい続ける事に没頭していた。



*****



「ドラゴフレイムさん、お疲れ様です!」

「うむ、お疲れさん」

 ヒーロー本部の廊下を歩くドラゴフレイムに犬獣人のヒーローが挨拶をする。雄豚戦闘員マスクを被っている事で周りの見る目は確かに変わったのだが、腐ってもベテランのトップヒーローだ。横幅が大きくなり肥満体型に拍車が掛かっていたとしても、依然としてそのヒーローとしての精神と戦闘の強さは他のヒーロー達の比ではない。未だ尚ドラゴフレイムを慕いついてきてくれる後輩のヒーロー達に感謝しながら、ドラゴフレイムはトレーニング室へと足を運んでいた。

「ちぇすとぉ!」

 トレーニング室に着き扉を開くと、中から空気を切るような音と共に、野太い男の声が聞こえて来る。声の主──グランタイガーは前に突き出した右拳を下げると同時に、今度は左拳を前に突き出した。

「……ちぇすとぉッ!」

 しかし以前のようなパンッ! という乾いた音は鳴らず、代わりにミシミシとグランタイガーの自重によって軋む道場の床の音が聞こえてくる。あれから二週間が経過し、グランタイガーの風貌はすっかり以前とは別物になってしまっていた。でっぷりと肥え豊満に肉付いた胸と腹は空手着には収まらず、空手着の正面が大きく開いてしまっている。多少の余裕があった袖やズボンの隙間もなくなり、みっちりと両腕両足の形に張り詰めていた。腰に巻かれた黒帯も長さが足りないのか、垂れ下がっている部分がかなり短くなってしまっている。

「ちぇすとぉッ!」

 節くれだった無骨な手はクリームパンのような可愛いらしい手へと変わり、前ほどの威圧感は存在していない。足も太くなり安定度は増しているようだが、その肉厚な体型はヒーローというより相撲取りに近い物に変わってしまっていた。

「グランタイガー、やはりここにいたか」

 今訪れたワイシャツ姿のドラゴフレイムも、グランタイガーと負けず劣らずの肥満体型になっている。顎肉がでっぷりと付いてしまったせいでワイシャツの第一ボタンが閉まっておらず、首を締め付けるネクタイが少し息苦しそうだ。横幅も以前より大きくなり、ワイシャツの腹部分を留めるボタンも今にもはち切れそうだった。

「おお、ドラゴフレイムか。よく来たのう」

「雄豚十字軍の本拠地の捜索についての進捗なのだが……」

 立ちながら報告を行おうとするドラゴフレイムにグランタイガーは歩み寄ると、その膨らんだ腹同士をくっつけ合った。柔らかいグランタイガーの腹の感触にドラゴフレイムは眉を動かし反応するが、まるで気付いていないかのように報告を続ける。

「本拠地があると思われる場所が三エリアに絞り込めた」

「ほほう」

「グランタイガー、聞いているのか?」

 グランタイガーは好色そうな笑みを浮かべドラゴフレイムのでか尻に手を伸ばす。厭らしく撫で回していたかと思えば感触を確かめるかのように鷲掴みにし、内側から押し広げられパンパンに張っていたドラゴフレイムのスラックスに皺を作る。

「勿論、聞いているとも」

「ん゛……ッ♡ そ、それでだ。向こうは瞬間移動の異能力を持つ雄豚戦闘員がいるからな。気付かれてしまえば今までの努力は全て無に帰る」

 先程まで鍛錬を続け汗を掻いていたグランタイガーの匂いが、ドラゴフレイムの鼻腔に豚鼻マスク越しに伝わる。洗脳の影響を受けたドラゴフレイムの身体は男の汗の匂いで興奮を覚えるようになってしまっており、スラックスのの下のちんぽを徐々に硬くさせていく。

「だから……♡ ふう゛ぅ♡ 慎重に動く為にもっと情報が必要なのが現状だ♡」

「つまり、しばらくはまだこの雄豚戦闘員マスクが脱げない状況に耐えなければいけないという事じゃな?」

「そういう事だ。ん゛ッ♡ ちゅッ♡ ふッ♡」

 返事を返そうと開いたドラゴフレイムの口にグランタイガーの舌が差し込まれる。しかし以前のような抵抗や言い合いもなく、すんなりとドラゴフレイムも舌を伸ばし返し、絡ませ合い始める。

「グランタイガー、まだ勤務中だぞ♡ ちゅッ♡ はッ♡ それをこんな……♡」

「どの口が言うんじゃドラゴフレイム♡ んん゛ッ♡ お主もこれがしたいからわざわざ足を運んだんじゃろうが♡」

 グランタイガーの言葉を認めたかのかドラゴフレイムは目を細めると、マスクの豚鼻部分を擦りつけ合いながら積極的に舌を伸ばし始める。そして両手を空手着の黒帯に伸ばすとゆっくりと解き始めた。

「そうだな♡ こんな性欲、発散しなければヒーロー活動に支障をきたしてしまう♡ 決して私達は勃起しながら全身タイツで街を闊歩する変態などではないのだから♡」

「ん゛お゛ッ♡」

 ズボンという障壁が取り去られ、グランタイガーの皮被りちんぽの姿が露わになる。水平に持ち上がったちんぽを緑の鱗で覆われた手で鷲掴みにすると、厭らしい手付きで前後に擦り始めた。

「だから、勤務中に勃起するこのちんぽにはお仕置きしてやらんとな♡」

「ん゛ッ♡ ふう゛ぅ……ッ♡」

 ちんぽに直接的な刺激を与えられたグランタイガーはガクガクと足を揺らす。しばらく目尻を垂らしながら与えられる快感を受け入れ続けていたが、負けじとドラゴフレイムのスラックスのベルトを解き膝までずり下げる。

 現れた青い白玉のトランクスを下ろすと、ズル剥けのドラゴンちんぽが顔を出した。硬さを宿し水平に持ち上がったそれはグランタイガーのモノより少し小さいが、それでも平均以上の大きさはあるだろう。

「それでは、お主のこのちんぽにもお仕置きせんとな……ッ♡」

「……ッ♡ ん゛ッ♡ ちゅッ♡ ちゅッ♡」

 そう言って色褪せた黄色の獣毛に覆われた手でドラゴフレイムのちんぽを握ると、同じように前後に擦り始める。

 互いの唾液を、吐息を交換しながら互いのちんぽを扱き合う。肉付いて柔らかく、丸くなった手はまるで極上のオナホのような感触で、二人の快楽をどんどん高めていく。それでだけでは足りないとでも言うように、胸を押し付け合い、互いの乳首も布越しに擦り合わせ刺激していく。今ここにいるのはヒーローではなく、肉欲を消化する事だけが目的の二体の雄だった。

「ワシもお主もこんなに肉付いてしまいおって♡ 摂生するとは何だったんじゃ♡」

「ふう゛ッ♡ ふッ♡ 食欲も、性欲も一向に収まらんのだ♡ 我慢しようと思っても耐えられんッ♡ すぐに腹は減るし、こうしてちんぽを擦り合わせたくなってしまうッ♡」

「そうじゃな……♡ しかしそれも全部この雄豚戦闘員マスクのせいじゃ♡ こんな物にムラムラさせられヒーロー活動の邪魔をされぬように……♡ ドラゴフレイム♡ もっと身体を擦り合わせて♡ 乱れて♡ さっさと性欲を発散しなければ……♡」

「うむッ♡ ちゅッ♡ フゴッ♡ たまらん、たまらんぞグランタイガー……ッ♡」

 悩まし気な声を上げながら互いの手を握り合う。豚鼻を、舌を、胸を、腹を密着させながら艶めかしく巨体全体を動かし擦り合わせていく。チャンバラをするかのように勃起した竿同士をぶつけ合い、互いの汗と先走りでぐしょぐしょに濡れていく。

「ふう゛ぅッ♡ イグッ♡ イクぞグランタイガーッ♡ お前のちんぽで、お前の匂いで……ッ♡ 私は……ッ♡」

「ワシもじゃ……っ♡ 臭いッ♡ 雄臭いぞドラゴフレイムっ♡ はあ゛ぁッ♡ 射精る……ッ♡♡」

 二人の腰が情けなく前後に動く。べろべろと舌を舐め合い、互いの口元を唾液で濡らしながらグランタイガーとドラゴフレイムは絶頂に達した。

「イグッ♡ イグウ゛ウウウウウっっ♡」

「ぬお゛ッ♡ お゛ぉお゛おッ♡」

 びゅるるるるっ♡ びゅっ♡ びゅ~~~~♡♡ びゅッ♡

 グランタイガーの仮性包茎ちんぽとドラゴフレイムのドラゴンちんぽが擦れ合い、両者とも朝抜いてきたというのにも関わらず大量の精液を放った。鍛錬に使い続けていた神聖な空手着が、若きヒーローを教え貫禄を示すシャツが、どちらのものともわからない精液で汚されていく。

「~~~~ッ♡ ッ♡」

 互いに目を細めながら舌を吸い合う。射精が終わっても尚ちんぽが硬さを失うことはなく、力の抜けた二人は抱き合いながらもその場に寝転がった。

 愛おしそうに互いの足を絡め合わせると、二人はトレーニング室の床の上でそのまま二回戦目に突入するのだった。



*****



「ドラゴフレイム……よく来てくれた。入っとくれ」

「失礼する」

 あれから更に二週間が経った。

 人気の少なくなった夜のヒーロー本部で、ドラゴフレイムはヒーロースウツ姿のままグランタイガーに割り当てられた自室を訪れていた。いつもと違い、ドラゴフレイムは手ぶらではなく左手に鞄を持っている。

「その中にあるのがアレじゃな?」

「ああ……」

「誰にもバレとらんじゃろうな」

「当然だ」

 はあ、とベテランヒーロー二人が溜息を吐く。しかしその溜息にはどこか熱が籠っているように見えた。

 グランタイガーの言葉を待たず、ドラゴフレイムは無言で鞄に手をかける。鞄を開けるドラゴフレイムのヒーロースウツの模様は、依然よりも更に横に引き伸ばされ窮屈になっているように見えた。

 鞄が開き、肉太の腕を中に突っ込むと中から黒い布地のような物を取り出す。瞬間、辺りに濃密な雄と汗の匂いが広がった。

「これはやはりどう見ても……」

「雄豚戦闘員の着る全身タイツじゃな」

 グランタイガーもロッカーを開き、中から全く同じ黒い布地──雄豚戦闘員の全身タイツを取り出した。既に雄豚戦闘員が長い間着た物なのか、同じように濃密な雄の汗の匂いを放っている。

「どうやって送られたのかはわからないが、今朝私の元にこれが届けられていた」

「しかし何故こんな物を……」

 そう言いながらも二人は送り主の正体も、その目的も分かっていた。ブタータがトップヒーローである二人にこの雄豚戦闘員タイツを着させようとしているのだ。もしこの雄豚戦闘員タイツを着れば、雄豚戦闘員マスクを脱げない二人の姿はより完璧な雄豚戦闘員へと近づいてしまう。

「……」

 当然ヒーローであれば、それもトップのベテランであるグランタイガーとドラゴフレイムであるならばこの雄豚戦闘員タイツを着ようなどと思うことはしないだろう。しかし、二人のとった行動は以前のイメージから来るものとは掛け離れていた。

「フッ♡ フッ♡」

「……フゴッ♡」

 二人はフゴフゴと鼻を鳴らし、雄豚戦闘員タイツの匂いを必死に取り込んでいた。そして、外を歩けば一瞬で変態扱いされてしまうほどに、二人はヒーロースウツの股間部分を持ち上げ勃起してしまっていたのだ。

 二人の食欲と性欲の増加はこの二週間も留まることを知らなかった。一日五回のべろちゅー擦り合わせ射精でも満足出来ない程になってしまった二人は、性欲発散の為もっと本能に直接響くような刺激を求めていた。そして今、その刺激となるに相応しい物が今目の前にあるのだ。

 目の前に差し出された“餌”にビクッ♡ ビクッ♡ と二人のちんぽが激しく脈打つ。ヒーロースウツの股間部分がヒーロー活動が不可能な程に先走りで濡れている。そして。

「……はひっ♡」

 どちらからともなく自分のヒーロースウツに手をかけた。変身を解除しその下のワイシャツやスラックスを脱ぐ手間すら惜しいのか、緊急時の着脱機能を使い直接スーツを脱いでいく。

 二人はヒーロースウツを全て脱ぎ去ると、すっかり太ってしまった肉体の全てをその場に晒した。雄豚戦闘員タイツに見蕩れながらちんぽをヒクつかせ、肩で息を繰り返している。

「フッ♡ フッ♡」

 濁った目に最早正気は感じられない。高まる性欲に支配された二人の雄は雄豚戦闘員タイツの首元を押し広げると、そこに肉厚な脚を通していった。

「お゛ッ♡ ほ……ッ♡」

 タイツの布地がぴっちりと肌に吸い付く感覚に、背中を仰け反らせ媚声を上げる。己の身体が雄の汗の匂いで密閉される感覚に酔いながら、もう片方の脚も雄豚戦闘員の黒タイツに通していく。

「い、いかん……♡ ワシは……♡ フゴッ♡」

 豚鼻マスク越しに情けなく鼻が鳴る。きっとこの雄豚戦闘員タイツもマスクと同じく脱げなくなるであろうことを二人は理解していた。しかし発散できない性欲が二人の判断を鈍らせ、より気持ちの良い方向へ導いていく。口では抵抗の言葉を吐こうと、手はタイツを引き上げ腰を覆っていく。伸縮自在な黒タイツはペニスと玉袋の形をくっきりと浮かび上がらせ、他の雄豚戦闘員と同様黒塗りになった勃起ちんぽが天高くそびえ勃った。次に腹を、胸を覆っていき、両腕もゆっくりとタイツに通していく。

「私は……ッ♡ お゛っ♡♡ ほ、お゛ぉお゛……♡」

 雄豚戦闘員タイツを二人の首元まで持ち上げる。二人がタイツから手を離すとピチッ♡ 音を立ててと首元を全身タイツが覆う。元々被っていた雄豚戦闘員マスクとの間に隙間はなく、色褪せた黄金色の獣毛も、強固さを感じさせる深緑の鱗も、全て雄豚十字軍の下っ端、そして変態の証である黒色に上書きされてしまった。

「フゴッ♡ 臭いッ♡ なんという臭いだッ♡ ブタータめッ♡ こんな物を送りおって……ッ♡」

「こんな物を我らヒーローに着せようなどと考えるとは、決して許してはならん行いだ……ッ♡」

 鼻を鳴らし息を荒らげながら、醜く太った己の身体をタイツ越しに撫で回していく。それはまるで、雄豚戦闘員タイツを自身の身体に馴染ませようとしているようにも見えた。

 ふと、二人の視線が設置された大鏡に向けられる。そこに立っていたのは雄豚戦闘員マスクを被り、雄豚戦闘員タイツを着て勃起した肥満体型の巨漢二人。辛うじて残る耳やマズルの特徴から、虎獣人と龍人であることは判別できる。しかし勃起を晒す全身黒タイツという変態的な姿は、どう見てもヒーローではなく雄豚戦闘員にしか見えなかった。

「ぬ……フゴッ!? フゴッ♡」

「ブヒッ!?♡ イ゛……ッ♡」

 立ち昇る雄豚戦闘員タイツの、自分達の雄の匂いによって二人の興奮は最高潮までに高まった。雄の本能に従うべく腰に手をつけガニ股になると、勃起したちんぽを突き立てながら腰を高速で前後に振り始めてしまう。

「フゴッ♡ フゴッ♡ フゴお゛ッ♡」

「フッ♡ フゴゴッ♡ フゴッ♡」

 太り肉付いた身体では自然な呼吸を行えず、部屋に充満する雄の香りを少しでも多く吸い込む為に豚のように鼻を鳴らしてしまう。

 相撲取りのように太ってしまってもヒーローとして鍛え続けてきたその足腰は健在だ。重たくなってしまった自重をガニ股でしっかりと支え続け、快楽を少しでも多く得る為必死に腰を振り続けている。

 鏡に向かって腰を振り続ける二人の姿はまるで、雄豚戦闘員となった自分を犯しているようにも見えた。

「イ゛ッ♡ イグッ♡ イ゛グう゛ウ゛う゛ッ♡」

「た、たまらん゛ん゛ッ♡ 中にッ♡ 中に射精すぞお゛ッ♡ ヌオ゛ッ♡ ヌオ゛オ゛ォオ゛オ゛ッ♡♡」

 快楽に導かれるまま二人は咆哮すると、腹に半分以上が埋もれた黒タイツちんぽから精液を放出した。その勢いは凄まじく、大鏡に写った自分、そして床に乱雑に置かれていた正義の象徴であるヒーロースウツを己の欲望で白く染め上げていく。

「お゛~~~ッ♡ フゴッ♡」

「フゴッ♡ お゛……♡」

 射精の余韻に浸りながらも、勃起の治まらないちんぽをブルブルと上下に揺らした。全身黒タイツ姿で勃起ちんぽを揺らす壮年の巨漢二人の姿は、言い訳のしようがなく変態そのものだった。

 ブタータの洗脳は、確実に二人のヒーローを肉欲の道へと引きずり込んでいっていた。



*****



 あれから一週間。二人のヒーローはみるみる堕落していった。最早摂生などできず、腹が減れば何の抵抗もなく直ぐに何かを口に入れてしまう。性欲も身体の脂肪と共に膨れ上がっていき、ヒーロー活動時と食事する時以外は互いを呼び出し、雄豚戦闘員姿で淫らに巨体とちんぽを擦り合わせ続けていた。

 結局雄豚戦闘員タイツもマスクと同様脱ぐことができなくなってしまい、全身タイツという性質上、少しでも肌が見えるとそれが周りにバレてしまう為、二人が外に出る際はヒーロースウツ姿でいることが基本になっていた。

 そして、ようやく雄豚十字軍の本拠点の位置が大幅に絞り込めそうになってきた頃。

「ブフー……ッ、ブフー……ッ!」

「フゴッ! ブタータめ、ようやく姿を現しおったな! 今度こそ貴様を捕らえてみせるぞ……ッ」

 グランタイガーとドラゴフレイムが同じ任務にあたっていた時の事だった。任務を終えた二人の前に再びブタータが現れたのだ。

 ニヤニヤと笑みを浮かべるブタータに対しグランタイガーとドラゴフレイムは凄んでみせたが、以前ほどの威圧感は存在していない。ほとんど周りの雄豚戦闘員と変わらない程に肥え太り、更には顔に同じ手下の証である雄豚戦闘員マスクを被っているのだから当然の事だった。

 グランタイガーの怒声を受けたブタータは以前と違い余裕綽々といった様子で笑う。

「ブヒヒ! そんな醜く太った貴様らに何が出来るブヒ!」

「ぐ……ッ! それは貴様も同じだろう、ブタータ!」

 息を切らしながらブタータに反論するが、以前ほどの実力が出せないのは事実だ。しかし、続けてきた鍛錬とベテランのトップヒーローとしての経験の差をブタータが覆せないであろうことも事実だった。しかし、それでもブタータは不敵に笑う。

「ブッヒッヒ♡」

 笑いながら股間をまさぐると、全身タイツのスリット部分からボロンと野太いズル剥けちんぽを取り出した。その太さは圧倒的で、グランタイガーやドラゴフレイムの立派な逸物にも勝る大きさだ。

 玉袋も大きいズル剥けのちんぽは、醜く肥え太っていても雄として優れた遺伝子を持っていることが伺える。

「そこに直れブヒ♡」

「何じゃと? ……ブヒッ!?」

 ブタータの命令とそのちんぽの雄臭が二人の鼻に届いたその瞬間、まるで本能がそうするべきだとでも言うように二人はしゃがみ込むと、両手を頭の後ろに回しエロ蹲踞の体勢をとってしまう。

「な、なぜ身体が勝手に……!」

「ブーヒッヒ! やはり予想は的中していたブヒ! 貴様等、見るからにブクブク太っていったブヒからな? 俺様の洗脳が効いている証拠ブヒ! そして俺様の命令に逆らえないということは、俺様が送った雄豚戦闘員タイツを着ているブヒな? この変態ヒーロー共♡」

「な……ッ♡」

 ブタータに図星を突かれ、グランタイガーとドラゴフレイムは顔を赤らめて言葉を失う。実際に二人は己の欲望に負け、ヒーロースウツの下に雄豚戦闘員タイツを身に着けてしまっている。

「雄豚戦闘員タイツは俺様の異能力が刷り込まれているブヒから、これを着せるだけでもある程度行動を操ることができるブヒ♡ つまり、これで貴様等も立派な変態ホモの雄豚戦闘員ブヒ♡ 俺様の手下として盛り合いながら、俺様の為にたっぷりと悪事を働いてもらうブヒ♡」

 ブヒブヒと笑うブタータに対し、グランタイガーとドラゴフレイムは絶望の表情を──浮かべてはいなかった。

 確かに性欲に屈し、こんな醜態を晒してしまってはいる。しかし正義のヒーローとしての心はまだ悪には屈していないと、その瞳を輝かせブタータを睨め付けていた。

「ぐ、お゛……ッ! 巫山戯るでない! 誰が、お主の手下になるじゃと……ッ!」

 グランタイガーが身体を震わせながら地に響くような声で喋る。

「その通りだ……ッ! 私達ヒーローは、貴様のようなヴィランに屈したりなぞはしない……ッ!」

 ドラゴフレイムも以前のような気迫でもってブタータに言い返す。丸々と肥えてしまったがその内の筋肉はまだ失われてはいない。今にも雄豚戦闘員タイツに刷り込まれた異能を破り、ブタータに一撃を見舞う気迫を放っていた。

「ぶ、ブヒヒ……! そんなに凄んでも無駄ブヒ! 貴様等が俺様の忠実な下僕、変態ホモの雄豚戦闘員であることを俺様が直接教えてやるブヒ♡」

 ブタータが腰に手を当てちんぽを揺らす。その鈴口から垂れる先走りは、雄豚戦闘員として洗脳の進んだ二人には極上の雫に見えてしまう。

「フゴ……ッ♡ ワシ等は……ワシ等は決して雄豚戦闘員などではない!」

「ブヒヒ……そうと言い張るなら我慢勝負をするブヒ♡ 貴様等雄豚戦闘員のだーいすきな俺様のちんぽをその豚鼻に突きつけてやるブヒ♡ それでも発情せず、自分がヒーローだと言い続ける事ができるなら貴様等がヒーローだと認めてやるブヒ♡」

「そ、そんな間抜けな勝負……♡」

「どうしたブヒ? 負けるのが怖いブヒ? それじゃあ、貴様等は俺様の手下確定ブヒなあ♡」

「ぐ……ッ♡ わかった、受けて立とう♡ そんな下らない勝負をせずとも、私達は貴様の手下なんぞにはならんがな♡ すぐにこのタイツの異能力も打ち破ってみせる♡」

「ブヒヒ♡ ほざいてろブヒ♡」

 ブタータが一歩前に進む。ズル剥けの豚ちんぽから漂う雄の香りに、二人の豚鼻がヒクつく。

「ぐ、う……♡」

 一歩、一歩と近づく度に息が荒くなっていく。抵抗しようと食いしばっていた歯が緩み、物欲しそうに口が開いていく。

「フゴッ♡ お゛……ッ♡」

 一歩、また一歩。ブタータの赤ブーツが地を踏みしめ、ヒーロー達を屈服させようと歩み寄っていく。二人のヒーローは目の前に倒すべきヴィランがいるというのに、手も足も出せずエロ蹲踞でこの場を耐える事しかできない。

「お゛ッ♡ お゛ほ……ッ♡ 」

 いつの間にか勃起していたちんぽが二人のヒーロータイツを押し上げビクンッ♡ と跳ねた。腰が微かに動き、徐々にその動きが大胆になっていく。ブタータと二人の距離が残り一メートル、五十センチと近づいていき、そのちんぽの先端が二人の豚鼻の先まで近づき──。

「フゴッ♡ フゴォッ♡ フギッ♡」

「ブヒヒ♡ なーにが手下になんぞならんブヒ? そんな姿で発情してないなんて本当に言えるブヒか?」

 ブタータが汗を垂らしながら厭らしい目で二人のベテランヒーローを見下す。グランタイガーとドラゴフレイムはブタータの立派な雄竿を前にして、口から間抜けに舌を垂らしながら、フゴフゴと浅ましく鼻を鳴らして腰を振り始めてしまっていた。

「ち、違う゛ぅ……♡ 違うんじゃぁ♡ これは、これは決してブタータの匂いがたまらなく愛おしいと感じているわけでは……ッ♡」

「む、う゛うぅ……♡ そうだ♡ こんな太い立派なちんぽに興奮してしまうのは当然の事だ♡ しかし、これは所詮ヴィランのちんぽ♡ 嗅ぎながら奉仕したいなどと思ったりは……ッ♡」

 二人が各々の言い訳を並べ終わる前に、ブタータはちんぽに力を入れてピクン♡ と上下に動かす。ブタータの先走りが飛び、二人のヒーロースウツに掛かる。そこから立ち昇るブタータの雄の匂いが二人の脳みそを直接犯していく。

「フゴッ♡ フゴオォッ♡」

 豚鼻を鳴らし、みるみる鼻息が荒くなっていく。腰を振る速度が速くなり、テントの先端は先走りでぐしょぐしょに濡れ今にも射精してしまいそうだ。雄豚十字軍のブタータを前にしエロ蹲踞で発情するその姿は、最早ヒーローではなく雄豚戦闘員と言って差し支えないものだった。

「ブヒヒ♡ 愉快ブヒ~♡ あのベテラントップヒーロー二人が俺様のちんぽ一つに弄ばれているなんて……♡ おい、変態共♡」

「フゴッ♡ だ、誰が……♡」

「私達は変態などでは……ッ♡」

 二人のヒーローは最早口で抵抗する事すら滑稽な状態になっていた。ヒーロースウツにマントを纏いながらも顔には豚鼻付きマスクを被り、勃起しながら鼻を鳴らし腰を振り続けているのだからそれも当然だ。ブタータは二人の言葉を無視して言葉を続ける。

「い~や♡ 貴様等は立派な変態ホモの雄豚戦闘員ブヒ♡ 俺様のちんぽの匂いをもっともっと近くで嗅ぎたいんだろ? ブヒ♡」

 再びブタータがちんぽをヒクつかせてアピールする。それを否定する二人の言葉が出るのは少し間をおいての事だった。

「そんな、訳が……♡」

「本当ブヒ?♡ 貴様等はきっと物足りなかったはずブヒ♡ 互いの太った雄の身体の匂いを嗅ぎ、擦り付け合い、さぞたくさん射精したんだろうブヒなあ♡ しかし、貴様等雄豚戦闘員が最も愛するのはこの俺様、ブタータ様の肉体ブヒ♡ 俺様のちんぽの匂いを嗅ぎながら射精したくて仕方がないはずなんだブヒ♡」

 ブタータの言葉に二人は頭に思い浮かべてしまう。今目の前にあるブタータのちんぽに豚鼻を着け、直接嗅ぐ幸福を。そのまま腰を振り続け、ブタータの匂いで射精できる快感を。

「お゛……ッ♡ フゴッ♡」

 唾液が大量に生成され、舌から垂れ落ちていく。豚鼻が鳴り、もっと近くで嗅ぎたいと顔を伸ばしてしまう。

「認めてしまえブヒ♡ 俺様のちんぽが大好きな変態ホモの雄豚戦闘員だと♡ そうすれば俺様のちんぽをその物欲しそう豚鼻にピトッ♡ とくっつけてやるブヒ♡」

「フ……ッ♡ ごッ♡ フゴッ♡ フゴッ♡」

 グランタイガーとドラゴフレイムのちんぽの形に浮き上がったヒーロースウツから透明な液が垂れ落ちる。このままいけばきっといつも通り射精まで行うことができるのだろう。

 しかし、この一週間で二人は単純な射精では満足できなくなってしまっていた。ブタータの言う通り、ブタータの匂いを嗅ぎながら射精することが雄豚戦闘員として洗脳された者にとって最も幸せなのだから。

「ワシはッ♡ ワシは負けんぞぉ……♡ 貴様のちんぽが欲しいからといって、自分を雄豚戦闘員だと認めたりなぞはせんん……ッ♡」

「私もだッ♡ 私はヒーロードラゴフレイム♡ 悪を討ち平和を守るのが私の使命だッ♡ それを、悪辣な変態ヴィランの手下になるなぞ……ッ♡」

 摺り足でブタータがよりちんぽを近づける。顔を伸ばせば鼻の届く位置。口で抵抗しながらも二人はゆっくりと顔を伸ばしてしまう。

「本当に認めないブヒ? 認めればすぐにこれを貴様等に押し付けてやるんだがなぁ~♡ ……仕方ない、サービスしてやるブヒ♡」

「なッ♡ 何を……ッ♡ フゴオ゛ォお゛お゛ッ♡♡」

 ドラゴフレイムがブタータの言葉の意味を飲み込む前に、ブタータはドラゴフレイムの豚鼻部分にちんぽの先端を乗せた。間近で伝わるブタータのごん太巨根の熱と匂いに耐えられず、ちんぽの形に浮き上がったヒーロータイツの先端から精液を放出してしまう。

「ドラゴフレイムッ!」

「お゛~~~ッ♡ フゴッ♡ お゛……ッ♡」

「ブーヒヒヒ♡ 先走りもプレゼントしてやるブヒ♡」

 トロトロと垂れた先走りがドラゴフレイムの豚鼻部分に乗る。それを期に、ドラゴフレイムは舌をちんぽに伸ばしながら腰を振り続けるただの変態に成り下がってしまった

「ブヒヒ、次は貴様ブヒ♡」

「ぐ、やめるんじゃ……ワシは……ッ♡ ドラゴフレイム……ッ♡」

 フゴッ♡ フゴッ♡ と鼻を鳴らしながら離れていくブタータのちんぽを名残惜しそうに鼻で追いかけるドラゴフレイムにヒーローとしての面影はない。絶望しながらもブタータを敵意を持った目で睨め付けるグランタイガーの豚鼻部分にブタータはちんぽを近づけていく。

(ぬ゛お゛ぉ……♡ 熱い……ッ♡ 何て熱と匂いじゃ……♡ しかしワシはヒーローグランタイガー♡ こんな変態ヴィランのちんぽに負けては……♡)

 ブタータのちんぽが目と鼻の先にやってくる。ピントがずれ、ちんぽのくすんだ肌色がぼやけていく。熱がグランタイガーの思考を犯し、そして。

「ブヒっとな♡」

「~~~~~ッ♡♡♡」

 亀頭の裏側をグランタイガーの豚鼻部分に着けた瞬間、グランタイガーは射精した。ヒーロースーツを貫通し、敗北の証である白濁液がボタボタと無惨にコンクリートに飛び散っていく。

「フゴ゛──ッ♡ ふごお゛ッ♡ フゴゴォッ♡」

「ブヒヒ♡ もう一度聞いてやるブヒ♡ 俺様のちんぽが欲しくないブヒか?」

 舌を垂らし腰を振り続ける二人の虎獣人と龍人にブタータは再度問いかける。雄豚戦闘員マスクを被った二人のヒーローは舌を垂らしながら、声を荒げて言った。

「欲しいッ♡ 頼むッ♡ そのちんぽをくれぇッ♡ 雄の汗の匂いが、熱が欲しくてたまらんのだッ♡」

「すまなかったッ♡ 頼むッ♡ ワシにもう一度お主のちんぽをぉッ♡」

 ちんぽ狂いへと堕ちた二人のベテランヒーローの姿を見て、ブタータはニヤリと笑うとちんぽを上下に振りながら命令を下した。

「じゃあ俺様が今から言うように宣誓するブヒ♡ 私達ヒーローはブタータ様のちんぽが大好きな雄豚変態野郎です♡ ブタータ様、この変態ホモの雄豚戦闘員めにどうかちんぽをお恵み下さいってブヒな♡」

 他者を、ヒーローを馬鹿にしたようなブタータの要求を、以前の二人ならば相手にもしなかっただろう。しかし二人は目の前にぶら下げられた救いの糸に感謝するかのように、犬のちんちんの芸のように両手を前に出し折り曲げ、精一杯の媚びを売りながら口の端を吊り上げた。

「「はひッ♡ 私達ヒーローはブタータ様のちんぽが大好きな雄豚変態野郎です♡ ブタータ様、この変態ホモの雄豚戦闘員めにどうかおちんぽをお恵み下さいッ♡」」

「ブヒヒッ♡ よくできたブヒッ♡ おらッ♡ こっちに来るブヒ♡ 浅ましく自分達から鼻を伸ばし俺様のちんぽの匂いを嗅ぎに来るブヒッ♡」

「「ブヒィーッ♡♡」」

 洗脳のせいか無意識によるものか、二人は雄豚戦闘員と同じ豚の鳴き声のような掛け声を上げ、エロ蹲踞の状態を維持しながら摺り足でブタータの足元まで移動する。そうして恥も外聞もなくフゴフゴと鼻を鳴らしながら、ブタータのちんぽへと鼻を伸ばした。それは腹を空かせたペット達が与えられた餌に一斉に群がる姿そのままであった。

「ブヒヒ♡ 正直な変態奴隷共にはしっかりと褒美をくれてやるであーるからな♡ ほれほれ♡」

「フゴッ♡ フギィッ♡」

「ブヒッ♡ ブヒィイッ♡」

 ブタータがちんぽと腰を巧みに動かし二人の豚鼻を交互に叩いていくと、グランタイガーとドラゴフレイムは喜びのあまり豚の鳴き声を上げ、何も触れていないちんぽから精液を放出する。

(ああ……ッ♡ 駄目じゃ♡ もう戻れん゛……♡)

(私はもうヒーローではない……♡ ブタータの、男のちんぽが大好きな雄豚変態野郎なのだ……♡♡)

 自分が変態へと堕ちた事を自覚して射精する度に、二人の鼻に変化が起きる。ムズムズとくすぐったい感覚に襲われたかと思うと、鼻が太くなりゆっくりと前へ伸びていく。鼻が太くなるにつれて鼻の穴も大きくなり、ブタータのちんぽの匂いを、この場に立ち上る雄の匂いをより強く嗅ぎ分ける事ができるようになっていく。そうなる事で、どんどん雄の匂いが大好きになる深みへとハマっていく。

「ブヒヒ♡ 頃合いブヒな♡」

 その様子を確認したブタータが二人の雄豚戦闘員マスクに手を伸ばした。ぺりぺりと音を立ててそのマスクを外すと、二人の鼻は以前のような虎獣人、龍人の物ではなく豚獣人と同じ豚鼻へと変化してしまっていた。

 マスクを付けずとも豚鼻になってしまった二人の姿にブタータは満足そうに笑うと、自身の竿を自分の手で擦り絶頂へと向かっていく。

「ブヒヒ♡ 雄豚変態野郎共♡ 貴様らに俺様の神聖な静液を恵んでやるブヒ♡ 豚鼻鳴らしながら感謝して受け取るブヒ♡」

「フゴッ♡ フゴオォッ♡」

「ブヒッ♡ ブヒィッ♡」

 目の前で射精準備を始めるブタータのちんぽの匂いを必死に嗅ぎ続けるグランタイガーとドラゴフレイム。

 赤いグローブに覆われた手で刺激を与えられながら、二人の鼻息を当てられ続けたブタータのズル剥けごん太ちんぽはどんどん射精に向かっていく。

 大きな玉袋が持ち上がり、精液が尿道に向けてせり上がっていくのがわかる。

 ブタータが一際サディスティックな笑みを浮かべた。そして群がる二人の鼻先にちんぽを突き付けると、ビクンッ♡ と身体を大きく震わせる。そして。

「イクブヒッ♡ 俺様の精液を受け止められる事を感謝するブヒ♡♡ ブヒッ♡ ブッヒイイィ♡♡」

「「〜〜〜ッッ♡」」

 ビクンッ♡ と一際大きく揺れたブタータのズル剥けごん太ちんぽから、大量の精液が噴き出した。

 二人の顔に降り注ぐブタータの精液は雄豚戦闘員マスクに染み込み、許容量を超えた精液は二人の鼻の中にまで侵入し、その匂いは鼻孔と共に二人の脳まで犯していった。

 そのあまりの強烈な刺激に耐えられず、グランタイガーとドラゴフレイムは仰向けに倒れ込んでしまった。

 その姿はまるで犬の降参のポーズのようで、言外にブタータへの屈服を現しているようだ。

「ブヘッ♡ ブヘッ♡ ブへへッ♡」

「フゴッ♡ ゴッ♡ オ゛ッ♡ フゴッ♡♡」

 ドプッ♡ ドプッ♡ ドプッ♡ とヒーロースウツにくっきりと浮かび上がるちんぽから放たれる精液はヴィランであるブタータの匂いに完全敗北した証。犬の降参のポーズのまま射精を続ける二人だったが、射精が終わりそうになっても鼻孔にこびりつくブタータの精液の匂いで再び絶頂に達してしまう。

 性欲旺盛になってしまった二人の玉袋の精子は中々尽きず、しばらくの間射精を行い続けていた。

 止まらない射精の快楽とブタータの匂いが二人の価値観を歪め、雄豚戦闘員として正しい価値観へと矯正していく。

「ブヒヒ♡ 気絶はしていないだろうな? 今から俺様が貴様等雄豚戦闘員共にだーいじな命令を下してやるからよく聞くブヒ♡」

 ブタータがタイツの中にちんぽをしまい、仰向けになって射精を続ける二人を見下しながら言う。

「貴様等には表向きはヒーローとしてヒーロー本部に戻ってもらうブヒ♡ しかしヒーローである以前に貴様等は俺様の忠実なる手下ブヒ♡ 裏でヒーロー共の雄豚戦闘員化を行い、俺様が有利に立ち回れるようヒーロー本部の情報を横流しするブヒ♡」

 ブタータの命令を受けた二人の雄豚戦闘員マスクを被ったヒーローは、ガニ股で舌を伸ばしピクピクと痙攣してしまっている。

 射精が終わっても返事のないベテランヒーロー二人。最早ブタータは二人が手下になったと確信し怖れすら抱いていないのか、舌打ちをすると仰向けに寝転がる二つの巨体を乱暴に蹴りつけた。

「下僕共! わかったら返事ブヒ!」

「「……ッ♡ ぶ、ヒィー……ッ♡」」

 下僕共と呼ばれたグランタイガーとドラゴフレイムは、手下である雄豚戦闘員の掛け声でもってブタータの命令に答えるのだった。



*****



 数日後、ようやく実行された雄豚十字軍本拠地攻略作戦はブタータが逃げおおせた事で失敗に終わってしまった。

 その同日の夜の事。

『よくやったブヒ下僕共!』

 雄豚十字軍の第二の本拠地。まだヒーロー本部に知られていないその場所で、熱気を纏いながら密集している男達の姿があった。男達は皆豚鼻付きマスクと黒の全身タイツ、グローブ、ブーツを身に着けた雄豚戦闘員。肉厚な身体を密着させ整列する彼等は、自分達の放つ雄の匂いに興奮し敬礼のポーズを維持しながらもちんぽを勃起させ続けていた。

 整列する雄豚戦闘員達の前方、唯一広くスペースを使う雄豚十字軍の頭、ブタータは足を組んで椅子に座りながら言葉を続ける。

『特に裏で工作を行い俺様を逃がしたドラゴフレイムにグランタイガー! 貴様等には感謝してやるブヒ!』

『『ブヒィーッ! 勿体なきお言葉! 身に余る光栄でありますッ♡』』

 ドラゴフレイムとグランタイガーと呼ばれた二人の雄豚戦闘員は、他の雄豚戦闘員達と同様周りと身体を密着させたままちんぽを痛いほどに勃起させていた。そして、ブタータの言葉に敬礼をしながら豚のように鳴いて答える。

 ドラゴフレイム、グランタイガーと呼ばれた二人の面影は微かに浮き出た耳のシルエットと、唯一露出したマズルの下部分、そして年齢を感じさせる低い声にしか残っていない。雄豚戦闘員マスクに雄豚戦闘員タイツ、そしてグローブとブーツを身に着け、相撲取りのような体型となった二人はどこからどう見てもブタータの手下、変態ホモの雄豚戦闘員であった。

『ブヒヒ♡ それでは作戦成功祝いブヒ♡ そこで俺様と貴様等の雄臭を嗅ぎながら変態腰振りオナニーをすることを許してやるブヒ♡ それでは開始ブヒ♡』

『『『ブヒィーッ♡♡♡』』』

 ブタータの号令に従い雄豚戦闘員達は狭い中ガニ股になると、手を頭の後ろに付けヘコヘコと腰を振り始める。

 フゴフゴと鼻を鳴らしながら互いの肉をぶつけ合い、前に並ぶ雄豚戦闘員の尻にちんぽを突き立て肉欲に溺れる様はまさに変態と呼ぶに相応しい姿だった。

 かつて立派なベテランヒーローだったグランタイガーとドラゴフレイムもその中の一員として、己の性欲に従い腰を振り始める。

『ブヒッ♡ ブヒィイ゛ィイ゛ッ♡♡』

『フゴッ♡ フゴゴッ♡ ブヒイイィィィッッ♡』

 そして快楽に導かれるまま、黒タイツに覆われた変態ホモちんぽから精液を放つのだった。



*****



「どすこぉいッ!」

「……どすこぉいッ!」

 大きな土俵のように改造されたトレーニングルーム。そこでグランタイガーとドラゴフレイム達は四股踏みを行っていた。近頃増えてきた重量級ヒーローの為、体重を活かした戦闘訓練を行っているのだ。

「どすこぉいッ!」

「どすこぉいッ! ……よぉし、これまでじゃ!」

「「「……ッ! グランタイガーさん、ありがとうございました!」」」

 廻しを締めたグランタイガーの掛け声に、集まった教え子のヒーロー達が威勢良く感謝の声を上げる。こうして毎日の重量級ヒーロー戦闘訓練は終わりを迎えるのだ。

 各々が着替えて持ち場に戻っていく中、一人の犬獣人ヒーローがグランタイガーとドラゴフレイムの元にやってくる。

「それにしても凄いです! 太っている事をマイナスに考えるのではなく、そのまま長所として伸ばしてしまうなんて……流石はグランタイガーさんとドラゴフレイムさんです!」

「わはは! 何事も創意工夫が大事と言うことじゃ。お主も一段と肥えたが、強さもしっかり増しておるからな」

「うむ。お前のヒーローとしての活躍にこれからも期待しているぞ」

 目を輝かせる重量級の犬ヒーローに対し、雄豚戦闘員マスクを頭に被った二人は近づくと頭を撫で、肩を叩き……必要以上にベタベタと身体に触れていく。

 憧れの先輩ヒーローとの距離の近さ、そして漂ってくるグランタイガーとドラゴフレイムの雄の汗の匂いに重量級の犬獣人ヒーローは顔を赤らめると、お礼を言ってそそくさとその場を立ち去ってしまう。それを見送ったグランタイガーとドラゴフレイムは舌舐りをすると、ヒーローらしからぬ厭らしい笑みを浮かべるのだった。

「ブヒッ♡ あの新人犬ヒーロー、中々素質がありそうじゃな♡」

「うむ♡ 洗脳が終わっていないというのに、既に我等雄豚戦闘員となるに相応しい身体付きをしている♡ ブタータ様にもお気に召して頂けることだろう♡」

 二人は変態ホモの雄豚戦闘員へと身を堕として以降、ブタータの手先として数々の工作を行っていた。勿論、豚鼻となってしまった鼻を隠すため雄豚戦闘員マスクは被ったままだ。

 手始めに、二人はブタータの異能力を利用して作られた薬をヒーロー本部の提供する食事の中に混入させた。そうすることでヒーロー達の性欲と食欲が増加し、徐々に男の身体に興奮するようになるのだ。

 ヒーロー本部の情報が手に入れば逐一主であるブタータに報告した。休暇の際は本来の姿である雄豚戦闘員へと戻り、ブタータの命令に従い街を襲った。最早この快楽を与えてくれた偉大なブタータの為なら、二人はどんな悪事を働くことにも抵抗がなくなってしまっていた。

 そうして任務に成功すれば本拠地に戻り、雄豚戦闘員同士でまぐわい己の肉欲を発散する。ベテランヒーローとしてのグランタイガーとドラゴフレイムはもういなくなってしまったのだ。


「やはり雄豚戦闘員の姿で盛り合うのが一番落ち着くのう、ドラゴフレイム♡」

「うむ。しかしたまにはヒーロースウツでまぐわうのも乙な物だぞ♡」

「それもそうじゃな♡ フゴッ♡」

「ブヒッ♡ ああ、しかし私達にこのような喜びを与えてくださったブタータ様の為、もっと精進せねばならんな♡」

「その通りじゃ♡ ブタータ様の為、雄豚戦闘員を増やす我らが悲願の為、もっと雄豚戦闘員を増やしていこうぞ♡」

 そして今日も、人目を忍びながら元ヒーローグランタイガーとドラゴフレイムは淫らに絡み合う。

 こうして二人のベテランヒーローが、己の肉欲に忠実な変態ホモの雄豚戦闘員へと堕ちた。これからもブタータの手下として、様々な悪事を働き続けていくことだろう。



続く【https://omo.fanbox.cc/posts/5731060】

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