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「だはーっ、それにしても今日は暑いわい」

 季節は夏。日の差す郊外の森の中を歩く老年の熊獣人は、そう独りごちた。

 彼の名はブラウンベア。茶色の被毛に同じく茶色をベースにしたヒーロースーツに身を包んだ彼は、異能力を悪用する怪人から人々を守るヒーローと呼ばれる存在だ。ヒーロー歴数十年を持つ熊獣人───ブラウンベアは今日もパトロールに勤しんでいた。

「ここらの見回りはこんなもんでいいかのう……」

 手に腰を当て、周囲を見渡す。

「いやいや、いつどこに怪人が潜んでいるかわからん、もう少し続けるとするか」

 そう言って、両手で自分の両頬を叩く。その所作だけ見れば完全にただの中年親父であったが、何体もの怪人を打ち倒してきた熟練ヒーローとしての力は侮ることはできない。この世界には何十人ものヒーローがいるが、その中でもブラウンベアは古株で、その功績は他のヒーロー達の中で1、2を争う程だ。

「しかし、最近は平和じゃの」

 歩きながら、ブラウンベアはそう呟いた。ここ数か月、怪人の目撃情報すらなく世界は平和そのもので、日課のパトロールも散歩のようになってしまっているのだ。

 数十年前、この世界に突如異能力を持つ獣人が現れた。異能力を人々のため、科学の発展に使う者もいれば、私利私欲に使い、人々の平和を脅かす者も出てきた。そんな平和を脅かす者達を人々は怪人と呼ぶようになり、正義に燃え、怪人を打倒す者達をヒーローと呼ぶようになった。

「……」

 ぐ、とブラウンベアが自身の胸に手を当てる。幼い頃に両親を怪人に殺され、それと同時に発現した異能力で怪人を殺した過去を思い出す。それ以来ブラウンベアがいつも胸に秘めている、大きな輝きを放つヒーローとしての使命。誰一人として自分と同じ思いをしないよう、ヒーローとして世界の平和を守り、この力をもって怪人のいない世界にすること。

 胸に秘めた使命を全うし数十年、同志も増え、確かに世界は平和に近づきつつあった。

「平和なのはいいことだが、平和ボケはいかんよな」

 ポリポリと頬を掻きながら歩みを続けると、不審な人影を発見した。

「む?」

 こんな森の中で何をしているというのか、よく見えないが、黒いタイツのような物に身を覆った人影が数人で行動しており、一人は右肩に虎獣人を抱えていた。不審な影はそのまま森の奥の方へ歩みを進めていく。

「怪人か!?」

 すぐさま助け出そうとしたが、思いとどまる。もしかしたら、他にも仲間がいるのかもしれない。虎獣人には悪いが、危害が及びそうになる前までは息を潜め尾行することを決めた。

 ブラウンベアの異能力は常人の何百倍以上ものパワーだ。身体を鍛えるだけでは得られないであろう力を何の代償もなく使うことができる。この力があれば異常なまでの脚力を使い一瞬で距離を詰め、虎獣人を救出することができる。

(だからすまんな……もう少し待っていてくれよ)

 息を殺し音をたてないようにしながら、ブラウンベアは尾行を開始した。



****



 尾行を開始して数分、黒タイツ達が足を止めた。その中で一番背の低い者が地面を手を着き何やら弄っていると、ゴゴ……と地響きがして地面が割れ扉が現れる。

(なんと!)

 黒タイツ達が中に入っていき、虎獣人を担いでいた黒タイツもそれに続いていく。


「いかん!」

 片脚に力を込め、地面を凄まじい力で蹴りつける。地面が抉れ、ブラウンベアの身体はその扉の元へ一直線に跳んだ。

「!」

 その音に黒タイツ達がこちらを振り向くがもう遅い。既にブラウンベアは黒タイツ達に肉薄していた。一度地に足を付け、しかし勢いを完全に殺さぬよう、その両腕で2体にラリアットを決める。

 大きな音が響き黒タイツ二人が地面に倒れ込む。

「残りは三人……って、なぁ!?」

 そこで初めてブラウンベアは黒タイツの姿を間近で見て驚愕の声を上げる。姿形は獣人だがその恰好は遠くから見て予想していた以上に奇妙なものだった。

 ピチピチの黒い全身タイツに身を包み、白い手袋、白いベルト、白い靴下を身に着けている。更には獣人の個性を埋没させるかのように豚の耳のようなパーツがついた白いマスクを頭に被っている。これだけでもおかしいのだが、それらを霞ませるほどの特徴がその黒い全身タイツ達にはあった。それは股間部分にそそり立っている、その部分だけ赤色のタイツに包まれた立派なペニスだ。完全に勃起しているペニスの雁首には金色のリングが嵌められ、亀頭は真上を向き、ヒクヒクと厭らしく痙攣してしまっている。

「ブヒイーッ!」「ブヒイイーッ!」

「な、なんじゃこいつらは!」

 奇声を上げブラウンベアに襲い掛かろうとする黒タイツ達。驚きで反応こそ遅れてしまったが、素早く2体に右ストレートを打ち込む。

「「プギイ゛イ゛―ッ!」」

 三体の黒タイツは豚の鳴き声のようなものを上げ、気絶した。腕にタイツの何とも言えない感触が残るが、そのまま行動する隙を与えず獣人を担いだ一番ガタイの良い黒タイツの腹に拳をめり込ませる。

「ブヒッ……!イ……ッ!」

 虎獣人が黒タイツの肩からずり落ちるのを見て、それをすぐさま両腕で受け止め抱え直した。最後の黒タイツも倒れ、静寂が訪れる。

 ──ブラウンベアの異能力はこの通り、単純に力が強いというシンプルな能力だ。そのパワーの幅は大きく、加減をしなければ気絶どころではすまないだろう。そしてシンプル故に応用の効くこの力で、このようにブラウンベアは数々の人々を救い、怪人達を倒してきたのだ。

「それにしてもなんじゃこいつらは……気色悪い」

 怪人、だろうか。何とも言えないが、微かに異能の力を感じるため、ただの一般人ではないだろう。

「やはり、この扉の先は怪人達のアジトなのか?」

 黒タイツ、そして扉の順に目を移した後、最後は両腕に抱えている若い顔立ちの虎獣人を見やる。安らかな顔をしながらスースーと呼吸しているのを見るとどうやら眠っているだけの様だ。

「おい、君、大丈夫かね」

 声をかけても起きる気配はない。仕方ない……と近くの木陰に持っていくとそっと地に横たわらせる。腰に着いた小さな発信機を使い、他のヒーローに連絡を取ろうとするが。

「……繋がらんな」

 どうやら妨害電波のようなものが出ているようだ。一度この虎獣人を安全な場所まで避難させたいが、大きな物音をたててしまった今、扉の奥に仲間に気付かれ逃走を許してしまう可能性がある。

「すまんが、ここで待っていてくれ、儂がちゃっちゃと片付けてこよう」

 そう言って虎獣人を残し、ブラウンベアは扉の中へと入っていく。

 その判断が間違いであったとも知らずに……。



****



 扉の奥はサイバーチックな通路になっていた。どう考えても造られたばかりとは思えない造形だ。この平和だった数か月間、いや、それ以前からこのアジトを作っていたのかもしれない。慎重に歩みを進めていくと、通路に面した部屋の中からさっきの黒タイツ達と同じ姿をした奴らが現れる。

「「「ブヒィー!」」」

「フン!!」

 一斉に飛びかかる黒タイツ達をブラウンベアは一撃で吹き飛ばした。バタバタと倒れる黒タイツ達が倒れていく。

「むう……」

 異様な光景にブラウンベアは顔をしかめる。やはりこの黒タイツ達も赤いタイツに包まれたペニスを勃起させ、ヒクヒクと我慢汁を垂らしていた。それに、豚をモチーフにした白いマスクこそ付けているが、全員豚獣人というわけではないようだ。判別し辛いが今倒れているのは犬獣人、虎獣人、そしてブラウンベアと同じ熊獣人のようだった。

「こやつら……」

「そこまで! 止まれい、であーる!」

 通路の先から声が聞こえ、そちらを見るとそこには一人の豚獣人がいた。しかしその恰好は今まで見てきた黒タイツとは違っている。黒の全身タイツには身を包んでおらず、衣服は白いグローブと薄汚れた白い靴下、白ブリーフ、赤いマントのみを身に着けており、白いマスクは被っていなかった。黒タイツ達についてはまだわからないが、この豚獣人は十中八九異能力持ちの怪人だろう。その醜悪な見た目にブラウンベアは再び顔をしかめるが、あるものを視界にいれて驚く。

「貴様……」

「察したようでなにより、さあ腕を頭の後ろで組み、その場にあぐらを掻いて座るんであーる!」

 豚怪人の後ろには二体の黒タイツ、そして銃を突き付けられた猪獣人の姿があった。怯えた目でブラウンベアの方を見ている。

「わかった……」

 ブラウンベアは要求通り腕を頭の後ろに組み、その場に座り込むと口を開いた。

「教えろ! お前たちは何者で、何が目的じゃ」

 豚怪人を睨めつけながらそう問うと、返答はあっさりと帰ってきた。

「我輩の名はダブーブ。世界を我が支配下に置き、世界の頂点に立つこと。それが我輩の目的なのであーる!」

 やはり平和はまだ訪れていなかった。まだまだ儂のヒーロー活動は終わらないのだ。そう思っていると、豚怪人──ダブーブは続ける。

「しかしそのためにはブラウンベア、貴様等ヒーローの存在が邪魔なんであーる」

「……」

 語り始めるダブーブ相手に策を練る。

「だから我輩は思ったのであーる。存在が邪魔なら、消してしまえばいいと。力が足りないなら、力をつけようと。そして、この二つを同時に行う方法を見つけたのであーる!」

 ダブーブは腰に両手をつけ、尊大に胸を逸らすとこう言ってのけた。

「ヒーロー達を我が配下に迎え入れることなんであーる! ぶーひっひっひ! 我ながらナイスアイディアであーる!」

「何……?」

 確かに人質を取られているので、今は逆らうことができないがどうにもならない程でもない。いや、まさか……。

「ある日目覚めた我輩の異能力、それは!」

 ビシッ! とブラウンベアを指さす。

「我輩の体臭を使って相手を我輩の忠実な下僕に変えることのできる能力なんであーる!」

 ダブーブが勝ち誇った顔で笑う。

(だとするとこの黒タイツ共は、ダブーブに洗脳されたただの一般人ということか! 洗脳──儂の異能力で対抗できるかはわからん、何としてでもこの状況を脱せねば……!)

「黒豚戦闘員共!」

「ブヒィー!」「ブヒィッ!」「ブヒイイ!!」

 通路に面した部屋から次々と黒タイツ———黒豚戦闘員と呼ばれた者達が現れる。

「ブラウンベアを拘束するんであーる!」

「ぐ……!」

 襲い掛かろうとする黒豚戦闘員達を跳ね除けようと身体を動かそうとする。しかし、人質の猪獣人の怯えた目が、正義のヒーロー、ブラウンベアの動きを止めた。

「ものわかりがよくて助かるのであーる♥♥」

 数人がかりで身体を抑え込まれ、地に伏すブラウンベア。前を向けばダブーブが目の前まで歩み寄ってきていた。右足を持ち上げ、薄汚れた白い靴下をブラウンベアの顔の前へ持っていく。視界が塞がれ、湿った感触と共に訪れるむせ返るような悪臭と共に、ブラウンベアは意識を失った。



*****



「ぬ、ぐ、フガッ……ッ」

「もう起きてしまったであーるか」

「んがッ!? な、なんじゃこれは!」

 目を覚ますと、そこは大きな部屋の中だった。目の前にはダブーブの足があり、上を見上げると黒豚戦闘員を椅子代わりにして座っているダブーブがこちらをニヤニヤと笑いながら見下ろしていた。おそらく寝ている間ずっとダブーブの足の臭いを嗅いでいたのだろう。急いで身体を動かそうとするが腕には力が入らず、足を動かそうとすると股間に激痛が走る。

「ぐッ……な、わ、儂……!?」

 そして自身の異常に気付く。己の身体を纏う見慣れたヒーロースーツ。しかしその股間は無惨にも破かれ、ブラウンベアのペニスがその隙間から露出していた。それだけではない。今まで見てきた黒豚戦闘員同様にブラウンベアのペニスは強く勃起し、こんな状況にも関わらずその鈴口から先走りをトロトロと垂れ流していたのだ。

 こんな状況でも勃起してしまっているヒーローにあるまじきちんぽは、その根元を金色のリングによって締め付けられており、そこから伸びる鎖は両足首の動きを封じる足錠へと繋げられていた。これでは鎖の長さ以上に足を伸ばすことができず、立ち上がることができない。

「あの熟練ヒーロー、ブラウンベアも大分我輩の足の匂いが気に入ったようであーるなぁ♥ ぶひひ♥」

「だ、誰が貴様の足の臭いなぞ……!?」

 スッ、と鼻先にダブーブが足先を近づける。すると途端に喋るのを止めその臭いを嗅いでしまう。

「……ッ! こ、こんな、臭いを気に入る訳が……!」

 しかし、鼻から息を吸うのを止められない。ペニスがピクピクと喜びのしゃくりを上げているのがわかる。このままではいけないと感じたブラウンベアは顔をダブーブの足先から逸らすよう身体を捩った。そんなブラウンベアの様子を見たダブーブは大声を上げる。

「お前達!」

「「「ブヒイイーッ!!」」」

 ダブーブが声を上げるとダブーブの横に待機していた黒豚戦闘員達が奇声を上げ、右腕を上に高く上げ、左腕を腰の横につけ、足を揃えた。黒豚戦闘員達にとっての敬礼──忠誠のポーズのようなものなのだろうか。同時にそれを行うとブラウンベアに近寄り、3人がかりでブラウンベアを動かしダブーブの足元へ連れ戻す。一人はブラウンベアの上に乗りかかりそこから動けないように、そしてもう一人はダブーブに跪くとその靴下を脱がす。脱ぎたての靴下をブラウンベアの口元へ持ってくると猿轡にしてその口を覆ってしまう。

「んぐッ! ん゛ん゛ん゛ん゛!!」

 これでは口で息ができない。なんとかしなければ。人質がどうなったのかもわからないが、このままでは本当に不味い。異能力を発動し、今度こそ腕に力を込めなんとか立ち上がろうと試みる。しかしばれてしまったのか、右腕をダブーブの左足で抑えつけられる。

「ん゛ぐッ!!」

 ダブーブを睨めつけようと顔を上げると鼻に右足先を突っ込まれた。

「──ッ!」

「大変気に入ったようであーるからなあ♥♥ サービスとしてたあっぷり我輩の香しい足スメルを堪能するのであーる♥」

 馬乗りになった黒豚戦闘員に両手で顔を固定されダブーブの足先から鼻を離すことができない。

(だ、駄目じゃ……力が入らん……)

 拘束を解くことも黒豚戦闘員の両手を振りほどき逃れることもできない。臭いはブラウンベアの鼻の奥まで届き脳みそを揺さぶる。わかってしまう。洗脳が脳に徐々に染み入っていることが。この臭いをもっと嗅いでいたいと思っていることに気付いてしまう。

「んごッ!?♥」

 下半身に快感が走る。先程靴下を猿轡代わりに使った黒豚戦闘員がブラウンベアのペニスを扱き始めたのだ。突然の快感に腰が引けるが、それ以上は何もできなくなってしまう。

「フーッ♥♥ フーッ♥♥」

 快感に鼻息が荒くなる。するとダブーブの足臭がよりブラウンベアを侵す。侵されたブラウンベアの脳みそは快感を増幅させ、ペニスから出る先走りの量を増やす。粘ついた水音を立て、潤滑油代わりになった先走りがよりペニスを扱かれる快感を引き立てる。

「ン゛ッ♥ オ゛オ゛オ゛オ゛ッ♥♥♥」

 身体を震わせ、ブラウンベアは絶頂に達した。ダブーブの足の臭いを嗅がさせられながら、ペニスを扱かれてイッてしまったのだ。しかし、イッた感覚はあれど実際に射精することはなかった。ペニスの雁首に括りつけられた金色リングが射精の邪魔をしたのだ。射精はせず絶頂したという感覚だけがブラウンベアを疲弊させる。

「フーッ、ンゴッ、フー……ッ♥♥」

「気持ち良かったであーるか?ブラウンベア」

 ぐりぐり、と足先を鼻に押し付けられる。射精による疲労で息が切れてしまい、強くダブーブの臭いを身体の中に取り込んでしまう。強く勃起するちんぽが痛い。絶頂が冷静な判断力を奪い、射精したいと思うようになってしまう。ダブーブの足臭が心地良い。ブラウンベアはいつの間にか猿轡代わりにされた靴下の味を美味だと感じてしまっていることに気付いた。

「お前達!もっとブラウンベアを快感の虜にしてあげるのであーる!」

「「「ブヒイイーッ!」」」

 ダブーブの命令に黒豚戦闘員達が奇声を上げ忠誠のポーズをとるとそれぞれ動き始める。

「ン゛オ゛ッ!? オ゛ッ……♥♥」

 馬乗りになっていた黒豚戦闘員はブラウンベアの胸に手を回しタイツ越しに乳首を弄び始める。ペニスを握っていた黒豚戦闘員はまた扱き始め、空いていた左手を亀頭の部分に添えるとぐりぐりとこねくり回し始める。

「ン゛ン゛ッ♥♥ ンオ゛ッ♥♥ オ゛オ゛ッ♥♥」

 快感からカクカクと腰を震わせてしまう。顔の固定はなくなったが身体は完全に身動きが取れない状況になり、顔をダブーブの足先から離そうとしても足を押し付けられやはり逃れられない。

「ン゛ッ♥ オ゛オ゛ッ♥ オ゛ッ♥♥」

 ダブーブの臭いを嗅ぎながら二度目の絶頂を迎える。絶頂の感覚と足臭で頭の中が真っ白になる。なのにも関わらず、乳首への愛撫とちんぽへの刺激、鼻への足臭攻めは終わらない。

「──────ッッ♥♥」

 ちんぽの奥から何かがせり上がる感覚。透明な上澄み液がブラウンベアのちんぽから大量に放出される。二連続で襲い掛かる絶頂にブラウンベアの意識が飛びかける。前のめりに倒れ込むと、ダブーブが足を既に押し付けていないことに気付いた。床に付けられた足に、ブラウンベアの顔が覆いかぶさる形になっていることに気付く。

「もう足を上げるのを疲れてしまったであるからな。もし臭いを嗅ぎたければ自分で嗅ぐんであーる」

 ダブーブの声が嫌に脳に響く。その声に従い、鼻から息を吸うと愛おしい臭いが脳天に直撃する。脳だけではなくちんぽまで響くその匂いに病みつきになってしまう。

「……フー…ッ♥♥ フー…ッ♥♥」

「ぶひひ♥」

 大きく鼻から息を吸いその匂いを肺へと取り込んでいく。匂いを身体から逃さないよう、一瞬だけ口から息を吐くと大きく股鼻から息を吸い込む。ゾクゾクと快感が全身を巡り、それだけでちんぽが気持ちよくなっていく。

「ンッ♥ ぐッ……?!」

 いかん、とブラウンベアは首を振る。本当にこのままではこの匂いの虜になってしまうと。

「フガッ♥ フーッ♥ フゴッ♥」

 しかし豚の鳴き声のような鼻息を止められない。

(ああ、駄目じゃ。儂は完全にこの匂いの虜になってしまったのだ♥ ずっとこの匂いを嗅いでいたい♥ ダブーブの足臭を♥ この匂いを嗅ぎながら吐精したい♥)

「射精したいであーるか?」

「……ッ!!」

 まさに自身が今思っていたことを口に出されて動揺する。否定しようとするが、そんな余裕はなかった。本当に、本当に射精がしたいのだ。この匂いの効果だけではなく、焦らされ何度も絶頂を迎えたこの身体が、ちんぽが射精することを欲していた。

「なら、今から我輩のとっておきを披露するであーるから、我輩の言う通りそれを受けてもらうのであーる」」

 ダブーブの足臭を鼻に取り込みながらその声を聞く。

「もしそれでも洗脳されず、我輩を倒す意思を曲げなければ熟練ヒーローである貴様に敬意を示し、その拘束を解いてやるんであーる。そのあとは我輩をその手で始末するのも、黒豚戦闘員の処遇も、そのちんぽに嵌められたリングの扱いもお好きするのであーる」

 ダブーブは更に続ける。

「しかし、我輩の洗脳に屈し、黒豚戦闘員へ身を落とすのであれば……ぶひひ♥♥」

 ダブーブはいやらしく笑う。正義のヒーローが洗脳に屈するなぞ、断じてあってはならない。ぐるぐると頭の中で考えが巡る。そんなブラウンベアを見てダブーブは口を開く。

「悪い話ではないのであーる。何せ貴様が我輩に屈しなければいいだけの話でであーる」

 ダブーブの声。洗脳が進んでいるのか、ブラウンベアは喋る言葉に疑いを持つことができない。とっておきがどんなものかはわからないが、結局、ブラウンベアに選択肢はなかった。ほとんど詰みかけたこの状況では、ダブーブの提案に乗るしかないのだ。

「フガッ……♥♥ はがっは、へひはんひほふ……♥♥」

提案にのる、と呟き頷く。ダブーブはニイと口を歪めるとブラウンベアに指示を出す。

「ではとっておきを披露するのであーる。我輩の言う体勢になってもらうのであーる」

ダブーブの指示を待つ。

「まずは仰向けになるのであーる」

 ダブーブの言う通りうつ伏せの体勢から仰向けに寝転がると、ダブーブは黒豚戦闘員の椅子から立ち上がりブラウンベアの顔に体重をかけ座り込んだ。

「んぎッ!?♥♥」

「ではでは、であーる♥」

 視界が真っ暗になる、感じるのはダブーブの熱と、尻の穴の臭いだけ。足臭を超えるとんでもない臭いに、意識が飛びそうになる。

「ぶひひ♥♥ いいであーるか? 我輩が何をしても絶対に臭いを嗅ぎ続けるんであーるぞ?♥♥」

「は……ひ……♥」

 ダブーブの声が遠くに感じる。鼻から呼吸をするのを止められない。ちんぽが、尻の穴の臭いがたまらない。

(駄目じゃ、このままでは、儂は、儂は)

「ではでは♥♥」

(黒豚戦闘員になってしま──)

「ぶひッ♥」

ブボンッ!!! と大きく間抜けな音が響き渡る。

 それと同時に、今まで嗅いだことのないとんでもない悪臭がブラウンを襲った。

「オ゛────!ッ♥♥♥ ゴォ────ッ♥♥♥♥」

 ちんぽがビクビクと痙攣しているのがわかる。とてつもない勢いで、人格を破壊しようとする冒涜的な臭いがブラウンベアの鼻から体内に侵入し、価値観を書き換えていく。

「────ッッ♥♥」

 それが快感となり、再び身体は絶頂を迎える。絶頂を迎えた身体により染み込んでいくダブーブの体臭。それがまた儂を快楽へと導き連続的な絶頂を迎えさせれる。

「────ッッ♥♥ ──────ッ♥♥♥」

(駄目だ、駄目だ、何も考えられない、ただただ気持ちいい♥♥ 儂がこわされていく感覚が♥♥ 支配されていく快感が♥♥)

「ッ♥♥ イ゛イ゛ッ♥♥」

 ブラウンベアがいつも胸に秘めている、大きな輝きを放つヒーローとしての使命。誰一人として自分と同じ思いをしないよう、ヒーローとして世界の平和を守り、この力をもって怪人のいない世界を作ること。それが突然、どこからか現れたダブーブに踏みつぶされ、ぐりぐりと踏みにじられる感覚を味わった。それがたまらなく心地よく、とうとう絶頂が止まらなくなる。常に絶頂し続ける身体とダブーブの体臭に、ブラウンベアの意識が薄れていく。ブラウンベアの意識が消えゆく最中、踏みつぶされたガラクタ同然となった使命の上に我が物顔で座り込み、笑いながらこちらを見下ろすダブーブが見えた。圧倒的力に支配される快感。ブラウンベアの使命が破壊され、そこにダブーブが最上の存在として鎮座する感覚と共に、ブラウンベアは意識を手放した。



*****



 しん──、とした静寂が訪れる。ダブーブの尻に敷かれながらも、ブラウンベアのちんぽは精液に塗れながら直立し、無様に痙攣を繰り返していた。

「よっこらせ、であーる♥」

 重い腰を持ち上げ尻をブラウンベアの顔からどける。ブラウンベアは白目を剥いて舌を出し、顔中涎まみれの見るも無惨な恰好であった。

「お前達!」

「「「ブヒィーッ!!」

 ダブーブが声を上げると黒豚戦闘員達が忠誠のポーズをとり、ブラウンベアの元へ集まる。黒豚戦闘員の手によって両足の錠、そしてリングが外れ、ブラウンベアの拘束が解かれていく。

「ブヒイッ!」「ブヒィーッ!」「ブヒィッ!」

 数々の黒豚戦闘員達がブラウンベアの元へ群がり、そして散っていく。黒豚戦闘員達が去った後、そこに横たわっていたヒーロー、ブラウンベアの姿は無くなっていた。

 黒い全身タイツに白の手袋、白の靴下、豚をモチーフにした白のマスク。気絶し横たわったブラウンベアはヒーロースーツではなく黒豚戦闘員の正装へと着替えさせられていたのだ。

「ブヒィーッ!」

 黒豚戦闘員の一人がブラウンベアを腹の横を足蹴にするとブラウンベアがビクンッと身体を震わせ、上体をゆっくりと起き上がらせた。これでブラウンベアは簡単にダブーブを倒せる状態になった。そんなブラウンベアに対し、ダブーブは余裕そうに椅子に座ったままこう言った。

「さあ、ブラウンベア。貴様はどうしたいであーるか?」

 ダブーブの言葉に反応するように、ブラウンベアの赤タイツに包まれたペニスがピクリと跳ねた。じわり、と先走りが溢れ糸を引く。同時に虚ろな目に光が宿り、ブラウンベアはようやくその巨体を動かした。上体だけ起こした状態のまま両手を床に付けゆっくり腰を上げる。今まで四つん這いにしか動けなかったブラウンベアならばともかく、椅子に座っているダブーブは自然とブラウンベアを見下ろす形から見上げる形になる。黒豚戦闘員の正装に身を包んではいるものの、歴戦のヒーローとしてのオーラを感じる体格と実力差はやはりダブーブに威圧感を与えた。

 緊迫した空気が流れる。そして、それを壊したのはブラウンベアだった。突如ビシッと足を揃えたかと思うと、左腕を腰に付け、右腕を胸の前に水平に一度持ってきてから熊特有の大きな口を開き、こう言った。

「ブヒィーッ!」

 胸の前に持ってきていた手が、ピシッと直線を伸ばし空へと上がる。地から響くような低く雄々しい声。怪人を打倒す者が、熟練のヒーローが、ダブーブの下僕、黒豚戦闘員と同様の掛け声を発していた。

「ぶひひ♥」

 それは信じられない光景だった。普通の怪人程度なら一薙ぎで倒せてしまう右手はしっかりと指を揃え、ダブーブを讃えるように空高く。真っ直ぐに下りた怪人を倒すため鍛えられたその逞しい左腕は、無抵抗の忠誠の証として。怪人を震え上がらせる力と筋肉の詰まった巨体を支えるその大きな両足は、ダブーブに敬意を示すためにぴっちりと揃えられていた。そのポーズをとる反動で勃起していたちんぽが間抜けに上下にブルンと揺れる。それはダブーブの下僕、黒豚戦闘員が主人に忠誠を誓う、ヒーローが決して行ってはならないポーズだった。

「ぶひひひひ!」

 ダブーブが大声で笑うと、恍惚な表情で忠誠のポーズを取り続けるブラウンベアに対し心底楽しそうな笑みで言葉を続ける。

「ブラウンベアよ、貴様の主人は誰であ~るか?」

その問いにブラウンベアは忠誠のポーズを崩さないまま、声を張り上げて答える。

「ブヒィ―ッ! 儂の主人、それはダブーブ様、貴方様でございます♥♥ この儂ブラウンベアは、熟練ヒーローから下っ端の黒豚戦闘員へと転向し、偉大なるダブーブ様への永遠の忠誠をここに誓います! 怪人ダブーブ様、万歳!! ブヒィ―ッ!」

 その目には確かに光が宿っていた。しかしそれはダブーブの洗脳に敗北し歪んでしまった狂気の光だった。

「そうかそうか。えらーい正義のヒーローならともかく、我輩の足臭奴隷なら射精許可はやれんであーるなぁ♥♥ もう一つこの射精制御リングをその哀れな勃起チンポにハメるんであーる♥」

「ブヒィ―ッ♥♥」

 ダブーブが懐から金色のリングをチリン、と床に落とすとブラウンベアは忠誠のポーズを一度取った後、それを拾い上げる。勃起して先走りが止まらないペニスに自らの手でリングを持ってくるとカチン、という音と自動的にカリ首にリングがハマった。ちんぽの根元と雁首に付いた赤いタイツに映える金色のリングは、再びダブーブの許可無しでは射精できなくなった敗北の証、そしてダブーブの忠実なる下僕、黒豚戦闘員の証であった。

「整列!」

「「「「「ブヒィーッ!!!」」」」」

 ダブーブの掛け声にその場にいた黒豚戦闘員達が整列する、勿論それは元ヒーローであっても黒豚戦闘員となってしまったブラウンベアも例外ではない。

「それでは新たな仲間が加わったところで、命令を与えるのであーる」

 整列する黒豚戦闘員達を見やり、ダブーブはニヤリと笑った。そして、黒豚戦闘員達に命令を下す。命令を下された黒豚戦闘員達はただ一声。

「「「「「ブヒィ―ッ!」」」」」

 そう叫び、忠誠のポーズをとるのだった。整列し綺麗に並んだ黒豚戦闘員達のちんぽが主人に従う喜びでひくひくとしゃくりを上げる。その中の一員となり、恍惚の表情で忠誠のポーズを取り続けるブラウンベアに、もはや正義のヒーローとしての面影はなかった。

「ぶひ、ぶひひ、ぶひひひひひひひひ!!!!!」」

ダブーブの笑い声が広間に響く。

(これからは我輩の下僕として、世界征服を叶えるための尖兵として、たぁっぷり働いてもらうんであーる♥)

こうして熟練ヒーローのブラウンベアは、怪人ダブーブの体臭洗脳に負け、その手先である黒豚戦闘員へとその身を堕としたのだった。


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