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月1で作品作りに関するメイキングやラフやコラムを投稿しようと思っております。

いつもどのようなマインドで作品作りと表現、ないしはアートと向き合っているのか

お伝えし、一つでも共感できる点や参考になる考えがありましたら嬉しいです!

先月おたより送信したメイキングはやはり読みにくいと思いましたので

文章にて残します。


今月はコミケの締切に追われている状況でして、

なんとか合間を見て更新していきますのでお待ちいただければと思います!


さて、今回の本題ですが

先日個展に行ってまいりました!

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・リン☆ユウ先生

・森倉円先生

・米山舞先生


それぞれ作家さん毎に共通点はなく、むしろ真逆で別世界です。

絵柄の方向性がばらばらですがばらばらであるほどいいと思っています。

超主観的になっている自分から客観性を取り戻すため、1日で様々な作家さんの個展を巡るという表現の暴風域に飛び込むのも時には大切な事だと思っています。


「この表現方法はいいかもしれない…覚えておこう…」→

「何ィ?!お主はそう表現するのか!次行ってみよう…」→

「ん??この表現また見たな!?これは共通した流行りの手法かもしれん…」

「じゃあ自分だったらこの描写、どう表現する?エアブラシ?透明水彩?レイヤーモードは?ハードライトか?加算か?乗算か?」とめちゃくちゃ思考をフル回転させて絵を見ます。

それ故にめちゃくちゃ疲れます。


自分の絵柄、やりたい方向性とは違うから関係ないやと突っ放して放り出す事は簡単ですが、極端に言えば劇画と水彩画と油画を照らし合わせてなんとかその表現の共通点を見つけるという針の穴を突くような作業をする。自分は他人にはなれず、自分には自分の物の見方しかできないので同じようには表現はできないが自分の作品にその自分視点ならではの気付きを昇華させる事ができる。

そして繰り返して表現のアップデートをしていく。

そして時には世間と自分との表現のギャップはないか確認し、自覚する。

現状に満足せず、その上のレベルに移行する為に常に努力をし続ける事。

それが道を究める事なんじゃないかなと思います。

その共通点に気付きやすくするためには1日に複数の個展を巡るというやり方です。


メモ帳片手に獲物を狙うような目付きで作品を視ます。

気付いたらメモをとります。

「この作者が伝えたい事、表現したかったものって何だろう?」

「どこか1つでも自分の中で見た事のない技法、最新の技法はあるだろうか」

こう常に意識して物事を視る癖をつけておくと段々と表現のポイントに気付くようになってきます。


行動的にはただ3つの個展をはしごするだけなのですが、クリエイティブモードになっている脳にとってはめちゃくちゃ考えながら見るので結構ハードモードです。

そこに気付いた瞬間、少し視界が晴れて絵がもっと好きになっていいこと尽くしです!



作品展の入り口に掲げてある作者からの一言、告知HPに書いてあるコンセプトの説明は自分の感想という主観を大事にするという観点からすると言葉を選ばずに言うとむしろ邪魔です。

順番的に最初からそれを読んでしまいがちですがそれを読んでしまうと「この個展はこう感じないといけない」「こう受け取るのが正解」と脳がシフトチェンジしてしまうせいで自分がまず真っ先に感じないといけない直感的な気持ちがおざなりになってしまいます。

一番大切なのは自分がどう感じたか?という直感的な気持ちです。 ここも言葉を選ばずに言うと押し付けがましいコンセプトの説明は作品鑑賞においてはとても邪魔です。

言ってしまえば「ブラインド個展巡り」です。

絵はよく料理に例えられますが、入り口に掲げてあるコンセプトの説明は

ラーメン屋の一蘭の入り口に掲げてある創業から拘りまでの情報が書かれた看板みたいなもので、あれは読んでいるだけでじゅるりとよだれが出てくるくらいにこれから見る=食べる人に情報という食べ物を与えてわくわくさせてくれるわくわく装置。

しかし、このブラインド個展巡りは入り口前の看板すら見ずに入るので

料理屋でいうと

「そもそもこのお店は日本料理なのか中華なのかイタリアンなのかわからん」

状態で来店するようなもので、先入観なくパクッと食べる事を何よりも大切にしています。え?!あ!ご飯かと思ったらハンバーガーだったわ!というギャップも楽しみます。


作品の解説、個展のコンセプトは一旦無視して作品群を視て「自分はこう想った」を大事にします。

そして最後に入り口戻って掲げてあるコンセプトを読みます。

すると

「あー!!なるほど!作者さんはこう思って表現していたのね!でも自分はこう感じたな!」

という感想を持ちます。何でしたらギャップすら感じます。

そのギャップの差に驚き、楽しさを見出します。

「へー!そういうコンセプトだったんだ!でもそれより水の表現が好きだなー!」

「…ん?なんで水が好きなんだ?あっ!そうか!自分の故郷は湘南で常に海が間近にあったからなのか!」とか

「この涙はこういう心情を描きたかったのか!でも自分はそこに別の意味を見出したな…こういう見方もありかもしれないな!メモ」

と、まず自分ファーストで物を見て、自分の感性の原点に気付き、自分の好きと表現したい事を自覚する事が大切です。

クリエイターなら「自分が」という感覚をなによりも大事にすべきと思っています。


そして最後に行った米山舞先生の個展。

個展の中にはまさに化け物級の画力をもって作品を描いている米山舞先生の動画が流れていて

「真剣にクリエイトしている人ってかっけーーーーー!!」となるのと同時に

「うわああああああ」と殴られた気分になりました。

島本和彦先生の自伝『アオイホノオ』で

学生時代の同期の庵野秀明青年が手描きアニメをパラパラっと目の前で紙をめくって

動いているのを見て

動いているじゃないかああああああ

やめろおおお庵野ぉぉぉぉぉ俺より面白い作品を作るなあああ!!!!!

というあの感覚です笑

ちなみにかつて自分も燃青年のような「俺の、やる気、待ち」状態でした笑


そこで個展で流れていた動画の内容とは関係なく、昔の自分を思い出して「この感覚…あーはいはい笑」となり、愛おしさすら感じました。

その感覚とは

正直言うと美大在学中、絵画コースの人達は「よくわからない化け物級の画力と独特の世界観を持った変な人達」と決めつけ、相手の事を分かろうとせず、いや分からないフリをしていました。

分かりたくない。分かった瞬間何もない自分に気付いてしまうから怖いと勝手にレッテルを張り付けて逃げていました。

自分の実力と画力のなさに向き合う恐怖とその人達の画力を見て自分の無力さと立ち位置を自覚するのが怖い。認めたくない。絶望したくない。傷つきたくない。その人たちの作品を観なければ傷つかない。怖い。いつもバスに乗ってくる時、奇抜な格好だもの。だからあの絵画棟の人達は変な人達なんだと動物的防衛本能のあまりに絵画棟からものすごい距離を取っていた過去がありました。


今となっては青い!青すぎる!


そういう酸いも甘いも嚙み分けて糧にしてそして成長していくんやで…

若いってそれすらも微笑ましく感じられるからずるいぞ!


そういう事もあり、動画でクリエイトしている米山先生を観ながら「うわあ、この化け物級の画力に圧倒される感覚久しぶりだぜ…(ゴクリ)」 と、なんだかあの未熟すぎる10代から20代になりかけの子供のまま20代になった、大人になりきれない青臭く、逃げ回っていた日々を思い出してしまいました。


個展の世界に入り込んですごーい!きれーい!じょうずー!と心行くまま作品を愛でるのも大切ですが、

あくまで自分はクリエイター。

他者の表現を受け止め、自身の今までの表現、これからの表現を見つめ直す事の方が大切です。クリエイターならそちらがメインかもしれません。

「この料理美味いな…」

「いやしかしこれ、自分だったらどう調理してやろうか?」

という視点が何よりも大切です。


その米山先生の動画の中に一つの作品に様々な人たちが関わっているのを見て

クリエイトは孤独ではあるが作品は一人では作り上げる事はできないなあと

一見、矛盾したような感覚を改めて感じました。


そもそも絵を描き始めた時のきっかけでもある初心

「この先生のこの作品すごい…!こんな作品を自分も作ってみたい!」という憧れの気持ちと

「好き」の具現化と表現をし続けてくると

今度は凝り固まった「好き」が原因でプライドが生まれ

他者の表現を受け取って「この表現、自分ならこうするのに」

「この表現なんか嫌だなあ」という感想を抱くようになり

そして湧き上がる「この作家には負けたくない!」という闘争心と嫉妬の気持ちはあの頃の懐かしさと微笑ましさすら感じますが正直、この「憧れ」と「闘争心」という相反する気持ちはクリエイトにおいてとても大切にすべき気持ちなんじゃないかなと今では思います。

これは決して汚い感情なんかではなく、表現者であるならば絶対に持っておくべき大切な気持ちで

闘争心はまさにクリエイターに必要な「原動力」で

車でいうとエンジンをチューンナップする感覚です。

クリエイターならこの矛盾した相反する気持ちは常に持って行くべきだと思っていて、

個展に行くと超主観的だった自分の価値観がぶち壊される、

そして客観性を取り戻し、他者の表現と自分の表現の何が違うのか、なんで今自分はこの作品に魅力を感じたのか、どうして周りから賞賛されていると思うのか、そして共通点を見つけ出し、その気付きを自分の作品に昇華させ、自分のエンジンをチューンナップをしていく。

その為に客観性を取り戻すために殴られに行く。


知らない世界であればあるほどいいです。

というのもあって大型出力で印刷し、デザインに昇華された痛車展示イベントも

積極的に通っています。

痛車のオーナーさんも表現者である事には変わらないのでコンセプトを聞くと「そうだったのか!」と

なり、また「ハッ」とさせられます。

気付きを得る為にはこの「ハッ」となる感覚を大切にします。


家にいてもなかなか最新の表現に気付き辛いです。

自分の眼で見て身体で感じなければ最前線はわかりません。

高校の時の美術の恩師が放課後に制作に取り掛かっている我々に対して

よく言っていた言葉で

「美しい風景を写真ではなく、自分の眼で見て感じ、美味しい物を食べ、綺麗な服を着て、外に出ないと。家に閉じこもっていてもいいものも描けない」と言っていて

全てがグサグサひっかかって一緒に聞いていた友達に「ほらぁ水乃くぅん言われてんよ~」と茶化されましたが「う、うるせ!萌え絵はそんなの関係ないんだよ!」と友達伝えに恩師を否定していましたが今となってはこれは表現に置いて真理だと気付きました。クラシックスーツのパタンナーの先生、いわばこの方も表現者な訳ですがこの先生も同じ事を言っておりました。


感性は常に自身を「ハッ!」とさせ、アップデートをしていかないと感受性が枯れ、表現も古くなってしまうという恐怖感を常に持っています。


その為に私は定期的に表現の場に通っています。

この感覚はなかなかモニター越しやスマホ越しで素敵な絵を観るだけでは得る事の出来ない体験です。

電車や車や自転車を使って「画をわざわざお金をかけて観に行く」という

行動がなによりも自分の脳を強制的にクリエイティブにしてくれます。

「山に入ったからには絶対、何か獲物の一つは掴んできてやるぞ」という狩人の気持ちです。


シューティングゲームをする際、

自宅のコンシューマーだとミス連発してすぐ残機0になるのに

50円ゲーセンにいくとめちゃくちゃ集中してワンコインクリアできるなんてよくありました。

この結果の違いはなによりも「このワンプレイにはワンコイン(金)がかかっている!!」=連コインはできるけど、このワンプレイ(命)は重い!後はない!!

金は…命よりも…重い!!!!

という気持ちがあるからこそです。家でだらだらプレイするより外野の騒音がより自分を集中させてくれます。


個展は殴られる場所。(暴論)

自分の客観性を取り戻し、自分の価値観を完膚なきまでに粉砕される場所。

そして再構築していく事でまた新たなステージに上がっていけると実感しています。

どんどん表現のチューンナップをする為には殴られる必要がある。

好きを突き通すと真逆の考えである嫌いという気持ちも強くなっていきます。

その「好き」を突き詰めていった結果、驕りと甘えで凝り固まった独りよがりの考えは視野を狭くし、表現のアップデートも疎かにし、その結果、成長の機会を逃します。その考えを粉砕していく為には改めて自分の考えを客観視する必要がある為、やはり個展で殴られる必要があります。

「俺はこれ嫌い!だから俺はこれが好き!」

という防衛本能を大切にするより

「へえ!こういう考えの人もいるんだ!知らなかった!すごい!」

という気持ちを何よりも大切にし、多様性を認める一方で己を信じる事が何よりも大切です。


自分のその好きという感情は絶対に捨てるべきではない。

けれど好きだからこそ防衛する事は決して逃げじゃない。


美大時代の絵画棟からめちゃくちゃ距離をとっていた自分のようにやがてそれは自分を振り返った時の気付き、人生の成長の糧になります。


しかし、更にもっともっと技術力を磨きたい!上手くなりたい!

もっとメッセージを伝えたい!そう思うのならやはり超主観的になっている自身の考え方を一旦冷静になって第三者視点から俯瞰視する必要があり、そして時にはその考えを粉砕していく必要があります。

そうすることで次の表現のステージへ行けると実感しています。

創造の裏には破壊あり。


「この表現最高ーーーー!」

「ん?いやちょっと待てよ…なんか最近考えが固まり過ぎている感じがするな…」

「殴られに行くか!」

そう、50円を握りしめてゲーセンに行くように。

私はその殴られる感覚を気持ちよくすら感じています。


だから、そこのあなたも一発殴られに行ってみませんか。

個展という表現の暴風域に。

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Comments

Cosmoman

When will the new actual arts uploaded? ^^