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zow_zit様の小説を元に描かせていただきました。小説の使用を許可してくださったzow_zit様に感謝いたします。


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作者:zow_zit


 馴染みの屍姦宿から入荷情報の連絡がきた。女子高生の死体だそうだ。

 私は何度も顔を出しては店員と情報交換をし、こういった情報は真っ先に来るようにしていた。それなりに金も使わなければならなかったが、おかげで向こうは上得意扱いをしてくれているらしい。


 早速、私はその屍姦宿を訪れた。


「まいどありがとうございます。金田さん……」


 入り口にいた、受付のボーイが迎える。態度こそ、いつも通り丁寧だが、どうしたことかえらく歯切れが悪い。


「どうかしたのかい?」

「いや……、ちょっとしたトラブルでして、その……」

「入荷がなくなったとか?」

「なくなってはおりません。遅れているのです」


 ということは、まだ死体が届いていない、ということか。


「出直した方がいいかな?」

「それなんですけどね……。すぐ届くならいいんですけど、あまり待たせるのも申し訳ないですし」


 そのジレンマは分からないではない。しかし、どうしようか悩む前にこの問題は解決した。


「失礼しま~す!」


 女の声だ。しかも若い女の。

 この店は、入り口から階段を下るようになっているのだが、ぱたぱたと足音を鳴らして入ってきたのは、紺色のセーラー服を着た女子高生だった。あまり見た目に避ける余裕はないのか、飾り気のない地味目の女子だが、素材は悪くない。黒縁眼鏡とお下げがその地味さを際立たせている。

 まさかとは思うが……



「ああ、待ってたよ。思っていたより時間がかかったじゃないか」

「すみません。ここにくるまで道に迷っちゃって」

「家まで迎えに行くって言ってたのに……」

「あ、あれ? そうでしたっけ?」

「家にいないものだから、逃げたものかと思って、みんな君を探しに出ちゃったよ」


 その捜索に出た人員を呼び戻そうとしているのだろう、ボーイは受付にある電話を取って、連絡を始めた。

 その間にもう一人のボーイが現れる。


「じゃ、早速準備に取り掛かろう。きちんと言ったことはこなしてきてくれたかい?」

「はい。昨日の18時以降は飲食はしていません。下剤を使って便も出し切ってます。あといただいた痛み止めも飲みました」

「よろしい。じゃ、ついておいで。お風呂に案内する」

「わかりました」


 そういって、彼女は奥から出てきたボーイに連れられて奥の方に姿を消した。その際、私と彼女の目が合い、彼女はこれから死ぬとは思えない朗らかな笑顔で会釈してくれた。

 彼女が店の奥に消えた後、電話が終わったのか受付が私に寄ってきた。


「もしかして今回の入荷って……」

「はい、そうなんです。今回の入荷は生きた状態でできたんです。予定じゃもう締め終わって、金田さんをお迎えできる予定だったんですが、ごらんのとおりのトラブルで、これから締めるんです」

「あの娘はこれから自分がどうなるか知ってるのか?」

「ええ。どういうルートをたどったのか、売り込んできたのがあの子からでしたし」


 売り込んできた。


「タナトフィリア、ってわけではないらしいのですが、両親がお金に困ったらしく、借金ではなく大金を手に入れるにはこれしかない、という結論に達したようでして」


 生きたまま春を売った方が、やりようによっては稼げる場合もあるが、時間がかかりすぎるというところが問題だったらしい。

 生きて億より、死んで一千万を稼ぎたい、それは時々この店に「入店」する女たちによく見られる話だった。


   *   *   *


 しばらくすると店の奥の方から人が動く気配がした。どうやらさっきの娘が風呂から上がってきたらしい。


「準備がまだだから控室で待ってて」


 奥の方から女性の声がする。入荷した娘の声ではなかった。


「あー、それならさっきのオジサンと話してていいですか? あの人ですよね、あたしの最初のお客さんって」

「えぇっ……? ちょっとまって」


 その声の後で、私のいる待合室に女性が入ってきた。黒い和服姿の落ち着いた感じの女性だ。私と話していた受付に耳打ちをする。

 そして受付は「えっ……どうしようかな……」と悩んだ様子を見せると、私に視線を投げた。


「あのう金田さん……」

「話は聞こえてたよ。私自身は構わないけど。店のコンセプトを心配してるんだろ?」

「そうなんですよ。ウチは生前の接待はサービスに入ってないんで」

「私は口外しないし。それに店舗としては、私に予定外の待ちをさせていている借りはあるんじゃないか?」

「ですよね。わかりました。連れてきます。でもサービスじゃないんで、本当に話すだけですよ。おさわり禁止。キャストの無礼講でお願いします」

「わかった」


   *   *   *


「失礼しまーす」


 そう言って、少女は入ってきた。学生服は着替えており、白い半袖ドレスシャツの夏服になっていた。プリーツスカートは紺だ。襟元には赤い細身のリボンが結わえられている。



「石橋和美(いしばし・かずみ)です。よろしく」


 黒いおさげ髪がコントラストになっている。露出部分の肌がまぶしい。


「この制服のほうが血が映えるからいいんだって」


 彼女は上目遣いではにかみながらプリーツスカートをつまんで広げて見せる。


「肌だって、1カ月前に話が決まってから専門の人がスキンケアしてくれてさ。さっきの和服のおねーさんがそうなんだけど、お風呂もあの人が洗ってくれて。あの人きれいじゃん。うなじとか見えちゃったりしてちょっと変な気分になっちゃった」


 何も聞かないうちからよくしゃべる……。表情もこれから死ぬ悲壮感なんか全く感じられない。


「どんな方法で殺されるのか聞いてるのか?」

「射殺だって。椅子に縛り付けた状態で何発か胴体に撃ちこむって聞いてる。痛み止めは飲んでるけど楽そうな殺され方でホッとした。顏に傷つけられるのも嫌だしね」

「死ぬことに不安や不満はないのか?」

「そこは考えても仕方ないっしょ。まあ将来的な未練はないし、あたしの命の使い方としてはベストに近いと思うよ。あー、でも友達とかを悲しませちゃうのはちょっと辛いかな。聞いてみたら、あたしは交通事故で亡くなった形で処理されるらしいよ」


 本当によくしゃべる子だ……、と目を丸くしていると、和美は私の顔を覗き込んで訪ねた。


「聞いていい? 死体を抱くのが何がいいの? 何の反応もないってつまらなくない? それに人形でよくない?」

「確かにそれはある。何事も自分で動かなきゃいけないしな。だが、生きていた人間が、死体というモノになって好きなようにできるシチュエーションが興奮するんだよ。死体は傷がある方がいい。どんな死に方をしたのか想像する楽しみも出るし、血で彩られた死体は……なんというか綺麗なんだ。とてもそそられる」

「あたしもそんな死体になれるかな?」

「なれるとも」


 私が保証してやると、彼女は顔をほころばせた。


「ありがと。おじさんがいい人でよかった。本当はちょっと不安だったんだよね。どんな人があたしを抱くのかとか。いかにもな変態おじさんとか、女の子を乱暴に扱うようなオトコとかに抱かれると思うと嫌な気持ちで死ぬところだったよ。おじさんなら、あれだ。生きてるうちでも抱かれてもいいって思うよ」

「それは光栄だな」


 そこでキャストが待合室に入ってきた。


「和美ちゃん。準備ができたよ。そろそろ行こうか」

「はーい」


 そして彼女は店の奥に連れられて行った。


   *   *   *


 一人残された部屋で15分待った。

 彼女がどういう死体となって私を待っているのかというとそわそわと気分が昂揚してくる。

 まだ早いか、と思っているタイミングで待合室のドアがノックされた。

 受付が顔を出す。


「……準備ができたのか? まだ早くないか?」

「いえ、その……和美ちゃんが最期にもう一目あなたの姿が見たいと」

「え……、いいのか?」

「さすがに殺害する瞬間に立ち会わせるわけにはいきませんが、最後の面会くらいなら叶えたいと思いまして」


 そして、私は彼女の待つ部屋に案内された。

 風俗店特有のよくわからない構造の廊下の先の扉。受付は重々しく開いた。

 部屋は防音構造になっており、扉もそれなりに分厚く、実際に重そうだ。

 扉が開いて私と目が合うなり、和美はにこっと笑って話し出した。


「あとは撃たれて死ぬだけなんだけどさ、最後におじさんに会いたくなっちゃって無理言っちゃった」

「光栄だな。得難い経験をしている」


 その部屋の中で、石橋和美は座って待っていた。ただ座るだけではなく、椅子に縛り付けられていた。

 完全に拘束するのが目的の縛り方ではない。後ろ手に縛って背を伸ばさせ、わざとらしくはない程度にボディラインを強調するような縛り方をしている。

 すると、私の視線は自然とその胸元へ引き寄せられる。白いシャツにはバストの形が鮮明に浮かび上がり、透けて乳首がうっすらと見える。


「あ、気付いた? ブラしてないの。そうだ、あたしのスカートめくってみて」


 予想もしなかった要求に私は少し固まってしまった。


「ほら早く。めくってめくって」


 少しだけ声を抑えていたずらっぽく笑い、促されるままに彼女のスカートをめくりあげた。そしてその中身が露わになる。下着を履いていなかった。



「えへへ。セックスの準備万端って感じ。凄くドキドキするよ。どう? あたしエロい?」

「うん。エロいな」


 素直に認める。和美も少々興奮しているのか顔を赤らめており、また、座った状態から私を見上げていたため上目遣いになっており、それがまた色気を高めていた。

 少しはしゃいでいた彼女はふいに、少し黙った。彼女からも笑顔が消える。といっても暗い表情ではなく、何か言いにくそうなことを恥じらっているような表情だった。


「お願いしたいことがあるの」

「何?」

「キスしてほしい」


 ちらりと傍に控えていた受付に視線を送ると、彼は何も言わず、頷いて見せた。

 承諾が得られたところで、私は縛られた和美の頤(おとがい)に手を掛け、顔を上向かせた。


 そしてゆっくりと顔を近づける。彼女もきらきらした目をしていたが顔を一定近く近づけると目を閉じた。



 ちゅ、とまずは軽く触れるようなキスをした後、もう少し強く押し当てる。

 舌までは使わなかったが、それなりに深く、長いキスをした後、どちらからともなく離れる。


「ありがと。素敵なファーストキスだった」

「名誉な役割をいただいてしまった」


 和美は私から目を離さない。まだ言いたいことがあるようだ。

 私は顔を近づけたまま彼女の声に耳を傾ける。


「お店の規則で、さすがに殺される瞬間には立ち会ってもらえないの。だからおじさんにはこの部屋を出てもらうことになる。おじさんがこの部屋から出て行けば、あたしは5分以内に射殺されるの。次に会う時のあたしは死体だから」

「うん」

「多分、笑ってはいられないだろうけど、なるべく穏やかなカオして死んでいければいいな、と思ってさ。死ぬ直前におじさんに会えば、少しは怖い気持ちもなくなるかなって」

「もう怖くはない?」

「うん。大丈夫。死体になって、おじさんに抱いてもらうんだと思ったら全然怖くなくなったよ」

「それはよかった」


 彼女の、屈託もない笑顔を見て、私は一つの決意をした。

 ちらりと部屋に控えていた受付に目をやると、ボソボソと耳打ちをする。


「本気ですか……?」

「ああ、これだけ特別な出会いだ。悔いることはないね」


 私たちのやり取りを和美は不思議そうな視線を送っている。


「どうしたの?」


 私は彼女の手を取り、彼女の前に膝をついて言った。


「君の死体を買い取りたいと言ったのさ。君は死ぬ。だが私以外には抱かれない」

「……本当に?」


 彼女の目が見開かれる。


「……いいの?」

「ああ。もう一つお願いしたいことがある。君の死体が私のものになることに拒否権はないけど、今からするお願いは拒否できる」

「なに?」


 さすがに少し緊張したので、いったん咳ばらいを挟んだ。


「君の死体を一回抱いた後だが、君の首を切りたい」

「いいよ。好きにして」


 即答だった。本気かと聞き返す前に、彼女は重ねていった。


「おじさんになら、どうされてもいいよ」


 その笑顔があまりにも愛おしく、私は思わずじっと見つめ続けた。

 和美は頬を紅潮させ、私を見返して、やがて目を閉じて唇を軽く突き出し、キス待ち顔になった。

 それから、再び彼女に口づけをする。唇に柔らかい感触が広がり、彼女の身体から発せられる熱を感じる。

 舌を入れたい衝動に襲われるが、我慢して口を離すと、彼女の唇の隙間からは切ないような小さな喘ぎ声が零れてきた。


「もう一回……」


 私はもう一度彼女にキスをした。

 先ほどよりも激しく、情熱的に口内を犯していく。

 深くまで舌を差し込んで、歯茎や口蓋、舌の裏側などを刺激するように舐め回していく。

 和美は最初驚いたようだったが、すぐにそれを受け入れたようで、私の動きに合わせて舌を動かしてきた。

 唇を吸ったり甘噛みしたりする度に、和美はくぐもった喘ぎ声を上げる。それがまた可愛いくてたまらない。

 互いの唾液が混ざり合って泡立ち、口から溢れ出すのも気にせず、私たちは何度も何度もキスを繰り返した。



 一通り満足するまで口の中を犯し合った後、私たちはようやく口を離した。

 二人の間に銀色の橋が架かり、重力に従って落ちる前に切れて消える。

 お互いに荒くなった息を整えながら見つめ合うと、どちらからとも言わずに再び顔を近づける。

 最後に一度、軽く触れるだけの優しいキスを交わした後、私は彼女の顔を放して立ち上がる。


「10分後には迎えに来るよ」


 すっかり蕩けた表情になった彼女に、私は花嫁にささやくように言った。

 彼女は満面の笑顔で頷くと、潤んだ瞳でこちらを見つめている。その瞳の奥にはハートマークが見える気がする。


「うん。死体になって待ってるよ」


 名残惜しさを感じながら私は彼女からはなれ、踵を返す。

 私の後ろで重い扉の閉まる音がした。もう振り向いても二度と彼女の笑顔を見ることはできない。

 そして、もう一度あの扉が開いた時には--


   *   *   *


「金田さん。準備ができましたのでお部屋までご案内します」


 受付が再び私を迎えに来たのは待合室に戻ってもう10分経ったころだった。

 私は声を出さずに立ち上がって応えた。


「彼女は、いつ死んだ?」

「死亡時刻は金田さんがあの部屋を出てから5分後です。潔くていい死に様でしたよ。こちらの部屋です」


 先ほどと同じ扉だ。先ほどは、扉の向こうに彼女が生きて待っていた。

 重々しく扉が開いた先、先ほどと違って蛍光灯が点いておらず、暗かった。しかし視線の先にスポットライトで照らされた場所があった。

 そこにはパイプ椅子が置かれており、そこに縛られる形で石橋和美の射殺体があった。


「ごゆっくりどうぞ」


 受付はそう言い残して扉を閉じた。

 防音だけに外からの音が遮断され、この部屋だけ世界が切り取られたような気持ちになる。

 私は石橋和美に近づいた。



 射殺の際に体勢を崩したのか、少し浅い腰かけ方の行儀の悪い座り方になっており、彼女は背もたれに大きく寄りかかり、頭は傾いた角度で天井を向いて、目はとろんとまぶたが少し眼球にかかるくらいで瞳孔の開いた瞳がはっきりと観察でき、彼女が死体であることを強く意識させる。

 先ほど顔を合わせたときは、うるさいくらいしゃべっていた彼女は当然喋らない。表情も変えない。そのことも彼女が死体になったという実感につながっていた。


 彼女の胴体には腹部に3発、胸部に2発、合計5発分の弾痕が確認でき、かなりの出血が白いシャツを染め上げていた。血に染まる学生服はやはりいい。

 わたしは彼女の顔にふれた。まだ冷たくなり切ってはいない。唇も……まだ赤みが差したままだった。

 彼女の顔を持ち上げて、私はまずはキスをした。別れ際に生きている彼女ともキスをした。その時にはあった彼女の体温と、唇の向こうに感じる脈動が今回は全くない。余計に死体とのキスというものを意識することになった。



 キスをしながら片手で彼女の乳房を触る。巨乳というほどではないが、しっかりと存在が主張される美乳だ。触り心地も悪くない。

 私は手探りで彼女のシャツのリボン、ボタンを外すと、開いた胸元から手を差し入れた。体温を失いつつある彼女の肌の感触。

 しばらく堪能したあと、私は彼女をパイプ椅子に縛り付けているロープを外し、彼女の身体を持ち上げた。

 お姫様抱っこだが、腕も頭もだらんと重力に逆らっていないので、あまりロマンチックではない。

 だが、彼女の重みを多分に感じられるのもこれもまた興奮する要素だった。


 部屋にあったベッドに寝かせ、添い寝のように自分も寝そべる。彼女の顔は私の方に向けられているがその虚ろな瞳は私を映していない。

 顔を寄せてもう一度、彼女にキスをした。

 彼女の夏服の露わな手を動かして、私の体を触らせる。握力がないが、そもそも手コキに握力は要らない。ほどほどに冷えた手で撫でられるだけで十分イケる。

 だが、そこでイくほどもったいないことはしない。


 ほどほどに昂って、私は彼女に覆いかぶさった。思い切り体重をかけ、全身で彼女の身体を堪能し、時々キスを挟みながら、彼女の股間にローションを塗った。

 そして彼女の股の間に入ると、ローションで濡らした彼女の陰部に私自身を当て、そのまま押し込んだ。

 彼女の中はそうとう狭かったが、緊張のない死体で力が抜けていることと、ローションのおかげで抽挿はスムーズにいった。

 ほどよく冷えた彼女の膣内が私の陰茎を刺激する。非常にいい。


 しばらくして、私は彼女の身を起こし、対面座位の姿勢を取った。彼女の身体は支えなければ維持できないが、ベッドの頭側は壁になっており、そこで支えることはできる。

 キスをしながら、シャツの残りのボタンを外すと、彼女の弾痕がすべて露わになった。弾痕のフチをなぞったり、弾痕から血を舐め取って、その穴を間近で観察したり。指を突っ込んでみたかったが、小さい口径の銃だったのかどう無理しても入りそうになかった。何よりも、この傷の美しさは残しておきたい。

 愛撫をしながら、彼女のシャツとスカートを脱がせる。彼女の美しく冷たい身体を抱きしめる。

 いよいよ射精感が高まってきたので、フィニッシュに入る。私は彼女を再び寝かせ、強く抱きしめながらピストンを強めた。目の前で全く動じていない彼女の表情を眺めていると、とたんにクるものがあり、私は彼女の中に精を放った。



   *   *   *


 休憩は別室で行った。「2回戦」は私の希望で、彼女には生前着ていたセーラー服を着用させてもらうように指示している。そしてもう一つ。

 1時間ほど待った後、受付が部屋に戻ってきた。


「準備が整いました」

「ありがとう」


 先ほどと同じ部屋に案内された。血に汚れたものは全て片付けられていた。

 そして彼女自身も紺色のセーラー服に包まれ、胸元の弾痕は完全に見えなくなっており、肌の色から異常に血の気がないことを除けば眠っているように思えただろう。

 しかし、彼女は間違いなく死んでいると分かる。

 彼女の仰向けに横たえられた身体には首がなかった。

 ベッドのそばには台座があり、そこに彼女の首が据えられていた。


 ああ、この店の死体処理の腕はやはりいい。

 死体であることを示す血色のなさは隠さないが、肌の瑞々しさは保たれている。瞼が半分瞳孔の開いた瞳も虚ろながら確かに私を写しているように思える。


 私は彼女の身体の横たわるベッドに腰かけた。台座の角度も調節し、私の正面を向かせる。

 そして彼女を見つめながら、私は彼女の首のない体の胸部を撫でた。

 ちらりと彼女の足元を見る。ちょうどひざ丈のプリーツスカートから伸びる真珠のような脚。かわいい膝小僧から撫で上げ、太ももを露わにすると私の中に性的興奮が蘇ってきた。


 そっと、和美の首を持ち上げる。首の断面から食道を探り、いきり立ってきた私自身をゆっくりと沈めた。

 膣道とはまた違うひだのある感覚が私の陰茎を刺激し、さらに固くなっていくのを感じる。

 彼女の表情や髪を乱すのは本意ではないので、ゆっくりと上下させる。

 一度、私は陰茎を彼女から引き抜き、和美の口を少し開かせた。このへんの死体の扱いも長年屍姦をやっていれば身につくものだ。

 そして彼女の口にも挿入する。食道ほど陰茎を全体的に刺激するものではないが、何よりも彼女の舌が当たるのが気持ちいい。奥まで突っ込むと亀頭が喉の奥にあたってこれもいい刺激になる。

 射精感がこみあげてくるのを感じて、私は首を私の陰茎から放し、元の台座に戻した。さすがに彼女の生首を私の精子で汚したくはない。


 次にベッドに横たわる彼女の身体の足の間に身体を滑り込ませる。

 プリーツスカートをめくり切らないままその中を探り、彼女の陰部の位置を確かめると、私の陰茎を沈める。

 セーラー服の着衣セックス。露出は少ないがどことなく背徳感のする行為で興奮度は高い。同じ死体を抱いているのに、全く違う感覚のセックスだった。

 そして、正常位で抱きしめながら抱いていると、目の前にあるはずの顔がなく、首の断面が見える。とてもきれいだ。さっきまでは、この断面といまこのセックスをベッドの傍で眺めている生首が繋がっていたのだと考えたところで、射精感が限界に達し、私は彼女の膣内に射精した。



 身支度を済ませ、インターホンで終わった旨を伝えると、すぐに受付が迎えに来た。


   *   *   *


 後日、私の家に彼女が届けられた。

 首も、身体も剥製化し、挿入できるところは全てオナホールとして使えるように少し加工されている。

 首の方は相変わらず、生きているときからは想像もつかない虚ろな表情だが、それでもその顔を見ていると、表情豊かでおしゃべりだった和美の姿は今も思い出せる。


「これからは一緒に暮らしていこう。よろしく頼む」


 声をかけると彼女が笑って頷いた気がした。



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Comments

アミバ

久しぶりの長編で最高でした!次回作にも期待してます。早く観たいなぁ。