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柔道少女たちは、惨敗の責任を取って、屠畜を受ける決意をした……。

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SS作者:まに

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第一章

 ルルイチ学園屠畜場の一部屋。

 和で統一された畳敷きの部屋に、雌と、それに貪られる雄がいた。

「だからお願い……私の全てを、あなたのものにして……」

 熱っぽい懇願と共に、抱き包んだ年下の彼氏へ何度も口付けを落とす様は普段の彼女からは想像もつかない。

 なにせ、葵依美里(あおい・えみり)は男勝りな凛々しい女性だ。

 その外見こそ産まれつきの金髪と褐色肌によりギャルのような印象を与えるが、男に媚びるような性格では全くない。真面目に部活である柔道へ取り組み、好意を抱いた年下の彼氏とも清く甘い交際をしている。その清い交際は彼女の照れ屋な性格も一因ではあるがしかし、とにかく依美里は何事に対しても真摯でこざっぱりした女性なのだ。

 それが、今は彼女の象徴とも言える黒帯の柔道着姿で彼氏を貪っている。

 整った容姿を発情に火照らせながら、豊満な乳房を彼氏へと押し付けてキスの雨を見舞う様は彼女らしくなく、また数多の雄を容易に誘惑出来るであろう淫靡に溢れている。

「ね、好き……大好き……だからいいでしょ……ね……お願い……」

「私の処女と、私の命……一番大事な二つのものを奪って……」

 ――ねだるようなキスに溺れる、彼からしてみればそれは堪らない恍惚であろう。

 あの尊敬すべき先輩に、あろうことか屠畜をねだられているのだ。

 人として、先輩として、そして雌として、魅力的に過ぎる彼女からの、永久の従属懇願。極上の雌に文字通り身も心も捧げられるという愉悦は、普段大人しく心優しい彼をもってしても抗いがたい高揚だろう。

 勿論、彼は依美里のことを心底愛している。

 現に彼は、数刻前から今に至るまでしきりに彼女を説得してきていた。本当にいいのか、と何度も何度も。

『彼女が屠畜を決意した経緯』もあり、優しい彼はあまり屠畜に対して乗り気ではないらしい。

「……ううん、いいの、ありがとう、好き……でもね……」

 しかし、依美里の行動はすぐ、彼を極限の興奮に陥れる。

「だからこそ、これで……この黒帯で、あなたに絞め殺して欲しい……」

 言いながら腰に巻いた黒帯を解き、手渡したその瞬間に彼を襲った征服感は、最早筆舌には尽くしがたいほどの、強烈な代物であったことだろう。

 黒帯はつまり、柔道にひた向きに打ち込んできた彼女の人生の象徴。

 それを手渡され、それで殺す――彼女の一生懸命な人生を色欲で踏みにじるような被虐性が、屠畜という圧倒的蹂躙によって増長され、愛情で一層濃度を増す。大好きな依美里の全てを犯して支配するような行為は、優しい彼の本能を壮絶なほどに刺激して止まない。

 屠畜とは、雌にとっての至上の悦びでありながら、雄にとってもまた、同様である。

 彼はようやくそれを身体で理解しながら、痛いほどに膨れ上がった勃起を、紐解かれ露になった依美里の腹部へと押し付けつつ、頷いた。

 依美里は一つ、大きな身震いに震えあがると、抱擁を解いた。

「ありがとう、大好き……これで『責任』も果たせるし、肉畜としても幸せになれる。嬉しいわ」

 『責任』。その言葉を漏らす時、依美里の表情はいつもの彼女らしい芯を持って微笑んだ。

 しかし、それはすぐ発情をもよおした雌猫のそれとなり――前を開いたまま仰向けに寝転がる頃には理性などすっかり消し飛んでいた。

「さぁお願い、犯してっ♡殺してっ♡あなたの全てで、私を支配してっ♡」

 あの依美里が、柔道部には似つかわしくないほどいやらしい褐色の肉体を放ってねだっている。

 倒錯的な年上彼女の姿は、言うまでもなく彼を動かさせる魅力を有していた。

「あっ――」

 彼女の象徴である黒帯が、美しい首へと巻かれ、

「――ン、ギヒッ♡」

 手を引かれ締め上げられたその瞬間、彼女は歯を食い縛って無様な白目を向いた。褐色の肉体が乳房を揺らしながら弾けるように反り返り、強く張った脚の爪先で畳を掻きながら痙攣する。

 その両手は反射的に首元へと行ったが、幾ら爪で掻こうとも、首の肉に食いこんだ黒帯へは引っかからない。

「はひっ、ぎっ、いっ――♡」

 次第に泡を吹き始める、依美里の頭に脳内麻薬が駆け巡る。全身を極限の快感が襲い、依美里はまるで雄を誘惑する淫らな踊りでも踊るかのようにのたうちまわる。

 依美里の両手は、自然、自らの乳肉を乱暴に揉み始めていた。柔らかなチョコ色おっぱいが挑発的に形を歪めていく。柔道部には不要な爆乳は彼女の指の間から溢れ返り、形を変える度に濃密なフェロモンを放っているかのようだ。

 それに益々興奮したのであろう、彼の手が一層強く黒帯を引く。

 顔が鬱血で青くなるほど締め上げられたその瞬間、彼女は勢い良く潮を吹いた。

(……幸せ……♡)

「ンゲギッ、んぎっ、ぎゅっ――♡」

 形容しがたい掠れた声を漏らしながら、彼女の表情は臨死の恍惚に蕩けている。

 快感に浸るその脳内では、この極楽に至るまでの経緯が、走馬灯のように駆け巡る。

   *   *   *

 ルルイチ学園の柔道部は、長年の伝統を誇るインハイ常連の強豪校である。

 だからこそ、今年の地域大会で喫した数十年ぶりの初戦敗退は、柔道部の看板に拭いがたい泥を塗りつけたという罪の意識を部員達にもたらした。

『……責任を取って、屠畜を受けましょう』

 部長である柏原早季(かしわら・さき)の決断に、依美里を含む四人の部員と一人の顧問は迷う事無く同意した。

 大会から二日後、閑散とした柔道場での一コマ。

 部活会議と称し、片隅で円を作って畳に座り、向き合う彼女達の表情には誰一人として迷いがなかった。

 一部の学園飼育場では不名誉な敗北を処刑によって償わせる校則があるが、ルルイチ学園にはそのような校則はない。故に敗退に対する罰則はないし、強制の風潮も存在はしない。

 しかし彼女達のような責任感ある生徒や教師は、しばしば自己の決意によって屠畜を成すことがあった。

――屠畜は肉畜にとっての幸福である為、潜在的な欲求を抱いてしまう分余計にそれは多い。

『これは私達が進んで行うこと……勿論、死ぬ方法を選ぶ権利が私達にはあるわ。皆、好きな方法で逝きましょう』

 普段は笑顔のよく似合う早季が、今は部長としての責務を果たす厳しい顔つきで、言う。

 しかし、その秘部が既に興奮で濡れていることをその場にいる全員が察していた。

 なにせ、自分がそうであるのだから。

 所詮、自分達は肉畜。いかに責任感から屠畜を決意しようと、欲情することは避けられない。はしたなく、雌としてこの上なく魅力的な存在である彼女達が、互いの発情を察しないわけもない。

『……私は、部長として厳かに公開切腹をして、果てるわ』

 早季はぷるりと艶やかな唇で決意を紡ぐ――最もその口は、時折男性教師や近所の中年男性の肉棒を啜っている不浄な代物であるが。

『それじゃあ……私も早季と一緒の場所で首絞めかな……』

 柔道部のエースである千種茅美(ちくさ・かやみ)は、落ち込んだ様子でいながらも、既にその脳内を絞殺の想像でいっぱいにしている。人受けの良い性格で部の人気者である彼女の、趣味が自らの帯を使って行う変態首絞めオナニーやセックスであることを知るものはいない。

『だったら、私も二人と同じ場で斬首します。部の顧問として、部員の最後を見届けながら逝くのは当然の義務ですから』

 生真面目に宣言する三十路の柔道部顧問、赤尾清美(あかお・きよみ)はいかにも教師然としていながら、パンツの中では絶妙に蒸れた性器を蕩けさせており、太腿にまで愛液を伝わせている。教育熱心な教師の皮を被りながらも生徒の性処理を趣味とし、千種とはセフレの関係にさえなっている彼女からしてみれば発情しないわけにはいかないのだろう。

『そ、それじゃあ私も――』

『待ちなさい、氏原さん……それに、稲垣さんも』

『えっ』

 早季の制止に、次いで名乗りをあげようとした氏原莉野(うじはら・りの)と稲垣文夏(いながき・ふみか)は困惑した。

 早季は既に柔道着の内側で期待に乳首を甘勃ちさせながら言う。

『私達と違って、あなたたち二人は後輩。二年生である氏原さんと一年生である稲垣さん……あなたたち二人には、生きて部をひっぱっていって欲しいの。責任を取るというのならその後よ。出来るわね?』

『は、はいっ……』

『分かりました……』

 早季の言葉に、表面的は素直ながらもどこか不満そうな返事が二つ。既にその気になっていた二人からしてみればおあずけに他ならない残酷な所業だが、部長の命令であれば引き下がるほかない。

 二人が大人しく黙りこくって発情を抑え込むのを境に、水を打ったような静けさが柔道部屋に満ち渡る。

『……私は、彼氏に全部を捧げたい』

 ――依美里の言葉は、そこにしんと染み渡った。

 この場にいる者の中では唯一の処女である彼女の、その声色は真摯であった。大切に育んできた彼氏との関係を、屠畜を持って終えたい。最後に全てを彼へと注ぎ、愛の中で逝きたい。

 既に期待に身体を火照らせながら、普段の漢らしい振る舞いからは想像も出来ないほど、依美里は誰よりも女の子らしくそう思っていた。

『……決まり、ね。日時はどうしようかしら。私は明後日にしようかと思っているけれど……そうなると、千種と先生も同じかしらね』

 早季の言葉に、依美里は熱を込めて言った。

『明日……明日に、私、彼氏に屠畜してもらう』

   *   *   *

「はぎっ♡ぎっ――♡」

 昨日の出来事が、首を絞められる依美里には遠い過去のように感じていた。皆が発情しながら部屋を後にするまでのあの時間が、昔話のように遠い。

 それほどに、依美里はこの時間を待ち望んでいた。

 優しい彼氏に絞め殺される。彼は自分の身を案じてくれながら、それでも精一杯に、してくれる。その確証があったからこそ、依美里にとってこの時間は待ち遠しくて仕方がなかった。

 可愛らしくて愛おしい彼氏に、命を絶つ強さで首を絞められる。

 ――そして。

「あがっ、ぁっ――あっ――♡」

 依美里は朧気に感じたその感触だけで軽く達した。

 己の秘部にあてがわれた、猛々しい肉棒の感触。

 それは依美里に伺いを立てることもせず、一気に奥まで突き刺さり――処女膜を破る。

「――っ♡♡♡」

 処女喪失の瞬間、依美里を襲った快感は最早、人生を壊すほどの凄まじさであった。

 現に、依美里の脳は死に始めていた。

 首絞めによって酸素を失い、脳細胞がぞくぞくと死滅している。

 しかしその最中、放出される大量のドーパミンはあまねく苦痛を壮絶な快感へと変換させる。

 今の依美里は、麻薬をキメてのセックスさえ凌ぐ夢の世界に浸っている。

 呼吸さえ出来ない無様な姿で処女を喪失しながら、朦朧としたその表情は、恍惚一色に染まっていた。

「おっ、ん゛っ♡かひゅっ、ひゅっ、ひゅっ――♡」

 黒帯を強く絞められた分だけ、脳内麻薬が脳血管を勢い良く巡る。

 涙を流し、涎を垂らし、白目を剥いて、豊満な肉体を彼氏へと明け渡す。

 彼氏は腰を振り始めたのだろう。蕩けた膣壁を怒張が滑り、子宮に鈴口が打ち付けられるたびに、依美里は百回の絶頂を詰め合わせて尚劣るほどの快感を覚えた。

 極上の褐色ボディを、犯される。

 彼の所有物であることを知らしめるように、突かれ続ける。

 その都度――百回、百回、百回。

 今後生きていたのならば味わっていたであろう数十年分の濃縮した快感を、ものの一分も経たない中で味わう至福。

 首を、ぎちり、青紫になるほど締め付けられて、

「~~~~っ……♡」

 嗚咽さえも吐き出せず、

「っ♡っ♡っ♡」

 肉棒の往復を感じるたびに、幾重にも絶頂する。

 女として、これ以上の幸せはない。

 死の淵で、依美里を至上の恍惚が満たしていく。

 ――やがて、彼氏の側にも限界が訪れたらしい。

 防衛本能によりきつく締まった膣は命を差し出して演出するに値する快感を生み出すらしく、彼の肉棒もまた幸福に浸っていた。

「――っ」

 彼の声は、もう聞こえない。

 しかり依美里には彼の言っているであろう言葉が良く分かった。

 いくよ、という射精の宣言と――好きだと言う、愛の告白。

「~~~っ♡♡♡♡」

 常に絶頂感を味わいながら、それでも依美里の全身に、それさえ凌駕する特大の絶頂が走った。

 依美里は子宮に精液を注ぎこまれ、受精したその瞬間、逝った。

 死因は、酸欠による快楽死であった。

 暫くの後、処刑場には秘部から白濁を漏らす依美里の骸が投げ打たれていた。

 その表情は蕩けきっており、頭のてっぺんから足の爪先に至るまで、快感がみっちりと詰め込まれているのが良く分かった。

 柔道によって鍛え上げられた褐色の肉体は、死して一層欲情を誘う。

 結局依美里であったものは、その後数時間に渡って彼に愛され続け、最後に彼の手によって回収された。

 剥製とされる前の最後の営みは、健気な二人らしく、永遠の愛を誓う接吻であった――。


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第二章

 あの柔道部が、まさかの地域大会初戦敗退を喫した。

 更に、その責任を負って部員達が自主屠畜を行うらしい。

 ルルイチ学園にそんな噂が、さながら毛細血管を通り抜ける血液のように、一瞬にして駆け巡ったことは柔道部員達にも伝わっていた。

 間違いなく、当日、学園中のテレビに人だかりが出来る。

 そして生徒達は放送に娯楽を求めるだろう。生徒達にとって公開屠畜というものは好奇心と性欲を満たす娯楽に他ならない。柔道部の責任問題など彼らの殆どにとってはさしたる問題ではないのだ。

 しかし、だからこそ屠畜は粛々と行おうというのが部員達の総意であった。

 今回の屠畜は、部の看板に泥を塗った自分達への贖罪なのである。個人の欲に溺れてはならないし、生徒達を楽しませるものではない。

 伝統を背負う柔道部員として節度ある屠畜に服す。

 彼女たち柔道部に所属する者達はそう決め最後の部活会議を終えた。

   *   *   *

「……い、以上の三名は、本日、柔道部初戦敗退という失態を償う為、公開屠畜をさせて頂きますっ……」

 公開屠畜当日、屠畜場の一部屋。

 カメラを前に、正座姿でそう宣言する柔道部部長、柏原早季の姿は、誰が見ても分かるほどに発情していた。

 早季だけではない。彼女を挟むように同じく正座している柔道部エースである千種茅美、柔道部顧問である赤尾清美もまた同じであった。全身を火照りに紅潮させ、肉づきの良い太腿を擦り合わせて疼きを必死に抑えている。

 カメラを前に正座姿で並ぶ三人の姿は、ただただ淫らに屠畜を望む肉畜のそれでしかない。早季と茅美の柔道着姿は発情姿のせいか、正装というよりはプレイのような趣を漂わせるばかりで、事前の取り決めのような厳かさなど欠片もない。

 清美に至っては最早呆れるほどの淫乱ぶりで、普段は真面目な教師にも関わらず、全裸姿にボンテージの長手袋とニーハイブーツを纏い、乳首には金属のピアスをつけ、二穴にバイブまで挿入している。誰の目にも懺悔の気は皆無だ。

「そ、それでは皆さん……柔道部として責任を取る私達の最後をご鑑賞下さいっ……」

(ああ、駄目よこんなっ……もっと厳粛に……でもっ……)

 部長として特に責任感の強い早季は、上ずる声を必死に抑えようとしながら葛藤する。

 ――つい先日まではこんなつもりではなかった。

 あくまで責任を取るための屠畜だと考えていたし、清美の衣装も和の正装であるはずだった。

 ――全ては先日の、葵依美里の屠畜が原因だ。

(あんなもの見せ付けられたらっ……)

 愛の記録として撮られていた動画を彼女の彼氏に見せられた時、早季はあまりの興奮に甘イキさえしてしまった。

 それほどの淫靡であった。

 首を絞められ死にゆく極限の恍惚。

 肉畜としての、至上の幸福――。

「ああ、もう駄目っ……お願い、早く殺してっ!」

 不意の叫びが横から耳を打ち、動画のことを思い出していた早季はびくりとして我に帰った。

 まるで早季の気持ちを代弁するかのような懇願――横を向くと、それを放った彼女、茅美が自らの胴着に両手を忍ばせ、乳房と秘部を弄り倒している。

「ち、ちょっと茅美――」

「ふっ♡ふっ♡も、もう駄目っ♡無理っ♡早く逝きたいっ♡私も美里みたいにっ♡首絞められて逝きたいっ♡」

 茅美は夢中でマスを掻く。引き締まった肉体からフェロモンをむんわりと放つ魅惑の自慰姿だ。汗ばんだ肌は瑞々しく胴着を吸いつけ乳を揉む手も含めて全身の輪郭を露にしている。その手が貪る柔乳の甘ったるい肉感と、秘部の蕩けきった感触を想起し、カメラ越しの生徒達は一様に興奮を促されていることだろう。

 早季もまた例外ではなく身体の疼きを一層強めていた。普段の穏やかで人気者な茅美からは全く想像も出来ない自慰姿は酷く煽情的だ。

 ――そう、早季は知らない。他の部員達も。

 普段は人格者である茅美が、実は捻じ曲がった性癖を持った無類の自慰好きであるということを。

「っそれじゃあ、私がしてあげるわね、千種さん」

「せ、先生……」

「ふふ、すぐ終わるから、柏原さんはそのまま見ていてね」

 ――立ち上がり、早季に向かって微笑む清美だけが、茅美の全てを知っている。

 この真面目な教師の皮を被った雌豚は、その実、男女を問わず生徒に手を出すあばずれに他ならない。大人びた美貌と年上ならではの妖艶な魅力を持っている分性質が悪く、事実多くの生徒が彼女の、授業の合間を縫っての性処理に依存させられているほどだ。

 そんな清美は、特に茅美と馬が合うらしくセフレ関係を築いていた。

 茅美の異常な性欲を知る清美にとって、茅美が我慢出来なくなることなど容易に想像がついたのだろう。

「さ、千種さん」

 だからこそ、清美の行動は迅速であった。

 茅美の背後に回り、手を回して黒帯を紐解く。

 教師らしい清楚な美貌に抑えようのない雌狐の本性を滲ませ、清美は茅美を促した。

「さ、千種さん……最後の言葉を」

 耳元での囁きに、茅美ははっきりと身震いした。胴着の前が開き、露出した。

 茅美は手を動かすことをやめないまま、カメラに向き直って、言った。

「わ、わっ…私、千種茅美はっ♡今から絞殺されますっ♡皆様、私の最後をどうか見届けて下さいっ――」

 気持ちがはやり声が浮く、それもしかたのないことだろう。

 茅美にとって、自分の帯で絞殺されるシチュエーションは長年妄想した『柔道少女の夢』なのだ。現にその妄想で何度も首絞めオナニーに興じた。

 今、その夢が現実となる。

 その事実を噛み締めるほどに、両手の動きは一層激しくなっていき――

「よく言えたわね、千種さん」

「ひっ♡いっ――」

 ――清美の手によって首へと黒帯が回されると、それだけで茅美は軽く絶頂した。

 自ら行う首絞めと違い、他者の殺意が込められた黒帯の感触はあまりにも生々しい。

「せっ、先生っ♡私、私っ――」

「大丈夫よ千種さん……最高の最後にしてあげますからね」

「あっ――」

 清美の膨れ上がった劣情が、震えとなって黒帯に伝わった刹那。

「――んぎゅっ♡♡」

 茅美の首が一気に締め上げられ、柔道場に呻きが一筋通り抜けた。

「はぎっ♡ひゅっ、かひゅっ、うっ――♡♡」

 反射的な痙攣に大きく体をびくつかせ、畳を打ち鳴らす茅美の姿は酷く滑稽だ。

 滅茶苦茶に脚が暴れ、水に溺れるように何度も空を掻く。痙攣が何度も身体を駆け上り、波打つように上体が跳ね上ってくねる様は、一片の理性さえない。

 茅美は生物として至極当然に悶絶しながら、しかしやはり筋金入りである。

 無意識に首へと手をやった美里とは異なり、その両手はもがく力の全てを込めて自身の乳房と秘部を弄り倒すことに向けられていた。

 静かな柔道場に、茅美の一挙手一投足が鳴らす音が響き渡り、尚更のこと滑稽な雰囲気を漂わせている。

「ああっ、素晴らしいわ、千種さんっ――」

「んっ、ぎっ――♡♡♡」

 清美が声を震わせながらに黒帯を引く両手に力を込めると、一層首が締まり、茅美の表情を色濃く変化させていく。

 愉悦の笑みを浮かべながら強く歯を食い縛っていたものから、やがて酸素が欠乏し、涙を流す目は虚ろに、口は涎を垂れ流しながら小さく開いて舌を出す。

「~~~っ♡~~~~っ……♡♡♡」

 声にならない声に僅かな吐息を混ぜ、唸る真似事しか出来ない。

 それでも両手だけは勢い良く動かし、万人の欲する豊満な乳房を揉んで形を変える。胴着に愛液の染み出るほどに音を立てて秘部を弄る。

 脳内麻薬に溺れる恍惚面を晒して尚可愛い、茅美はこの瞬間、最も生徒達の憧れになっていることだろう。

(んっ……ぎぼぢいいっ……♡♡♡)

 そんな当人の感じている快感の濃度は、求めていた以上の正に至上である。

 性感帯を弄ぶその度に、快楽物質が脳の血管をびゅるんびゅるんと駆け巡っていくのが分かる。男性で例えるならば脳の血管で射精している感覚。何億もの血管、その一本一本が肉棒以上の感度を有し、マスを掻く度ドーパミンという名の精液を一斉に射精する。それは途切れることなく駆け巡り、恐ろしい程の快感を持って血管という名の尿道を何重にも擦り上げていくのである。

 脳内に飽和した快感が全身に回り、熱い恍惚の湯に浸る感覚の中、秘部を掻いて秒間何回も絶頂を感じていく時間は極楽と形容する他ない。

 涙を流しながら虚ろな瞳で白目を剥き、愛らしく鼻水をたらしながら口をぱくぱくさせる茅美が思考できることは最早唯一つ。

 もっと、もっと、絞めて欲しい――。

「いいわ、最高よ千種さんっ♡ほら、もっと絞めてあげるわっ♡全身の力を込めて思いっきり、ん゛んっ――」

「~~~~っ♡♡」

(ああ、こんな、なんてっ――)

 ――節操なく暴れて畳を鳴らす二人を横に、早季は罪悪感に目を瞑っていた。

 これが、責任を取っての屠畜?とんでもない、ただ、一匹の肉畜が魅力を最大限振り撒いて行う快楽の屠畜だろう。

 これでは、OB達に合わせる顔がない。

 ――ああ、でもなんて気持ち良さそうな――

(ああ、もう駄目っ――)

 早季はどうしようもなく、自分の身体を弄り始める。 

 当然だ――肉畜が屠畜の至福に抗えるわけがないのだから。

「ほらっ、ほら、逝きなさい千種さんっ――」

 最早肉欲の宴と相成った柔道場に、清美の声は大きく響き渡る。

 しかし、茅美には聞こえない。

 代わりに、首がへし折れるほどの力が込められた絞めつけの快感が彼女に最後の時を告げた。

「~~~~~っ♡♡♡♡♡」

 ――全てが、弾けた。

 その瞬間、茅美は思い切り跳ね上がって潮を吹いた。

 ただ、それだけ。

 それっきり、茅美は恍惚の面を晒したまま、痙攣するばかりでまともに動かなくなってしまった。

 瞬間、彼女の全身を走った快感がどれほどのものかは分からない。

 しかし、事切れる一瞬は傍から見ているだけでもその壮絶さを匂わせ、その瞬間テレビを見ていた肉畜の内の何名かが、一瞬の内に首絞めでの屠畜を近日行うことを決意したほどであった。

「……最高だったわよ、千種さん」

 清美が帯から手を離す。

 後にはただ、失禁を垂れ流す茅美の骸が、夢を叶えた乙女の顔でその場に座しているばかりだった。

 残るは二人。

 柔道部屠畜生放送は、視聴者も本人達も、一層過激に熱を帯びていく。


   *   *   *

 赤尾清美は美しい。

 今年で丁度三十路に足を踏み入れた彼女の顔立ちは美貌と形容する他なく、またその身体つきも若いだけの女子供では決して持ち得ない滴るような熟れがある。それでいて肌は年不相応な瑞々しさを持ち合わせているのだから恐れ入る。

 そんな彼女が、レディスのスーツに淫靡なボディラインをくっきりと浮かばせ、教師という背徳を煽る職業に殉じているのだから、勿論雄を引き寄せないわけはない。

 彼女自身も相当な好色家である為、現に彼女の交際経験は多い。それも男女を問わず。

 ところが、それらの関係は悉く失敗に終わっている。

 綺麗な薔薇には棘がある、とはよく言うものである。

 清美はあまりに美しく――そしてあまりにも淫乱過ぎたのだ。

 付き合った誰もが、彼女の欲求についていけず、離れていく。

 なればこその、生徒達の性処理で身体の疼きを晴らす日々。数多の生徒を相手にして寧ろ性欲の昂ぶり続ける彼女は、例えるならば雄の精を啜る淫魔の如き、といったところだろう。

 ――だからこそ、今の彼女が覚えている興奮もまた、常人の想像を遥かに超えた昂ぶりであるに違いない。

「ああっ、はぁっ……はぁっ……♡」

 カメラに向けて痴態を晒す、清美の姿は見る者にさえ発情を伝播させる。

 全裸に等しい正座姿。理知溢れる教育の礎であるべき女教師としてあるまじき姿である。

 その手足につけられたボンテージの長手袋とニーハイブーツは揃いの黒色が煽情的な艶でてらつき、乳首につけられた金属のピアスが煌いているのも相まって、その姿は男を本能的に惹き付ける下劣な派手さを持っていた。

 普段の教師然とした彼女とはあまりにギャップのある姿――生放送を見ている生徒達にとって良い影響を及ぼさないことは確かだろう。

 だが、そんなことはもう彼女にとってはどうでも良いらしい。

 何故なら清美は悦びに震えている。

 両手を後ろ手に縛られながら、彼女は今正に、生徒の手によって憧れの斬首を与えられようとしているのだから。

「そ、それじゃあお願い、ねっ……氏原さん」

 背後の生徒に呼びかけるその声も、高揚に震え正常ではない。

「はいっ……」

 応え、携えた刀を持つ手に力を込めたその生徒は、柔道部二年の氏原莉野であった。部を任された後輩の内の一人である。清美の申し出により斬首を任された。「先ある生徒に経験を与えたい」という弁であるが、その実が歪な性癖に起因する申し出であることは想像に難くない。

「では、行きます、先生っ」

「っ……♡」

 莉野が宣言したその瞬間、清美の身体ははっきりと身悶えた。

 乳肉が揺れ、勃った乳首が震えるのと共に、乳首のピアスが挑発的に煌く。ニーハイブーツで強調された真っ白な太腿が切なげに擦れ合わされた。

 場に静寂が張り詰める。

 水を打ったようなそこに、聴こえるのはただ、彼女の二穴に挿入されたバイブの駆動音と、そして。

 ――研ぎ澄まされた刃の、空を伝う音。


「ううっ……ふーっ、ふーっ……♡」

 正座で虚空を見やる清美からは、濃密なフェロモンが桃色の湯気となって視認出来るようだった。カメラ越しにさえ、汗ばんだ肉体から熱を感じる。

 震える艶やかな唇がいやらしく、女体は発情の肉汁が滴るかのよう。今彼女を抱くことが出来れば、雄は至上の快感に溺れることが出来るであろう、それほどの仕上がり具合だ。

 仕上がらないわけもない。つい先程、清美はその手で教え子の首を絞めた。彼女の抱く期待感は尋常ではない。

 まして今から彼女が味わう快感は絞殺以上に鮮烈な代物なのだ。

「……ふっ♡」

 本能的に、彼女は身体を引き締めた。

 音がした。背後から、刃の止まる音が。

 莉野が構えた。

 今から自分は殺される。

 至福の快感を味わえる――。

「ふっ……ふっ……ふっ……♡」

 清美は荒ぐ息を必死に抑える。その乳首ははっきりと硬くなり、子宮口が疼いて甘い絶頂を幾度も繰り返している。脳が防衛本能から脳内麻薬を尋常でない量吐き出し、理性が蕩ける。全身が痺れる。倒錯的。これ以上ないほどの、愉悦。

「ふぅっ……うっ……」

「……ああ――」

 刹那。

 刃が空気を切り裂く音に、彼女ははっきりと絶頂した。

 生徒達の性処理を請け負って尚持て余し気味の極上の身体が快感の頂点を覚え、白熱灯のように白く燃えた。

 それは彼女にとって、人生で最高の快感であった。

 ――命を失う、その寸前までは。

 刃が首の薄皮へと到達し、問答無用に切ったその瞬間、清美の脳ははっきりと数多の快楽物質を限界量のその先まで放出した。

 全身を駆け巡る、総毛立つほどの快感に女体が震える。

 そして、それを味わいきる間もなく――首が、飛ぶ。

「――っ♡」

 首が、女体が、分離さえただのモノと化したその瞬間、噴き出した鮮血が辺りを真っ赤に染め上げた。

 二つになった清美がそれぞれで味わう快感は、極限の痛みをすべからく恍惚へと塗り替えたかのような壮絶さだった。

 さながら、絶頂の頂点が常に維持され続けるような。

 人体ではおよそ耐え切れないであろうそれは、清美の死を極楽へと染め上げていく。

「ああ、先生っ……」

「ううっ……」

 彼女がどれほどの恍惚に晒されているかは、血に染まる莉野にも、脇で自慰に耽る早季にも、カメラ越しに斬首を見やる生徒達にもはっきりと見て取れた。

 清美であった身体が、無様に痙攣しているのである。

 首から鮮血を噴き出しながら、乳肉を細かく震わして乳首のリングを鳴らし、やわっこい腹部を幾重にも引き締め、潮とも尿ともつかないものを噴き出しながら尋常でない速さで痙攣する首なしの身体は、その小刻みで、生物には真似出来ない不規則な痙攣の分だけ、彼女が味わっている快感を伝えてくるかのようだ。

 淫らな装いでガクつく女体に、カメラ越しの肉畜は憧れ、男子生徒達は勃起を抑えられない。

 数多を魅了し、首なしの肉塊は至極オナホ然に暴れ――やがてむちりと音を立てて、床に倒れた。

 その脇で、落ちて転がる清美の首は白目を剥いて幸せそうであった。


 人生の最後に、初めて性欲の全てを満たしてもらえた清美にはその後、更なる幸福が待っている。

 生放送を見ていた男子生徒達により、首も身体も滅茶苦茶に犯されるのである。

 首だけになった清美の唇はそれでも尚吸い付き、口内は絡みつき、後頭部を掴んで上下に動かすだけでこの上なく気持ちの良いオナホに仕上がっていた。

 首なしの身体に至ってはもう、抱き心地も抜群、使用感も最高の肉便器であり、乳を揉みしだきながら犯す分だけ生徒達に快感を与えた。無様なモノとなった身体に何の遠慮もする必要はなく、生徒達は清美の身体に己が性癖の全てをぶつけていった。

 結局、清美であったものはこの日、数百人の生徒に犯されて最後を終えることになる。

 終わりの際、白濁にまみれて打ち捨てられた二つの肉塊は人間らしさなど微塵もなく―――肉畜の理想を体現していた。

 しかし、それはまだ少し先の出来事である。

 二人の壮絶な処刑を見せ付けられ――早季の我慢は、もう限界であった。

   *   *   *

 柔道部部長、柏原早季は苦しんでいた。

 伝統ある柔道部の担い手として、責任のある死を。

 決意してから僅か数日の間ではあるが、早季はその想いに殉じてきた。身を清め、食事もろくにとらず、当日肉畜の悦びさえ抑えようと、夜な夜な濃い自慰に励み、万全の態勢で今日の公開自主屠畜を迎えた。

 ――それなのに、こんなにも身体が熱い。

 身悶えたくて、掻き毟りたくて、我慢が出来ない。

「ふーっ……ふーっ……♡」

 早季は、黙々と自慰に耽る。

 カメラが今正に清美の斬首を撮影している中、胴着の胸元と股へ手を忍ばせて滾った秘部を掻き毟るように慰めるその姿は、普段の彼女からは想像も出来ないほど凄艶だ。

「せ、先輩……」

(……ごめんなさい、稲垣さんっ……)

 同級生の莉野と同じく介錯役として呼び出された稲垣文夏の視線に、謝罪しながらしかし早季は手を止めることが出来ないでいた。

 だって、肉畜であればこんな仕打ち、耐えられない。

 映像ではない生で、しかも知人の屠畜を見せ付けられるなどこれ以上の焦らしなど存在しない。

 規範を示す。そう決意し望んだ自主屠畜であった。

 だというのに、こんなにも昂ぶる――悦んでしまう。

 逃れ得ない、肉畜としての本能――

「……あ……」

 発情と罪悪感の入り混じりどろどろになっていた早季は、気付いた。

 カメラが、気付けば自分に向いている。

 つまり、もう、清美の屠畜は終わった。

 次は――自分の番。

「……わ」

「私、柔道部部長である柏原早季は――只今より切腹によって、失態の責任をとらせて頂きます……」

 ――どの口が、『責任をとるために』などとのたまうのか。

 生徒達が須らくそう思ってしまうほど、宣言した早季の姿は蕩けていた。

 力なく正座する早季の身体は、見るからに疼ききって、甘い火照りを帯びている。襟元は乱れ、黒帯も緩く、顔も赤く上気し、その瞳は恍惚で虚ろ。たどたどしく宣言しながら肩を上下させる様はどう見たところで責任を口に出来るほど理性を残したものではなく、期待と悦びに年頃の瑞々しい肢体を滾らせた雌のそれでしかない。

「それでは皆様……最後の屠畜を、どうか見届けて下さいっ……」

 私生活での明るい顔、胴着を着た真面目で凛とした顔――早季のそれぞれを今の発情顔と比べていた生徒達は、胴着の前を掴んで開いて見せた彼女の姿に、表情と同じ類のギャップを覚えたことだろう。

 純白の胴着から、まろびでた乳房の大きなことときたら。

 汗を滲ませて色の濃くなった瑞々しい肌と共に、露出して震える早季の乳肉は着衣での慎ましい姿からは想像出来るものではなく、一瞬で生徒達を魅了した。

 同時に、程よく引き締まった乙女の柔腹が一層の興奮を生徒達に促す。

(せ、先輩こんなえっちな身体してたんだ……着やせするタイプ、っていうか――)

「……それじゃあ稲垣さん、お願い」

「っは、はいっ」

 男ならば問答無用に抱いて犯し抜きたくなる、女だって例外ではない。それほどの蠱惑的な女体に見蕩れていたらしい文夏も、早季の呼びかけに高く刀を掲げる。

 嗚呼。

 早季の滾りは最早言語化することさえ叶わず、ただ一つの感嘆符となって頭の中を満たした。

「では……参ります」

 早季の柔腹がきゅっと引き締まる。

 撫で擦りたくなるような滑らかなそれに万人が魅了されるも刹那、その美しい肌色に鋭い銀が突きたてられた。

 早季の取り出した短刀である。

 早季は乱れた呼吸を必死に抑えながら、刃の先を横腹へと持っていく。

 見る者達はもう堪らない。蕩けるように震える艶っぽい柔乳のすぐ下で、まっさらな乙女の腹が、今正に横一文字に割かれようとしている。美しく、破滅的で、淫靡。生徒達は脳内で早季の乳を揉みしだいて犯しながら、美少女と零れでる内臓の対比を待ち侘びていることだろう。

 しかし、早季の感じている想いはその比ではない。

 頭がおかしくなるような興奮の中、早季はついに刃を腹部へと刺し込んだ。

「ふ、ぐっ――」

 鋭い銀の侵入に、柔肌は一瞬つっぱって小さく凹んだが、甲斐なくすぐに刃を埋め、鮮血の雫を肌色に浮かせる。

 つんざくような激痛――を、塗り潰すほどの、鋭い快感。

 早季はそれだけで絶頂し(太腿を擦り合わせて悶える姿は明らかな絶頂で、後日多くの生徒達が夜な夜なお世話になる程に淫靡であった)、先を求めて刃を深く刺していく。

 薄皮から脂肪層にまで達した痛みは最早、気を失って然るべきものであった。

 しかし、けれど――それ以上の、壮絶な快感。

 痛む度に極度の絶頂が訪れ重なり持続する、切腹の愉悦は乙女を動かし、腹を横へと引き裂いていく。

 つい先程まで綺麗であった、頬を摺り寄せたくなるような柔肌に赤黒い線が通っていく。

 早季は唇を噛み締め、もう耐え切れないように、腹に入れたままの刃を無理やり返して、深く強く、掻き毟るように線をなぞり返した。

 鮮血が一瞬の内に吹きだす。

 そして、胴着の上からでも形の分かるむちりとした太腿に、腸が淫靡に溢れ出る。


「あ゛あ゛っ――♡♡♡」

 早季は零れた腸を掬い上げ、片手で乳肉を揉み始める。

 彼女の秘部はいよいよ抑えが利かなくなり、絶頂の潮を勢いよく断続的に噴き出していた。

 早季の覚えている快感は至上の一言に他ならなかった。

 痛みの分だけ気持ち良いのだから、乳を揉もうが腸を掴もうが、訪れるのは絶頂の頂点、そればかりが延々と。

 いつまでも、永遠に味わっていたい快感。

 カメラを前に、早季は悦びに溢れた雌豚の表情で自らを弄ぶ。

「先輩っ――♡」

 切腹少女の自慰絶頂ショー――最早そう呼ぶしかない妖艶を止めるものは一人しかいない。

 文夏は今、自分も自主屠畜出来ないことを運命に呪いながら、刃を振り抜いて早季の首を落として見せた。

「――っ♡」

 物言わぬ首は、脇に無機質な音をたてて落ちる。

 カメラの真正面には、首なしの爆乳肉オナホが正座し、首を失って尚快感に異常な痙攣をして――小水を洩らしながら、倒れこんだ。


「先輩……私、私達……頑張りますから……♡」

 痙攣を続けるむちむちの早季の体に、そう言いながら、文夏は抱きついて自慰を始める。

 こうして、柔道部の艶かしい自主屠畜は幕を降ろす。

 この後、大挙して押し寄せた生徒達に、莉野や文夏を含む死体は犯され抜くのであるが、物語はそれでは終わらない。

 ――舞台は、一年後に進む。

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第三章

 柔道部員達がそれぞれの魅力を振り撒きながら逝った、その一年後。

 ルルイチ学園のとある空き教室に、うら若き乙女達の談笑が溢れていた。

「では改めて……柔道部団体戦優勝おめでとうございますっ」

 新入部員である阪部芹理(さかべ・せり)の陽気な音頭に、部員達は手に持ったジュースのコップを掲げて乗る。

 そう、あれから一年が経った。

 柔道部は前年の先輩達に報いるよう、努力しそしてルルイチ学園柔道部の名に恥じない高い成績を収めたのである。

 この日は、その祝賀会。

 黒板には多彩なチョークで『柔道部団体戦優勝!!』の文字が書き掲げられており、寄せ集められた机の上にはジュースやお菓子が並んでいる。

「いやー、しかしほんと凄いですよ!先輩達かっこよかったです!」

「えへへ、ありがとっ芹理ちゃん!」

 目を輝かせて言ってくる芹理に、今年副部長となった氏原莉野はにっかり笑ってピースサインを繰り出した。普段明るく親しみやすい彼女であるが、その分決勝での真剣な試合は多くの部員達にギャップのある魅力を感じさせたことだろう。今はまたいつもの明るい彼女に戻っている分、余計に。

 莉野は途端に意地悪い笑みを浮かべて、芹理に耳打ちをする。

「でもでも……それを言ってあげるのは、私じゃない気がするなぁ」

「っそ、それは……は、はいっ……」

 普段は莉野に負けじと明るい彼女が、途端に赤面ししおらしくなる。

 によによ笑う莉野に小さく会釈すると、芹理はコップを両手持ちして小動物のように歩いていった。

 その先にいるのは、他の部員と話している、頼もしい、彼女。

「……あのっ、文夏先輩っ!す、すっごくかっこよかったです!」

「えっ?……あ。うん、ありがとう、芹理ちゃん」

 振り向いて、幸せそうにほんのりと笑う、稲垣文夏。

 今年の、柔道部部長である。

「本当に、す、素敵でした……」

「ありがとう。全部、皆のお陰だよ。……勿論、芹理ちゃんのお陰が、一番強いけど……」

「先輩……」

「んふふ、お暑いですな~お二人さんは!」

「ひゃっ」

「り、莉野……」

 文夏と芹理の間に割って入る莉野に、満更でもない様子の二人。

 幸せな光景であった。

 ――当人達からしてみれば、殊更幸福な気持ちであろう。

 そう、今日は祝賀会。柔道部悲願達成の日。

 ――一年前から待ち侘びた、屠畜の許される日なのだから。

 ——一年前、柔道部部長柏原早季の切腹を介錯した文夏は部長になった。

 顧問である赤尾清美の斬首を担った莉野は副部長になった。

 あの日以来、柔道部を率いてきた二人の想いは生半可な代物ではなかっただろう。

 先輩達の無念を晴らすという使命感。

 ――そしてあの日、間近で見せ付けられた屠畜への憧れ。

 理性と本能の入り混じる中、彼女達はついにその役目を果たすことが出来た。

 もう、何も思い残すことはない。

   *   *   *

「……本当にいいの?芹理ちゃん」

 文夏は心の底から満たされた想いで、それでも念のため、問う。

 その声は、蛍光灯の人口的な灯りが満ちるシャワー室によく響いた。

 深夜の、ルルイチ学園シャワー室である。

 昼間の祝賀会での喧騒が嘘のように静かなそこで、文夏はその美しい裸体を濡らしている。

 髪は濡れ、毛先から水滴が垂れている様は艶かしい。豊満な乳肉から引き締まったヘソ回り、そして尻肉へかけての悩ましいラインにも雫が伝い、その姿はいやらしくも、女神のような芸術性を感じさせる。

 身を清め、シャワーを止めての言葉。

 文夏の満たされたように温かな瞳に映る、彼女もまた、迷いなく頷いてみせる。

 同じく、シャワーを浴びた直後の芹理だ。

「はい……文夏先輩」

 真剣な、しかしどこか期待を感じさせるように、僅か火照ったその表情に迷いの色は見られない。

「いいどころか、文夏先輩と一緒に逝けるなんて……こんな幸せありません」

「ありがとう……私、嬉しいわ。あなたと付き合っていて本当によかった」

 文夏はふんわりと微笑んで、芹理を抱く。

 二人の身体が蕩け合い、雫が合わさって全裸の抱擁を伝う。

(本当に……うん)

 その吐息を微かに荒げながら、文夏は思っていた。この一年を噛み締めるように。

 文夏にとって、芹理の存在は全てであった。

   *   *   *

 一年前、柔道部に入部するなり、芹理は文夏に猛アタックを仕掛けてきた。「一目惚れした」とのことだったが、その時の文夏は告白をやんわりと断った。真面目で努力家な文夏は、しかし実直な分物事を重く捉える傾向にあった。部活の名誉という重い看板を背負い、一年後には屠畜も決めている自分が、健気な一年生と付き合うことなど出来ないと思ったのだ。

 しかし、それを知って尚、芹理は文夏を好いてくれた。

 全てを捧げる勢いで、文夏と恋仲になろうとしてくれた。

 物静かな文夏とはまるで正反対に明るい性格の芹理に、文夏は惹かれ、また元気付けられていった。

 やがて、二人は付き合った。

 文夏にとって、辛い時も苦しい時も、芹理がいれば耐えられた。それほどに、芹理は文夏にとっての太陽だったのだ。

 芹理のお陰で、積極的にもなれた。ポジティブにもなれた。

 そして、理想の形で今日という日を迎えられたのだから、感謝しないわけもない。

「……いこっか、芹理ちゃん」

「……はい、先輩」

 二人きりのシャワー室に、覚悟の言葉は静かに流れる。

「でも、本当に嬉しいです。私だけ添いの屠畜を許されるなんて」

「ふふ、芹理ちゃんは特別だから。……祝賀会、皆笑顔で送ってくれたから、ちょっぴり心が痛んだけど」

「皆、殉死したがってましたもんね。やっぱり凄いなぁ文夏先輩は」

「ありがとう。でも、みんなにもまた、柔道部を背負ってもらわないといけないからね」

 柔道場へ至る廊下を踏み締める、二組の足音。

 月夜の灯りに煌く柔道着。

 着替えた文夏と芹理の先には、柔道場の灯りが道しるべのように灯っている。

「待たせちゃいましたかね、莉野先輩のこと」

「そうね、大分話し込んじゃったから。謝らないとね」

 二人は言いながら、柔道場へと入っていく。

 ――そして、目を丸くした。

   *   *   *

「うっ、いくぞっ、莉野っ!」

 朱に染まった畳の上で、胴着姿の莉野が男に種付けをされている。

 上から覆い被さられて、がっちりホールドされた莉野の脚が、所謂まんぐり返しの状態で持ち上げられ、力なくゆらついている。

 莉野のむっちり甘い肉づきの身体を抱き締めて味わいながら、容赦なく種付けする恍惚はよほど気持ちが良いのだろう。

 肉棒を根元まで挿入し、身震いしながら男は射精に浸っている。


 そんな男に対して莉野からはまるで生気というものを感じられなくて、朱色と合わせて、文夏と芹理は即座に理解をした。

 ああ、待ちきれなかったんだ。

 ――もう、莉野は先に逝ってしまったんだ、と。

「ふぅぅ、あ~死後肉堪らん、ちんこにねっとり絡み付いて、でるでるっ、うっ……ふぅ。あ、すいません、もう終わりましたんで」

「あの、もしかして……莉野先輩の旦那さんですか?」

「ええ、そうなんですよ」

 男は種付けプレスを解き、下着を履きながら言う。

 その脇に転がる莉野――いや、莉野であったものは、腹部を切り裂かれて内臓を露にした状態で陶然とした表情を露にしていた。

「いやぁ、莉野も待ちきれなかったみたいで――」

 男は二人に話していく。

 ――元々、莉野は旦那との屠畜を選択していた。二人が来るまで待とうと思っていたらしいが、我慢出来なくなってしまったらしい。始めは普通のセックスをしていたが、ついに耐えられず屠畜交尾を懇願してきたのだと。

 莉野の、スポーツに引き締まりながらも柔らかい身体を味わい尽くせた男の快感は言うまでもないだろう。勃起の硬さを極上のキツトロまんこに滑り込ませ、粘液まみれの膣壁をねっとり堪能しながらピストンする恍惚。膣圧と子宮の存在が腰振りを一層滾らせ、壊す勢いで犯しぬき、そして最後はナイフで腹を切り、極限状態に引き締まる膣で達する――雌の最後を味わうという征服感も含め、男は今生で一番の精液を出したに違いない。

 だがしかし、紛れもなく、莉野の覚えた快感はそれ以上だろう。

 まだ若くして妻になった、それほど愛する旦那様に、雄雄しく犯されながら腹を切られ、種付けピストンと激痛に勝る快感とを長く濃く味わいながら、イき続けて逝ったのだから。

 生前とは違い、ずっと浸っていたくなるような死体のまったりまんこを男は愛情を込めて味わっていたわけだが、莉野も紛れもなく喜んでいるに違いない。

 男が言い終えると、二人は苦笑し、莉野の唇にお別れのキスをした。

 また我慢が聞かなくなったのか、男が莉野の死体を持って柔道場を出ていくと、二人はまた、二人きりになったのだった。

   *   *   *

「……凄いですね、莉野先輩」

「私達も、凄くなるんだよ」

「先輩……」

 もう、二人も我慢など出来なかった。

 この二年、色々あった柔道場で、二人は胴着を脱ぎ捨てると、真っ先に抱きあいディープキスを始めた。

 二人の乙女の、肢体が絡む。

 二人の乙女の、舌が蕩ける。

 柔らかな唇を押し当て、貪るように唾液を交換し合うそのディープキスは、淫靡な水音を柔道場に響かせるほどに濃い。

 ただ絡めあうばかりではない。文夏は芹理の伸ばした肉厚な舌を、唇で啄ばんで吸い付く。舌が引き抜けるほどにそうしてから離し、今度は芹理にも同じことをさせる。

 二人は抱きあいながら、その手で相手の尻肉を揉み、乳肉に手を忍ばせ、自らと相手の疼きを満たしていく。

 二つの女体は、昂ぶり、火照り、雌として極限に、熟していく。

 熱く、ほっ、ふっ、と、吐き出される吐息は甘く、その唇は妖艶に艶めき。

 その肢体は互いの身体を、貪るように撫で揉み愛し――そして、抱く。

 ぎゅっと、強く。二人の女性的な丸みを帯びた身体のラインが溶け合うほど、強く。

 柔道部の静寂に、二人の荒い吐息ばかりが満ちる。

 ――そして。

「……それじゃ、逝こっか……」

「はい……先輩……♡」

 文夏の囁き、そして応える芹理の声色、どちらもが、熱っぽい高揚感の中に逸りを感じさせた。

 二人はほんの僅かばかり身体を離し、『それ』をとってから、再び互いの乳房を押し付けあう。

 その乳首は硬く芯を持って互いをねぶりあい、程よい腹筋を持ったお腹が、互いに擦り合って心地良さげに引き締まったり緩んだりを繰り返す。

 どう見ても、心から発情している二人の姿は、しかし肉畜として当然だろう。

 何故なら、彼女達の手には『それ』が握られている。

 文夏の手には、柔道少女の憧れである黒帯が。芹理の手には、未だ未熟な白帯が。

 ――首吊りで逝く為に、握られているのだから。

「好き……芹理ちゃんっ……♡」

「はぁっはぁっ……先輩……♡」

 二人は吐息を荒げながら、互いの首に帯を巻く。

 汗ばむ無防備な首に、生殺与奪の感触が巻きついただけで、二人は軽い絶頂に身を震わせた。

 なんて、破滅的な行為だろう。

 自らの命を捨てゆく感触は、来る快感の壮絶さを想起させ、身体を益々疼かせていく。

 文夏は万感の想いで、芹理の耳元へと囁いた。

「ほら……逝こ……?」

 ――文夏の脳裏を、これまでが、よぎる。

 先輩達の屠畜を見せ付けられてからの、誠実な日々。

 それが今、ようやく報われるのだ。

「はい……先輩……♡」

 芹理にもまた、ただならぬ想いがあるのだろう。

 首吊りの為に柔道場の脇にあるロッカーに二人で登る、その表情は文夏に負けず蕩けきっている。

「ん……じゃあ、ほら……♡」

 二人で、ロッカーの上の壁にある洋服掛けの杭――という名目の、その実首吊り用のそれに、自分で帯を、かける。

 準備は完了した。

 後はただ、脚を踏み外すのみだ。

「……ねぇ、芹理ちゃん」

 あれだけ踏み慣れた畳を、どこか遠い目で見ながら、ぽつりと文夏は呟いた。

「私……本当に、あなたと出会えてよかった。柔道部に入ってよかった」

 人として、そして、肉畜として。彼女の言葉に、嘘偽りはない。

 だから、彼女はほんのりと微笑する。

 微笑して、その足を、ロッカーから空へ、踏み出していく。

「……芹理ちゃんも、柔道部も、本当に大好き……♡」

 最後の言葉を、呟いた。

 そして、二人は――殆ど同時に、ロッカーから降りた。

「ふん、ぎっ♡♡♡」

「こっ♡♡」

 雌の押し潰された嬌声と共に、二つの女体が宙吊りになる。

 その瞬間、二人の脳味噌に異常な快感が迸った。首を絞められることでしか感じ得ない脳内麻薬の恍惚が、一瞬にして脳髄までをもいっぱいに満たしていく。

「はぎっ♡♡んっ――♡♡」

「ぎゅうっ♡♡」

 文夏も、芹理も、宙で必死に足をばたつかせてもがく。

 その表情は涎を垂らしながら白目を剥いていて、先程までの感傷はまるで見られない。

 ただただ、恍惚の一色で、二人は無意味に身体を暴れさせる。

 数多の雄を魅了するような可愛らしく淫らな乙女達が――なんという、無様な。

 だが、それも仕方のないことなのである。

 なにせ、暴れるその度に、絶頂が無限に湧き上がってくるのだ。

 自らの体重でより強く首を絞めるほどに、頭には、ぶしゅぶしゅと音がしてきそうなほどに快楽物質が噴き出し、全身の性感帯が快感に襲われる。

 暴れる度に、イク。

 こんな恍惚、耐えられようわけもないのだ。

 誰もいない柔道場に、首を吊る少女が二人。

 痙攣と共に恍惚の表情でもがき、下等な絶頂姿を露にしながら声ともつかない声を室内に響かせる。

 足の動きが、段々となくなっていく。

 二人の表情は一層蕩け、見るからに夢心地の状態。

 暴れていた足が、最後に一度、大きく伸びた。

 爪先を張り、思い切り伸びた。

 それっきり、僅かな痙攣のみが残った。

 ――それさえも、最後にはなくなった。

 後にはただ、失禁しながら幸せそうにぶら下がって揺れる、文夏と芹理の亡骸がそこにあるばかりだった――。


   *   *   *

 翌日、柔道場にやってきた少女達が、この光景を見てどんな羨望を抱いたのかは最早語るまでもない。

 ともあれ、こうして全ては幕を降ろした。

 柔道部が無慈悲な敗退をしてから、一年と少しの話。

 想い想いに逝った彼女達は、誰もが最後は幸せだった――。

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