敗北英雄同人誌版表紙製作工程とか (Pixiv Fanbox)
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こんばんはITKZです
敗北英雄同人誌版の表紙が完成したので貼りに来たのですが
折角だからたまには作業途中のスクショなども添えてみようと思います。
メイキングと言うほどまじめな解説ではないのですがよかったらどうぞ
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工程1・ラフ出し
「絵としてまともに見れるのシュヴェニアだけじゃん!!」って言うくらい雑なんですがこの段階ではとにかく最終的にどういう構成にしたいかとかキャラの配置場所なんかを出すことに集中した方がいいのであまり細かく描かないようにしてます。
細かく描いちゃうと消すのが惜しくなって調整しづらくなるのでそういう未練を残さないためにも勢い重視で行ったほうがいいとこだよなと毎回思ってます。
工程2・下書き
ラフが決まったらどういう色にするかを考えながら下書きをすすめていきます。
私は絵の造形を綺麗に整えるのが非常に苦手なので、ある程度のラフさが許されつつもちゃんとした絵の形がみえてくる整えていくこの工程が一番楽しいです。
今回の絵を描くうえで決めていたのは
【ドセンターに久我丸と蒼威を配置することと6話分の総まとめになるような絵】
という部分だけだったのであとはその場のテンションで描いているのですが
「流石にどっかしらエッチな要素は添えといたほうがいいだろ…」みたいな思いが右側にちょっと透けてます
そして大ラフの段階ではいなかったジズ・ピーシズも折角だから入れておきました。
触手のうねうねとコードのうねうねが類似系の要素でちょっと面白いかなとか
久我丸股下がちょうど空いてるし「あの日の思い出~」みたいな感じで5話の夕陽の廃墟入れたらエモさがでるかなとか
そうすると上段が青でまとまって下段が赤、両翼に緑の配置でバランスええかなとかとか……
集合絵のアイディアは事前に詳細に出そうと思ってもなかなか全部でなかったりするんですが「これだけは描く」と思ってるところから描き始めていると意外とポンポンわいてきて画面が綺麗に浮かぶのが楽しいです。
工程3・線画作成
線画を描くのは好きなんですけど形を綺麗に撮らなきゃならないのはプレッシャーなのでここの作業工程はかなり時間かかります(白目)
カラーイラストの塗りは、もっと線が細かったり強弱をつけない方が色が綺麗に出やすいと思うのですが(アニメ塗りは特に線の強弱ない方がそれっぽくなる)
線の強弱付けて線画の段階で綺麗な絵に見えるようにしたくてしょうがない病気を患っているので細かいことは気にせずモリモリ線を入れていきます。
前工程の下書きを適当にしすぎるとここで大いに詰まります。
清書の線は迷いながら描くと一気にガタついて一目見て汚いのがわかる&清書段階で思ったものが描けないストレスは凄まじいので下書き段階をできるだけ綺麗にしておくと線入れが三倍楽しく美しくなると思います。
造形がしっかりと見えていないものの線を、ざっくりとしたラフや虚無から生み出せるのは超人の御業なので絵に自信がない人間ほど清書前の下書き詰めておくのは大事何じゃないかと思います。知らんけど。
工程4・ベース塗りと1影つけ
線画に基本色ぬって影つけたやつ。
カラーイラストを描くのを非常に苦手としているのでベース塗り以降の彩色作業ははいつも背景と一緒に大門さんに方向性だけお伝えしてあとはほぼすべてお任せしているのですが
今回は自分で「こういう絵にしたい」というイメージがかなり強固にあったので珍しくメイン部分の1影を自分で塗りました。
この作業は絵が出来上がっていく実感がめちゃくちゃあるのですごく楽しいんですが
イラスト全体の見栄えに関わってくるので当然線画製作と同じくらい時間がかかるんですよね……
この作業は線画の延長みたいなものなので特段言うべきことは何もないですね。
影を細かく刻んだりハイライト入れまくると昔のOVAアニメ風になりますが今時のアニメっぽさを出したかったら影を入れる場所は絞ってグロー効果とかフィルタをかけたりしたほうがよっぽどそれっぽくなると思います。
私は80~90年代に魂を置いてきているのでくどいくらい細かい影を大量に入れます。濃い味!濃い味!
そんな感じでできあがったものにどういう風に塗ってほしいかの指示を添えたのがこちら
これを彩色担当の大門さんにお渡しします。
毎回これ読んで塗るの大変だろうなと思いつつノーヒントで発注される方が困るだろうと思ってできる限り理想のイメージを伝えたり資料をできるだけお渡しするようにしてます。
工程5・彩色1回目の調整
指示書を読んで大門さんが塗ってくれたのがこちらの画像。
もうこれで完成でよくね?
ってくらい綺麗なのですがあがってきたイラストを見ると「ここにもう少し2影たしたい」とか色々と欲が湧いてくるもので……
自分より絵の上手い人の塗ったものに手を入れるのめちゃくちゃすまない気持ちになるもののこまかいとこに手を入れていきます。
明確に完成イメージがあって自分の手でやったほうが早いものを文章の形で差し戻す方が双方に手間がかかるので……
(これが100%他の人の絵ならそんなことはしませんが最終的に自分の絵なのでやらせてもらってます)
そんな感じで調整したのがこちら。
主な変更は久我丸筆頭に全体のカラー調整や触手まわりの造形・ハイライトの調整と2影の大量追加あたり。
そして最後に自分では苦手としているフィルタ・エフェクト・背景関連の調整依頼を添えて再び大門さんにお渡しします。
工程6・彩色2回目と最終調整
そうして大門さんが調整してくれた画像がこちら。
もうこれで完成でよくね?(2回目)
これで全然いいのですが蒼威の発光範囲を少し絞ってキャラの造形がもうちょっと見えるほうがいいかなと思ったので
そのあたりを調整して出来が上がった完成画像が↓になります。(折角のFANBOXなので原寸掲載だよ)
漫画の内容をまんべんなく内包しつつかっこいい絵になったと思いますやったね
そしてこの超がんばった絵ですが電子合本版の表紙としては没になりました。
当たり間だろ!!!!!BLえっち漫画やぞ!!!
これに関しては私の方から使わなくていいと言ったので編集部は全然悪くないです。
そもそも1月の段階で「同人誌様に新規描き下ろし表紙作るがセクシー成分はほとんど消えるし少年漫画の表紙みたいになるから合本版の表紙にはつかわなくてもいい」とお伝えしていたんですね
その段階では「セクシーさは下がってもタイトルが直球だから大丈夫だから同人版の表紙を合本版に使いたい」という話しになっていたんです。
ただ完成させたら予想以上にBL成分0の絵になってしまったので私の方から再度「無理に使わなくていい」と添えてメールしたところ編集部の協議で連載版の表紙を使いまわす方向性に決まったという感じです。
私が編集部でもそうすると思う(真顔)
むしろデザイナーさんのスケジュールなど押さえていただいていたのでつかえない絵を出してしまって申し訳ないことしたなーという気持ちの方が強く……
本当にすまない……
でも原稿料の発生しないデザイン指示もない編集チェックも通さない絵なら好きな絵しか描きたくなかったし自分の為に描くなら一番表紙にふさわしいものがいいなと思ったのでこの絵をつくった事に一切後悔はしていないです。
敗北英雄はそもそも成人向け単行本にする前提で作っていたものが諸般の事情で頓挫してそれを同人誌で出す権利を獲得したとかいう割かし複雑な状況があるんで一概にどうとはいえないものの
商業案件ということを考えれば売り物になる表紙を新規で作るべきだったという気持ちはやはり捨てきれないので悩ましいですね
私は好きでもないもの描くくらいなら商業作家なんてやめて同人誌だけで生きていくと常々言っているのですがだからといって売ることに頓着していないかというとそうではないんですよね。
なにより商業作品というのは作家一人で作っているものではなく、編集部サイドだって原稿料に宣伝・営業・編集さんの時間などかなりのものを作品の為に持ち出している状況ですし
なによりどう足掻いても商業BLメインストリームには乗せることができない作風もあり売り上げの期待幅が少ない私にあえて自社で描かせる選択をした編集さんの事を考えると双方両得になるために売る努力は最大限したいなと(これでも)いつも考えているんですよ。
何でその辺のことを考えるとすまんかったなという気持ちが結構あり…
まあ今回は色々レアケースが重なったので性がねえなと思ってもらってもしまた新しく何かをやらせてもらえることがあれば今後はその辺も考えて表紙づくりとかしていきたいですね。
出張編集部でも表紙とかをもっと凝って読者に手に取らせる努力した方がいいって言われたので……そう売る気があるならまず表紙よな……
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とまあ表紙周りはそんな感じです。
あと敗北英雄合本版関係で残ってるのは描き下ろし漫画14Pなんですが
こちらは本日で私の担当作業分は全部終了しあとは作画スタッフさんの背景入れと仕上げを待つのみとなってます。
内容はびっくりするほどちゃんとBLしてます
こんな感じ
これも同人誌用の描き下ろしを合本版に収録する形なので担当さんはノーチェックなんですが多分「なんでこれが描けるなら最初から普通のBL漫画とか表紙とか描かねえんだよ!!!」って思うと思います。
私が編集さんならそう思う。
でもこれを描くためには敗北英雄1~6話のあの内容が絶対にそのまま必要だったやつなのでまあ…ネ!
そんなわけで敗北英雄、●辱の電子合本版は3月下旬、同人誌版は4月2日発売予定です、公開までもうしばらくお待ちいただければ嬉しいです
今週末まではまだちょいちょい作業があるんですが来週からは巨人族の連載作業と番長★物語関連の作業がワーッと始まる予定です。
番長は原稿が出来たらまたちょいちょいここに小出しに参りたいと思います。
それではまた!