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※リクエスト小説



「さぁ今週も始まりました『チャレンジャー』!!この番組は、谷川康介さんが様々なことに挑戦していく番組となっております!」

司会の女性アナウンサーが番組の紹介をする。

スタジオには若手芸人やらタレントが雛壇に並び、中央の王座に座る俺に歓声を送っていた。

俺はそんな連中に、シャツ越しに浮き出る身体の筋肉を見せつけ、歯を見せて笑ってやる。

大学3年になった今年、俺はこの鍛え上げられ絞られた肉体でボディビルの世界チャンピオンになった。

ありがたいことに顔の造形も人より整っていたため、その話題性と見た目で俺は若者を中心にかなりの人気を得ていた。

そんな俺の冠番組が、全国で絶賛放送中の『チャレンジャー』という番組だ。

この番組では俺が色々なスポーツでその分野の一流のアスリート達に挑んだり、地域の不良達とタイマンを張ったりと、忖度無しのガチバトルが見所になっていて、過激な内容であるものの、自分で言うのもなんだがかなりの視聴率を誇る人気番組となっていた。

「前回は見事○○区の不良チームのリーダーとタイマンで勝ちましたが、今回の企画はなんでしょう!」

幼い頃から柔道も習っていて、高校の時に日本一になった経験もあり、喧嘩自慢の奴らが相手であっても大抵は圧勝することができた。

「今回はこちら!『サッカー』です!谷川さんには元日本代表の坂本選手と、PKでの対決をして頂きます!」

雛壇が湧く中、俺は余裕の笑みを浮かべていた。

できれば今回も街に繰り出して喧嘩したかったが、番組の構成上仕方ない。

「谷川さん、今回の自信はどれ程でしょうか」

「まぁ余裕じゃないっすかね」

「凄い自信ですね!サッカーもご経験があるんですか?」

「いや、高校の頃休み時間に少しやってたぐらいすけど、脚力は自信あるんで」

PKなら余裕だろ。

俺はそう確信していた。


そして結果は…


「5-2で谷川康介さんの勝利です!!これで番組が始まってから10連勝となります!!」

「「「おぉっ!!」」」

司会の言葉に、客席や雛壇のタレント達が歓声を上げた。

勝利をアピールするために腕を上げ、相手を挑発するようにガッツポーズを取ってやる。

すると、悔しそうに坂本選手が俺のことを見ていた。

「今回も凄かったですね!」

「いやぁ、どうっすかね。なんか力任せに蹴ったら結構決まっちゃった感じなんで。大したことないですよ」

俺の発言に若干司会が顔を顰めたが、いちいちそんなことは気にしない。

本当のことだし、それでとやかく言われる筋合いはない。

それに…

「「「キャーー!!」」」

俺が少し客席に向かってアピールすると、若い女の子達が一斉に声を上げた。

結局は人気がある奴がTVでは正義だし、それに俺は実力が伴っているんだからなんの問題もない。

「で、では坂本選手、ありがとうございました!」

焦ったように言う司会と、それに促されて不快な顔をして退場する坂本選手。

俺はそれに笑顔で手を振ってやった。

「しかし康介君はほんと凄いなぁ。スポーツなら何やらせても人並み以上なんてな」

ひな壇にいた中堅の芸人が俺に向かって話しかけてくる。

「まぁ身体動かすの得意ですし」

「喧嘩も強いみたいだけど、この前結構な殴り合いに発展してたじゃん?あれって痛くないの?」

前にタイマンを張った不良達のリーダー。

相手も格闘技をやっていたせいで結構骨のある奴だったが、身体の鍛え方は俺が圧倒的で、数回の応酬で相手がダウンした。

元々痛みに強いというのもあるが、筋肉で硬められた俺の身体には大した打撃にならなかった。

「そんなでもなかったっすね」

「へぇ~。流石チャンピオンの身体は強いな」

「まぁ」

「けど筋肉多いと打撃に強くても、意外と繊細な責めには弱かったりするんじゃないの?」

ニヤニヤと笑いながら、俺の粗を探すような目で俺の身体を舐めるように見て来る。


うぜぇ…


俺がメインの番組で、自分がひな壇にいるのが気に入らないのか、いつもこいつは俺に突っかかってきていた。

「別にそんなことないすよ。ってか繊細な責めってなんすか。意味分かんないっすよ」

少しバカにするような感じで言ってやると、芸人の笑顔の目尻が少しだけピクリと動いたのが見える。

「ほんと強気だねぇ。そうだな。例えば『くすぐり』とかはどうだ?」

「くすぐりって…」

「康介君の弱点だったりしてね」


バカらしい。


「そんなんが弱点な訳ないじゃないすか」

「へぇ~。じゃあ試してみようよ」

「は?」

突然のそいつの提案に、思わず素で声が漏れてしまう。

試してみようって、ここでか?

「丁度人数も揃ってるし、みんなで康介君のことをくすぐるんだよ。1分耐えられたら康介君の勝ちってことでさ」

見渡すと、観客を除いても番組の演者とスタッフ合わせて10人程はいる。

「それ良いじゃん!やろうよ」

その芸人の提案に乗ったのは、隣に座っていたハーフタレントだった。

ったくめんどくせぇな…

俺は苛立ちながら番組のプロデューサーの方を見ると、手を合わせて俺にお願いするようなポーズをしていた。

「はぁ…仕方ないっすね…」

俺はそのプロデューサーの様子を見てため息をつくと、渋々了承した。

年末の特番で芸人が罰ゲームでされるようなこと、なんで俺が…

「じゃあ決まりな!みんな康介君のとこに集まれ」

芸人のその声で、出演者と番組スタッフの男性陣が集まり始める。

仕方なく俺は立ち上がると、10人程の男に囲まれた。


むさ苦しいな…


既にこの状況に嫌悪を感じ、思わず表情にそれが出てしまう。

「じゃあ康介君は手を上げて、そのままくすぐられて動かなかったら勝ちってことで」

「はいはい。分かりましたよ」

俺は渋々腕を上げ、周りに腋を晒した。

「うわぁ…近くで見るとほんと筋肉すげぇ」

「腋毛は剃ってないんですね」

「やっぱ若いから肌が綺麗だよなぁ」

「タンクトップだからくすぐりやすいな」

口々に演者陣が俺の身体を見ながら感想を述べる。

「良いんでさっさと始めてくださいよ」

うんざりしたように言うと、男達は俺の身体に一斉に手を伸ばしてきた。

「うっ…」

身体にこんなに一斉に手で触れられたのが初めてで、感触の気色悪さに声が漏れる。

「ん?やっぱりくすぐりには弱いのかな?」

違ぇよバカか。

芸人が二ヤつく声で言うのを、俺は鼻で笑った。

「ではスタートで!」

いつの間にかストップウォッチを用意したのか、司会の女がそう声を発してタイマーを押した。

すると、俺の身体に触れている男達が一斉にくすぐるように指先を動かし始めた。

「………」

腋や腹、太腿や膝の裏など、10人程の手でくすぐられるが、俺は微動だにしない。

「これならどうだ!!」

芸人の声で更にくすぐりが激しくなったが、俺はくすぐったさを感じることなく、ただただ不快なだけだった。


んだよこれ…全然くすぐったくねぇじゃん…


「はぁ…」

呆れてため息すら出る始末だった。


「1分経過しました!」

司会の声で俺の身体から手が離れる。

なぜかくすぐっていた方の息が上がっていて、俺は平然とその場に腕を上げ続けていた。

「もう良いっすか?全然くすぐったくなかったすよ」

「あ、あぁ…流石だね」

提案してきた芸人も、流石に顔を引きつらせながら俺に言う。

「康介君くすぐり強すぎだろ」

「あんなんされたら普通笑うだろ」

俺をくすぐっていた演者達が驚いたように言う中、俺はそんな奴らを軽蔑するような目で見て言ってやる。

「正直くすぐられても気持ち悪いだけでしたよ。ってかくすぐりで笑う奴の気が知れねぇ」

俺の正直な気持ちだった。

こんな気色悪いことでなんで笑うのか意味が分からなかった。

あれの何が身体を笑わせるのかが理解できなかったのだ。

これならまだ不良共との殴り合いの方がましだ。

「ははっ、ほんと凄いなぁ」

「かなわねぇなぁ」

苦笑しながら言う男達。

それを軽蔑するような目で見る俺。


そして全国のTVで、このシーンが流れることとなった。



■■■■■■■■■■■■


あのシーンが放送されてから数日後のこと。

俺のSNSに気になるDM が届いた。

『谷川康介へ』

この書き出しから始まるDMはこう続いた。

『先日のTVを見たけど、不感症のお前に本当のくすぐりを教えてやる』

その文章を見て、いつもなら無視をするとこだが、不感症と言われたところに少し苛立ち、思わず返事をしてしまう。

『本当のくすぐりってなんだよばぁか。番組見たなら俺に効かねぇのが分かってんだろ』

そう送るとすぐに返事が来た。

『俺達にくすぐられてから言えよ。1億やるからくすぐられに来い』


「おいおい…」


どこまで本当のことを言ってるのか分からないが、やけに自信があるようなことを言ってきやがる。

それに俺達ってことは、あっちは複数ってことか。

『1億なんてお前らが払えんのかよ』

『これを見ろ』

返事と一緒に送られてきた画像は、1億の小切手だった。

「まじかよ…」

ちゃんと印もあるし、どうやら本物の小切手のようだ。

くすぐられるだけで1億って楽過ぎだろ。

『ほんとに1億払うのか?』

『お前がくすぐられるなら払う』

若干怪しいと感じながらも、1億と言う大金はかなり魅力的だ。

有名になったお陰で収入は増えたが、今付き合ってる彼女がアイドルのため、なかなか金が掛かるし、今度贅沢な旅行がしたいと言っていた彼女の希望を叶えてやることもできる。

「まぁ騙されたらボコボコにしてやれば良いか」

貰えたらラッキーぐらいで会ってみて、もしダメなら殴ってストレス解消してやれば良い。

『良いぜ。1億払うならくすぐられてやるよ』

俺はそう返事を送った。

その後のやり取りはポンポンと進み、日時や場所も決まった。

指定された場所は、都内の某高級ホテル。

指定してくる場所は金を持っている奴のそれだが、実際に部屋を取っているかが怪しいところだ…

「ふん…まぁ良い」

俺は1億貰った時に彼女とどこへ旅行に行くか、プランを練りながらその日を



そして当日…



「谷川康介様ですね。お話は伺っております。こちらがお部屋のカードキーになりますので、あちらの高層階用のエレベーター内でこちらを翳してください。53階へ着きましたら、お部屋は一つしかございませんので、ドア前のインターホンを鳴らして欲しいとの伝言を承っております」

「は、はぁ…」

俺はホテルのフロントのスタッフに説明され、茫然としながら俺は返事をした。


まじで金持ちじゃねぇか…


このホテルの53階って言ったらスウィートルームだし、こんな高級ホテルのスウィートなんて取れる人間なんてほんとの金持ちじゃないと無理だ。

「これは1億まじであるな…」

フロントからエレベーターへと向かいながら、俺は思わず顔がにやけた。

正直くすぐられるのは気色悪いが、それで1億ならいくらでもくすぐられてやる。

どうせいくらくすぐられても笑うことなんてないだろうし。

エレベーターにカードキーを翳すと、53階のボタンが自動で点灯し、高速で上っていく。

エレベーターのドアが開くと、そこは明らかに他の階とは造りが違うであろうエレベーターホールが広がっていた。

そしてその奥には豪勢なドアが一つだけ。

確かにこの階にはこの部屋しかないようだった。

若干緊張しながらも俺はドアの前へと向かい、そのままインターホンを押すと、オートロックの鍵が開く音がする。

これは入って来いってことだよな…?

ドアノブに手を伸ばし、そのままその重いドアを開いた。


すると…


「うわぁ…」

思わず声が漏れる程に部屋は広く、見たことがないような豪華な部屋が広がっていた。

部屋の奥へと目を向けると、二人のスーツ姿の男がソファーへと座っていて、何やら高そうな酒を飲みながら俺の方を見てニヤニヤと笑っている。

思ったより若いな…

こんなホテルに泊まれるぐらいだから、結構歳の行った奴かと思っていたが、二人共20代後半から30代くらいの男だった。

「お前等が俺をくすぐりたいって言うバカか」

若干この部屋の雰囲気に気圧されながらも、挑発するように言ってやる。

しかし男達はニヤニヤと笑った表情を崩さず、ゆっくりとグラスを置いて立ち上がった。

「よく来たな。TVで見るより良い男じゃねぇか」

立ち上がった二人はどちらも背が高く、俺程ではないが服越しにも身体の筋肉が分かる程にガタイが良く、スーツがよく似合っている。

「お前等、名前は」

「ふっ、俺のことは『佐藤』とでも呼んでくれ。そしてこいつは『田中』だ」

明らかに偽名であろう名前を言う二人。

黒髪の短髪に薄目の顔立ちで、最近よく見るようになった俳優に顔の似ている男が佐藤。

そしてもう一人の似たような雰囲気の茶髪が田中。

偽名でもなんでも金さえ払えるなら俺はどうでも良かった。

「おい、1億はちゃんと用意してんだろうな?」

「あぁ勿論。ここにちゃんと小切手は用意してある」

田中が机の上に置いてあった小切手をこちらに見せてくる。

俺は少し近寄ってそれを見ると、額面にはきちんと1億の額が書かれていた。

「はっ、ただくすぐるだけで1億も払うって、どんな頭してんだよ」

1億と言う大金を目の前にし、気持ちが高揚していくのを悟らせないように言う。

「お前がくすぐりをバカにしたからな。俺らプロが徹底的にくすぐりを教えてやろうと思ってよ」

「プロだぁ?くすぐりのプロってなんだよ。ははっ」

あんなものにプロなんかいて堪るか。

「お前が思ってるよりも、くすぐり好きは多いんだよ。俺らにくすぐられて笑わなかった奴はいねぇからな」

「泣くなよ」

「へぇ…面白い」

やけに自信ありげに言う二人に、俺はニヤリと笑って返した。

あんな気色悪い行為で俺が笑うはずがない。

この二人にくすぐられても笑わず、1億を取られて悔しがる二人の顔を見てやるのも悪くないと思ったのだ。

「少しでも俺が笑うと良いな。さっさと始めろよ」

「はっ、後悔すんなよ」

二人が歯を見せてにやりと笑う中、俺も同じように笑い返してやった。


寝室へと移動し、俺はパンツ一枚の状態でベッドへと仰向けに寝そべった。

寝室の温度は少し高めで、服を脱いでも暖かく感じる程。

そしてキングサイズのベッドはかなり大きく、俺が大の字に寝てもまだ余裕があり、流石高級ホテルというだけあって肌触りの良いシーツが気持ち良かった。


1億貰ったらこんなホテルで彼女と過ごすのも良いな。


そんなことを考えながら、このベッドの柔らかさを堪能していると、二人が俺の手に何やら取り付け始めた。

「おい、なんだよそれは」

「拘束具だよ。あまりのくすぐったさに暴れられても困るからな」

「暴れる?バカか。微動だにしなかったのを見ただろ」

「それならそれで良いさ。1億払うんだ。こっちの方法でくすぐらせて貰うぞ」

「…好きにしろ」

くすぐられて暴れることなんて考えにくく無駄なことだとは思うが、1億もらうんだ

このぐらいは聞いてやっても良い。

二人は俺の手足を大の字に広げたままベッドへと拘束した。

拘束部分は柔らかいシリコン製だが、手錠や足枷は鉄でできており、ちょっとやそっとじゃ壊れないだろう。

俺がいくら暴れようと確かにこれなら壊れないな。

閉じることのできなくなった手足を少し動かすと、ガシャッと鉄の擦れる音がするだけで、ほとんど動かすことができない。

「よし。これで良いだろう。おい、ルールを説明する」

「は?ルールだぁ?くすぐるだけじゃねぇのかよ」

「勿論くすぐるだけだ。だけど途中でギブアップされたら困るからな」

「しねぇよ!くすぐりでギブアップって意味分かんねぇだろ。安心しろ。多少の気色悪さは我慢してやるよ」

あんな人数にくすぐられて全く効かなかった俺が、こんな二人にくすぐられるだけでギブアップするなんて考えられなかった。

「ったく…まぁ良い。一応ルールは伝えておく。これからお前を2時間たっぷりくすぐってやる。2時間耐えたらあの小切手はお前のもんだ。ただし、ギブアップしたら途中で止めてやるが、その代わり小切手は無しになる」

くすぐられるだけで1億貰えると思っていたのに、条件を出されたのは少し不服だが、まぁ良い。

ギブアップしなきゃ良い話だし、くすぐりでギブアップなんてあり得ないからな。

「良いぜ。1億は俺のもんだな」

「…だと良いな」

そう言うと男達もベッドへと上り、俺の両脇へとそれぞれ陣取った。

そして二人はスーツのポケットから何やら黒い布のようなものを取り出す。

「なんだよそれは」

「これか?見てりゃ分かるさ」

そう言って二人はそれぞれ手にそれを嵌めていった。

手にギチギチに嵌められたそれは、薄手の革の手袋だった。

「なんで手袋なんか」

「くすぐりに手袋は必須なんだよ」

「意味分かんねぇよ…」

そうなのか?

まともに受けたことがないから分からないが、嵌めようがどうでも良いか。

「まぁその内分かるさ」

二人はギュッギュッと音を立てて指を曲げ、手に嵌った指の動きを確かめるように動かす。

「よし、じゃあ今から2時間だ。あそこに時計があるが、16時までギブアップしなかったら1億はお前のもんだよ」

顔を少し上げれば見える位置に時計があった。

時間はちょうど14時。

2時間というのはダルいが、あまりに暇だったらベッドだし寝ちまえば良いか。

「おう。いつでも来いよ」

二人の顔を見て、煽るように言ってやった。

「じゃあいくぞ」

そう言った瞬間、二人の手が俺の身体へと触れた。

俺の脇腹を両側から軽く触れ、サワサワと細かく動かしながら上下に動く。

「んっ…」

触れた瞬間僅かに身体がピクリと動き、二人の手が動くとなんだか身体がモゾモゾするような、変な感覚が襲ってきた。

「気色悪ぃな…んっ…」

革手袋の指先までぴっちりと嵌った指が、細かくゆっくりと動きながら脇腹を這い回る。

明らかに番組でされたくすぐりの時とは違う感覚に、語尾に僅かに吐息が漏れてしまった。

「良い身体だ。無駄な肉が無くて綺麗に筋肉がついている…これはくすぐりがいがあるよ」

佐藤はそう言いながら手を下の方へと移動させ、太腿をくすぐり始めた。

内腿を軽く撫でるように触れ、指を全部使ってサワサワと両内腿をくすぐる。

「腋も敏感そうじゃねぇか」

そして逆に田中は上へと手を移動させ、俺の開かれた腋へと手を潜らせるように触れ、そのまま佐藤と同じように軽く触れるぐらいでくすぐり続けた。

「…っ…」

内腿と腋下を同時にくすぐられ、身体を襲うモゾモゾが強くなったのを感じる。

「んっ…こんなんで誰が笑うかよ」

確かにスタジオでされたくすぐりよりは何だか身体が変に感じるが、それでも笑うようなものでもなかった。

「そうかよ」

それでも二人は余裕の笑みを浮かべながら、黒い革の手を動かし続け、腋と内腿をくすぐり続ける。

「あぁ…太くて締まった太腿は良いな。良い脚だ」

「腋も溝が深くて、この後が楽しみだよ」

そんなことを言いながら、二人は次に手を足裏と首へと移動させていく。

首を両側から包むように指先で触れ、そのまま革の指の先端で僅かに触れながらくすぐっていた。

そして足裏にいった手は、身体に触れる時よりもほんの少しだけ強く触れ、足裏全体を撫でるように指先でくすぐる。

「っっ!……んっ…」

足裏をくすぐられたのは初めてで、その気色悪い感触に再び声が漏れる。

そして首は、なんだかゾクゾクするような嫌な感覚がし、思わず奥歯を少し噛みしめてしまった。

「足の指が動いてんぞ。くすぐったくねぇんじゃなかったのか?」

「はっ、くすぐったくねぇよ。感触が気色悪ぃだけだ。」

挑発するように言う佐藤に、俺は平然と答えてやった。

「身体に少し力が入ってきたな。首がくすぐってぇのか?」

「チッ…くすぐったくねぇって言ってんだろ!なんも感じねぇから寝そうだよ」

モゾモゾゾクゾクとする感覚が徐々に身体を襲ってきていたが、それを隠すように言う。

その時だ。

「んっ!!」

佐藤の指が足指の間をちょんと触れた瞬間、思わず身体がビクりと動いてしまった。

「弱点はここか…」

一本一本指の股を開き、チョンチョンチョンと隣にずらしながら全ての指の股に触れられる。

「んっ…はっ…なっ」

その度に足がビクリビクリと意思とは裏腹に動いてしまうのだ。

なんだこれっ…

「ははっ、くすぐってぇのか?」

「違ぇよ!!おぉっ」

話している間にも触れられ、少し大きい声が漏れてしまった。

「強がんなって」

佐藤は少し指の股を触れると、再び足から太腿の方へとくすぐる手を移動させる。


助かった…


あれ以上されていたら、もしかしたらくすぐったくなっていたかもしれない。

そこを触れられる時は警戒しておこう。

そう決意していると、田中の手も再び腋の方へと移動していった。

「そろそろ良いか」

そして腋を少しくすぐった後、田中はそう言って俺の身体から手を離る。

それに続くように佐藤も…

「おい、身体が熱くなってきただろ」

佐藤が俺の顔を見ながら言う。

確かに佐藤の言う通り、くすぐられ始めた頃よりも俺の身体は、なんだかポカポカと熱くなっていた。

それはこの部屋の温度が高めだからと言う理由だけでなく、マッサージのように二人が身体をくすぐり撫でたせいで、内側から温まっていく感覚がした。

「だから何だよ」

「お前の身体は筋肉が多い。元々新陳代謝も良いからすぐ身体が熱くなんだよ」

「熱くなった身体は敏感になるからなぁ。それでこの滑らかな革でくすぐられたらどうなるだろうな」

そこで二人が手袋を必須と言った訳を理解した。

確かにスタジオでくすぐられた時は、出演者たちの爪や指の硬さが気になったせいでくすぐったさなど皆無だったが、こいつらの触れる指は革一枚多いせいでその硬さが程よくなり、肌への刺激が絶妙な物へとなっている。


そのための手袋か…


「覚悟は良いか?」

田中が俺を見て改めて聞いてくる。

大丈夫。大丈夫だ。

「あんな気色悪ぃくすぐりで俺が笑うはずねぇだろ!!」

自分に言い聞かせるように言った。

「じゃあ遠慮なくいくぞ」

「後悔すんなよ」

そう言って佐藤が俺の脇腹、田中は俺の腋下へと触れる。

そして、その指先を先ほどよりも強めに肌へと押し付け、指の腹を使って細かく激しく動かし始めた。

「んぉっ!!ふっ!!ふひはっ!!んぐぐぐぐっっ!!!」

その瞬間俺の全身を包み込むあのモゾモゾとした感覚。

先ほどのとは比べ物にならない程にその感覚は強く、口から笑いが漏れるのを抑えられない。

「おいおい、あんだけ大口叩いておいてそれかよ」

「くすぐりが効かねぇどころか敏感じゃねぇか」

「んぎぎぎぎぎっ!!んふぉっ!!はっ、くそっ!!」

笑って堪るかと歯を食いしばり、身体に力を入れて耐えようとするが、力を入れれば入れる程二人の指をより感じるようになってしまい、そのモゾモゾの感覚が強くなってしまう。


くすぐったいというのはこういうことか…!!


笑いたくもないのに身体を刺激され、口元が緩んでどうしようもなく笑いが込み上げてくる。

「我慢してる顔も悪くねぇが、そろそろ思いっきり笑わせてやるよ」

「ふぐっ!だ、れがっ!!んひっ!笑うかっ!!」

「いくぞっ」

田中のその声と共に、二人の指先の動きが変わった。

腋腹をくすぐる佐藤の指は、俺が触れられたくないと思っていた場所をピンポイントに触れ、筋肉の溝に這わすように細かくこちょこちょとくすぐる。

そして腋下をくすぐる田中の指は、俺の腋の深い溝の奥へと指を伸ばし、その革の滑らかな腹でほじるようにくすぐりながら、それに並ぶように他のを細かく動かし撫で擦り上げて来た。

「ぶひゃっはっはっはっはっはっはっ!!あっはっはっはっはっはっはっ!!」

今まで感じたことのないくすぐったさに、俺の口からは大きな笑い声が溢れ出してしまった。

「良い声で笑うじゃねぇか」

「こうなったらもう止まらねぇぞ」

二人の指は止まることなく、俺の腋と脇腹をくすぐり続ける。

それだけでなく、くすぐる指の動きはそのままで上下に往復しながらくすぐられ、それがさらにくすぐったさを増加させた。

「あひっはははははははははっ!!んおぉぉぉっ!!ひーっははははははははっ!!」


なんだよこれ!!


あのスタジオで受けたくすぐりは、くすぐりでは無かったのではとまで思う程に恐ろしいくすぐったさが止め処なく襲ってくる。

そのくすぐったさから逃れようと身体は勝手に捩れ、口からは次から次へと空気が漏れ出ていった。

「どうだ?くすぐってぇだろ」

「全身たっぷり苛め倒してやる」

「んひゃひははははははっ!!やめっ!はっはっはっはっはっはっはっ!!」

いくら暴れようと手足の拘束のせいで逃れることはできず、二人の黒い革の手は細かく激しく動き続け、俺の身体は猛烈なくすぐったさをただただ受け続けるしかない。


くすぐってぇ!!


くすぐったくてくすぐったくて笑いが自然と溢れ、我慢することができなかった。

二人の手は腋下と脇腹から徐々に中央へと移動していき、筋肉の筋を辿りながら俺の胸筋と腹筋へと進んでいく。

そして俺の乳首とへそ近くを思い切りくすぐった。

「あひゃひははははははははっ!!うひーっはっはっはっはっはっはっ!!」

あまりのくすぐったさに更に笑い声が大きくなってしまう。

「はははっ!何がくすぐりで笑わねぇだよ!激弱じゃねぇか!」

「おらっ、少しは耐えてみろよ。くすぐりなんか効かねぇんだろ?」

「ぐひははははっ!!くっぞぉぉっ!!んひははははははっ!!」

二人の黒い指はまるで一本一本が意思を持ったようにバラバラに動き、その全てが俺のくすぐったいと感じる場所を擦っていった。

スベスベの革の感触が合わさったそれは、いくら耐えようとしても笑いを我慢できない。

「ボディビルのチャンピオンはダンスも上手いんだな。腰クネクネさせて誘ってんのか?はははっ!!」

その手から逃れようと勝手に腰が動き、まるで芋虫のような情けない動きをしてしまう。


クソ野郎がっ!!


「ふーーっ!!ふーーっ!!んぎっ!あひゃひははははははははははははっ!!!!」

必死に息を吐いて耐えて野郎とするが、それを嘲笑うように乳首の先端や脇腹など、どうしてもくすぐったさを我慢できない場所をくすぐられ、崩壊したダムのように笑いが溢れてしまった。

「ほらほら、まだ1時間半以上くすぐられんだぞ。そんなんで耐えきれんのか?」

時計を見ると、まだ20分程しか経っていなかった。


こんなくすぐってぇのがあと1時間40分も続く…?


そこで初めて身体が恐怖でゾクッとした。

くすぐったさで身体は更に熱くなり、全身から汗が浮き出ている。

筋トレなんかよりも断然キツイくすぐりによる責め。

暇なら寝れるなんて思っていたのがバカだった。

「あひーっ!!あひゃひはははははははははっっ!!くぞぉぉぉおっ!!」

しかし俺はこんな奴らに負けられるかと自分を奮い立たせた。

これまで何をやっても成功し、身体付きなら誰にも負けない自信がある。

そんな俺がこんな気色悪いくすぐりなんかに負けられない。

それに1億だ。

彼女と豪勢な旅行に行くためにも、ギブアップと言う選択肢は俺にはなかった。

「ギブアップしねぇのか?」

「あひはははははっ!!誰がっ!!!うひゃひははははははっ!!」

「そうか。そうじゃないと面白くねぇよな」

確かにくすぐったいし笑いは抑えることはできない。

しかしキツいトレーニングを日々こなしてきた俺なら耐えられる。

俺は意思を強く持ち、耐えきってみせると誓った。

「こんな強気な奴が屈服する姿を見るのが楽しいんだよな」

「おい、一気に堕とすぞ」

田中が佐藤に言うと、佐藤は一旦俺の身体から手を離し、何か黒い物を持って俺の顔の方へと近付いてくる。

「あひはははははっ!!なっ!!」

それは黒いアイマスクで、俺の目をすっぽりと覆い尽くす程のサイズの大きい物だった。

視界が真っ暗になり、何も見えなくなってしまう。

その瞬間。

「んひぃぃぃぃいっ!!!」

手が俺の太腿に触れたのを感じる。

予想だにしない刺激に情けない声で叫んでしまい、羞恥で顔が熱くなった。

目隠しをされたことによって、次にどこを触れられるのか分からない怖さで身体のビクつきが大きくなってしまう。

それだけでなく、視界を塞いだせいで身体の触覚がなんだか先ほどよりも敏感になっている気さえした。


なんだよこれっ!!


先ほどと変わらないくすぐりなのに、こちょこちょと動き続ける革の指の感触を異常な程敏感に捉えてしまい、身体を襲うモゾモゾの感覚が激増したのだ。

「あひゃひはははははははははっ!!ぐっ、ひははははははっ!!」

「どうだ?さっきよりも断然くすぐってぇだろ」

「これだけじゃねぇぞ」

「んひははははははっ!!んおぉぉぉっ!?!?なっ!!」

一瞬二人の手が離れたと思った瞬間、全身に温かい液体が掛けられた。

そしてその温かい液は、俺の身体に二人の手によって塗り広げられていく。

「んほほほほっ!!なっんだっ!!あひははははっ!!」

ヌルヌル液に塗れた手で、身体をマッサージでもされるかのように塗られていくのすらくすぐったく、腋や脇腹、そして太腿や足裏に至るまで全身をヌルヌルの手の平で触れられていった。

「こっから地獄だぞ」

「ほんとにギブアップはしねぇんだな?」

「あひはははっ!!するかぁああっ!!んひははははっ!!」

恐らく塗り広げられたこの液はローションだろう。

確かに塗られる手はくすぐったいが、こんなローションが塗られた程度で劇的に何かが変わるとは考え難かった。

「そう言ってくれて嬉しいよ」

「腕がなるなぁ」

そう言うと、腋下、脇腹、腹筋、太腿を手の平で塗り広げていた4つの手が一斉に指を立てた。

「んひはっ!?!?」


やべぇっ……!!


指が立てらてた瞬間、一気に全身に鳥肌が立った。

まだ動いていない指先を感じただけで、これからくるであろうくすぐったさに全身が震えたのだ。

「はっ、ちょっ、待っあひゃーーーっ!!ひはははははははははははははっ!!!!!!!!」

まずいと思った瞬間、一斉に二人の指先がバラバラに動いてくすぐり始めた。

「あひははははははははははっ!!うひーっははははははははははははははっっ!!!!」

ローションに塗れた革手袋は滑らかさを何倍にも増加させ、最初とは比べ物にならない程のくすぐったさで俺を責めてくる。

グチュグチュと水音を立てながら、俺の腋を指先でほじり掻き、脇腹を揉みしだき、腹筋をコチョコチョとくすぐり、太腿を指をバラバラに動かしながら撫で回した。

普通にされたら少し痛みがあるかもしれない強さでされているが、このローションのおかげでそれはなく、ただただ強烈なくすぐったさだけが俺の身体を襲い続けた。

「どうだ?死ぬほどくすぐってぇだろ!」

「残りの時間たーっぷりくすぐってやるからなぁ」

「あっはっはっはっはっはっはっはっ!!!いひぃぃいっははははははははははははっっ!!」

言い返したいことがあるが、くすぐったさが強すぎてまともに言葉を発することすらできない。

4つの手は俺の身体をくすぐりながら這い回り、太腿から上を中心に身体中をくすぐり続けた。

「はははっ、全身の筋肉がピクピクしてんぞ」

「本物のくすぐりを身体に叩き込んでやる」

視界を塞がれたせいで敏感になった身体。

ローションによって滑る手袋。

そして恐ろしい程に器用に細かく動く二人の指。

それらが合わさることによって、まさに地獄のようなくすぐったさが延々と押し寄せ続けていた。

「あひゃひはははははははははっ!!やめ"っ!!んひひゃひははははははははっっ!!」


死ぬっ…!!


このままくすぐられ続けたら死ぬのではないかと思う程に、二人から与えられるくすぐりは辛いものだった。

正直くすぐりなんて効くはずがないと高を括っていたが、こんなにも辛く苦しいものだなんて思いもしなかったのだ。


『ギブアップ』


その言葉が頭に浮かぶ。

1億は死ぬほど欲しいが、それでもこのくすぐったさをあと1時間以上も受け続けるなんて考えたくもなかった。

「おらっ、腋をたっぷりほじってやるよ!!」

佐藤の声がした瞬間、両手の指が腋の溝に滑り込み、ヌルヌルの指先でくすぐりながら掻きほじられる。

「んふぉぉぉぉおおっ!!あひゃひはっはっはははははははははははっっ!!!」

頭をブンブンを振り、腕を下ろそうと力を込めるが、拘束された腕は全く動かない。

「腹筋ももっと鍛えてやらねぇとな!」

田中の声と共に、腹をわしゃわしゃとヌルつく革の指がバラバラに動きまわり、恐ろしい程のくすぐったさを与えてくる。

「うひゃひははははははははははっ!!あ"ぁ"ぁあ"あ"っ!!いひーっははははははははっ!!」


くすぐったい、死ぬ、苦しい、くすぐったい。


あまりのくすぐったさに逃げたくて仕方なくなってしまう。

「あと1時間半ってところか」

大分時間が経ったように感じたのに、まだ1時間半も残っていることに絶望する。

「あひーっ!!あひっははははははははははっ!!」

「良い声だ。いつまででも聞いてられんな」

手は一か所に長くとどまることはせず、少しすると直ぐに違う場所へと移動していき、身体が慣れる前に次のくすぐったい場所へと行ってしまう。

それが更に俺を苦しめていった。


もう無理だっ!!


情けないが、今までくすぐったさをあまり感じたことが無かった俺は、本当のくすぐりの苦しさを知らなかったのだ。

こんなのをあと1時間以上もされたら死んでしまう。

本気でそう感じた。

「あひゃひはははははっ!!お"ぉぉぉっ!!んひーっはっはっはっはっはっはっはっ!!」

この苦しみから逃れたい一心で、俺はギブアップすることを決めた。

「んひゃひははははははははっ!!ギブッ!!ふひひゃははははははははっっ!!」

笑いにかき消されそうになりながらも、なんとかギブと発する。

「おいおいもうギブかよぉ」

「ったく、あんな調子に乗ってた野郎が情けねぇぞ」

瞬間、二人の手が身体に触れたまま止まった。

「はぁ"ぁああ"あっ、はぁ"ぁああ"ああっ」

その間にぜぇぜぇと空気を必死に吸い込み、この荒れた呼吸をなんとか整えようとする。

「じゃあ1億は無しだが良いか?」

佐藤の声が聞こえ、俺は必死に頷いた。

1億という言葉に一瞬意思が揺らいだが、また二人の手が動き出すのを想像すると、そんな考えも引っ込んだ。

「よし、じゃあ途中で止めてやる」


良かった…


1億が貰えなかった悔しさよりも、くすぐりから解放される安堵の方が強く、思わず身体の力が抜けた。

「2時間って約束だったから、1時間59分で止めてやるよ」

「はぁっ、はぁっ、えっ…」

聞こえてきた田中の言葉に一瞬耳を疑った。

「1分も時間を短縮してやるんだ。喜べよ」

「さて今度はどこをくすぐってやろうかなぁ」

二人の手が俺の身体の上で、くすぐる場所を探すように動き始める。

「あひゃひはっ、やめっ!!やめろっ!!んひやひははっ!!」

「じゃあ今度はお前の弱点を苛めてやるよ」

「なら俺はここだ」

二人の手の行きついた場所は、俺の腋下と足の裏だった。

「あひゃひはっ、やめっ、やめてくれっ!!」

「だから途中で止めてやるって言ってんだろ」

「安心しろって。死なない程度には手加減してやる」

「あぁぁああっ!!くそっ!!くそっ!!」

殴りかかってやろうと思い切り身体を暴れさせるが、ガチャガチャと拘束具が音を立てるだけだった。


そして…


「んひゃーーっっ!!ひははははははははははははははははっっ!!!!」


二人の手は一斉に指先を動かし始めた。

腋を上下に移動しながら余すとこなく指先で撫でくすぐり、足裏も強く掻くようにゴリゴリと擦られる。

ローション塗れの手袋のせいで、ある程度の力を込められても、それはただただくすぐったさを増加させるだけだ。

「あひひゃはははははははははっ!!たすげっふひひゃははひはははははははっ!!」

「おいおいチャンピオンが助けてとは情けねぇぞ」

「TVでは不良共をぶちのめしてたくせに、くすぐられて負けるなんてよ」

意地悪く言いながら、二人の手は激しさを増して足裏と腋をくすぐる。

あまりのくすぐったさに笑い叫び、必死に身体をくねらせるが逃れることはできない。

「うひゃひははははははははっ!!んひーっははははははっ!!」


くすぐりはもう嫌だ!!


想像以上のくすぐりの辛さが襲うが、自分ではどうすることもできない。

「ははっ!何泣いてんだよ!」

あまりに笑い過ぎたせいで、涙だけでなく鼻や口からも液が流れ出していた。

「んひひゃひははははははははっ!!やめでっあひゃひははははははっ!!」

「そんな泣く程くすぐってぇのかよ!よしよし、じゃあお前の弱点も可愛がってやるからなぁ」

そう言って足裏をくすぐっていた手が足指の方へと移動していき、俺の足指の股を広げるように指が差し込まれた。

「んふぉぉおっ!!あぁあああっ!!」

身体が大きく揺らしてしまう程の刺激が足から全身を駆け巡る。

只でさえ触れられるのが嫌な場所を、これだけ身体が敏感になっている今触れられ、尋常じゃないくすぐったさが足先を襲った。

「指の股をこうやってぇ」

指の股一か所一か所に指を立てて突っ込まれ、そのまま指先で溝をほじられる。

「んひーーーーっ!!!あひゃひははははははははははははははっっ!!!!!」

あまりのくすぐったさに足を暴れさせ、指をグニグニと動かして逃れようとするが、革の指はその動きに合わせて動き、指の股から抜けることは無かった。

「ここが弱いんだろ?たぁっぷりほじりまくってやるからなぁ」

全ての指の股を一斉にヌルつく指でグリグリとほじり掻かれ、狂いそうなまでのくすぐったさが押し寄せ続ける。

「こっちも忘れんなよ」

腋の溝を掻いていた手が、今度は再び俺の脇腹をワシャワシャと激しくくすぐった。

「あ"ぁ"ぁぁあ"っ!!!んひひゃひははははははははははははっっ!!!!」

弱い足指の股をほじられながら、脇腹を掻かれるのはさっきよりも更にくすぐったさが強くなったように感じた。


くすぐってぇ!!!!


すでにギブアップをした時点で限界だったのに、更にくすぐったさが増した状態でくすぐられ続けるのだ。

そんなの耐えられるはずが無い。

その限界を超えた状態で、あと1時間はくすぐられ続けるしかないのは、流石に死んでしまう。

冗談ではなくそう感じた。

「んひゃひはははははははっ!!やめでぇええっ!!んほぉおひひゃひはははははっっ!!」

俺は後悔していた。

あんなことTVで言うんじゃなかった。

あんなDMでこんなところまで来るんじゃなかったと。

「バカにしてたくすぐりに屈服させられる気分はどうだぁ?」

「ほらっ、謝んなら今の内だぞ?」

二人は嬉しそうな声で俺を煽ってくるが、それに強気で返せる程今の俺に余裕はなかった。

脇腹も足指の股も、くすぐったくてくすぐったくて仕方ない。

もう止めて欲しい。

くすぐりを止めて貰えるなら、もうプライドなんてどうでも良かった。

「あひゃひはははははははっ!!ごべんなざいぃぃいいっ!!んひひゃひはははははははっっ!!!!!」

俺は笑い声が上がってくる中、必死に謝罪の言葉を放った。

「はははっ!!情けねぇな!!そんなくすぐられんのが嫌か」

「んひははははははっ!!もうむりぃ"ぃい"っ!!あひゃひははははははははっっ!!!」

「そうかそうか。じゃあ1時間58分で止めてやるよ!」

「ぞんなぁあああっ!!!んひひゃひははははははははっっ!!!」

二人のくすぐる手は一向に止まることはなく、更に激しさを増していった。

「自慢の筋肉鍛えてやるよ」

「たっぷり苛め倒してやるからな」

二人の手が腹と胸、そして腋をくすぐりながら這い回る。

「ふひーっ!!ひゃひははははははははっ!!じぬぅぅうっ!!!あひゃひはははははっ!!」

「死ぬ前には止めてやるよ」

「安心して笑い続けろ!!」

「だずげでぇええっ!!んひひゃひはははははははははっ!!ごべんなざいぃいいっ!!ふひゃひはははははははははっ!!!!」


二人からのくすぐりは、きっちり1時間58分続いた。

俺はその間、その地獄のようなくすぐりを受け続け、笑い悶えるしかなかった…



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「撮影お疲れ様でーす」

番組の収録後、スタッフが俺に声を掛けてくる。

「お疲れっす」

俺は流すように返事をすると、すぐに自分のスマホを確認した。

『○○ホテル305号室』

メールにはその文章だけが書かれていた。

「チッ…」

俺は小さく舌打ちをし、スマホを閉じる。

あのくすぐりによる地獄を味わった日、俺が笑い悶え泣き叫ぶ姿は全て録画されていたのだ。

それをネタに俺は…




「おう、よく来たな」

「今日もたっぷりくすぐり漬けにしてやるよ」

「…っ!!!」

またあのくすぐったさが襲ってくる恐怖に身体を震わせながら、俺はベッドへと向かった。



END

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