AIノベリストに美っち生イき!書かせてみた (Pixiv Fanbox)
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夢にサンタさんが出てきたから「美少女になってちやほやされて人生イージーモードで生きたい!」って願ってみた。別に変態ではない、誰だってそんな願望はあるだろう。あるって言ってくれ、言ってください。
そんな訳で、気がついたらオレはわたしになっていた。自分でも唐突だと思う。でも事実なのだから仕方がない。
鏡を見た瞬間、わたしは自分の姿に衝撃を受けた。
「……マジか」
思わず声が出た。そりゃそうだろ? なんだよこの可愛い生き物は!? そう思った時点で自分が女になってしまったんだという実感が湧いた。
しかし、わたしはすぐに冷静さを取り戻すことができた。それは何故か……。
答えは簡単だ。わたしには前世の記憶があるからだ。
何の前触れもなく死んだ記憶、それこそ死ぬ間際まで見ていたアニメやゲームの記憶が残っているのだ。
だから、今の自分の姿が現実離れしていることにもすぐ納得できたし、それが自分だということもすんなり受け入れることが出来た。
ただ、一つだけ問題があるとすれば……。
「これじゃあTSモノじゃん!!」
そう、わたしはいわゆる男の娘になってしまったのだ!! TSものというのは男性である主人公が女の子になってしまうジャンルのことだ。そしてそのジャンルには大きく分けて二つのパターンが存在する。
まず一つ目は、そのまま女性になるタイプ。この場合は元が男の子なので、男の人が苦手になったり、恋愛対象が同性になったりといったことはない。
そして二つ目が、性別はそのままだけど性格とか容姿が変わるタイプ。こちらは主人公の内面が変わったわけではないので、周りとのギャップに苦しむことになることが多い。また、元のキャラが濃い人ほど落差が大きくなって大変な目に遭うことも……。ちなみにわたしの場合は後者だ。わたしの元々の性格は陰キャオタクだったので、中身の変化はない。つまり、今まで通りの生活を続けられるわけだ。……うん、問題ないね! むしろラッキーかもしれない。このままいけばイケメンハーレムルート確定だし! なんならTSモノの王道の逆ハーだってできるかも!……まぁ、あくまで希望的観測に過ぎないんだけど。
とにかく今は状況の確認が最優先事項だ。
「えーっと……」
とりあえず今の格好を確認するためにクローゼットを開ける。するとそこには……メイド服があった。
「うわっ! めっちゃ似合いそうなんですけどぉ〜!」
もう最高すぎるでしょ! こんな可愛い子が着るメイド服なんて最強じゃん! 絶対人気出るよ!……ハッ! 待てよ……。ということはまさか……。
「もしかして……わたしって天才?」
よく考えたら当たり前だった。わたしは今、美少女なんだから可愛くないとおかしいじゃないか。それに見た目だけじゃないぞ? 頭もいいし運動神経抜群だし料理も得意だ。しかもスタイルも良いときてる。完璧すぎて逆に怖いくらいだよ。……あれ? ちょっと待てよ。
わたしが可愛い上にスペックも高いだと?……そんなの、もはやチートじゃん!
「決めた。わたしはこれから最強のモテカワJKを目指す!」
こうしてわたしの最強モテカワ女子への第一歩が始まった。
「お嬢様、そろそろ起きてください」
「むにゃ〜」
「ふぅ……。まったく仕方のない人ですね。では失礼して」
「にへぇ〜」
「……(パシャッ)」
「んにゅ……」
「よし、これで今日も一日頑張れます。ありがとうございます、お嬢様」
「すぴぃ〜」……朝っぱらから騒々しいなぁ。せっかく気持ち良く寝てたのに……。
「ほら、早く支度しないと学校に遅れてしまいますよ?」
「んみゅ……」
「起きてくださらないようでしたら、実力行使に出させていただきますがよろしいですか?」
「ん〜……わかったよ。起きるよ、おはよう真白姉さん」
「はい、おはようございます。それと私のことは『ましろ』と呼び捨てにしなさいと何度も言っているでしょう?」
「別にいいじゃん、姉妹なのにさん付けは変でしょ?」
「そういうことではありません。私たちは主従関係ですから、けじめをつけるという意味で呼び捨てにしてほしいのです」
「ぶー、つまんないの。まぁでもいっか。おはよう、真白!」
「はい、おはようございます。お嬢様は本当に聞き分けの良い方で助かります。それに比べて……」
「それに比べて?」
「いえ、なんでもありません。それよりも早く着替えを済ませましょうか。朝食の準備ができておりますので、すぐにリビングにいらっしゃってくださいね」
「了解!」
わたしはベッドから出てクローゼットから制服を取り出し、素早く着替えを終わらせた。そして洗面所で顔を洗い、歯磨きをして髪を整える。
「さて、準備完了。それじゃあ行こうかな。……あ、そうだ。ねぇ、真白」
「はい、なんでしょうか? お嬢様」
「その『お嬢様』っていう呼び方やめてくれない?なんか他人行儀みたいで嫌なんだよね」
「申し訳ございません。私としたことが、配慮が足りませんでした。それでは今後は名前で呼ばせていただきますね。今宵ちゃん♪」
「ちょっ!? それはずるいでしょ! いきなり下の名前にしないでよ!」
「何を仰っているのかわかりかねます。私はただ今宵と呼んだだけですが?」
「ぐぬぬ……。この腹黒メイドめ……。いつか必ずギャフンと言わせてやるんだから!」
「ふふ、楽しみにしておきます。……それより時間、大丈夫ですか?」
「あっ! やばっ! 急がないと!」
「行ってらっしゃいまし、今宵お嬢様」
「だからその呼び方はやめてってばー!!」
そう言い残し、わたしは急いで家を飛び出した。………………
「ぜぇ、ぜぇ……。ギリギリセーフ。危なかった……」
教室に入るとみんながこちらを見ていた。おそらく、わたしの姿に見惚れているのだろう。だってこんなに可愛いもん。仕方ないよ。「(ザワザワッ)」
「えっと、どうしたの? そんなにジロジロ見て」
「今朝のニュース見た?」
「ううん、まだだけど。何かあったの?」
「黒猫さんだよ! 黒猫燦! 知ってるでしょ?」
「あぁ、あの有名なVTuberグループの子だよね。それがどうかしたの?」
「いやいや、すごいことだよ。何が凄いかわかる?」
「ん〜……人気者になれるとか?」
「ちっちっち。わかってないな〜」
「むぅ〜。じゃあどういうことなのか教えてよ」
「ふふん、いいでしょう。まずVTuberというのはですね、配信活動を通してお金を稼ぐことができるんです」
「へぇ、そうなんだ」
「そして、VTuberの知名度を上げるにはやはり配信回数や視聴数を増やすのが一番効果的なわけですよ」
「それで?」
「つまり! 黒猫燦の配信を観ればそれだけでV界隈での認知度が上がるということなんですよ!」
「なるほどね。確かにそういう考え方もあるかも」
「そして、今朝放送されたばかりの『あるてま二期生募集オーディション』の動画を観てみましたか?」
「もちろん! もう全部観ちゃった!」
「えっ!? ということは黒猫燦のことも当然知っているはずですが……」
「う、うん。知ってるけど。まさかとは思うんだけど、もしかしてその子がわたしだとでも言うつもり?」
「……」
「ちょっと待って。なんで黙っちゃうの? 怖いんだけど」
「……」
「ねぇ、何とか言ってよ。お願いだから無言にならないで!?」
「ふっ、冗談ですよ。いくら何でもあなたがあの黒猫燦であるわけがありませんからね」
「ほっ、よかった。本当に焦ったじゃん」
「ところで話は変わりますが、今日の放課後は暇だったりします?」
「今日? 特に予定はないと思うけど。どうして?」
「実はですね、これから私たちでカラオケに行くことになったのですが、せっかくなので一緒に行きませんか?」
「えっ!? カラオケに?」
「はい。もしよろしければご一緒していただけると嬉しいのですが」
「もちろん行くよ! わたし友達いないから、こういう誘いはすごく嬉しい!」
「本当ですか! ありがとうございます!」
「いえいえ、こちらこそ誘ってくれてありがとね!」
こうしてわたしは生まれて初めてのカラオケデビューを果たした。初めて聞く曲ばかりでとても新鮮で楽しかった。それに、みんな歌上手いし……。