ピアス先輩に昔の制服を校則どおりに着てきてとお願いしてみた (Pixiv Fanbox)
Published:
2023-09-15 09:00:00
Edited:
2023-09-16 00:35:56
Imported:
2024-02
Content
「おーい、約束どおり着てきたで」
セーラー服に着替えたピアス先輩が、私の前に現われた。
ピアス先輩、本名は――いや、やめておこう。字面が堅苦しくて嫌い嫌いという理由で、先輩は本名で呼ばれると不機嫌になる。
バチバチに開けられたピアスからつけられたあだ名を先輩が受け入れているのも、本名を呼ばれたくないからだ。
「なにを怪訝そうな顔してんの。きみ、昔の制服を校則どおりに着てこいって言うたやん?」
「いや、だって……」
「高校の制服を着てくると思ってた? ウチの高校、制服がなかってん」
「いや、そうじゃなくて……」
「ほな、何なん?」
それは、ピアス先輩が身につけている、白い編み上げのロングブーツと同色同素材のロンググローブである。
私がそのことを指摘すると、ピアス先輩が不満そうに声をあげた。
「えー、これ、校則違反ちゃうで」
そしてセーラー服の胸ポケットから生徒手帳を取り出し、服装規定のページを開いて見せた。
『靴は白のひも靴とする』
「な、校則どおりやろ?」
違うと思う。ひも靴というのは運動靴、スニーカーを想定しての呼び名だ。
「せやったら、紐を結んで履く靴という意味の『ひも靴』やなくて、ちゃんと『運動靴』って書いとかなアカンわな」
「いや、そうは言っても……」
「法学部の学生らしからぬ物言いやな。ええか、法律は条文に書かれている文言がすべてや。なんぴとたりとも、条文以上の規制を求めることはできひん。それは、校則という私的な規則でも一緒やで」
そのとおりである。
公的機関といえど、条文を自由に拡大解釈して執行できるとしたら、もはや法治国家ではない。
「ほかにも、ウチは校則に違反してへんで」
『下着は白、またはベージュとする』
『タイツは黒、もしくはベージュとする』
「な、きちんと守ってるやろ?」
そう言うと、ピアス先輩が膝が隠れる丈のスカートと、上衣の裾をたくし上げた。
すると先輩が身につけていたのは、白のコルセットと、股間と胸の貞操帯。
そして、コルセットのガーターで吊られた、黒いストッキング。
「靴と同じや。色は決められてるけど、形や材質までは指定されてへん。手袋は『華美でないもの』としか書かれてへんし、スカート丈も規定どおり、必ず身につけることとされてる生徒手帳も、ちゃんと持ってたで」
スカートと上衣の裾を直し、得意げに胸を張る先輩。
そこで、受験戦争を勝ち抜く動力となった、私の負けん気に火がついた。
「ちょっと見せてください」
そう言って、先輩から生徒手帳を受け取る。
そして、服装規定の欄にひととおり目を通し、私はその一文を見つけた。
『ピアスは禁止する』
「ええとこに気がついたな……」
私がそのことを指摘すると、先輩が目を細めて嗤った。
「たしかに、そのとおりや。校則どおり言うなら、ピアスは外しとくべきやった。ウチの負けや、拘束違反を認めるわ」
そして瞳を妖しく輝かせ、スカートのポケットから小さな鍵を取り出した。
「拘束違反の罰を受けなあかんな……コレ、預けるわ」
「な、なんですか?」
「ウチの鍵や」
言われて一瞬考え、ピアス先輩の下着を思い出した。
きつく締め込まれた白いコルセット。その一番細い部分で横ベルトが留められた股間の貞操帯、上部がホルターネック、というより首輪状になった胸の貞操帯。
この小さな鍵は、先輩の貞操帯のものなのだ。
そうと気づいた私は、先輩と同じように目を細めて鍵を受け取り、彼女を管理する権利を手に入れた。