風紀委員長・橘夏菜子様の実物大女装人形を作る (Pixiv Fanbox)
Published:
2023-06-23 09:00:00
Imported:
2023-07
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風紀委員長・橘夏菜子様の実物大女装人形 https://masamibdsm.fanbox.cc/posts/5506614
の制服透過差分に使用した人形姿を仕上げてみました。
導琉《ドール》学院風紀委員長、橘夏菜子《たちばな かなこ》様は、絶大な権力を持っておられる。
それは、学内に限ったことではない。
夏菜子様のご実家は、世界的大企業を束ねる企業グループの総帥。けっして表舞台にその名が登場することはないが、特権階級に属する者で、橘の名を知らぬ者はいない。
いや、逆にその名が特権階級に属する者以外に知られていないことが、橘家の絶大な力の証とも言えるだろう。
そんな橘家の次期総帥として、夏菜子様も複数の企業を率いている。
そのひとつが、橘ドール工業。
表舞台に出さないはずの橘の名を冠しているのは、その会社の規模が小さいから。社員数でも売り上げ高でも、中小企業と言っていい橘ドール工業が、経済界で注目されることはない。
同時に、夏菜子様の強い思い入れゆえ。橘ドール工業は、ほかに類がなく、かつ夏菜子様がお望みになる特殊な技術を持っている。
その技術がいかなるものか、いち風紀委員にすぎない私にはわからない。
わかったとしても、夏菜子様が直接私に教えてくださるまでは、知らないふりを続けなくてはならない。
そして、直接教えてくださったことも、夏菜子様が話していいと仰らなければ、けっして口外してはならない。
だから、私は橘ドール工業の技術についてなにも知らない。
風紀委員に課せられた厳格な規則を思いだしながら、私は橘ドール工業の女性職人が、夏菜子様の実物大人形を製作する過程を見ていた。
その作業も、いよいよ大詰め。
特殊樹脂製のパネルに全身を覆われ、残すは顔だけとなった男子新入生が、なにかを叫んでいる。
だが彼の声は、ここにいる誰にも届かない。私の耳孔に入り鼓膜を振動させてはいるが、意味のある言葉として私の脳は処理しない。
そうすることが、風紀委員の務めだから――いや、私は大変な間違いを犯していた。
あれは、男子新入生などではない。
今年度から共学化された導琉学院のただひとりの男子新入生に酷似した、夏菜子様実物大人形の部材だ。
尿道にチューブを挿入した上で、ペニスと睾丸を体内に押し込むように封印されていても。括約筋を弛緩させられたうえで、肛門に巨大な蓋つき筒状の異物を挿入されていても。それらの器具で大小の排泄を管理される運命なのだとしても。けっしてかわいそうとか、憐れだとか思ってはいけない。
なぜなら、それは人形の部材に対する処置にすぎないのだから。部材がどんな処理をされようと、それを見る者の感情が動くわけがない。
夏菜子様の下僕たる風紀委員としての心得をあらためて肝に銘じていると、女性職人が最後のパーツ――畏れ多くも夏菜子様のお顔を象った面――を手に取った。
その面の裏には、3本のシリコーンゴム製チューブ。細い2本は部材の鼻孔を経て気道に、太い1本は口腔から喉を経て食道に挿入。
それにより、部材は排泄に加えて食餌と呼吸も管理される。気道に挿入されたチューブは声帯をバイパスするから、声も出せなくなる。
その処置が今、行なわれる。
なにか叫んで、いや音声を発している口に、太いチューブが押し込まれた。続いて、鼻孔に細い2本のチューブも。
部材が目を白黒させているのは、ホースの先端が喉に触れて刺激したからか。
そんなことは気にも留めず、女性職人が作業を進める。
太いチューブが食道に、細いチューブが気道に正しく挿入されていることを確認すると、職人が面ごと一気に押し込んだ。
部材の顔が見えなくなる。
カチリ。
金具が噛み合う音が聞こえた直後、部材が発していた音が止んだ。
密閉されたせいで肺の空気がチューブからしか抜けなくなり、声帯を振るわせられなくなったのだ。
人形各所を点検し、女性職人が名刺サイズの端末をふたつ夏菜子様に渡す。
その端末を夏菜子様が操作すると、小さな電子音とともに、人形表面の3つのLEDランプが灯り、首元の小型モニターに人形の身体を形成する各パネルがロック状態である旨が表示された。
そのことを確認すると、夏菜子様は受け取ったふたつの端末のうちひとつを、私に下げ渡した。
跪き、こうべを垂れ、その端末――ロック機能が省略された、メンテナンス係用のもの――を私が両手で受け取る。
「あとはお願いね」
すると夏菜子様は麗しいお声で告げ、颯爽と立ちさられた。
身体機能の管理のみならず、仕込まれたさまざまなしかけで部材を苛めることのできる端末と、人形の日常メンテナンスを任された私を残し。