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 私と義弟の比呂《ひろ》が誘拐されたのは、ひと月ほど前のことだった。  いや実のところ、正確な日にちは憶えていない。囚われた日から比呂とは別々に地下室に監禁され、昼夜問わず厳しく淫らに調教されてきた私は、時間の経過がわからなくなっていた。  ひと月ほどと言ったのは、与えられる食事が1日3回だとして、その回数を数えてなんとなく想像しているだけだ。 「おまえたちのうち、どちらかひとりを、私の手で性奴隷として調教する」  ここに連れてこられた日、調教師を名乗る女がそう告げ、二者択一を迫った。 「おまえが私の調教を受けるか、義弟《おとうと》に受けさせるか、好きなほうを選びなさい」  ほんとうは、どちらも拒みたかった。  でもそれは許されないとわかったとき、私は迷わず自分が調教を受けると答えた。  私と比呂に血縁関係はない。私の母が再婚した義父の子が、彼だったのだ。  とはいえその後、私たちはほんとうの姉弟のように育ってきた。ふたつ年下の比呂を、私は慈しみ可愛がってきた。  だから、彼を私の犠牲にするという選択肢は、私には――いや、正直に言おう。  お互い成長するにつれ、私は比呂に惹かれていった。  そして比呂も、私を女性として好いてくれていた。  肉体関係を持つことはお互い避けていたが、義理の姉弟であると同時に、私たちは確実に恋人どうしでもあった。  そんな比呂を、私のために性奴隷に堕とすわけにはいかない。どちらが堕とされるか選ばなければならないなら、迷いなく自分が奴隷になる。  しかし、自らの意志で受けると決めた性奴隷調教は、想像を超えて凄絶なものだった。  初日、性奴隷の証として乳首にピアスを着けられた。  その痛みが消えないうちから、性感調教が始まった。  媚肉のみならず肛門の性感も開発された。ピアスホールが安定してくると、乳首にも愛撫が加えられた。  熟練の女調教師の手で徹底的に性感帯を開発されながら、並行して痛みや羞恥、屈辱や汚辱をも性の快楽に変換させる調教が課された。  それ自体が責めと呼べるほどの、厳しい拘束。鞭や蝋燭、環視の元での放尿、大量浣腸からの強制排便。  そのなかで、私の肉体は痛みや恥辱すら快楽に直結してしまう、真正マゾに作り変えられてしまった。  そして、1ヵ月。調教3日めに着けられたコルセットがフルクローズし、私のウエストが18インチ(約45センチ)にまで絞られた頃、女調教師が調教完了を宣言するとともに、残酷な決定を告げた。 「おまえともうひとり、同僚の緊縛師に調教されてきた奴隷とイキ地獄勝負をし、負けたほうを性奴隷としてオークションに出品する」  つまり、その勝負で負けたら、私は性奴隷として売られてしまうということだ。  誰とも知れない者の所有物にされ、生涯責め抜かれて暮らす。  そして2度と、比呂に会えなくなってしまう。 「さらにおまえが負けて売られた場合、義弟も一緒にオークションに出品する」  つまり、私が負けたら、比呂までが奴隷として売られてしまうということだ。  それだけは、絶対に回避しなくてはならない。 「ルールは簡単。一番感じるところに電マを押し当てたまま拘束放置、連続絶頂の苦痛に耐えられず、先にギブアップしたら負け」  性奴隷調教が開始されたときと同様、拒むという選択肢はなく、私は勝負の場に引きずり出された。  腕を背中でコ形に組むタイプのアームバインダーを装着され、ハーネス式のボールギャグとアイマスクを着けられる。それから嵌められっ放しの首輪のリードを引かれ、監禁されていた部屋を出る。  なにも見えない状態で、上半身を厳しく拘束されて歩かされるのは恐ろしい。  だがひと月にわたる調教は、私から反抗心を奪っていた。  暗闇のなか不自由な身体で歩かされる恐怖を、命令に逆らうことで与えられる罰への怖れが凌駕し、リードを引かれるまま左隣の部屋へ。  そこで私は床に正座させられ、脚を拘束された。  そして、脚を縛《いまし》めるベルトに、電動マッサージ器が挟まれる。  媚肉と陰核に押しつけられた状態で、振動器械が固定される。  そこで、対戦相手の奴隷が引かれてきた。  ボクと義姉《ねえ》さんが誘拐されたのは、ひと月ほど前のことだった。 「おまえかおまえの義姉《あね》、どちらかひとりにあたしの手で緊縛調教を施す。どちらが受けるか、おまえに決めさせてやる』  緊縛師を名乗る女の言葉に、ボクは即座に反応した。 「ボクが受けます!」  迷いなくそう答えたのは、義姉さんのことが好きだったからだ。男として、彼女を守らなければならないと考えたゆえだ。  初めて会ったときから、義姉さんはボクに優しくしてくれた。  ボクがまだ小さかった頃は、ほんとうの姉のように慈しみ、守ってくれた。  ふたりが成長し恋に落ちてからは、義姉さんが昔してくれたように、今度はボクが彼女を守るんだと固く誓っていた。  そんな義姉さんを、ボクの犠牲にするわけにはいかない。  そう考えて受けると決めた緊縛調教は、予想を超えて壮絶なものだった。 「まずは、縛られることに慣れなさい」  そう言われ、全身を麻縄で縛りあげられた。  それ自体が拷問と呼べるほどきつく縛られて、乳首に奴隷のピアスを着けられた。  そのうえで、性感責めと肛門の拡張。プラグを挿入されたまま、ペニスを責め抜かれた。  さらに、ピアスを穿たれた痛みが消えてからは、乳首の性感開発。  器具が楽々挿入できるほど拡張が進んでから、肛門性感も開発され始めた。  それと平行して、苦痛や恥辱を伴う調教。  鞭、蝋燭、浣腸、強制排泄、プラグを用いての尿道責め、ペニバンを装着した女緊縛師に、肛門を犯されたこともある。  それらの責めを受けるときは必ず、きつく縛られた。  調教中、一時的に緊縛から解放されることはあっても、それは縛り直すため。開放感を味わう暇《いとま》もなく、すぐまた縛られて責められる、  責められていないあいだ、衣服は与えられた。ただしそれは、女ものだった。  そうして女ものの下着や服を身につけ、四六時中縛られていることに慣れた頃、ボクは縄をかけられるだけで、ペニスを勃起させるマゾ奴隷に堕とされていた。  そんな折、女緊縛師がボクに告げた。 「おまえと同僚の調教師に調教されてきた別の奴隷とでイキ地獄勝負をし、負けたほうを性奴隷オークションに出品する」  つまり、その勝負で負けたら、ボクは性奴隷として売られてしまう。落札者の所有物にされ、支配されて暮らすことになってしまうのだ。  そして2度と、義姉さんに会えなくなってしまう。 「さらにおまえが負けて売られた場合、義姉もオークションに出品する」  つまり、ボクが負けたら、義姉さんも性奴隷として売られるということだ。  それだけは、なにがあっても避けねばならない。 「勝負は一番感じるところに電マを押し当てたまま緊縛放置、イキ続ける苦しさで相手より先にギブアップしたら負け」  拒むことは当然ように許されず、勝負の場に引き出されるため、ボクは全裸に剥かれてきつく厳しく縛られる。身体のみならず、顔も。  結びめを噛まされて、縄の猿ぐつわを嵌められた。目隠しをするように、顔全体をぐるぐる巻きにされた。  その過程で、ボクはいつものようにペニスを勃起させてしまう。  そして首にも縄をかけられ、その縄尻を取られて引き立てられた。  顔を縛られたせいでなにも見えない状態で、監禁調教されていた部屋を出て、右隣の部屋へ。  そこにはすでに、人の気配があった。  きつく厳しく緊縛されただけで勃起させている姿を人に見られるのは――いや、そこにいるのは、勝負相手の奴隷とその調教係だろう。縄の目隠しで見えないが、おそらくその奴隷も、ボクと同じ状態だ。女緊縛師の同僚たる調教係は、奴隷の痴態は見慣れているに違いない。  そう考えて羞恥をやり過ごしながら、正座させられて脚を縛られる。  その縄に電動マッサージ器が挟まれ、屹立したベニスに押しつけられて固定される。  そこで、ボクの緊縛師が宣言した。 「それでは、オークション出品をかけた、2匹の奴隷のイキ地獄勝負を開始する」 「んグぅうううッ!」 「ぅふぅんんんッ!」  あたしがイキ地獄勝負の開始を告げ、同僚の調教師が電動マッサージ器の電源を同時に入れた直後、2匹の奴隷の悶絶の競演が始まった。  そう、彼と彼女は、同時に誘拐されてきた義理の姉弟である。 『おまえかおまえの義姉《あね》、どちらかひとりにあたしの手で緊縛調教を施す。どちらが受けるか、おまえに決めさせてやる』  あたしは、義弟にそう言った。 『おまえたちのうち、どちらかひとりを、私の手で性奴隷として調教する。おまえが私の調教を受けるか、義弟《おとうと》に受けさせるか、好きなほうを選びなさい』  同僚の調教師は、義姉にそう告げた。  あたしたちは、どちらも嘘はついていない。  ただ、自分が調教を受けると答えれば、もう1匹が別の者の調教を受けることになると話していないだけだ。  加えて、負けた場合、もう1匹もオークションに出品するというのもほんとうのことだ。  つまり、どちらが勝っても負けても、義姉弟揃って売りに出される。  ただ、彼と彼女は別々に売られると思っているようだし、あたしたちもあえて語っていないが、2匹は珍しい義姉弟奴隷としてセットで出品される。  要するに、オークションで売られてしまえば、2匹は念願叶ってつがいになれるというわけだ。  もっともそれは、所有者に飼われる性奴隷としてだが。  ともあれ、どちらが勝とうと、結果は一緒。  勝負がついて目隠しを外したとき、2匹がどういう反応を示すか。そのことを想像しながら、あたしと同僚の調教師は、ことのなりゆきを見守った。 (了)

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