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「さあ、今日も始めましょうか」  定時過ぎたオフィス、制服姿の私に首輪を嵌め、佐渡《さど》主任が薄く嗤って告げた。 「両手を後ろに」  言われて素直に従うと、背中側でまっすぐ揃えた腕が、二等辺三角形の革袋に納められていく。  アームバインダー。いったん装着されてしまうと、絶対に脱出不可能な厳重拘束具である。  その残酷な拘束具が、私の腕を包み込む。  二等辺三角形の頂点内側に指先が当たったところで、底辺――今はそちらが上側だが――に取りつけられていたベルトが、左腋から身体の前側に引き出される。  それから、ショルダーバッグを斜め掛けするように、右肩から背中側に戻され、袋に設えられているバックルに留められた。  さらに右腋から左肩へ、胸の上でX字を描くようにベルトを留められると、私の腕の自由はなくなった。  だが、アームバインダーの拘束は、それで終わりではない。  キュッ、と革どうしが擦れるかすかな音。  ギュッ、と手首のあたりで革が密着し、軽く締めつけてくる。  二等辺三角形の頂点付近から底辺にかけての編み上げが、締めあげられているのだ。  キュッ、キュッ……。  編み上げの締め込みが進む。  ギュッ、ギュッ……。  腕への締めつけがせり上がってくる。  前腕部、肘、二の腕。編み上げ紐を固く結んで、最後に肩ベルトをひとコマずつ増し締めされる。  すると肩を背中側にすぼめて肘と肘をくっつけるような体勢を強要され、上半身が固められたように動かせなくなった。  それで私の身体の自由を奪ってから、佐渡主任が次の装具を手に取った。  ゴム製の球に、複雑に組み合わされたベルトが取りつけられた箝口具、ハーネス式ボールギャグである。  よくあるプレイ用の穴開き樹脂球のボールギャグと違い、非装着者の発声を防ぐことを目的に作られたそれが、私の口に嵌められる。 「口を開けなさい」  命じられて大きく開けた口に、ゴム球が押し入る。 「ぁ、が……」  巨大ゴム球が半ば以上口中に押し込まれ、苦しさにうめいたところで、後頭部でベルトを留められた。  それだけでもうゴム球を吐き出せず、私の口は役立たずにされた。  そしてアームバインダーのときと同様、口への拘束も、言葉を奪っただけでは終わらない。  頬を通って額と頭頂部を経由して逆Y字の縦ベルトを締め込まれ、最後に下顎を固定するようにベルトを締められると、私の口はゴム球を噛みしめた状態で動かせなくなった。 「んむぅ……」  身体の自由に続き、声を出す自由まで奪われ、屈辱と羞恥にくるおしくうめく。  だが私が味わう羞恥と屈辱は、これで終わりではない。むしろ、これからが本番だ。 「うふふ……」  唇の端を吊り上げ、佐渡主任が制服のタイトスカートをめくり上げた。 「ぅう……」  恥ずかしさにうめき、首をフルフルと振ったのは、下着を露出させられるからではない。  スカートの下に穿いている――いや、穿かされている下着が、きわめて特殊なものだからだ。  貞操帯。私のお股を厳重に封印する、金属製の性器拘束具。  これを佐渡主任の手で嵌められて以来、私は自分のそこに触れたことはおろか、目にしたこともない。週に1度メンテナンスと称して解除・清掃されるが、そのときは必ず拘束されたうえで、目隠しまでされている。  そんな貞操帯を、タイトスカートを腰のあたりまでめくり上げて晒させてから、佐渡主任が私を床に座らせた。  壁から少し離れた位置に腰を下ろさせ、肩と後頭部を壁に着け、お尻を前方に突き出させて。 「脚を開きなさい」  そう命じて、佐渡主任が私にM字開脚の姿勢を強要した。  恥ずかしい。悔しい。  でも、アームバインダーで縛《いまし》められた身では、逆らうことはできない。ハーネス式ボールギャグを嵌められた口では、拒否も懇願もできない。  いや、厳しく拘束されていなくても、私は抵抗できなかっただろう。箝口具を嵌められていなくても、拒否も懇願もしなかっただろう。 (だって、私は……)  すべてを佐渡主任に支配された、彼女の性奴隷なのだから。 (なぜなら、ここは……)  佐渡主任のような正社員が、私たち性社員を奴隷として飼うことが認められた、黒百合商事なのだから。  とはいえ私が、はじめから黒百合商事の実態を知っていたわけではない。  私のみならず世間一般には、黒百合商事は女性正社員にとって、超ホワイトな優良企業と認識されていた。  だから私も、この会社に就職できたことを、心の底から喜んだものだ。  だが、違った。いや、ほんとうは違わないのかもしれない。  佐渡主任のような女性正社員にとっては、私たち性社員の犠牲の上に、福利厚生の充実した超優良企業であることは間違いないのだから。  ともあれ、性社員は正社員に絶対服従の厳格な社則の下、私は佐渡主任の性奴隷に堕とされた。  そして――。 「なにをぼうっとしているのかしら?」  忸怩たる想いで思い出していると、佐渡主任が透明なボトルを手に、拘束M字開脚の私の前にしゃがみ込んだ。  それから、医療用の薄いゴム手袋を嵌めた手に、ボトルから粘りけのある液体をまぶす。 「うふふ……」  そして、瞳に妖しい光を灯した直後。 「ぃ、う……!?」  貞操帯の丸くくり抜かれた穴から露出した肛門に、冷たいものが触れた。 「ぅ、あぁ……」  その冷たいもの――窄まりに触れたローションまみれの指が動き出し、そこに妖しい感覚が生まれる。 「ぉうぃえ(どうして)……?」  喋れない口で思わず問うてしまったが、私の肉体がそうなる理由はわかっていた。 「おまえは、アナルマゾだもんね?」  私の思考を読み取り、その理由を佐渡主任が指摘した。  そう、私は佐渡主任に苛められて昂ぶるマゾ女だ。特に、肛門を責められて悦ぶアナルマゾOLだ。  佐渡主任の手で、そういう肉体に調教されてしまった。  だからこそ、貞操帯で性器を封印されたままでも、肛門で性の悦びを得ることができる。 「厳しく拘束されて昂ぶり、肛門を責められて悦ぶアナルマゾのおまえは、もうまともなオンナには戻れないのよ」  言われながら肛門をほぐされた私の前に、新たな責め具がかざされた。  ゴム球を同じ素材の紐で連ねた肛門用淫具、アナルビーズである。  とはいえそれは、ビーズという言葉で連想されるような、かわいらしい代物ではない。  ひとつひとつの球の大きさは、子どもの握りこぶしほど。それを複数個連ねた全長は、私の前腕部より長い。  その残酷な責め具が、肛門の窄まりにあてがわれた。  そして、ひとつめの球が押し込まれる。  ヌルリ、とローションまみれの球が、肛門をこじ開ける。 「ぃ、あ、あ……」  ゾワリ、と妖しい感覚。 「ぁ、アゥうん」  球のいちばん太いところが括約筋を通過し、全体が体内に飲み込まれたところで、大きな快感に襲われる。 「うふふ……アナルマゾちゃんは、相変わらずいい声で啼くわね?」  思わずあげてしまった艶声を揶揄されながら、次の球。  ヌルリ。 「ぁ、う、ぁ……」  スポン。 「ぅあ、あふん」  さらに、次の球。  ヌルリ、スポン。 「あふぁあッ」  球を押し込まれるたび、お尻の快感が大きくなる。  大きくなった快感が、アナルマゾの官能を煽る。  ヌルリ、スポン。 「あぃあァあッ」  ヌルリ、スポン。 「はふぁアぁあッ」  そして、肛門性感が充分に高まったとき、アナルビーズは取っ手だけを残し、私の体内にすべて飲み込まれていた。 「うふふ……」  そこで、佐渡主任が立ち上がる。  猛烈な圧迫感と肛門性感に囚われながら見上げると、絶対的支配者が妖しく輝く目を細め、淫具の取っ手をハイヒールパンプスのつま先で軽く小突いた。 「これ、引き抜いてほしい?」 「あふぁ……」  その屈辱的な刺激にも蕩けさせられながら、さらなる快感を求めてカクカクうなずいたときである。  佐渡主任が、淫具の取っ手にヒールを引っかけ、そのまま足を引いた。  1個ずつ押し込まれた球が、一気に引きずり出される。  これまでひとつずつ襲いきた快感が、ひと息に押し寄せた。 「あッ……あィあァあああッ!」  圧倒的な快感に目を剥いて喘ぎ、瞬間的に押し上げられる。  はしたないアナルマゾOLは、厳重に拘束されたままの肛門性感に酔わされる。 「ぁ、ィ、あっぁあ……」  あと1個だけを残して引きずり出し終えてからも、陶然として押し寄せた快感の余韻に浸る。 「もう1回、やる?」  佐渡主任のその言葉に、私は蕩けてうなずいた。  アナルマゾの血に突き動かされ、本能の赴くまま。  それをくり返すことで、ほんとうに戻れないところまで堕ちるのだとわかっていながら。 (了)

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