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黒百合の学園~淫虐の貞操帯尻穴奴隷 後編 「これが、今回の転校生の資料です」  そう言って、校長が弓削一華の元に転校生の資料を届けに来たのは、ひと月前のことだった。  生まれたときからの町民という住人がほとんどの黒百合町において、黒百合女子学園の校長は、数少ない町外出身者である。弓削家が各所に手を回し、小学校と中高一貫の男子学園の校長は町内出身者を充てているが、女子学園までは人材が足りなかった。  それは弓削家の黒百合町支配にとって不安材料のひとつだったが、今や校長はすっかり懐柔されたように見える。その証拠に、本来いち生徒であるはずの風紀委員長を学園の支配者と認め、粛々と従っている――少なくとも、一華の目にはそう映っていた。  そんな校長が持参した資料の写真に、一華の目は釘付けになった。  それは、ひと目惚れたった。  もともと男より同じ女を好きになる指向を持つ一華が、初めて本気で惚れた少女だった。  その少女の名は、桐生久里子。 「ご苦労、これはしばらく預からせてもらう」  興奮を気取られぬよう、努めて冷静に答えて資料を持ち帰り、一華は久里子について調べあげた。  そう、携帯電話もテレビも受信できず、インターネット環境も整備されておらず、新聞雑誌も配達されない。あらゆる情報が遮断された黒百合町にあって、弓削本家だけには最新の情報に触れる手段があった。  それはもちろん、弓削家が町の支配を続けるため。  町民が最新の情報に触れ、知識を手に入れてしまえば、黒百合町が異常な状態だと知られてしまう。古《いにしえ》より続く弓削家独裁を続けるためには、町外からの情報を遮断しなければならない。  同時に、弓削家の者だけは、最新の情報に精通していなければならない。古今東西、情報と知識の独占は、独裁者の支配強化の近道だ。  そのために設えられた最新の情報機器と情報網でもって、一華は久里子のすべてを調べあげた。  そしてその結果、一華はますます久里子に惹かれた。  彼女が転校してくる日を、一日千秋の思いで待つようになった。  とはいえ、久里子は高校2年生。せっかく転校してきても、1年と少しで卒業してしまう。  そうなると、彼女は町外に出ていってしまうだろう。町で生まれ、町外の世界を知らずに育った者の大半は高校卒業後も黒百合町に残るが、久里子はそうではない。 「だから……」  一華は、久里子に対する処遇を決めた。  転校早々難癖をつけ、自分と同じ中学2年生からのやり直しを命じ、卒業を3年間先延ばしにする。同時に、ふつうの中学生ではなく特別懲罰中学生の身分に落とし、徹底的に調教を施す。そうして自分に逆らえないようにして、卒業後も町内に留まらせる。  そのために、一華は周到に準備を進め、計画を実行に移した。  それが功を奏し、久里子調教の滑り出しは順調だ。 「明日からも徹底的に調教し、私から離れられないようにしてやる……」  収集した久里子の画像を表示したモニターを見つめながら、黒百合女子学園の絶対的支配者は、瞳を妖しく輝かせて唇の端を吊り上げた。 「ふう……」  自室のベッドの縁に腰かけ、私は小さくため息をついた。  あてがわれた新しいセーラー服は、私が自分で買ったものより、田舎くさくダサい代物だった。  襟と胸当て、袖のカフスに、白い3本線。それは同じだが、ウエストを絞ったりはしておらず、身頃は完全なずん胴。おまけにスカートも丈が長く、膝のはるか下まである。  その胸元に結ぶ三角スカーフは、高等部用のエンジではなく中学用の緑。靴はローファーではなく、純白のスニーカー。ワンポイントマークさえないソックスは、ハイソでもくるぶし丈でもない中途半端な長さ。ランドセル型の指定鞄も、ダサさの塊。その中の教科書類も、高校用は取り上げられ、中学のものに変えられている。  そんな姿で帰宅したにもかかわらず、母はふだんと同じように迎えてくれた。  そのことに安堵しつつ、彼女が黒百合町出身者であることを、あらためて思い出した。  そう、町外で生まれ育った私には異常に思える処分の数々は、ここではあたりまえのことなのだ。 「だとすれば……」  この先どうするべきか。私は、自分の行く末について考えてみる。  ひとつめの選択肢は、このまま黒百合女子学園で、中学2年生からやり直すこと。  でもそれは、耐えられそうにない。ただの中学生ならまだしも、私は特別懲罰中学生なのだ。 『特別懲罰中学生、それは1日24時間、1年365日、春夏冬の長期休暇のあいだも、風紀委員会の手で休みなく懲罰を与え続けられる存在』  一華の言葉を思い出すだけで、いたたまれない気持ちになって泣きたくなる。  ふたつめの選択肢は、警察か、あるいは然るべき機関に通報し、助けを求めること。  しかしそれは、ほぼ不可能だろう。  黒百合町では、携帯電話は使えない。固定電話も、役場の交換を通さないと市外にはかけられない。役場は弓削家の支配下だし、校長と同じように、駐在所の警官も弓削家の息がかかっているに違いない。  みっつめの選択肢は、町外に逃げて助けを求めること。  だがそれも、ふたつめと同じくらい困難だ。  黒百合町には、町外に通じる公共交通機関がない。町の四方を囲む山は険しく、その長い道のりを徒歩で行くことは不可能。クルマがないと、ここからは出られない。  耐えられても耐えられなくても、少なくとも4年と少しのあいだ、私はここで過ごすしかない。 「ふう……」  考えた末に、あらためて打つ手がないことを思い知り、もう一度ため息をついて立ち上がる。  そして向かうは、バスルームだ。 『おまえが知っているのは、中世の十字軍の兵士が、留守中の妻に浮気防止に取り付けたものだろう? 現代の貞操帯は、その頃よりはるかに進化したものだ。快適性も、堅牢さもな』  私が貞操帯を見てとまどったときの、一華の言葉。  彼女が言う『快適性』を、ここまでで私は実感していた。  たしかに、硬い金属が股間周りにみっちりと貼りついている違和感はある。  とはいえ、それは日差しが強い日に屋外に干し、ゴワゴワになったデニムを履いたときと同程度のレベル。スカートの下にデニムのショートパンツを穿いていると思えば、どうということはない。  それより気になるのは、貞操帯の奥の媚肉の火照り。  机に縛りつけられ、そこを一華に弄られて、不覚にも私は快感を得、性的に高められてしまった。  あまつさえ、得た快感のその先、元カレとの体験でも達しえなかった場所にたどり着くことを望んでしまった。  そのことに私は打ちひしがれたが、そのショックが時とともに薄れてくるにつれ、火照りを宿したまま封印された媚肉に意識が向くようになっていた。  そのせいで、一華の責めでびしょびしょにされたそこは、今もじっとりと濡れそぼっている。その滑《ぬめ》りが、今も新たな火照りを生んでいる。  それに焦《じ》れて、制服から部屋着に着替えるとき、貞操帯を脱ぐことはできないか。脱ぐことはできなくても、ずらして隙間を作れないか。横ベルトに手をかけて試してみた。  しかし、無駄なあがきだった。  私に着けられた貞操帯は、後ろは尾てい骨の上から前はおへその下にかけて、腰骨の上端に沿うように密着している。  そして腰骨の上は、体幹部ではもっとも肉と脂肪の薄い場所だ。貞操帯はその薄い肉と脂肪の弾力の範囲でしか、下にも横にも動かない。  そのうえ、それで縦ベルトにわずかに隙間は作れても、手を離すと元に戻ってしまう。  結果、貞操帯はみっちりと貼りついたまま。 『快適さは、より長期間にわたって着け続けられることの裏返し。堅牢さは……おまえの身をもって味わうがいい』  一華の言葉の意味を、私は身をもって実感していた。  おそらく、裏打ちのゴムを除けば、貞操帯本体の厚みははそれほどではないだろう。  しかし、使われているステンレス鋼は強靭だ。厚みは薄くても、うちにあるような道具では、けっして断ち切れない。救急隊や工事業者なら、それ用の道具を持っているかもしれないが、彼らが弓削一華が着けた貞操帯切断に手を貸すとは思えない。  それになにより赤の他人、しかも男性に、肌を晒して貞操帯を切断させるなどもってのほか。今のところ、私はそこまで羞恥心を失っていない。  とはいえ、お風呂に入ることで、少しだけさっぱりできた。  火照りが冷めたとは言えないが、石けんの泡とシャワーのお湯を流し込んで、そこを洗うことだけはできた。  そのことに胸をなでおろし、心身ともに疲れはてていた私は、ベッドに潜り込むとすぐ眠りに就いた。  仰向けに寝かされ、私は股間を責められていた。  昨日とは違い、縛られてはいない。  そして昨日とは違い、ちっとも気持ちよくならなかった。気持ちよくなるどころか、媚肉の火照りと焦燥感が強くなるばかり。 (どうして……)  気持ちよくなれないのか。  そこで、開いた両脚のあいだから、一華が顔を上げた。 「あたりまえだ。おまえは貞操帯を着けているんだから」  言われて、ハッとした。  そうだ。私は貞操帯を着けられていたんだ。硬い金属板の上から撫でてもさすっても、気持ちよくなれるわけがない。 「いやぁ……」  そうと気づいて残念な気持ちになり、貞操帯の横ベルトをつかむ。 「こんなのいやぁ……」  快感を求めて、つかんだベルトを揺すりたてる。  しかし、気持ちよくはなれなかった。媚肉から分泌されたてる粘液でヌルヌルになった金属板に擦られ、わずかには快感めいた感じにはなるが、得られたものはそれだけ。  火照りと焦燥感がいっそう強くなるだけで、肉体的にも精神的にも、満足するにはほど遠い。  それでも私は、快感を求めて貞操帯を揺すり続ける。  ただ一心不乱に揺すって、揺すって、揺すって、揺すって、揺すって、揺すって――。  そこで、夢から覚めた。  気づくと、布団のなかでほんとうに貞操帯を揺すっていた。  そして夢と同じように、媚肉の火照りと焦燥感を、私は抱えていた。 「やだ、私……」  誰にも見られていないはずなのに、恥ずかしくなって手を離す。  しかし、火照りと焦燥感は治らない。  治るどころか、快感になる一歩手前の刺激を失ってしまったせいで、よりいっそう強くなる。  そして火照りと焦燥感が羞恥心を凌駕するようになった頃、私は再び貞操帯に手を伸ばしていた。  とはいえ、いくら貞操帯を揺すっても、いっこうに快感は得られない。それは、揺する方向や角度を変えてみても同じこと。  そして、一度快感を求めてしまった私の行動は止まらない。  いったん揺することを止め、貞操帯の上から、媚肉があると思われる位置に触れてみる。  そこには、本体からわずかに浮かせて取り付けられた、小さな穴が無数に開けられた金属板。その奥には、貞操帯本体の溝から押し出され、はみ出した媚肉があるはず。  しかし、届かない。  薄くても頑丈なステンレス鋼に阻まれて、わずか数ミリ及ばない。  そこに触れられれば気持ちよくなれることがわかっているのに、けっして触れることはできない。  とはいえ、快感の予兆のような感覚だけは、わずかに強くなった。 (もう少し、強く刺激すれば……)  かすかな希望を抱き、金属板を指で掻く。  おしっこ排泄用として無数に開けられた小さな穴に、わずかに指の爪が引っかかり、そのかすかな振動が媚肉に伝わる。  火照りきり、敏感になった媚肉がその振動を感じ、疼き始める。  はっきりとした快感こそ得られないものの、疼きはどんどん大きくなり――。  トプン。  と、火照り疼く媚肉が、熱い蜜を吐き出した。  吐き出された蜜が、おしっこ排泄用の穴から溢れだす。溢れだして、私の指を濡らす。それだけで終わらず、貞操帯の金属板を伝って、お尻のほうへ――。  そこで、ハッとした。  私の性器は厳重に封印されているが、お尻の穴は丸くくり抜かれて露出している。  そこならば、直接手で触れることができる。  自身経験はないものの、お尻でも気持ちよくなれる人がいると知識として知っていた私は、愛液で濡れた手で、恐る恐るそこに触れてみる。  そのときである。 「……ぅ!?」  妖しい感覚が、ゾワリとそこに走った。 「な、なにこれ……?」  想像以上の感覚にとまどい、声をあげてもう一度。キュッとすぼまった襞を、愛液で濡れた指で撫でてみて――。 「……ふぁ!?」  今度ははっきりと快感を覚え、甘みを帯びた吐息を漏らしてしまった。  そうなると、もう止まらない。  先ほどのとまどいも忘れ、私はその行為に没頭していく。  実のところ、人は誰しも肛門周りに性感帯を持っている。お尻で気持ちよくなれるかどうかは、そこを含めた性感帯をきちんと開発できるかどうか。そしてそこで気持ちよくなることへの背徳感を、快楽への欲求が凌駕するかどうかにかかっている。  その点、自覚がないまま、私の下準備は充分にできていた。  貞操帯で封印された性器の火照りと疼きを抱え、私の肉体はふだんより敏感になっていた。全身性感帯のような状態に陥っていた。  同時に、どうすることもできない火照りと疼きに苛まれ、肛門性感の背徳感を抱く余裕すら失っていた。  そんな状態で、本能の赴くまま、私はお尻の穴を撫でさする。  中央に向かってすぼまる襞に直交するように、愛液にまみれた指を円を描くように動かす。 「んっ、ふっ、んっ……」  ゾワリ、ゾワリと大きくなっていく快感に、鼻に抜ける呼吸が荒くなっていく。 「んっ、んぅ、んぅん……」  荒い吐息に、甘みが混じり始める。  安普請の古い家、けっして声が漏れないよう、シーツの端を噛んで行為を続ける。  トプン、トプン。  どんどん高まる性感に、貞操帯のおしっこ排泄用の穴から、愛液が吐き出される。  吐き出された愛液がお尻のほうに垂れ、指をヌルヌルと潤滑する。  その妖しい感触が、ますます大きな快感を生む。 「んぅん、んぅ、んんっ……」  吐息に甘みとともに、艶が増す。  ゾワリゾワリと妖しい快感が、ますます大きくなる。 「んふぁ……」  つつましくすぼまった中央部を指で押すと、快感がゾクリと背すじを駆け抜けた。 「ふぁ……な、なにコレぇ……」  とまどいながらもさらなる快感を求め、さっきより強くもう一度。 「んぁあ……」  シーツを噛んでいても声が漏れるほど、大きい快感が駆け抜けた。  そして、もっと大きい快感を求め、今までで一番強く押したとき――。  ツプン。  いともあっけなく、指先がすぼまりをかき分けた。 「あぅん……」  思わず悦びの声を漏らしてしまうほどの快感。  その快感に驚き、慌てて指を引き抜いて――。 「あひいッ!?」  今までで一番大きい快感に襲われた。  肛門性感は挿入するときより抜くときに大きくなる。それは、そこを固形物が通過するとき『気持ちいい』という感覚を与え、快便を促す人体の仕組みによるもの。  だから、抜くときの快感が大きいのは当然のことなのだが、私はそのことを知らない。  知らないから、急に大きくなった快感に驚き、とまどってしまう。  大きすぎる快感が、急に恐ろしくなり、そこで快感を得ることへの背徳感が生まれてしまう。 「ダメ、こんなことをしては……」  火照りと疼きのせいで忘れていた背徳感が蘇り、自分に言い聞かせるようにつぶやいて、私はお尻の穴から手を離した。 「ククク……」  桐生久里子の私室にしかけた監視カメラの映像を見ながら、弓削一華は唇の端を吊り上げた。  ちなみに監視カメラのことは、久里子はもちろん彼女の母親も知らない。祖父母は一華の手の者が訪問したことは知っているが、彼らがなにをしたかまでは知らない。 「弓削一華さまの命を受けてまいりました」  工事業者がそう告げるだけで。 「お疲れさまです」  祖父母は彼らを久里子の部屋に案内した。 「今日我々が訪れたことは、ご家族のかたにもお話にならないように」  弓削家の支配を当然のこととして受け入れて――いや、受け入れている感覚すらないほど身に染みている祖父母は、帰りぎわ業者がそう告げるだけで、口をつぐんでいるだろう。  一華は、久里子もそんな黒百合町民にするつもりなのだ。  そのために、硬軟とり混ぜた調教を施すつもりなのだ。 「その調教の第一段階を、久里子は自分の手で達成してしまった……」  一華が言う調教の第一段階。それは、肛門性感の開発である。  貞操帯を着け、性器を支配したまま肛門性感を開発し、その虜にする。  それで一生貞操帯を着けたままでいいと思わせ、永遠に支配する。  問題は、いかにして肛門性感の開発を進めるか。  そう考えながら、久里子のようすを観察していたとき、彼女が貞操帯を揺すり始めた。  当然それで快感が得られるわけもなく、悶々とするさまを見てほくそ笑んでいると、途中から久里子が官能の高まりを示し始めた。  そこで、一華はピンときた。  久里子の性器は、貞操帯に封印されている。快感を得られる場所は、乳房と肛門のみ。  しかし、彼女の手は胸の位置にない。貞操帯を揺すっていたときと変わらず、股間にある。 「つまり、久里子は肛門の快感を覚えているということ……」  こうなると、明日からの調教もやりやすい。  そう確信しながら、一華はモニターの電源を落として床に就いた。  私は翌日からも通常の登校を許されず、朝、一般生徒が来る前に風紀委員会室の隣の懲罰室へに登校するよう命じられた。  それから始業時間まで、窓のない懲罰室で生徒手帳に書かれた校則の朗読。風紀委員に監視されながらそれを終えると、校長先生がやってくる。  勉強を教えに、ではない。校長先生が教えるのは、黒百合町と黒百合女子学園の歴史。それを弓削家がいかに偉大かという逸話を交えて、講義を受ける。  おそらく校長先生は、他の町民とは違う。心から弓削家に心酔しているわけではなく、その権力には抗えず、感情を押し殺して命じられた職務を淡々とこなしているだけだ。  あくまで印象にすぎないが、私はなんとなくそんな気がしていた。  ともあれ、校長先生の講義が終われば、お昼の給食。午後からは風紀委員が交代で現われ、午前の朗読と講義の復習と試験。試験の出来が悪いと、厳しい叱責。  ただし、初日のような破廉恥な責めを受けることはなかった。  叱責されるときも、ただ罵倒されたり、性質《たち》の悪い運動部の特訓めいたことをやらされるだけだった。  そして、ふつうの中学生の授業はいっさいない。  それは、この町では学園の校則を暗記し遵守すること。そして町の歴史を知り、弓削家が偉大な支配者だと認識することのほうが、勉強より大切ということなのだろう。  そのことに不安は残る。これから4年と少し、いっさい勉強させてもらえないとしたら、私は高校生としての学力を身につけられないだろう。高校2年の途中まではふつうに勉強していたが、いずれそれも忘れてしまうだろう。  もちろん大学にも行けないし、高卒の資格だって取得できるかどうかわからない。  それに毎日朗読と講義、復習と試験を繰り返すうち、それらは私に染みついてしまうだろう。いずれ、私もふつうの黒百合町民にされてしまうかもしれない。  そして、黒百合町から離れられなくなってしまう。  しかし家で自習しようにも、高校の教科書とノートは取り上げられている。参考書を買おうにも、弓削一族が経営する町で唯一書店には手を回され、私への販売は断られる。携帯電話もインターネットもつながらないから、通信教育を受けることもできない。  私は、自習する手段も奪われている。  いや、もし手段があったとしても、自習なんかできなかっただろう。  なぜなら、私は――。  夜、灯りを消して布団に潜り込むと、私は貞操帯を揺すり始める。  それだけで、媚肉が熱い蜜を吐き出し始める。  あれ以来、私の性感が冷めきることはなかった。  四六時中密着している貞操帯の金属板に媚肉を緩く刺激され、その中は常にしっとり潤っている。  そして貞操帯の金属板、ステンレス鋼はきわめて硬い。対してそれがみっちりと貼りつき、封印された私の肉は柔らかい。  そのため歩くだけで、立ったり座ったりするだけで、硬い金属板の中で濡れそぼった柔らかい肉が動く。濡れてヌルヌルになった肉が金属板に擦られ、妖しい感覚を生み続ける。  それは校則の朗読をしているときも、弓削家の偉大さを教え込むための町の歴史の講義を受けているときも、復習や試験のときも、冷めることはない。  家に帰ってお風呂に入ればサッパリして一瞬忘れられるが、寝る時間になる頃になると、またそこは熱く火照り始めている。  それは、私が布団の中で行う行為に夢中になっていたからでもあった。  その行為――貞操帯から露出しているお尻の穴を弄る行為を、期待してしまうからだった。  トプン。  と媚肉が吐き出した蜜が、おしっこ排泄用の小穴から溢れた。  それを指ですくい取り、すぼまりの襞にまぶす。 「うっ、ふぅん……」  それだけでゾワリと快感が広がり、甘い吐息が漏れた。  夜な夜なお尻弄りをするうち、私のすぼまりは、そこまで敏感になっていた。  もはや感度的には、第2の性器と言っても過言ではない。  その第2の性器を、愛液をまぶした指で撫でさする。  真ん中に向かってすぼまる襞に直行するように、円を描いてゆっくりと。 「んっ、ふぅん……」  ヌルヌルになった指で撫でるだけで、吐息に混じる甘みが増した。  気持ちいい。  そこにはっきりと快感を覚えながら、円の半径を縮めていく。 「ぅん、ふぁあ……」  すぼまりの中央を指が通過したとき、快感がさらに大きくなった。  腰から下に痺れるような快感が広がるなか、どんどん溢れてくる蜜を指に追加して、そこをキュッキュッと押す。  すごく、気持ちいい。  でも、私はもっと気持ちよくなる方法を知っている。  その方法を実行するため。 「ふぅん……」  緩く開いた口から息を吐き、そこの力を抜いて指を押し込む。  すると私の指が第1関節まで、お尻の穴に挿入された。 「はぅ、あうん……」  思いのほか大きい声が出てしまい、慌ててシーツの端をギュッと噛む。  それで声を抑えながら、挿入した指を食い締めるように、括約筋の力を入れたり抜いたり。  それだけで、背すじにゾクゾクと快感が駆け抜ける。 「んっ、く……ん」  艶めいてうめきながら、しばしその感触を愉しみ、指をさらに奥へ。  正直、体勢はつらい。異物を挿入したほうが、楽なことはわかっている。でも、指が気持ちいいのだ。  実は、お尻の側が丸く滑らかに成形された鉛筆を試してみた。挿入は楽だったが、細すぎるし滑らかすぎた。かといって凸凹があるものは中を傷めそうだし、太いものを挿入するのは怖い。  その点、自分の指なら太さもちょうどいいし、関節部分の凸凹もいい感じ。  以来、私の秘密の行為の道具は、自分の指に落ち着いた。  その指をめいっぱい深く挿入し、そして引き抜く。 「はふ、んっんっ……」  お尻の穴から広がる快感は、どんどん大きくなってくる。 「んっ、んっ、あっ……」  シーツを噛んでいても、艶めいた声が漏れてしまう。  お尻専用の道具があることも、私は知っている。それを使えばもっと気持ちよくなれることも、知識としてわかっている。  でも、ここ黒百合町には、それを手に入れる方法はない。私には、自分の指で満足するしかない。 (いえ……)  一瞬不埒なことを考えて、私は思い直した。  これ以上、お尻で気持ちよくなっちゃいけない。  元カレとのエッチのときより大きい快感を、お尻の穴で得ちゃいけない。  でないと、もし今の境遇から解放されるときが来ても、お尻の快感が忘れられなくなってしまいそうだ。 (あくまで、これは今だけの……貞操帯を着けられているときだけの……)  かりそめの行為であると自分に言い聞かせながらも、私はお尻の自慰に没頭していった。 『特別懲罰中学生、それは1日24時間、1年365日、春夏冬の長期休暇のあいだも、風紀委員会の手で休みなく懲罰を与え続けられる存在』  一華の言葉を証明するように、春休みに入ってからも、私は登校を命じられた。  ただし、それまでと違うことがあった。  投稿してすぐ、校則の朗読をさせられるのは同じ。しかしそれが終わっても、懲罰室に校長先生は現われなかった。  その代わり姿を見せたのは一華。 「転校以来校則の朗読を続けてきた成果を見せてもらおう」  そう言って、一華は1条1項からの暗唱を命じた。 「一言一句でも間違えたら、厳しい罰だぞ」 「そ、そんな……」  無茶な話である。3週間近く毎日朗読を続け、内容はほぼ記憶している。だが、一言一句間違えずに憶えるのは無理だ。 「なにが無茶なものか。黒百合女子学園の生徒は、中学1年の1学期で全文暗記する。おまえはすでに、並みの生徒より1年以上遅れた劣等生なのだぞ!」  本来高校2年生である私が、中学生のなかでも劣等生とされる屈辱。  その屈辱に、私は唇を噛んで耐えた。  叱責に納得したわけではない。初日のように、打ちひしがれていたからでもない。その言葉を投げかけたのが一華だったから、私は屈辱を受け入れた。  それは、校則朗読のあとに毎日行われた弓削家の偉大さを教える講義の成果。  いくら反発しようとしても、繰り返し聞かされた話は心に染み込む。そのせいで、私は弓削家による町の支配と弓削一華による私の支配を、無意識で受け入れかけていた。  そうして始めた校則の暗唱。案の定私は、途中で詰まってしまった。 「間違えたな、罰を与える」  待ってましたとばかりに、一華が縄を取り出した。  それだけで、私は初日以来2度めの緊縛を覚悟した。 「手を後ろに回せ」  そう言われ、支配のみならず緊縛も受け入れて、素直に従った。  腕を背中でコ形に組み、重ねた手首に、ふたつ折りにした縄を巻きつけられる。  ひと巻き、ふた巻き。そこでいったん縄を結ばれ、初日のときのような閂《かんぬき》の処置は施されずに、残った縄を胸に回される。  冬生地のセーラー服に包まれた乳房の上側に、ふた巻き。合計4本の縄目がぶ厚い布に食い込まされたところで、背中で縄留め。  さらに新しい縄を追加されて、乳房の下側にもふた巻き。それから今度は腕と胴体のあいだに閂の縄を施され、私は上半身を固められたように動けなくされた。  ふだんは身頃のずん胴の縫製と生地のぶ厚さのせいで、ほとんど目立たない乳房が、今は縄目にくびり出されて存在を主張している。  なんて、いやらしいんだろう。  本格的な緊縛を施された私は、なんと淫らな存在なのだろう。  ふだんはダサく田舎くさいセーラー服に隠されている私の肉体のいやらしさを思い知らされるとともに、その肉体に宿る精神の淫らさも思い出させられる。  ふつうの子なら排泄器官でしかないお尻の穴を、第2の性器に変えてしまっている私の本性を暴かれたようで、いたたまれない気持ちになる。  そしてその本性は、ほんとうに暴かれようとしていた。  一華はもう私の本性を知っているのだが、私は監視カメラの存在を知らない。 「机に伏せろ」  そう言われて、机の天板に上半身を押し付けられ、お尻を突き出した姿勢を取らされた。  背中の縄目をつかまれ、押さえつけられたまま、スカートをめくり上げられた。 「いやっ! やめて!」  そこで、私は反抗の意思を示した。  それは、貞操帯の奥の媚肉が、今もしっとりと潤っているから。そこから溢れた蜜が、支給された白いジュニアショーツに薄く染みを作っている自覚があったから。 「どうした? 急に抵抗し始めたな?」 「は、恥ずかしいから……」 「ただ恥ずかしいだけか?」 「そ、それは……」  言い合うあいだに、ショーツの上から貞操帯のおしっこ排泄孔のあたりを触られた。 「予想どおりだな。濡らしているじゃないか」  そのことを叱責するように指摘され、ショーツをずり下された。 「いやあッ!」  叫んで拒絶しても、許されるはずもない。 「お願いぃ……」  それは、懇願しても同じこと。 「うるさいぞ、静かにしろ!」  さらに一華は、拒絶や懇願すら許さなかった。 「ングッ!?」  口に、なにかをねじ込まれた。 「ンぐんんッ!?」  それが脱がされたショーツだと気づいたところで、吐き出せないよう口を縄で縛られた。  猿轡で言葉を奪われたこと以上に、そのことに屈辱感を感じたところで、顔になにかを被された。 (これは……!?)  ショーツだ。すぐにそのことに気づいた。 (私のものは、口の中。だとすれば……)  顔に被されたのは、一華が穿いていたショーツだ。 「ククク……」  私が気づいたことを感じ取った一華が、妖しく嗤ってショーツの股布が鼻に当たるよう位置を調整する。  そして鼻呼吸しかできない状態で、その状態を固定するよう、ショーツごと顔も縛りあげた。 「んぅう……」  私が低くうめいたのは、顔を縛られる苦しさだけが理由ではない。  息を吸い込むたび、ショーツの股布に染み込んだ一華の匂いが鼻腔に広がるからだ。  なんというみじめな状態だろう。  身体を厳重に縛りあげられ、口に自分のショーツをねじ込まれ。一華のショーツを被された顔まで緊縛され。スカートをめくり上げられたお尻を突き出すようにうつ伏せで押さえつけられて。 「ぅうう……」  匂いと屈辱にうめいていると、一華による玩弄が始まった。  媚肉は貞操帯で封印されたまま。彼女が狙う場所は、それから露出しているお尻の穴。  そして私は、お尻の穴を自分で開発してしまっている。 「んうっ!?」  自ら開発したお尻の穴に、貞操帯のおしっこ排泄孔からすくい取った愛液をまぶした指で触れられ、身体をピクンと震わせてしまった。 「んむうっ!?」  その指で襞を撫でられ、くぐもった艶声をあげてしまった。  そこで、新たに溢れた愛液をもう一度指ですくい取り、一華が私のお尻を責める。 「んっ、んぅんっ」  ヌルヌルの指での玩弄に、自ら性感を開発してしまったお尻が反応する。  ゾクゾクするような快感を生みながら、指の挿入を求めてヒクヒクと震える。 「ククク……もの欲しそうにヒクついて、そんなに挿入《い》れて欲しいのか?」  私の本能の求めを感じとり、一華がそう告げた次の瞬間。  ぬぷっ。  そんな感じで、一華の指が侵入してきた。  太い。でも痛くはない。  侵入してきた指が、入り口をこすりながら深く押し込まれた。  ゴツゴツしている。女の子の指じゃないかのように。  そこで、ハッとした。  一華は片手で私の背中の縄をつかみ、上半身を机に押しつけている。もう一方の手は、私の腰を抱くように回されている。  つまり、挿入されているのは、彼女の指ではない。  そして一華は今、腰を私のお尻に密着させている。  つまり、私のお尻に挿入されたものは――。 「ククク……ようやく気づいたか?」  そこで、一華が唇の端を吊り上げた。その表情は見えなかったが、彼女が楽しそうに嗤っていることは、手に取るようにわかった。 「おまえは今、私が腰に着けたアナルディルドで犯されている」  アナルディルド、すなわち肛門用模造ペニス。  それをいわゆるペニバンにした装具を身に着けた一華に、私はお尻の穴を犯されているのだ。  残酷な事実を突きつけられ愕然とするが、きつく縛りあげられた身では抗いようがない。ショーツの猿轡を嵌められて、拒絶も懇願もできない。  私にできるのは、鼻腔いっぱいに一華の匂いを感じながら、お尻の凌辱を受け入れることのみ。  そんなみじめな境遇でも、自ら開発してしまった肛門は、痺れるような快感を生み続ける。  一華が腰を突き込む。 「んむンんんっ」  ゴツゴツのディルドに感じるところを擦られて、目を剥いて喘ぐ。  一華が腰を引く。 「ングぅんんんッ!」  圧倒的な肛門性感に襲われて、ガクガクと膝を震わせる。 「どうした? みじめに尻穴を犯されて、気持ちいいのか!?」  ディルドペニバンでお尻を苛めながら、言葉でも一華が私を責める。  その残酷な言葉に、私は言い返すことができない。  猿轡で物理的に言い返せないだけじゃなく、事実だから言い返そうと思うことすらできない。 「尻穴を犯されて悦ぶ変態女め!」  朗読と講義で黒百合女子学園の校則と町の歴史が精神に染みついたように、繰り返される侮蔑の言葉も心に染み込む。 「おまえのような変態女は、私の庇護下でないと生きていけないぞ!」  心の表層では反発しつつも、奥底でそうかもしれないと思わせられていく。  それには、高まる肛門性感も影響していた。  お尻で高められ、肉を火照らされ、快感で酔わされ、蕩けさせられて。思考能力が低下した脳に、一華の言葉が刷り込まれる。理屈ではなく本能の部分で、そう思わせられていく。  それほどまでに、強烈な体験。  自ら開発してしまったお尻の快楽の源泉を一華に容赦なく掘り起こされ、かつてない大きな快感を私は得ていた。  気持ちいい。気持ちいい。お尻を犯されるの、気持ちいい。 「もう、おまえはこの快感から離れられないぞ!」  そうだ。そのとおりだ。私は肛門性感の虜になった。 「おまえは、この弓削一華の貞操帯尻穴奴隷。生涯貞操帯を着けたまま、私に尻穴を犯されて生きていくんだ!」  それでいい。それがいい。それが貞操帯尻穴奴隷には似合いの境遇だ。  襲い来る圧倒的な快感に、心の底からそう思わされたときである。 「ングぅんむむむッ!」  快感の奔流に押し流されて、ショーツ猿轡の口で歓喜の声をあげた。 「グぅんんんむむッ!」  顔に被されたショーツに染みついた、一華の匂いを肺にいっぱい吸い込んで、くぐもった艶声をあげていた。  肺に広がった一華の匂いが、毛細血管から血液に吸収され、全身を駆け巡る。身体の隅々まで一華の匂いに支配され、彼女のものにされてしまったことを実感する。 「イクのか!? 尻穴を犯されてイクのか!? イッてしまうと、もう戻れないぞ!」  全身を満たす匂いの主にそう宣告され、厳重緊縛されたまま、肛門凌辱で絶頂に達しようとしているわが身のみじめさを実感しながら――。 「ング(イク)ッ! ングングんっうう《イクイクイッちゃう》ーッ!」  ひときわ高く喘ぎ、身体をガクガクと震わせ、性の高みへとたどり着き――。  やがて私は、机の天板に突っ伏したまま、ガックリと力を抜いた。  1年あまりが過ぎた。  あれから――弓削一華の貞操帯尻穴奴隷に堕とされ、生涯貞操帯を着けたまま、お尻の穴を犯されて生きていくと覚悟した日の数日後、黒百合女子学園に学校を所管する役人が訪れた。学園だけではなく、黒百合町全体に官憲の手が入った。  春休みに入り、自宅に戻るという名目で町を離れた校長先生が、黒百合町の惨状を関係機関に訴え出たのだ。  校長先生は他の町民とは違い、心から弓削家に心酔しているわけではない。その権力には抗えず、感情を押し殺して命じられた職務を淡々とこなしているだけ。  私が抱いた印象は、当たっていた。  それでもなにごとも起きなければ自分を殺して淡々と職務をこなし、任期が終わるのを待って次の学校に赴任するつもりでいたが、弓削一華が暴走を始めた。  町外からの転校生――私を一華が欲望のままに責め苛むさまを見て、その行為に加担させられて、校長先生はついに決断した。  その結果、私は救い出された。  ことを荒だてたくない公的機関に言い含められ、その対価として援助を受け、都会の高校に転校。残り1年の高校生活をまっとうした。  そして、晴れて高校を卒業した私は、二度と袖を通すことはないと思っていた黒百合女子学園の制服に身を包み、とあるマンションの一室のインターホンを押す。  弓削家は、黒百合町における地盤を失った。とはいえ、一族にはそれまでの蓄財があった。その財産を元に、弓削一族は全国各地に散り散りとなり生きている。  そして、私が訪れたマンションの持ち主は、弓削一華。  私が貞操帯奴隷になり、生涯貞操帯を着けたまま、お尻を犯されて生きていくと覚悟した相手。  その女性《ひと》が、扉を開ける。  私を見て、一瞬目を剥き、すぐに唇の端を吊り上げて嗤う。 「鍵を……」  そして、そう言って広げられた手に、私はあれからずっと着け続けている貞操帯の鍵を置いた。 (了)

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