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翌日ー。

卓也は疑問に思っていた。


今日は怜奈の機嫌がとても悪い。

いつもニコニコしている感じの彼女が

今日は、とても険悪ムードなのだ。


卓也は戸惑う。

何故、怜奈の機嫌が悪いのだろうか。

自分が何かしてしまったのだろうか?


不安になり、あれこれ考えてみる。

だが、考えても、考えても思い当たる節はない。


朝ー。

いつものように大学で怜奈と会った卓也は

いつもの調子で、怜奈に挨拶をした。

しかし怜奈は蔑むような視線を卓也に投げかけ、

そしてそのまま立ち去ってしまったのだ。


食堂で出会った時もそうだった。

怜奈は何故か自分で持ってきたと思われるフルーツを

食べていた。


おいしそうに、

ペロペロとフルーツを舐めていた怜奈。


怜奈は果物があまり好きではなかったし、

そもそも、人前で行儀の悪い食べ方を

するような子ではない。


卓也は「フルーツダイエットか何かか?」と笑いながら

声をかけたが怜奈は嫌悪感を隠そうともせず

「話しかけないで!汚らわしい」と

卓也に侮蔑の言葉を投げかけた。


一体、何があったんだ・・・?


卓也は自分の記憶を探るが、どうしても自分が何かを

してしまったとは思えなかった。


ではなんだ?

何かプライベートでトラブルでもあったのか?

それとも…その…生理とかで気が立っているのか?


卓也は色々なことを考える。


それでもー

答えは、見つからない。


「ねぇ・・・」

背後から声がした。

驚いて振り向くとその声の主は怜奈だった。


「あ、怜奈・・・」

卓也が驚いていると、怜奈は卓也を睨みながら言った。


「今日、アンタの家に行っていい?」

卓也は違和感を感じた。


卓也の事を怜奈は

「塚本君」もしくは「卓也」と呼んでいた。


それなのにいきなり「アンタ」とは・・・?


「い・・・いいけど」

卓也は怜奈のいつもと違う雰囲気に

気圧されていた。


明らかに怒っているー。


そんな風に感じた。


実際は怒っているのではないのだが

そんなこと、知る由もない卓也は

ただただ、戸惑うことしかできなかった。


そういえば、

ちょうど今日は怜奈の誕生日だ。


一昨日約束をしたプレゼントを渡せば、

怜奈も機嫌を直してくれるかもしれない。


「・・・じゃあ、行くから」

それだけ言うと、怜奈は立ち去ろうとした


「ちょ、、怜奈!

 俺、何かしたか?

 何か怒ってるなら謝るから!」


卓也が叫ぶと

怜奈は振り向いて言った


「・・・私に話しかけるな!」

怜奈は激しい剣幕で卓也に言葉を投げかけた。


激しい口調ー

怒りの形相ー


今まで見たことのない怜奈の様子に

卓也はたじろぐ


「れ・・・怜奈・・・」

卓也は言葉すら失ってしまう。


だが、必死に口を開く。


「お…俺が…何かしたってことだよな…

 謝る、謝るから…

 まず、なんで怒ってるのか教えてくれよ…」


卓也が言うと、

怜奈は呟いた。


「あんたが、わたしの家族を殺したー」


「は!?」

卓也は思わず声を上げてしまう。


怜奈の家族を殺した!?

なんだそれは?

意味が分からない。


しかし、怜奈は憎しみに満ちた目で卓也を見ると

そのまま立ち去ってしまった。


「・・・・・・な、、、何だ・・・」


・・・・・・・・・・・・・・・


その夜。


卓也の家に怜奈がやってきた。


「・・・怜奈・・・まだ怒ってるのか?

 なぁ・・・本当にごめんってば」

卓也が言う。


怜奈の格好も気になった。

なんだか、動きやすさを重視しているのか

露出度の高い格好をしているのだ。


怜奈は、そういう格好は苦手…

というか、嫌っていたような気がする。


「・・・・・・アンタさ・・・」

怜奈が口を開きかける。


その時だった。

クモが壁を這っているのが卓也の目に入った。


卓也は

「お、このやろ~」と笑いながら

クモをつぶそうと近づいていった。


いつもの調子でー。


そして

クモを潰そうと狙いを定めたその時だった。


背後から突然 頭をつかまれ、

そのまま壁に叩きつけられた。


卓也は激しい痛みと同時に何が起こったのか

理解できなかった


「テメェ・・・いつまでも私たちが黙ってると

 思ってるんじゃねぇよ!」


背後から怜奈の声がした。


恐ろしく乱暴で、怜奈が絶対に出さなそうな

キツイ口調で話している。


「れ・・・れい・・な?」

卓也は言葉を失った。


痛みと、恐怖ー

何が起きているのか、正直、まったくわからない。


なんとか振り向くと怜奈が怒りをにじませていた。


「・・・な、何だよ 急に」

すると怜奈が胸倉をつかんできた


「テメェ、調子に乗ってんじゃねぇぞ?」

怜奈の目は正気ではない。


「ど・・・どうしたんだよ!怜奈!」

卓也が怜奈を呼びかける。


しかし怜奈な馬鹿にしたような笑みを浮かべた


「馬鹿な人間だ・・・」

その言葉に卓也は違和感を感じた


「いま、、何て・・・?」

そう尋ねると

怜奈は邪悪な笑みを浮かべた。


そして、何かが怜奈の耳から姿を現した。


金色と銀色に光る小さいゴキブリのような虫だった。


「なっ・・・」

異様な光景に卓也は恐怖する。


しかし怜奈は全く気にする様子もなく

笑っている。


怜奈の目がうつろになる。


「怜奈・・・?」


すると、怜奈がぎこちない様子で話し始めた


「私は・・・クィーン・・・。

 進化を遂げた昆虫だ・・・


 お前が我々の仲間を殺し続けた・・・

 だから・・・私は報復のために・・・

 お前の彼女の体を頂いた・・・。


 人間など・・・私の手にかかれば・・・

 カンタンに支配できる・・・」


怜奈はうつろな目のまま機械的にそう言った。

がくがくと身体が痙攣している。


「な・・・何の冗談だよ怜奈」

卓也が金色の虫の方に近づく。


怜奈に何が起きているー?

普通じゃない。


それに、あんな金色に輝くような

変な虫…見たことがない。


卓也が、怜奈のほうを見る。


怜奈の耳から糸のようなものでぶら下がっている。


「---……」


卓也がその虫に触れようとすると、

怜奈が動きだし、卓也のみぞおちを蹴り飛ばした


「触れるな・・・無礼者」

怜奈は無表情のままそう言った。


「お、、、おい!しっかりしろよ怜奈!」

卓也は怜奈に呼びかけた。


まさかー

そんなはずはー?

あり得るはずがないー


怜奈はー

あの虫に乗っ取られて…?


「フフ・・・大切なモノを奪われる苦しみ・・・

 アンタも味わいなさい・・・」

そう言うと、虫は再び怜奈の耳の中に入っていってしまった。


怜奈が生気を取り戻す。


「どう?状況は理解できた?」

怜奈はそう言うと、ほほ笑む。


「・・・・・・お、、おい、、どうすれば怜奈を返してくれるんだ」


怜奈は普通じゃない。

おそらく本当にあの虫が怜奈を・・・。


「・・・どうすれば?馬鹿ね。

 私はもう怜奈じゃない。

 クィーンになったの。


 もうこの体は返さない」


怜奈はそう言うと、卓也に近づいてきた。


「この女は、永遠に心の奥底に閉じ込めておく。

 もう表には出て来れない。永遠に」


怜奈は卓也を睨みつけながらそう言った。


「そ…そんな…」

唖然とする卓也ー


怜奈は笑いながら、さっき卓也が潰そうとした

蜘蛛を優しく手に乗せると

うっとりした表情で不気味にほほ笑んだー…。


③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


昆虫の逆襲リメイク第2弾でした~!

私の初期の作品なので、

1話あたりが短く、リメイクして長くなっても

まだまだ短いですネ…

(短いので、100円プランでも読めるようにしています)


このころは、今よりシンプルなお話が

多かったな~☆なんて思いながら

リメイクしています!


今日もありがとうございました!!

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