Home Artists Posts Import Register

Content

”自分は元々男だったー”

そう語る謎のOLー”深雪”ー。


記憶を失い、行く当てもない彼女を一時的に保護した修武は、

”深雪”に振り回されながらも、

色々彼女のことを気遣いながら生活を続けていくー。


がー、修武は

数日前に起きた事件の被害者の名前が同じ”深雪”であることに

気付いてー…?


★前回はこちら↓★

<女体化>男だったことしか覚えていない②~同居~

ある日の帰り道、会社員の修武は 路上で倒れているOLらしき人物を発見したー。 その人物を助けた修武。 しかし、彼女は ”自分が男だったことしか覚えていない”のだというー。 ひとまず、独身で一人暮らしの修武は 彼女を家で匿うことにしたものの…? ☆前回はこちら↓☆ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「ーーす...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


”元交際相手の同僚の男に刺されて

 昏睡状態だった会社員の女性・中谷 深雪さんの死亡が

 先ほど確認された模様ですー。


そんなニュースを見つめながら、修武は表情を歪めるー。


「ーーーー」

今、お風呂に入っている”元男”だと言っている

”深雪”と、名前が同じであることに気付いた修武は

困惑の表情を浮かべながら、

もう一度テレビを見つめるー。


”死亡” 中谷 深雪さんー

と、確かに表示されているー。


「ーーー…深雪さんは生きてるしー、

 この人とは関係ないよなー…?」

修武は、そう呟くー。


そもそも、顔も違うし、

今、修武が保護している”深雪”は、

生きているー。


死亡と報道されている以上、

この”中谷 深雪”という人は死んだのだろうー。


たまたま名前が一致しているだけで、

彼女はきっと関係ないー。

関係ないはずだー。


「ーーあのー」


「ーー!?!?!?」

背後から、”深雪”の声がしてビクッとして振り返ると、

修武が考え込んでいる間に、お風呂から上がって戻ってきた

”深雪”の姿があったー。


「ーーーど、どうかしましたかー?」

修武の反応に”深雪”はそう言うと、

「ーい、いやー…何でもないですー」と、修武は誤魔化すように

言葉を口にしてから、

「ーーお風呂はー、問題なかったですか?」と、

そう言葉を吐き出したー。


「ーはいー僕、男だったんでー

 なんか洗ってるだけでドキドキしちゃいましたけどー…

 お風呂自体は気持ち良かったですー」

”深雪”の言葉に、苦笑いする修武ー。


「ーでも、女性って僕たち男より、お風呂も大変ですねー。

 髪、長いと特にー」


髪を触りながら”深雪”がそう言うと、

「ーーはははー」と、修武は苦笑いしながら

「ー俺が会った時には”深雪”さんは、もう今の状態だったのでー、

 深雪さんが元男っていうのは、未だに信じられないですけどー」と、

そう言葉を口にしたー。


「ーえへへー確かにそれもそうですねー。

 でも、いつか急に男に戻るかもしれませんよ?」

”深雪”が悪戯っぽく笑うと、

修武も笑いながら、意を決して言葉を口にしたー。


「ーそういえば”中谷”って人、知ってるー?」

とー。


「ーー…中谷?」

”深雪”が不思議そうな表情を浮かべるー。


「ーーーーーーどこかで、聞いたことあるようなー

 ないようなー」

”深雪”がそう言葉を口にしながら考え込むー。


”深雪”という名前は

”自分が元男だったこと以外、覚えていない”彼女が

修武から”呼ぶ名前が欲しい”と言われて

咄嗟に考えた名前だー。


だが、記憶喪失の彼女が最初に浮かんだ名前ー、ということは

そこに何か鍵が眠っている可能性は十分にあるー。


「ーー今、深雪さんがお風呂に入っている間に

 テレビを見てたんですけどー、そしたらー」

修武はそう言いながら、スマホで先ほどの事件の

ニュースを検索すると、

「お、あった」と、呟きながら”深雪”にそれを見せ付けたー。


”元交際相手の同僚の男に刺されて死亡”

その記事には、被害者である”中谷 深雪”の名前と顔写真が

載っているー。


「ーーーたまたまだと思うんですけどー

 ”深雪”さんと名前が同じですしー、

 ーーー何か、失った記憶と関係あったりしませんかー?」


修武がそう確認するー


”深雪”は「ちょっと見てもいいですか?」と、

修武のスマホを受け取ると、

じっくりその記事を見つめ始めたー


「ーーーーーーーーーーー」

”深雪”は、それを読みながら

「ー”深雪”って言う名前はーあの時、

 適当に思いついた名前なだけですけどー…」と、

そう言いながら、修武の方を見つめるー。


「ー記憶を失う前の僕も、このニュースを見ていたとか?」

”深雪”がそう呟くー。


が、それはないー。

何故なら、中谷 深雪という名前が報じられ始めたのは

昏睡状態だった彼女が死亡した今日からだからだー。


確か、昨日の時点ではまだ本名が出ていなかったー。


そのため、目の前にいる”深雪”と名乗る子が

”直前ニュースを見たりしていたから”「深雪」という名前が

浮かんで来てー、ということはあり得ないー。

昨日、”深雪”と名乗った時点では

その名前は報じられていなかったのだからー。


「ーーーーーー」

”深雪”は、そのニュースを見つめながら

何か引っかかるようなものを感じながらも、

思い出せずにいたー。


”ーーー僕ーー…やっぱ女なの…かな?”

そんな不安を覚えるー。


どうしても”自分が男だった”気がするし、

実際にトイレにしても、お風呂にしても、

何をするにしても、”男”のやり方しか分からないー。

だから、自分は男だと思うー。


けれどー…


「ーーーごめんなさいー。なんだか気分がー」

”深雪”がそう言うと、修武は少し慌てた様子で

「あー、こっちこそすみませんー

 慌てず、ゆっくりでいいですからー」と、そう言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー。


「ーーおはようございます~~!矢島さん!」


朝ー

”深雪”がそう言葉を口にしながら、

修武を起こすー。


「ーーあははーおはようー」

修武は、戸惑いの表情を浮かべながらそう言葉を口にすると、

「ーあ、いやー、ずっと独身だったからこういうの慣れなくてー」

と、そう説明したー


「確かにそれもそうですねー

 あ、お世話になってばかりじゃ申し訳ないので

 朝ごはん作って見ました!」


”深雪”がそう言いながら

作った目玉焼きを披露するー


がーーー


お世辞にも、上手ではないー。

修武が作った方が、綺麗に作れるかもしれないぐらいだー。


「ーー僕、料理は下手だったみたいですー」

”深雪”がそう言うと、修武は苦笑いしたー。


今日もー、

昨日と同じように修武が仕事に行っている間、

”深雪”はお出かけしながら仕事終わりを待つことに決め、

二人は家の外へと出かけていくー。


会社に到着すると、早速、

「昨日の”お友達”どういう関係だよー?」と、

同期の和夫から揶揄われながら、

今日も1日を始めていくー。


そんな中ーーー

街中を歩いていた”深雪”は、家電量販店の前で

”ニュース”を偶然見つめながら立ち止まったー。


元交際相手の男に、

殺害された中谷 深雪ー


その事件が報道されているー。


そしてーーー


「ーーーーー!!!!!!!!!」

”深雪”は、ある映像を見て

目を見開くー。


「ーーー僕はーーーー」

”深雪”は瞳を震わせると、少しだけ笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーへへへ…じゃあ、またあの”友達”によろしくなー」

同期の和夫に揶揄われながら、会社から出てきた

修武は、会社から少し離れた場所で”深雪”と合流するー。


和夫に揶揄われるのは何となく恥ずかしい気持ちもあったものの、

ずっと独身だった修武からすると、

何となく、今の状況がちょっぴり楽しいのも事実だったー。


「ーあ、矢島さんー」

”深雪”が微笑みながら手を挙げるー。


「ーーすみませんー。待たせてしまいましたか?」

修武がそう言うと、”深雪”は「いえー。僕も色々なお店を見たりして

のんびりしてたのでー」と、そう言葉を口にしたー。


家に戻るとー、昨日と同じように”深雪”との時間を過ごすー。


と、言っても恋人同士ではないし、

修武自身も、何か変なことをするつもりはないー。

”健全な時間”が、流れていくー。


がー、今日は昨日よりも何だか”深雪”が落ち着いたような感じーー

と、でも言えば良いのだろうか。

ほんの少しだけ、何か違和感のようなものを感じたー。


「何か、思い出せましたか?」

修武が言うと、”深雪”は、

「いえー…僕は元々男だったぐらいしかー」と、そう言葉を口にしながら

少しだけ笑うー。


「ーーでも、こういうのってある日急に思い出したりも

 しますよねー?きっとー」

”深雪”のそんな言葉に、修武は「ーはは、そうですねー」と、

笑いながら頷くと、

もう、夜も遅いことに気付いて、そのまま就寝準備に入るのだったー。


明日も仕事がある修武は、”深雪”に「おやすみなさい」と、

言葉を口にして、そのまま眠りにつくー。


眠りについた修武を見つめながら

”深雪”は、少しだけ笑うと、静かに呟いたー


「ーー僕、全部思い出しましたよー」

とー。


”深雪”は笑みを浮かべながらゆっくりと歩き出すー。


昨日も、モヤモヤしたー。

けれど、今日、家電量販店の前で”ニュース”を見て確信したー。


”僕はーーー”


中谷 深雪ーーー


ーーーーーを、

殺した”元カレ”だとー。


「ーーーーー」

彼女だった深雪と喧嘩別れした彼は、

中谷 深雪の命を奪ったー。


だがー、彼は事前に”逃亡の準備”をしていたー。

それが、勤務先である研究施設から手に入れた

”性別転換の薬”ー。


まだ開発中だったその薬を手にー、

元カノ・深雪の命を奪い、

その直後、逃亡する最中に自らそれを飲んだのだー。


だがー、開発中のその薬は予期せぬ副作用を引き起こしー、

急激に体調を崩して、女体化した状態で

路上で倒れ込んでしまったー。

しかも、記憶も副作用で一時的に失ってしまったー。


その状態をーー…

修武が偶然発見したのだー。


男物のスーツを着ていたのは、女体化直後だったからー。

名前を修武から聞かれて、咄嗟に思いついたのが”深雪”だったのは、

例え記憶を失っていても、

元カノの名前が強烈に、潜在意識の中に残っていたからー。


「ーー僕は、犯罪者でしたー」

”深雪”はクスッと笑いながら笑みを浮かべるー。


「ーーー犯罪者の僕なんかを助けてくれるなんてー

 知らなかったとは言え、とんだお人好しですねー?」

”深雪”はクスクスと笑うと、台所にたどり着き、

周囲を見渡したー。


そしてー、

台所の”包丁”を手にすると、

何も知らないまま眠っている修武の方を見つめながら

ニヤリと笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌朝ー。


「ーーーーーーーー」

修武が目を覚ますー。


少し眠そうにしながら、

毎朝、セットしているスマホのアラームを止めると、

周囲を見渡したー。


そこにー、”深雪”の姿はないー。


「ーーー…深雪さん?」

修武が不思議そうに声を発するー。

だが、”深雪”からの返事はなくー、

代わりに、机の上に手紙が置かれていたー。


”矢島さんー、

 昨夜、無事に記憶を思い出すことができましたー。


 短い間でしたが、お世話になりましたー。”


淡々とした、短い手紙ー。

その字はとても”女性”とは思えないような、

妙に癖のある汚い字だったー。


「ーー…ーーそっか、思い出せたんだなー…よかったー」

修武は、そう呟きながら

その手紙の下の方に書かれた”続き”の言葉を見つめるー。


”ーそういえば、お仕事が忙しいのだと思いますが

 台所で気になったところがあるので、

 お礼と言っては何ですが、色々綺麗にしておきましたー。


 包丁も昨日の朝に野菜を切ったとき、随分痛んでいる様子だったので

 ちょっとだけ研いでおきましたー

 少しでも、役に立てればうれしいです”


”深雪”から、そんなメッセージも添えられていたー。


台所の方を見つめると、

見るからに綺麗になっているのが分かりー、

修武は少しだけ笑うー。


”最後に、手紙にはこう書かれていたー。


”僕の正体ですがー、

 僕は”いい人間じゃなかった”とだけ言っておきますー。

 だから、僕のことは忘れて下さい。

 それでは”


その言葉に、”深雪”がどんな人間だか知らない修武は

少しだけ寂しそうにしながらー、

「でもまぁーー…記憶が戻ったなら良かったよー」と、

静かにそう呟いたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーーー」

修武の家から立ち去り、一人街中を歩いていた”深雪”は

笑みを浮かべるー。


「僕は逃亡犯ですからねー。

 矢島さんみたいな”お人好し”と一緒にいるわけにはいきませんー。

 僕はただの殺人犯ー。

 それらしく、罪を背負いながら生きていきますよー」


”深雪”は、そう言葉を口にすると、

自分の身体を見つめるー。


自分の犯した罪を正当化するつもりはないー。

同情されるつもりもないー。

罪は罪。

自分でもそれはよく理解しているー。


弁明もしない。


だがー、彼は捕まる気もなかったー。


「ーーーもう会うことはないでしょうー。

 さようならー」


”深雪”は、修武の家がある方向を向きながら

静かにそう呟くと、

そのまま人混みの中に姿を消したー。


彼女がその後、どこで何をしているのかはー、

誰にも分らないー…。


そう、本人以外にはー。



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


最終回でした~~!☆


記憶喪失の”女体化した”元男子の正体は、

①の時から、たまに描写されていた

事件の犯人の方でした~!☆


本当のことを知らないままの方が

”深雪”を助けようとした修武にとっては

いいのかもしれませんネ~!


お読み下さりありがとうございました~!☆

Files

Comments

miss

包丁も機能の朝に←昨日

無名

missさま~!ありがとうございます~!! 早速直しておきますネ~~!☆!