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Dr間宮のミスの穴埋めをしたことで、

Dr間宮にオペの現場を見られてしまった麗(信一郎)。


しかし、自分がミスをして”ナース”の麗に手術を代わって

もらったなどという屈辱的なことを周囲に知られたくないDr間宮は

そのことを黙っていたー。


そんなある日、麗(信一郎)は、信一郎(麗)の前で

突然、倒れてしまうー。


すぐにオペをしないと、麗(信一郎)の命が危ないー。


信一郎(麗)は、意を決して”わたしが先生を助けますー”と、

麗(信一郎)のオペを開始するもー?


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>ドジなナースの本当の素顔④~危機~

天才外科医とドジなナース。 入れ替わってしまった二人は、その状態のまま 患者の命を救うために奔走していたー。 そんなある日ー、プライドの高い同僚外科医・間宮が、 病院長の娘・明日香のオペでミスを犯し、 明日香が危篤状態に陥ってしまうー。 ”間宮では対処できない”ー そう考えた麗(信一郎)はやむを得ず、その...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーすみませんー すみませんー」

額を汗で濡らしながら、そう言葉を口にする信一郎(麗)ー


麗は、信一郎と入れ替わったあとに、必死に勉強を重ねー、

十分な”知識”を身に着けていたー。

そして、信一郎の”身体”には天才外科医としてのスキルが

まだ、染みついているー。


けれどー…

それでもー、どんなに知識があっても”麗”には経験がなかったー。


動揺が膨らみ、手術にも必要以上に時間を要していくー。


”達川先生ー…やっぱり、わたしじゃー…”

信一郎(麗)は弱気になって、手術台に横たわる

麗(信一郎)を見つめるー。


このままじゃ、先生が死んじゃうー

このままじゃー、”わたしの身体”も死んじゃうー。


”わたしが、先生と、わたし自身を殺すーー…?”


そう思っただけで、身体がガクガクと震えるー。


「ーー(もう、限界ー)」

助手の聡美は、意を決して”何か”を口にしようとしたその時だったー。


オペ室の入口が開きーーー

天才外科医である信一郎を敵視している

無駄にプライドの高い外科医ー…Dr間宮が中に入って来たー。


「ーー間宮先生?」

助手の聡美が、困惑した表情で言うと、

信一郎(麗)は、震える手を押さえて、

「間宮先生ー今は手術中ですー何か御用ですか?」と、

必死に”天才外科医・信一郎”のフリをしようとするー。


「ーーー達川ー」

Dr間宮は、手術台に横たわる麗(信一郎)のほうを見つめながら

そう言葉を口にするー。


「ーー私はお前が嫌いだったよー。

 それまで、うちの病院のトップだった私の立場を、

 お前はあっという間に奪い取って行ったー。」


Dr間宮が、そう呟くー。


信一郎(麗)は表情を歪めながら、

「ーーーーそれが、何かー?」と、そう言葉を口にするー。


身体はまだ小刻みに震えー、

”麗(信一郎)”を助けることができないー、

そんな恐怖に怯えている。


「ーーでもー

 これじゃ”勝ち逃げ”だー。

 達川ー。勝ち逃げは許さないぞ」


Dr間宮はそう言うと、信一郎(麗)の方を見つめたー。


「ーーーーお前はーーー誰だ?」


この前ー、”麗(信一郎)”に問いかけた質問を、

今度は信一郎(麗)に投げかけるー。


「ーーーーわ、ーーーわたーー…

 お、俺はーーー」


信一郎(麗)は、戸惑いながら言葉を口にするー。


助手の健介と聡美がその様子を、険しい表情で見つめていると

Dr間宮は口を開いたー。


「ーーそうかー」


そう頷くと、Dr間宮は、それ以上聞かなかったー。


「ーーこの私も手伝ってやるー。 

 この生意気な小娘のオペを続けるぞー」


Dr間宮は、そう言うと、

手術台の麗(信一郎)を見つめるー。


「ーーー…ま、間宮先生ー?」

信一郎(麗)は驚くー。


プライドが高く、嫌味も多いDr間宮ー。

その間宮が、こうして助けてくれるなどとは夢にも

思っていなかったからだー。


「ーーどうしたー?

 ーーお前はー”天才外科医”達川信一郎だろー?


 なら、その力を見せて見ろー」


Dr間宮の言葉に、心が折れかけていた信一郎(麗)は

涙を拭くと、「ーーはいー」と、頷いて、

Dr間宮の力を得ながら、再び麗(信一郎)の手術を再開したー。


「ーーここは私に任せろー

 達川先生は、そっちを頼むー」


Dr間宮も、性格に難があるとは言え、

冷静にオペをすれば、その実力は確かなものー。


信一郎(麗)の経験不足を補いつつ、

オペは順調に進行していくーーー


そしてーーー


「ーーー見事だったー」

オペが無事に終わり、Dr間宮がそう言葉を口にすると、

信一郎(麗)は、「ありがとうございますー」と、

言葉を口にした直後ー、その場にへなへなと座り込んでしまうー。


”明らかに”天才外科医・信一郎の振る舞いとは異なる振る舞いー。


が、そんな振る舞いを見ても、Dr間宮は何も言わずに

少しだけ笑うと、

眠っている麗(信一郎)の方を見つめるー。


”「間宮先生だって、腕前は確かなものなんですからー

 プライドと、自己顕示欲ー

 そういう邪念を捨てれば、いい先生になれると思いますよ」”


麗(信一郎)に言われた言葉を頭の中で思い出しながら

今一度、少しだけ笑うと、


”いつか、私の方が上だと、思い知らせてやるからなー

 だからー、死ぬなよ”


とー、そう内心で呟いて、そのままオペ室の外へと立ち去って行ったー。


「ーーー麗ちゃんー。お疲れ様ー」

へなへなと座り込んだ麗にそう声をかける聡美ー。


「ーーお疲れ様!」

助手の健介もそう言葉を口にすると、

信一郎(麗)は、安堵の表情を浮かべながら頷いたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ーーー


「ーーーーー」

麗(信一郎)が険しい表情で目を覚ますー。


「ーーーーーーーおはよ」

そんな、優しい言葉が聞こえてきて、

麗(信一郎)がその声のした方向を見つめると、

そこには助手の聡美の姿があったー。


「ーーー今、夜だけど」

聡美が眠そうにしながら、そう微笑むのを見て、

麗(信一郎)は「ーずっと、ここにいたのかー?」と、

そう言葉を口にするー。


聡美は「言ったでしょ?わたしはあんたのこと、好きだからー」と、

いつものように隠すことなくそう言葉を口にすると、

麗(信一郎)は思わず笑うー。


「ーー昔から、バカだな、お前はー」

とー。


「ー何よ」

聡美が少し拗ねた様子でそう言葉を口にすると、

麗(信一郎)は「でもーありがとなー」と、そう言葉を口にしながら、

横たわったまま、聡美の頭を優しく撫でたー。


「ーー年下の子に撫でられるなんてー」

聡美は、”麗”の身体のことを口にすると、少しだけ笑いながら

「ーー手術、”麗ちゃん”がやり遂げたよー」と、そう言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌朝ー


「ー先生~~~!よかったです~~~!」

涙目で信一郎(麗)が、意識を取り戻した麗(信一郎)に抱き着くー


「おいっ!バカ!

 ナースに抱き着く外科医とか、大問題になるぞ!」

麗(信一郎)が慌ててそう言うと、

信一郎(麗)は「ふぁっ!?す、すみませんー!」と、慌てて

そう言葉を口にしたー。


「ーったく、お前はー」

麗(信一郎)はすっかり元気そうに、そんな言葉を口にすると、

「手術、お前がやってくれたんだってなー」と、

感心した様子で言うー。


「ーーいえ…途中からは間宮先生も手伝ってくれてー」

信一郎(麗)が照れくさそうに言うー。


「ーそうかー」

麗(信一郎)は、そんな言葉を口にすると、

「なぁ、倉坂ー」と、意を決したようにある言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーー少し、寂しくなるわねー…」


1か月後ー。


麗(信一郎)は、病院を退職することに決めー、

今日が、最後の出勤日だったー。


看護師長の初恵は、麗(信一郎)に色々と文句を言いながらも、

いざ、いなくなるとなると、寂しそうにしていたー。


「ーー色々ご迷惑をおかけしましたー」

麗(信一郎)がそう言葉を口にすると、

初恵は「戻って来たくなったら、いつでも戻って来なさいー」と、

そう言葉を口にしたー。


「ーーはい!ありがとうございましたー」

麗(信一郎)は、花束を受け取って、そのまま頭を下げると、

ナースステーションから、更衣室に向かって歩き出そうとするー。


”わざと”躓きそうになって”ドジっぷりを最後まで見せ付ける”

麗(信一郎)ー。


”ーーーーっ…バカを演じてると俺まで本当にバカになりそうだー”


”今の”躓きはわざとではなく、本気で躓いたー。


麗(信一郎)は心の中で

”このままじゃ、俺まで馬鹿になっちまうー”と、苦笑いしながら、

そのまま着替えを終えて、病院の外へと向かうー。


病院の外では、信一郎(麗)が待ち構えていたー。


「ーーーーー先生ー」

信一郎(麗)がそう言葉を口にすると、

「そんな顔をするなー」と、

麗(信一郎)は言葉を口にするー。


倒れたあとー…

麗(信一郎)は、自分を救ってくれたのが、信一郎(麗)だと聞き、

ある決断をしていたー。


”今”の状況をずっと続けるのは難しいー

このまま続ければ、いずれ”麗”がオペを行っていることは

確実にバレるー。


そうなれば、麗にも病院にも迷惑がかかるー。


そしてーー

既に”信一郎(麗)”は十分なスキルを身に着けているー。


”完全に”とは言わないまでも、

あの高難易度の手術を、Dr間宮のサポートがあったとは言え、

こなしたのだー。


もうー、信一郎(麗)は、外科医だー。

麗が一生懸命勉強した知識と、”信一郎の身体”ー。

それがあれば、外科医としてやっていけるー。


だからこそー……

病院を離れる決断をしたー

”ここ”は信一郎になった麗に任せるー。


目を覚ましたあの日、

麗(信一郎)は信一郎(麗)にその考えを相談しー、

そして、今日を迎えたー。


「ーーお前の身体でも、堂々とオペができるようにー、

 出直してくるだけだー。


 それとー、ここで今の生活をしてたら

 元に戻る方法を探す時間もなかなか取れないからなー」


麗(信一郎)は、笑いながらそう言い放つー。


麗(信一郎)は、いったん病院を離れて

医師免許を麗の身体で、ちゃんと取得して、

堂々とオペができるようになって、

この病院へと戻って来るつもりだー


もちろん、可能性が低いとは言え、元に戻る方法を見つけることも

諦めないー。

医師免許の前に、先にそこにたどり着くことができれば、

それはそれでいいー。


「ーーーそれまで、患者はお前に任せるー。

 大丈夫ー。お前はもう、ちゃんと人を救えるー」


麗(信一郎)が、そう言い放つと

信一郎(麗)は少しだけ不安そうに微笑むー。


「ーー分かりましたー。わたし、頑張りますー」

信一郎(麗)のその言葉に、

麗(信一郎)は笑うと、

「もうお前はドジなナースなんかじゃないー。

 立派なーーー”先生”だー」

と、そう言葉を口にすると、

「ーー俺が”天才女医”として戻って来るまでー、

 ここは任せたぞ」と、

そんな言葉を付け加えたー。


「ーーわたしが天才女医だなんて~

 えへへへ…照れちゃいます」

信一郎(麗)は、そんな風に顔を赤らめながら笑うと、

「ーふっー」と、麗(信一郎)は、少しだけ笑って

そのまま信一郎(麗)に背を向けたー。


病院から立ち去っていく麗(信一郎)ー


今は一旦ー、この病院を去るー。

でも、いつか、また戻って来るー


必ずー


「ーー先生ー。必ず戻って来てくださいねー。

 ありがとうございましたー」


信一郎(麗)は、そう言葉を口にしながら

頭を下げるとーー


「ー颯爽と立ち去る”わたし”カッコいいー…」

と、元自分の後ろ姿を見つめながら、

そんな言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーー”ナース”が、オペをしたという噂があるんだがー

 何か知らないかね?」


院長室では、桐生病院長がそんな言葉を口にしていたー。


Dr間宮は”麗(信一郎)”のことを思い出しながらも

少しだけ笑うとー、


「ーそのような事実は、ありませんー」

と、そう言葉を口にしたー。


「ーははは、それならいいー。」

桐生病院長は、そう言葉を口にするとDr間宮に背を向けたー。


”ーーー必ず戻って来いよー達川ー。

 その時には、今度こそこの私こそが天才だと、

 お前に見せつけてやるー”


Dr間宮は”麗(信一郎)”のことは桐生病院長に告げずー、

”好敵手”が戻って来ることを心待ちにするかのように

穏やかに笑みを浮かべたー。


”ーー”先生”のこと、頼むー”

麗(信一郎)の出勤最終日の前日ー


Dr間宮はそう、お願いされていたー。


”ーーーーーふんー

 ドジなナースの分際で私にお願いするとはー

 やっぱり生意気な小娘だなー。”


Dr間宮は、そう言いつつも

少しだけ笑うとー


”分かったー。頼まれてやるー”

と、そう言葉を口にしていたー。


その会話を思い出しながらDr間宮は

今一度少しだけ笑うと、


”ーーお前が戻ってくるまでは、

 面倒を見ていてやるよ”


と、そう心の中で呟いたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーー」

相談した上で、”麗”が住んでいたアパートは

一度引き払った麗(信一郎)は、新幹線に乗るために駅にやってきていたー。


麗の家にあった必要な私物は、信一郎(麗)が先日回収して、

今は信一郎の家にあるー。


「ーーーーー俺は必ず戻って来るー。

 それまでは、任せたぞー」


病院のある方角を見つめながら、

麗(信一郎)はそう言葉を口にすると、

そのまま新幹線に乗り込もうとするー。


がー、

その時だったー


「ーー”助手”は必要でしょ?」

助手で幼馴染の聡美が姿を現すー。


「ーーは?な、何でお前がここにー?」

麗(信一郎)が戸惑いながら言うと、聡美は笑みを浮かべたー


「あんた一人じゃー、麗ちゃんの身体でジャージのまま

 ウロウロしたりしそうだからー

 ”監視”よ、”監視”ー」


聡美はそう言いながら、麗(信一郎)が乗る予定の

新幹線に一緒に乗り込んでくるー。


「ーーあんた、オペは天才だけどー、

 私生活は死んでるしー

 それに、”女”としての生活にはまだ不慣れでしょ?


 だからー

 わたしが見張っててあげるー」


聡美のその言葉に、

麗(信一郎)は少しだけ笑うと

「ったくー勝手にしろー」と、それだけ言いながら

共に新幹線の中に乗り込むーーー


「ーーほら!座り方!」

聡美に指摘されて、麗(信一郎)は

「ホント、お前は口うるさい姉貴みたいだな」と、

文句を言いながらもー、

どこか、嬉しそうだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーじゃあ、今日もお願いしますねー”先生”」


病院に残った助手の健介が笑うと、

信一郎(麗)は、穏やかに微笑みながら頷くー。


そして、今日もオペ室の中へと入っていくー


「ーーこれより、オペを始めますー」


”いつかまた”先生が戻って来るその日までーー

先生の身体に恥じない医師としてーー


信一郎(麗)は、真っすぐと患者を見つめながら

今日も執刀を開始するのだったー。



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


最終回でした~!☆!


医療ドラマ(?)みたいな雰囲気の世界観の

入れ替わりモノを目指して考えた作品ですネ~!


この先、二人が元に戻ることができるかどうかは

分かりませんが、

きっと、どうなったとしても上手くやっていくことが

できそうデス…!


お読み下さりありがとうございました~!☆!

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