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経費を節約するために、同居生活を送っている

二人の男子大学生ー。

親友同士でもある二人は、共同生活をする中でも、大きなトラブルなく

平穏な日々を送っていたー。


しかし、ある時、武明は同居している親友・紀夫の様子が

おかしいことに気付くー。

どこか、余所余所しいような違和感を感じる紀夫の振る舞いー。


それもそのはずー。

紀夫は少し前に自分が”女体化”してしまったことを

隠しながら生活を続けていたー…


☆前回はこちら↓☆

<女体化>同じ部屋で暮らす親友の様子がおかしい①~異変~

「ーーー遅かったなー?大丈夫だったか?」 男子大学生の栗山 武明(くりやま たけあき)は、 少し心配そうな表情を浮かべながら、そう言葉を口にしたー。 「ーーーあ、あぁ…大丈夫ー。ち、ちょっとー色々あってー」 武明から、心配の眼差しを向けられた同じ大学の男子・ 浜田 紀夫(はまだ のりお)は、少し表情を...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


紀夫は相変わらず”女体化”したことを隠す日々を送っていたー。


「ーー髪はどうにかなるけどー…」

鏡で、女体化した自分の姿を見つめながら、

紀夫は静かにそう呟くー。


「ーーでも、これはどうにもならないなぁ…」

胸のふくらみを見つめながら、紀夫はため息をつくー。


勿論、”服”で誤魔化すことはできるー。

でも、やっぱり限界はあるしー、

そもそも着替え中などを見られてしまったら終わりだー。


そもそも、男性特有の”アレ”もないし、

お風呂の最中や、お風呂に出た直後は特に気を付けないといけないー。


見られれば、確実にバレてしまうー。


「ーーあ~~~… あ~~~~… あ~~~」

今はちょうど、武明はバイトで留守にしている最中ー。


紀夫は”発声練習”を行うー。

できる限り、”男”っぽい声を出す練習だー。


今は”風邪”を引いたことにして”風邪だから声が変”で、

強引に通しているけれど、

流石にずっと風邪を引いている設定は無理があるし、

別の意味で武明に心配をかけてしまうー。


そうならないためにも、早く”元の自分”のような声を

出せるようにならなくてはいけないー。


「ーーー…はぁ~~~~…やっぱダメだー…」


しかしー、”女の声”と”男の声”では、

どうしてもやっぱり違いが出るー。


”女体化した紀夫”の声は、どう聴いても”女の声”でしかなくー、

無理矢理低く喋ろうとしても、元々の自分の声とは

やっぱり程遠いー。


「ーーーー男から女になったー…なんて言えないしなぁ…」


どういう反応をされるか分からない恐怖ー、

心配をかけてしまうのではないかという申し訳なさー、

色々な気持ちが混じり合って、武明に”今のこの状況”を、

打ち明けることが出来ずにいたー。


”やっぱり、元に戻る方法を早く見つけないとー”

紀夫は、そんな風に思いながらスマホで色々と調べ始めるー。


小さい頃からお世話になっている逢坂先生も色々と調べてくれては

いるものの、一刻も早く戻るためには、

やっぱり、自分自身でも動く必要があるー。


そう思いながら、紀夫はスマホを操作して、

色々な情報を探し始めるのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


数日後ー


大学にやってきた武明と紀夫の二人ー。


今日も、”妙に厚着”な紀夫を見て、

武明は心配そうに「まだ、風邪治らないのかー?」と、

そう言葉を口にしたー。


「ーえ…あ、うー、うんー

 風邪は良くなってきたんだけどー…」

紀夫は、”そろそろ風邪の設定にも限界があると考えつつ、

咄嗟にそう言葉を口にするー。


武明は、なおも心配そうに

「今日、そんなに寒くないと思うんだけどな…

 それにー…なんかノリ、暑そうにしてるしー」

と、言葉を呟くー。


”そりゃ、僕だって暑いよー”


紀夫は、心の中でそう思うー。


厚着をしている理由は、別に寒いからではないー。

胸を隠すために、厚着をしているのだー。

正直、この気温でこの格好はかなり暑いー。


が、薄着だと胸を隠しきれないー。


「う、う~ん、僕、元から寒がりだよ?」

紀夫が苦笑いしながら言うと、

武明は「そうだったかなぁ?」と、そう言葉を口にしながら、

「じゃ、今日も頑張ろうな」と、そのまま自分の受ける授業が

行われる場所へと歩き出すー。


がー、

その時だったー


女体化を隠している紀夫は、ふいにくしゃみがしたくなってしまいー、

そのまま盛大に”可愛い感じの”くしゃみを出してしまったー


「ーーー!!!!」

紀夫が表情を曇らせるー。


”普段の声”は、無理に低い声を出して誤魔化しているものの、

今のくしゃみは完全に”女”だったー。


青ざめながら、武明の方を振り返るー。


が、武明はもう少し離れた場所まで歩いて行っていて、

今のくしゃみは聞こえなかったようだー。


「ーー…はぁ…セーフ…」

紀夫はそう思いながらも”この先”一体どうすればいいのか分からず、

途方に暮れるような表情を浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーーーー」


大学の1限と2限の合間に、自販機の前で一休みしていた

武明ー。


そこに、武明の高校時代からの知り合いである、尚美(なおみ)が

偶然やってきたー。


「ーーあ、武明ー。」

尚美が、武明に気付いてそう言葉を口にすると、

武明も手をあげて返事をするー。


武明と尚美は、”元恋人同士”の間柄ー。

しかし、今は別れていて、友人同士という感じの関係になっているー。


「ーー最近は元気かー?」

武明がそう聞くと、尚美は「まぁー、普通だねー」と、

笑いながら自販機で購入したジュースを取り出すー。


「ーーそっかー。それならよかったー」

武明はそれだけ言うと、少しだけ寂しそうに尚美の方を見つめたー。


武明と尚美が”別れた”のは

”あの出来事”が原因だー。

武明も、尚美もどっちも悪くないー。


”仕方のない”ことだったー。


「ーーなんか、ごめんねー」

尚美が、ふとそんな言葉を口にするー。


「ーーはは、別に尚美が謝ることじゃないだろー。

 ”仕方ない”ことなんだからー」


武明がそう言うと、尚美は少しだけ笑いながら

「じゃ、2限も頑張ってー」と、そのまま立ち去って行こうとするー。


「ーーーーあ」

がー、思い出したかのように立ち止まると

「あの一緒にいる友達の子も元気?一緒に住んでるんでしょ?」と、

尚美がそう言葉を口にするー。


「ーーん?あぁーーーー」

武明はそこまで言いかけると、少しだけ表情を曇らせて

言葉を続けるー。


「ーー最近、何かちょっと様子がおかしくてさー」

武明がそう言うと、尚美は「様子がおかしい?」と、首を傾げるー。


「あぁー…

 それとー」

武明は、尚美に対して”何か”を口にすると、

尚美は「えぇっ!?」と、驚きの表情を浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーー…」

男子トイレに入る紀夫ー。


女体化したとは言え、

女子トイレに入ることはできないー。


女体化したことを明かして、大学側も理解してくれているならともかく、

女体化していることを隠した状態では

女子トイレに入ることはできないー。

入ってしまえば、変態扱いされるし、

結果的に女体化に気付かれてしまう可能性もあるー。


隠す以上、身体は”女”になっていても、

紀夫の選択肢は”男子トイレに入る”しか、残されてはいないー。


「ーーー」

コソコソと男子トイレに入る紀夫ー。


しかし、”この身体”では立ってするのは難しいー。

”失敗”しても、どうなっても良ければできないことはないが、

男と同じようにはいかないー。


そのためー、紀夫は女体化してからは

いつも、男子トイレの個室を利用していたー


”個室はいいぞ”

親友の武明は、いつもそんなことを言っていたー。


「ーーはぁ、武明くんみたいにいつもこっち使ってる人なら、

 僕も楽だったのになぁ」


紀夫は、冗談めいた口調でそう言葉を口にすると、

「早く元に戻れないかなぁ…」と、祈るような口調で

そう言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


数日後ー。


紀夫は、再び小さい頃からお世話になっている

地域病院の逢坂先生の元を訪れていたー。


「ーー健康状態に異常はなしー。」

逢坂先生は、検査結果を見つめながら呟くー。


”性別が変わる謎の奇病”ー。

その原因や治療法が分かったわけではないものの、

”未知の病気”で女体化してしまった以上、

月に何度か健康状態を観察する必要があると、

逢坂先生は判断ー。

こうして何度か、紀夫に足を運んでもらって健康状態を

観察していたー。


「ーー…性別が変わった以外は、

 特に何も異常はないー。

 健康そのものだー」


逢坂先生は、紀夫の方を見つめながらそう言うと、

紀夫は少しだけホッとした様子で「よかったですー」と、

そう言葉を口にするー。


「ーー…しかし、あれからも色々調べてみたが、

 やはり、元に戻すための治療方法はまだ見つかってないようだー。


 私の方でも引き続き色々調べてはみるがー…。」


逢坂先生の言葉に、紀夫は少しだけ申し訳なさそうに

「すみませんー。こんな難しい状態になってしまってー」と、

苦笑いすると、

「いやー、浜田くんのせいじゃないからねー」と、

穏やかに笑いながら言葉を口にするー。


「ーただ、その状態じゃ色々大変だろうー?

 周囲からも色々言われてると思うしー、

 できる限り、元に戻す方法を見つけられるように私もー」


逢坂先生がそこまで言うと、

紀夫は「あ、いえー」と、少し申し訳なさそうに笑いながら

言葉を口にしたー。


「ーーー僕ー…まだ、大学にも友達にも

 女になったことを打ち明けてなくてー」


紀夫のその言葉に、逢坂先生は「え?」と、

表情を曇らせるー。


てっきり、紀夫はもう大学や周囲には説明済みだと

そう思っていたのだー。


「ーーすみませんー…

 もしもみんながこのことを知ったらー…

 どんな反応をされるかと思うと、怖くてー」


女体化した紀夫が、戸惑った様子でそう呟くと、

逢坂先生は、深くため息をついてから

「ーそうかー。それもそうだなー」と、何度か頷いたー。


そしてー、

逢坂先生は穏やかな表情で言葉を口にしたー


「ーー浜田くんー

 君は何も悪くないー。

 それだけは、覚えておいてくれ」


とー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー。


大学にやってきた紀夫は、今日も

厚着で胸が目立たないようにしつつ、

マスクをして、なるべく”手”も見せないようにしながら、

同居している武明と一緒に歩いていたー。


「ーー…なんかさー…やっぱ、ノリ、

 最近、何か悩んでないか?」

武明が、ふとそんな言葉を口にするー


「ーーえ…?あ、あははーそんなことないよー?」

紀夫は誤魔化そうとしてそう言葉を口にすると、

武明は「ーそれならいいけど」と、言葉を口にした上で、

こう続けたー。


「ーノリに何か悩みがあるなら、

 俺もできる限り力を貸すからさー。


 どんな話でも、絶対真剣に聞くからー。

 だから、もし悩みがあるなら、いつでも言ってくれよな?」


武明は、紀夫を見つめながらそう言葉を口にするー。


「ーーーーーーー…う、うんー」

一瞬、喉元まで”女体化したこと”が出かかってしまったものの、

紀夫は思いとどまるー。


”どんな話でも絶対真剣に聞くー”


そうは言っても、

”女体化”は、きっと武明の想像の斜め上を行ってしまうー。


「今日も、お互い頑張ろう」

紀夫は、それだけ言うと、

武明に女体化のことを打ち明けず、

そのまま1限の授業が行われる場所へと

向かおうとするー。


がーー

その時だったーー。


「ーーおー、浜田じゃん!」


前からやってきた同じ学部の

男子生徒・熊井 聡(くまい さとし)が、

そんな言葉を口にするー。


お調子者で、軽い性格の男子だー。


「ーあー、熊井くんー」


そこまで親しいわけではないものの、

それなりに顔を合わせる機会は多く、

会えば会話をするー

そんな間柄の相手だ


「ーって、どうしたんだよ?そんな厚着してー」

ニヤニヤしながらそう言葉を口にする聡ー。


「ー今日、そんな寒くなくね?

 むしろ暑いっていうかー。


 こんな分厚い服着てたらー」


聡はそう言いながら

”何も考えず”紀夫の上着に手を触れるー。


急に手を触れて来るとは思わず、

驚く紀夫ー。


がーーー


「ーー!」


「ーーあっ…」


聡はー、服の上から”紀夫の胸”に気付き、

驚いて手を離すー。


別に胸に触れるつもりではなく、

単に”何でこんな厚着してるんだよ~?”と、

ふざけた調子で服を触っただけだったのだがー、

”たまたま”胸の膨らみに気付いてしまったー。


「ーーー…え………?」

聡が、戸惑いの表情を浮かべながら

紀夫の方を見つめるー。


紀夫は真っ青になりながら、

「ーーーーあ……え、えっとー……」と、

”どう言い訳をしようか”必死に頭の中で考えていると、

戸惑いの表情を浮かべていた聡が、

ようやく口を開いたー


「え…は、浜田ーお前…

 お、女だったのかー…?」


聡の言葉に、紀夫は青ざめながら

「ーち、ち、ち、違う!違う違う違う!僕はー!」と、

そう言葉を口にするー


しかし、慌てていたからか、

意識して低く声を出すのを忘れてしまい、

明らかに女のような声が出てしまうー


「ーーあっ… ち、違うんだー…これはー!」

慌てて低い声に戻す紀夫ー。


だが、聡は困惑の表情を浮かべたまま、

「ーーーず、ずっと男だと思ってたー…

 ご、ごめんなー」と、そんな言葉を口にしたー…。



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


次回が最終回デス~!☆


こっそりと①と②に結末に繋がるとある伏線(?)も

入っているので、

気付いた皆様もいるかもしれませんネ~☆笑


今日もお読み下さりありがとうございました~!☆

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