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ある日を境に”憑依される夢”を見るようになった姫梨ー。


不安に感じた姫梨は彼氏の康博にそのことを相談、

一度は夢を見なくなり、

同時に、先輩の越前からの付きまとい問題も解決ー、

全てが解決したかのように思えたー。


しかしー…

姫梨は”また”憑依される夢を見たー。


そして、姫梨は知らないー。

それは”夢”などではない、ということをー…


★前回はこちら↓★

<憑依>憑依される夢をみた②~戸惑い~

自分が憑依される夢を見たー。 妙にリアルな感じの”夢”に不安を感じた姫梨は 彼氏の康博にそのことを相談するー。 しかし、相談を受けた康博自身もやはり”夢”だと判断し、 姫梨が怖い夢をこれ以上見ないようにと、安心させようとする 言葉を口にするー。 ーが、それは”夢”などではないことを 姫梨はまだ知らないー。 ☆前...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


姫梨は、それからも”憑依される夢”を度々見ていたー。


しかしー、彼氏である康博にこれ以上心配をかけるわけには

いかない、という思いから姫梨は康博にそのことを

伝えず、そのまま過ごしていたー。


”夢は夢”ー

そう割り切ることにして、姫梨は”憑依されているわたし”を

夢の中で見ても、”慣れ”もあってか、最初のように動揺せず、

”冷ややかな目”で見ることができるようになっていたー。


「ーーーークククク…あぁ…たまんねぇ…」


”またー…”

姫梨は今日も、意識を取り戻すと、

そんなことを思いながら”自分”の姿を何もできずに

見つめることしかできなかったー。


”自分の視界”は見えるー。

でも、身体を動かすことはできないし、

言葉を発することもできないー。

完全に、自分の身体は”他の誰かのもの”になっているー。


そんな、状態ー。


「ーーーあぁ…この身体だと、ホント、何着ても似合うし、

 何着てもエロイし…くく…くくくくく」


”憑依された姫梨”は、

自分の巫女服姿を見つめながら、そんな言葉を口にしているー。


普段の姫梨が浮かべることのない下品な笑みー。

普段の姫梨が発することのない、欲望に歪んだ声ー。


そんな”わたしじゃないわたし”を、姫梨は見せつけられているー。


”ーーー早く、醒めないかなー”

姫梨は、そんな風に思いながら、今日もその状況をじっと見守るー。


最近は、抵抗するのもやめたー。

夢とは言え、妙に生々しいし、自分の身体が誰かに好き放題されているような

光景はたとえ、夢であったとしても気分の良いモノではないー。


けれどー、夢なら抵抗しても抵抗しなくても結果は同じー。


最近は、抵抗するのをやめて、

ただ単に映画を見るかのように、姫梨は”わたしが憑依される夢”を

見つめていたー。


がーーー


”ーーーあれ…今日はなかなか目が覚めないなぁ”


そんなことを思っていると、憑依されている姫梨は

時計を見つめながら「さて…そろそろ」と、

巫女服の次に着て、お楽しみをしていたナース服を

脱ぎ捨てると、押し入れの奥から

引っ越しの時に使ったダンボールを取り出したー。


”不用品”と書かれていて、普段、姫梨が開けることはない

ダンボール箱だー。

次に開けるとすれば、この家からまた引っ越す時だろうー。


”ーー夢の中でも、ちゃんと全部同じなんだー…”

そんなことを思う姫梨ー。


通常、”夢”は現実と100%同じであることは少ないー

家が舞台の夢であっても、どこか違う部分があったり、

不明瞭な部分があったりすることは多いー。


だがー、”憑依される夢”で見る、”わたしの部屋”は

細部まで”現実”と同じー。


姫梨は、憑依される夢を見れば見るほど、

強い違和感を覚え始めるー。


「ーーーこれでよし」

憑依された姫梨はそう呟くと、最初に脱ぎ捨てたと思われる

寝る時に着ていた服を身に着けて、そのまま笑みを浮かべるー。


そしてー…ベッドに横たわった”憑依された姫梨”は、

そのまま意識を失うと、

その様子を見ていた姫梨本人の意識も失われたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーぁ…」


目をうっすらと開ける姫梨ー。


なんだか、あまり寝た気がしないー。

最近も1週間の半分ぐらいは”憑依される夢”を見るー。

そして、その都度、強い倦怠感や眠気に襲われるー。


「ーーーーー」


今回の夢は”特に”長かったー。

いつもはもう少し夢が短く、

あんな風に”憑依されたわたし”が後片付けをしている場面を見るのは

初めてだったー。


「ーーーーーーーー」

姫梨は、ふと押し入れのほうを見つめるー。


”夢の中”で、憑依された姫梨は押し入れの奥底に

しまってある、普段開けることのないダンボール箱の中に

コスプレ衣装の数々をしまっていたー。


そんな、夢の中の光景を思い出して、

不安を覚えた姫梨は、押し入れを開けて、そのダンボールを

確認しようとし始めたー。


”夢”だとは思うー

でも、妙に生々しくて、他の夢とは違う、不気味な感覚ー。


そう思いながら姫梨は

”不用品”と書かれた、夢の中でコスプレ衣装をしまっていた

ダンボール箱を押し入れから取り出すと、

ひと思いにそれを引き開けたー。


「ーーーーーーーーえ」

姫梨は、青ざめるー。


ダンボール箱の中にはー、

巫女服にナース服、チャイナドレスー…

コスプレの衣装の数々が眠っていたのだー。


「ーーーな…なにこれ…?

 どうして、わたしの家にこんなものが…?」

戸惑いの表情を浮かべる姫梨ー。


当然、姫梨にこんなものを購入した記憶はないー。


「ーーーど…どういう…ことー?」

震えながら、メイド服や巫女服をダンボール箱の中から取り出すー。


どれも”着られている”ような、そんな感じがあるー。

未使用品ではないー。


「ーーー…嘘…」

呆然とする姫梨ー。


”これがここにある”ということは、

”憑依される夢”は、”夢ではない”ということになるー。


そのことに気付いた姫梨は、

只々、身体を震わせることしかできなかったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーそういえば、例の夢は、最近大丈夫か?」

彼氏の康博が心配そうに呟くー。


「ーーーえ?あ、うんー。大丈夫大丈夫ー」

考え事をしていた姫梨は、そんな風に言葉を口にすると、

”夢はもう見ていないよ”と、言葉を続けたー


「そっかーならよかったー」

安心した様子で微笑む康博ー。

康博には言えなかったー。


まさか、”夢”じゃなくて、本当に憑依されているー…なんて。


そんな現実離れしているようなことを相談すれば

嫌われてしまうかもしれないし、

そもそも、康博をこれ以上巻き込みたくないー。


”わたしが気付いたことを悟ったらー、

 わたしの身体を好き勝手している人が、康博に危害を加えるかもー”


そんな恐ろしい考えも頭に浮かんでくるー。


もしも、”姫梨のフリをして”康博に近付ければー、

”なんだって”できてしまうー。


”ーーそんなこと、絶対にさせないー”


今までの感じからすると、”姫梨”が何のリアクションも見せなければ、

”憑依”されても、姫梨の人生そのものが壊れてしまうようなことや、

周囲の人間に危害を加えるような様子は、特にないー。


ただー、

康博にここで相談して、康博も行動を起こしたりすれば別だー。


”憑依後”の行動が変わって来るかもしれないー。


「ーー最近は、いっつもぐっすり眠ってるから、大丈夫!

 安心してー!」


姫梨がそんな言葉を口にすると、

康博は少しだけ心配そうな表情を浮かべながらも、

「そっかー」と、そう言葉を口にしたー。



”ーーーククククククー”

そんな二人の様子を眼鏡を掛けた癖毛の先輩・越前が

笑みを浮かべながら見つめていたー。


姫梨が康博に相談し、康博が”付きまといはやめてほしい”と

指摘した際ー、越前先輩は妙にあっさりと引き下がったー。


だがーー…

彼は諦めているわけではなかったー


「ーー三枝さんを幸せにできるのは、俺だけなんだー」


あれ以降も、大人しくしているわけではなく、

ずっと、姫梨のことを監視していたー。


「ーーーーー…あいつーーー邪魔だなー」

越前先輩は、そう呟くと姫梨の彼氏である康博の方を

見つめながら、呪いの言葉を呟いたー。


「ーーあいつさえいなければ、俺が三枝さんの彼氏なのにー」

とー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


帰宅した姫梨は、別の大学に通っている

高校時代からの親友・幸恵から送られてきたメッセージを見つめるー。


”今度、”大事な話”があるんだけどー

 久しぶりに会えたりしない?”


幸恵からのそんなメッセージに

”大事な話?”と、そんな返事を返すー。


”ーーうんーちょっと、相談があってー。

 できれば直接話したいなってー”

幸恵の不安そうなメッセージに、姫梨は表情を歪めるー


”まさかー…幸恵もわたしと同じ状況ー…とか

 言い出さないよね?”


内心でそんな不安を覚える姫梨ー。


親友の幸恵も”姫梨”と同じように、

”憑依”に巻き込まれているのではないかー

そんな不安を覚えたのだー。


いやー、しかし、それはただの憶測に過ぎないー。

全然違う話の可能性の方が高いのは確かだー。


そう思いつつも、来週の土曜日に会う約束をすると、

姫梨は深々とため息をついて、眠りについたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


その日の夜ー。


「ーーーさ~て、今日は出かけるか」

再び、姫梨は憑依されたー。


笑みを浮かべながら、コンビニに出かける姫梨ー。

わざと短いスカートを履いて、「あぁ~~…この感覚も最高だー」

などとニヤニヤしながら、街を歩くー


”ーーー変な人に狙われたらどうするのよー…”

姫梨は不満そうに内心でそう呟くー。


今までのように、これを”夢”だと思っていれば何とも思わないー。

しかし、”夢ではない”と分かってしまった以上ー、

こういう、自分の身に危険が及びそうなことはできればやめてほしいー。


「ーーー…んふふふふ」

コンビニに入った姫梨は、バナナと、Hな本を手に笑みを浮かべるー。


「ーーわたしみたいな可愛い子が、こんな本を買ったら

 店員さん、どんな顔するかな♡」


うふっ、と笑いながら姫梨がそれをカウンターに持って行くー。


”ーーちょっと!何勝手に買い物してるの!?”

姫梨が不満そうに叫ぶー。


コンビニの店員が少し戸惑った様子を見せているとー、

乗っ取られている姫梨は、ニヤニヤしながらその様子を

観察しているー。


「ーーふふふ ありがとうございますー♡」

姫梨は、満足そうにコンビニから出ると、

そのまま帰宅ー。


帰宅すると、購入してきたバナナを

イヤらしい雰囲気でペロペロと舐め始めたー。


どうやら、外出したのは”これ”がやりたかったようだー。


”ーーーーーー”

姫梨は”何か”この状況を打開する糸口はないかと、

”憑依された自分”のことを見つめながら頭をフル回転させるー。

バナナを舐めながら、嬉しそうに顔を赤らめて

興奮している様子の”自分”を見つめながら、

姫梨はどうするべきか、あれこれ試案するー。


がー

その時だったー


「ーはぁ…はぁ…はぁ…

 そういや…バナナでするのって、ヤバいらしいよなー」

ニヤニヤしながら、そう言葉を口にしつつ、バナナを見つめる姫梨ー。


そしてーーー


「ーー最初に意識があるって聞いた時は驚いたけどー、

 今はもう、姫梨も俺が憑依してる間は意識、ないみたいだしー」


そう、言葉を口にしたー


”ーーーー わたしのことを知ってるー?”

姫梨の意識が、心の中でそう言葉を口にするー。


「ーー念のため、1か月近くも様子を見たんだしー

 もう、大丈夫だよなー?」


姫梨が、そう言葉を口にすると、

そのままバナナを使って、”おたのしみ”を始めようとするー。


がー、さすがに躊躇しているのか、

ぷるぷると身体を震わせながら、姫梨は言葉を口にしたー。


「ーーーま、まさか、彼氏にこんなことされてるとは

 思わないだろうなぁー

 ふ…ふふふふふふー」


ニヤニヤが止まらない姫梨が発したその言葉にー、

姫梨の意識は表情を歪めたー


”い、今、なんてー…????”


”「彼氏」”

そう、言っただろうかー。


”ーーーー…ま、まさかーー…

 わたしの身体を勝手に使ってるのは、康博なのーー???”


姫梨の意識は困惑の表情を歪めるー。


そうーーー

姫梨に憑依して、姫梨の身体を使ってお楽しみをしていたのはー、

姫梨の彼氏である康博だったのだー。


憑依薬を偶然見つけ、己の欲望に負けて姫梨に憑依した康博ー。

しかし、説明書きとは異なり、姫梨本人の意識が戻る時間が

あったようで、姫梨から”憑依された夢を見た”と相談された時には

心底驚いたー。


けれどー、姫梨が”康博に心配をかけないようにしよう”と、

”夢はもう見なくなったよ”と康博に伝えたためー、

康博は”憑依されている間、姫梨の意識はちゃんと眠っている状態に

なるようになった”と、判断したーー


用心深い康博は、それでもこの1か月間、様子を見ていたものの、

先日”例の夢は大丈夫か?”と確認した際に、

姫梨が”もう見ていない”と答えたため、

憑依されている間の意識はなくなったと確信ー、

”油断”してしまっていたー。


バナナと戯れる”自分自身”を見つめながら、

姫梨は、”わたしに憑依しているのが康博かもしれないー”と、

強い疑念を抱きながら、いつものように

朝を迎えるのを、只々、待ち続けるのだったー。



④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


次回が最終回デス~!


”憑依されている夢”だと思っていたものの、

正体が判明しました~!★


どうなってしまうのかは、

最終回のお楽しみデス…!


今日もありがとうございました~!★!

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