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祖父の家に残されていた不思議な”入れ替わりの糸”を見つけた

達志は、彼女の紗理奈の提案で

”入れ替わった状態のまま”1日だけ大学に足を運んでみることにー。


大学に到着して早々、

紗理奈になった達志は親友の公則と遭遇、

普段とは違って、妙に優しい感じの公則の反応に

驚くことにー。


”人”によって相手の反応が違うー。

そんなことを知ることになる1日は、

まだまだ始まったばかりだったー…


☆前回はこちら↓☆

<入れ替わり>かわいいは正義なのか①~交換~

「ーーー他人と入れ替わることができる糸?」 彼女の相馬 紗理奈(そうま さりな)が不思議そうな表情を 浮かべながらそんな言葉を口にしたー。 「ーーあぁ、じいちゃんの家を整理してたら、見つけてさー  親もいらないって言ってたから、持って来たんだー」 そう言いながら、彼氏の村中 達志(むらなか たつし)は...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーー!」

大学内を歩いていた紗理奈(達志)は、

前を歩いていた後輩・戸塚 英輔(とつか えいすけ)が、

ポケットから財布を落としたのに気づいて、表情を歪めたー。


”あ~~~…戸塚のやつ、財布を落としたなー…

 しかも、気付いてないー”


そう思いつつも、紗理奈(達志)は拾ってあげるのを躊躇するー。


別に盗もうとしているつもりじゃないし、

薄情なわけでもないー。


後輩の英輔は、疑い深い性格で、

以前、モノを拾ってあげた時には

”本当は先輩が盗もうとしたんじゃないですか?”とか、

そんなことを言われたことがあるのだー。


しかも、普段から愛想も悪く、

何かしてあげても、絶対にお礼を言うことのない、そんなタイプー。


できればあまり関わりたくないのだー。


”はぁー…また盗もうとした、とか言われるんだろうなー…”

そう思いながらも、見て見ぬフリができない性格の

紗理奈(達志)は、仕方がなく財布を拾うと、

「ーーあの…落としたけどー」と、そう言葉を口にしながら、

英輔に声をかけたー。


振り返ると英輔ー。


すぐに紗理奈(達志)は

「あ、ーーおれ……わ、わたし、

 盗もうとしたわけじゃないからねー」と、

先手を打ち、そう言葉を口にすると、英輔は突然、

”いつも見せたことのない笑顔”を浮かべー、

「ーーわざわざすみませんー。ありがとうございますー」と、

そう言葉を口にしたー


「ーーへ…?」

紗理奈(達志)が、きょとんとした表情を浮かべると、

英輔はへこへこしながら、照れくさそうに財布を受け取るー。


”ーーー…”

紗理奈(達志)はその様子を見つめながら

今朝の親友・公則の反応も思い出すー。


公則も、”いつも”と違って何だか優しかったー。


(まさか、”紗理奈”相手だとみんな態度が違うのかー?)

紗理奈(達志)はそんなことを思うー。


公則はまだ分かるー。

達志とは親友の間柄で、紗理奈とは”親友の彼女”でしかない間柄ー。

つまり、親しい相手と、そこまでではない相手ー。

対応に差が出るのも、まぁ無理はないかもしれないー。


しかし、この後輩・英輔の場合は話は別だー。

達志も、紗理奈も別にそんなに親しくないー。

”距離感”は同じぐらいのはずだー。


なのにー…全然、対応が違うー。


「ーーーお、お礼を言うなんて珍しいー」

紗理奈(達志)が思わずそう呟いてしまうと、

英輔は「えぇ?あははー。先輩が財布を拾ってくれたんですから、

もちろんお礼は言いますよー。本当にありがとうございます」と、

改めてお礼の言葉を口にしたー。


全く、”盗もうとしたんじゃ?”みたいなことを言う気配もなく、

嬉しそうに頭を下げる英輔ー


”おいおいおいー…女子が相手だとそういう態度なのかー?”

そんな風に思いながら、紗理奈(達志)は、「あ、そうだー」と、

そろそろお昼の時間であることを思い出し、

そのまま食堂へと移動し始めるー。


この大学の食堂は昼間になると、とても混雑するー

満席になってしまうことも多く、

食堂の拡大が現在、大学側で検討されているぐらいだー。


慌てて食堂に移動して、

いつものように大盛のラーメンを注文する

紗理奈(達平)ー


注文した直後に”あ!やべっ!”と、

今の自分が”紗理奈の身体”であることを思い出したもののー、

”まぁ、お腹空いてるし、食えるよなー?”と、

そのまま、ラーメンを受け取るー。


「ーーーー」

やっぱり、今日も食堂は混雑しているー。

座る座席がなく、フラフラとうろついたあとに、仕方がなく

立ち食いができるスペースに向かおうとするー


がー


「ーー相馬さん!」

ふと、”紗理奈のこと”を呼ぶ声が聞こえて、振り返るとー

「ーー俺、もう食べ終わったからここ、いいよ」と、

一人の男子が声をかけてくれたー


「ーーえ…?でもまだデザート残ってる…けど?」

紗理奈(達志)がそう言うと、

その男子は「ははー、このぐらいは立って食べられるからー」と、

快く座席を譲ってくれるー


「あ、ありがとうー」

紗理奈(達志)が、そう言いながら座席に座ると、

その男子は、満足そうに立ち去っていくー


「ーゆ、譲って貰えたのなんて、初めてだなー」

そう思いながら、紗理奈(達志)は、

ラーメンを食べ始めるー。


紗理奈の身体で、昼までの大学生活を過ごして、

紗理奈は気づいたー。


”いつもより”周囲が優しい気がするー。


”可愛い”と、優しくしてもらえるのだろうかー。

そんなことを思いながら、

ラーメンを食べていると、やがて、半分ぐらい

食べた時点で満腹感を感じ始める紗理奈(達志)ー


”や…やっべぇ…紗理奈の胃袋、やっぱ小さいー”

そう思いながら、苦戦し始める紗理奈(達志)ー


普段の達志なら、大盛を食べても全然余裕なぐらいなのにー。

今日は、空腹の状態から食べたにも関わらず、

半分ぐらいで満腹になってしまっているー。


しかしー、”食堂のおじさん”は、”残すこと”に厳しくー、

注文したものを残すと結構ネチネチと色々言われるー。


以前、達志も体調がイマイチで注文したものを残した時には

小言を言われたものだー。


”ーー…いや、でももう無理だー…

 これ以上、紗理奈の身体で食ったら吐くー…”


そう思いながら、紗理奈(達志)は、

申し訳なさそうに返却口にそれを持って行くと、

食堂のおじさんは少しだけ表情を歪めたものの、

「次からは、無理しないようにね」と、優しく言葉を掛けただけで、

それ以上は何も言ってこなかったー


「ーーーえ」

紗理奈(達志)は思わず唖然とするー。


これが、”かわいい”ということなのかー。

そんな風に思いながら、いつもとは違う周囲の反応に、

達志は、戸惑いながら食堂を後にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーねぇねぇ、今日はどうだったー!?」


大学での1日が終わり、

達志(紗理奈)と合流した紗理奈(達志)ー。


「ーえぇ…いや、なんかー

 周りが妙に優しくてさー…

 やっぱ、紗理奈みたいな感じだと、

 周囲の反応も全然違うな~って


 なんていうかー、可愛いと得をするんだなぁ、って

 感じるところが結構あったようなー」


紗理奈(達志)が笑うと、

達志(紗理奈)は「あははー…それは確かに…そうなのかも」と、

そんな言葉を口にしたー。


「やっぱり、いつもとみんなの反応、違ったよねー」

達志(紗理奈)が笑いながら言うー。


やはり、紗理奈も

達志と同じように

”自分が自分であるとき”と、周囲の反応が違うことに気付いたようだー


「ーわたしって、そういうところは恵まれてたんだなぁ~…って

 ちょっと思っちゃったー」

達志(紗理奈)は少しだけ笑いながら言うー。


中には、自分が可愛いことを自覚し、

それが武器として使えることを理解した上で

計算高く生きる子もいるけれどー、

紗理奈の場合は、そういうタイプではなく、

どちらかと言うと、”わたし、可愛い”などと思ったりすることはなく、

生きて来たー。


”可愛いことで得をしている部分”を、

特に意識せずに生きてきた紗理奈は、

達志の身体になって1日過ごしたことで、

色々なことを感じることができたようだったー。


「ーーーーでも、わたしは、たっくんの身体になって

 ”いいところ”も見えたよ!」

達志(紗理奈)が言うと、

紗理奈(達志)は「え~?俺の身体の方がいいところ?」と、

笑いながら言うー。


「ーまぁ、俺が滅茶苦茶イケメンだったりしたら、

 ”イケメン”で得をすることもあったかもだけど、

 俺は別にイケメンじゃないからなぁ」


紗理奈(達志)が笑いながらそう呟くー。


「ーーえ~?そんなことないでしょ~?

 それに、イケメンかどうかに関係なく、いいこともあったよ!

 達志の身体の方が、モノを持つときとか、ホントに楽だったしー、

 あとー、お昼もいつもよりいっぱい食べられたし!」


嬉しそうにそう言い放つ達志(紗理奈)ー。


「ーーははは、確かにそれはそうかもなぁ~」

紗理奈(達志)が納得したように頷くとー、

「ーそれに、他にもいいこと、色々あったよ?」と、

達志(紗理奈)は、そう言葉を続けたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


元に戻った二人は”自分の身体”で大学へと向かうー。


紗理奈は”可愛いと得をする…かぁ…”と、心の中で

そう呟くー。


確かに、無意識のうちに得をしている部分は

あるのかもしれないー。

昨日、紗理奈の身体で過ごした達志が言っていたことも、

確かにそうなのかもしれないー。


けれどー

達志の身体には、達志の身体なりにいいところがたくさんあるー。


「ーーー自分の身体のいいところって、案外気付かないものなのかもねー」

紗理奈はそんなことを思いながら、大学へと向かうー。


やがて、大学に到着した二人ー。

先に用事があった紗理奈よりも遅れて到着した達志は、

「やっぱ、自分の身体の方が落ち着くってのはあるよなー」と、

一人、そう呟きながら、大学の敷地内に入ると、

親友の公則の姿が目に入ったー


公則の姿を見つけた達志は少しだけ笑うと、

昨日のことを思い出しながら声をかけたー。


「ーそういや、昨日はありがとなー」

達志が言うと、公則は「へ?」と、首を傾げるー。


「いやぁ、ほら、紗理奈が自販機の故障で

 世話になったって言ってたからー」


達志は心の中で”まぁ、中身は俺だったんだけどな”と思いつつ、

そう言葉を口にすると、

公則は「あぁ、ははー…全然いいさ」と、そう言葉を口にするー。


そんな公則を見つめながら、少しだけ意地悪な気持ちになった

達志は、笑みを浮かべながら言葉を続けるー。


「ー俺が同じようなことになった時は、お前、笑ってるだけ

 だったのになぁ」


とー。


その言葉に、公則は少し気まずそうにしながら

「ははー…そ、そりゃまぁ、ほらーーー」と、

言葉にならない言葉を口にすると、

達志は、内心でニヤニヤしながら公則を見つめたー


「ーへへ、お前も可愛い子には優しいんだなー?」

意地悪っぽくそう言い放つ達志ー。


公則は「そ、そ、そ、それはー…」と、

ギクリとした動きをしながら、やがて開き直った様子で

「ー、そ、そ、それは、仕方ないだろ!?」と、

そんな言葉を口にしたー。


「ーーはははー。まぁ、ありがとなー」

十分に揶揄えたことに満足したのか、達志はそう言うと、

それ以上は何も言わなかったー。


そしてー、いつものような大学生活に戻っていく達志ー。


”いつもとは違う周囲の優しさ”を感じた昨日とは違い、

”いつも通り”の1日ー。


お昼になって、今日はなんとか座席を確保すると、

今日は彼女の紗理奈と一緒に昼食を取り始めたー。


「ーそういえばさ、昨日、紗理奈の身体で

 いつものラーメン頼んじゃったんだけどさー」

達志が思い出したかのように言葉を口にすると、

紗理奈は笑うー。


「ーあはは 絶対食べられないやつ!

 …食べられなかったでしょ?」

紗理奈がおかしそうにそう言葉を口にすると、

達志は申し訳なさそうに頷いたー


「ーーあはははー別に大丈夫大丈夫ー」

紗理奈はそう言うと、

お昼を食べながら「でも、達志の身体の方がご飯は美味しかったかなぁ~」と、

昨日、入れ替わった状態で食べたお昼を思い出すー。


「ーそうか?

 あ~、でも、確かにそうかもー」

達志が、そう言いながら食事を口に運ぶー。


そんな、お昼のひと時を済ませると、

紗理奈は「あ、今日はわたしバイトないから、スーパーに寄って

先に帰るけど、何か欲しいものある?」と、

確認の言葉を口にするー。


同居している二人ー。

まるで夫婦かのように、家の足りないものを確認し合うと、

紗理奈は「うん!わかった!じゃあ、それも買っておくね」と、

言葉を口にしながら微笑んだー。


お昼を終えてー、

紗理奈とは別れて、再び一人になる達志ー。


がー、達志は”昨日”の体験を忘れることができなかったー。


紗理奈の身体になって、ドキドキしたりー、

そういった経験ももちろんしたー。


しかしー、それ以上に

入れ替わった状態での大学生活で、達志は

”可愛いは正義”だということを、実感したー。


”かわいいだけで、人間、得するもんだなー”


そんなことを思いながら

”可愛いと得をする快感”が忘れられなくなってしまった達志は、

”また、入れ替わりたいなー”と、

そんな感情を抱くのだったー。



それからー

達志は”可愛いって得だよな~!”とか、

”可愛いは正義だよな!”とか、そんな言葉を繰り返すようになったー。


別に、紗理奈に対して嫌味で言っているわけでは

無さそうな雰囲気だったものの、

紗理奈は、そんな達志の言動に少し不安を覚え始めるー。


”紗理奈”になって、周囲の反応の違いを実感した達志は、

何となく、それを羨ましく思っている様子だったー。


そんな達志の様子を見つめていた紗理奈は、

入れ替わった状態で大学に行ってから1週間ー。


達志に対して、”ある提案”をしたー


「ーえぇっ!?1週間!?」


「ーうん」


紗理奈が”1週間入れ替わった状態のまま、過ごして見ない?”と

そう提案したのだー。


「ーい、いいけどー… へへー

 

 でも、紗理奈、大丈夫かー?

 俺の身体で1週間も過ごすなんてー…?」


達志が心配そうに言葉を口にするー。


が、紗理奈は「大丈夫大丈夫!」と笑いながら答えると

「ー不思議な経験は、今でも大好きだし!」と、そう言葉を口にするー。


紗理奈のオカルト好き・都市伝説好きは今でも健在ー。

入れ替わり経験をすること自体は、紗理奈からしても

楽しいことであることは事実だったー。


がー、それ以上にー…


「ーーよし、じゃあ、1週間入れ替わって生活しようー!」

達志が嬉しそうにそう言い放つと、紗理奈と達志は

再び、入れ替わりの糸を使ってお互いの身体を入れ替えるのだったー…。



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


第2話でした~!☆

今度は(物語内の時間で)1週間入れ替わりデス~!☆


二人がどうなっていくのか、ぜひ見届けて下さいネ~!☆


今日もありがとうございました~!!☆

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