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彼氏は女体化、

彼女は男体化ー…

そんな、とんでもない事態に見舞われた仲良しカップルの二人。


戸惑いながら、どうにかしようと二人で力を合わせるも、

元に戻ることができないまま、週明けを迎えてしまうー。


仕方がなく、大学に事情を説明する二人。

しかし、そう簡単に信じてもらえるはずもなく、

大学の職員も、戸惑う様子を見せる。


がー、女体化した雅夫は”あること”を思い出しー…?


★前回はこちら↓★

<女体化&男体化>俺は女で、わたしは男!?②~困惑~

仲良しの大学生カップルが同じ日に 女体化&男体化ー…!? 彼氏の雅夫は女体化し、 彼女の架純は男体化ー…。 それぞれ真逆の性別になってしまった二人は、 戸惑いの中、とりあえず二人で過ごすことにするもー…? ☆前回はこちら↓☆ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「ーーぐぐぐぐぐぐぐ…」 「…ぐぬぬぬぬぬぬぬ...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「俺たちがこうなった理由ー、分かったかもしれないー」

女体化した雅夫がそう言葉を口にしながら立ち上がると、

男体化した架純は、戸惑いの表情を浮かべるー。


「ーーーーほら…こうなる前の日ー、

 なんか落とした男の人、いただろー?」

女体化した雅夫が小声で言葉を口にすると、

男体化した架純も「あっ!」と、言葉を口にしたー。


短い出来事だったし、

女体化・男体化したことで、色々ドタバタしていてすっかり

忘れていたー。


しかし、雅夫が女体化し、架純が男体化した前の日ー

大学から帰る途中に、

”液体の入った容器”を落とした男と、話をしたことを

今になって急に思い出したのだー。


「ーーー…あれが原因なんじゃないかー?」

女体化した雅夫がそう呟くー。


女体化と男体化が起きる直前に、

”何か変わったこと”があったとすれば、あれぐらいしか考えられないー。


2人で話をした通り、仮に世界で

”急に性別が変わる病気”が、存在するのだとしても、

そんなに珍しい病気に、二人同時、しかも同じタイミングで

かかるなんてありえないー。

と、なれば病気の線は薄いー。


”二人で”

”いつもと違うこと”が

直前にあったとすれば、

あの男が、謎の液体入りの容器を落とした際に声をかけたー…

ぐらいしか考えられないのだー。


「ーーーー…確かにそうかも」

男体化した架純はそう呟くと、

女体化した雅夫は、話し中だった大学の職員に対して

「ーーこうなった理由が分かったかもしれませんー」と、

そう伝えると、

また後ほど話の続きをすることを約束して、

そのまま二人は大学から飛び出したー。


・・・・・・・・・・・・・・・


「ここだったよねー」

「ーーーあぁ」


2人は、こうなる前日に”男”と出会った場所にやってくるー。

がー…当然、その男の姿は周囲にはないー。


「ーーー…そういえば、あの人、スーツ姿だったよねー?」

男体化した架純がそう呟くー。


「ー確かに…だったらーー…」

女体化した雅夫がそう言いながら、通りを見つめるー。


あの日ー、二人は大学帰りの最中に

男を見かけたー。

時間的にも、普段、通勤の際に男はここを通っているのかもしれないー。


「ーーーーーー待ってみよう」

女体化した雅夫はそう呟くと、

その場で、通行人たちを見つめながら、二人は雑談を始めたー


「ーーー…そういえばさ、この状況が続いたらー

 髪、切ろうと思うんだー…

 長い髪ー…見るのは好きなんだけどさ…

 自分がなってみると、邪魔っていうかー大変さが分かったっていうかー」

女体化した雅夫が苦笑いしながら自分の髪を触るー


「ーーふふ そうそうー

 見るのは楽だけど、実際は大変だよねー」

男体化した架純は笑うー。


「ーなんか、長い髪の方がタイプ!とか言っててごめんなー」

ロングヘアーの方が好きな雅夫は、架純にもそんなことを

言ったことがあるー。


そのことを詫びる雅夫ー


「あははーそんなこと謝らなくていいよー

 髪を伸ばせ!!とか人に言ってたらアレだけどー

 わたしは元々、髪、長くするのが好きだったんだしー

 雅夫に強制されてたわけじゃないしー」


男体化した架純はそう言いながら、

「でも、やっぱ短いと楽だよねー

 髪洗う時間とか、髪交わす時間とか滅茶苦茶楽になったし」

と、男体化したことで短くなった自分の髪を

触りながら言うー。


「ーー…はははー。

 俺も、戻れなかったらショートにしよっと」

女体化した雅夫は笑うー。


「ーーでも、髪を切ったあとに急に男に戻れたらー

 髪無くなってたりして!」


男体化した架純は冗談を口にするー


男⇒女になった時に髪は伸びたー。

その伸びた状態の髪を切った上で、女⇒男に戻ったら

”元々男だったときよりも髪が減った状態”で男に戻るんじゃ?と、

架純はそう言葉を口にしたのだー。


「ーいやいや、怖いこと言うなよー…


 でもーーあり得るなー…

 戻ったらハゲとか勘弁だぞ」


女体化した雅夫はそんなことを呟きながらも

通行人の方に視線を向けるー。


その時だったー


「あっーーー!」

女体化した雅夫が声を上げるー。


”いたー”


あの日、液体入りの容器を落とした男が、いたー。


やはり、通勤退勤の時にこの場所を通るようだー。


女体化した雅夫は「すみません!」と、そう声を掛けると、

その男は「はいー?」と、戸惑いながら首を傾げたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーー本当に、申し訳ありませんでしたー」

男がそう言葉を口にするー。


男は、この近くの新薬などを研究している会社の研究員ー

島津 幸隆(しまづ ゆきたか)ー


「ーー”短時間”だから平気だと思ったのですがー

 ”もしも”のことがあったらと思うと、怖くてー」

幸隆はそう言葉を口にしたー。


「ーーつまり、あの時、島津さんが落としてしまったものが

 性転換のための、開発中の薬だったと、

 そういうことですかー?」


女体化した雅夫は戸惑いながら言葉を口にすると、

幸隆は静かに頷いたー。


あの日ー

幸隆は、自分の勤務している会社で研究中の新薬ー

”性別を転換させる薬”を本社から第2研究所に運ぶ最中だったー。


まだ秘密裏に開発されているもので、世間にその存在は

知られていないものの、

将来的に”やむを得ない事情で性別を変える”必要があると

認められた時に用いる薬として、行政機関とも協力の上で

開発が進められているようだー。


がー、そんな大事な薬を運ぶ最中にめまいがして

蹲っていたところー

通りすがりの雅夫と架純に声を掛けられー、

その際に、”性転換の薬”が入った容器を割ってしまったことで

”惨事”が起きたのだというー。


「ーーあの時、近くにいたお二人は、空気に触れて気化した

 性転換の薬を吸ってしまったー

 それで、二人はそれぞれ女体化…そして男体化してしまったということですー」


幸隆の説明に、男体化した架純は戸惑いながら言うー。


「ーでも、それなら島津さんもー」


そうー。

あの時割れた容器の側にいたのは、研究員の幸隆を含む3人ー。

それも、距離で言えば幸隆が一番近くにいたー。


「ーーーー」

幸隆は申し訳なさそうにしながら

「私はーマスクをしていましたからー」と

今も身に着けているマスクを指差すー。


「それとー…薬の成分を知っていたので 

 息をしないようにしてましたからー

 影響が出なかったようですー」


幸隆はそう言うと、

女体化した雅夫は少しだけ不満そうに

「ーー何であの場で言ってくれなかったんですかー」と

そう言葉を口にするー


香りを吸っちゃいけないものなら、その場でそう言って欲しかったー。

しかし、この男は自分だけが息を止めて、

しかも何の説明もせずにその場から立ち去ったのだー


「す、すみませんー すみませんー

 この薬はまだ開発中で”こんなこと”になるとは思わなかったんですー

 まして、人間への試験はまだ一度もやったことがなくてー」


そんな言葉に、女体化した雅夫と、男体化した架純は

目を見合わせたー


「ーーーーえ…」


「ーーお二人が、この薬で性別が変わった初めての事例ですー」

幸隆の言葉に、唖然とする二人ー。


あの日、幸隆は、”まさかこの程度で人間に影響は出ないだろう”と思いつつも

成分を知っているために念のため、自分に影響が出ることを

防ぐために呼吸を止め、

あまり深く考えずにその場から立ち去ったー。

複数本サンプルを持っていたため、会社には残りのサンプルを提出して

誤魔化したのだと言うー。


己の保身のためにー。


がーーー

その結果が、これだー


「ーーえ…?あ、あの…わたしたち、元に戻れるんですよねー?

男体化した架純が不安そうに、幸隆に確認するー。


「ーー元に戻る方法を教えてください」

女体化した雅夫が”元に戻す方法はありません”とは言わせないー、と

言わんばかりにそう言葉を口にすると、

幸隆は泣きそうな表情を浮かべながら、

「すみません、すみませんー」と、そう言葉を振り絞ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


1か月後ー


「ーーったく、まさか…

 お互い、異性として生きることになるなんて

 夢にも思わなかったよー」


女体化した”雅夫”が不満そうに言葉を口にするー


結局、髪型はボブに変えたー。

最初は長い髪は邪魔だし、男の時のようにバッサリと

行こうと、そう考えたもののーーー

”女として生きていくのならー”と、”短めだけど、女子ならでは”の

髪型に変えたー。


「ーー似合ってると思うよー」

男体化した架純はそう言うと、

「架純は、女でも男でも、似合うって言うかー、映えるよなぁ」と、

女体化した雅夫は苦笑しながら、架純の方を見つめるー。


男体化した架純は、

髪を伸ばしたりはしていなかったものの、

”男”ならではのファッションやおしゃれを楽しみ始めていてー、

正直、”雅夫”が男だった時よりもイケメンだー。


「ーーやっぱ、男になる前の”素体”がいいと、

 男になってもイケメンなんだなぁ」


女体化した雅夫は笑うー。


「ーーあははー…そ、そんなことないと思うけどー…

 それに、雅夫だってすっごく可愛いじゃんー?

 もう、ファンクラブみたいの出来てるって聞いたよ?」


男体化した架純が笑うと、

女体化した雅夫は「えぇ!?マジで!?」と、戸惑うー。


「ーーーーーー」

顔を赤らめながら戸惑う様子を見せる雅夫ー。


少ししてから、「なんか…恥ずかしいような嬉しいようなー

変な気分だなー」と、そう言葉を口にしたー。


「ーーそういえばさ、

 なんか、女体化してから結構男子の視線感じるような

 気がするんだけど、これって俺が自意識過剰なのか、

 それとも女子ってこんなもんなのかー…どっちなんだ…?」


女体化した雅夫が少し照れくさそうに笑いながら言うとー、

「ーうーん…男の人だと感じ方が違うのかもだけど、

 視線を感じることは、そこそこあるかなぁ…

 でも、イヤな視線じゃなければ、気にしなくても大丈夫!」

と、男体化した架純は言うー。


「イヤな視線って…?」

雅夫は戸惑うー。

いい視線と嫌な視線?

どうやって感じ分けると言うのかー。


「ーーあははー…それは長年の感覚というかー。

 雅夫も、女子としての時間が増えれば分かるようになるよきっと!」

架純の言葉に、雅夫は「へぇ~…」と、言葉を口にするー。


「ーーそれに、雅夫、可愛いしー、余計に見られるんじゃない?」

男体化した架純の言葉に、女体化した雅夫は

「でも、大学のやつら、俺が元男だって知ってるはずだよなー?」

と、苦笑いするー


「ーーあははー確かにー

 でも、元男でも可愛ければ見つめるんじゃないー?

 その辺の気持ちは、男だった雅夫の方が分かりそうだけどー」


笑う架純ー。


”ーーーーー”

雅夫は、同じ大学に通う男子がもしも、女体化して可愛かったらー?を

想像してみるー。


「ーた、確かに見つめるかもー」

冗談っぽく笑う雅夫ー。


2人はー…結局、元に戻れなかった。

研究員・幸隆によればまだ研究中の薬故に

”元に戻す方法”がなく、彼が勤務している会社にも足を運び、

幸隆から事情を説明して貰って、

会社側からも謝罪を受けたー。


がー、性別を変える薬を再度使っても、二人は元に戻ることはなく、

何度も何度も、その会社の社長も総出で繰り返し謝罪を受けたー。


”元に戻る方法が見つかったら、いち早く連絡すること”も

約束してくれたし、

金銭的な補償なども、会社側は約束ー、既にお金の支払いも

ある程度行われているー。


また、行政機関と協力の上で開発されていた薬であるため、

会社が行政側にも働きかけて、

2人は”女体化した状態” ”男体化した状態”での、

戸籍もそれぞれ、特例中の特例として得ることができたー。


「ーーー」

お互いの学生証を見つめる二人ー。


”久保田 雅美”


”藤枝 和也”


雅夫は、雅美ー

架純は、和也ー


それぞれ元の名前をベースに、二人が行政機関の担当者と相談の上で

決めた名前だー。


もし、このまま女体化・男体化したまま生きていくとしても

生活に支障が出ないよう、こういう対応をしてくれたー


「ーーーはは… ”まさみ”って呼ばれるとなんかドキッとするんだよなぁ」

雅夫がそう言うと、

架純も、笑いながら静かに頷いたー。



その10年後ー。

”性別を変える薬”を使用後に、元に戻す方法も無事に開発されたー


がー、既に”雅美”と”和也”は結婚して、

子供もできていてー、

会社側から”元に戻る方法が見つかりました”と打診された際には、

2人はすっかりー、女としてー、男として新たな人生を歩み始めていたー


「ーーありがとうございますー。

 でも、大丈夫ですー

 わたしももう、母親ですしー、今更男に戻ってもー、

 息子も戸惑っちゃいますからー」


すっかり、”雅美”となった雅夫は、担当者にそう言葉を口にするー


「ーーそうですねー。

 僕も同じ気持ちですー」


男体化した架純=和也も、そう言葉を口にすると、

担当者の人は、申し訳なさそうに、けれども少し安堵した様子で

2人を見つめたー。


望まぬ女体化と男体化ー

そんな目に遭ってしまった二人ー。


けれど、そんな二人は苦難を乗り越えて、

今はとっても幸せそうだったー…。



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


女体化と男体化が同時に発生するお話でした~!☆

同時発生を描くのは、私は初めてだったので、

少し不思議な気持ちに…☆


こうして書いてみると、

②の時も書いたように、やっぱり入れ替わりみたいな

感覚になります~笑


お読み下さりありがとうございました~~~!

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