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彼女の梨絵に浮気され、

失意のどん底に突き落とされていた孫の優司。


そんな優司を気の毒に思った祖父の祐五郎は、

梨絵を皮にして支配し、

梨絵のフリをして優司に接近するー。


がー、あっけなく優司に気付かれてしまい、

それでもなお、期間限定で優司の側にいることにした

梨絵を乗っ取った祐五郎ー。


しかしー…”乗っ取られた梨絵”に振られた”田島先輩”は

事情も知らず、一人、怒りの形相を浮かべていたー…。


★前回はこちら↓★

<皮>じいちゃんが元カノになって帰ってきた③~誘惑~

孫のために、浮気した挙句、孫を振った”元カノ”である 梨絵を皮にして乗っ取った祖父・祐五郎ー。 乗っ取った梨絵の身体で、孫の優司の家に足を運んだ祐五郎は、 優司を元気づけようと、梨絵として あれこれ誘惑するような行動を繰り返すー。 がー… ”じいちゃんだよなー?”と、あっさりと見破られてしまいー…? ★前回は...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーあぁぁ~~いい足じゃのぉ~」

梨絵は、自分の部屋で嬉しそうに、

キレイな足を何度も、何度も、嬉しそうに

その手で触っていたー


「ふふふ…ふひひっ♡ 若い頃を思い出すのぉ」

顔を赤らめながら、興奮している梨絵ー。


そんな梨絵の様子は

事情を知らない人間からすれば”異常”でしかないー。


鏡の前でモデルのようなポーズをとって、

それを自分で見て興奮する梨絵ー。


「ーはぁはぁはぁ…こんなポーズ目の前でされたら

 わしも一発で惚れちまうのぅ…」


ニヤニヤの止まらない梨絵ー。


がー…

梨絵は髪を揺らしながらカレンダーを見つめると、

表情を歪めたー。


”明日の夜”には、もう”梨絵”を脱がなくてはならないー。


浮気した挙句、開き直り、孫である優司を深く傷つけた

優司の幼馴染・梨絵ー。

そんな梨絵への”お仕置き”は十分に済んだー。


そして、優司自身も、なんとか立ち直っているように見えるー。

もちろん、梨絵が正気を取り戻せば、優司の前からは去っていくだろうー。

そうなれば、また優司は落ち込むかもしれないー。


けれど、それでも、優司はきっと、今度は前に進むことができるー。


それにーーー


「ーーわしも、最後にこんな最高の身体を楽しむことができてー

 いい人生じゃったー」


乗っ取った梨絵の姿を鏡で見つめながら、

嬉しそうに笑うー。


「ーーーふへ…へへへへへへ♡

 最後ぐらいー…いいじゃろ」


梨絵はそう呟くと、胸を揉みながら

気持ちよさそうに声を上げ始めるー。


”~~~~~♡♡”


隣の部屋から、梨絵の喘ぐような声が聞こえてきて、

優司は「おい、じいちゃんー何をやってー」と、

部屋の方に近付いていくも、ふとカレンダーを見つめるー。


明日は”じいちゃん”が、梨絵を解放すると宣言している日だー。


「ーー…ったく、本当にじいちゃんも…いい年してエロイよなー…」

呆れ顔でそう呟く優司ー。


がー…

何となく”じいちゃんの好きにさせてあげよう”という気持ちになって、

そのまま梨絵の喘ぎ声を聞きながら少しだけドキッとしながら、

部屋の前から立ち去るー。


別に、梨絵の喘ぎ声をそのまま聞いていたいわけではないー。


しかし、何故か止める気にはならなかったー。


”じいちゃんへの配慮”かー、

それとも”自分を裏切った梨絵に対する復讐”かー。

自分でも、その感情はよく分からなかったけれど、

優司はそのまま”じいちゃん”の好きなようにさせたー。



やがてーー

祖父・祐五郎は、梨絵の身体で絶頂に達すると、

その余韻が抜けないまま横たわって、

「幸せな人生じゃったー…」と、そう言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


優司と”梨絵”は、最後の”デート”をしたー。


「ーーこれで、最後じゃー。

 わしはデートが終わったらこの子を解放してー、

 優司ー。お前もこの子のことはーもうー」


梨絵が自分を指差しながら言うと、

優司は少しだけ悲しそうな表情を浮かべながら頷くー。


「ーもう…踏ん切りはついたよ。

 じいちゃんのおかげだー」

優司のそんな言葉に、梨絵は安堵の表情を浮かべるー。


「そうかー。じゃあ、これでわしも安心してー」

梨絵のそんな言葉に、優司は少しだけ表情を歪めるー。


「ーーじいちゃんー?」

優司が首を傾げるー。


「ーいや、いや、なんでもないんじゃー。」

梨絵は、そう誤魔化すように口にすると、

「ーユウくん、わたしみたいな”浮気女”のことは

 もう放っておいてー、元気に頑張るんだよ?」と、

”梨絵”のような口調でそう言葉を口にしたー。


「ははー…

 梨絵は、絶対そんなこと言わないと思うケドー…


 ま、じいちゃん、ありがとなー

 おかげで色々、踏ん切りがついたよ」


優司がそう言うと、梨絵は「ならよかったー」と、

少しだけ寂しそうに微笑んだー。


「ーこのあとはどうするんだ?」

優司が聞くと、梨絵は

「わしは、どこか人目につかない場所でこの子を脱いで

 そのまま抜けるつもりじゃー。

 この娘はー、飛んだ状態で目を覚ますことになるじゃろうがー…

 まぁ、わしの可愛い孫を裏切った罰じゃよ」

と、そんな言葉を口にしたー。


「ーーそっかー」

優司は、”梨絵を皮にして乗っ取る”ということに、

未だに戸惑いはあったものの、

じいちゃんも悪気があって、そういうことをしているわけではなさそうだったし、

一緒に過ごしたわずかな期間ー、じいちゃんは確かに

梨絵の人生を破壊するような行為をすることはなかった


あくまでも”お仕置き”と、”孫を元気づける”ー


それと、まぁー

ほんのちょっと”下心”ー

それが、目的だったのだろうー。


「ーじゃ、またなー…次は会う時はまた

 わしは、ヨボヨボのジジイだけどー

 我慢してくれな」


梨絵がそう言うと、優司は「そんなこと気にしないさ」と、笑うー。


梨絵も笑いながら、そのまま向きを変えると立ち去って行こうとするー。


がーー…

その時だったー。


「ーーー梨絵ぇえええええええええええええ!!!!」

横から、大声が聞こえたー


「ーー!」

梨絵と、優司がその声がした方向を向くと、

そこには”田島先輩”の姿があったー。


梨絵の浮気相手だった大学の先輩だー。


だが、この田島先輩は”乗っ取られた梨絵”に振られていて、

何も事情を知らないまま、梨絵に対して激しい怒りを抱いていたー。


「ーーー…あ、あいつはー…この娘の浮気相手じゃー」

梨絵がそう言うと、

優司は「し、知ってるよー。梨絵から聞いてたからー」と、

そう返事を返すー。


田島先輩が鬼のような形相で梨絵の方に向かってくるー。


優司は慌てて「先輩」と、言葉を口にしながら

田島先輩を止めようと割って入るも、

田島先輩は「どけ!」と、優司を突き飛ばしたー


「うっ!?」

突き飛ばされた際に足をくじいて、その場に蹲る優司ー。


「そうかそうか お前かー

 元カレの分際で、お前が梨絵を、俺から奪ったんだなー」

田島先輩が優司のほうを見つめながら笑うー。


「ーーふざけやがってー」

そう呟くと、田島先輩はナイフを取り出して

それを優司の方に向けたー


「ぐ……浮気相手だったのはアンタだろー…!」

優司は、田島先輩を睨みながらそう言い放つー。


”元カレの分際”などと、略奪男に言われたくないー。

それに、田島先輩はイケメンだが、

悪い噂をそれなりに聞くー。

こんな、ナイフを持っているようなやつは、

やはりまともではないー。


優司がそう思いながら、痛む足をなんとか奮い立たせて

立ち上がろうとするも、立ち上がれないー。


「ーへへ」

そうこうしているうちに、田島先輩が優司にナイフを向けるーー


がーー


「ーやめろおおおおおお!」

梨絵が叫びながら、田島先輩に突進して

ナイフをはじき飛ばすー。


「ぐえっ…!梨絵…貴様!…

 俺のこと好きだって言っておきながら

 貴様はやっぱり、彼氏のほうをー!」


田島先輩のそんな言葉に、

梨絵は「ーナイフなんて物騒なものをー…お仕置きが必要じゃな」と、呟くー


「じゃな? ははっー 何言ってんだお前!」

田島先輩が笑うー。


が、若い頃は格闘技も習っていた祖父・祐五郎は、

慣れない梨絵の身体でも、田島先輩を圧倒し始めるー。


”口”と”脅し”だけが武器の田島先輩は

あっという間に追い込まれていくー。


「ーーー貧弱な男じゃのぅ」

梨絵が笑いながらそう言い放ったその時だったー


「ーー!?!?!?!?」

ぐらっ、と激しいめまいに襲われる梨絵ー。


「ーーぐっ… ま… まさか…」

その場にしゃがみ込んで、急激に激しい苦痛を胸のあたりに感じながら、

一瞬、優司のほうを見つめるー


わかってたー…

自分の身体は、もう持たないことぐらいー。


余命宣告を受け、梨絵を皮にしてー

梨絵として過ごす中、”全然調子悪くないし、むしろ体調が良いぐらい”だと

思ってたー。


けど、祐五郎は、一度、優司に種明かしをするために

梨絵の皮を脱いだ時、気付いたのだー。


梨絵を乗っ取った日よりも”自分の体調が、かなり悪化している”ことにー。


”皮にした人を着ている間”は、

感覚や体調がその、”乗っ取っられている人間の身体”がベースになるー。


梨絵を着ている間、祐五郎は”梨絵の身体”がベースになっていたため

”自分の体調がどんなに悪くなろうと”梨絵が健康であるために

普通に動けている状態が続き、体調悪化にも気付かなかったのだー。


今日も、脱げば”この前よりさらに酷い体調になっている”のは

予想していたー。


がー…


祐五郎の身体は、ついに限界を迎えて”死”を迎えようとしていたー。


いくら、体調が”着ている皮”ベースでも、

中身の人間が死ねば、それで終わりー。


「ーーーーぁ…… どうしてじゃー……

 どうして、こんなときにー……」


梨絵は呟くー。


そしてー、祐五郎は”梨絵を着たまま”

梨絵の中で、そのまま死んでしまったのだったー。


「ーーー…ぁ…?」

田島先輩が、急に倒れた梨絵を見て驚くー。


優司はまだ、足を押さえて苦しそうにしながら

「り…梨絵…」と、呟くー。


「ーーく…くくくくー」

田島先輩はよろよろと立ち上がると、優司のほうを見つめたー。


誰かが通報したのだろうか、パトカーのサイレンが

聞こえて来る中、田島先輩はナイフを拾って優司のほうを

睨みつけるー。


「俺に恥をかかせやがってー…

 まずはお前からだ!」

田島先輩は狂った笑みを浮かべながら、優司の方にナイフを持って

迫って来るー。


「ぐ…」

足が言うことを利かないー。


しかし、パトカーのサイレンの音的に、

”田島先輩が、優司の息の根を止める”には、まだ十分な時間があるー。


「ーーーーーーー…じいちゃん… 梨絵ー」


”皮にした梨絵を着たまま”死んでしまった祖父・祐五郎ー。


梨絵は口を半開きにしたまま失神しているー。


”人を皮にする注射器を使い、人を着たまま、中身だけが死んでしまった場合”ーー

着ている側は、その中で死んだまま遺体も発見されず、

着られた側の意識は、”遺体”に身体の主導権を握られたまま、

最悪の事態を迎えるー。


ーーと、そう言われているー…。

最も、”着たまま中身が病死する”なんて事例は、

これまでほとんどなく、それが本当かどうかは、

人を皮にする注射器を流通させている者たちにも、

確証は持てていないー。


いずれにせよ、梨絵は口を半開きのまま倒れ、

微動だにしていない状態が続いているー。


「ーーーーーーくくく…

 後輩の癖に、先輩に恥をかかせるからこうなるんだー」

田島先輩が優司の目の前にやってくると、ナイフを手に笑みを浮かべるー


「ーーーー死ねー!」

田島先輩が優司に向かってナイフを振るうー。


がーーー

その時だったーーー


「ユウくん!!!!!!」


「ーー!?!?!?」

優司が、その声にハッとして振り返るー。


「ーーーダメー…ユウくん!」

倒れていたはずの梨絵が、声を上げながら、

田島先輩を止めようと、裏切ったはずの優司を助けようと

必死に、二人の間に割って入ったー


「ーー梨絵!?!?!?」

優司が叫ぶー。


「ーーお…お…お前っ…!」

田島先輩が驚いて声を上げるー。


優司に向けられたナイフはーー

優司ではなく、必死に合間に割って入った梨絵に刺さっていたー


「ーーー…お…お前っ…!俺より…そいつを選ぶのか!?!?

 …お…お… うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ」


梨絵が優司を守ったのを見て、田島先輩は

泣き叫びながら、その場で頭を抱えて蹲るー。


「ーーーー…ユウくんー」

梨絵は涙目で優司のほうを見つめながら笑うー。


「ーーよかったー……

 ーーーーーごめんねー」


梨絵は、それだけ言うと、力が抜けたかのように

そのまま倒れ込んだー。


「梨絵っ…!おいっ!梨絵!」

優司は、梨絵に駆け寄ると、直後に駆け付けた警察官たちに

”どうか梨絵を助けて下さいー”と、必死に声をかけたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


梨絵は、一命をとりとめたー。


が、その意識は戻らないー。


”中身”の、祖父・祐五郎が梨絵を着たまま

死んでしまったからだろうかー。


あのあと、優司は”じいちゃん”が余命あとわずかだったことを知ったー。

恐らく、”じいちゃん”は、梨絵を脱ぐ前に死んでしまったのだろうー。


様々な精密検査が行われたものの、

”生命活動は維持されているものの、内部に謎の反応がある”として、

医師も頭を抱える始末だったー。

恐らく”人を皮にする力”によって、通常ではあり得ない状況に

なっているのだろうー。

しかし、あまりにも現実離れしたことを、優司が説明するわけにもいかず、

”皮”のことは口を閉ざすしかなかったー。

優司自身も、”じいちゃん”から、そこまで詳しい話は聞いておらず、

仮に説明しても、警察や病院から”頭のおかしな元カレ”と思われるだけだー。


「ーーーー梨絵」

今日も、梨絵は目を覚まさないー。


あの日ー

田島先輩から、優司を守ってくれたのは、

”梨絵本人”だったのだろうかー。

それとも、”梨絵を着ていたじいちゃん”が死の間際に梨絵の身体で

助けてくれたのだろうかー。


「ーーーーー」

梨絵は、確かに田島先輩と浮気して優司を裏切ったー。

その優司を守る理由は、あるのだろうかー。


いやー、でも、優司に対しても”幼馴染としての愛情”は

残っていたのかもしれないしー、

意識を取り戻して、咄嗟に優司が襲われているのに気づき、

相手が田島先輩だと気付かぬまま優司を守っただけかもしれないー。


あるいは”じいちゃん”が、最後の力を振り絞って守ってくれたのかー。


「ーーーーー…梨絵…俺、分かんないよー

 梨絵が俺のこと、どう思ってるのかー」


優司は寂しそうに、眠ったままの梨絵のほうを見つめるー。


”着られたまま”じいちゃんが死んでしまった梨絵は、

もう目を覚まさないのだろうかー。


ーーー…それは、優司には分からないー。

しかし、いつかきっとー…


「ーーー梨絵…早く起きて、教えてくれよー

 どうして、俺を助けたのかー


 ーー梨絵が起きる日まで、

 俺も、もう落ち込まずに頑張るからさー…

 …俺を励ましてくれた、じいちゃんのためにもー」


優司は、寂しそうに眠ったままの梨絵のほうを今一度見つめると

悲しそうに、そんな言葉を口にしたー。


おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


”皮にした人を着たまま中の人が死んでしまったら…?”

そんな結末の部分が最初に浮かんで、そこから考えたお話デス~!


普段は、あまりそこまで深く考えない部分を

考えながら書いたので、楽しい経験でした~★笑


ここまでお読み下さりありがとうございました~!☆

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Comments

たそがれ

色々と謎の残る終わり方になりましたね。 なんで最後に梨絵が優司を守ったのか? 中身の祐五郎が死んで、着られたままの状態の梨絵が今後どうなっていくのかとか。 憑依だった場合、憑依人の精神が崩壊したら、本人の精神が開放されたりとかするみたいですけど、皮で、中身に遺体が入ったままの場合、この先どうなるか、まったく予想がつきませんね。 いつか続編で謎が明らかになったりとかするんですかね?

無名

コメントありがとうございます~!☆★! 今回は”あえて”謎が残る結末にしてみました~! 私も”中身が死んだままの状態”の続きは 是非書いてみたい気もするので、続編が登場するかもしれませんネ…★!