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親しくなった相手から、残酷な裏切りを繰り返される龍星ー。


しかし、婚約者であった麻紀の幼馴染であり、

龍星の親友である幸人は、龍星からこれまでの”女性からの裏切り”を聞き、

”さすがにそれはおかしくないか?”と、疑問を抱いたー。


お人好しの龍星に代わり、幸人は姉の尚美に事情を説明、

同意を得た上で、協力を要請し、

”龍星と親しくなったフリ”をしてしばらく過ごしてもらうことにしたー。


もしも、麻紀や、他の女性たちの”急な豹変”の裏に

誰かが関与しているとすればー、

”必ず”引っかかるはずだと、そう考えてー…


★前回はこちら↓★

<憑依>お前に幸せになる資格はない②~困惑~

翌日に結婚式を控えた婚約者から突然告げられた別れー。 ”昨日まで”当日を楽しみにしていたはずなのに、 突然豹変した婚約者・麻紀を前に 龍星は、驚くと同時に”またか”と、そうも感じていたー。 彼は、これまでの人生で”なぜか”親しくなった女性が豹変し、 疎遠になるー、ということを繰り返していたー。 …それがー、”...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


帰宅した幸人の姉・尚美は

「ーーそれにしても、本当に”何か”が起きるのかなー?」と

少しワクワクしたような表情を浮かべていたー。


弟・幸人の頼みで、幸人の親友・龍星と

”仲良しのフリをして”最近は連日を過ごしているー。


尚美にも仕事があるため、毎日、とまではいかないが、

それなりの頻度で、ここ最近は龍星と会っているー。


弟の幸人によれば

”龍星と親しくなった女性は必ず豹変している”とのことー。


その話を聞かされて、協力をお願いされた時に、

都市伝説の類が好きな尚美は”面白そう”と、思ったー。


”得体の知れない何か”に、弟の親友と、女性たちの仲が引き裂かれている”

そんな話を聞いて、都市伝説好きの尚美が

黙っていられるはずはなかったのだー。


「ーーーそれに、幸人の頼みだしねー」

小さい頃から弟の幸人を可愛がっている尚美は、そう呟きながら、

”あ、そうだー今日も何もなかった、って報告しておこ”と、

机の上に置いてあるスマホの方に向かうー。


だが、その時だったー。


尚美のすぐ背後に、不気味な人魂のようなものが現れるー。


”クククー

 龍星ー…お前に幸せになる資格はないー”


龍星の父・勝男の霊体ー…

それが、尚美の身体に向かって突進したー


「ーーーうっ…」

ビクッと、震える尚美ー


「ーーふ…ふふふふふふふふふ」

尚美は、途端に笑いだすと、

「お前だけ幸せになるなんて、許さないー」

と、ニヤリと笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー。


今日も、尚美と会う約束になっていた龍星は、

待ち合わせ場所に行く前に、と、幸人に連絡を入れるー。


”ーーそろそろ、お姉さんも迷惑だろー?

 今回は何も起こりそうにないし、

 やっぱ、単に俺が女運がなかったってことだよー”


そう、伝えようと思っているー。


いくら、”親友の姉”とは言え、

こんな、”女性たちが豹変した元凶”を突き止めるためだけに

いつまでも”カップルごっこ”のようなことをしてもらうわけにもいかないー。


「ーーーダメか」

しかし、まだ仕事中なのか、電話が繋がらず、

仕方がなく、そのまま尚美との待ち合わせ場所に向かうとー、

そこに尚美がやってきたー。


「ーーーいつもすみませんー」

龍星がそう頭を下げると、尚美はいつもとは違う、不機嫌そうな

表情で龍星を見つめたー。


「ーーあんたー、付き合ってみて思ったけどー

 やっぱ、男として魅力がないー」


尚美が、そんな風に突然言葉を言い放つー


「ーーえ」

龍星が青ざめて尚美の方を見るー


尚美の目は、いつもとは違って、冷たい感じだー。


だがーーー

尚美とは”そもそも”付き合っていないー。

お互い、”デートするフリ”をしていただけだー。


そしてーー

事前に、


”絶対にわたしが急に、高沼くんのこと嫌ったりはしないからー

もしも、わたしの態度が急に変わったら、”何かあった”ってことだからねー”


と、そんな話まで尚美はしていたー。


つまりーーー

今、目の前にいる尚美が”あんたのこと嫌い”と言ってきたということはーー


”何かあった”

と、いうことだー


「ーーや、やっぱり、誰かに何か言われてー…!」

龍星が、そう言いながら尚美のほうを見つめるー。


だがー


「ーーは? なんのこと?

 わたしは、あんたがただ単に嫌いになったのー

 女を満足させられないつまらない男のあんたが!」


父・勝男は、尚美の身体でそう叫ぶー。


今度こそ、”誰かと親しく”ならないように、

心を抉るような発言を繰り返す尚美ー。


「ーーーーーで、でも、俺たち、そもそも付き合ってなんかー…!」

龍星がそこまで言いかけたその時だったー


「ー姉さん、龍星ー。」

少し離れた場所から、親友の幸人の声がしたー。


「ーあん?」

尚美が不愉快そうに振り返ると、

幸人が二人のところに近付いて来たー。


「ーーー重藤ー」

龍星が、幸人の名を呼ぶと、幸人は

「安心しろ。理由が分かった」と、笑みを浮かべたー。


「ーー…な、何よー」

少し戸惑う尚美ー。


「ーーいや、しかしーーまさか、そんな理由だったとはビビったぜー」

幸人がそう言うと、スマホを手に、龍星に何かを見せ付けたー。


「ーーこ、これはー?」

龍星が、スマホの映像を見て、戸惑いながら幸人に確認すると、

「昨夜の、姉さんの部屋の様子さー」と、笑みを浮かべたー


「い、いやいやいや、勝手にお姉さんの部屋にカメラ置いたのか!?」と、

困惑の表情で龍星が言うと、

幸人は「ははー、勝手にじゃないさー。姉さんの許可は取ってたー」と、

言いながら映像を見るように促すー


「ほら、姉さんもーーー


 いいやーーー

 ”あんた”も見ろよ」


幸人がそう言うと、尚美は表情を鬼のように歪めたー


「ーー!」

龍星も、幸人のそんな言い方に少し驚きながら映像を見るー



するとーー

そこには、尚美が突然ビクッと震えて、急に様子がおかしくなる

映像が映し出されていたー。


「ーーこ、これはー…?」

龍星が、スマホを持っている幸人のほうを見ながら

不思議そうにそう言葉を口にするとー、

「驚くのはまだ早いぜ」と、続きを見るように促したー。


「ーーー……」

尚美は、そんな様子を険しい表情で見つめているー。



映像は続くー。

尚美が”お前だけ幸せになるなんて許さないー”と、

突然、おかしな言葉を口走り始める映像ー。


そんな映像を見ていると、

まるで尚美が幽霊か何かに乗り移られたかのようなー、

そんな風にまで思えてしまうー。


「ーーーあ、あのー…何があったんですかー?」

龍星が、不安そうに尚美に聞くー。


だが、尚美は答えないー


代わりに幸人が言葉を口にするー。


「高沼ー。”そいつ”に聞いても無駄だー」

とー。


「ーーーーー…」

龍星は、幸人がなぜ、姉である尚美のことを”そいつ”などと呼ぶのか、

まだハッキリとは分からず、そのまま映像の続きを見つめるー。


やがてー、映像の中の尚美は、

誰かと電話で話を始めたー。


尚美に憑依している龍星の父・勝男が、

憑依でしもべにした”香織”と連絡を取り合っているのだー。


そしてーー…

その電話の最中に、笑みを浮かべながら、

電話相手の香織に向かって、こう言い放ったー。


”龍星がこれから、どんな女と親しくなろうとー、

 俺が憑依して、必ずその仲を引き裂いてやるーーー”


とー


「ーーー…ひ、憑依!?」

その映像を見ていた龍星が表情を歪めるー。


「ーーー…チッ」

尚美が舌打ちをすると、幸人は、

「ーこれで分かっただろー。お前が親しくなった女性は、

 みんなこいつに”憑依”されて、その仲を引き裂かれてたんだー」と、

そう、龍星に対して言い放ったー。


「ーそ…そ…そんなー」

龍星が呆然とすると、幸人はスマホをしまってから尚美を睨みつけるー。


「ーー誰だか知らねぇけど、姉さんから出てってもらおうかー」と、

そう言いながらー。


「ーーーー…ーーー」

しばらく表情を歪めていた尚美だったが、

やがて「ーーふんーいいだろうー」と、言葉を口にするー


「ーーぁ?」

幸人は思わず変な声を出すー。


姉の尚美が”憑依”されてしまったー。

そのことを、映像で確認して理解した幸人は、正直、

”生きた心地”がしなかったー


”姉さんをこんなやべぇことに巻き込んでしまった”という後悔と、

”もし、このまま姉さんがどうにかなってしまったら”という恐れー、

そんな感情に押しつぶされそうになったー。


がー、自分がそんな動揺してはいけない、と、

こうして冷静を装い、この場にやってきたのだー。


がーー…

”尚美に憑依した誰か”は、あっさりと尚美を解放すると言い放ったー。


そのため、幸人は、逆に唖然としていたー。


どうして、こんなにもあっさり姉さんを解放するのかー…

という疑問ー。

そして、”姉さん”が解放されるという安堵ー。

そんな、複雑な感情が入り乱れていたー…。


「ーーーなんだ?姉が解放されるというのに、浮かない顔だな?」

憑依された尚美のそんな言葉に、幸人は

「いや… それより、あんたは誰なんだ?」と、言葉を口にするー


がー…、

尚美に憑依している勝男が、言葉を発する前に、

龍星が言葉を口にしたー。


「ーーーー俺の父親ー」

とー


「ーーなに?」

幸人が表情を歪めながら龍星のほうを見ると、

龍星は、幸人のほうを少しだけ見てから、尚美に視線を移して

言葉を続けたー。


「ーー父さんなんだろ?」

とー。


「ーーー…ククー よく分かったなー」

尚美がニヤニヤしながらそう言うと、

「ーーさっきの映像を見て、今、こうして話してて分かったー。」

と、龍星は答えてからー

「麻紀も、今までの人たちも、全部、父さんが?」と、

信じられない様子で確認の言葉を口にするー


「ーーククー…まぁ、そういうことだー

 この前の、青島 麻紀の時もそうー

 お前が幸せになるなんて、許せないー」


尚美がそこまで言うと、

「ーあ、あんたー…り、龍星は自分の息子だろ!?

 息子の幸せを、憑依で壊してたって言うのか!?」と、

幸人が口を挟んだー。


「ーー部外者は黙ってろ」

尚美に、物凄く冷たい口調でそう言われて、幸人は

気圧されてしまうー。


「ーーーー…父さんー、その人は無関係だー

 さっき、聞いただろ?」


龍星が、”まずは幸人のお姉さんを解放させないとな”と

思いつつ、そう言うと、

「あぁーそうだなーお前と親しい相手でないのであれば、この人は関係ない」と、

尚美の身体を、自分で見つめるー。


「ーーー…来週の”命日”に、”母さんの眠る場所”に来いー

 そこで、話をしようー」


尚美はそれだけ言うと、ニヤッと笑みを浮かべるー。

そして、尚美の身体から、不気味に光る人魂のようなものが

抜けていくと、尚美はその場に倒れ込んだー


「姉さん!」

幸人が駆け寄り、倒れた尚美を支えるー。


「ーーー父さんー」

悔しそうに、そう言い放つ龍星ー。


やがて、尚美が目を覚ましたことに気付き、

龍星は、「俺のせいで、こんなことに巻き込んですみませんー」と、

慌てて謝罪の言葉を口にするー。


「ーーーー…あ…… え、えっとー…?」

憑依されている間のことを覚えていない尚美が、

戸惑いの表情を浮かべていると、

幸人が「姉さんー。無事でよかった」と、言葉を口にしながら

”起きたこと”を説明し始めたー。



やがてー

説明が終わり、尚美が落ち着くと、

「でも、憑依されるなんて貴重な経験かもー。

 あ、幸人、その動画貰っていい?」と、

幸人が撮影していた”尚美が憑依される瞬間”の映像を

欲しがり始めたー


「ーーはは、すっかりいつもの調子に戻って来たな」

幸人が安心した表情でそう言うと、

龍星のほうを見て、真剣な言葉を口にしたー。


「ーーーーーー来週ー、行くのか?」

とー。


「ーーーあぁ」

龍星はそう言いながら静かに頷くと、

”逃げるわけにはいかない”と、

父・勝男から言われた通り、

”来週の命日”に、”母さんの眠る場所”に行くことを決意し、

深々とため息を吐きだしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーーー」

不機嫌そうに、龍星との思い出の品を処分している

”婚約者”だった麻紀ー。


そこにーー

龍星の父・勝男の霊体がやってくるー


”もう一度、その身体を借りるぞー”


そう呟きながら、麻紀に憑依するー


「ーーひっ!?!?!?」

ビクッと、身体を震わせて、ピクッピクッと何度か痙攣すると、

ニヤリと笑いながら、麻紀は歩き始めるー。


「ーーお前だけ幸せになるなんてー、俺は認めないぞ、龍星ー」

麻紀を支配した勝男は、そう呟くと静かに家の外に向かって歩き始めたー。



④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


次回が最終回デス~!

どんな結末を迎えるのか、ぜひ見届けて下さいネ~!


今日は夕方~夜のはじめ頃に、

今後の新作発表も予定しているので、

お時間があれば、それも楽しんで下さい~!★★!!

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