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彼はー…

”睡眠不足になると女になってしまうー”

そんな体質の持ち主だった。


原因は、不明ー。


よくある、”生まれつき〇〇”というやつだー。


生まれつき、不思議な体質で生まれて来る人間は、

人類全体を見渡せば、それなりにいるー。

彼の場合、それが”睡眠不足になると女になる”というー

そんな状態だっただけだー。


しかしー

生まれたときは確かに”男子”であったために、

基本的には”男”として育ってきたしー、

両親にもそう育てられてきたー。


そもそも、”睡眠不足の状態になると女になる”ということに

気付いたのも、生まれてから少ししてからのことだー。


確かー、

最初は3年生ぐらいの頃、夏休み中に

おじいちゃんの家で、おじいちゃんと一緒にいられることが

楽しくて、ついつい夜更かししてしまった時だっただろうかー。


あの時は、本当に大変だったー。


夜中に急に女体化してしまって、

おじいちゃんに「き、君は誰なんじゃ!?」と、騒がれて

危うくトラブルになりそうになったー。


その後、両親もそんな彼の体質ー

”睡眠不足になると女になる”ということに気付き、

”また女の子になっちゃったら大変だから、早く寝なさい”と

日常的に言われるようになったー。


そんな彼は、高校生までその言いつけを守ったー。


時々、受験勉強や期末テスト・中間テストなどを理由にして

”わざと寝不足”になって女体化しては、

ニヤニヤとこっそり楽しんでいたことは両親には秘密だが、

それ以外は基本的に”男子”として生きて来たー。



がーーー


「ーーあ~~!今日もわたしってば可愛い♪」


大学から帰宅した、

生まれつき”睡眠不足になると”女体化する男、

若松 哲哉(わかまつ てつや)は、スカートをふわふわさせながら

鏡に映る自分のー

”美人”な姿を見つめたー


「は~~~…やっぱ、俺には女子の方が似合う~」

哲哉はそんなことを呟きながら、嬉しそうに鞄を机に置くと、

今一度、鏡を見つめたー。


”とってもかわいいー”

自分の姿をそんな風に思いながら、

うっとりとした表情を浮かべるー。


「ーふぁ~…」

ふいに、あくびが出るー。


ーーそうー…

”生まれつき睡眠不足になると女体化する男”哲哉はー、

実家を出て、大学生になってからは”女体化”してー、

女子大生として生活を続けているのだったー。


「ーーホントはもっと早く女の子になりたかったけどー、

 まぁ、大学生からでも遅くはないよねー」


にこっ、と微笑む哲哉ー。


彼は実家を出てからは、

”常に睡眠不足”の状態を維持して

”女子大生”として生活し続けているー。


初めて自分が女体化した時に、妙にドキッとしたのを覚えているー。

異性を意識したのは、その時からだったと思うー。


そして、高校生になったころには、

時々両親に隠れて睡眠不足になって女体化しては、

一人で色々と楽しんでいたー。


ずっと、ずっと、哲哉は”女体化したい!”と、そう思い続けて来たー。


が、両親の手前、実家にいる間はずっと我慢したー。

親のことは嫌いじゃないし、親に心配はかけたくないー。

だから、大学生になって実家を出るまでは”我慢”したー。


そしてーー…

大学生になり、実家を出た直後から、

哲哉は”常に睡眠不足の状態”を維持して、女子大生としての

生活を続けているのだー


”冬川 裕美(ふゆかわ ゆみ)”

そう書かれた学生証を見つめるーーー



ちょうど、2年ぐらい前ー。

大学受験に挑んでいる哲哉は、”ある計画”を企てていたー。


それはー、

”大学生になったら一人暮らしを始めて、女子大生として生活したい”と、

いうものだったー。


実家を出て、一人暮らしを始めれば

そのための”環境”は整うー。


だがー、問題は”大学”だー。

高校生のうちはまだ”大人しく男子として”過ごしておく必要があるー。

両親に心配をかけたくないし、悲しませたくないからだー。


しかしー、”この姿”のまま受験を受ければ、

当然”若松 哲哉”として大学に受かることになり、

春を迎えた時に”わたし、実は女でー”なんて言うのは流石に

通用しないだろうー。


だからと言って、一人暮らしを始めたあとに

”実は大学に行かず働き始めて…”というのもあまり気乗りしないー。

その後の生涯稼げる給料にも影響が出るだろうし、

できれば大学に通いたいー。


そこでーーー

”何か方法はないものかー”と、

哲哉は考えたー。


そして、見つけたのだー。


”男”として受験を受けつつー

”女子大生”として入学する方法をー


それはーーー


「ーーおじさん、ちょっと大事なお話がー」


”おじさん”の存在だったー。


哲哉の父親の兄にあたる人物がー、

”大学の経営者”なのだー。


しかも、その人物はー、

生涯独身を宣言していて、

小さい頃は、自分には子供ができないから、とー、

”弟の息子である”哲哉のことをとてもよく可愛がってくれたー。


最近は、父とあまり上手く行ってないらしく、疎遠になっていたものの、

もしかしたら”おじさん”ならー…


と、哲哉は思い、早速行動を実行に移したー



その結果がー

今の”女子大生ライフ”だー。


今日も、哲哉は”若松 裕美”として

いつものように大学にやってきていたー。


「あ、裕美ちゃんおはよ~!」

友達に背後から声を掛けられた裕美は、振り返ってにっこりと微笑むー


大学では”俺”は哲哉ではないー。

大学では100%”わたし”になれるー。


裕美はそんなことを思いながら「おはよ~!」と

可愛らしく手を振ると、その友達・樹奈(じゅな)と、楽しそうに

雑談しながら大学の構内へと向かうー。


「ーあ、そうだー…樹奈は先に行っててー」

裕美は、途中で思い出したかのようにそう呟くと、

そのままこの大学の理事長のところに向かうー。


理事長のいる部屋をノックして中に入るとー、

そこには”哲哉”にとって伯父である、理事長の姿があったー。


「ーーおはようございますー」

裕美がそう言うと、伯父でもある理事長は「あぁ、おはようー」と、

落ち着かない様子で笑みを浮かべたー。


「ーーーちょ、ちょっとー、そろそろ慣れて下さいよー

 おじさん!」


裕美が少し苦笑いしながらそう声を上げると、

理事長は「あまりの可愛さに…まぶしくてー」と、顔を赤らめながら

言い放ったー


「ー全くーわたしでさえ、もう”女子”として生活することに慣れたのにー」

裕美が呆れ顔でそう言うと、

理事長は「ーーいやぁ…君が尊すぎてー…」と、顔を赤らめながら

言葉を口にしたー。


「あははははー……

 でも、おじさんのおかげでこうして女子大生できてるわけですしー、

 いつもありがとうございますー」

ペコリと頭を下げる裕美ー。


髪がふわっと揺れるのを見て、理事長はトマトのように顔を赤らめそうに

なりながら、

「ーーーそれで…何か用かな?」

と、笑みを浮かべながら言葉を口にするー。


「あ、いえー、ほら”いつものー”」

裕美として、哲哉がそう言うと、

おじさんは「あぁ、あぁ、もうそんな時期かー」と、笑うー。


哲哉はー

この”おじさん”を利用してこの大学に入学したー


受験生であった当時、

どうしても大学生になったら”女子大生”になりたかった哲哉は

父にも内緒で伯父の大学のある北の地方まで足を運びー、

そして、伯父と1:1で話をする機会を手に入れたー。


直接会いに行った理由はただ一つー。

”睡眠不足で女体化する”ということを実際に伯父に見せつけ、

理解してもらうためだったー。


哲哉は、伯父と会いー、

睡眠時間を調節しー、目の前で女体化してー、

”この姿で、女子大生として大学に通いたいんです…!なんとか、

 お願いします!と、伯父に頼み込んだー。


一見すると、無謀なお願いー。

つまり、伯父に”本名ではなく”、”架空の女子大生”として

大学に入れてほしいと頼み込んでいるわけだから

いくら親戚筋とは言え、普通は首を簡単に縦に振るはずはなかったー。


けれどー…

伯父は、哲哉を”女子”として入学させてくれることを約束してくれたー。


受験と、入学手続きまでを普通に哲哉として行い、

実際に入学する直前に手回しをして、女子として

大学に通えるように、伯父がしてくれたのだー。


そのために、哲哉は、自分の”女”を、武器として使ったー。

女体化する自分自身を用いて、伯父である理事長を誘惑したのだー。


卑怯な手だとは分かっていたがー、

父と伯父が揉めた理由が”女絡み”であり、

彼女いない歴=年齢の理事長が、女に飢えていたことを知っていたために

そんな手を使ったのだー。


”女体化した哲哉”にすっかり誘惑された伯父は、

”3つの条件”を出した上で、2年前、大学に”女性”として入学することを

許可してくれたー。


ひとつはー、

”受験”自体はちゃんと実力で受けて合格することー。

合格した場合には、”若松哲也”ではなく、女体化後の哲哉で、

手続きをしておくがー、

裏口入学はさせない、実力で入学をつかみ取って欲しい、とのことだったー。


ふたつめは、

もしも正体が発覚した場合は”自己責任”であることー。

万が一の場合は”哲哉くんを守ることはできないー”

つまりは、自分は関与を否定するが、それでもいいか?という条件ー


そして、みっつめはー

”裕美”と名乗って欲しいー…

と、そんな条件だったー。


「じゃあ、来週の土曜日にー」

伯父がそう言うと、女体化した哲哉=裕美は

「はいー。どんなコスがいいですか?」と、微笑むー。


「え、え~っと…じゃあ、メイド服でー」

伯父のそんな言葉に、

「は~い、持って行きますね」と、当たり前のように笑うー。


「ーーそれにしても、その”裕美”って人とわたし、

 そんなに似てるんですか?」


裕美=哲哉が、そう言うと、

伯父は「ははー……ま、まぁ、それなりにー」と、

苦笑いするー。


”女子大生”として入学させるための3つ目の条件ー

”裕美”と名乗って欲しい、というのはー、

伯父の若い頃の”初恋”の相手の名前を名乗って欲しい、

というものだったのだー。


その恋は、当然叶わず、それで伯父は生涯独身の道を選んだらしいー


「ーそれにしても、本当にすまないね」

伯父がそう言うと、裕美は「いえ」と、微笑むー。


月に2回ほど、”裕美”は、伯父の家に遊びに行っているー。

”親戚の女の子”としてー。


何となくー、

”ここまでしてもらう”のに、伯父に見返りがないのは可哀想だと思いー、

伯父の家に定期的に、女体化した状態で遊びに行っているのだー。


お互い同意しているわけだしー

直接的な過激な行為をするわけじゃないしー、

それで、伯父が少しでも楽しめるなら、それでいいー、と、

遊びに行っているのだー。


それにー、

哲哉自身も、何だかんだでコスプレを伯父の前で

披露したりして、楽しんでいるのも事実だー。


「ーーじゃあ、わたしはこれでー」

裕美がそう言いながら、理事長の部屋を出ようとすると、

伯父が裕美を呼び止めるー。


「それにしても哲哉くんー…

 もう、すっかり女子大生だよなー…


 最初の頃は結構、私と二人の時は”俺”と言ったり、

 男っぽい仕草も目立ったのにー」


伯父がそんな言葉を口にすると、

裕美は眠そうにあくびをしながら、


「ーーまぁ、18年、男をやっててもー

 2年も女をやってると、心も自然と女になりますよー…


 ほら、引っ越しも、例えば前の家に10年住んでても、

 1年もすれば慣れてるじゃないですか?」


と、笑いながら答えるー。


伯父は「たしかにー」と、笑うと、

「ーじゃ、寝ないようにな」と、言葉を投げかけたー


「ふふー、分かってますー

 大学で寝落ちして男に戻ったら大変ですからね」


そんな言葉と共に、退室する裕美ー。


大学の構内を歩きながら、

哲哉は今日も”裕美”として女子大生ライフを送るのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


帰宅した裕美は時計を見つめるー。


「ーー2時20分ー…」

既に0時を過ぎて、深夜の2時ー。

明日の朝は”今日”睡眠しても良いのは”3時間”ちょっとー。


哲哉は高校時代、まだ実家暮らしの時に

”何時間の睡眠だと睡眠不足になるのか”を、

色々試し続けて、その法則をほぼ、把握していたー。


”今日の場合”、

3時間12分までなら寝ても大丈夫ー。

余裕を持って3時間にしておけば

”睡眠不足”が維持されて、明日も女として、大学に行くことができるー


「ーしっかし、眠いよなぁ、毎日ー」

裕美として笑う哲哉ー。


けれどー…

もう、男に戻りたくはないー。


別に”男として生まれた自分”が嫌いなわけではないー。

しかしー、それ以上に”女”になりたくなってしまったのだー。


大学生になって、実際に”女子大生”として過ごし始めてー

”かわいい”とか、”きれい”とか言われることに

快感と喜びを覚えたー。


色々な服を買ったりー、

色々なアクセサリーを買ったり、

色々なメイクを試したりー、

ネイルをしたりー、

”男の時ではなかなか楽しめない”

そんなことをたくさん経験してー、

”もう戻りたくない”と、そう思ったのだー。


「ーーーわたしはこのまま女として生きていくー」


”実家”に帰るときだけは、しっかり寝て、男に戻ってから帰るもののー、

今ではその”時々男に戻るとき”は、強い違和感を感じるー。


「ーーよし、そろそろ寝るかー」

2時を過ぎ、布団に潜ると”3時間後”にスマホのアラームをセットするー


”おやすみー”

一人でそう呟く裕美ー。


自分は、男なのか、女なのかー。

正直、分からなくなる時もあるー。


男として生きるためには”寝不足にならないように”しないといけないしー

女として生きるには”寝不足を維持しないといけないー”


正直、どっちを選ぶにしても、この先ー

大変だー…。


”でもー…女として生きるならー

 この先ー…病気とか事故で寝込んだりしたら大変なことになるしなー…”


裕美は目を閉じながらそんなことを思うー。


かと言ってー、男として生きて、うっかり寝不足になったりしても

大変なことになるー。


それにー

例えば、”女として妊娠”してー、

そのあとー…男に戻ったらどうなる?


そんな、とんでもないことまで考えてしまうー。


「ーーーあぁ、やめだやめだー」


時々ー

自分のこの”体質”について考えるー。


でも、いくら考えても答えは出ないー。


便利なようでー、

不便なこの身体ー。


哲哉は、上手く付き合っていくしかないのだー。


「ーーーとにかく今は、女子大生ライフを楽しもうー」

哲哉は”裕美”としてそう呟くと、もう一度、静かに目を閉じて、

穏やかな寝息を立て始めたー。


自分の未来が、どうなっていくのかー。

今はまだ、分からないー…。



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


女体化の条件がなかなか不便な女体化モノデス~!

今回はどんな感じの日常を送っているかの説明的な日常回でした~☆


ある程度自分でコントロールできるとは言え、

そのうちボロが出そうで怖いですネ~…!


今日もお読み下さりありがとうございました~!

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