Home Artists Posts Import Register

Content

「ククククククー」

男は、夜の繁華街を歩いていたー。


その目的は、ただ一つー。

今日、”遊ぶ相手”を探すためー、

つまりは”ナンパ”をするためだー。


「ーーー…おいおい」

ニヤニヤと笑う横に立っていた男が苦笑いをするー


「本気かよー…?やめとけって」

男が、ニヤニヤしている男をなだめるようにして言うと、

「内堀(うちぼり)ーまぁ、見てろって」と、

得意気な表情を浮かべながら、そのまま周囲を見渡すー。


「ーいやいやいや、俺は冗談で言ってるんじゃないんだぞ?

 ナンパなんてやめとけってー

 相手の子に通報でもされたらどうすんだよ?」

内堀 和人(うちぼり かずと)が、困惑の表情でそう言葉を口にするもー

やはり、ニヤニヤしている男は”ナンパ”を止める気はないのか、

周囲を物色しているー


そしてーーー

黒いミニスカート姿の、美脚を晒した女に目をつけるとー

「あの子にしようー」と、指を刺したー


がー、その言葉に、和人は思わず叫んだー


「ーはぁ!?!?戸崎(とさき)、お前、馬鹿じゃねぇの!?

 頭、イカれたのか!?」


そんな言葉にー

戸崎と呼ばれた男は、ニヤッとしながら振り返ったー。


戸崎 恭司(とさき きょうじ)と、内堀 和人ー、

二人は同じ大学に通う男子大学生ー。

普段から憎まれ口を叩きあいながらも、何だかんだで仲良く

やっているー…そんな間柄だー。


だが、今日ー

恭司は、突然”ナンパしに行くわ”と、和人に対して宣言、

突然の言葉に、和人は”何考えてんだ!?”と、唖然としながら

何となく恭司についてきてー…


今に至る。


「ーーいやいや、あの子の隣にいるの、どう見ても彼氏だろ?

 彼氏持ちの子にナンパするとかーイカれてるとしか思えねぇ」


和人は、そんな言葉を口にするー。


そうー、

恭司が”あの子、いいな”と指さした相手はー、

”彼氏と一緒に歩いている”のだー。

彼氏と一緒に歩いている子をナンパするなんて、正気の沙汰ではないー。


しかもー


「ーマジでやめとけって!戸崎!

 お前、自分の顔を鏡でもう一度見て深呼吸してよく考えろ!」


和人が必死に叫ぶー。


そう、恭司は別に”イケメン”ではないー。

むしろ”顔”だけで言えば”あまり良くない”と感じる人の方が

多いような顔立ちをしているー。

お世辞にも”イケメン”と言うことは難しいー。


もちろん、人の魅力は外見だけで決まるわけではない。

が、ナンパともなれば、相手もやはり人を外見で判断するだろうし、

ナンパしている時点で”中身”で勝負することは、

少なくとも初対面の時点では難しいだろうー。


どう考えても、恭司がナンパに適しているとは思えないー。


「ー20になるまで彼女できなかったからって、

 ヤケになるなって!

 あの彼氏にボコボコにされっかもしれないし、

 どうなっても知らないぞ!?」


和人は、困惑しながらさらに、そう叫んだー。


恭司は”20になるまでに彼女が欲しい”と、ずっと言っていたー。

だが、数か月前に恭司は20歳になり、

その目標は叶わなかったー。


それからは、何か、いつも大学からすぐに帰るようになりー、

”落ち込んでいるのかな”と、和人が少し心配していたところ、

今日、突然”ナンパをする”と言いだしたのだー。


「ーーーへへへー 見てろって」

恭司は今一度そう呟くと、美脚の子の方に向かっていくー


「ーあ~あ、俺知らねー…絶対やべぇぞアレ」

和人はそう呟きながら、”俺は関わりないですよ”と言わんばかりに

恭司から距離を取るー。


そんな和人の態度をお構いなしに、堂々とカップルの前にやってきた

恭司は、笑みを浮かべながら言い放ったー


「なぁなぁ、俺とホテル行かないー?」


その言葉に、離れた場所からそれを見ていた和人が

”バカすぎるだろアイツー”と、呆れ顔を浮かべるー。


道行く人間にいきなり”ヤろうぜ”と言っているようなものだー。

とても、正気とは思えないー。


しかしーーー


「えっ!?わたしと?

 あ、うん!いいよいいよ!いこっ!」


「ーー!?!?!?!?」

少し離れた場所からそれを聞いていた和人は、思わず自分の

耳を疑ったー。


今、声を掛けられたカップルの女が”いいよ”と言わなかっただろうかー?


そう思いながら、目を見開いて、恭司と、カップルのほうを見つめるー


「ねぇねぇ、わたし、この人とホテル行きたい!いい?」

カップルの女の方がそう言うと、男は「はは、楽しんで来いよ」と

笑みを浮かべながら女の方に向かって言い放ったー


”は?マジかー?”

和人は呆然としたー。

見ず知らずのカップルに、別にイケメンでもない恭司が

いきなり”俺とホテルに行かない?”と声をかけてー、

それをカップルの女が了承したのだー。


”あり得ねぇー”


そんな風に思っていると、恭司が、カップルの女を連れて

近付いて来たー


「ーーへへへーどうよ?俺のナンパ」

恭司が得意気に、カップルの女を自慢して見せびらかすような口調で言うと、

和人は唖然としながら「い…いや…マ、マジでー…?」と、

言葉を失ったかのような様子を見せたー


「ーーあ、そうだー名前は?」

恭司が女に確認すると、カップルの女は、明日香(あすか)と名乗ったー


「ーへへ、じゃあ早速ー」

「うん!いこいこっ!」


嬉しそうに明日香が、恭司と共にホテルに向かい始めるー


「ーー…わ、わかった!わかったぞ!

 実はお前、彼女もう出来てて、俺を揶揄ってるんだろ?」


歩いている恭司に向かって、和人がそう叫ぶー。


恭司は、いつの間にか既に明日香という彼女を作っていて、

和人を揶揄うために、”見ず知らずの人をナンパしました”みたいな

面倒臭い演技をしているのだとー、

和人は、そう考えたー。


明日香という子と一緒にいたのも”彼氏”ではなく、”彼氏役の男”ー

ではないか、とー。


「ーー違いますよ~!わたし、今日、初めてこの人と会いましたし~」

明日香が笑いながら和人に向かって言うー。


恭司はそんな和人に向かって

「ーこれが”次世代の”ナンパさー」と、笑うと、そのまま

ホテルに向かっていくー


「ーーう、嘘だろー!?揶揄ってんだろー?!」

未だ信じようとしない和人ー。

そんな和人に対し、恭司は「じゃあー…見学させてやるよ」と

一緒にホテルについてこい、と提案ー。


明日香も「うん!そうしよ!」と、嬉しそうに笑うと、

和人は呆然としたまま、そのまま二人に同行したー。


ホテルにつくと、明日香が嬉しそうに恭司に対して

色々なことをし始めるー。


恭司は”童貞”だー。

そういう経験は一切ないし、知識もないー。


”彼氏といつもヤッてるからー”と豪語する明日香は

そんな恭司に教えるかのように、積極的に恭司に

対して、あんなことやこんなことをしていくー


「ーーう…嘘だろー…? これ…?夢ー?」

あまりの光景に和人は、”これはきっと夢だ”と思いながら

自分の頭を何度も何度も軽く叩いてみたー


がー…

夢ではなかったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


「今日も”ナンパ”しに行くか」

恭司がそう言うと、和人は「えぇっ!?また!?」と、声を上げたー


「ーへへ…今日も”次世代のナンパ”を見せてやるぜー」

恭司のそんな言葉に、和人は

「き、昨日のはマグレだろー?あんま調子に乗るなってー」と、

心配そうに言葉を口にするー。


しかし、恭司は止まる様子もなく、

結局、大学が終わると昨日と同じように街へと繰り出したー。


「ーーあの子たちにするかー」


恭司が、そう呟いた視界の先にはー

仲良さそうな二人組の美少女がいたー。


「ーーお姉ちゃんほどではないよ~」

「ーーも~また謙遜しちゃって!」


そんな会話が聞こえてくることから、

どうやら二人は姉妹のようだー。


「ーーー…いやいやいやいやー

 姉妹で歩いてる子をナンパするとか絶対無理だろー


 って、オイー」


和人の言葉も聞かず、堂々と姉妹の方に歩いていく恭司ー


和人は「おまっ!自分の顔、鏡で見ろっての!」と、

うんざりした様子で恭司の後を追うー。


しかしー


「ーーお前のお姉ちゃん、今日1日貸してもらうよ」

恭司が、妹の方にそんな言葉をかけると

妹は「うん!わかった!」と、あっさりと承諾したー。


「ーへへ…まずは俺と一緒に飯でも食べようぜ」

恭司がそう言うと、お姉ちゃんのほうが「うん!わたしもお腹すいた!」と

あっさりとそれを承諾しー、

まるでカップルのように手を繋ぎながら

近くのファミレスに向かい始めたー


「ーーは…はぁっ!?どうなってんだよマジでー」

和人は、困惑の言葉を浮かべながら、

”お姉ちゃん”に笑顔で手を振っている妹の方に

「い、いやー、き、君、いいのかよー?」と、

思わず声をかけてしまうー。


しかし、妹は「え?何がですか?」と、きょとんとした

表情を浮かべながら首を傾げたー。


「そ、そうだよー…

 だ、だって、アレ、ナンパだろー?

 お姉ちゃんがナンパされてるのに、何でそんなー」

和人が、ついそんなことを言ってしまうと、

妹は、困惑しながら

「ーだ、だってーー別に普通のことじゃないですか?」と、

そう言葉を口にしたー


「お~い!」

その時だったー。

恭司に呼ばれた和人は「い、今行く!」と、返事をすると

戸惑う妹を置いて、そのままファミレスへと向かったー。


偶然見かけた姉妹の姉・美桜(みお)は、

ファミレスに到着してからも、恭司と嬉しそうに会話をしているー。


困惑しながらその会話を見つめる和人ー。


思わず、会話中に美桜に対して

「い、妹さんは放っておいていいのかー?」と口を挟むと、

美桜は笑いながら「だって、せっかく声をかけてくれたんだし」と

”当たり前”のように言葉を口にしたー


「このあと、どこのホテルにする?」

さぞ、”当たり前”のようにそんな会話をするー


なんなんだー?

何が起きてるんだー!?


混乱する和人ー。

恭司が、”滅茶苦茶イケメン”なら、ナンパが連続で成功するのも

まぁ、分かるかもしれないー。


しかし、恭司が決してイケメンではないー。

それどころか、どちらかと言うとー…。


そんなことを思いながら混乱していると、

ファミレスから出て、これからホテルに向かうというタイミングで

恭司が近付いて来たー


”すげぇだろ?次世代のナンパー”

とー。


「ーーい…いや…じ、次世代ってー別にお前ー

 ただ無謀に声掛けしてるだけじゃー…?」


和人がそう言うと、恭司はニヤッと笑ってからー

目につけていたコンタクトレンズを取り外したー


「ーーー”洗脳レンズ”ー」

恭司がそう呟くー


「な、なにー?」

和人が思わず聞き返すと、恭司は笑みを浮かべながら言うー。


「これを起動した状態で、相手の目を見つめるだけでー

 相手を”自然な形”で洗脳することができるのさー。


 まぁ、ラジコンみたいに操る感じじゃなくて、

 相手の認識を改変する感じの洗脳だなー


 だから、昨日の子も、今日のあの子も

 ”当たり前のように”俺についてくるー」


そんな、恭司の言葉に、和人は思わず唖然とすると同時にー

”どうして”ナンパに連続で成功しているのか、妙に納得したー


「ーえ…ヤ、ヤバくね?それー

 ま、まさか俺まで洗脳する気じゃ!?」

和人がハッとしてそう言うと、

恭司は「いやいや、知り合いを洗脳する気はねえって」と

笑いながら首を横に振るー。


美桜の妹もー、

昨日の彼氏もー、

自分の知り合いがナンパされているのに平然としているのはー

そう、”洗脳”されていたからー。


その事実に驚きながらも、和人が「そ、そんなもん、どこでー!?」と

混乱しながら質問するー。


「ーーーへへへへへ…ネットで手に入れたんだよー

 言ってただろ?俺、20歳までに彼女を作って童貞卒業するってー。

 でも、それができなかったからー

 へへー ”力”に頼ることにしたんだー」


そんな、恭司の言葉に和人は「や…やめとけよ!そんなこと…」と、

戸惑いながら続けるー。


人を洗脳してお持ち帰りするー

なるほど、確かに次世代のナンパかもしれないー。


確かに”本人の同意”を得ていてー、

本人が嬉しそうにしている以上、

”現行の法律的”には引っかからないのかもしれないー。


だがー、こんなことをしていればいつか、いつか身を滅ぼすことにも

なりかねないー


「ーーはははー、まぁ、理解してくれるとは思ってないぜ?

 でも、ほら、あの子も楽しそうにしてるしー

 昨日も子も嬉しそうにしてたー。

 ”本人”にも”親しい人”からも、同意を得てるんだー


 何も、問題ないだろ?」


恭司の言葉に、和人は

「そ、それは相手を洗脳してるだけなんだろ?!」と、戸惑うー。


「ーーまぁまぁ、細かいことは言うなよー

 俺はこれからあの子とホテル行くけど、またついてくるか?」


悪びれる様子もなく言う恭司ー。


和人は、首を縦に振ることはできずー、 

その誘いを断ったー。


恭司と、洗脳されてしまった美桜は、

そのまま嬉しそうにホテルの方に向かっていくー


和人はそんな二人の後ろ姿を呆然としながら

見つめることしかできなかったー


②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


完全に言いなりにするタイプではなく、

認識を改変してしまうタイプの洗脳デス~!

私が書くのは珍しいタイプの洗脳ですネ~!


このまま欲望を楽しむ未来が待っているのか、

それとも破滅するのか、

どうなるのかは、また次回のお楽しみデス~!


今日もありがとうございました~!☆☆

Files

Comments

No comments found for this post.