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「え……?な、なんだこれ…?」


寝起きー

呆然としながら、自分の両手を見つめ、

困惑している少女がいたー。


しかし、その部屋は、女子っぽさを感じる部屋ー…

と、いうよりかは、男子らしさに溢れるような、そんな部屋だったー。


もちろん、性別で部屋は決まらないー。

男子っぽい趣味を持つ女子もいるし、

その反対に女子のような趣味を持つ男子もいるー。


これは、個人の自由だし、

法律に違反するようなー

そう、例えばロケットランチャーを民家にぶっ放すのが趣味だったり、

人間をモルモットにして観察するのが趣味だったり、

そういう”違法な趣味”でなければ、

どんな趣味を持とうと、どんな部屋に住もうと、それは問題ではないー。


要はルールを守り、周囲に迷惑をかけなければ、

どんな生活をしていても良いのだー。


がー、

今、ここで目を覚まして呆然としている少女はー

”男子のような部屋に住んでいる女子”ではなかったー。


彼女の名前はー

秋山 祐樹(あきやま ゆうき)。


彼女は、”昨日まで”男だったー。


だが、いつも通りに寝て、目を覚ましたら、こうなっていたー


髪は伸びているしー

身体つきは完全に女子だし、

胸は膨らんでいるしー

手は綺麗だしー、

アソコにあったはずのものが無くなっているー。


「ーーーー…いやー…なんだこれ」

祐樹は困惑の表情で、そう呟いたー。


それ以外に、言葉が見つからなかったー


「ーーーは…???? え???

 いやーーー… え?」


一瞬、妹が悪戯で”俺が寝ている間に俺の服の中に

ボールでも入れたんじゃ”と、思って、

服をめくってみるー


だが、そこにあったのはーーー


「ぶっ!?!?!?!?」

本物の胸で、思わず自分の胸にドキッとしてしまい、

慌てて服を下ろしたー。


「ーーー…!?!?!?!?!?

 ????????」


頭の上に100個以上の「?」が浮かびそうになってしまうぐらいに

混乱してしまった祐樹は、「ど、どういうことだよー?」と

困惑の言葉を吐き出す。


意味が分からないー

考えても考えても意味が分からないー。


「ー俺は…確かに昨日まで男だったよなー…?」

可愛らしい声でそう呟くと、ベッドの上で

胡坐をかいて、腕を組みながら考え込むー。


”いや、待てー

 寝ぼけているだけで、俺は女だったかー?”


そんなことまで考えるー。


自分は寝起きで寝ぼけているだけで、

実は女子だったー…

そんなことはないだろうかー。


がー、数秒後にすぐに首を横に振るー


「いやいや、流石にそれはねぇー

 俺は絶対昨日まで男だったし!


 そもそも名前も秋山祐樹だし!」


そう叫ぶと、祐樹は再び表情を歪めながら

考え込むー。


「ーーーーーーそうか!」


そしてー

”答え”にたどり着いたー。


昨日まで男だったはずの自分が、

いきなりこんな姿でー

女になって目を覚ますなんて、あり得ないー。


”こんなこと”が起きるとすれば、

その理由は絶対に”一つ”しかないー。


「ーこれは、夢だッ!!!」


そう叫ぶと、祐樹はガバッ!と布団を手にして

そのまま再びベッドに潜り込んだー。


乱れた心を落ち着けるために、すぅっと、深呼吸を繰り返すー。


すー… はー…

すー… はー…


すー… すー…


ようやく眠りについた祐樹ー。


そしてー

1時間後ー

再び目を覚ました祐樹はー、


”変な夢見たなー”

と、思いながら目を開く。


”いやー…っていうか、せっかく女になったんだしー

 どうせ夢なら、もっと色々試してみてもよかったかも”


そんな後悔をしながら、むくりと身体を起こした祐樹はー

思わず叫んだー


「夢じゃねえッ!!!!!!!!!!」

とー。


髪は伸びたままー

胸は膨らんだままー

アソコは、ないままー


手は、綺麗なままー


”いや、俺の手が汚かったわけじゃねぇけど”


自分で自分にツッコミを入れながら、

祐樹は困惑の表情で起き上がるー。


高校2年生の祐樹は、実家で両親と妹・和花(のどか)と

一緒に暮らしているー。


「ーーくそっー…

 和花の悪戯かー?」


困惑しながら立ち上がる祐樹ー。

1歳年下の妹・和花は悪戯好きでー、

祐樹にもよく”イタズラ”を仕掛けて来るー。


今回もそんな悪戯なのではないか、と思いながら

不安そうに部屋から顔をそーっと出すー。


「ーーーっていうか、何て説明すればいいんだこれー?」

祐樹は混乱しながらも、ずっと部屋に隠れているわけには

行かないしー、と、ゆっくり廊下を歩きだすー。


”急に女になってしまった理由”は分からないー。

和花の悪戯か、それとも別の原因かー、

分からないことだらけだが、

こうなってしまった以上、とりあえず両親と妹・和花には

状況を説明しておく必要がある。


そう思いながらー

妹・和花の部屋に向かおうとすると、

偶然、和花が部屋から出て来たー


「え」


「あっ…」


和花と目が合うー。

正直、まだ”心の準備”が出来ていなかった祐樹は

心臓をバクバクさせながら、

”ど、ど、ど、どう説明すればいいんだ!?この状況ー”と、

困惑するー。


”いや、そもそも和花の悪戯でこんな風になってるならー

 和花が何か反応を示すはずー!”


祐樹がそんな風に思っていると、

和花は”女体化した祐樹”のほうを見つめながら

「え…、あ、あの…どちら様ですかー?」と、

不安そうな表情を浮かべたー。


そりゃそうだ、と、祐樹は思うー。

もしも”和花の悪戯”でこうなったのでなければ、

和花からすれば”知らない誰かが突然家の中にいる状況”のはずだー。

この反応は当然と言えるー。


”いや、待てよー…?

 ふつう、家の中に知らない人がいたら、悲鳴を上げたり、

 もっと驚いたりするんじゃないかー?”


そんな風に思った祐樹は、”やっぱ、悪戯かー”と、

心の中でニヤリと笑ったー。


そして、笑みを浮かべるー。


「ーーははは…そんなことだろうと思ったよ」

祐樹が可愛らしい笑顔を振りまきながら、

和花の方に近付いていくー


「ーは、はいっ!?」

和花がビクッとして後ずさるー。


「ーーはははーもういいってー

 しかし、どんな風に”こんなこと”したんだー?

 完全に女みたくなっちゃってるし、

 マジでびびったよー」


祐樹が、”和花のドッキリ”だと決めつけて

そう言いながら近づいていくと、和花は困惑の表情を浮かべながら

「えっ!?ちょ、ちょっと待ってください!

 あなた、誰ですか?

 どうしてうちにいるんですか?

 え?なに? えっ?」

と、困惑の言葉を繰り返したー。


それでも祐樹は「はははー、早く元に戻してくれよ」と、笑うー。


がー、

和花は「す、ストップ!」と、手を前に突き出しながら叫んだー。


「ーーえ…」

今度は祐樹が唖然とするー。


「ーそ、それ以上近づかないでくださいー。

 な、何なんですかあなたはー?

 どこからー入ったんですか? え??」


和花の言葉に、笑っていた祐樹もついに表情を曇らせ始めるー


「え……え、えっと…

 いや、あのー…俺だよー…祐樹だけどー


 の、和花の仕業じゃないの?これ?」


”女体化した自分”を指さしながら戸惑いの言葉を口にする祐樹ー


「ーー……な、何を言ってるんですか?

 お兄ちゃんは男ですよ!

 お兄ちゃんのフリするなんて、無理がありすぎです!」


和花が少し怯えた様子を見せながら言うー。


「ーーえ…お、お兄ちゃんのこと知ってるってことはー…」

和花は、そう言いながら

”目の前にいる正体不明の美少女”の姿を

上から下まで、見定めるようにして見つめると

口を開くー


「ーーー…お、お兄ちゃんのー彼女さんですか?」

悪戯好きで、少し天然な一面も併せ持つ和花は、

そんな言葉を口にするー。


”お兄ちゃんのことを知っている子”

”お兄ちゃんと同じぐらいの年齢に見える”

”当たり前のように堂々と家の中を歩いている”

”わたしのことも知っている感じがするー”

”お兄ちゃんのシャツを着ているー”


そんな色々な条件から、

和花は、目の前にいる”女体化する祐樹”を

”お兄ちゃんの彼女”だと誤解したー。


「ーえ、いやいやーそうじゃなくてー

 俺が、祐樹ー」


祐樹はそう言いながら自分を指さすー。


「ーー…?」

和花は、ぽかんと口を開けて首を傾げるー


その目は”何言ってたんだこいつ?”と、言いたげにも見えるー


いや、その気持ちは確かにわかるー

”俺が、逆の立場だったらそう思うもんなー”と、

祐樹はそう思いながら

「ちょ!ちょっと待って!落ち着いて聞いてくれー!

 俺は祐樹で、朝、目が覚めたら女になっててー!

 で、どうすればいいか俺も分からなくてー!」

と、慌てた様子で事情を説明するー。


「ーーーーん~~~……何言ってるんですか?

 ーーお兄ちゃんは?」


あくまでも信じる気配のない和花ー。


「ーーお兄ちゃん~?この人、誰~?」

和花は、”女体化した祐樹”と話していても

キリがないと判断したのか、そう言いながら、

女体化した祐樹の背後にある、祐樹の部屋の方に向かっていくー


「だ、だからー俺が祐樹なんだってば!」

そう言いながら、和花の後を追う祐樹ー。


和花が祐樹の部屋に入るー。


もちろん、今、近くにいるのは”女体化したお兄ちゃん”そのもので

あるため、この部屋の中にお兄ちゃんがいるはずなどなくー

兄・祐樹の部屋は、もぬけの殻だったー。


「ーーあ、あれ… お兄ちゃんはどこですかー?」

和花が不安そうに、背後にいる”女体化した祐樹のほうを振り返るー。


祐樹は”どうすれば信じてもらえるんだー!?”と、困惑しながら

何とか冷静に、頭の中でその方法を考えるー。


”俺が和花の立場だったら、どう思うー?”

それを考えるー。


確かに”兄”が急に美少女になっていて

”俺がお兄ちゃんだ!”と言ってきてもー

”なんだぁ、そうなんだね!!”とは、ならない気がするー。


(そうだー…確実に俺だと分からせるための何かが必要だー)

祐樹はそう考えながら、その方法を頭の中で浮かべるー


そしてー

”俺しか知らないはずのことを言う”ー

そんな方法にたどり着いたー


「の、和花!落ち着いて聞いてくれー!

 こんな姿なんだけど、俺なんだ!祐樹なんだ!」


今一度、そう言い放つと、

和花が騒ぎだす前に、

「俺しか知らないこと、いっぱい知ってるからー」と、

早口で言うと、

自分の誕生日、血液型、身長体重ー、

去年、和花から貰った誕生日プレゼントー、

前回のテストの点数ー、好きな食べもの嫌いなたべもの、

両親の名前ー…などなど、手あたり次第

個人情報を叫んだー


”あー…いや、和花、俺の身長体重とかテストの点数は知らないかー”


言っても無駄なことまで言ってしまったと思いつつー、

和花の反応を待っていると、

和花は震えながら祐樹のほうを見つめたー。


その表情はー

”信じてくれた”という感じではないことを、祐樹もすぐ理解したー。


「ーー…な、何でそんなにお兄ちゃんのこと知ってるんですかー?」

和花が怯えた表情で言うー。


「ーえ…だ、だからそれはー俺がー」

祐樹は、改めて自分が祐樹だと主張しようとするー。


しかしー

和花はこう言い放ったー


「お兄ちゃんの…ストーカー?」

とー。


和花は怯え切った表情だー。


最初ー

”女体化した祐樹”と廊下で鉢合わせした際に、

和花が怯えた様子を一切見せなかったのはー、

祐樹は”この女体化は和花の悪戯だから”だと、勘違いしたー。


が、実際にはそうではなく、

”同じぐらいの年頃の美少女”が相手だったため、

和花からすれば、あまり強盗や泥棒の類には見えずー、

怯えよりも「え?」の感情が強くー

最初はあまり警戒していなかったー。


しかし今ー、

”女体化した祐樹”の言動に、和花もさすがに警戒心を強めー

強く怯え始めていたー


「ーお、お兄ちゃんをどこにやったんですか!?」

和花が、だんだん語気を強めて来るー。

その表情には怯えの色が浮かび上がっているー


”まずい展開だー”

祐樹がそう思いながら「ち、違う!俺が祐樹でー!」と、

叫ぶと、「俺のストーカーじゃないし!ほら、和花のことだって知ってる!」と、

和花の個人情報を口にし始めたー。


慌てていたこともあり、

”俺のことだけじゃなくて、和花のことも知ってれば

 さすがに俺だって気付いてくれるだろうー”と、そう思っての行動だったが、

結果的に、火に油を注ぐ形になってしまったー


「ーな、なんでわたしのことまでー…?」

”恐怖”を覚える和花ー


そして、和花は慌てた様子で女体化した祐樹の横を通って

部屋から飛び出そうとするー


「ちょ!ま、待ってくれ!」

祐樹が和花の腕を掴むー。


「離して!!!」

「ーー!!!!」


和花に”簡単に腕を振りほどかれて”

驚く女体化した祐樹ー


「ーーーーー…!」

”いつもなら”ー、そうはならないー


だが、今のか弱そうなこの細い腕ではー…

和花にも簡単に腕を振りほどかれてしまうー。


そんな事実に驚いているうちに、

1階にいる両親に助けを求めに行ってしまう妹の和花ー


「ちょ!!ち、違うんだ!」

女体化した祐樹も慌てて1階に向かうー。


”ある日、起きたら突然女になっていたー”


そんな状況を周囲に理解してもらうことは

想像以上に難しいー

そのことを、祐樹は噛みしめることになるのだった…



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


女体化したのに、周囲に信じてもらえず

大混乱…☆

そんなお話デス~!!


次回もぜひ楽しんでくださいネ~!

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