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人類の緩やかな滅亡を目的に暗躍する悪の組織・ルーメンー。


だが、ルーメンに対してだけ”異様な力を発揮”する

大学生・大輔に、ルーメンの怪人たちは手を焼いていたー。


そんな中、ルーメンの三大幹部の一人・マルムが、

大輔の彼女である聡美に目を付けるー。


聡美の自分の身体を入れ替えて、”聡美として”大輔の日常を

壊し尽くしー、精神的に崩壊した大輔を生け捕りにするー

そんな計画だー。


そして、聡美の身体を奪ったマルムは動き出すー。

大輔の日常を”壊し尽くす”ためにー。


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>彼女の中身は悪の組織の怪人②~悪女~

数百年規模で人類を緩やかに絶滅させようと目論む 悪の組織・ルーメン。 そのルーメンの怪人の”擬態”を唯一見破ることができ、 しかも、ルーメンに対してだけ圧倒的な力を発揮する 男子大学生・大輔ー。 彼は、自らの意思とは関係なく、ルーメンの怪人に時折狙われては その都度、撃退していたー。 だが、ルーメンも黙っ...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーー岩城大輔ー」


帰宅した聡美(マルム)は悪女のような笑みを浮かべながら

足を組むと、そのまま”撮影したばかりの動画”を

ネットに投稿するー


”男子大学生の暴行動画”としてー


「クククククー

 お前の大好きなこの”カノジョ”の手で、

 お前を破滅に追い込んでやるー」


聡美とは思えないような凶悪な笑みを浮かべながら、

聡美(マルム)は、ネットに投稿した暴力動画の

再生回数がみるみる上がっていく様子を見つめー、

一人、愉快そうに笑い始めたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーへへへへっ

 マルム様の機嫌を損なわないように

 大人しくしていたほうがいいっすよー」


聡美と入れ替わったマルムから、

”マルムになった聡美”の見張りを命じられている

配下の怪人・ドールモスキートは

笑いながら、マルム(聡美)に話しかけるー。


マルム(聡美)は椅子に鎖で縛られて拘束されたまま、

廃墟の一角で、身動きが取れない状態が続いているー。


「ーーわ…わたしの身体で、何をするつもりなの!?」

マルム(聡美)が悲しそうに叫ぶー。


その口から出るのは”いつもの声”ではなく、

低く、恐ろしい声ー。


「ーーへへへ…お前の身体で、

 お前の”カレシ”だったっけー?

 そいつを、破滅させるんだよー」


ドールモスキートはケラケラ笑いながらそう言うと、

マルム(聡美)は表情を歪めるー。


「ーーーーー…あなたたちは、いったい…何なの…?」

怯えた表情を浮かべるマルム(聡美)ー


大輔は”ルーメン”との戦いのことを一切聡美に

話していなかったー。

話せば巻き込むと思ったし、

どうやら、他の人々はルーメンの怪人を見ても

無反応なことから

”自分にしか見えていない”あるいは、”他の人には普通の姿に見えている”ことは

大輔も気づいていたー。

そんな状況でルーメンのことを話しても、

聡美を混乱させるだけだー。


だから、話さなかったー。


そのため、聡美はルーメンのことを何も知らないー。

こんな、”怪人”を見るのも初めてだー。


「へへへへー 何だっていいだろ?

 まぁ、とにかく、マルム様がお前の身体を

 有効に使うからー


 そこで大人しくしてた方が身のためっすyーーー…


そこまで呟きかけると

ドールモスキートが表情を歪めたー


「ーーそんなこと…させないー」

マルム(聡美)が、拘束していた鎖を破壊してー、

立ち上がったのだー。


マルムになった聡美はー

マルムの刺々しい腕を使って、鎖に少しずつダメージを

与え続けてー

鎖を破壊したのだー


人間には鎖を破壊することなど、普通はできないー。

だが、”怪人”であるマルムの身体なら、それができるー


「ひっ…ひぃっ!?」

ドールモスキートが尻餅をつくー。


禍々しいマルムの腕を使えばー、

この怪人を一撃で粉砕することができるかもしれないー。


だがー

相手が怪人であろうと、マルム(聡美)には

”人殺し”のような行為はできなかったー。


「ーーーーーー大輔を傷つようとするならー

 絶対に許さないー!」


マルム(聡美)はそれだけ言うと、自分が拘束されていた椅子を

マルムの身体で、一撃で破壊してみせると、

尻餅をついたままのドールモスキートを無視して、

そのまま立ち去ろうとしたー


「ーーど、どこへ行くんすかー!?

 その姿じゃー……そんな化け物みたいな姿じゃー!」


ドールモスキートが、マルム(聡美)を逃がすまいと

そう声を発するもー、

マルム(聡美)は「大輔ならーきっと信じてくれるからー」と、

だけ言い返して、そのまま夜の闇へと消えたー


”大輔ー……

 お願いー…騙されないでー”


マルム(聡美)は、

”聡美になったマルム”に大輔が騙されないことだけを祈りつつー

何とか大輔と接触しようと、頭をフル回転させながら、

夜の廃墟地帯を走ったー…。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


「ーおい、あいつやばくねー?」

「何だよこれー?」

「このじいさんー…殺されたのか?」


今日は大学内が何やら騒がしいー。


その”理由”を知らずに大輔がいつものように

大学構内を歩いていると、

「ーおい、岩城ー」と、友人の一人が大輔に

声を掛けて来たー。


「ーー…何だよー…?そんなに慌ててー」

大輔がそんな風に返事をすると、その友人は

「ーこれ!昨日の夜にネットに出回った動画ー!」と、

困惑した表情で、言い放つー。


「ーーー…!!!!」


昨夜ー、聡美(マルム)が配下の怪人・バイオグリズリーを

囮にして撮影した”おじいさんを大輔がボコボコにする動画ー”


もちろんー、おじいさんは”バイオグリズリーの擬態”であり

実在する人間ではないのだが、

”ルーメン”を知らない人間が、この動画だけ見ればー

”大輔がおじいさんをボコボコにしているようにしか”見えないのだー。


「ーーー…」

大輔には、その映像も”ルーメンの怪人”を倒しているようにしか見えないー


だが、ルーメンの怪人と以前戦った時の会話や、

他の人たちの反応から、”ルーメンの怪人は自分以外には人間の姿に

見えている”ことは、大輔も理解しているー。


「ーーーどんな内容に見えるんだ?」

大輔が、表情を歪めながらその友人に訪ねるー。


「ーーどうってー…

 お、お前がじいさんをボコしてるようにしか見えねぇよ…」

と、友達は答えるー


「ーーーーー…!」

大輔は顔を上げるー


朝から大学内がざわざわしているのが”自分のせい”だと気づくー。


「ーー俺は人に暴力を振るったりはしてないー…

 事情は、ーーー…今度説明するからー」


大輔はそれだけ言うと、そのまま友人の前から立ち去るー


まさか、”人間に擬態する悪の組織と戦っていて”

”何故だか分からないけど、俺だけは怪人を見破ることができる”

なんてご都合主義みたいなことを言っても、誰も信じないだろうー。


今は、黙するしかないー


「ーーーーー…」

廊下の影から、冷たい目で大輔を見つめる聡美(マルム)ー


「ーーー俺たちルーメンの怪人では、お前には歯が立たないー

 故に、大将軍が言うように、お前を生け捕りにすることは

 正攻法では困難だー。


 だがーーー」


聡美(マルム)はニヤッと笑うー。


「ー正攻法が無理なら、”心”を壊してしまえばいいー」

聡美(マルム)はそう呟くと、

邪悪な笑顔から、いつものような笑顔に切り替えて、

「だ~いすけ!おはよ!」と、

大輔に声を掛けるー。


聡美(マルム)の突然の登場に、大輔は

聡美のほうをじっと見つめてから

「あ、あぁ、おはようー」と、困惑した表情で呟くー。


「ーーー聡美ー……あのさー」

聡美も、例の動画のことをもう知っているかもしれないー。


そう思いながら大輔が口を開こうとすると、

聡美(マルム)は優しく微笑んだー


「ーわたし、大輔のこと、信じてるからー」

聡美(マルム)のそんな言葉に、

大輔は「ー聡美ー…」と、少し安堵したような表情を浮かべると

「ごめんなー」と、静かに呟いたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


夜ー


「ーーー……も、申し訳ありません!」


マルム(聡美)を拘束していた廃墟にやってきた

聡美(マルム)は、腕を組みながら不満そうに

土下座するドールモスキートのほうを見つめたー


「ーーー…逃がしちゃったんだ?」

聡美(マルム)は、”聡美のような口調”を意識しながら、

ドールモスキートに顔を近づけるー


「ーーひ… は…ぅ… は、はいー」

ドールモスキートがそう呟くと、

聡美(マルム)は「へ~~~~~~」と、言いながら

履いていたヒールで、ドールモスキートの足を踏みにじるー


「ーーお前は、そんな簡単な役目も

 まともに果たせないんだぁ~~~~~~~?」


聡美(マルム)は満面の笑みでそう言うと、

そのままドールモスキートの手を粉砕して、

顔を睨みつけるー。


「ーーーーーうふふふふふふふ…♡

 わたし、ゴミはすぐに捨てないと気が済まないの♡」


”わざと”聡美みたいな振る舞いをして

ドールモスキートを脅す聡美(マルム)ー


「ーひっ…お、お許しをー」

ドールモスキートが必死に嘆願するー。


しかしー、聡美(マルム)は全身から紫色の闇のオーラを

溢れさせると、目を赤く光らせて、

長い黒髪を逆立てながら、恐ろしくも、可愛い声で呟いたー


「この身体でも”魔力”ごと入れ替わってるからなぁー

 お前を処刑するなんて、簡単なことだー」


聡美(マルム)は悪魔のように笑うとー

手から紫色の波動のようなものを飛ばしー

ドールモスキートを一瞬で粉砕したー



「ーーふ~~~~~」

紫色のオーラが消え、逆立っていた髪が元に戻ると、

「ー邪魔くせぇなこれー」と、不満そうに呟きながら、

髪をぐしゃぐしゃに手で掻きむしるとー


「まぁー…入れ替える前に”擬態”は解除しておいたからー

 この女が俺の身体で自由になってもー……

 できることは限られてるしーーー」


ニヤッと笑う聡美(マルム)ー


「”どうせ”行くんだろー?

 ”カレシ”の元にー?」


そう呟くと、聡美(マルム)は笑いながら

その場から姿を消したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


同時刻ー


「ーーー」

大輔が険しい表情を浮かべながら家の方に向かっている最中ー、

いつも帰宅する途中に通る、ほとんど人気のない薄暗い木に囲まれた道でー

”それ”は姿を現したー


「ーーー!

 ルーメンー…」


大輔が目の前に現れた怪人を前に、表情を歪めるー。


だが、”なぜか”大輔の攻撃はルーメンの怪人に

圧倒的力を発揮するー。


ちょっと蹴っただけでも、粉砕できるほどにー


「ーま、待って!」


しかしー

目の前に現れた怪人が、そう声を上げたー。


低く、太い声ー

醜悪な容姿に似合わぬ態度ー


「ーーーー…」

大輔が表情を歪めながら、その怪人ー…

ルーメンの三大幹部の一人、マルム(聡美)を見つめると、

マルム(聡美)は呟いたー


「ーだ、大輔ー…落ち着いて聞いてー」

マルム(聡美)のそんな言葉に、

大輔は表情を歪めて、口を開こうとするー


「ー!」


だがー

すぐに表情を険しいものに戻すとー

「何のつもりだー?」と

問いただすー。


「ーし、信じて…貰えないかもだけどー…」

マルム(聡美)は、動揺しきった様子で言葉を続けるー


「わ、わ、わたしが…聡美なのー…

 だ、大輔といるわたしは、この…この化け物みたいなー」


マルム(聡美)が状況を何とか説明しようとするとー


「きゃあああああああああああああ!!!!!」

と、いう声が響き渡ったー。


大輔とマルム(聡美)が振り返ると、

そこには聡美(マルム)の姿があったー


「ーば…ば、ば、化け物…

 いやあああああああああああああああああ!!!!!!」


聡美(マルム)がわざと大きな悲鳴を上げるー。


周囲の人が女の悲鳴に気付き、

集まって来ることを狙っているのだー


マルム(聡美)が、周囲を気にしながら困惑するー


そうこうしているうちに、大輔の手を引いて、

聡美(マルム)が、大輔と共に逃げようとするー


「さ、聡美…?」

いつもより強引な様子の聡美(マルム)に大輔が

そう声を掛けるとー、

「化け物の近くにいたら、大輔、殺されちゃうよ!」

と、聡美(マルム)は言い放ったー


「ーーー」

大輔は、”ルーメン”のことを知らない聡美のことを気遣ったのか、

そのまま何も言わず、聡美(マルム)と共に逃げたー


マルム(聡美)は「待って!」と叫んだもののー

人が集まってくるのを察知して、そのまま近くの

林へと駆け込むー


”大輔ー…騙されちゃダメー…そのわたしは、わたしじゃないー”

マルム(聡美)は、そう思いながらも

今はどうすることもできず、そのまま誰かに見られないように

身を隠したー…


”この姿”じゃー

”化け物”としてしか見てもらえないのだからー


・・・・・・・・・・・・・・・・・


数日後ー


「ーーそれは、あんたの趣味なのかいー?」


ルーメンの本拠地では、

三大幹部の一人・妖艶な女幹部のロサが

笑いながら、聡美(マルム)を見つめるー。


ルーメンの本拠地にいる時には、

紫色の禍々しいドレスを身に着けて、

悪女のような雰囲気を曝け出している聡美(マルム)ー


「ーークク…この方が似合うだろ?」

聡美(マルム)がそう言うと、

”雷神”の異名を持つ三大幹部の一人・トニトルスが不満そうに呟くー


「ー貴様の計画は、順調に進んでいるのか?」


その言葉に、聡美(マルム)はワインのようなものを飲みながら笑うとー、

「ー岩城大輔は、だんだん追い詰められつつあるー」と、呟くー。


大輔は”例の動画”で大学内で孤立したー。


そして、聡美(マルム)は、大輔をさらに追い詰める

”次の一手”を思いついていたー。


「ーーー”女”の身体を利用してー

 奴をさらに追い詰めてやるー」


聡美(マルム)はそう呟くと、飲み終えたワイングラスを置いて

歩き出すー。


「どこに行くんだい?」

ロサが声を掛けると、聡美(マルム)は笑ったー


「ー大学ー。

 人間界は、もうすぐ朝だからな」


それだけ言うと、

聡美(マルム)は紫の闇の中に姿を消しー、

そのまま次元の狭間にあるルーメンの本拠地からー

再び人間界へと足を踏み入れたー。


④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


次第に破滅に向かって行く彼……

この先どうなっていくのかも、ぜひ見届けて下さいネ~!


今日もありがとうございました~!

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