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とある地方の城主・結城辰喜は、暴政の限りを尽くし、

民たちの反乱を招いてしまい、その身を滅ぼしたー。


しかし、炎上する城の中で謎の忍から”チャンス”を貰った辰喜は

女体化して、町娘・菊として、

自分が苦しめた町で普通に町娘として暮らすことになったー。


辰喜自身も、死に直面したことで”儂は間違っていた”と考え直し、

菊として、思うところはあれど、町の人々と共に生活を続けたー。


周囲から可愛がられー、感謝される日々を送る中ー、

女体化した結城辰喜には、また別の黒い感情が芽生え始めていたー。


☆前回はこちら↓☆

<女体化>元暴君の町娘①~新たな人生~

「ーーー…儂は、間違っていたというのかー」 江戸時代ー。 とある地方の城主・結城 辰喜(ゆうき たつよし)は、 表情を歪めながら、炎に包まれた城の中にいたー。 「ーーーーー…」 もう、逃げることはできないー。 城は包囲され、城は炎に包まれたー。 彼、結城辰喜の命運はもはや決まったと言っても良いー。 辰喜は”...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


女体化した結城辰喜は”菊”としてー

普通の町娘としての生活を満喫していたー。


あの日、民たちからの反乱によって、

命を落とすところだった結城辰喜ー。


”儂が間違っていたー”

確かにあの日、炎の中、空を見上げてそう思ったー。


男から女になってー

城主から町娘になってー

全く異なる立場になってー

その考え方も大きく変わったー。


町娘として、町の人々たちと苦楽を共にするうちにー

町の人々の気持ちをよく理解することができたー


”虫けら”達の気持ちがー


「ーーー今日もお疲れ様でした」

ぺこりと頭を下げて、お世話になっている食事処の

女将に挨拶をする”菊”


「あぁ、菊ちゃんもお疲れ様ー

 いつも、ありがとうね」


”感謝される”

こんな、気持ちになることは

”結城辰喜”だった頃にはなかったー


女体化してー

全てが変わったー

何も、かもがー。


今までは、城主として

部下たちから”ありがたき幸せ”だとか、

そういったことを言われることは何度も何度もあったー。


しかし、それは心からのお礼ではないー。

そこには”立場の違い”があり、

女体化してから言われるお礼の言葉と、

城主であった時に言われたお礼の言葉にはー

言葉では言い表せないほどの”差”があるのだー。


「ーーー」

にこっ、と微笑みながら女将に会釈をして、

食事処の主人たちに提供された長屋へと帰っていく”菊”ー


「ーお前たちはーやはり”虫けら”よのー」

邪悪な笑みを浮かべる”菊”ー


女体化して、町娘として、町の人々と暮らしてみて、

結城辰喜は、理解したー


”こんな奴ら、簡単に儂の意のままにできるー”

とー。


「ーーねぇ…わたし、あのお店を自分のものにしたいんだけどー」

悪女のような笑みを浮かべながら”菊”は、

長屋の近くの山中で、怪しげな男たちと話していたー


「へへへ…悪い女だねぇ…痺れるぜ」

賊の男はそう呟くと、”菊”のほうを見て笑みを浮かべるー


「ーーふふふふー

 成功したら、いつでもわたしを抱かせてあげるー」


”菊”は、そう呟くー。


最初はーーー

心を入れ替えて”やり直そう”と思っていた結城辰喜ー。


しかしー

仕事中にミスをした際に”可愛がられる町娘”の立場を利用しー、

見習いの男・茂吉に罪をなすりつけた時からー、

再び結城辰喜は歪み始めたー。


”この身体を使えばー何でもできるー”


彼は、そんな風に思ってしまったー


”女”を武器にするというー、

そんな”悪い知恵”を身に着けてしまったー。


あれから既に少し時は流れー

今では”菊”として、色気を武器に、何人かの男たちを手玉に取り、

裏で”暗躍”しているー。


表向きは、誰からも可愛がられる町娘ー

裏では、身体をー色気を武器に、男たちを手玉に取る悪女ー。


あの日ー

”儂は間違っていた”と呟いていた結城辰喜はー、

女体化して、”今の身体で出来る悪だくみ”を覚えてー

またー”間違った道”へと進み始めようとしていたー。



”愚かなー”


夜の月を背に、崖の上から

そんな”女体化した結城辰喜”の姿を見つめる忍ー


「所詮、私欲にまみれた汚物は、汚物のままー」

あの日、結城辰喜を女体化させた忍は、それだけ呟くと、

そのまま夜の闇へと姿を消したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「きゃあああああああああああっ!!!」


”菊”が悲鳴を上げるー。


女体化してから既に数か月ー。

結城辰喜はすっかりと”女”としての振る舞いを

身に着けていたー


わざとらしくー

けれども周囲にそれを悟られないよう、悲鳴をあげた”菊”ー。


駆け付けて来た周囲の町人たちが、

食事処の女将や主人が店内で”皆殺し”にされているのを見て

呆然とするー


「ーーあ…ぁ…ぁぁああ」

目に涙を浮かべながらガクガクと身体を震わせて、

その場に泣き崩れる菊ー。


「ーー菊ちゃんー見ちゃだめだー」

「ー菊ちゃん…大丈夫…大丈夫だよ!」

「ー役人を呼んで来い!」


町人たちが、”菊”のことを心配しながら騒ぎ始めるー


”菊”は泣きながら、心の中では”笑み”を浮かべていたー。


「ーー(クククー、これでこの店は儂のものよー)」


そうー

食事処の女将と主人を殺したのはー

”菊”に誘惑されて、菊と結託した賊の男たちだー


「ーーわたしーーー…皆さんのご恩に報いるためにもー

 このお店を続けて行こうと思いますー」


女将と主人の死の翌日ー

”菊”はそう宣言したー。


町の人々は”菊ちゃんは強いねー”と感心し、

菊のことを全力で支えると誓ってくれたー。


「ーふはははははは!馬鹿め!虫けらどもめ!

 女子(おなご)になったこの儂に怖いものなどないー!

 城や地位、権力が無くとも、儂は全てを手に入れることができるー!」


女体化した辰喜=菊は、一人嬉しそうにそう叫びながら笑みを浮かべたー


「そうだー!

 儂は間違っていたのだー!

 この世を制するのは、力や地位だけではないー

 ククククー

 礼を言うぞ虫けら共ー!

 貴様らが反乱を起こした結果がーーこれだ!」


結城辰喜は女体化して、”菊”と名乗りー

改心に向かっていたはずなのにー

結局は”元の暴君”へと戻ってしまったー


形は違えど、元の暴君へとー。


食事処を我が物とし、

それを仕組んだのが”菊”だと知らない町の住人たちは

変わらず、菊に対してとても親切にー、

そして、菊のことをとても可愛がってくれていたー


まさかー”菊”が、

暴君であった結城辰喜が女体化した姿であるなどとは、

夢にも思わずにー。


”菊”のやりたい放題は続くー。


賊には、引き続き、必要であれば

身体を使って賊たちを誘惑ー、

賊たちを使って、邪魔者を始末させたー


”金”と”女の身体”

その二つを武器に、結城辰喜は女になったあともなおー、

悪の限りを尽くしたー


だが、ある日ー


「ーーへへへへ…いいから今日も楽しませろよ」

賊のリーダーが、”菊”の意思を超えて、

エスカレートし始めたー。


”菊”の身体を執拗に求めるようになってきたのだー


「ーこの前も、楽しませてあげたはずだよ」

菊がそう言い放つと、賊は笑みを浮かべるー


「まぁ、そう言うなってー

 何なら、”お前の悪女っぷり”を町のやつらに

 ばらまいてやってもいいんだぜ?


 それだと、お前も困るだろ?」


その言葉に、

”菊”は表情を歪めるー


「ほら、まずはその着物を脱いでもらおうか」

賊の男の言葉ー。


菊は「”くそっ…虫けら共がー儂を誰だと思うておる?”」と

心の中で激しい憤りを感じるー


しかしー

賊のリーダーは周囲に賊と共に、菊を押さえつけると、

そのまま菊の身体に乱暴しようとするー。


か弱い声を上げる菊ー。


「ーへへへっ!お前のような悪女でも、そんな声を出すんだなぁ!」

賊のリーダーが嬉しそうに笑うー。


男たちの力を前に、

女体化した辰喜はなすすべもなく、情けない声を出してしまうー。


”くそっ…!このような賊どもー、儂が、儂の身体であったならばー”


菊がそう思いー

再び”儂は間違っていたのかー”と、歯ぎしりをするー。


”女”を武器に暗躍しー、

人々を騙しー、

操るー


そんなー自分のやり方は、間違っていたのかと、

何度も歯ぎしりをしながら考えるー。


だがー

その時だったー


「菊ちゃん!!!」

偶然ー

町人の一人がー

近くを通りがかって

”賊に襲われている菊”を発見したー。


賊は「チッ!邪魔すんじゃねぇ!」と叫ぶー。


「た…助けて下さい!」

女体化した結城辰喜は心の底からそう叫んだー。


悪代官に襲われる女の気持ちが、分かったー

そんな、気がしたー。


通りすがりの町人は「誰か!!誰か来てくれ!」と叫ぶー


流石にまずいと思ったのか賊は「チッ!」と舌打ちをして

他の仲間と逃亡を始めるー。


「ーー菊ちゃん!大丈夫かい!」

賊が走り去ったのを見て、乱れた格好の菊を見つめながら

心配そうに声を掛けて来る男ー


「は…はい…ありがとうございますー」

女体化した辰喜は、

無意識のうちに、自然と目から涙がこぼれていることに気付いたー


だがー

それと同時にー


”やはり儂にはーー神がついている”


と、そう思ったー


城で炎に包まれたあの時ー

そして、賊に襲われた今ー


どんな時でも、奇跡が起きるー。


あの時は、謎の忍が助けてくれたし、

今も、人通りが少ない場所なのに、運よく町人が通りがかったー


「そうだー…

 儂はー…儂は、神に選ばれたのだー


 この姿ならー

 何でも、何でも思い通りだー

 ククッ…ふはははははは!」


一人になった菊は嬉しそうにそう笑うー。


純粋な町娘を演じながら

裏では暴君・結城辰喜の考え方そのままー


”町娘の姿形をした悪魔”が、

そこに生まれてしまったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


数日後ー


賊と結託して、食事処の女将や主人を抹殺したことを

悟られないように、菊は”賊”を始末することを考え始めるー。


菊は暗殺家業を営む男に接触すると、

”女”としての魅力を武器にその男を誘惑ー

賊の始末を依頼したー。


賊は、あっという間に全滅させられてー

菊は、その男に向かって静かにお礼の言葉を囁いたー


結城辰喜が”男”であったころにもよく使っていた男だったが、

やはり、今でも役に立つー。


もちろん奴は目の前にいる町娘が、

結城辰喜であるなどとは、夢にも思ってはいなかっただろうがー。


「ーーーーーー儂は間違っていないー」

女体化してー”菊”と偽名を名乗り、町娘としての

生活を始めた時にはどうなるかと思ったが

やはり、”儂は虫けら共を導く存在”だと、

改めて彼はーいや、彼女は確信していたー


「運も、神も、全て儂の味方よ!

 はははははは!」


夜の街を嬉しそうに一人歩く菊ー。


しかし、その時だったー

目の前から歩いてきた通りすがりの男と

すれ違った際に、菊は鈍い痛みを感じたー


「ーー?」

菊が自分の身体を見下ろすとー

そこには、1本のナイフが胸に突き刺さっているのが見えたー


「ーーえ…」

一気に表情を歪める菊ー。


胸のあたりから血が流れて、地面に零れ落ち始めるー


「え……」

震えながら、菊が振り返ると、

そこには、菊を恨みの目で見つめる若き男がいたー。


「ーーーも……茂吉…さん」

菊は震えながら呟いたー


茂吉ー

菊が、働く食事処の見習いだった男ー


菊がミスなすりつけてー

クビになった見習いの男ー


「ーわ…わたし…見ましたー」

「茂吉さんがー……その陶器を落としているのを」


罪をなすりつけた時のことを思い出すー。


「ーなっ!?お、俺…?

 き、菊ちゃんー!何を言ってるんだ!俺じゃねぇよ!」


慌てる茂吉を思い出すー。


「ー往生際が悪いぞ。茂吉」

「ー嘘をつくなんて、酷いじゃないかー」


「違う!嘘じゃない!違う!」


店の主人と女将に叱責される茂吉を思い出すー。



「ーー菊ちゃんーおめぇは悪魔だー。

 お前のせいで、俺はー」


茂吉は、そう叫ぶと、菊に刺さったナイフを引き抜いて、

今度はそれを首筋に突き立てたー。


「ーーう…ぁ…」

菊は悲鳴を上げることもできず、その場に倒れ込むー


「ー虫けら共がー…虫けら共がー」

苦しそうにそう呟く菊ー


だが、菊は笑っていたー


”儂には神がついているー”


城が燃やされたあの日のようにー

賊に襲われたあの日のようにー


助けが、来るー


そう思いながらー。


そしてー

菊の目に、遠くから歩いてくる例の忍の姿が見えたー


”ほぅら…来たー 儂は神であるぞー

 ほら…儂を早く救えー”


「ーー儂を…救えー」

ボソボソとそう呟く菊ー。


それを見つめながら茂吉は表情を歪めるー。


「ーーーふは……儂は……神だ」


その瞳は、輝きを失い、そのまま動かなくなるー。


”菊”が、最後に見た忍は、

死にゆく菊が見た幻覚ー。


そこに、忍はいなかったー


茂吉は、そのまま「もう、俺にも行くところはねぇ」と、呟くと

隠し持っていたナイフを手に、それを自分にも突き立てて

その場に倒れ込んだー



「ーーー愚かなー」


その様子を離れた場所から見つめていた忍は、

「これが、私欲にまみれた汚物の末路かー」

と、静かに呟き、そのまま闇の中へと消えて行ったー



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


江戸時代を舞台とした女体化モノでした~!


やっぱり、普段あまり書かない世界観のお話を書くと、

新鮮な気持ちになりますネ~!(書く側は…笑)


今日もお読み下さりありがとうございました~!


とても暑い地域が多いみたいなので、

熱中症と、溶けないように注意してくださいネ~

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