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豹変した妹の雫は”正気”ではないー?


その周囲で暗躍する謎のオールバックにトレンチコートの男ー。


雫の豹変の原因に近付くことができると感じた悠馬は、

豹変した雫が、最近仲良くしている暴走族らのたまり場である

ゲームセンター”エンジェル・エデン”へと再度足を踏み入れたー。


暴走族のリーダー・修と再び対峙する悠馬ー。


修に対して”オールバックの男”の話を口にすると、

修は露骨に表情を変えるのだったー。


★前回はこちら↓★

<MC>歪められた絆⑧~不穏な男~

妹・雫の豹変の理由を調べていく悠馬ー。 彼女の愛梨沙が協力を申し出てくれる中、 悠馬は、雫の彼氏である九条輝樹から、 ”雫が正気ではないかもしれない”という話を聞かされるー。 オールバックにトレンチコートの男が そのような電話をしているのを、偶然輝樹が聞いたというのだー。 そんな中、雫を尾行していた愛梨...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


★主な登場人物★


・神里 悠馬(かみさと ゆうま)

大学生。妹の雫が豹変したことに困惑する。


・神里 雫(かみさと しずく)

高校生。兄の悠馬のことが大好き。少しイタズラっ子な一面も。


・森永 愛梨沙(もりなが ありさ)

大学生。悠馬の彼女。成績優秀な優等生。コスプレ趣味がある。


・藤嶋 亮介(ふじしま りょうすけ) 

大学生。高校時代からの親友。困った時には頼りになる存在。


・西園寺 美桜(さいおんじ みお)

高校生。妹・雫の親友。表裏が非常に激しい。


・九条 輝樹(くじょう てるき)

高校生。妹・雫の幼馴染で悠馬とも小さいころから面識がある。


・玉城 東吾(たまき とうご)

裏社会の便利屋。ヘルメットの人物と共に雫を洗脳した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーー髪型がオールバックで、トレンチコートの男、

 知ってるか?」


ゲームセンター・エンジェルエデンの店内で、

悠馬は、暴走族のリーダー・修にそう問いかけたー。


修は派手な髪を落ち着かない様子で触りながら

ソワソワとした様子を見せるー。


「ーー知ってるんだな?」

悠馬がそう呟くー。


ゲーム筐体の大音量が響き渡る中ー

修はしばらく間を置いてから、ようやく口を開くー。


「ー知っていたら?」

修の言葉に、悠馬は「そいつは、誰なんだ?」と、

質問を投げかけるー。


「ーーーーーーへへへへへへっ

 お前になんざ教えるわけねぇだろ!」

修はそう言い放つと、

「用件はそれだけなら、とっとと失せろー」

と、手を振りながら再びさっきまでプレイしていた

格闘ゲームの台の方に向かって行くー。


仲間たちと共に笑いながらゲームを再開しようとする修ー。


しかしー、悠馬は食い下がったー。


「ーお前ら、雫に何をしたー?

 オールバックにトレンチコートの男は誰なんだー?」


なおも食い下がる悠馬ー。


「ーーーあ~~~!うっせぇな!」

格闘ゲームの台を乱暴に叩いた修が振り返るー。


「ーーしずくしずくしずくしずくしずくしずくしずくー

 頭の中、妹でギッシリってか?」


自分の頭を指さしながら、睨みつけるようにして近付いてくる修ー。


「ーーー急に妹が豹変したらー

 兄として心配するのは当然のことだろ」


悠馬がそう言いながら、修を睨み返すー。


悠馬はこういう場にはなれていないー。

正直、心の中では恐れもあるし、震えそうになるのを

必死にこらえているー。


「ーあにとしてしんぱいするのはとうぜんのことだろー


 だってよ?

 わははははははははははは!」


悠馬の真似をして、背後にいた仲間たちに向かって

揶揄う様にして笑う修ー。


修の仲間たちもニヤニヤしながら、悠馬のことをあざ笑うー。


「ーーー失せろ」

笑い終えた修が、突然真顔になって悠馬の身体を少し押し飛ばすー。


「ーーー…答えろ!…お前たちは、雫に何をしたー!」

悠馬がそう言い返すと、修は悠馬を睨みながら呟くー。


「ー別に何もしてねぇよー。

 あっちから俺たちの方に近付いてきたんだぜ?


 お前、妹のこと な~んも、理解できてねぇんじゃねぇの?

 ひはははははは!」


修はそれだけ言うと、

「ーバカな兄貴は、家に帰って妹モノのエロゲーでもやって寝な」と、

手を振りながら格闘ゲームの方に再び向かうー。


「ーーーーーー」

しかし、悠馬は帰る様子を見せずー

その場に居座るー


”KO”

と、格闘ゲームの勝利を知らせる音が、ゲームセンター内に

響き渡るー。


バン!!!


格闘ゲームで試合を終えた修が、ゲーム機を思いっきり叩くと、

悠馬の方に鬼のような形相で向かってくるー。


「いい加減にしろよテメェ?

 失せろってんだよ」


修が、先ほどまでとは違い、脅すような口調で呟くー。


「ーーオールバックの男は、誰だー?

 雫に、何をしたー?」


悠馬は負けじとなおも繰り返すー。


「ーーう・せ・ろ」

修が強い口調で”警告”するー。


「ーーー答えろ」

悠馬も強い口調で言い返すー。


だがー


その直後ー

悠馬の顔面に、修の拳が叩きつけられたー。


悠馬の身体が吹き飛ばされて、

近くのビリヤードの台に背中を打ち付けるー。


「ーーいい加減にしろよ?クソ野郎ー」

修は、そんな悠馬に容赦なく近づくと、

殴る・蹴るの暴行を咥え始めるー。


悠馬は、なすすべもなく、修からの暴力の嵐を受けるー。


先日、雫がこのゲームセンターにいた時に続いて

2回目の暴行だー。


がーーー

悠馬も”何の作戦もなし”に、修たち暴走族の暴行を

受けに来たわけではないー


わざとらしくスマホのシャッター音が鳴り響きー、

悠馬をさらに殴りつけようとしていた修が顔を上げるー


「ーーテ…テメェー」

修が悠馬に加えた暴行の映像をーーー

悠馬の親友・亮介が隠れて撮影していたのだー。


そうー

悠馬は、ここに一人で来たのではなく、

親友の亮介も一緒にここにやってきていたのだー


「ーおっとー」

亮介はスマホを手に、

「ボタン一つ押すだけで、お前らの暴行動画ー

 ネットに上がるから、動くなよー」と、

修たちに言い放つー


「チッー」

舌打ちをする修ー。


”暴走族”ではあるものの、修たちは、

必要以上に問題になることは恐れていたー。


先日、”洗脳された雫”に、悠馬が通報をお願いした際にもー

修は焦るような反応を見せていたことからー

悠馬は”暴行の動画を撮影すれば”修の行動を牽制できると思い、

”もしも、素直にオールバックの男のことを教えてくれず、

 暴力を振るってきた場合は、それを撮影してほしい”と

亮介にお願いしておいたのだー。


「ーーーー……調子に乗るんじゃねぇぞ」

修はそう言いながらも、悠馬への暴行をやめて、

少し距離を取るー。


「ーーーで?オールバックにトレンチコートのヤバそうなやつは

 何者なんだよ?」


亮介がスマホを手にしたままそう呟くと、

修は口を閉ざすー。


「ーー…雫に…何をしたんだ!答えろ!」

暴行を受けた悠馬も、痛みに耐えながら修に向かってそう叫ぶー。


「ーー…こうしようー」

亮介が言うー。


「お前が素直に話せば、俺は今、撮影したこの動画を消すー

 それでどうだ?

 悪い話じゃないだろ?」


亮介の言葉に、修は表情を歪めながら「ふざけやがって」と、

亮介を睨みつけるー。


だが、言葉とは裏腹に、かなり参っている様子で、

周囲の暴走族たちも、表情を歪めていたー。


「ーーー………」

亮介は、少し修を見つめてから、

舌打ちをすると、悠馬にスマホを渡して、

「あいつらが変なことをしようとしたら、すぐ動画をばらまけ」と、

呟くと、スマホを受け取った悠馬を他所に、

パンチングマシンへと近づいていくー。


先日、確か暴走族のリーダー・修が悠馬の前で

”215”という点数を叩きだしてドヤ顔をしていたのを思い出すー。


「ーーーへへー

 なんだなんだ?

 俺の最高記録は219ー

 お前みたいなどこにでもいそうな学生にーーー


修がそこまで言いかけるとー

亮介は思いっきりパンチングマシンに拳を叩きつけたー。


”255ー”


「ーーーー~~~~」

修が、表情を歪めるー。


「~~~~~~~……!」

修がみるみる青ざめていき、亮介のほうを見つめるー。


亮介は「ふ~~」と、わざとらしくため息をつくと、

「で?オールバックの男は誰なんだよ?」と、

修のほうを見つめて笑うー。


「ーす、すげぇ…」

亮介は別に格闘技をやってるわけでも力自慢でもないー

なのに、ドヤ顔をしていた暴走族のリーダーを遥かに超えるスコアー。


「ーーー……なんだよ…言う気ねぇのかよー

 じゃあ、いいや、悠馬。

 それ、投稿しようー

 こいつら、何も言う気がないみたいだし、

 これ以上話し合ってもー」


亮介が、悠馬のほうを見ながらそこまで言うと、

修は「ま、待て!分かった!言う!」と、

少し慌てた様子で叫んだー


「だから、その動画は投稿するなー」

修の言葉に、悠馬と亮介は修のほうを見つめるー。


暴走族のリーダー・修が”警察に通報”されることや

”問題になりそうなこと”を恐れているのには

何か理由があるのかもしれないが、

そんなことは、今の悠馬や亮介たちには、どうでもよかったー。


「ーオールバックにトレンチコートの男ー…

 それは……玉城(たまき)さんのことだろー」


修が言うー。


「玉城?」

悠馬が反応すると、修は頷くー。


「ーーあぁ…それ以外は詳しくは知らないー

 でも、あの人は俺たちに色々よくしてくれてよー


 お前の妹ー雫も、その玉城さんとよく話してるよー」


修の言葉に、亮介は

「その玉城ってやつには、どこで会えるんだ?」と、

修に対して言い放つー


「ーーーー…わ、わからねぇー…

 けど、話をするときは、

 南口の”スターダスト・イリュージョン”って店で

 よく話をしてたー」


修の言葉に、

「その店に行けば、玉城って人に会えるのか?」と、

悠馬が言うー。


「いつもいるわけじゃねぇよ」

修がそれだけ言うと、

悠馬はさらに続けたー。


「ー雫に何をした?」

とー。


「ー知るかよー。俺が初めて会ったときは、

 お前の妹はあんな感じだったー。

 俺たちは、何もしてねぇー。

 

 いい女が寄ってきたから、

 仲間に入れたー

 それだけだ」


修がそう言い放つー。


悠馬と亮介が、修のほうを見つめていると、

「もういいだろ!」と言い放ちながら、

うんざりとした様子を見せるー


”こいつは、これ以上何も知らなそうだなー”

亮介が悠馬に小声で言うと、

悠馬も頷きー、悠馬は、亮介のスマホを

亮介に返すー


「よし、帰ろうー」

亮介は、悠馬にそう呟くと、

悠馬と共に、ゲームセンター、エンジェルエデンの

入口の方に向かって下がっていくー。


「ーー俺たちが出るまでお前らは動くなよー」

亮介はそう言いながら、下がっていくー。


今、ここで隙を見せれば暴走族らに襲われる可能性があるからだー。


そしてー

ゲームセンターの出口付近までやってくると、

亮介はスマホを暴走族たちに見せつけながら

撮影した動画を削除してー、

そのまま悠馬と共にゲームセンターの外へと駆け出したー。



「ーーーくそっ」

二人が立ち去ったのを確認すると、修は不機嫌そうに

そう舌打ちをするー。


そしてーーーー

怒りの形相で、近くにいた仲間の顔面を殴りつけて

八つ当たりをすると、

「俺を舐めやがって…このまま済むと思うなよー」と、

怒りの形相を浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーースターダスト・イリュージョンかー」

亮介は、オールバックの男・玉城が時々訪れるという

店の名前を呟くと、

悠馬のほうを見つめたー。


「ーこれ以上は、やばいんじゃないか?」

とー。


「ーーー…」

悠馬も表情を詳しくするー。


暴走族に、謎の男ー

確かに、犯罪の香りがするし、

玉城なる男が”まともな人間ではない”のは間違いないー。


しかしー


「ーそれでも、俺ー…」

悠馬が言うと、亮介は

「ま、そりゃそうかー。雫ちゃんのためだもんなー」と頷くー。


「ーけど、無理はすんなよー。

 お前の身に何があったら、雫ちゃんも悲しむだろうしー、

 もちろん、愛梨沙ちゃんも」


と、悠馬の彼女の名前も口にするー。


「ーーー…分かってるー」

悠馬が、亮介を見つめながら力強く頷くと、

亮介は時計を確認し、

「ーもう遅いし、ひとまず今日はこれまでだな」と、呟くー。


悠馬も時計を見て、少し表情を緩めるとー

「ーこんな危険なことに付き合わせて、本当にごめんなー」と、

亮介に対して、心からのお礼の言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーーーーー」


”洗脳された雫”は、部屋の中で一人、

不機嫌そうにスマホをいじっていたー。


「ーーーーーーー」

その目はどこか虚ろでー

生気のない様子の雫ー


「ーーーー」

全てにイライラしながら、洗脳された雫は、

同級生で彼氏の九条輝樹から届いたメッセージを見て

更に不機嫌そうに舌打ちをしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


23:30ーーー


夜も深まった時間帯ー


既に客のいないゲームセンターで、

オールバックにトレンチコートの男・玉城東吾が

煙草を口に咥えながら、レースゲームを一人プレイしていたー


「ククッー、ガキの頃以来だがー、

 なかなかできるもんだなー」


プレイを終えた玉城東吾は、そう呟くとー

震えながら近くに立っていた暴走族のリーダー・修のほうを見つめたー。


「ーーご苦労さんー」

東吾は、それだけ言うと、修の肩を優しく叩くー


「ーーーは…はいー…た、玉城さんー」

暴走族のリーダー・修は、悠馬を前にした時とは

別人のように怯えているー


そしてーーー


「ーーーお前の役目は終わったーーー

 ってーー、俺の”依頼人”が言ってたぜー」


東吾は笑いながらそう言うと、突然、修の頭を乱暴に掴んでー

人間とは思えないような力でー

悲鳴を上げる修を、パンチングマシンの近くまで連れて行くとー、


「そ~ら!お前の大好きなパンチングマシンだー!」

と、修の頭を思いきりマシンに叩きつけたー。


「ーーーぁ… …」

頭から血を流してそのまま崩れ落ちる修ー。


”330”


化け物のような数字が表示されている

パンチングマシンを見つめながら、東吾は

笑みを浮かべると、

動かなくなった修を放置して、そのまま立ち去っていくー。


ゲームセンター”エンジェル・エデン”の外に出た東吾は、

待ち構えていたヘルメットの人物に気付くと、

「ー”役目を終えた”ブツはちゃんと処理しておいたぜ」と、

だけ呟いて、そのまま立ち去って行ったー。


ヘルメットの人物は、

トレンチコート姿の東吾の後ろ姿を見つめながら、

機械音声で静かに呟いたー


「ーーーこれでいいー 全ては、計画通りー」


とー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


「ーーーー……おや」


大学の廊下で村瀬教授とすれ違う悠馬ー。


「ーーーーー…また、顔の傷が増えたようだが?」

立ち止まった村瀬教授がそう呟くと、

悠馬は「いえ…これは…」と目を逸らすー。


別に、悠馬自身が悪いことをしているわけではないー

けれど、妹・雫の件を村瀬教授に話したところで、

理解してもらえるとは思えないー。


「ーーーー……問題になるようなことは控えたまえ

 それが、君のためでもあり、我が大学のためでもあるー」


村瀬教授は高圧的にそう呟くと、そのまま立ち去っていくー


「ーーーーー」

悠馬が不安そうに村瀬教授の後ろ姿を見つめながらも

「ー…俺は…雫を救わなくちゃいけないんです」と、

決意を小さく呟いたー



「ーーーーーーーー」

そんな悠馬のことを物陰から見つめている”視線”に

悠馬は気づくことができていなかったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーー神里さん、全然生徒会の仕事やる気なくて困っちゃうよホントー」


眼鏡で小太りの男子生徒ー

雫と同じく、生徒会に所属している山口 徹が、

生徒会室の前で、他の生徒会メンバーと話をしていたー。


「ーーー」

雫の親友でありー、表裏の激しい女子生徒・西園寺美桜は

偶然その会話を耳にして、笑みを浮かべるー


「ー山口くんー 雫、そんなに仕事しないの?」

美桜が穏やかな笑みを浮かべながら徹に声を掛けるー。


「ーーーあ、さ、西園寺さんー」

モテなさそうな雰囲気の徹が、顔を真っ赤にするー

女子に声を掛けられただけで、惚れてしまうタイプの男子生徒である

徹は、過去にも女子に”勘違い”で惚れたことが何度もあるー。


「ーーー…そ、そうなんだよー

 神里さん、全然仕事してくれなくてー」

徹がうんざりした様子で呟くと、

続けて徹はこんな言葉を口にしたー


「ー神里さんじゃなくて、西園寺さんが副会長だったらー」

とー。


あの日ー、

雫と一緒に美桜も副会長に立候補していたー。


だが、結果的に雫に敗れ、美桜は生徒会役員にはなれなかったー。


「ーー仕方ないでしょ。雫に負けちゃったんだからー」

美桜はそう言いながらも、嬉しそうに微笑むー。


そしてー

昼休みー。


美桜は、雫を廊下で呼び止めるー。


「ーーー生徒会活動ー

 何でサボってるのー?」


先日に引き続き、問い詰められる雫ー


「ーーチッ」

”またその話かよ”という態度を示す雫ー


もちろんー

”本来の雫”は、生徒会副会長として立派に活動するつもりだったのだが

”洗脳されてしまった雫”に、そんな意思はないー。


「ーーーーあ、舌打ちした~! 酷いなぁ…」

美桜はそう言いながらも、無視して歩き続ける雫に

ついていきながら、言葉を続けるー。


「ーやる気ないのに何で立候補したの?

 みんなに迷惑かかってるよー?


 っていうか、最近、雫おかしくないー?


 ”正気じゃない”なんて噂も流れてるしー」


しつこく食い下がる美桜ー。


「ーーー」

雫は答えず、そのまま廊下を歩き続けるー。


「ーーーってかさ、あのさー

 最近の雫、正直ー

 ウザいよ?

 どうしちゃったの?」


笑顔を浮かべながらも、

引きつった表情で言い放つ美桜ー。


「ーーー雫、頭おかしくなっちゃったんじゃないのー?」


なおも言葉を続ける美桜ー。


だがー

その時だったー


「ーーうっさいんだよ!」

ずっと無視していた雫が、ついてきていた美桜の腕を乱暴に掴んで、

そのまま突き飛ばすー


「ーーー!」

ちょうど、階段を登り終えたタイミングだった

雫と美桜ー。


突き飛ばされた美桜が、階段の下まで転がり落ちてしまうー


「うっ… う…」

階段の下に転がり落ちた美桜が、苦しそうにうめき声をあげているのを見て、

雫は少しだけ表情を歪めたー。


「ーな、なにしてるんだ!」

通りがかった生徒が、雫に突き飛ばされて転落した美桜に駆け寄るー。


美桜は苦しそうにしながらー

目に涙を浮かべて雫のほうを見つめるー


「ーーあんたなんてー…友達じゃないー…!」

と、怒りの形相で叫びながらー


「ーーー……」

雫は一瞬、心に棘を刺されたような痛みを感じながらも、

すぐに笑みを浮かべるー


「ーーーそうだねー。

 わたしも、あんたとなんか、友達でいたくないー」


雫は、悪女のような笑みを浮かべると、

転落して怪我をした美桜を無視して、そのまま立ち去っていくー。


「ー西園寺さん?大丈夫か?」

「ー美桜ちゃん!」


周囲に生徒が駆け寄る中ー、

幸い、大けがはしていない美桜は、

苦しそうに座り込みながら、

静かに呟いたー


「ー許せないー…許せないー…」

とー。


⑩へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


”妹が洗脳されている”という事実に、

近付きつつある悠馬…

でも、まだまだ道のりは長そうですネ~!


暴走族の男は、ただのパンチングマシンキャラに

なってしまいました(笑)


続きはまた次回デス~!

今日もありがとうございました~!

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