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”ポゼッション・カメラ”


ある日ー、何の前触れもなく

そんな名前の不気味なカメラが5点ほど、

オークションサイトに出品されたー。


その商品説明には、

”撮影した相手に憑依することができる特殊なカメラ”とだけ書かれており、

その出品価格はなんと”1000万円”だったー。


しかも、カメラとしてのスペックは最低限、と呼べるような機能しか

ないようで、あくまでも”憑依”することができるー、

と、いうのが売りのカメラのようだったー。


出品者の名前は”憑依 花子(ひょうい はなこ)”

明らかに本名ではないし、偽名であることを隠そうともしていないー。

ついでに、ネーミングセンスもないー。

さらに、その”憑依花子”を名乗る出品者は、

”新規出品者”であり、過去にオークションでの取引履歴もないため、

”評価を確認することもできない”出品者だったー。


新規出品者が怪しい商品を出品していたら疑うー。


オークション利用者の中では常識の一つだー。


当然、”どう考えても憑依など現実にできるわけがない”カメラに

1000万円という大金を出す人間などー

いるわけがないー


「はっ…憑依花子さんバカすぎだろ

 こんなん売れると思ってんのかよー」


男子大学生がポテトチップスを食べながら

5台ほど出品されている”ポゼッション・カメラ”の商品紹介ページを見て

思わず笑うー。


しかしーーー


「ーーーえ…」


数日後ー

”あんなカメラ売れているわけねぇよな?”と、

見に行ったところー…


5台全てが、即決価格の1000万円で落札されていたー。


「ーーーは…??マジかよー。

 こんな絶対詐欺くせぇカメラに1000万出すバカなんているんだなー」


彼は、そんな風に呟きながら

”まぁ、俺には関係ないことだー”と、心の中で思いながら

”金に余裕のあるやつの金の使い方、おかしいだろ”と、

思わず鼻で笑ったー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


”絶対詐欺だろ”


5台のカメラを購入した人物のうちの一人ー、

30代後半の男性会社員・北村 昭俊(きたむら あきとし)は、

そう思いながらも、”ポゼッションカメラ”を

1000万円で購入したー。


最低落札価格の1000万が、そのまま即決価格となっており、

それ以上値段が上がる心配はなくー、

昭俊が購入を決断した時点では、あと2台ほど残っていたー。


そんなー

届いたポゼッションカメラを見て、昭俊は笑うー。


「ーはっ、やっぱ普通のカメラじゃねぇか」


昭俊はー、

大学卒業後、大手企業に就職、それなりに業績も残し、

若い頃からずっと貯金をしていたため、

その貯金を使えば、1000万円出すことは、

彼にとってはそれほど難しいことではなかったー。


そもそも、昭俊にはあまり趣味もないー

結婚願望もないー。


だからー

金が余って余って仕方がなかったのだー。


”99パーセントイタズラだと思うけど、もしも本当に憑依できるカメラなら”


そんな風に思って、彼はこのポゼッションカメラを

落札したのだー。


箱の中に入っていた説明書に目を通すー。


その説明によれば、

”カメラで撮影した相手に憑依することができる”と

書かれていて、その他にもカメラのボタンの構造の説明、

充電方法など、色々細かな説明が記載されていたー。


煙草を吸いながら、昭俊はさらに説明書を読み進めていくー。


”複数の相手を写真に収めた場合、”一番大きく映っている相手”に

 憑依するー”


”憑依後、自分の身体は”抜け殻”の状態になるため、カメラを

 利用する場所には注意すること”


”長期間、自分の身体を抜け殻状態にしておくと、

 餓死等の危険があるため、注意すること”


”既にほかの人間に憑依されている人間には憑依できない”


”憑依されている最中の相手の記憶は残らない”


”憑依状態から抜け出すためには、

 カメラ側で設定したワードを口にすること”


など、色々な説明が書かれているー。


「なるほどなー」

”カメラ側で設定したワード”を乗っ取った身体で口にすると、

元の身体に戻るシステムらしいー


”忘れて、戻れなくなったら大変だな”

と、思いながら昭俊は色々と考えるー。


ただー

”忘れないように”と、

例えば「おわり」だとか「あ」だとか、

簡単な言葉を設定してしまうと、

乗っ取った身体で、普通の日常会話をしているだけで

元の身体に戻ってしまう可能性があるー。


「ーーー…よし」

昭俊は、カメラを操作して、

憑依解除のワードを”きたむら あきとし”に設定するー。


乗っ取った身体で、無意識のうちに自分の名前を口にすることは

流石にないし、自分の名前を忘れてしまうこともないだろうー。


「ーーーさて…とー」

昭俊は、マンションの3階の窓から外を覗くー


”自分の身体が抜け殻状態になる”と書かれていたために

外でこれを使うのはまずいー。

と、なれば、家の中から憑依するのが一番だろうー。


カメラのズーム機能を使いながら

昭俊は”乗っ取る身体”を物色するー。


昭俊には特に親しい女友達や恋人もいないし

”特定の誰かに憑依したい”という願望はないー。


とにかく、誰でも良かったー


可愛い子やー美人ー、

自分好みの人間であれば、どこの誰でも

”憑依する身体”は、誰でも良かったー。


「ーーーあの子なんかー好みだなー」

下校中の女子高生だろうかー。


ニヤニヤしながら、その姿を見つめる昭俊ー。


カメラのズーム機能を使って、

”その少女”の容姿を確認するー


「ーへへへっ…ツインテールかー…いいね」


昭俊はそう呟くと、

”憑依する対象”をその少女に定めるー。


自分の身体が意識を失うことを想定し、

自分の周囲にクッションを設置しー、

昭俊は、慎重にズーム機能で、

ツインテールの少女が”一番大きく映るように”

カメラのシャッターのボタンを押そうとするー。


”まぁ、どうせーーー…

 憑依なんかできるわけないし、詐欺られてるんだろうけどな”


そう思いながらー

昭俊はカメラのシャッターを切ったー


その瞬間ー、

今まで感じたことのないような感触と共にー

意識が”吹っ飛んだ”ような感覚を覚えてー

次の瞬間ー


「ーーうっ…!」

ビクンと身体を震わしー

昭俊のマンションから見える道路を歩いていた少女が、

うめき声をあげたー


「ーー…!?」

昭俊は驚くー


「ーえ…」

そう思いながら、マンションのほうを見上げるー。


「ーー…え…えっ」

マンションのほうを見上げて、自分の手を見つめてー

やがて、自分の髪を触るー


「ーー…こ…これが…ツインテール…!?

”ツインテール”を見たことはあっても

直接触ったことはなかった昭俊は、少女の声で

驚きの声を上げるとー

マンションのほうをもう一度見つめるー


「マ…マジかー…?あ、あのポゼッションカメラとかいう

 カメラー

 ほ、ほ、本物だったのか!えへっ…うひひひひひ!」


一人、路上で笑いだす少女ー。


「ー…と、名前はーっと」

すぐに鞄を漁って、高校生なら持っているはずの

生徒手帳を確認するとー、

そこには、2年A組”村西 愛菜(むらにし まな)”と

書かれていたー


「ーーうはっ!愛菜ちゃんか!

 俺がーー愛菜ちゃんにー」


そこまで呟くと、

「ごほっ!こほっ!」と何度か咳をしてからー

「ーわたしは村西 愛菜ー うふふ♡」と、

甘えるような声を出して、一人、路上で可愛らしいポーズを

して見せたー。


「ーえへ…やべぇ…自分の名前を名乗ってるだけなのに

 興奮するぞー」


そんなことを思いながら、

もう一度生徒手帳を確認するー。


「この子の家はー」

愛菜はそう呟きながら、自分がムラムラしているのに気づくー。


「ーうへへへ…こんな可愛い子でムラムラするのかぁ…」


愛菜は、”自分の”住所を確認すると、

「家に帰って、この子の部屋でヤリまくろうと思ったけどー」と、

呟いてからークスッと笑みを浮かべると

「でも、わたし、家まで我慢できない!興奮してきちゃった♡」と、

可愛らしい声で呟いたー。


愛菜という子の家は、そこそこ遠いー

帰宅するまで、こんな可愛い子の身体で我慢できるわけがないー。


そう考えた昭俊は、そのままスキップしながら

近くのデパートの方に向かって行くー。


「ーふへへ!ツインテールとかスカートとか、ふわふわして

 気持ちいいぜ!」


周囲に見られていることも全く気にせず、

嬉しそうにスキップをしている愛菜を見て周囲の通行人たちは

”何事か?”という不思議そうな目で、愛菜のほうを見つめたー


愛菜に憑依した昭俊は、そのままデパートの中に入ると、

可愛い小物が売られている売り場に足を運んだー


別に、昭俊は、可愛いものに興味はなかったのだが、

愛菜の身体で「かわいい~~~♡」とわざとらしく呟いて

ゾクゾクを楽しむー


しばらく”可愛いものを見て喜ぶ女子高生”を楽しむと、

愛菜はそのままトイレの方に向かうー。


トイレの個室に入った愛菜はニヤニヤしながら、

早速胸を両手で揉み始めるー


「えへっ…♡ ふへへ♡ えへへへへへへ♡」

あまりにも下品な笑みを浮かべながら、

愛菜は両胸を嬉しそうに揉み続けるー。


「ーこれが…おっぱいかぁ…♡ えへ

 わたしのおっぱいー」

ニヤニヤしながら、愛菜にとんでもないことを

口走らせる昭俊ー。


身体中がゾクゾクして、興奮していくのがよく分かるー。


胸を揉むのに飽きると、ツインテールの髪を

嬉しそうに触り続けてー

さらには手のニオイを嗅ぎ始めるー


「なんだよこの手ー…白くて綺麗だなぁ…」

うっとりと手を見つめると、愛菜は

やがて、指をペロペロと1本1本、味わいながら堪能するー


「えへっ…えへへへへっ… えへへへへへへへへっ」

奇妙な笑い声を出しながら、今度はスカートの方に

視線を落とすとー

「ーえへへへ…俺にとってはー未知の世界…」と、

ニヤニヤしながら、スカートの上から自分の身体を

触り始めるー。


その時だったー


”でさ~!、俺、言ってやったんだよ!”


”ええ!?マジっすかー”


会話をしながら男二人がトイレに入って来るー


「あっやべっ!」

愛菜は思わず叫ぶー。


”間違えて”

女子高生の身体で堂々と男子トイレに入ってしまったー


「やべやべっ…これじゃ、逆の意味で変態じゃんー」

そう呟きながら、愛菜は”やっぱトイレじゃ落ち着かねぇな”と

ため息をつくと、

”この子の家”か”俺の家”に移動するかー。


と、考え始めるー。


愛菜の家に移動して、

エッチを存分に楽しもうかとも思ったがー、

”この子の部屋”があるような家なのかも分からないし

家族構成も分からないー


帰宅して、欲望を楽しめない家だったら困るー。


だがー

昭俊自身の家に帰宅すれば

周囲に見られるリスクもなくはないー。


「ーーって…鍵持ってねぇから、

 この身体じゃ、俺の家には入れねぇか」


そう舌打ちをすると、

愛菜は「ま、いいや、家族に見られてもエッチしちゃえばいいし」と、

愛菜本人のことを何も考えずに、人がいなくなった隙をついて、

男子トイレの個室から飛び出したー。


足早に男子トイレの出口を目指す愛菜ー


しかしー


「ーー!」

言葉に言い表すことができない

”これまでに感じたことのない感触”を感じると同時にー

愛菜は「ぁ…」と、うめき声をあげて、男子トイレの中でうつ伏せに

倒れ込んでしまったー


すぐあとにやってきたおじさんが、

「え?」と、男子トイレに倒れている愛菜を見つけて

「ーーだ…誰か!」と、外に慌てて駆け出して行ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「下がって下さい!」


「危ないです!近寄らないでください!」


消防隊員らが叫ぶー。

とあるマンションの一室から出火して、

その炎が広がっているー。


周囲にこれ以上、燃え移らないようにと、

必死の消火活動が行われているー


しかしー

この部屋の住人であるー

北村 昭俊は、既に火災により”死亡”していたー。


彼はー

”ポゼッション・カメラ”と使う直前に

吸っていたたばこの火を消し忘れたまま愛菜に憑依してしまいー、

愛菜に憑依してしばらくしてから出火ー、


そのまま、死亡してしまったのだったー。


昭俊の身体が死亡したことで、

愛菜に憑依していた昭俊の意識も消滅ー


昭俊は、何が起きたのか分からぬままー

憑依花子から購入したカメラもろともー

焼き尽くされてしまったのだったー。



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


”他人に憑依できるカメラ”をオークションで手に入れた

人々の”それぞれの運命”を描く作品デス~!


1話ごとに、異なる人物が、どのように憑依を堪能するのかを

描いていく形式ですネ~!


次回は、”また別の落札者”の物語を描いていきます~!

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