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いじめを受けていた女子高生・笹野 夏海は、

荒れた家庭環境で育ち、高校にもほとんど行かずに

遊び歩いている不良男子・藤森 徹也と入れ替わってしまったー。


元に戻る方法も分からないまま、お互いとして

過ごすことになってしまった二人ー。


そんな中、夏海の中身が、”いつもの夏海ではない”とは

夢にも思っていない杏花らいじめっ子が、いつものように

夏海をいじめ始めて…?


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>俺は奴らを許さない②~怒り~

同じクラスの三人から陰険ないじめを受けていた少女・夏海。 そんな彼女が、いじめグループに無理やり付き合わされていた ゲームセンターで、不良の男子高校生・徹也と入れ替わってしまったー。 夏海になった徹也に問い詰められる中、 事情を説明する徹也になった夏海ー。 夏海がいじめられていることを知った夏海(徹也...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


昼休みー


杏花らいじめっ子三人に呼び出された夏海(徹也)は、

指定された空き教室にやってきていたー。


「ーーさっきの態度ー…何なの!?

 今日は絶対許さないからー!」

いじめの中心人物でおしゃれ好きの杏花が

腕組みをしながら不機嫌そうに呟くー。


「あんたのせいで、杏花、傷ついちゃったんだよ~

 まず、ごめんなさいって謝ってもらおっか~?」

杏花の友人で騒がしい性格の恵美子が揶揄うようにして呟くー。


「君が杏花にしたことはさっき、先生にも報告しておいたよー。

 僕の杏花に手を出すなんて、いい度胸じゃないか」

”先生の前ではいい顔をする”表向きは優等生で、

杏花の彼氏の陽介が、いつもよりも強い口調で呟くー。


夏海(徹也)は、そんな三人を前にしても、

いつものように狼狽えることはなく、

不機嫌そうに三人を見つめているー。


その態度が杏花の気に障ったのだろうかー。


近付いてきた杏花が、乱暴に夏海(徹也)の髪を引っ張ると、

そのまま床に押し倒して、

怒りの形相で呟いたー


「いいから、わたしに謝れー!」

憎しみに満ちた声ー。


「ーー床に押し倒された夏海(徹也)に対して

恵美子は笑いながら「あ~やまれ!あ~やまれ!」と、手を叩き、

叫び始めるー。


それを聞いた陽介と杏花も、恵美子の真似をして、

三人で、手を叩きながら「あ~やまれ!あ~やまれ!あ~やまれ!」と

連呼を続けるー。


だがー

三人は知らなかったー

今、”自分たちがいじめようとしている”のは、

夏海であって、夏海ではないことをー。


身体は”夏海”であっても、中身はー

昨日、ゲームセンターで見かけた金髪の不良ー

藤森 徹也であることをー。


「ーーくっ…くっ…くくくくくくくくっ!」

夏海(徹也)は、笑いながらふらふらと立ち上がると、

「ホントお前らクソ野郎だな!」と、

夏海の声で言い放ったー


手を叩きながら、夏海(徹也)に”謝れ”を連呼していた三人は、

夏海(徹也)の突然の豹変に、意味が分からず

手も、口も止めて表情を歪めたー。


夏海(徹也)が、大げさな動きで杏花のほうを指差すと、


「見た目だけ着飾って中身の邪悪さを隠しきれていない

 真っ黒陰険女ー!」


と、言い放つー


杏花は顔を真っ赤にしながら「何ですって!?」と、叫ぶー。


続けて夏海(徹也)が、杏花の友人・恵美子のほうを指差しながら

「一緒にいる女の機嫌を取りながら煽てることしかできない

 キョロキョロ腰巾着女!」

と、言い放つー。


「ーーは…はぁ!?」

恵美子は少し驚いた様子で声を上げるー


「ーーーそしてーー」

夏海(徹也)が、陽介のほうを指差すー。


陽介は余裕の笑みを浮かべながら

まるで”僕は何も言われても気にしない”と言わんばかりに微笑むー。


だがーー


「ー彼女がいるのに、その親友と浮気しているー

 二股イケメン野郎ー」


夏海(徹也)がそう言い放つと、

陽介の表情からみるみる笑顔が消えていき、青ざめていくー。


「ーな…な…何を言ってるんだー?」

陽介が困惑するー


夏海(徹也)はふっ、と笑うと、

「ーそっちの真っ黒陰険女が彼女みたいだけどさー」

と、口を開くー


「ーお前、キョロキョロ腰巾着女とも付き合ってるだろ?」

夏海(徹也)の言葉に、

陽介は「なっ…え???は???」と、彼女である杏花と、

その親友・恵美子のほうを見つめるー


恵美子は気まずそうな表情をしー、

杏花は「ちょ?ちょっと!?どういうこと!」と、

怒りの矛先を夏海(徹也)から陽介の方に向けるー。


「ーーーーな…な…何を言ってるんだー…

 僕がそんなことー」


陽介がそう言いかけると、

夏海(徹也)は笑いながら反論したー


「ーーー”見てると”分かるんだよー

 あぁ、こいつら、”男女の関係にある”な、っていうのがー」


夏海(徹也)の悪そうな笑みに、

陽介はビクッとするー。


”不良”として遊び歩いてきた徹也は、

そういう男女の関係を数多く見て来たー


”見つめ合う二人”を見るだけでー

8割ーいや、9割ぐらい、その関係を言い当てることができるー。


空き教室に呼び出されて、”陽介が恵美子を見る目”と

”恵美子が陽介を見る目”を見て

”この二人、もしかして浮気してるんじゃね?”と、

徹也は思い、一か八か、そのことを指摘したのだー。


「ーち、ちがっ…!こ、これはー」

陽介は、図星だったのか、激しく動揺して、

恵美子のほうを見て、

「恵美子ちゃんが言い寄ってきたんだ!」と、

その罪を恵美子になすりつけようとするー。


「は…はぁ!?

 ”僕は本当は杏花じゃなくて、恵美子ちゃんが好きなんだ”って

 告白してきたのは、陽介の方でしょ!?

 あれは嘘だったの!?」


恵美子が叫ぶー。


陽介はー

最初、杏花と付き合いだしたものの、

付き合い出したあとから、杏花を通じて

杏花の親友である恵美子とも話す機会が増え、

その結果、恵美子とも親しくなっていったー。


そしてー

そうこうしているうちに、陽介は

”杏花より恵美子ちゃんのほうがいいじゃん”と

考えるようになり、やがて恵美子に告白ー

満更でもなかった恵美子は、陽介の告白に乗りー

”本当の彼女はわたしだからね”と、陽介に約束させたうえで、

”付き合っているのは杏花には秘密”にしてきたー。


それをあっさり暴露されてしまった陽介ー。

陽介が恵美子を罵倒しー、

恵美子が陽介を罵倒しー、

杏花が二人を罵倒するー。


「ーはははははははっ」

夏海(徹也)は思わず笑ってしまうー。


「ーあとはクソどもで勝手にやってな」

夏海(徹也)のそんな言葉も聞こえなかったのか、

杏花・恵美子・陽介の三人は空き教室で、

夏海(徹也)が立ち去っていくことに気付くこともできないまま、

激しい口論を続けたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「大丈夫かなぁ……」


一方、徹也になった夏海は、

徹也の家の、徹也の部屋で、一人、言われた通り

過ごしていたー。


徹也自身は、母親と妹がいて、家には二人ともいるもののー

徹也は”何らかの理由”で二人とは険悪なムードになっているらしく、

徹也(夏海)が帰宅しても、特に何も言われるようなことはなかったー。


人見知りで大人しい性格の夏海からしてみれば、

この点は”助かった”とも言えるー。


「ーーーーーーー」

”弱弱しい金髪の不良”が、鏡に映るー。


「ーーー………」

これが、”わたし”の姿ー。


自分の身体であろうと、

徹也のような見た目からして怖い身体であろうとー


やっぱり、わたしはわたしー。


「はぁ……」

徹也(夏海)は思うー。


仮に、幼馴染の璃々のような明るい子になってもー、

いじめっ子の杏花のようなおしゃれな子になってもー

きっと、自分は変われないー


「ーーーー……」

徹也(夏海)はそんなことを思いながら寂しそうに鏡を

見つめると、

「でも……この髪の色ってーすごいよね…」と、

戸惑った様子で、”今は自分の髪”である

金髪の髪に不思議そうに手を触れたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーお前…!!!さっきはよくもー!」


放課後ー

コーラを飲みながら廊下を歩いていた夏海(徹也)の背後から

そんな声が響き渡ったー


”表向き優等生”の陽介だー。


「ーーお前のせいで…!

 杏花からも、恵美子からも振られてー…

 くそっ!くそっ!くそっ!」


そう叫びながら近づいてくる陽介ー。


陽介は乱暴な手つきで、夏海(徹也)を、

人目のつかない校舎裏まで引っ張っていくとー、

「ーー今日は絶対に許さないからな!」と、

陽介は、一人で夏海(徹也)を痛めつけようとし始めたー


「ーーーおい!なんとか言えよ!」

怒りの形相でそう叫びー、夏海(徹也)の髪を引っ張ろうとする陽介ー。


だがー

夏海(徹也)が、いきなり陽介の腕を思いっきり掴みー、

そのまま握りしめたー


陽介は「なっ…」と、驚いた表情を浮かべるー


「ーーいつまでもー…大人しくしてると思うなよ?」

夏海(徹也)は、

”徹也なりに女子っぽい振る舞い”をしているつもりだったが

不良であるためか、あまりうまくいっていないー。


睨むような目つきの夏海(徹也)を見て、

陽介はビクッとするー


「ーーあんまりあたしを舐めてるとー」

普段と違う一人称を使ってしまいながら、陽介を壁際に追い込んで、

乱暴に壁ドンすると、

「ーーぶっ飛ばすぞコラ!!!!!!!!」と、大声で叫んだー


「ひぃっ!?!?」

元々別に強くもない陽介は身体を震わせながら

情けない悲鳴を上げるー。


「ーーー」

夏海(徹也)は、「弱い女の子を狙いやがってー…卑怯な小物が!」と、

小声で呟くと、震えながら夏海(徹也)のほうを見つめる陽介に

対してニヤリと笑みを浮かべたー


「ーーあんたさぁ、謝れよー」

夏海(徹也)は、”仕返し”と言わんばかりに、さっき言われた

”謝れ”をそのまま陽介に返したー


陽介は震えながら夏海(徹也)のほうを見つめるー


「ーー俺ーあ、いいやー、あたしー

 お前みたいの見ると、すっげぇムカついちゃってさー」


夏海(徹也)が笑いながらそう呟くとのを見て、

陽介は「な…なんか…い、いつもと全然ー」と、

恐怖を口にするー


夏海の様子がいつもと明らかに違うー。

そのことに、当然陽介も気づいているー。


「ーーあん?」

夏海(徹也)は不機嫌そうにそう呟くとー

「ーーあぁ~当たり前じゃんー

 だって、もうさ、あたし、キレちゃったんだからー」

と、”キレたからいつもと違うんだ”という風を装うー。


「ーーうっ…あ…あ」

陽介は情けない声を出すと、

夏海(徹也)は「ー弱い癖に弱い者いじめしてんじゃねぇぞ!!」と、

恐ろしい声で怒鳴りつけたー


「ひぃぃぃぃっ…」


夏海の声なのに、夏海の声とは思えないぐらいの恐ろしい声ー


陽介は思わず、壁際に背中をつけたまま、

ぽたぽたと水滴を垂らし始めるー


「なんだお前?漏らしてるのか?」

夏海(徹也)は呆れた様子でそう言い放つと、

座り込んで、ズボンにシミを作った陽介の、アソコの部分を

踏みつけて、「も・ら・し・て・る・の・か!?」と、

言い放ったー


陽介は半泣き状態で「許して!許して!」とわめいているー


「ーー…じゃあー

 二度といじめなんかすんじゃねぇぞー。小物野郎がー」


夏海(徹也)は、そう言うと、陽介の髪を引っ張りながら

脅すような口調で言い放つー。


陽介は泣きながら放心状態で頷くと、

夏海(徹也)は「は~~~~~~」と、長い髪を

ぐしゃぐしゃ掻きむしりながら、

「俺だったらボコボコにしてやるところだけどー…

 俺の身体じゃないからなー」と、一応の配慮を口にすると、

そのまま、お漏らしして座り込んだ陽介を無視して

立ち去って行ったー


「ーーーう… ぅ… ぅ」

もはや怒りすら湧かず、怯えているだけの陽介ー。


やがて、偶然校舎裏を通りかかった別の生徒にお漏らししている

現場を見られてー

人が集まり始めたことにも気づかず、

そのまま一人、震え続けたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「えーー…ほ、ホントにー?」


徹也(夏海)が、

夏海(徹也)からの電話を受けて驚くー。


”おぅ!あのいじめっ子どもはー、

 もう懲らしめてやったからよ”


夏海(徹也)が得意気に言うー。


「ーーーぼ、暴力とか振るってないよねー…?」

不安そうに呟く徹也(夏海)ー


夏海(徹也)は一瞬考えなおしながら

”おぅ、殴ってはねぇよ”と、返事をすると、

”あ、でもー”と言いかけてそのまま電話を切ったー。


雑なジャージ姿で胡坐をかいた状態ー

そんな格好で電話をしていた夏海(徹也)は

電話を終えると、静かに呟いたー


「ーこいつは気づいてねぇみたいだけどー

 幼馴染のあの女もー

 いじめっ子に加担してるんだよなぁ…」


少しイライラした様子で呟きながら、

夏海(徹也)は「まぁいいや、今日は寝よう」と、

そのまま眠りについたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ガシャン!!


「ひっ!?!?!?」

2階にある部屋の窓ガラスに何かが叩きつけられたー。


慌てて窓の外を見ると、

屋根の部分に何やら、ボールのようなものと、

それに括りつけられた手紙のようなものを発見した

徹也(夏海)は慌ててそれを回収したー


するとそこにはー


”今度こそテメェをぶっ倒す 炭林”とだけ

書かれていたー


「な…なにこれ…?」


不良の徹也の因縁の相手・炭林ー。


そんな相手のことを当然知らない徹也(夏海)は

不安そうに「炭林ってーだれ…?」と、呟いたー


④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


第3話でした~!

いじめの問題は解決(?)に向かっているような気もしますが

果たして…?


続きはまた次回を楽しみにしていて下さいネ~!

今日もありがとうございました~!

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