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妹に裏切られた悠馬ー。

それでも、悠馬は妹の雫を信じる気持ちを捨てずー、

雫の豹変の原因を探ろうとするー。


そんな中、彼女の愛梨沙が、

コスプレ趣味を活用して、悠馬の代わりに雫を尾行する、と

言い始めー、戸惑う悠馬を他所に、OL姿に変装した愛梨沙が

雫を尾行する準備を始めるー。


一方、偶然街で、”神里雫が正気を取り戻したらー”と、

電話で謎の男が話しているのを聞いてしまった雫の彼氏・輝樹は、

雫を呼び出して”今、正気ー?”と、雫に確認するのだったー。


★前回はこちら↓★

<MC>歪められた絆⑥~傷心~

コンビニの前に集結していた暴走族らしきグループと、 妹の雫が合流したのを目撃した悠馬は、 雫たちが、地下にあるゲームセンター・エンジェルエデンに 入って行ったのを見て、そのあとを追うー。 ”あいつらに雫は、脅されているんだー” そう思った悠馬は、店内で雫を見つけ、 暴走族のリーダー・修に対し、雫を返して...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


★主な登場人物★


・神里 悠馬(かみさと ゆうま)

大学生。妹の雫が豹変したことに困惑する。


・神里 雫(かみさと しずく)

高校生。兄の悠馬のことが大好き。少しイタズラっ子な一面も。


・森永 愛梨沙(もりなが ありさ)

大学生。悠馬の彼女。成績優秀な優等生。コスプレ趣味がある。


・藤嶋 亮介(ふじしま りょうすけ) 

大学生。高校時代からの親友。困った時には頼りになる存在。


・西園寺 美桜(さいおんじ みお)

高校生。妹・雫の親友。表裏が非常に激しい。


・九条 輝樹(くじょう てるき)

高校生。妹・雫の幼馴染で悠馬とも小さいころから面識がある。


・玉城 東吾(たまき とうご)

裏社会の便利屋。ヘルメットの人物と共に雫を洗脳した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


OLのコスプレをした彼女の愛梨沙が、

得意気な表情で眼鏡をいじりながら微笑むー。


「どうどう?大人の女って感じがするでしょ?」

冗談を口にする愛梨沙に、

照れくさそうに笑いながら、

「お、俺たち大学生なんだし、そ、そんなに社会人と遠くないしー」と、

落ち着かない様子でソワソワする悠馬ー。


「ーー悠馬くん!」

愛梨沙が、わざと”くん”付けで、女上司のような芝居をすると、

悠馬がドキッとしながら、「な、なんだよー」と、顔を赤らめるー。


「ーー悠馬くん、今日、残業お願いできるー?」

愛梨沙のOL物真似に、悠馬は思わず笑いながら

「な、何だか本当に上司のお姉さんみたいな感じだなー」と、

言葉を呟くー。


「ーーっていうか、何でちょっとブラック企業っぽい

 セリフなんだよ!」


思わずツッコミを入れる悠馬を見て、愛梨沙はにっこりと微笑むー


「ー笑ってくれてよかったー」

とー。


「ーーーえ…」

悠馬が少しだけ戸惑いの表情を浮かべると、愛梨沙は

優しく言葉を続けるー


「最近、悠馬、ずっと暗い顔してるからー…」

その言葉に、悠馬は自分が

愛梨沙に必要以上に心配をかけていたことを悟り、

「ーーーごめんなー…心配ばっかりかけてー」と、

申し訳なさそうに言葉を口にしながらー

「ありがとう愛梨沙ー」と、

お礼の言葉を口にしたー。


「ーーいいのいいのー」

愛梨沙はそれだけ言うと、

「ーーあ、雫ちゃんが帰ってくるまで少しお邪魔してますね!」

と、悠馬の母親・裕子に声を掛けるー


「ーうちのためにそこまでしてもらって、ごめんね~」

母・裕子の言葉に、愛梨沙は「いえいえ」と、笑いながら

2階の方に上がっていくー。


「ーーーわたし、今からここに隠れてるから、

 雫ちゃんが帰ってきて、外出したら教えてね」


愛梨沙が指を立てながら呟くー。


「ーあ、あぁ…で、でも、雫が外に行かなかったらー?」


確かに最近は連日、外出しているが

雫が毎日外出するとも限らないー。


「ーその時はー………」

愛梨沙が人差し指を立てたまま苦笑いするー


「ーー…考えてなかったのかー」

悠馬も苦笑いすると、

愛梨沙はすぐに「だ、大丈夫!雫ちゃん、きっと外出するから!」と

”どこからそんな自信が湧いてくるんだ?”と首を傾げてしまうような

自信に満ち溢れた言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


同時刻ー


高校の校舎の裏に雫を連れて来た

彼氏の輝樹は、雫に”疑問”を投げかけていたー


「ーーー…雫さーー…

 今、正気?」


とー。


「ーーは?」

”洗脳された雫”が不快そうに呟くー。


「ーいやー…あのさー

 雫、最近、急に人が変わったみたいになってるしさー…」

輝樹はそこまで言うと、

”この前の夜、偶然すれ違った男”が電話で話していた内容を

雫に伝えたー。


「ーーしっかしー

 ”神里 雫”も正気を取り戻したら

 今の自分のしてることを見て、何て言うんだろうなー?」


その、言葉をー


「ーーーーーー…」

雫が、睨むような目つきのまま輝樹を見つめるー


「何が言いたいの?」

雫の言葉に、輝樹は続けるー。


「ーーいや、あのーなんて言うかー…

 誰かに、何かされた?」


思ったことをすぐに口にしてしまう輝樹ー。


だがー

”今のような状況”では、その性格がかえって、

”とんでもないことを軽々と聞ける”という意味では

プラスに働いていたー


「ーーふんーそんなことあるわけないでしょ」

雫はあきれ顔でそう呟くと、

「ーーわたしは、真面目にやってるのがバカらしくなっただけ」と、

輝樹に言い放つー


「ーでもさー

 雫、悠馬さんのこと、あんなにいつもお兄ちゃんお兄ちゃん

 言ってたじゃないかー。


 そのー、俺が嫉妬するぐらいに」


輝樹がそこまで言うと、

雫は「あんな奴のこと、口にしないで!」と、突然語気を強めたー。


「ーーほら、それだよー

 どう考えてもおかしいだろ?」

輝樹が少し戸惑ったような表情で呟くー。


不器用だがー

輝樹は雫のことを”心から大切”にしているー。


だからこそ、最近の雫の態度は、輝樹にとっても

疑問だったー。


雫の兄・悠馬とは、全く違う反応・対応をしているものの、

彼氏である輝樹は輝樹で、雫のことを心から心配していたー


「ーおかしくない!わたしはアイツのこと大っ嫌いなの!」

雫が感情的になって叫ぶー。


「ーー…いや、俺はー

 悠馬さんと、少し喧嘩でもしてくれた方が

 実は嬉しいかもしれないけどー


 でも、流石にそれはちょっとなぁ」


輝樹がなおも食い下がるー。


「ーー何よ!わたしの決めたことに口出しするの?」

雫はそう言いながらも、少し動揺の色を見せているー


「ーーーしないけどー…

 変だなって」


輝樹は、感情的になる雫を前にも、

なおも冷静だったー。


「ーーわたしは、元々アイツが大っ嫌いだったの!!!

 それを、我慢するのをやめただけ!!!

 

 何が変よ!

 いきなり変なこと言ってきたのは輝樹でしょ!


 ホント、不愉快ー」


雫はそれだけ言うと、そのまま背後を振り返って

立ち去っていくー


「ーーーーーー…」

そんな雫の後ろ姿を見つめながら輝樹は

不安を覚えるー。


「ーーはぁ~~~~~~…」

そして、ため息をつきながら

輝樹は頭を少しかくと

”気が乗らない”という様子で呟いたー


「ーーー悠馬さんにーーー…

 一応、言っとくかー…

 あんま、会いたくないけどー」


一方的に雫の兄・悠馬をライバル視している輝樹は

それだけ呟くと、もう一度ため息をつきながら

校舎の外に向かって歩き始めたー



「ーーーーーー雫が、正気じゃないー?」

物陰から偶然その会話を聞いていた

雫の友人の西園寺 美桜は小声でそう呟いたー


「ーーーふぅんー…」

表裏の激しい美桜は、

”生徒会副会長”に雫と共に立候補して敗れたことを

根に持っていたー


”雫が正気じゃない”

そんな会話を輝樹と雫がしていたのを聞いた美桜は、

不気味な笑みを浮かべながら、輝樹とは反対方向に向かって

そのまま立ち去って行ったー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ガン!


「ーーーお、おかえー」


雫が、明らかに不機嫌な様子で帰宅したー。


出迎えた兄・悠馬はその様子に困惑するー。


「ーーーどいて」

階段の前に立っていた悠馬に向かってそう言い放つ雫ー。


「ーし、雫ーな、何かあったのかー?」

悠馬が、”今まで以上に不機嫌な雫”を見て

不安そうにそう呟くと、

「どけって言ってんだろ!!」と、雫が声を荒げたー


「ーそ、そんな声出すなよー」

悠馬はそう言いながら雫に道を開けると、

雫はそのまま2階に向かっていくー


”今の雫”が悠馬の部屋に自ら入ることは

ほぼあり得ないー。


そう考えた彼女の愛梨沙は、

悠馬の部屋に身を潜めながら

その会話を聞いていたー


”ーー…今の雫ちゃんの声だよねー…?”

何故か机の下に潜っている愛梨沙は、

そう、頭の中で思いながらー

”あんな言葉遣いする子じゃなかったのにー”と、

雫の豹変に心を痛めるー


やがてー

雫はすぐに出かける準備を始めたー


”ー雫ー、まだどこかに行くのか?”

部屋の外で”少し大きめの声”で、悠馬が雫に向かってそう言い放つのが

聞こえたー。


”悠馬の部屋にいる愛梨沙”にあえて聞こえるように

悠馬がそうしているのだー。


雫の返事は微かにしか聞こえなかったが、

階段を下りていく音が聞こえてー

やがて、玄関の扉が開く音が聞こえたー。


OL姿の愛梨沙はすぐに悠馬の部屋を飛び出して、

廊下にいた悠馬に「任せておいて!」と、ドヤ顔で言うと、

悠馬は「無理はしないでくれよ…愛梨沙」と、心配そうに言葉をかけたー。


「ふふふ…悠馬くんったら心配性ね~」

と、またOLの物真似みたいなことをすると、

「ーー大丈夫ー。悠馬のためにも、頑張らなくちゃ!」と、

そのまま雫の後を追って、玄関の外に飛び出したー。



「ーーーーーーー?」

OL姿の愛梨沙が悠馬の家から出ていくのを偶然見かけた

雫の彼氏・輝樹は首を傾げるー。


輝樹は、雫の件を、雫の兄・悠馬と話し合おうと

わざわざ悠馬の家にまでやってきたのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ー愛梨沙、大丈夫かなー」

そんなことを呟いていると、

親友の亮介から連絡が入るー。


”雫ちゃんの件は、大丈夫かー?”


悠馬の彼女の愛梨沙と、

悠馬の親友の亮介ー。


愛梨沙とは違う形ながらも、亮介も悠馬のことを

とても心配してくれていたー。


”彼女”として心配してくれる愛梨沙ー

”親友”として心配してくれる亮介ー


どちらの存在も、悠馬にとってはとてもありがたかったー。


亮介と会話をしながら、

「ーまさか、心配して連絡くれたのかー?」と、苦笑いする悠馬ー。


”はは、まさかー。

 明日の課題の内容、ちょっと忘れちゃってその確認だよー”


亮介はそうは言うものの、悠馬には分かっていたー。


こういう”確認”の時は、亮介はいつもLINEやメールだー。

わざわざ連絡してきてくれているのは、

やっぱり悠馬のことを心配しているのだろうー。


「ーー亮介も、本当にありがとうなー」

悠馬が、電話の最後にそう呟くと、

”いやいや、いいんだよー。”と、亮介は笑いながら答えるー。


”ーあ、そろそろ切るぞー

 もうすぐ、倫子ちゃんが遊びに来るからさー”


亮介の言葉に、悠馬は「はは、長話して悪かったなー」と

笑うー。


倫子とは、他の大学に通う亮介の彼女だー。

他の大学であるため、悠馬とは面識はないが、

とてもいい子だと、亮介から聞かされているー。


”愛梨沙ちゃんみたく、コスプレはできねぇけど、

 俺も力になれることがあったら、力を貸すからな!”


亮介の言葉に、

悠馬は笑いながら

「ははーお前のOL姿は見たくないなー」と、冗談を口にしてから

「本当に、いつも悪いなー」と、感謝の言葉も口にするー


”あまり思いつめすぎるなよー”


「ーーあぁ、ありがとうー。」


そんなやり取りをして、電話を切ると

人の気配を感じた悠馬ー。


ビクッとして部屋の入口を見ると、

悠馬が長電話している間に、

インターホンを鳴らして、悠馬の母親・裕子と話をしー、

2階に上がって来ていた雫の彼氏・輝樹の姿があったー。


「うわっ!?!?びっくりした!」

悠馬が急に輝樹が家の中にいたことに驚くと、

輝樹は「ーちゃんと玄関から、お母さんに挨拶して

入ってきましたよ」と、いつものように冷静な感じで

言い放ったー。


「ーき、急に、どうしたんだー?

 し、雫なら今、出かけててー」


輝樹は雫の彼氏だー。

悠馬のことは何故かライバル視していて、

この前に至っては”雫が豹変したのは、悠馬さんのせいだと思う”と

まで言われたぐらいだー


「あぁ、いえー…今日は悠馬さんに用があってきました」

輝樹の言葉に、悠馬は「お、俺!?」と、混乱しながらも、

輝樹はすぐに言葉を口にしたー。


「ーこの前は俺ー、雫が不機嫌なのは

 悠馬さんのせいだって、言いましたけどー

 違ったかもしれません」

輝樹は少し気まずそうにそう呟くと、

悠馬は「ーだ、だから、最初から心当たりないってー」と、

輝樹に反論したー。


そんな悠馬の言葉を聞き終えてから、

輝樹は言葉を続けるー。


「ー雫、”正気じゃない”かもしれませんー」

とー


「ーーえ?何だって?」

思わず聞き返す悠馬ー。


「ー俺、聞いたんですー」

輝樹は、そう呟くと

電話をしていた”裏社会の便利屋”玉城東吾が、

雫が正気に戻ったらー…と、誰かと話していたのを

すれ違いざまに聞いたことを説明したー。


「ーーオールバックにトレンチコートの変な奴でしたけどー…」


当然、輝樹は玉城東吾のことなんて知らないし、

彼が裏社会の便利屋とも知らないため、

そう説明することしかできないー


「ーーーそいつが、神里雫がーって言ってたのか?」

悠馬が確認すると、輝樹は頷くー


「ま、”神里雫”って同姓同名の人間の話を

 してただけかもしれませんけどー」

輝樹が、そう言うと、悠馬は表情を曇らせるー


今までー

雫を怒らせてしまった可能性やー

雫に何かトラブルがあって不機嫌になっている可能性ー

例の暴走族らとつるみだして悪い影響を受けた可能性ー

暴走族らに脅されている可能性ー

そういった可能性は考えたー


だが、ここに来て

”正気じゃない”可能性まで、浮上してきたー。


「どういうことなんだー…」

悠馬がそう呟くと、輝樹は続けるー


「正直ー…

 俺が嫉妬しちゃうぐらい、雫、悠馬さんのこと好きでしたしー

 そんな雫が、急にこんな風になるなんて、おかしいと思いませんか?

 不機嫌とか、反抗期とか、そんな域を超えてるー」


輝樹がそう呟くー。


「今日だってー


 わたしは、元々アイツが大っ嫌いだったの!!!

 それを、我慢するのをやめただけ!!!


 なんて言ってましたよー」


その言葉に、悠馬はまたショックを受けながらも、

「ーーで、でも、正気じゃないっていったいー…」

と、言葉を絞り出すー。


「ーーーう~~~~ん…」

輝樹は腕組みをしながら少し考えるとー

「例えばー…拷問みたいのを受けて、精神的におかしくされたとかー」

色々、非現実的なことを口にし始める輝樹ー


「変な薬を打たれたとかー

 あるいはー”洗脳”されたとかー」


その言葉に、悠馬は「”洗脳”ー?」と、反応を示すー。


「ーいや、可能性の話ですよー

 ”正気に戻ったら”ってあの変な男が言ってたんですからー

 正気に戻すこともできるってことでしょうからね」


輝樹の言葉に、悠馬は険しい表情を浮かべながら

「ーーそいつのー そのオールバックの変なやつの特徴ー

 他に何か思い出せないか?」と、

輝樹に対して質問したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーーあははは!マジ?うん!分かった!」

派手な格好の雫がスマホで笑いながら電話をしているー


そんな雫を背後から尾行している愛梨沙ー。


「ーーー(ばれてないばれてない)ー」

OL姿のまま、愛梨沙は雫の尾行を続けるー


彼氏の悠馬のために、

雫が豹変した理由を少しでも突き止めることができればー。


やがてー

雫はゲームセンター”エンジェルエデン”の入口の前で

最近雫がつるんでいる暴走族のリーダー・修と合流して、

そのままゲームセンターに入っていくー。


「ーー出口はここ一つだよねー」

愛梨沙が店の周囲を確認すると、

”しばらく出てこなそうだなぁ…”と、

ゲームセンターの外で待機するー。


中を確認したかったが、流石に危険を冒すことをするのは、

悠馬も喜ばない、と判断して

エンジェルエデンの出入り口が見えるカフェで、

少しの間、時間を潰すことにするー


”やばっ…わたし、コスプレ姿のままカフェにー”

愛梨沙はそんなことを思いながらも、

”絶対、周りの人、わたしをOLだと思ってるよねー”と、

少しドキドキしながら笑うー。


そんな時だったー


「ーーー!」

愛梨沙は、ゲームセンターの中に

オールバックの髪型に、トレンチコートのいかにも怪しい感じの男が

入っていくのを確認するー


「ーーーーーーー」

”あの人、どこかで見覚えがあるようなー”


そんなことを思いながらも、さらに続けて様子を見ていると、

やがて、雫と、オールバックの男が姿を現したー


虚ろな目で立ち尽くす雫に、

オールバックの男がスマホを手に、何かを雫に吹き込むー。


すると、雫の表情が戻り、雫はニヤリと笑みを浮かべるー。


「ーーーーー」

愛梨沙はジュースを飲みながらそんな光景を

カフェの店内から見つめていると、

やがて、会計を済ませてお店の外に出てー

雫とオールバックの男の会話が聞こえる範囲内に移動したー


雫はゲームセンターに戻り、オールバックの男が立ち去っていくー


「ーーーーーーー」

愛梨沙は、雫ではなくオールバックの男のほうを尾行するー


がー

途中でその男を見失ってしまうー


「ーー…う~ん…あの人、暴走族じゃないみたいだったけどー」

愛梨沙はそう呟きながら、困惑の表情を浮かべたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「じゃ、俺は帰りますんでー」


悠馬と話を終えた輝樹がそう呟くー


「ー今日はわざわざありがとなー」

悠馬が言うと、輝樹は「いえ」と呟くー。


「ー雫の身に何かが起こってるならー

 俺は、悠馬さんより先に、雫を助け出して見せますよ」


輝樹が悠馬にそう宣言すると、

悠馬は「はははー…まぁ…雫を大切にしてくれて、いつもありがとなー」と

穏やかな笑みを浮かべながら呟いたー。


輝樹が立ち去っていきー

家の中に戻った悠馬が

スマホを確認すると、ちょうど愛梨沙からの連絡が入っていたー


”悠馬ー

 雫ちゃんだけどー

 ゲームセンターに変なトレンチコートの男が来てー

 雫ちゃんとなんかしばらく話してたのー”


その連絡を見て、悠馬は表情を歪めたー


”なんか、その人と話してる間の雫ちゃんー

 ずっとぼーっとしてた感じでー変な感じだったけどー”


愛梨沙からのメッセージを見つめながらー


輝樹が色々口にした中の言葉ー

”洗脳”

という言葉を悠馬は思い出すー


「ーー(いや、まさか、そんなことできるはずがー)」

そう思いながらも、

妹・雫の豹変ぶりを思い返した悠馬はー

心の中で、強い不安が膨らんでいくのを感じー、

険しい表情を浮かべたー



⑧へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


何気ない描写の中にも、

伏線が隠されているかもしれないですネ~★


いよいよ、雫の豹変の原因にたどり着きそうな

お兄ちゃん…!

今後の展開も楽しみにしてください~★


今日もありがとうございました~!

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