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先輩に憑依されてしまった智花ー。


しかし、岩淵先輩は智花の支配に失敗ー、

智花が眠っているタイミングや、意識が弱まった時しか

その身体の主導権を握ることができない状態になってしまうー。


だが、岩淵先輩が身体の中に潜んでいる状況は、

確実に智花を蝕んでいたー。

次第におかしくなっていく智花ー。


彼氏の俊介と、智花の親友・蘭はなんとか智花を助けようとするもー…?


★前回はこちら↓★

<憑依>染まりゆく彼女⑤~加速する異変~

彼女の智花の様子がおかしいー。 やはり、岩淵先輩の”憑依”が影響しているのだろうかー。 智花と相談した結果、彼氏の俊介は、 智花の家で、その様子を注意深く見守ることにするー。 そして、夜ー。 寝たはずの智花が突然起き上がりー、 不気味な笑みを浮かべたー。 俊介は、そんな智花にー いや、智花の中に未だ潜んで...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


乱れたメイド服姿の智花に部屋に引きずり込まれた蘭は

「ち…ちょっと!智花!」と叫ぶー。


「えへへへへへ…蘭…ちょうどよかったぁ…」

智花は涎を床に垂らしながら笑みを浮かべると

はぁはぁ言いながら、蘭にキスをしようとしてきたー


「ーと、智花ー…!」

蘭はそう言いながらも、俊介から聞かされていた

”智花は岩淵先輩に憑依された”という話が

現実であると確信するー


「ーい…岩淵先輩なの…!?

 智花の身体でこんなことしてー…!」

蘭は険しい表情でそう叫ぶー


「ー岩淵先輩~?なに言ってるの~?

 わたしは智花だよ~♡」


智花はニヤニヤしながら、蘭の胸を触り始めるー


「ーーはぁぁぁ♡ 大きいおっぱ~~い♡」

凄く嬉しそうな声を出す智花ー


親友の蘭でさえ聞いたことのない声ー

見たことのない表情に「ちょっと智花!!!」と、

叫びながら、自分の胸を触ってくる智花を

引き離そうとするー。


「ーーえへへへへへ…わたし…なんだかもう…

 ゾクゾクするぅ♡」


今、智花の身体を動かしているのは、智花の意思だー。

しかしー、

岩淵先輩が中に潜んでいる状況が続き、

智花は岩淵先輩の下心や思想に染まりつつあったー。


「ーーーんっ」

智花が嬉しそうに蘭にキスをするー。

荒い息をしながら、何度も何度も強引にキスをする

メイド服姿の智花ー


「ーーいい加減に…しなさいよっ!」

カチンと来た蘭は、智花の頬を思いっきりビンタするー


その衝撃で、蘭から少し離れた場所に倒れる智花ー。


「ーーえ…えへ…えへへへへへへへ」

倒れた智花が笑い始めるー。


「ーと…とも…か?」

今までよりもさらにおかしい笑い方に、蘭が唖然としていると、

智花は笑みを浮かべたー。


「ーー君のおかげで、宮園さんの意識が飛んじゃったみたいだなぁ…

 ありがとう」


智花はそう言うと、自分の胸を嬉しそうに触り始めるー。


智花が、蘭にビンタされたショックで、

その意識が弱まり、一時的に再び岩淵先輩が”表”に出て来たのだー。


「ーー僕のせいで、宮園さんまで変態になってく姿ー

 本当にたまらないよー…

 僕が宮園さんの中で意識を取り戻すたびに、

 どんどん宮園さんが僕色に染まっていくのが分かるんだー」


智花の声で興奮した様子で呟く岩淵先輩ー


「ーーふ…ふざけないで!今すぐ智花から出て行きなさいよ!」

強気な蘭は叫ぶー。


けれどー

智花は笑みを浮かべながら首を横に振ったー。


「ー残念だけど、宮園さんの身体から出る方法はー

 僕にも分からないんだー。

 僕の意思で、外に出ることはできないー」


智花はそれだけ言うと、くくくく…と笑い始めたー。


「ーわたしはもう智花なんだー!ふふふふふふ…」

智花が目を見開いて、蘭に再び近付いてくるー


さっきよりもさらに乱暴な手つきで、蘭の身体を弄ぼうとする智花ー


「いいよねぇ…わたしたちの足って…!

 見てるだけでー

 触ってるだけで興奮しちゃうよぉ…!」


智花が狂ったように笑いながら蘭を襲うー


「やめてよ!智花!目を覚まして!」

蘭の言葉にー

智花はにやりと笑みを浮かべるー。


「ふふふふ…蘭ってばぁ…何を言ってるのー?

 わたしは智花に決まってるじゃないー

 女同士…恥ずかしがることなんてー」


智花はそこまで言うと、突然表情を歪めたー。


「ーー!?」

蘭は困惑しながらも、咄嗟に智花の部屋から逃げ出すー。


”このままここにいれば、どんな目に遭うか分からないー”

岩淵先輩に憑依された智花の状態は、蘭が思っている以上に

危険な状態だったー。


「木下くんにも相談してー早くどうにかしないと」

蘭は、智花の部屋を振り返りながら、

智花の彼氏・俊介にすぐに電話を入れるー。


智花に襲われたことー

智花の状況が、俊介に聞いた話よりもさらに悪化していることー

そして、岩淵先輩が”智花の身体から自分の意思で出ることはできない”と

言っていたことー

それらを、全て伝えたー。


俊介は心配そうに”ーわ、分かったー。巻き込んでごめんー”と、

申し訳なさそうに言葉を口にしたー。


「ーーくそっ…!俺は何をやってるんだー」

スマホの通話を終えた俊介は表情を曇らせるー。


「ーー守屋さんまで巻き込んでしまうなんてー」

俊介は、智花の異変を気にしていた蘭に、憑依のことを

話したことを後悔したー。

「俺が守屋さんに話さなければ、守屋さんが乱暴されることはなかったー」

そんな風に呟く俊介ー。


蘭は気の強い子だー。

でも、やっぱり怖かっただろうー。


俊介は拳を握りしめると、

”引きずってでも智花を病院に連れて行かないとー”

と、”もう自分たちだけではどうにもできない”という厳しい現実を、

イヤでも突き付けられたような気持ちになって、

暗い表情を浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーー…あれ?」

蘭が逃げ出した智花の部屋ではー

智花が一人で、呆然とした表情で座り込んでいたー。


「ふふふふ…蘭ってばぁ…何を言ってるのー?

 わたしは智花に決まってるじゃないー

 女同士…恥ずかしがることなんてー」


さっきー

蘭に言い放ったセリフを思い出す智花ー。


「ーーー……はは…そうかー…なるほど」

智花は一人笑いながら呟くー


「宮園さんが、僕に影響されて変わってるだけじゃなくてー」

智花は、そこまで呟くと、鏡のほうを見つめたー。


「ー僕も、宮園さんに影響されてるってことかー」

智花は呟くー。


先程ー

蘭に”わたしは智花に決まってるじゃない”と叫んだときー

智花の身体は、岩淵先輩が支配していたー


なのに、自分が智花だと、あの瞬間では思い込んでいたー


”智花の演技”をしたのではなくー

”自分が智花に憑依した人間”だと認識できなくなっていたー。


「ー宮園さんが僕色に染まるだけじゃなくてー

 僕も宮園さん色に染まってたのかー

 くく…ふひひひ」


智花は一人、座り込んだまま笑うと、

「ーー最高だよー…

 僕は、宮園さんと一つになれるんだー…!」

と、狂った笑みを浮かべるー。


このまま、この状況が続けば、どうなってしまうのだろうー。


二重人格の人間が、最終的に一つの人格に統合されるー。

そんな話を、岩淵先輩は聞いたことがあるー。


それと、同じなのかもしれないー。

一つの身体には、一つの心しか存在できないー。


智花の身体の中では今ー

”智花本人の意識”と”岩淵先輩の意識”の2つが存在していてー

身体が”一つにまとめよう”と、しているのかもしれないー。


”正常な状態”=”ひとつの身体に一つの心”に戻すためにー


「ーー僕は、消えるのかー?」

智花はそう呟きながらも、だらしなく笑みを浮かべたー


「ーわたしーー…ひとつになっちゃう♡」

嬉しそうに、うふっ、と笑うと、智花は座り込んだまま

「わたしは智花ー…わたしは岩淵ー…

 僕はーわたしはー」と、一人、ブツブツと呟き始めたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


俊介は、朝から大学に智花の姿がないことを

心配していたー。


”大学が終わったら、智花の家に行って、

 なんとかして病院に連れて行かないとー”

俊介はそんなことを考えながら

智花にLINEやメール、電話での連絡を入れて、

何とか連絡を取ろうとしていたー。


だが、智花からの返事はないまま、

昼食の時間を迎えるー。


俊介は心配そうにしながら、智花の親友・蘭に

”昨日は巻き込んでごめん”と、頭を下げると、

蘭は「ううんー全然」と、笑いながら

「智花を助けたい気持ちは同じだし」と答えたー。


その時だったー


「ーーーー!」

智花から、連絡が入ったー


”大学が終わったら話があるからー

 来てくれるー?”


とー。


場所も指定されているー

俊介はすぐに”大丈夫なのか?”と、返事を送ると

智花”もう大丈夫。何も不安もないし、元気だよ”とだけ、

返事が返ってきたー。


俊介は、大学が終わったらすぐに指定の場所に向かうことを

決意し、険しい表情を浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


大学が終わりー

俊介は、指定された場所へと駆け付けたー。


夕日が差し込む中ー

川の近くの通りで待っていた智花は、

俊介に気付くと、

「ーー遅かったねー」と、笑みを浮かべたー。


黒いコートを身に着けて

落ち着いた雰囲気の智花ー。


いつもの智花ー…

の、ようにも見えるが、何だか強い違和感を感じるー


「ー智花……だよな?」

俊介が戸惑いながら言うと、

「ーそう。僕は智花だよー」と、答えたー。


「ーぼ、僕ー?」

困惑する俊介ー。


「ーー驚くことないよ俊介ー。

 僕はね、生まれ変わったんだー。

 新しい智花としてー」


智花の表情がいつもより落ち着いているようなー

達観したような雰囲気になっていて、

俊介はさらに不安を感じるー


「ーま、まさか…岩淵先輩…!

 智花の身体をー」


「ーー違う」

智花は首を横に振ったー


「僕は智花だよー。

 ちゃんと、俊介との思い出も全部覚えてるし、

 自分がどうやって生きてきたのかも覚えてるー。


 でもねー

 俊介ー。

 僕は岩淵でもあるんだー。」


智花の言葉に「な、何を言ってー…?」と困惑するー。


「ー最初は怖かったけど、途中で僕、気づいたんだー。

 ”わたしが、岩淵先輩に染まってる”わけじゃないーってー。

 わたしはー 僕はー、お互いに一つの存在になるために

 混ざりつつあったんだー。


 だから、智花は先輩に影響されてるみたいな行動を

 取ってたけどー

 先輩自身も、智花に影響されて変わってたんだー。」


智花がそこまで言うと、

俊介は「じ…じゃあーーーい…一体…」と、

表情を歪めるー


”お前は、誰なんだー?”

そう、聞きたかったー


それを察するかのように、智花は答えたー。


「ーーふふっ…

 今の僕は”岩淵 智花”って感じかなー。

 新しい一つの人間に生まれ変わったんだよー。


 今の僕には、”わたし”としての記憶も意識も

 ”僕”としての記憶も意識も、両方が一つになっているんだー」


智花の言葉に、

俊介は「…じ、冗談だろー…?智花ー…!」と、

心配そうに智花のほうを見つめるー。


「ーふふふ…でも、もう大丈夫ー。

 僕はもう、何も怖くないしー、

 ひとつになれてよかったー

 

 俊介、色々とありがとうー」


智花はそれだけ言うと、いつものような笑顔を

浮かべて見せたー


「ーそ……そんなのー」

俊介が困惑を隠せずに呟くと、

智花は「ーーお別れ」と、笑みを浮かべるー。


「ー僕を愛せるのは、僕だけー。

 だから、僕にもう、彼氏はいらないー」


「ーーえ…?」

俊介が唖然としながら智花のほうを見ると、

「ー僕ー、自分のことが好きで好きでたまらないんだー。

 ふふ…たぶん、”智花”が好きな”先輩”と、ひとつになったからかなー?

 だから、もう他の人を好きになることはできないのー。

 ごめんね、俊介ー」

と、智花は笑みを浮かべながら言い放ったー。


「ーー大学もじきに辞めるからー。

 僕さー、僕の可愛さに気付いたんだー。

 だから、ふふふっ…他にやりたいことが色々とあってー」


智花はそれだけ言うと「それじゃ」と、立ち去っていくー


「待ってくれ!智花!… 智花!」

俊介が必死に叫ぶと、智花が振り返って

夕日を眩しそうに見つめると、微笑んだー


「ー今までありがとうー俊介ー。

 僕は、もう大丈夫だから心配しないでー」


穏やかな笑みを浮かべると、”岩淵先輩と一つになってしまった智花”が

そのまま立ち去っていくー


「そ…そんなー」

立ち去っていく智花を見つめながら、

俊介は思わずその場に膝をついたー。


”俺にできることは何か他になかったのかー…”


俊介は何度も何度も、自分の中で自問自答したー。


けれどー…

俊介には、思い浮かばなかったー


「ーー智花ーーー」


まるで”男”のようなー

けれども”智花”でもあるようなー

そんな振る舞いの”新しい智花”ー


智花が”いつもとは違う”男っぽさを感じるような歩き方で

立ち去っていく後ろ姿を見つめながらー

俊介は、悔しそうにその名前を呟いたー


今日ー

この日ー

”新しい智花”が、誕生したのだー。



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


染まりゆく彼女の最終回でした~!☆

二人の意識が混ざって、新しい智花になってしまった本人は

幸せ(?)そうですが、

彼氏の俊介にとっては最悪の結末ですネ~…!


ここからの逆転はもう…難しそうデス…!


全6話と、少し長い作品になりましたが、

ここまでお読み下さりありがとうございました~!☆

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