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午後ー

いかにもギャルな感じの患者が病院に駆け込んできたー


ここは、地域病院の一つで、それほど大きな病院ではないものの

地元密着型の病院で、地元住人を中心に愛されている病院だー。


そんな病院にやってきたのは、近所の服屋で勤務している

女性店員の篠崎 寧音(しのざき ねね)ー。

いかにもな感じのギャルで、”黒ギャル”とでも表現すれば良いのだろうかー

とにかく、派手な感じの女性だったー。


「ーね~~!痛いんだけど~!」

喚く寧音ー。

お店の作業中に指を切る怪我をして、この病院にやってきているー。

確かに、結構ザックリ切っているように見えるー。


しかしー


「ーーー」

治療にあたる先生の横から不愉快そうに寧音を見つめる

ナースがいたー。


笠倉 汐織(かさくら しおり)ー

汐織は、プライドが高く、人を見下すような傾向があるー。

特に、”素行の悪い人間”や”問題のある人間”に対しては

その傾向が非常に強く出るー。

一方、高飛車な彼女も、高齢者にはとても優しくー

病院の入院患者を中心に人気が高いほか、

とても気配りできる性格なために、

病院としては重宝している部分があるのも事実だったー。


そんな、汐織にとって”嫌いなタイプ”である、

黒ギャルの寧音ー。

寧音を見つめながら汐織は不機嫌そうに

「は~い、静かにしてくださいね~」と声を掛けるー


言葉は丁寧だが、汐織からは”敵意”が滲み出ていたー。


「ーーーいたっ!」

汐織が、寧音の切れた指の付近に手を触れると、

寧音は声をあげたー。


「ちょっと!痛いんだけど~!」

寧音の言葉に、汐織は「申し訳ありません」と不機嫌そうに答えるー


”こんなバカそうなギャルに、謝る”なんて、自分のプライドが許さないー

そんなオーラを隠そうとしても隠しきれていない汐織ー


「ーーでも、子供じゃないんだから、少しぐらい我慢しましょうね~!」

汐織が嫌味を込めて言うと、

寧音は「は?」と、不愉快そうに汐織のほうを見た。


「あんた、あたしに喧嘩売ってんの?」

寧音はそう言いながら、汐織の腕を掴むー


「ーーーー」

汐織が、”生意気な小娘”と、思いながら寧音を見つめるー。


年齢的には同じぐらいー

20代同士かもしれないが、

”黒ギャル”のような風貌の寧音のことを汐織は内心で

徹底的に見下していたー


”よくもまぁ、そんな恰好で恥ずかしくもなく、街を歩けるわね”

と、内心で蔑んでいたー。


「ー笠倉さん~…落ち着いて!」

穏やかそうな男性医師の富山(とやま)が呟くー。


「ーー腕」

汐織は寧音に敵意をむき出しにして呟いたー


「腕、離していただけますか?」

汐織の言葉に、寧音は「何よその態度…あんたなんかうざいんだけど?」と

敵意をむき出しにし返すー。


黒ギャルな患者・寧音と、

清楚な美人という雰囲気でありながら、どこか冷たいオーラを持つ汐織が

バチバチとにらみ合うー。


「ーーあぁ…はは…二人とも、落ち着いて?」

Dr富山は戸惑った様子でそう呟いたー。


「ーーー離しなさい」

汐織が高圧的に言うー。


「ーあんた、あたしのこと、見下してるの伝わってくるんだけど!」

寧音が、怒りの形相で言うー。


「ーーーふぅ~~~~~~~」

汐織は深く息を吸ってから寧音のほうを睨みつけたー


「ーじゃあ言わせてもらいますけどね、

 あなたいくつですか?

 大人になってもそんな恰好でヘラヘラと街を歩いて、

 世の中舐めてるんじゃないですか?

 

 どうせ指を切ったのだって、

 お勤め先のお店でヘラヘラ遊び半分でやってたからですよね?


 病院ですから、治療はしますけど、

 あなたみたいな社会を舐めたギャルがいると迷惑なの!」


汐織が感情的になって叫ぶー。


「ーーーは~~~~~~??????

 あんた、何様?そうやって患者を見下して、

 マジむかつく!」


寧音が立ち上がって、汐織の胸倉をつかむー


「ーー離しなさい」

驚く様子もなく、汐織がそう呟くー


「ーー生意気なんだよ!」

寧音が、汐織を突然ビンタしたー


「ーちょっと!」

Dr富山が戸惑いながら叫ぶー。


「何するのよ!」

汐織が怒りの形相で寧音につかみかかるー。


黒ギャルとナースの喧嘩が

診察室で始まりー

Dr富山は慌てふためいた様子で二人の様子を見つめるー。


その時だったー


「あっ!」

診察室の椅子に躓いて、黒ギャルの寧音と、

ナースの汐織が二人そろって、診察室内で

派手に転倒してしまったー。


「ーーーだ、、大丈夫か!?」

Dr富山が戸惑いの表情を浮かべながら、汐織の方に声を掛けるー。


寧音が仰向けに倒れー、

汐織がその上から覆いかぶさるようにしてうつぶせで倒れているー


「ーーいった~~~…」

すぐに汐織は、そう呟きながら立ち上がりー

「ーもう、最悪!」と、呟きながら、

そのまま診察室の椅子に座るー。


ナースであるはずの汐織が、当たり前のような顔をして、

椅子に座っているー。


「ーーーーーーえ」

椅子に座っていた汐織は、倒れている寧音のほうを見て

戸惑いの表情を浮かべたー。


すぐに、寧音のバッグを勝手に漁り始める汐織ー


「ちょ!?笠倉さん!?」

ナースが患者のバッグを勝手に漁り始めるなど、

あってはならないことだー。

Dr富山は、慌てふためくー。


ギャルな患者・寧音のバッグから勝手に手鏡を

取り出した汐織は、「え…」と、自分の姿を見つめながら戸惑うー


「ーーあたし…」

汐織がそう呟くと同時に、寧音が起き上がるー


「ーーーあんた…いい加減に…」

そこまで言って、寧音も戸惑いの表情を浮かべたー


喉のあたりを押さえていて、

自分の声に違和感を感じているように見えるー。


「え~~~~~~~~~~~~~~!!?!?!?!?!」

叫ぶ寧音ー。


Dr富山にはまるで意味が分からなかったー


「ーちょっ!!ちょっと!なんなのこれ!?」

黒ギャルの寧音が叫ぶー。


そしてー

Dr富山が状況を飲み込めないままー

ギャルの寧音が、突然汐織の腕を掴んで、ちょっとこっちに来て!と、

そのまま診察室の外に連れて行ってしまったー


「ーーな、な、なんだぁ?」

Dr富山には、まるで何が起きているのか理解することは

できなかったー。


・・・・・・・・・・・・・・・


病院の人目に付かない廊下まで、

汐織を連れてきたギャル・寧音は叫ぶー


「ど、どういうことなの!?」

とー。


ナースの汐織は、笑みを浮かべながら答えたー


「どうって…?あたしとあなたの身体が

 入れ替わったってことでしょ?」


馬鹿にするように、笑いながら答える汐織ー。


そうー

二人は、転倒した際に、何らかのはずみで

身体が入れ替わってしまっていたのだったー。


汐織になったギャル・寧音は、笑みを浮かべながら

汐織の身体で言うー。


「あんた、あたしを見下していたよね?

 どう?見下していたあたしになった気分は?」

汐織(寧音)が言うと、

黒ギャルの患者・寧音になってしまった汐織は戸惑いの

表情を浮かべたー。


「ーちょ、、ちょっと…?冗談でしょ…?

 わたしの身体を返しなさい!」


寧音(汐織)が言うと、

汐織(寧音)は、笑いながら首を振ったー


「ーーあたしが仕組んだわけじゃないし、

 あたしに言われてもね」


そう言いながら、

汐織(寧音)は、”自分を馬鹿にしてきた

高飛車なナース”と入れ替わったことに

優越感を感じていたー


「ーーーいいから、元に戻しなさい!」

寧音(汐織)が叫ぶー。


汐織からすれば、”こんな頭が空っぽそうなギャル女”に

自分がなってしまっていることは、

屈辱以外の何物でもなかったー。


「ーーーだ・か・ら、あたしは何も知らないの!

 たまたま転んで入れ替わっちゃったんだから、

 あたしだって被害者なの!」

汐織(寧音)の言葉に、

寧音(汐織)は「嘘はやめなさいよ!」と叫ぶー


”他人と身体が入れ替わったのに、そんなに冷静なはずがないー”


とー


確かに、汐織の身体になったギャル・寧音は、

妙に冷静に見えるー

それほど取り乱しておらず、”まるで入れ替わることを

予め知っていたかのように”寧音になった汐織からは見えてしまったー。


だがー

汐織(寧音)は、寧音(汐織)を鋭い目つきで見つめたー


”自分の身体”に睨まれて、ビクッとしてしまう寧音(汐織)ー


「ーーいちいち狼狽えてたら、生きていけないからー」

汐織(寧音)はそれだけ言うと、

「ーーあの~~そろそろ離してくれませんか~?」と

わざとらしく大声で言うー。


他の通りすがりの患者が、不安そうにこちらを見つめているー。


事情を知らない人からすれば、

「ギャルな患者」が「病院のナース」に絡んでいるようにしか見えないー


「あんた…!わたしの身体を返しー」

寧音(汐織)の言葉に、汐織(寧音)は笑ったー。


「あたしの身体で、そんなこと騒いでも、誰も信じてくれないと思うケド?

 元に戻る方法も分からないんだから、

 戻る方法が見つかるまで、お互いのフリをして過ごすしか

 ないと思うんだけど?」


汐織(寧音)の言葉に、寧音(汐織)は

屈辱に耐えられない、という様子で歯ぎしりをするー


「ーこんなギャルの身体は、イヤだー、って顔してるけど?」

汐織(寧音)がニヤニヤしながら言うー


「ーーーイヤに決まってるでしょ…!

 不真面目に生きてるあなたみたいな人間になるなんて…!」

プライドも高い汐織からすれば、こんな、不真面目そうな

黒ギャルの身体になっているなどー

耐えられないことだったー。


「ーーーでも、仕方がないでしょ。

 現実を受け入れるしかないんだからー」


汐織(寧音)は、それだけ言うと、診察室の方に戻っていくー


「ーちょ!ちょっと!」

寧音(汐織)が叫ぶー


しかしー

汐織(寧音)は笑みを浮かべながら振り返ると、

「さっきの先生、結構いい感じだったよね?ふふ…」と、笑みを浮かべたー


汐織(寧音)の言葉にー

寧音(汐織)は「ちょっと!何をするつもりなの!?!?」と

大声で叫ぶー。


だが、それ以上、汐織(寧音)は返事をすることなくー

診察室に戻って行ってしまったー


一人残されたギャルの身体になった寧音(汐織)は、

呆然とした表情を浮かべることしかできなかったー。


そして、すぐに周囲の視線が気になり始めるー。


”こんな、いかにもギャルな恰好をしている自分”が、

見られること自体が、汐織からしてみれば、屈辱中の屈辱だったー


「ーーみ、、見ないでください!」

寧音(汐織)はそう言うと、顔を真っ赤にしながら、そのまま

診察室の方に向かうー。


すぐさま診察室の中に入ると

「先生!」と、叫んだー。

Dr富山に、入れ替わりのことを話して、助けてもらおうとしたのだー。


「ーー?」

不思議そうにするDr富山ー。

その隣には、汐織になった寧音がいるー


「先生!わ、わたし、この人と、身体を入れ替えられてしまったんです!」

叫ぶ寧音(汐織)ー


けれどー

そんなこと、信じてもらえるはずがなかったー


「あなた、さっきからおかしいですよ。」

汐織になった寧音が、”汐織のフリ”をして言うー。


「ーーふざけないで!わたしの身体を奪ってどうするつもりなの!?」

寧音(汐織)が叫ぶー。


”絶対にこのギャル女が、仕組んだんだー”

寧音になった汐織はそう思いながら、汐織(寧音)の腕を掴むー


「離してください」

汐織(寧音)が、クスッと笑いながら言うー。


寧音(汐織)が、汐織(寧音)を睨みつけながら

「わたしの身体を返しなさい」と言い放つー


Dr富山は先ほどと同じように、狼狽えるだけで、

どうしていいか分からない様子だったー。


「ー警察、呼びますか?」

汐織(寧音)の言葉に、

寧音(汐織)は、悔しそうな表情を浮かべながら手を放すー。


「ーー………」

オオカミのような目つきで、汐織になった寧音を睨む寧音(汐織)ー


やがてー

寧音(汐織)は”このままじゃ信じてもらえない”と、

診察室からそのまま飛び出していったー。


「ーーなんだったんだ…?」

戸惑うDr富山に、

汐織になった寧音は「変な患者さんでしたね~」と、

少し意地悪そうな笑みを浮かべながら、囁いたー



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


入れ替わってしまった二人の運命は…!?

続きはまた次回デス~!


今日もお読みくださり、ありがとうございました~!


最近はだいぶ涼しい日も増えてきたので、

体調を崩さないように気を付けて下さいネ~!

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