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ラーメン店・麺魔界ー。

不愛想・不潔・味が優れているわけでもないー。


そんな”限界状態”で

閉店直前まで追い込まれていた時に

出会った謎の寄生虫ー。


寄生虫の王と思われる個体を、自ら受け入れ、

麺魔界の店主は、

寄生虫をラーメンに混ぜー

支配を拡大してきたー


支配された人間たちが、麺魔界を宣伝し、

さらに寄生を広めていくー


寄生虫にとっては、寄生の拡大ー

麺魔界の店主にとっては、ラーメン屋の売り上げ拡大ー。


それはー

理想的な関係と言えた。


だがーー


「--!!」

麺魔界の店主が異変を感じて、表情を歪めたー


店内には、治と、正気を取り戻した親友の武五郎、

治の彼女である紗愛ー


そして、武五郎と同じく、正気を取り戻した

OL・久美が怯えた様子で、成り行きを見守っているー。


「--あ、、、ぁ…ぅ…」

”寄生虫の巣”にされていた優季は、

寄生虫自体をお茶で駆逐したもののー

激しく痙攣していて、意識を取り戻さないー


「--優季ちゃんを早く、救急車で運ばないと…」

紗愛がボソッと、治に向かって呟くー。


「---…わかってる」

治が言うと、

近くにいた、正気を取り戻したOL・久美が

「わ、、わたしが救急車、呼びましょうか…?」と

怯えた様子で言う。


「--お願いします」

治が言うと、久美は慌てた様子で店の外に出ていくー


だがーー

麺魔界の店主は、先ほどから、目を見開いたままー


治たちが店主の方を見つめると、

店主がうめき声をあげ始めたー


「な…んで…どう…して…?」

苦しそうに呟く店主ー。


「--な、、なんか、様子がおかしいぜ?」

武五郎が、身構えながら店主の方を見つめるー


「--ぐぼぉぁぁぁ」

店主が激しく嘔吐して、その場に倒れ込むー。


口から、普通の寄生虫よりも巨大な寄生虫が出現するー


「--も、、もぅ”、このがらだにようばない…」

店主が苦しそうにゴボゴボと言葉を言い放つとーー


次の瞬間ー


「ーーぶしゃああああああああああ!」

店主の口がーー裂け、

中から、寄生虫が飛び出したー


「----が、、、」

店主がそのまま倒れ込むー


顔がぐしゃぐしゃになっていて、とても助かる感じではないー


「--ひっ」

紗愛が目を逸らすー


治は呟くー


「--化けものめ…!

 お前にとって、このラーメン屋の人も、寄生を広げるための

 道具だったってわけだな…!」


治は震えていたー。


他の人を乗っ取っていた寄生虫よりもサイズが大きいー

とは言えー

人間からしてみれば全然小さい寄生虫ー。


こんなやつが、人間界の支配でも目論んでいたのだろうかー。


「--武五郎!お茶を!」

治は、震えていたー。


だが、逃げるわけにはいかないー


こいつがきっと、親玉だー。


ラーメン屋の店主から飛び出した寄生虫が

治の方を見つめるー


明確な”殺意”を感じたー。


「---何故だか分からないけどー

 お前らの弱点は、もう分かったぜ!」


なんでお茶に弱いのだろうかー。


いや、考えても仕方がないー

お茶は健康に良いとか、

ウイルスに効くとか、よく言うしー

そういうことなのかもしれないー


「--害虫駆除の時間だ!」

治が叫ぶー


「治!」

寄生虫が治の方に飛び掛かって来るのを見て、紗愛が大声で叫んだー


「---うおおおおおおおおおお!」

治がお茶のペットボトルの蓋を開けてー

その中身を飛び掛かって来た寄生虫に対してぶちまけるー


「--ギシャアア…」


”断末魔”と表現すれば良いのだろうかー。


治に向かってきていた、ラーメン屋の店主に寄生していた

”親玉”はー

あっけなく消滅したー


「--はぁ…はぁ…」

治は必死にこらえていた恐怖心がドッと溢れ出てきて、

その場に座り込んだー


「--だ、大丈夫?!」

「--大丈夫か?!」

紗愛と武五郎が駆け寄ってくるー


「ははは、、、俺、これから、虫嫌いになりそうだわ…」

治は苦笑いしながら、冗談を口にして微笑んだー


・・・・・・・・・・・・・・


親友の武五郎と、OLの久美は無事、健康上の影響もなく、

元通りの日常生活へと戻ったー。


他に寄生されていた人々は、治や武五郎、久美の知る範囲内で

”お茶”により、解放したー。

まだ寄生されている人間もいるかもしれないが、

ラーメン店・麺魔界の内部で治が撮影した映像が決めてとなり、

警察も裏で動き出したー。


だが、”表”には寄生虫の話題は出てこなかったー

あまりにもショッキングな出来事であり、

また、世間の混乱を招きかねない、ということで

警察が内々に捜査を進める…

そんな感じで処理されたのだったー。


麺魔界の店主は死亡ー。

麺魔界の店主に寄生していた、通常よりもサイズの大きな寄生虫ー

恐らく、あれが親玉だったのだろう。

”寄生虫の力を利用している”

そんな風に豪語していた店主だったが、

実際には自分の方が都合よく利用されていて、

土壇場で切り捨てられたー。

そういうことなのだろう。


「----優季…」

親友・武五郎の彼女、優季は入院中ー。


寄生虫の巣にされて、

大量の寄生虫を身体から生み出していた優季は、

体内の損傷個所が多く、

完全復帰には、時間が掛かる、とのことだったー。


「---ごめんね…」

武五郎の方を見て、悲しそうに呟く優季ー。


「--大丈夫。優季が生きててくれりゃ、

 それだけでいいんだ」

武五郎が優季の手を握りながら言うと、

優季は安心した様子で微笑んだー。


「--俺、ラーメン馬鹿で不器用だけど、

 優季のこと、絶対支えていくから…」

武五郎が言うと、

優季は、安心した様子で頷いたー。


・・・・・・・・・・・・・


大学の食堂で治と紗愛、武五郎が

一緒にお昼を過ごしていたー。


「--優季ちゃんも、ひとまず無事でよかった~…」

紗愛が安堵の表情を浮かべるー。


「あぁ、治のおかげだぜ」


「いや、俺は、ただ寄生虫に狼狽えてただけだし」


「ははは照れるな照れるな!

 俺なんて乗っ取られてただけだし!

 まさに足出まといってやつだぜ」


武五郎の言葉に、治は苦笑いして、

「でも武五郎も無事でよかったよー」

と、呟いたー。


「--あ、そうだ、治!今日の放課後、時間ある?」

紗愛が微笑むー。


「ん?あぁ、大丈夫大丈夫!」


「---行きたいお店があって~!」

紗愛が笑いながら、そう呟くと

治が少し表情を歪めたのを見て

紗愛はイタズラっぽく微笑んだ。


「-ラーメン屋じゃないから、安心してね!」

とー。


「--はは、ラーメンは当分こりごりだぜ」

治の言葉に、紗愛は笑うー。


「--じゃあ、放課後、西棟のいつもの部屋で待ち合わせね!」

紗愛はそう言いながら立ち去っていくー。


”西棟のいつもの部屋”とは、

治と紗愛が待ち合わせに使う部屋だー。


「---ふ~

 やっぱ羨ましいよ、紗愛ちゃんとお前を見てると」

武五郎の言葉に、治は、昼食のカツ丼を口にしながら

「--でも、お前は優季ちゃん一筋だろ?」と笑ったー


「まぁな」

武五郎が少し照れ臭そうに笑うー。


そして、笑いながらカツ丼を指さしてー

「その中に寄生虫が入ってたりしてな!」と、治を揶揄ったー


「やめてくれ!冗談にもならない!」

治が気味悪そうな表情を浮かべながら、笑ったー


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「--お待たせ!」


大学での1日が終わり、

西棟で紗愛と合流するー


「あ、治!」

紗愛が微笑むー。


「--行きたいお店って?」

治が言うと、

紗愛が「駅前の新しくできたスイーツ店!」と

笑みを浮かべながら、スマホの画像を治に見せるー


治が、紗愛に近づいてスマホの画像を見つめるー。


”このお店も寄生虫に支配されていて

 ケーキの中に虫が入っている、なんてことないよな”


と、苦笑いする治ー


「--!?」


突然ー

紗愛が治にキスをしたーー


ドキッとしてしまう治ー


「----ふふっ♡」

紗愛が治から唇を離すと

「麺魔界の時の治、かっこよかった♡」と、

にっこり微笑んだー


「--紗愛…」

治が、ドキドキしながら紗愛の方を見るとー


「--!?!?!?!?」

紗愛の耳から、どす黒い寄生虫がー

飛び出していたー


「さ、、さら!?」

咄嗟に叫んだ治ー


しかしー

紗愛は「わたしからのプレゼント♡」と

甘い声を出しながら、

治にキスをしてー

治の体内に寄生虫を流し込んだー


「---くくくくく…」

倒れている治を見つめながら

「起きろ」と呟く紗愛ー


「---」

治が虚ろな目で起き上がるー


「-”麺魔界”はもう用済みだー

 人間を支配して分かったー。

 ”女”を武器に支配を拡散していったほうがーー

 効率が良い、となー。


 それにあの店の異変に気付いた奴らもいたしー

 もう、あの店に用はないー」


紗愛が、低い声でそう呟くと、

起き上がった治に

「--どうだ?生まれ変わった気分は?」

と、笑みを浮かべながら告げたー


・・・・・・・・・・・・・


あの日ー


麺魔界に紗愛が連れ去られてー

治が到着するまでの間ー


「--助けて!やめて!」

紗愛が悲鳴を上げるー


「----」

麺魔界の店主が口からどす黒い寄生虫を飛び出させながら、

紗愛に近づいていくー


「--これからは、お前が宿主だー」

”寄生虫の王”

どす黒い寄生虫が、麺魔界の店主の口を使ってしゃべるー


悲鳴を上げる紗愛ー


「---お前が、女王となって、人間どもを支配していくのだー」

笑う麺魔界の店主ー


悲鳴を上げながらキスをされて、もがく紗愛ー

ビクンビクンと震えていた紗愛はー

やがて、どす黒い寄生虫に支配されてーー

邪悪な笑みを浮かべたー


店内にいる乗っ取られた優季と久美を見つめながら

麺魔界の店主の方を見つめると、紗愛は

「いい身体だぁ…人間を支配するのにふさわしいー」と、

笑みを浮かべるー。


店主が叫ぶー


「お、、お、、俺の身体より、そんな娘のほうがいいってのか!?」

とー。


麺魔界の店主に寄生した”寄生虫の王”は、

あの日、治が到着する前に、既に紗愛に”移動”していたー


「---うるさい男だー。

 お前など、もう必要ないー」


紗愛はそう言って笑うと、

優季に命令したー。


優季から、少し巨大なサイズの寄生虫が吐き出されるー


そして、悲鳴を上げるラーメン屋の店主にー

巨大サイズの寄生虫が、寄生したー。


ラーメン屋の店主は、”この時”までは自我を保っていたものの

治が来た時には既に自我を失い、完全に乗っ取られていていたー。

治に語った過去は事実だが、既に店主の意識は失われていたー。


そして、治が来た時には、

紗愛は既に完全に乗っ取られていてー

寄生虫の王が、紗愛のふりをしていただけー。


麺魔界と寄生虫の関係を知られた今ー

麺魔界はもう必要ないー


”わざと”寄生虫の問題が解決したように見せかけてからー

紗愛の身体をーー

女を武器に、キスで直接”寄生”を拡散していくーーー


それが、寄生虫の王の狙いだったー


”お茶に弱い”のも、嘘だー。

お茶をかけられた寄生虫は、一時的に液状化するだけで、

少しすればまた元に戻るー。


あえて、苦しんでいる演技をし、

武五郎や優季をあえて解放してみせただけのことー


近いうちに、彼らは、また乗っ取られる運命にあるー。


・・・・・・・・・・・・・・・


「---仲間を…増やす」

治が呟くー


治は、あの日、麺魔界に突入する前に

紗愛が既に乗っ取られて”手遅れ”だったことを

知る前に完全に乗っ取られてしまっていたー


「--人間どもを、跪かせるのだ‥

 くくく、ははははははっ!」


紗愛は笑みを浮かべるとー

治に「さ、帰ろ♡」と、甘い声を出して微笑んだー


寄生虫は”学んだ”

人間社会に溶け込んで、寄生を増やしていくべきであるとー


・・・・・・・・・・・・・・・


後日ー


「--ねぇねぇ、今日の放課後、話があるんだけどいいかな?

 治のことで相談が」


紗愛が甘い声で、治の親友・武五郎に声を掛けるー


「え!?あ、うん、いいよ。聞いてやるよ」

笑う武五郎ー。


紗愛の中に潜む寄生虫の王は、紗愛のアソコから少しだけ

顔を出して、不気味な笑みを浮かべたー



おわり


・・・・・・・・・・・・・


コメント


ラーメンパラサイトの完結編でした!


こうして、今度は誰も気づかないまま

どんどん支配が拡大していってしまうのでした!


お読み下さり、ありがとうございました~!

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