<MC>運命の支配者②~妹~ (Pixiv Fanbox)
Content
「アルカナ?何、そのうさん臭いの…」
妹の茜が、苦笑いしながら言うー。
悠馬は、クラスメイトの哲太の自殺に、
占い師・アルカナが絡んでいると思っているということ、
そして、今日、アルカナを問い詰めたところー
「---来週の水曜日ー
君の妹さんが男に身体を売るだろうー。
それを知って両親は泣くー
妹さんは、その日を境に荒み、
君の家族は、崩壊に向かっていくー」
と、アルカナから言われたことを、妹の茜に告げたー
「--は??あは、、あはははははははは」
茜が突然笑いだすー
悠馬が少し不安そうに唖然としていると
茜は、さぞ面白そうに、兄の悠馬のほうを見たー
「お兄ちゃん!その占い、100%、
ううん、1万パーセント当たらないから大丈夫だよ!」
と、茜は笑いながら言うー。
「そ、そうだよな」
悠馬が少しだけ安心した様子で言う。
そうだー
妹の茜が男に身体を売るなんて絶対にありえないー。
「そうそう、だってさ、わたし、彼氏とかいないし、
そもそも男子に興味ないし~!
知ってるでしょ、わたし、恋愛よりスイーツ!
花より団子だって!」
茜の言葉に、
悠馬は「もちろん知ってるよ」と苦笑いしながら
答えたー
「そのわたしが男子に身体を…なに、?うる?
ぜ~ったいありえない!
地球がひっくり返って四方八方に爆散するぐらいあり得ない!」
茜はとても面白そうにそう言うと、
堂々と宣言したー
「だから、その、胡散臭い占い師さんの占いは、ハズレー!」
茜の宣言に、
悠馬は、安堵の表情を浮かべて、
「茜なら、心配なさそうだな」と、微笑んだー。
茜と別れて部屋に向かう悠馬ー。
だがー
やはり、それでも不安があるー。
”もしー”
”もしも”
あのアルカナとやらが、ヤバい男を雇って茜を
襲わせでもしたらー?
哲太を殺したトリックがまだ分からないがー、
もしも哲太がやつに殺されたのであれば、
やはり、
あの占い師・アルカナは、茜に対して行った”占い”も
”実現”させようとしてくるだろうー。
”来週の水曜日ー”
悠馬はカレンダーを見つめたー。
「絶対に、阻止してやる」
悠馬は、決意の表情で、そう呟いたー
・・・・・・・・・・・・・・・
「--そんなことが」
翌日ー
彼女であり、幼馴染の由美奈が、
悠馬から、アルカナに妹のことまで予言されてしまったことを聞いて、
困惑した表情を浮かべたー
「……」
心配そうな表情の悠馬を見て、由美奈は、悠馬を元気づけようと
笑顔を作ると、「大丈夫だよ!茜ちゃん、そんなことするコじゃないでしょ!」と
悠馬の肩を叩いたー。
由美奈も、彼氏である悠馬の妹・茜のことを
とてもよく可愛がっていて、面識もあるー。
「--そ、そうだよな」
悠馬は、由美奈が元気づけようとしてくれていることを悟り、頷くー。
茜が、男に身体を売ったりするわけがないー。
そもそもー
”占い師・アルカナ”と茜は面識すらないー
仮にー
哲太が何かされていたのだとしても、
さすがに”一度も会ったことのない人間”に何かすることは不可能だろうー。
「---ありがとう。由美奈に話を聞いてもらえて
少し楽になったよ」
悠馬がそう言うと、由美奈は「よかった」と笑顔を浮かべたー。
「あ、でも」
悠馬が声をあげるー。
「---…当日はさ」
悠馬が由美奈に耳打ちをしたー。
・・・・・・・・・・・・・・
水晶玉を手にする占い師・アルカナー。
アルカナは全身ローブのようなものを
その素顔は見えないー
アルカナはー
”一度”種”を植え付ければいつでもその相手を洗脳できる”
力を持っていたー
闇の世界から取り寄せた、水晶玉の力だ。
一度ー
相手の瞳を見つめてー”洗脳の種”を飢えておけば
水晶玉を通じて、いつでも”遠隔”で洗脳できるのだー
「--ーーー運命は、わたしのものー」
アルカナは水晶玉を手に、笑みを浮かべたー
・・・・・・・・・・・・・・・・
水曜日ー。
妹の茜が
兄・悠馬とは別の高校に登校するー。
悠馬はーーー
そんな茜を尾行していたー。
さすがに高校に入ることはできなかったが
高校周辺で待機する悠馬ー。
学校内で男に身体を売るようなことは
難しいだろうからー、
危ないとすれば下校中だー。
「---…」
悠馬は、妹の茜のいる教室が見える位置で待機しながら
”なんだかこれじゃ、不審者みたいだな”と苦笑いするー
今日は学校は”体調不良”で休んだー。
由美奈には、うまく口車を合わせてほしい、と先週、相談しておいたー。
「----」
悠馬は、占い師アルカナのことを思い出すー。
あんな得体の知れないやつに、妹を好きにはさせない。
悠馬はそう思いながら、妹・茜の様子に変化がないか、
茜のいる教室が見える位置で、ずっと待機をしていたー。
そしてー
放課後を迎えるー
茜が、友達と一緒に正門から出て来るー。
何も、異変は見受けられないー。
茜に、アルカナの話をしたのは先週のことー。
それ以降は特にアルカナの話題は妹との間には出ていない。
茜自身も、既にそんな話、忘れているかのような、素振りに見えるー。
「---ばいばい~!」
友達と手を振って別れる茜ー。
「------」
茜が、ビクッと一瞬震えた気がした-
「---」
悠馬は不安そうに茜を尾行するー
「え…?」
悠馬は首を傾げた。
茜がーーー
家とは別の方向に向かい始めているー。
「--ど、、どこに…?」
”ただの買い物かな…?”と思いつつも、
占い師・アルカナの占いが”今日”であることを
不安に思う悠馬ー。
アルカナの占いが”的中”するのであればー
今日、茜は男に身体を売りー、
そしてー”家庭の崩壊”が、はじまるー。
「-----」
茜が駅に入ると、コインロッカーから紙袋を取り出すー
茜がそれを見つめるー
表情に、笑顔はないー
”まさか、アルカナに脅されてーーー”
悠馬はそう思ったー
尾行をやめて、悠馬が飛び出すー。
「お、茜!」
まるで偶然であったかのように、高校の制服姿の悠馬が茜に手をあげるー
「----」
茜が虚ろな目で悠馬のほうを見たー
「---茜…それは?」
悠馬が不安に思いながら紙袋を指さす
茜はようやく口を開いたー
「--お兄ちゃんには、関係ない」
敵意をむき出しにする茜。
「--…茜!アルカナに脅されてるのか?」
悠馬は、単刀直入に気になっていることを茜に問いただすー。
駅のコインロッカーから荷物を取り出すなんて、
茜が普段、するような行為じゃない。
それに、今日、朝から下校するまでは”普通”に見えた。
少なくとも、コインロッカーの中の荷物は、
茜が入れたものではないと思うー。
「---うるさい!わたしの勝手でしょ」
茜が叫ぶー。
「--おい!茜!あいつに脅されてるんだったら、俺が
必ず茜を守るから!」
悠馬が茜のほうをまっすぐ見つめるー
だが、茜は悠馬の手を
「---アルカナとか関係ないし。
わたしは、わたしの意思で行動してるの。
ほっといてよ」
茜はそれだけ言うと、紙袋を手に、
女子トイレに入って行ってしまったー。
「茜… くそっ!」
悠馬が戸惑うー
そして、すぐにスマホを手にしたー
”由美奈!
とー
占い師・アルカナの事情を知るのは、
由美奈しかいないー。
他にも頼れる友達はいるが、
事情を今から説明したのでは間に合わないー
茜の様子がやっぱりおかしいー。
自殺したー
いやー
”させられた”哲太と同じだ。
このままでは、大変なことになってしまう。
だがー
由美奈からの返事はなかったー。
「くそっ!まさか由美奈まで」
戸惑っているとー
「あーー!竜崎くんじゃん」
と、聞き覚えのある声が聞こえて来たー
「---う」
悠馬は、嫌な予感がしながら振り返るとー
中学時代から一緒の女子生徒・
静川 莉々(しずかわ りり)がいたー。
とても大人しそうな眼鏡女子なのだがー
見た目に反して性格は超がつくほどお調子者ー
そんな、不思議な女子ー
見た目と中身のギャップが激しすぎるのだー
「どしたの?地球が3秒後に爆発しちゃいそうな顔して!」
笑いながら近づいてくる莉々ー。
”そうだ”
悠馬は、思うー
悠馬は、莉々とも親しいー
勿論、浮気とかではなく、由美奈とも仲良しの”共通の友人”
ポジションとして、だー。
「--静川さん!ちょっと、助けてほしいことがあってー」
悠馬は、妹の茜が入っていった女子トイレから
茜が出てこないかを確認しながら、
アルカナのことを説明したー
「あはははははははは!なにそれ~!超うけるんだけど!?
じゃあ、笠倉くんが自殺したのは、
その占い師の仕業ってわけ~?」
莉々がげらげらと笑うー。
「--ま、まだ分からないケド、偶然すぎるだろ?
占い師が予言した日に、あの哲太が自殺するなんて」
悠馬の言葉に、
莉々は「まぁ、そうかもね~」と
少し考えてから、頷いた。
「よし!特別にわたしが力を貸してあげよ~!」
とー。
「--ありがとう」
心強い味方を得た気分になった悠馬ー
とにかく、アルカナのことを知る”味方”を増やしてなんとかーー
「--!」
女子トイレからーー
まるでギャルのような恰好をした茜が出てきたー
「茜!?」
悠馬は戸惑うー。
茜がコインロッカーから取り出した紙袋に
服が入っていたのだろうー
茜は肩を出して、見えてしまいそうなほど短いミニスカートに着替えー
さらに、化粧もしているー
「---来週の水曜日ー
君の妹さんが男に身体を売るだろうー。
それを知って両親は泣くー
妹さんは、その日を境に荒み、
君の家族は、崩壊に向かっていくー」
「---」
占い師・アルカナの言葉を思い出す悠馬ー
「くそっ!」
茜のあとを追うー
莉々が「え!?あれって、茜ちゃんだよね?」
と、首を傾げているー
「--アルカナの仕業だ!」
悠馬が叫ぶー
莉々は「ええっ!?」と困惑した様子ー。
茜を追跡するとー
茜の元におじさんがやってきたー
茜が甘えるようなしぐさをしてーー
おじさんと手をつなぎー
ラブホテルにー
「--茜えええええええええええ!!!!」
悠馬は叫んだー
茜とおじさんが振り返るー
おじさんが「誰だい?」と笑っているー
茜は「さぁ、知らない人ですぅ~♡」と
甘えるようにおじさんに
悠馬は必死に叫んだー。
”アルカナに何かされたのか!?”
とー。
だがー
茜は「わたしは、、このおじさんと寝たいの!」と
飢えた女の表情で叫ぶとー
悠馬を振り払ってー
そのままおじさんとーーーー
「茜!!茜!!!!」
悠馬はくそっ!と叫ぶー
まるでーーー
”洗脳”でもされたかのようだー
とー。
そんな悠馬の様子を見つめながらー
一緒についてきていた莉々が静かに微笑んだー。
”高校生が、イケないこと、してるんですけどぉ…”
莉々は、悠馬の妹・茜のことを、悠馬に気づかれないように
警察に通報すると、不気味な笑みを浮かべたー
・・・・・・・・・・・・
茜はーー警察に補導されたー
「ーわたしの身体をどうしようと、わたしの勝手でしょ!」
警察にも逆ギレする茜ー
両親は、茜の行為に泣きじゃくっているー。
父は、茜に思わずビンタしてしまったー
茜は、荒むー
家庭が、壊れていくー。
悠馬は、絶望したー
アルカナの占いが、”実現”してしまったー。
・・・・・・・・・・・・
「--ごめんね…」
彼女の由美奈が申し訳なさそうに言うー。
水曜日、悠馬が由美奈に助けを求めた際、
由美奈はバイトで返信が出来なかったのだと言うー。
「いや、由美奈のせいじゃないよ」
悠馬が言うー。
仮にあの時、由美奈に助けを求めたとしても
由美奈が到着する前に、茜はおじさんとホテルに入っただろうし、
どうすることもできなかったー
「---俺は…」
悠馬が呟くー
由美奈が悠馬を見つめるー
「俺は、アルカナを絶対に許さないー」
悠馬はそう呟くと、怒りを込めて、壁を叩いたー
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・
コメント
占い師・アルカナの目的とは…?
続きはまた次回デス~!
基本的に長編と毎週1回のリメイク以外は
月またぎをしないように書いているので、
運命の支配者も、年内に完結予定になります~!