Home Artists Posts Import Register

Content

「アルカナ?何、そのうさん臭いの…」

妹の茜が、苦笑いしながら言うー。


悠馬は、クラスメイトの哲太の自殺に、

占い師・アルカナが絡んでいると思っているということ、

そして、今日、アルカナを問い詰めたところー


「---来週の水曜日ー

 君の妹さんが男に身体を売るだろうー。

 それを知って両親は泣くー

 妹さんは、その日を境に荒み、

 君の家族は、崩壊に向かっていくー」


と、アルカナから言われたことを、妹の茜に告げたー


「--は??あは、、あはははははははは」

茜が突然笑いだすー


悠馬が少し不安そうに唖然としていると

茜は、さぞ面白そうに、兄の悠馬のほうを見たー


「お兄ちゃん!その占い、100%、

 ううん、1万パーセント当たらないから大丈夫だよ!」

と、茜は笑いながら言うー。


「そ、そうだよな」

悠馬が少しだけ安心した様子で言う。


そうだー

妹の茜が男に身体を売るなんて絶対にありえないー。


「そうそう、だってさ、わたし、彼氏とかいないし、

 そもそも男子に興味ないし~!


 知ってるでしょ、わたし、恋愛よりスイーツ!

 花より団子だって!」


茜の言葉に、

悠馬は「もちろん知ってるよ」と苦笑いしながら

答えたー


「そのわたしが男子に身体を…なに、?うる?

 ぜ~ったいありえない!

 地球がひっくり返って四方八方に爆散するぐらいあり得ない!」


茜はとても面白そうにそう言うと、

堂々と宣言したー


「だから、その、胡散臭い占い師さんの占いは、ハズレー!」

茜の宣言に、

悠馬は、安堵の表情を浮かべて、

「茜なら、心配なさそうだな」と、微笑んだー。


茜と別れて部屋に向かう悠馬ー。


だがー

やはり、それでも不安があるー。


”もしー”

”もしも”

あのアルカナとやらが、ヤバい男を雇って茜を

襲わせでもしたらー?


哲太を殺したトリックがまだ分からないがー、

もしも哲太がやつに殺されたのであれば、

やはり、

あの占い師・アルカナは、茜に対して行った”占い”も

”実現”させようとしてくるだろうー。


”来週の水曜日ー”

悠馬はカレンダーを見つめたー。


「絶対に、阻止してやる」

悠馬は、決意の表情で、そう呟いたー


・・・・・・・・・・・・・・・


「--そんなことが」


翌日ー

彼女であり、幼馴染の由美奈が、

悠馬から、アルカナに妹のことまで予言されてしまったことを聞いて、

困惑した表情を浮かべたー


「……」

心配そうな表情の悠馬を見て、由美奈は、悠馬を元気づけようと

笑顔を作ると、「大丈夫だよ!茜ちゃん、そんなことするコじゃないでしょ!」と

悠馬の肩を叩いたー。


由美奈も、彼氏である悠馬の妹・茜のことを

とてもよく可愛がっていて、面識もあるー。


「--そ、そうだよな」

悠馬は、由美奈が元気づけようとしてくれていることを悟り、頷くー。


茜が、男に身体を売ったりするわけがないー。

そもそもー

”占い師・アルカナ”と茜は面識すらないー


仮にー

哲太が何かされていたのだとしても、

さすがに”一度も会ったことのない人間”に何かすることは不可能だろうー。


「---ありがとう。由美奈に話を聞いてもらえて

 少し楽になったよ」

悠馬がそう言うと、由美奈は「よかった」と笑顔を浮かべたー。


「あ、でも」

悠馬が声をあげるー。


「---…当日はさ」

悠馬が由美奈に耳打ちをしたー。


・・・・・・・・・・・・・・


水晶玉を手にする占い師・アルカナー。

アルカナは全身ローブのようなものを

その素顔は見えないー


アルカナはー

”一度”種”を植え付ければいつでもその相手を洗脳できる”

力を持っていたー

闇の世界から取り寄せた、水晶玉の力だ。


一度ー

相手の瞳を見つめてー”洗脳の種”を飢えておけば

水晶玉を通じて、いつでも”遠隔”で洗脳できるのだー


「--ーーー運命は、わたしのものー」

アルカナは水晶玉を手に、笑みを浮かべたー


・・・・・・・・・・・・・・・・


水曜日ー。


妹の茜が

兄・悠馬とは別の高校に登校するー。


悠馬はーーー

そんな茜を尾行していたー。


さすがに高校に入ることはできなかったが

高校周辺で待機する悠馬ー。


学校内で男に身体を売るようなことは

難しいだろうからー、

危ないとすれば下校中だー。


「---…」

悠馬は、妹の茜のいる教室が見える位置で待機しながら

”なんだかこれじゃ、不審者みたいだな”と苦笑いするー


今日は学校は”体調不良”で休んだー。

由美奈には、うまく口車を合わせてほしい、と先週、相談しておいたー。


「----」

悠馬は、占い師アルカナのことを思い出すー。


あんな得体の知れないやつに、妹を好きにはさせない。

悠馬はそう思いながら、妹・茜の様子に変化がないか、

茜のいる教室が見える位置で、ずっと待機をしていたー。


そしてー

放課後を迎えるー


茜が、友達と一緒に正門から出て来るー。

何も、異変は見受けられないー。


茜に、アルカナの話をしたのは先週のことー。

それ以降は特にアルカナの話題は妹との間には出ていない。


茜自身も、既にそんな話、忘れているかのような、素振りに見えるー。


「---ばいばい~!」

友達と手を振って別れる茜ー。


「------」

茜が、ビクッと一瞬震えた気がした-


「---」

悠馬は不安そうに茜を尾行するー


「え…?」

悠馬は首を傾げた。

茜がーーー

家とは別の方向に向かい始めているー。


「--ど、、どこに…?」

”ただの買い物かな…?”と思いつつも、

占い師・アルカナの占いが”今日”であることを

不安に思う悠馬ー。


アルカナの占いが”的中”するのであればー

今日、茜は男に身体を売りー、

そしてー”家庭の崩壊”が、はじまるー。


「-----」

茜が駅に入ると、コインロッカーから紙袋を取り出すー


茜がそれを見つめるー

表情に、笑顔はないー


”まさか、アルカナに脅されてーーー”


悠馬はそう思ったー


尾行をやめて、悠馬が飛び出すー。


「お、茜!」

まるで偶然であったかのように、高校の制服姿の悠馬が茜に手をあげるー


「----」

茜が虚ろな目で悠馬のほうを見たー


「---茜…それは?」

悠馬が不安に思いながら紙袋を指さす

茜はようやく口を開いたー


「--お兄ちゃんには、関係ない」

敵意をむき出しにする茜。


「--…茜!アルカナに脅されてるのか?」

悠馬は、単刀直入に気になっていることを茜に問いただすー。


駅のコインロッカーから荷物を取り出すなんて、

茜が普段、するような行為じゃない。

それに、今日、朝から下校するまでは”普通”に見えた。

少なくとも、コインロッカーの中の荷物は、

茜が入れたものではないと思うー。


「---うるさい!わたしの勝手でしょ」

茜が叫ぶー。


「--おい!茜!あいつに脅されてるんだったら、俺が

 必ず茜を守るから!」

悠馬が茜のほうをまっすぐ見つめるー


だが、茜は悠馬の手を


「---アルカナとか関係ないし。

 わたしは、わたしの意思で行動してるの。

 ほっといてよ」


茜はそれだけ言うと、紙袋を手に、

女子トイレに入って行ってしまったー。


「茜… くそっ!」

悠馬が戸惑うー


そして、すぐにスマホを手にしたー


”由美奈!

とー


占い師・アルカナの事情を知るのは、

由美奈しかいないー。

他にも頼れる友達はいるが、

事情を今から説明したのでは間に合わないー


茜の様子がやっぱりおかしいー。

自殺したー

いやー

”させられた”哲太と同じだ。

このままでは、大変なことになってしまう。


だがー

由美奈からの返事はなかったー。


「くそっ!まさか由美奈まで」


戸惑っているとー


「あーー!竜崎くんじゃん」

と、聞き覚えのある声が聞こえて来たー


「---う」

悠馬は、嫌な予感がしながら振り返るとー

中学時代から一緒の女子生徒・

静川 莉々(しずかわ りり)がいたー。


とても大人しそうな眼鏡女子なのだがー

見た目に反して性格は超がつくほどお調子者ー

そんな、不思議な女子ー


見た目と中身のギャップが激しすぎるのだー


「どしたの?地球が3秒後に爆発しちゃいそうな顔して!」

笑いながら近づいてくる莉々ー。


”そうだ”

悠馬は、思うー


悠馬は、莉々とも親しいー

勿論、浮気とかではなく、由美奈とも仲良しの”共通の友人”

ポジションとして、だー。


「--静川さん!ちょっと、助けてほしいことがあってー」

悠馬は、妹の茜が入っていった女子トイレから

茜が出てこないかを確認しながら、

アルカナのことを説明したー


「あはははははははは!なにそれ~!超うけるんだけど!?

 じゃあ、笠倉くんが自殺したのは、

 その占い師の仕業ってわけ~?」

莉々がげらげらと笑うー。


「--ま、まだ分からないケド、偶然すぎるだろ?

 占い師が予言した日に、あの哲太が自殺するなんて」


悠馬の言葉に、

莉々は「まぁ、そうかもね~」と

少し考えてから、頷いた。


「よし!特別にわたしが力を貸してあげよ~!」

とー。


「--ありがとう」

心強い味方を得た気分になった悠馬ー


とにかく、アルカナのことを知る”味方”を増やしてなんとかーー


「--!」

女子トイレからーー

まるでギャルのような恰好をした茜が出てきたー


「茜!?」

悠馬は戸惑うー。


茜がコインロッカーから取り出した紙袋に

服が入っていたのだろうー


茜は肩を出して、見えてしまいそうなほど短いミニスカートに着替えー

さらに、化粧もしているー


「---来週の水曜日ー

 君の妹さんが男に身体を売るだろうー。

 それを知って両親は泣くー

 妹さんは、その日を境に荒み、

 君の家族は、崩壊に向かっていくー」


「---」

占い師・アルカナの言葉を思い出す悠馬ー


「くそっ!」

茜のあとを追うー

莉々が「え!?あれって、茜ちゃんだよね?」

と、首を傾げているー


「--アルカナの仕業だ!」

悠馬が叫ぶー


莉々は「ええっ!?」と困惑した様子ー。


茜を追跡するとー

茜の元におじさんがやってきたー


茜が甘えるようなしぐさをしてーー

おじさんと手をつなぎー

ラブホテルにー


「--茜えええええええええええ!!!!」

悠馬は叫んだー


茜とおじさんが振り返るー


おじさんが「誰だい?」と笑っているー


茜は「さぁ、知らない人ですぅ~♡」と

甘えるようにおじさんに


悠馬は必死に叫んだー。


”アルカナに何かされたのか!?”

とー。


だがー

茜は「わたしは、、このおじさんと寝たいの!」と

飢えた女の表情で叫ぶとー

悠馬を振り払ってー

そのままおじさんとーーーー


「茜!!茜!!!!」

悠馬はくそっ!と叫ぶー


まるでーーー

”洗脳”でもされたかのようだー


とー。


そんな悠馬の様子を見つめながらー

一緒についてきていた莉々が静かに微笑んだー。


”高校生が、イケないこと、してるんですけどぉ…”

莉々は、悠馬の妹・茜のことを、悠馬に気づかれないように

警察に通報すると、不気味な笑みを浮かべたー


・・・・・・・・・・・・


茜はーー警察に補導されたー


「ーわたしの身体をどうしようと、わたしの勝手でしょ!」

警察にも逆ギレする茜ー


両親は、茜の行為に泣きじゃくっているー。


父は、茜に思わずビンタしてしまったー


茜は、荒むー


家庭が、壊れていくー。


悠馬は、絶望したー

アルカナの占いが、”実現”してしまったー。


・・・・・・・・・・・・


「--ごめんね…」

彼女の由美奈が申し訳なさそうに言うー。


水曜日、悠馬が由美奈に助けを求めた際、

由美奈はバイトで返信が出来なかったのだと言うー。


「いや、由美奈のせいじゃないよ」

悠馬が言うー。


仮にあの時、由美奈に助けを求めたとしても

由美奈が到着する前に、茜はおじさんとホテルに入っただろうし、

どうすることもできなかったー


「---俺は…」

悠馬が呟くー


由美奈が悠馬を見つめるー


「俺は、アルカナを絶対に許さないー」

悠馬はそう呟くと、怒りを込めて、壁を叩いたー



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・


コメント


占い師・アルカナの目的とは…?

続きはまた次回デス~!


基本的に長編と毎週1回のリメイク以外は

月またぎをしないように書いているので、

運命の支配者も、年内に完結予定になります~!

Files

Comments

No comments found for this post.