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”おはよう”


”ねぇ、寝てるの?”


”寂しいよぅ…”


”おはようってば!”


”さみしい…死んじゃう”


”リストカットしちゃおっかな~”


”義之に返事貰えないなんて、生きてる意味ないし”


「-----」

義之は、震えていたー


彼女の恵に、

親友の修から教えてもらった

”好き好き洗脳”を何度も何度もかけてしまったー。


その結果ー

恵は、頻繁にLINEを送って来るようになったー。

”愛”が溢れてー

狂ってしまったかのようにー


”今起きた!落ち着けって”

義之は、そう返事を送るー


すると、

恵は嬉しそうに、数十秒と経たないうちに返事を送ってきたー


「----」


そして、またすぐにスマホの音が鳴り響くー。


今度は電話だー


高校へ行く準備をしないといけないのに、

恵からの連絡が”狂気的”なレベルにまで

送られてきて、義之は頭を抱えるー


”め、恵、学校で話そう!な?”

そう送ると、ようやく恵は、”じゃあ学校で”と

落ち着いてくれたー。


慌てて登校すると、義之は、親友の修の元に駆け寄るー


「た、、助けてくれ!」

とー。


「--なんだよ急に?」

修が、鼻で笑いながら義之のほうを見るー。


義之は、修に耳打ちするー。


「-す、、好き好き洗脳、いっぱい恵にかけちまって…

 恵からの連絡が、なりやまなくて…」


「おっはよ~~~!」

背後から声がしたー


恵だー。


修に耳打ちしていた義之が、ビクッとしながら恵のほうを見るー


恵はニコニコしながら、「義之~~~♡」と、

クラスメイトたちの前で義之に抱き着いたー。


「--うわっ!」

義之は慌てるー。


”みんなが見てるだろ!”と、

恵に呟くー


しかし、恵は笑うー


「だってわたし~!義之のこと大好きなんだもん!

 愛してる!!絶対離さないもん!」

大声で叫ぶ恵ー


義之に抱き着いたままの恵を見て、

クラスメイトたちはざわついているー

中には冷やかす男子も出てきているー


「---ははは」

修が、少し離れた場所から笑っているー


義之がそれを見て、たまらず叫んだ。

「お、おおおぃぃ!修!助けて!助けてくれ~!」

とー。


修が笑うとー

「--僕は知らないね」と、笑みを浮かべながら目を逸らしたー。


”くそっ!あいつ、面白がってやがる”

そんな風に思いながら恵に、「授業が始まっちゃうから、一度離れてくれ!」と

言うと、恵は目を輝かせながら「うん!義之が言うならそうする~!」と呟いたー。


なんとか恵を引きはがす義之ー。


やっとの思いで自分の机に移動するも、

義之が視線を感じて振り返ると、

恵は義之のほうを顔を赤らめながら見つめていたー


「--好き!だいすき!♡」

平気で大声でそう叫ぶ恵。


周囲がひゅーひゅー!などと、茶化しているが

もはやそんな場合でもなかったー


”やべぇ…”

義之は、教科書を用意しながら、呟くー。


”好き好き洗脳…やばすぎる”


恵の”好き”が度を超してしまっているー。

まさかここまで効き目が強いなんてー。


もはや、恵の姿をした別人のようにすら思えてきてしまうー。

大人しく、どこか儚げで、クールな一面もあった恵が

好きだった義之ー。


今、こうして、恵が別人のように変わってしまったのを見て

義之は心を痛めていたー。


「---あ、丸岡くん」

隣の座席の女子が、義之に声を掛けて来るー。


「---教科書忘れちゃったんだけど、見せてくれないかな?」

申し訳なさそうに言う女子ー


「--ん?あぁ、いいよ。じゃあこんな感じで」

隣の女子からも見える位置に教科書を置くと、義之は

少しその女子と雑談をしたー。


「---!」

恵がその様子を見ていたー


「---よ、、、義之に近づかないで!」

大声で叫ぶ恵ー


「-!?」

義之と、隣の座席の女子が振り返るー


「わたしの義之を取らないで!

 泥棒猫!」

そう叫ぶと、恵は義之の方に近づいてきて、

義之に突然キスをしたー


「わたし以外の女としゃべったら、許さない!」

キスしながらそう呟く恵ー


周囲がさっき以上にどよめいているー

突然教室で大胆なキスを始めたのだから、当然かもしれないー


義之は慌てて恵を引きはかすと

「お、落ち着け!」と叫ぶー。


「-落ち着かない!わたし、義之のこと好きで好きでたまらないの!」

恵が叫ぶー

もはや、周囲のことなど、見えていないー


「--落ち着けってば!」

義之が声を荒げるー


「--義之の愛が足りないよぉ…義之…!」

恵が目に涙を浮かべて、義之に抱き着こうとするー


「やめろって!」

義之が、慌てて恵から距離を取るー。


そこに、1時間目の授業・数学の先生がやってくるー


恵は泣きながら、自分の座席に戻っていくー

義之は、そんな恵の豹変ぶりに、もはや狂気しか感じなくなっていたー。


・・・・・・・・・・・・・・・


放課後ー


恵から逃げるようにして、足早に帰宅すると、

恵が、義之の家の前で待っていたー


「--ひっ!?」

義之が思わず声をあげてしまうー。


「--義之~!エッチしよっ♡」

恵が嬉しそうに言う。


「ばっ、、ばかっ!」

顔を真っ赤にしながら周囲を見渡す義之ー。


「--き、今日は親もいるから、無理だし、

 恵のお父さんお母さんも心配するから、

 早く帰った方がいいよ」

義之がそう言うと、

恵は「やだ!」と叫ぶー


「今日は義之にフェラするまで、帰らないもん!」

とー。


「-おい!」


たまたま通りがかった近所のおばさんのほうを見ながら

義之は恵に向って叫ぶー。


「義之の口に咥えて…んふっ…んふふふふふふふ♡」

恵が顔を真っ赤にして、嬉しそうにしているー


「--頼む!頼む!帰ってくれ!今日は」

義之が叫ぶー。


「--やだもん!!義之と愛し合うの!」

恵が叫ぶー。


「---お、、俺のこと好きなら、俺の言うことを聞いてくれ!」

義之がさらに叫ぶー。


「やだ!やだやだやだやだ!!!義之とエッチなことしたい!!!

 しなきゃ帰らない!死んじゃう!!」

大声で叫ぶ恵ー


近所の通行人が、何人か集まっているー


(おいおい、まじかよ…頼むよ、やめてくれよ)


義之はパニックになってきていたー


恵が泣き出すー


「義之がわたしを愛してくれないよぉぉぉぉ

 こんなにわたし、義之が大好きなのに、愛してるのにぃぃぃ」


「--あああああ」

義之は頭を抱えた挙句ー


”やってしまった”


両手で♡マークを作って

「好き 好き」と叫ぶー


「--頼む!帰ってくれ!”大好きな彼氏”からのお願いだー」


好き好き洗脳を使って

なんとかお願いを

好き 好きを連射する義之ー


やがて、泣いていた恵がビクン、ビクンと震えると、

急に泣き止んで「--わかった。帰るね」と、ほほ笑んだー。


「--はぁ…はぁ」

義之が、へなへなと玄関の前に座り込むと、

集まってしまった近所の人間数人に

「お騒がせしました…」と頭を下げたー


疲れた様子で自宅の部屋に戻るとー

義之はLINEを見つめたー


恵からのLINEは特に届いていないー


「はぁ…はぁ…」

義之は”とんでもない洗脳だ”と思いつつ、

自分の無計画さと、

修の説明不足を呪ったー。


”好き好き洗脳”を1回かけた時点で止めておけばよかった。

1回かけた状態のときは、程よいカップルと言う感じで、

こんな狂気的なことにはなってなかった。

無計画に2回、3回と何度も”好き好き洗脳”をかけてしまったことによって

好きの気持ちが溢れて、恵は狂ってしまったー。


修も修だー

”好き好き洗脳”に関する説明が壊滅的に不足していたー。

そもそも修がちゃんと好き好き洗脳の注意点を説明さえ

してくれていれば、このようなことにならなかったはずだー。


でもー

修は悪くない。

俺が悪いんだ。

義之はそんな風に思いながら、くたびれた様子で

ベッドに寝転んだー


・・・・・・・・・・・・・・・・


「-------」


恵はーー

”帰宅”していなかったー


「-よしゆき よしゆき よしゆき よしゆき よしゆき

 よしゆき よしゆき よしゆき♡ んふ」


義之のことを考えるだけでアソコが濡れてしまうほどに

好きが爆発した恵はー

帰宅もせずに、義之の家の傍に隠れて、家の様子を見張っていたー


恵のスマホが鳴るー

恵が帰って来ないことを心配した恵の両親からだー。


だがー


「うるさい!わたしと義之の邪魔をするな!」と叫ぶと、

スマホを地面に叩きつけて黙らせたー。


玄関先でさらに好き好き洗脳をかけられてしまった恵は、

もう、義之以外、何も考えられなくなっていたー


そしてーーー


「---!」

恵が目を震わせたー


義之がリビングに降りてきてー

家族とー

母・父・妹と笑いながら晩御飯を食べ始めたー


「---よし…ゆき…

 わたし以外の女と…


 よしゆき…

 よしゆきはわたしのものよ!」


鬼のような形相で恵はその場から立ち去るー


そして、20分後ー


♪~~~


晩御飯中ー

インターホンが鳴るー


母親が「は~い」と言いながら

応答するー


「こんな時間、どうせ、セールスか何かだろ」

父親が呟くー


妹も笑っているー


「-あ、ちょっと待っててね~」

母親がそう言うと、玄関のほうに向かうー


”知り合いかな”などと義之は思いながらご飯を

食べながらー


ハッとしたー


”恵”


慌てて玄関の方に向かう義之ー


するとーーー

母親が、血まみれで玄関先に倒れていたー


玄関に立っていたのはー

恵ー


「義之を奪おうとする魔女…殺しちゃった♡」

恵が包丁を手に、笑みを浮かべているー


「め、、めぐ…え???う、、嘘だろ…!?」

義之が尻餅をついて震えるー


「いやあああああああああああああ!!!!」

異変に気付き、玄関にやってきた妹が叫ぶー


「---義之はわたしのものよ!!!」

恵が鬼のような形相で、義之の妹に突進していくー


夢のようー

義之は、あまりにも現実離れした恐ろしい光景をー

現実と思うことができなくなってしまったー


放心状態の義之ー


「わたしが、義之を愛してるの!」と叫びながらー

恵が、義之の妹を無残な姿に変えていくー


父親が、恵に襲い掛かるー。

しかし、その父ですら、狂った恵に返り討ちにされてしまいー


あっという間に、義之の家族は、

この世からいなくなってしまったー


震える義之ー

恵が血まみれの包丁を手に近づいてくるー


「わたし…義之とひとつになりたい♡」

甘い声を出す恵ー


「----ひ、、、や、、やめろ…」

義之が泣きながら言うー


もう、プライドも何もなかったー


あまりの恐怖にお漏らししながらー

義之は、土下座して、恵に命乞いをするー


「-わたし、、義之とひとつになりたいだけだよ…?

 愛してる!!わたし、あなたを愛してる!!

 あなたを殺して、わたしも死んで、ひとつになる!!!」


恵が笑いながら叫ぶー


「やめて…助けて!」

義之が泣きながら、土下座するー


しかしー


「-泣いてる義之、かわいい…♡」

興奮した様子で、恵が義之を刺したー


悲鳴を上げる義之ー

咄嗟に、好き好き洗脳を恵にかけるー


だが、それは状況を悪化させるだけでー

意味はなかったー


動かなくなった義之の身体から、

血をおいしそうに吸う恵ー

義之の身体を舐めまわすと、

「わたしたち、合体するの♡」と呟いてからー

恵は持っていた包丁で、自分の首を切ったー


・・・・・・・・・・・


義之と恵が死んだー


翌日の学校で、その知らせを受けた修は、呟くー


「あ~~~~…せっかく”気の合う親友”だったのに」

修は呟くー


修は変わり者で、そこまで友達はいないー


だからー

高校入学後すぐに”好き好き洗脳”を1回だけ使いー

ひとり、親友を作ったー


それが”義之”


「ま、いっか…

 またひとり、親友でも作ろうかな」


修はそう呟くと、

クラスメイトの男子一人に向かって

こっそりハートマークを作って

”好き好き”と呟いたー



おわり


・・・・・・・・・・・


コメント


破滅するほどの愛…

恐ろしい結末になってしまいました~…!


第1話の時点では、わざと明るい感じの話になりそうな雰囲気で

書いていましたが、

実際はこんなダークなお話でした☆!


今日もお読み下さりありがとうございました~!

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