<入れ替わり>あなたはわたしを見下している②~ゆがみ~ (Pixiv Fanbox)
Content
容姿のことでいじめを受け続けてきた
風原 紀子は、笑みを浮かべていたー
「わたしは、もう誰にもいじめられないー」
紀子はー
手に入れたー
”美貌”をー。
女子トイレの鏡の前でー
不気味な笑みを浮かべるのはー
生徒会副会長の上梨 雫ー。
入れ替わり薬ー
それを使い”ゾンビ”などといじめを受けてきた紀子は、
クラス一の美少女で、誰にでも優しく、明るく、友達も多い
”自分とは正反対”の雫の身体を奪ったー
「わたしはもうゾンビじゃないー」
雫(紀子)は、表情を歪めながらクスッと笑うー。
雫が、絶対に浮かべることのない悪い笑みー
「わたしは、上梨 雫ー
かわいいかわいい…上梨 雫…
うふ…うふふふふふっ!あはははははははっ♡」
狂ったように笑いながらトイレから出る雫(紀子)-
トイレから出るとー
紀子の身体になった雫が、悲しそうな表情で目の前に立っていたー。
「---紀子ちゃん…どうして?」
悲しそうな表情を浮かべる紀子(雫)ー
雫は、心から、いじめを受けている紀子のことを助けたいと思っていたし、
心から、大切な友達だと思っていたー
それなのにー
「--ふふ、ブッサ」
雫(紀子)が、馬鹿にするような笑みを浮かべるー。
自分の身体を躊躇なく”ブス”と言い放つ雫になった紀子ー
「---……そんなこと言わないで」
紀子(雫)が、ものすごく悲しそうな顔で言う。
「だって、本当のことじゃない」
雫(紀子)が笑うー
さっきまで自分の身体だった紀子の身体を見て、
完全にバカにしたような笑みを浮かべるー
「--そんなこと、言っちゃだめ!」
紀子(雫)が目に涙を浮かべるー
「--自分の身体でしょ!?
どうしてそんな、、そんなことが言えるの!?」
心底悲しそうに、紀子になった雫が言うと、
「--もうわたしじゃない!そんなゾンビみたいな身体いらない!」と、
雫になった紀子が叫んだー。
「--ーーねぇ、紀子ちゃん!お願いだから落ち着いて!
わたしは、あなたのこと、見下したことなんてないし、
あなたのこと、本気で友達だって、、、」
紀子(雫)の言葉に、
雫(紀子)は「ブス」と冷たく言い放ったー
優しい顔立ちの雫のから投げかけられる
冷たい言葉ー
「---紀子ちゃん…」
紀子(雫)は、泣きそうになりながら
雫(紀子)の方を見るー
「--ブス!ブス!ブーーース!!!!」
感情的になって叫ぶ雫(紀子)
自分の身体に対して、まるで容赦のない言葉ー
「--ひ、、、ひどい…
ひどい…
この身体…紀子ちゃんの身体なんだよ!?!?
どうしてそんなことが言えるの!?」
紀子(雫)は、いろいろな意味で心を痛めるー
紀子はーー
こんなにも、”歪んで”しまっていたのか、とー
過酷ないじめを受け続けるうちに、
紀子の人格は、歪んでしまったー。
雫の想像以上にー。
「ーーー」
ニヤニヤしながら、紀子になった雫を無視して
教室に向かおうとする雫(紀子)
「--紀子ちゃん!」
紀子(雫)が背後から叫ぶー
「----」
雫(紀子)は立ち止まって振り返ると、
笑みを浮かべたー
「--あんたみたいなブスが、
わたしに気安く話しかけないでくれるかしら?」
そう、呟きながらー
紀子(雫)は、思わず涙を流してしまうー
「--自分のこと、、、そんな風に言うなんて…」
「---わたしは雫。あんたはーー紀子。
今までわたしがどれだけつらい思いをしてきたか…
思い知れ!この偽善者!」
雫になった紀子は、そう言い放つー。
”偽善者”
紀子になった雫の心を、
抉る、残酷な言葉ー
「わたしは…本当に…紀子ちゃんのことをー」
紀子(雫)が泣き崩れるー。
雫(紀子)は、その姿を見つめると、満足そうに
自分の教室へと戻っていったー。
5時間目の授業を受けるためにー。
いじめ男子のリーダー各・平八ー
クラスのおしゃれ女子・千代ー
その二人の方を見つめると、雫(紀子)はクスクスと笑うー
この美貌ー
この頭脳ー
この人気ー
全部を利用して、お前たちを地獄に落としてやるー
そう思いながら、悪魔のような笑みを浮かべる雫(紀子)
遅れて教室に戻ってきた紀子(雫)は、
”入れ替わり”のことを、誰にも口にしなかったー
ただ、悲しそうに雫(紀子)の方を見つめているー
”なに、憐みのつもり?”
雫(紀子)は激しい怒りを感じたー
”入れ替えられちゃった!助けて!って言えよ!?”
雫(紀子)はイライラしながら、自分の座席で貧乏ゆすりを始めるー。
紀子(雫)は、なおも悲しそうに雫(紀子)の方を見つめているー
「--そうやって…いつもわたしを見下して」
歯ぎしりすると、机を叩いて雫(紀子)が立ち上がるー
「ねぇ!さっきからずーっと、わたしのこと見つめてるけど、何なの?」
雫(紀子)が苛立ちを隠そうともせずに言うー
いじめの中心的人物の平八や千代も驚いて振り返るー
「---何か用があるなら、言ってごらんなさいよ」
雫(紀子)が高飛車な雰囲気で、紀子(雫)に言うー
紀子(雫)は「…言わなくても、分かるでしょ」と悲しそうに言うー
あくまで”入れ替わり”のことをみんなには言わないつもりのようだー。
この後に及んで、紀子のため、とか、そんな風に思ってるのかもしれないー
「-----…何その態度」
雫(紀子)はイライラしながら、言葉を口にするー
「--ほらほら!上梨さん怒らせるとか、最低だぞ~!ゾンビ!」
生徒会書記でもある平八が笑いながら近づいてくるー。
平八は密かに副会長でもある雫に好意も抱いているー。
しかも、学校生活は真面目で、先生からの評判は、
困ったことに”良い”-。
「----……」
悲しそうな表情で紀子になった雫は平八の方を見つめるー。
「---そういうの…やめようよ!」
紀子(雫)が言うー
紀子に対するいじめをやめさせるには、ちょうどいい機会かもしれないー
いつも、強く言い返せずに委縮してしまう紀子ー
でも、今は違うー
紀子の身体になった自分が、強く言い返せばー
「--は~~?生意気なゾンビめ~!」
平八が笑いながら、紀子(雫)の机をドンドン叩き始めるー
我儘お嬢様の千代も近づいてきて、「ほんと、生意気ね!」と、
紀子(雫)の髪を引っ張り始めるー。
「--そんなことしたら痛いよ!同じクラスの仲間なのに、
なんでそんなことするの!?」
紀子(雫)は声を上げて反論したー
普段の紀子は、ここまで反論しないー
雫は、紀子の身体で、紀子へのいじめをやめさせよう、と
そう思ったー
だがー
みんなが言うことを聞いていたのはー
自分が”人気者の上梨 雫”だったからー
”紀子の身体の雫”の言葉はーー
届かない。
「--は~~~???今日はなんかうぜぇゾンビだな~!」
「--同じクラスの仲間~?調子乗るんじゃないわよ!」
千代が紀子(雫)をビンタするー
その様子を少し離れた場所から笑みを浮かべながら
見つめる雫(紀子)-
”どう?わたしが今までどんな思いをしてきたか、分かった?上梨さん
わたしのこと、見下して”いじめられてる子を助ける優しいわたし”に
酔ってたんでしょ???”
歪んだ考えで雫になった紀子はー
いじめを受けている紀子になった雫を見つめるー
雫は、本当に紀子のことを心配していたし、
本当に思いやっていたー
けれど、いじめで歪んでしまっていた紀子には
そんな雫の思いは、”ちゃんと”届いていなかったー
歪んだ形で解釈しー
憎しみを増幅させていたー
「---やめてよ!ねぇってば!」
紀子(雫)が声をあげればあげるほどー
平八と千代はエスカレートしていくー
「--ふふふふふふふ」
座席に戻った雫(紀子)は身体を震わせながら笑みを浮かべるー
わたしは人気者の上梨雫ー
あんたは、ゾンビー。
「---くくくくくく…ふふふふふふふふふ」
小声で身体を震わせながら笑い続ける雫(紀子)-
あなたみたいな、苦労もしてこなかった良い子ちゃんにはー
わたしの気持ちなんて、分からないー
・・・・・・・・・・・・・・・
家に帰宅すると、
暖かい家族が雫(紀子)を出迎えたー
恵まれた家庭ー
雫の家族と適当に言葉を交わすと、
雫(紀子)は自分の部屋に入っていくー
「----かわいい……ふふふ…かわいすぎるでしょ…”わたし”」
笑みを浮かべる雫(紀子)-
わたしは可愛くなったー
もう、ゾンビなんかじゃないー
鏡の前でポーズを決めて、雫(紀子)は笑みを浮かべるー
「--わたし、、かわいい…ふふふふ…
かわいい…可愛すぎる…!!!
ふふ、、、綺麗なわたし…!うふふふふふふふふふ」
雫(紀子)は、歪んだ笑みを浮かべてー
ひとり、自分の美貌に酔い始めたー
・・・・・・・・・・・・・
紀子(雫)が帰宅するー
紀子の家族中は悪いー。
冷え切った家庭ー
「---紀子ちゃん」
紀子(雫)は、悲しそうな表情を浮かべるー
自分はーー
紀子ちゃんのことを、理解してあげられてなかったのかもしれないー
そんな罪悪感に襲われる。
助けてあげたい!という気持ちは本気だし、
本気で、心配していたー
でもー
その気持ちは届かなかったー
”---さよなら”
”あの時”のことを思い出すー
雫が、高校で初めて知り合った紀子に手を差し伸べ続けていたのはー
”あの時”のことがあるからー
もう、あんな思い、したくないからー
そう、なってほしくないからー。
「---紀子ちゃんの言う通り…
わたしは…偽善者だったのかな…」
部屋に戻った紀子(雫)は悲しそうに呟くー
「------」
目から涙があふれだすー。
もちろん、入れ替えられてしまったことに対する
ショックもあるー
でも、それ以上に、紀子からは、自分は何とも思われていなかったことー
”偽善者”と思われていたことー
そしてーーー
何よりー
「ブス」
さっきまで自分の身体だった、この身体に、
雫になった紀子は、何の迷いもなくそう言い放ったことがー
雫にとっては、何より悲しかったー
「--自分のことをそんな風に言うなんて…
………そんな…悲しいこと、、言わないでよ…」
歪み切った紀子の心を思いー
紀子になった雫は、涙を流し続けたー
・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
「--それでさ~~~!そう、マジでかわいいよね~!
あ、そうだ、上梨さんも今度いっしょに見に行く?
もっともっと攻めれば、超かわいくなるよ絶対!」
我儘お嬢様の千代が、雫(紀子)にそう話しかけているー
「え~~~!ホントに~~?きゃ~~!かわいい!」
千代が見せてきた何かの雑誌を見ながら、雫(紀子)が
嬉しそうに笑うー
夢にまで見た”おしゃれ”
自分がおしゃれをすれば、
”自分の姿を鏡で見てみろよ”などと笑われるー
でも、今は違うー
今の自分はかわいいー。
「--わたし、もっと可愛くなれるかな?」
雫(紀子)が千代に聞くー
「ふふ、どうしたの今日は?妙に自信満々じゃないー。
上梨さんなら、もっともっと可愛くなれるに決まってるでしょ」
千代の言葉に、雫(紀子)はゾクゾクしながら、喜びをかみしめるー
座席に戻ると、平八が顔を赤らめながら、近づいてくるー。
生徒会関係の話ー
でも、雫(紀子)には分かるー
”こいつ、わたしのこと、好きなのね?ふふ”
”愉悦”-。
他人から好かれることにも快感を感じながら
平八と話をする雫(紀子)
入れ替わってー
”自分を見下していた”雫の身体を奪いー
その身体で平八と千代にも復讐するー
そう思っていたー
でもー
”---楽しい…最高!!!”
そんな、復讐心は、もはや消えていたー
この身体ならー
”かわいいわたし”ならー
千代も平八も仲良くしてくれるー
そうーーー
わたしはかわいいんだもん!
雫(紀子)は笑みを浮かべながら
紀子(雫)の方を見たー
「---あ!ゾンビちゃん!おっはよ~♡」
雫(紀子)が声を上げるー
自分も”いじめ”に加担したーーー
この日ー
雫になった紀子はー
”元・自分”をいじめはじめたのだったー
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・
コメント
歪んだドロドロとした入れ替わりデス!
続きもドロドロ…!
ぜひお楽しみくださいネ~!
今日もありがとうございました!