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李緒は事務所に連れてこられた。


「--ちょっと~?なんなのぉ~?」

李緒が口にするとは思えない口調と悪態をつきながらも、

李緒に憑依している昭二は戸惑っていた。


何故、ばれたのか、とー。


長かった髪を切り、

メガネをコンタクトレンズに変え、

メイクや化粧の雰囲気を替え、

ピアスをして、

ミニスカートに胸元を強調した服装…

完全に別人になりきったと思ったのに…


そんなに一発でばれてしまうものなのか。

李緒は、冷や汗をかいていたー。


「…李緒ちゃん、、これは一体…」

店長が一息つくと、そう口にしたー


だがー

李緒は腕と足を組み、偉そうに着席した。


ばれているはずがないー

こんなに別人みたいな姿をしている李緒を見て

一発で莉緒だと、確信をもって言い切れるはずなど、ない。


「……さっきから、李緒、李緒って

 何なんだよ

 あたしは李緒じゃねーよ!」


わざと低い声で言う。

そう、私は李緒なんかじゃない。

ここにいるのは別の人間なんだ。


李緒は、そう思いながら、

店長の方を見つめるー。


そうだー

ばれるはずがないー

わたしは李緒ではないと思い込むんだー。

正体がばれるのは、後々面倒なことになる。


「…あのさ…言いにくいんだけど

 俺も接客経験長いから、人覚えるの得意なんだよね…


 李緒ちゃんみたく少し変わっていても、

 すぐに分かるっていうか…」


店長は気まずそうに言う


「…ってかさ、どうしたの?」

店長は、困り果てているー


確実に”目の前にいる女は李緒だ”と

決めつけているー

いや、絶対の自信を持っている。

この様子だと、言い逃れするのは

非常に難しそうだ。


「真面目な李緒ちゃんがそんな格好してさ… 

 急にクレームつけたりして」

店長の表情には戸惑いや、焦りー

色々なものが浮かび上がっているのが分かる。


確かに、真面目な李緒がいきなりこんな風に

言いがかりのようなクレームをつけてきたら、

戸惑うかもしれない。


「…だから!

 李緒じゃねぇって言ってんだろ!」


李緒は低い声で、

相手を最大限ビビらせる雰囲気を作り、

店長の胸倉をつかんだ


「……」

だが店長は疑いの目を向けている。


…まずい!

”山村さんにこんな恥ずかしいことをさせ、

 屈辱的なことをさせていて…

 その上、首にでもなっちゃったら…”


人のことを乗っ取っておきながら、

昭二はそう思ったー


あくまでも”いつもと違う髪型”の李緒に興奮した昭二はー

その李緒を乗っ取って、別人のように変身して

クレームをつけたらどうなるのか、

それを知りたかっただけだ。


満足したら、李緒の身体は返すつもりだったし、

バイト先にも不満はないー

そして、何より、昭二自身が、まだまだ李緒と一緒に

仕事をしたい、という気持ちもあった。


だがーー

”山村さんにこんなことをさせている”

という、事実ー。


本人の意思とは関係なく、

こんなとんでもないことをさせている、

という事実に、

李緒を乗っ取っている昭二は、

この危機的状況でも、激しく興奮していたー


「----李緒ちゃん…こんなことされちゃうと、

 お店としては、ちょっと…」


李緒が首になってしまうー

李緒に憑依している昭二は、興奮とパニックに支配されてー

そしてー

自暴自棄な行動を思いつくー


「……そうだ」


李緒は突然、店長に口づけした。

そのまま店長を押し倒し、その状態で

激しく唇を重ね合わせた。


店長は、目の前にいるのが李緒であると

気付いているー。

こうなったらーー

”女”を武器にするしかないー。


「ちょ、、、ちょっ…」


「あはは!てーんちょー!

 わたしぃ~、店長のこと大好きなの!

 だから構ってほしくて!」


山村さんの声で色っぽく言うと、

そのまま店長の上で服を脱ぎ捨てて、

店長の服も脱がせにかかった。


店長だって男のはずだ!!

李緒のこの身体で店長を悩殺して、

なんとか丸く抑え込んでやる!


昭二は、自分が何をしているのかー

本来の目的すらも、忘れかけた状態で、

ただただ快感に支配さて、店長に激しく身体を押し付けるー


「や・・・やめ…」

店長はそう言いながらもーー

李緒を受け入れたー


”山村さんが首にならないためには

これしかない!”


”これが女の快感…”


李緒を乗っ取っている昭二は、

色々な考えが頭の中でごっちゃごちゃに

なりながら、

他人の身体で

勝手に快感を味わっていた


「んっふ…ふぅ…あぁあああぁぁあっ、イイ!気持ちイイ♡♡」


李緒の喘ぎ声が事務所に響き渡る。


あまりの気持ちよさに、

昭二はもはや、自分の目的を完全に見失っていたー


李緒の理性が吹き飛んでしまいそうなほどにー

李緒の喉がはち切れてしまいそうなほどに

激しい喘ぎ声を出しながらー


二人はーーー

完全にイッてしまった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


その後ー

昭二は、李緒を解放したー


いやー

李緒がイッた瞬間に、

あまりの衝撃で、霊体ごと弾き飛ばされてしまったのだー。


気が付くと、事務所の宙に

霊体の状態で浮かんでいた昭二ー

李緒は、意識を取り戻すと、ひどく混乱していた。


短くなった髪を見てパニックを起こし、

変わり果てた自分の姿を見て、李緒は

泣き出してしまったー


そして、店長に襲われたと勘違いして

泣きながら李緒は、周囲に助けを求めたー


「ごめんー」

昭二はそう呟き、自分の家へと戻り、自分の体に戻った


・・・・・・・・


「……でも気持ちよかったな」

昭二はあの日の店長との行為の快感が忘れられなくなってしまった。


もう憑依する手段はない。

また、憑依錠を買おうと思ったが、そのサイトは閉鎖されていたーー


李緒は、憑依されたことを知らない。

自分の変わりようには、驚いているだろうが、

それでも、昭二がやったことだということには

気付かないだろうー。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


翌日。

バイトの時間。


今日は、何事もなければ、

李緒がバイト先に来ているはずの日ー


だが、あんなことがあったから、

李緒は来ていないかもしれないー。


そう、思っていたのだがー

李緒は、店内にいたー。


耳のピアスは外され、

髪の色も黒髪に戻ってはいるが、

髪の長さやピアスの跡などが残っているー


「おはようございます」

何事もなかったかのように、昭二が挨拶をすると、


「……おはようございます…」

李緒は、元気なく答えた。


すっかり生気が無くなってしまっている


「……だ、、、大丈夫?」

昭二が心配して聞く。

自分には後ろめたさがある。


「……店長から………事務所で迫られて…」

李緒が涙ぐむ。


「怖い…私・・・怖いです」

李緒の涙ぐむ顔を見て、

昭二は初めて自分のしたことを後悔した。


昭二はー

李緒のことが好きだったー

その、好きな相手である李緒が、

まるで別人のように、落ち込んでしまっているー。


ふさぎ込んでしまっている李緒ー

もう、そこに、彼女の笑顔はなかったー


「----」

昭二は、李緒と顔を合わせることができなくなったー


”でも…やっぱり、謝らないと”

昭二は、数日間考え込んで、

憑依のことを打ち明けようとしたー


だがー

李緒は、落ち込んだままバイトを辞めてしまったー。

昭二が、謝ることもできないまま-


さらに、

店長はバイトに手を出したと噂になり、直営店の

コンビニだったため、どこかに飛ばされてしまったー


好きだったバイトの子。

そして信頼していた店長。


昭二は自分の欲望のために、

2つの大事なものを失ってしまったのだった。


喪失感。

そう、昭二は、一人で行為を行った直後の喪失感と

同じような感覚を味わっていた…。


⑤へ続く


・・・・・・・・・・・


コメント


原作当時はここで完結だったのですが、

後日談も、そのあと1話書いたので、

それも一緒にリメイクしていきます~!

と、いうことで次回が最終回デス!


今日もありがとうございました~!


※原作の1話あたりが短いので、100円プランでも

 読めるようにしてあります!

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