<入れ替わり>幻想の日常⑰~面影~ (Pixiv Fanbox)
Content
★あらすじ★
階段から転落した際に入れ替わってしまった
真司と愛梨。
真司になった愛梨は、
浅沼教授が何かを企んでいることを理解した上で
それでも、浅沼教授の力が必要である、と
浅沼教授と共に元に戻る方法を模索していくー。
その先に、待ち受けている未来は…
・・・・・・・・・
★主な登場人物★
橋口 真司
大学生。彼女と入れ替わってしまう。
川上 愛梨
真司の彼女。真司と入れ替わってしまう。
馬淵 香澄
同級生。愛梨の幼馴染で親友。
中条 東吾
同級生。真司・愛梨の共通の友人。
天童 麗
同級生。頼りになるお姉さん風の女性。
風間 龍平
同級生。嫌味なインテリ学生で、裏で悪さをしている
※登場人物詳細
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fanbox post: creator/29593080/post/1060230
・・・・・・・・・・・・
「--良い知らせがあるが、聞くかね?」
浅沼教授は、真司(愛梨)から話を聞き終えると、そう呟いたー
「---…良い知らせ…ですか?」
真司(愛梨)が言うと、浅沼教授は頷いた。
「--もう一度入れ替わりを発生させる方法だが、
大体見当はついた。
まだ時間はかかるが、そう遠くないうちに、
元に戻れるかもしれない」
相変わらず、感情を感じさせない喋り方をする
浅沼教授。
「ほ、本当ですか!?」
真司(愛梨)が嬉しそうに声を上げる。
「--あぁ。君たちの入れ替わった状況と
君の話を総合して、”もう一度その時の状況”を
疑似的に引き起こすことによって、
入れ替わりをもう一度引き起こす」
浅沼教授の部屋には、
手術台のような、不思議なものが置かれているー
「--まぁ、もう少し時間はかかるがね。
これからも、いろいろ調べさせてもらうよ」
「--ありがとうございます」
真司(愛梨)は明るい表情でそう答えたー。
真司が、姉・詩織の件を解決させて
学校に戻って来るまでにー
元に戻る方法を見つけておく約束ー
それを、果たせそうだと、真司(愛梨)は、
とても嬉しそうに、頭を下げて研究室から
出て行こうとするー
「--その歩き方は、やめた方がいいと思うがね」
浅沼教授は、立ち去っていく真司(愛梨)に声をかけたー
「え?」
真司(愛梨)が振り返ると、浅沼教授は無表情のまま呟いたー。
「---完全に、女子の歩き方だ」
とー。
「---あ、、あはは…!どうしても癖が出ちゃいますね」
真司(愛梨)はそう言うと、
もう一度頭を下げて、浅沼教授の研究室から
外に出たー。
「----ちょっと、いいかな」
ー!?
研究室の外で、愛梨の親友で幼馴染の
馬淵香澄が待ち構えていたー
「かす…!」
そこまで言いかけて、真司(愛梨)は口を止めるー
今は”香澄”って呼んじゃだめなんだったー!
「-かす、まぶ、まぶちさん!」
「--?」
香澄が表情を歪めるー。
だが、すぐに本題を切り出した。
「--話があるんだけど、聞いてもらえる?」
香澄の言葉に、真司(愛梨)は、戸惑いながらも頷いた。
・・・・・・・・・・・・・
「-----」
浅沼教授が、研究室で、
手術台のような台の近くに置かれた
コンピューターで、何かを入力しているー
もう一度、入れ替わりを疑似的に発生させるためにー
浅沼教授が用意したものー。
咳き込みながら、浅沼教授が装置を
満足そうに見つめるー
「---教授」
「--!」
背後からの声に、浅沼教授は少し驚いた様子で
振り返るー。
真司と愛梨の友人・東吾が、
浅沼教授の研究室の入り口から、
中にいる浅沼教授に声をかけたのだった。
「---中条くんか。何かね?」
浅沼教授が言う。
東吾は、まっすぐ浅沼教授を見つめながら、
口を開いたー
「--真司と愛梨のこと…
本当に助けてくれるんですか?」
その言葉に、浅沼教授は
東吾も事情を知る一人であることを悟る。
「---ー元に戻る方法を、探しているのは事実だ」
浅沼教授が、そう答えるー
東吾は、浅沼教授の方に近づいていくと、続けたー。
「--愛梨は、教授のことを半分疑いながらも
信じようとしています。
教授の力は本物だと。
元に戻るためには、教授の手助けが必要だと」
東吾の言葉に、
浅沼教授は「それは正しい判断だな」と頷く。
「---俺も…
愛梨の決めたことを信じたいし、
浅沼教授が、本当に二人を助けてくれると信じたいと思ってます」
東吾はそこまで言うと、
深呼吸してから続けたー
愛梨は、優しすぎるー。
真司が、学校に来ていない今、
”優しすぎる愛梨”の、”足りない部分”は、
自分が、補ってあげなくてはならないー
”友”としてー
東吾は、意を決して
浅沼教授を見つめて呟く。
「でもーー、でも、もしも、
あなたが、愛梨や真司を
傷つけるような真似をすることがあればーー」
東吾の言葉を、浅沼教授は動揺することなく、
無表情で聞いているー
「--俺は、あなたを許さないー
そして、二人を守るためなら、
俺は、何だってしますー」
東吾がまっすぐ浅沼教授を見つめるー
浅沼教授への”警告”-
何を企んでいるのかは、知らない。
でも、どうかー
どうか、真司と愛梨を傷めるようなことだけは
しないで欲しいー
という、”お願い”
愛梨は、こういうことはできない。
優しすぎるからー
だからー
自分が、代わりに、やるー。
「-----素晴らしい。」
浅沼教授はそう呟くと、
東吾に背を向けた。
そして、呟くー
「--もしも…
もしも”何かを奪わなければ”
自分の未来がないとすれば、
君は、どうするかね?」
背を向けたままの浅沼教授ー。
東吾は、迷うことなく答えたー
「ーー誰かの命や幸せを
奪うことでしか、自分の未来がないのならー
俺は、何も奪いません
絶対にー。」
一切の迷いもない東吾の言葉を聞いて
浅沼教授は静かに頷いた。
「そうか。」
それだけ言うと、
浅沼教授は続けたー。
「--君の言葉、覚えてはおこうー」
東吾は、浅沼教授が何を考えているのか
読み取れずに、困惑したー。
真司と愛梨を傷つけるつもりなのだろうかー。
東吾の必死の願いは届いたのだろうか。
だがー
今はこれ以上、浅沼教授から話を聞くことは
出来なさそうだ。
東吾は「二人を、よろしくお願いします」と
告げて、そのまま研究室を後にしたー。
愛梨の身に危険が及ぶようなことがあればー
絶対に、この身を盾にしてでも、浅沼教授を止めるー
・・・・・・・・・・・・
「----」
屋上にやってきた香澄と真司(愛梨)-
香澄は、屋上から見える景色を見つめているー。
真司(愛梨)は、香澄の後ろ姿を見ながら戸惑うー。
香澄は、小さいときからの幼馴染で、
愛梨にとって親友だー。
大学に入ってからも、それは変わりなかった。
けれどー真司と入れ替わって、
真司の身体になった愛梨は、
香澄が、真司に言い寄っていたこと、
そして真司に対して愛梨の悪口を言っていたことを知った。
”本当は嫌われていたの?”
そんな風にも思った。
でもー
そうでもなかった。
「---ごめん…忘れて…
ほんとは…愛梨のこと、うざいなんて思ってない…
でも…どうしても…
わたしは、やっと”見つけた”からー
どうしても、どうしても、橋口君に
振り返ってもらいたくてーー」
香澄は、この前、そう言っていた。
愛梨のことは嫌いではないー
真司に振り返ってもらうために、
そう言っていただけだと。
親友である愛梨から奪うことになってでも、
真司を振り向かせたいー。
香澄は、どうしてそこまで、真司に拘るのだろうー。
真司(愛梨)は、香澄の行動が読めず、
困惑していたー
「--………」
香澄がため息をついて、真司(愛梨)の方を見るー
「--」
真司(愛梨)は、香澄の言葉を待つー
「----橋口くん…
愛梨と別れて、わたしと付き合ってー」
香澄が、頭を下げるー。
「---え」
真司(愛梨)は戸惑う。
「---わたし、どうしても橋口くんと
一緒にいたい…」
香澄が、悲しそうに、嘆願するように
真司(愛梨)の方を見るー
そして、真司(愛梨)の手を掴むー
真司の身体がドキッとするー
「---」
真司になっている愛梨は
”この感覚”も、よくわからなかったー
どうして、香澄に手を掴まれたりすると
ドキドキするのだろうー。
「--ど、、ど、、どうして、そこまで…」
真司(愛梨)が言う-
香澄が真司にこだわる理由が分からないー
単純に好きだから?
それだけで、親友の彼氏を奪おうなんて、考える?
愛梨が、頭をフル回転させても、
香澄のことを理解することはできなかったー
「--……お願い…わたし…橋口くんといっしょに…!」
気付けば、香澄は目から涙を流していたー
”ふつう”じゃないー
何が香澄を、そこまでー
「--ちょ、、ちょ、おちついて!」
真司(愛梨)は、香澄を少し離すと、
「ーーどうして、そこまで俺のことを…?
理由を聞かせてくれよ」
と、呟いたー
”今のは真司っぽい!”と内心で思いながら
愛梨は、香澄の返事を待つー。
「----…」
香澄は、少し考えたあとに、答えたー。
「---橋口くん…わたしのおにいちゃんに、、
よく、似てるから…」
香澄がボロボロと涙を目からこぼしているー
「お兄ちゃんが…お兄ちゃんが、わたしの前に
戻ってきたような気がして…」
泣きじゃくる香澄ー
真司(愛梨)は戸惑うー
香澄には、兄がいた。
それは、幼馴染である愛梨も知っているし、
何度か、会ったこともあるー。
”何度か”程度で、愛梨は、その”お兄ちゃん”の顔を
よく覚えてはいない程度の間柄だったが、
確かに、香澄は、お兄ちゃんととても仲良しだった。
けれどー。
そのお兄ちゃんは”死んだ”-
愛梨と香澄が中学2年生の頃だっただろうか。
歳の差があった香澄の兄は、当時、大学生だった。
ちょうど、今の真司と同じぐらいの年齢ー。
香澄は当時、激しく落ち込み、
別人のようにふさぎ込んでしまっていたー。
今でこそ、立ち直ってはいるが、
周囲が心配になってしまうほどに、
酷い落ち込みようだったー
”香澄ー
必ず帰ってくるから、いい子にしてるんだぞ”
台風の日ー。
近所のおじいさんが、川辺で事故に巻き込まれたと聞いた
香澄の兄は、
助けに向かいー
そして、帰らぬ人になったのだった。
「--橋口くんを最初に見た時から
ずっとずっと、お兄ちゃんみたいな感じがして…」
香澄は涙目のままそう呟くー
屋上に差し込む夕日が、香澄と真司(愛梨)を照らすー。
「--最初は、気にしないようにしてたんだけど、
愛梨と、橋口くんが付き合いだしてからー
お兄ちゃんが、愛梨に奪われちゃうような気がして…」
香澄はそこまで言うと、真司(愛梨)の腕を掴んで
「お願い……行かないで…」と呟くー
真司(愛梨)は香澄の方を悲しそうな目で見つめるー
香澄はーー
未だーーー
立ち直れていないー
兄の死からー
ずっと、ずっと、兄の死に、囚われ続けているー
そのことを悟る真司(愛梨)
真司を”お兄ちゃん”と重ねてー
香澄は、お兄ちゃんが”また”自分から
離れて行ってしまうような錯覚を覚えー
真司に何度も何度も言い寄っていたー
「---お兄ちゃん……行かないで…」
泣いている親友を見つめてー
真司(愛梨)は悲しそうな目で
香澄を見つめると同時にー
”戸惑って”いたー。
もしもー
香澄に、真司を譲ればーー
香澄はーー
幸せになれるのだろうかー
優しすぎる愛梨は、一瞬、
そんな風に考えてしまうー
「--お、、、お、、俺は…
お兄ちゃんじゃないんだ…ごめんな」
真司(愛梨)はやっとの思いでそう呟くと、香澄の
返事を待たず、そのまま屋上から足早に立ち去って行ったー
・・・・・・・・・・・・
大学構内のベンチに座って
一人、夕日を見つめる真司(愛梨)
親友であり、幼馴染である
香澄には、笑っていて欲しいー
でもー
自分だって、真司のことは好きだし、
香澄のために真司を譲る、なんて
おかしなことだと言うのも分かっているー
自分とー
真司とー
香澄とー
”みんなが笑い合えるような未来”は、
ないのだろうかー。
そんな風に思いながらー
真司(愛梨)は、静かに立ち上がったー
・・・・・・・・・・・・・
「--おはようございます」
翌日ー
メイドカフェに出勤した愛梨(真司)-
姉・詩織をなんとか”銀狼”とやらの手から、解放したいー
「----おい」
「え?」
愛梨(真司)が振り向くと、
そこには、歯ぎしりしている国枝店長の姿があった。
「---!」
国枝店長は、愛梨(真司)の髪を思いっきり引っ張って、
もう片方の手で愛梨の胸を乱暴に揉み始めた。
「メイドの分際でさぁ、
銀次郎さんに、口ごたえするなんて、
俺の店をつぶす気かぁ!?」
国枝店長が、愛梨(真司)の胸を
激しくー
乱暴に揉み始めるー
「--で、、、でも、、、お店であんな乱暴を…」
愛梨(真司)が、あくまでも”愛梨”として
反論するー
しかしー
国枝店長が、愛梨(真司)を思いっきりビンタしたー
「--黙れぇ!メス豚!」
国枝店長の激しい罵声ー。
「--あぁぁぁ、もう、困っちゃうんだよなぁ。
俺、銀次郎さんにお世話になってるからさぁぁぁぁ」
国枝店長が叫ぶー
銀狼の息子ー
銀次郎にお世話になっているー?
国枝店長と”銀狼”の繋がりが分からないー
愛梨(真司)はそう思いながら国枝店長を睨むー
「--なんだぁ?その反抗的な目はー
お仕置きが必要だな。
今日、バイトが終わったら、
スーパー愛梨たんごっこ だ。
覚悟しておけよ」
国枝店長はそう言うと、愛梨(真司)を睨みながら
そのまま事務所奥の、店長の部屋へと入って行ったー
「---…」
愛梨(真司)は、”変態野郎が”と思いながら
店長の部屋を睨みつけたー
⑱へ続く
・・・・・・・・・・・・・・
コメント
終盤に向けて進行中デス~!
今日もありがとうございました~!