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★あらすじ★


階段から転落した際に入れ替わってしまった

真司と愛梨。


真司になった愛梨は、

浅沼教授が何かを企んでいることを理解した上で

それでも、浅沼教授の力が必要である、と

浅沼教授と共に元に戻る方法を模索していくー。


その先に、待ち受けている未来は…


・・・・・・・・・


★主な登場人物★


橋口 真司

大学生。彼女と入れ替わってしまう。


川上 愛梨

真司の彼女。真司と入れ替わってしまう。


馬淵 香澄

同級生。愛梨の幼馴染で親友。


中条 東吾

同級生。真司・愛梨の共通の友人。


天童 麗

同級生。頼りになるお姉さん風の女性。


風間 龍平

同級生。嫌味なインテリ学生で、裏で悪さをしている


※登場人物詳細

(↓に、¥300と出ていますが、このお話を読めている皆様は、既に

 プランご加入(ありがとうございます!)頂いているので

 お金がかかったりすることはありません!ご安心ください)

fanbox post: creator/29593080/post/1060230

・・・・・・・・・・・・


「--良い知らせがあるが、聞くかね?」

浅沼教授は、真司(愛梨)から話を聞き終えると、そう呟いたー


「---…良い知らせ…ですか?」

真司(愛梨)が言うと、浅沼教授は頷いた。


「--もう一度入れ替わりを発生させる方法だが、

 大体見当はついた。

 まだ時間はかかるが、そう遠くないうちに、

 元に戻れるかもしれない」


相変わらず、感情を感じさせない喋り方をする

浅沼教授。


「ほ、本当ですか!?」

真司(愛梨)が嬉しそうに声を上げる。


「--あぁ。君たちの入れ替わった状況と

 君の話を総合して、”もう一度その時の状況”を

 疑似的に引き起こすことによって、

 入れ替わりをもう一度引き起こす」


浅沼教授の部屋には、

手術台のような、不思議なものが置かれているー


「--まぁ、もう少し時間はかかるがね。

 これからも、いろいろ調べさせてもらうよ」


「--ありがとうございます」

真司(愛梨)は明るい表情でそう答えたー。


真司が、姉・詩織の件を解決させて

学校に戻って来るまでにー

元に戻る方法を見つけておく約束ー


それを、果たせそうだと、真司(愛梨)は、

とても嬉しそうに、頭を下げて研究室から

出て行こうとするー


「--その歩き方は、やめた方がいいと思うがね」

浅沼教授は、立ち去っていく真司(愛梨)に声をかけたー


「え?」

真司(愛梨)が振り返ると、浅沼教授は無表情のまま呟いたー。


「---完全に、女子の歩き方だ」

とー。


「---あ、、あはは…!どうしても癖が出ちゃいますね」

真司(愛梨)はそう言うと、

もう一度頭を下げて、浅沼教授の研究室から

外に出たー。


「----ちょっと、いいかな」


ー!?


研究室の外で、愛梨の親友で幼馴染の

馬淵香澄が待ち構えていたー


「かす…!」

そこまで言いかけて、真司(愛梨)は口を止めるー


今は”香澄”って呼んじゃだめなんだったー!


「-かす、まぶ、まぶちさん!」


「--?」

香澄が表情を歪めるー。


だが、すぐに本題を切り出した。


「--話があるんだけど、聞いてもらえる?」

香澄の言葉に、真司(愛梨)は、戸惑いながらも頷いた。


・・・・・・・・・・・・・


「-----」

浅沼教授が、研究室で、

手術台のような台の近くに置かれた

コンピューターで、何かを入力しているー


もう一度、入れ替わりを疑似的に発生させるためにー

浅沼教授が用意したものー。


咳き込みながら、浅沼教授が装置を

満足そうに見つめるー


「---教授」


「--!」

背後からの声に、浅沼教授は少し驚いた様子で

振り返るー。


真司と愛梨の友人・東吾が、

浅沼教授の研究室の入り口から、

中にいる浅沼教授に声をかけたのだった。


「---中条くんか。何かね?」

浅沼教授が言う。


東吾は、まっすぐ浅沼教授を見つめながら、

口を開いたー


「--真司と愛梨のこと…

 本当に助けてくれるんですか?」


その言葉に、浅沼教授は

東吾も事情を知る一人であることを悟る。


「---ー元に戻る方法を、探しているのは事実だ」

浅沼教授が、そう答えるー


東吾は、浅沼教授の方に近づいていくと、続けたー。


「--愛梨は、教授のことを半分疑いながらも

 信じようとしています。

 教授の力は本物だと。

 元に戻るためには、教授の手助けが必要だと」


東吾の言葉に、

浅沼教授は「それは正しい判断だな」と頷く。


「---俺も…

 愛梨の決めたことを信じたいし、

 浅沼教授が、本当に二人を助けてくれると信じたいと思ってます」


東吾はそこまで言うと、

深呼吸してから続けたー


愛梨は、優しすぎるー。

真司が、学校に来ていない今、

”優しすぎる愛梨”の、”足りない部分”は、

自分が、補ってあげなくてはならないー


”友”としてー


東吾は、意を決して

浅沼教授を見つめて呟く。


「でもーー、でも、もしも、

 あなたが、愛梨や真司を

 傷つけるような真似をすることがあればーー」


東吾の言葉を、浅沼教授は動揺することなく、

無表情で聞いているー


「--俺は、あなたを許さないー

 そして、二人を守るためなら、

 俺は、何だってしますー」


東吾がまっすぐ浅沼教授を見つめるー


浅沼教授への”警告”-


何を企んでいるのかは、知らない。

でも、どうかー

どうか、真司と愛梨を傷めるようなことだけは

しないで欲しいー

という、”お願い”


愛梨は、こういうことはできない。

優しすぎるからー


だからー

自分が、代わりに、やるー。


「-----素晴らしい。」


浅沼教授はそう呟くと、

東吾に背を向けた。


そして、呟くー


「--もしも…

 もしも”何かを奪わなければ”

 自分の未来がないとすれば、

 君は、どうするかね?」


背を向けたままの浅沼教授ー。


東吾は、迷うことなく答えたー


「ーー誰かの命や幸せを

 奪うことでしか、自分の未来がないのならー

 俺は、何も奪いません

 絶対にー。」


一切の迷いもない東吾の言葉を聞いて

浅沼教授は静かに頷いた。


「そうか。」


それだけ言うと、

浅沼教授は続けたー。


「--君の言葉、覚えてはおこうー」


東吾は、浅沼教授が何を考えているのか

読み取れずに、困惑したー。

真司と愛梨を傷つけるつもりなのだろうかー。

東吾の必死の願いは届いたのだろうか。


だがー

今はこれ以上、浅沼教授から話を聞くことは

出来なさそうだ。


東吾は「二人を、よろしくお願いします」と

告げて、そのまま研究室を後にしたー。


愛梨の身に危険が及ぶようなことがあればー

絶対に、この身を盾にしてでも、浅沼教授を止めるー


・・・・・・・・・・・・


「----」


屋上にやってきた香澄と真司(愛梨)-


香澄は、屋上から見える景色を見つめているー。


真司(愛梨)は、香澄の後ろ姿を見ながら戸惑うー。


香澄は、小さいときからの幼馴染で、

愛梨にとって親友だー。

大学に入ってからも、それは変わりなかった。


けれどー真司と入れ替わって、

真司の身体になった愛梨は、

香澄が、真司に言い寄っていたこと、

そして真司に対して愛梨の悪口を言っていたことを知った。


”本当は嫌われていたの?”

そんな風にも思った。


でもー

そうでもなかった。


「---ごめん…忘れて…

 ほんとは…愛梨のこと、うざいなんて思ってない…

 でも…どうしても…

 わたしは、やっと”見つけた”からー

 どうしても、どうしても、橋口君に

 振り返ってもらいたくてーー」


香澄は、この前、そう言っていた。


愛梨のことは嫌いではないー

真司に振り返ってもらうために、

そう言っていただけだと。


親友である愛梨から奪うことになってでも、

真司を振り向かせたいー。


香澄は、どうしてそこまで、真司に拘るのだろうー。


真司(愛梨)は、香澄の行動が読めず、

困惑していたー


「--………」

香澄がため息をついて、真司(愛梨)の方を見るー


「--」

真司(愛梨)は、香澄の言葉を待つー


「----橋口くん…

 愛梨と別れて、わたしと付き合ってー」

香澄が、頭を下げるー。


「---え」

真司(愛梨)は戸惑う。


「---わたし、どうしても橋口くんと

 一緒にいたい…」

香澄が、悲しそうに、嘆願するように

真司(愛梨)の方を見るー


そして、真司(愛梨)の手を掴むー

真司の身体がドキッとするー


「---」

真司になっている愛梨は

”この感覚”も、よくわからなかったー


どうして、香澄に手を掴まれたりすると

ドキドキするのだろうー。


「--ど、、ど、、どうして、そこまで…」

真司(愛梨)が言う-


香澄が真司にこだわる理由が分からないー

単純に好きだから?

それだけで、親友の彼氏を奪おうなんて、考える?


愛梨が、頭をフル回転させても、

香澄のことを理解することはできなかったー


「--……お願い…わたし…橋口くんといっしょに…!」

気付けば、香澄は目から涙を流していたー


”ふつう”じゃないー

何が香澄を、そこまでー


「--ちょ、、ちょ、おちついて!」

真司(愛梨)は、香澄を少し離すと、

「ーーどうして、そこまで俺のことを…?

 理由を聞かせてくれよ」

と、呟いたー


”今のは真司っぽい!”と内心で思いながら

愛梨は、香澄の返事を待つー。


「----…」

香澄は、少し考えたあとに、答えたー。


「---橋口くん…わたしのおにいちゃんに、、

 よく、似てるから…」

香澄がボロボロと涙を目からこぼしているー


「お兄ちゃんが…お兄ちゃんが、わたしの前に

 戻ってきたような気がして…」

泣きじゃくる香澄ー


真司(愛梨)は戸惑うー


香澄には、兄がいた。

それは、幼馴染である愛梨も知っているし、

何度か、会ったこともあるー。

”何度か”程度で、愛梨は、その”お兄ちゃん”の顔を

よく覚えてはいない程度の間柄だったが、

確かに、香澄は、お兄ちゃんととても仲良しだった。


けれどー。

そのお兄ちゃんは”死んだ”-

愛梨と香澄が中学2年生の頃だっただろうか。


歳の差があった香澄の兄は、当時、大学生だった。

ちょうど、今の真司と同じぐらいの年齢ー。


香澄は当時、激しく落ち込み、

別人のようにふさぎ込んでしまっていたー。

今でこそ、立ち直ってはいるが、

周囲が心配になってしまうほどに、

酷い落ち込みようだったー


”香澄ー

 必ず帰ってくるから、いい子にしてるんだぞ”


台風の日ー。

近所のおじいさんが、川辺で事故に巻き込まれたと聞いた

香澄の兄は、

助けに向かいー

そして、帰らぬ人になったのだった。


「--橋口くんを最初に見た時から

 ずっとずっと、お兄ちゃんみたいな感じがして…」


香澄は涙目のままそう呟くー

屋上に差し込む夕日が、香澄と真司(愛梨)を照らすー。


「--最初は、気にしないようにしてたんだけど、

 愛梨と、橋口くんが付き合いだしてからー

 お兄ちゃんが、愛梨に奪われちゃうような気がして…」


香澄はそこまで言うと、真司(愛梨)の腕を掴んで

「お願い……行かないで…」と呟くー


真司(愛梨)は香澄の方を悲しそうな目で見つめるー


香澄はーー

未だーーー

立ち直れていないー

兄の死からー


ずっと、ずっと、兄の死に、囚われ続けているー


そのことを悟る真司(愛梨)


真司を”お兄ちゃん”と重ねてー

香澄は、お兄ちゃんが”また”自分から

離れて行ってしまうような錯覚を覚えー

真司に何度も何度も言い寄っていたー


「---お兄ちゃん……行かないで…」

泣いている親友を見つめてー

真司(愛梨)は悲しそうな目で

香澄を見つめると同時にー


”戸惑って”いたー。


もしもー

香澄に、真司を譲ればーー

香澄はーー

幸せになれるのだろうかー


優しすぎる愛梨は、一瞬、

そんな風に考えてしまうー


「--お、、、お、、俺は…

 お兄ちゃんじゃないんだ…ごめんな」

真司(愛梨)はやっとの思いでそう呟くと、香澄の

返事を待たず、そのまま屋上から足早に立ち去って行ったー


・・・・・・・・・・・・


大学構内のベンチに座って

一人、夕日を見つめる真司(愛梨)


親友であり、幼馴染である

香澄には、笑っていて欲しいー


でもー

自分だって、真司のことは好きだし、

香澄のために真司を譲る、なんて

おかしなことだと言うのも分かっているー


自分とー

真司とー

香澄とー


”みんなが笑い合えるような未来”は、

ないのだろうかー。


そんな風に思いながらー

真司(愛梨)は、静かに立ち上がったー


・・・・・・・・・・・・・


「--おはようございます」


翌日ー

メイドカフェに出勤した愛梨(真司)-


姉・詩織をなんとか”銀狼”とやらの手から、解放したいー


「----おい」


「え?」

愛梨(真司)が振り向くと、

そこには、歯ぎしりしている国枝店長の姿があった。


「---!」

国枝店長は、愛梨(真司)の髪を思いっきり引っ張って、

もう片方の手で愛梨の胸を乱暴に揉み始めた。


「メイドの分際でさぁ、

 銀次郎さんに、口ごたえするなんて、

 俺の店をつぶす気かぁ!?」


国枝店長が、愛梨(真司)の胸を

激しくー

乱暴に揉み始めるー


「--で、、、でも、、、お店であんな乱暴を…」

愛梨(真司)が、あくまでも”愛梨”として

反論するー


しかしー

国枝店長が、愛梨(真司)を思いっきりビンタしたー


「--黙れぇ!メス豚!」

国枝店長の激しい罵声ー。


「--あぁぁぁ、もう、困っちゃうんだよなぁ。

 俺、銀次郎さんにお世話になってるからさぁぁぁぁ」

国枝店長が叫ぶー


銀狼の息子ー

銀次郎にお世話になっているー?


国枝店長と”銀狼”の繋がりが分からないー

愛梨(真司)はそう思いながら国枝店長を睨むー


「--なんだぁ?その反抗的な目はー


 お仕置きが必要だな。


 今日、バイトが終わったら、

 スーパー愛梨たんごっこ だ。

 覚悟しておけよ」


国枝店長はそう言うと、愛梨(真司)を睨みながら

そのまま事務所奥の、店長の部屋へと入って行ったー


「---…」

愛梨(真司)は、”変態野郎が”と思いながら

店長の部屋を睨みつけたー


⑱へ続く


・・・・・・・・・・・・・・


コメント


終盤に向けて進行中デス~!

今日もありがとうございました~!

(Fanbox)


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