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ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、

2013年に角川つばさ文庫から出版された

『ごんぎつね・てぶくろを買いに』の挿絵とカバーイラストを

手がけさせていただきました。


今回つばさ文庫さんより掲載許可をいただきましたので、


・没になったカバーイラスト

・キャラクターデザインラフ


を、特別に公開したいと思います!



********

■没になったカバーイラスト

決定稿のカバーイラストは「てぶくろを買いに」の親子ギツネのイラストですが、

実は…!最初は「ごんぎつね」のイラストで話が進んでいたんです。


完成まで仕上がって納品もしていたものの、事情により

急遽お蔵入りになったイラストがこちらです。



赤色で誘目性を意識した、茜空とごんのイラストに仕上げていました。

実際に本をご購入いただいた方ならわかると思うのですが、

「ごんぎつね」と「てぶくろを買いに」はキツネのタッチも

少し変えて描いているのでまた違った印象に見えると思います。

今思うと描き直した決定カバーイラストの方が可愛く描けてる気がするので

変更になってよかったのかなと思います(笑)




■キャラクターデザインのラフ

続いて、キャラデザの段階で編集さんに送ったラフを公開してみます!

この本はキツネの2作品だけではなく、新美南吉の短編集となっているので

むしろ他の話ではほぼ人物ばかり描いてます。


せっかく一通りデザインラフは描いたものの、

実際に挿絵で描いたキャラは一部だけだったので…(笑)、

この機会に一挙公開してみます!











作品によってコミカルだったり、シリアス気味だったりと色々だったので、

話の雰囲気に寄せてデフォルメ具合を変えて描きました。

素の絵柄はシベ太達の擬人化みたいな絵柄なんですが

私が仕事で描くのはノンフィクションものや現実味ある作品が多いため、

商業用タッチでは基本的に「おじいさんのランプ」あたりぐらいの

あっさりしたデフォルメにしています。

(※色がついてる顔(利助さん)は

 頭身を伝えるために目安として提出したものです…お気になさらず…笑)


こうして見ると女性キャラが全然いなくておじさんキャラ率高かったんですが、

個人的に一番描きやすい年齢層っておじさんなので

ただでさえ人物を描くのが苦手な自分にとっては

ある意味救いだったかもしれません…(笑)

『屁』の石太郎のデザインがお気に入りです。




◾️反響についてと、振り返って

私はツイッターをやっていないので、このつばさ文庫版「ごんぎつね」が

ツイッターでちょっと話題になった(?)らしいことも、

後日編集さんから聞いて知ったことでした。


SNSやネット上では賛否両論あった様で、私の絵柄(漫画的な絵)で

描かれた事に対しての批判が目に入ってしまった時は

当時かなり落ち込んだりもしてしまったのですが…(ここだけの話です…)

「古い名作のリメイクの難しさ」を身をもって知る貴重な経験になったと、

今は思えています。


企画の打ち合わせでも、「あやかさんの絵柄で既存の『ごんぎつね』との差を出したい」

とは言われていたので、それを思うと結果的にはあの絵で良かったのかなとは

思えてますが、確かに、昔から慣れ親しんできた作品が漫画的な作風で

リメイクされることに違和感を覚えたり、受け入れられない人の気持ちも

わかるんですよね…。「コレジャナイ」と言いたくなることは自分にもあるので。。


ただ、つばさ文庫さんのターゲット層は

「旧作品に慣れ親しんだ年齢層」の人たちではなく

『現代の子供達』なので、

大人の方からの視点というよりも、子供達がこういった画風を

どう受け取っているのかが純粋に気になったところではあります。


目新しさがない既存のイメージのままでは

ただの劣化コピーや二番煎じになってしまいますし、

わざわざ他社でリメイクする意味も無くなってしまう。

素朴で昔ながらのごんぎつねはもう世に出ているので、

同じ様なテイストを売りにしても仕方がなかったかなと思いました…。

また、もし子供だけではなく大人やご年配にも受け入れられるようにと

当たり障りの無さすぎる作風で描いていても、

ターゲット層がぶれ、そのまま注目すらされず

埋もれていったんじゃないか…とも、結果論ですが思います。

(そこを編集さんが見越して諸々ご判断くださったんだと思ってます)


正直なところ、当時はここまで深く考えて描けていなかったので

今はこう解釈している、という話ではありますが…

絵には正解が無いだけに、

そういった匙加減の難しさを痛感しています。

自分が描ける作風には限界はありますが、

「望まれた通りの絵が描けたんだろうか?」

という気持ちがいつも付き物ですね…。


自分の件に限らず、「児童書の漫画絵化論争」はよく耳にします。

もちろん、漫画絵だけが児童書の主流になっていくのは違うと思うんですよね。

大人もそうであるように、子供たちにも漫画絵が好きな子もいれば

昔ながらの硬派な作風が好きだという子もいるわけなので…

単純に「入口の幅が増えた」という認識が正しい様な気はします。

そのレーベルにはそのレーベルの特徴や良さがあり、

個人の好みはあって当然なので、自分にあったレーベルを選んで

文学に触れて貰えたらいいんじゃないかな~と…

もし自分の絵がその選択肢の一つになれたなら、心より嬉しいです。



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そんなことを考えさせられた、「ごんぎつね・てぶくろを買いに」でした。

まさか自分が有名作品の挿絵を手がけさせていただけるとは夢にも思ってなかったので、

またとない貴重な経験となりました…!


ちなみに、角川つばさ文庫さんでは2013年~2019年までに

計7作品の挿絵を手がけさせていただきました。


★仕事履歴→http://ginziro.blog45.fc2.com/blog-category-26.html


もしご興味のあるタイトルがありましたらよろしくお願いいたします…!


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