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前回に引き続き【桜 Exhibition 2023】キービジュアルイラストを描いていきます!


タイムラプス

※画質は設定ボタンから調整できます


私の場合、ラフは配色重視で形が適当です。

そのため、清書する前にラフの上から改めて人体のアタリを引きます。

そして清書へ。

一応線画は描きますが、上から塗り込んで加筆してしまうため、あんまり丁寧に描いてないです。ヘッドフォンやインナーの首元など、その場の筆のノリでなんとなく線画と同時に塗りまで行ってしまうこともしばしば。

線画は、クリスタの場合「リアルGペン」を使うことが多いです。

不透明度に筆圧を影響させることでやわらかいタッチになります。

キャラの線画が出来上がったら早々に塗りへ。黙々と色塗りしてる時がいちばん楽しいです!

塗りも基本的にはこの「リアルGペン」を使っています。


今回は、まず髪の毛をざっくり塗ってから肌、表情を描き入れました。

塗っていく順番は決まっていませんが、キャラの顔がいい感じに決まらないとモチベが保てないため、顔周りから描いていくことが多いです。

ベースのレイヤ分けはごく簡素で、今回の絵だと髪の毛、顔、体、奥の袖、鯛の5つ。

そのまま固有色入れたほうが楽そうだな~というところはそのまま塗っていき(鯛や奥の袖)そうじゃないところはまず全体に影を入れるところから始めます。

影は明るい部分と暗い部分の境界をなるべくパッキリさせたかったので「Gペン」で描きました。

その後、乗算レイヤを上に重ねて、固有色を入れていきます。

全体に陰影描いてから固有色重ねたほうが、パーツごとに塗るよりも立体感つかみやすいです!

このあたりで早々に線画と塗りを結合してしまい、線画を塗りつぶすように細部を描いていきます。

基本リアルGペン使いつつ、所々「繊維にじみ」でなじませながら塗ります。

鯛など、質感を入れたいところは「アニメーター専用リアル風鉛筆」を使います。


キャラ部分まだ未完成ですが、ここで背景の作画に入ります。

背景がおおよそ出来上がってから、またキャラの塗りに戻る予定です。そのほうが背景とのバランス見て調整できるので。

まずは構図の重要な要素である襖を描きます。

別キャンバスで描き起こした素材を自由変形で並べました。

襖にラフをクリッピングし、ラフを整えていくイメージで模様を入れます。ここでも「繊維にじみ」が大活躍。

ラフをそのまま塗りに活用することで、ラフの色イメージのまま塗り進めることができますし、「繊維にじみ」で整えるときの微妙な色の揺らぎが味になります。

建物の詳細なアタリを描きます。キャラと同じく、ラフでは形がガタガタなためです。

その後、アタリをベースに線画を描きます。線画というか塗りに近いかも…?ある程度陰影を入れながら描いていきます。

ここでは、やわらかいタッチにするために「アニメーター専用リアル風鉛筆」をメインで使います。細かい部分は「水ペン」を使います。

※「水ペン」は残念ながらCLIP STUDIO ASSETSでの配布終了してるみたいです。タッチとしては下図のような感じで、ざらざらとした荒い鉛筆風の線を引きたい時に使っています。数年前にDLして以来愛用しているブラシです。


塗りのベースレイヤを作り、ざっくりと大まかな陰影を入れたら、乗算レイヤで固有色を重ねます。

このとき、パキッと塗り分けずにあえて色むらやタッチを残しつつ固有色を重ねます。

襖、床など広範囲の塗りには、「四角水彩」を使いました。


ネコちゃんの毛のモフモフ感は、「繊維にじみ」で内側から外側へ色をひっぱるような感じで描いてます。

桜の花びらは、まず選択範囲ツールでぐちゃぐちゃに線を引く→塗りつぶしでできた形状を元に整えるというやり方で描きました。選択範囲ツールで花びらの形を描いていったものも。

レイヤプロパティで「フチ」効果も入れてます。

この"選択範囲で描く"というのは最近やりはじめたもので、葉っぱをチマチマ描いている時に思いつきました。筆致のクセで角がモタッとしてしまうのが嫌だな~と思っていて、そんな時試しに選択範囲で描いてみたらいい感じのエッジになって「これは使える!」となり、今いろいろと研究しています。



今回はここまで!

次回は細部の塗り込みと、奥の街並み、仕上げまでをお届けしたいと思います。

作画工程について何か質問あればお気軽にコメントして下さい~!

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Comments

水芹

更新ありがとうございます! タイムラプスを何度か視聴して、画面の中に世界が出来ていく様子に見惚れました。 鯛…お前エサじゃなくて相棒だったのか…とか、ネコちゃんが「なぁ~」から少し「キシャー」に変わったな~とか、表情を大事にされてる事がよくわかったり。 見る専なので質問はなかなか浮かばないのですが、工程を見るのはとても楽しいです。次回の更新も楽しみにしていますね!

Neco_Mochi_0225

更新ありがとうございます! 毎回イラストの制作過程の丁寧な説明ありがとうございます。 もし良ければお答えしていただけたらと思うのですが、水ペンに似たペンはあるでしょうか? もしなければ水ペンがどんなペンなのか教えて貰えたらと思います。 これからも体調に気をつけて頑張ってください!

まと

更新ありがとうございます! 塗りに使用するペンやその使い分けが気になっていたので、今回紹介していただけて嬉しいです…!ありがとうございます! 質問なのですが、陰影で表現するような服のしわなどによってできる面はどのあたりからイメージされるのでしょうか?大体のライティングはラフの段階でされていると思うのですが、ラフの段階で細かくイメージできているのか、塗りながら決めてゆくのか気になっています! また、桜の花を選択範囲で描くという手法について、とても斬新な手法だなと思ったのですが、このような新しい手法を思いつくきっかけや経緯がもしあれば教えていただきたいです。 いろいろ質問してしまいすみません。(お言葉に甘えてしまいました。。。) これからも作品楽しみにしています!

陽悠

タイムラプスを見た後に記事を読ませてもらいました。なるほどなぁとなる事が多くてすごく勉強になります。 私は陰影が苦手なのですが、陰影で意識してる事はありますでしょうか。 水ペンに似たペン等を教えて欲しいです。 複数質問すいません これからも藤ちょこ先生が描く世界を楽しみにしてます。

藤ちょこ

コメント&ご質問ありがとうございます!水ペンの説明を記事に追加させていただきました。 荒い鉛筆のような質感のペンなので、鉛筆系のブラシを探すと近いものがあるかもしれません。(水ペン、とても使いやすいので復活してくれるのが一番ありがたいのですが…!) 今後も体調に気を付けつつがんばります!

藤ちょこ

コメントとご質問ありがとうございます! シワについては、服の動きにかかわるような大きなシワはラフの段階で考えていますが、細かいものは塗りながら決めています。シワを細かくたくさん描きすぎると重たくなってしまうので、そこは全体のバランス見つつ調節しています! 選択範囲技法については、枝葉をチマチマ描いている時に思いつきました。ペンツールで描くと、自身の筆致のクセで角がモタッとしてしまうのが嫌だな~と思っていて、そんな時試しに選択範囲で塗りつぶしてみたらいい感じのエッジになって「これは使える!」となりました。(記事にも解説と参考画像を追加しました!) 自身の作画のクセや弱点をどうカバーするかというところから新しい描き方を開発することが多いです。 参考になりましたら幸いです~!

藤ちょこ

コメント&ご質問ありがとうございます! 陰影については、まずラフの段階で光源(光が入ってくる方向)をしっかり決めてあげると、陰影を入れる時に悩まないと思います! ただ、光源設定に忠実に描けばいいかというとそうでもなくて、イラスト全体のバランスを常に意識し、必要であれば嘘や演出も交えつつ描いていきます。 たとえば、「光源設定的にはここはもっと暗いはずだけど、イラスト全体で見た時にここは明るいほうがバランスがいいから影を薄くしよう」とか 「ここにざっくり大きく影が入るとかっこいいから、画面外の手前に何か大きいモチーフがあるという設定にしちゃおう」みたいな感じです。 陰影バランスは、イラストをモノクロ表示にするとわかりやすいので、クリスタなら「レイヤー」→「新規色調補正レイヤー」→「色相・彩度・明度」で彩度を-100にしたものをレイヤの一番上に作っておくと確認しやすいです! 水ペンについては、記事中に補足説明を入れました! 荒い鉛筆のようなタッチのブラシです。鉛筆系のブラシを探せば似たようなものがあるかもしれません。(水ペン、とてもおすすめなのでいつか復活してほしいです…) 参考になりましたら幸いです!

まと

丁寧な回答と追記ありがとうございます! 陰影のつけ方も新しい技法へのモチベーションもとても勉強になりました。 参考にさせていただきます!