メイキング　エロ同人誌ができるまで前編　～ネーム作り～ (Pixiv Fanbox)

夏コミ新刊「あそぼ、兄ぃに♡」が発売されてから一か月が経ちました。進捗を見守って頂き、そして作品を読んで下さった支援者の皆様、ありがとうございました！

念願だった電子版もようやく配信スタートしたので、このタイミングで「あそぼ、兄ぃに♡」を執筆していた時の苦労話などを振り返りながらメイキング記事としてまとめてみたいなと思い、いま筆を執っております。

一冊のエロ同人誌はどういう工程を経て作られたのか！？

少々長くなるかもしれませんが、お付き合い頂けたら幸いです！

※なお、この記事には「あそぼ、兄ぃに♡」のネタバレが少し含まれます。未読の方で気にされる場合はご注意下さい。

◆エロ同人誌ができるまで

これが、一冊の同人誌が出来上がるまでに辿った全工程です(=ΦωΦ=)ノ

大まかには、まず「ネーム」を作ってから「作画」をするという流れなんですが、この記事では、まずはネームができるまでをまとめてみようかと思います。

◆ネームとは？

これが、「あそぼ、兄ぃに♡」のネームです(=ΦωΦ=)ノ　今回、ネームが完成するまでに足掛け一か月半くらいはかかりました。

以前の記事でも少しお話させて頂きましたが、ネームというのは、ざっくりとコマ割りをして、ざっくりとした絵とセリフを入れた、漫画の設計図のようなものです。

一般的にネームは漫画作りにおいて非常に重要で、漫画の面白さはほとんどがネームの出来で決まってしまう、と言われるほど、、！

それは僕自身もそう感じている所で、ネームは最も気合いを入れて臨まなくてはなりません。例えるなら、女の子を描く時には最も魂を込めてふともものラインを引くが如く！

しかし・・・どんなに気合が入っていたとしても下準備なしにいきなりネームを描き始めてもうまくはいくことはありません。できる方もいらっしゃるとは思いますが、僕には到底そんな事はできません。

事前にキャラクターの容姿や性格をしっかり想像して、ストーリーの道筋を立てて、キャラ同士の掛け合いをすべて脚本にまとめて、どの内容をどのページに入れるかというロードマップを作って、やっとネームを描き始められるのです！

以前の記事でもお見せした通り、これが僕のネームができるまでの工程表です。

まず「ネタ出し」をして、内容を「プロット（脚本とも言う）」にまとめ、「ネーム地図」でページに展開を振り分けてから、ようやく「ネーム」を描き始めます。

こうして見返してみるとめっちゃめんどくさい！どんだけ工程踏まないといけないんだ。サグラダ・ファミリアか！？

しかし、、僕にはこの工程が必要なのです。

すべては、可愛い妹漫画を作り上げるため、、！

まずはこちら、「ネタ出し」から僕の漫画作りははじまります！

◆第１工程　ネタ出し

これがネタ出しに使った紙の束です(=ΦωΦ=)ノ　A４用紙にびっしり11枚。所要期間は約一週間くらいだったと思います。

ここでは、どんなストーリーにするか、どんな主人公にするか、読者さんにどう感じて欲しいか、自分はどういう所を描きたいのか、どんなプレイを描きたいかなどなど、とにかく思いついたことを、なんでもかんでも紙に書き出します！

ここではキャラの性格を考えていたようです。

今となっては当時どう考えていたかは忘れてしまったので、書き出した内容を振り返ってみることにしましょう！

瑠璃子のファーストイメージです。

ちっちゃいけど天然エロい妹、無邪気、というキャラにしようと思っていたようですね。自分としては、最初のイメージのまま描き切れたのではないかなと感じております！

一方、こちらは兄ぃにこと慎也のファーストイメージです。

兄ぃには瑠璃子を、甘えてきて可愛い妹、守ってあげたい、と思っているとイメージしたようです。最後の「エロい妹。ヤリたい。」の一文が無ければ、素晴らしい兄貴のままでいられたのに。

しかし、気になる一文を発見しました。

これは何を意味するのか？

「スマタはカットする」

・・・素股とは、ち〇ことま〇こを挿入せずにこすり合わせるプレイを指します。恐らく、本番行為の中から素股のシーンはカットすることにした、というメモ書きのようです。

今となってはなぜそう思ったか覚えてないんですが、多分フェラをメインで描きたかったんじゃないかなと思います。素股を見たかった方がおられましたら申し訳ございません。

さあ、これでネタ出しは終わり、

どんな漫画を描くかぼんやりとイメージできてきました。

次は、プロットを作っていきます！

◆第２工程　プロット

これがプロットノートです(=ΦωΦ=)ノ

「葵ちゃん」や「うすいほん」など商業連載の作品も、同じようにこのプロットノートを作ってました。

これがプロット（脚本）です。全12ページ。

所要期間は約10日くらいだったと思います。

ネタ出しで書き出したぼんやりしたイメージを、プロットという形に整理し、ブラッシュアップしていきます。

ちなみに自分は、映画や舞台の脚本でも使われる箱書きというやり方でプロットを作っています。ページの左側に大まかな展開を書き、右側に具体的なセリフやシーンの詳細などを書き、これを積み重ねていくことで全体の展開を作り上げていきます。

とはいえ、のちのネームの工程で実際描いてみるとなんか違うな、と感じてプロットとは違う展開に変更することも多々あります。

例えばこのシーンのように、完成版では前戯はフェラがメインだったんですが、プロットでは違っていました。

【プロットから抜粋】

股間をボッキち〇こにこすり始める瑠璃子。

こすこすこす

兄ぃに

「なっ！？う…あっ！」

「なっ何やってんだお前っ！やめろ！」

瑠璃子

「ふぇ…兄ぃに…。」

「兄ぃにのカタイとこ、キモチイイの…。」

「このカタイのはなぁに？兄ぃに…♡」（トロ顔）

【抜粋終わり】

素股してるううう！

ネタ出しでは「素股はカットする」とか自分で言ってたのにいいいい！

プロットの時点ではどうしても素股を諦めきれなかったようです。恐るべき素股への執念！

実際、素股のシーンも描きたかったんですが、前戯のパートが長くなりすぎてダレそうだったのでカットして、フェラをメインにしたことを思い出しました。

さて、これでプロットも完成しました。

ちなみに商業連載の時は、プロットが完成した後に編集さんに打ち合わせをお願いし、読み合わせをしながら展開をブラッシュアップしていきます。最初のネタ出しの前、ネームが完成した後にも打ち合わせをお願いしているので、１話につき３回の打ち合わせをお願いしている形ですね。

次は「ネーム地図」を作り、本格的にネームに入る最後の下準備をします！

◆第３工程　ネーム地図

これがネーム地図です(=ΦωΦ=)ノ　

用紙はB4で、所要期間は約4～5日ほどです。各ページにプロットで作った展開を振り分けて、ざっくりとしたロードマップを作ります。

例えば、プロットで作った展開を全部描こうとしたら予定よりページが増えてしまった、という事はよくあることです。

ネームに入ってからページ数を調節させるのは大変なので、このネーム地図という工程を挟んで、ネームに入る前に全体のページ数を調節しておきます。

例えば、、

この14ページから17ページの箇所がブランクになっているのは、全体のページ数を今回だと40ページ以内に納めたかったため、本来入れたかった展開を抜いてページ減を計ったからです。

本当はここに素股のシーンを入れたかったんですが、泣く泣く抜いたのでしょう。目を凝らせば僕の涙の跡まで見えるようです。

また、この９ページ目のように、ネーム地図の段階で絵の構図を作っておくこともあります。

ページの大部分を使うようなダイナミックな構図を取る場合は、他のコマにも影響してしまうため、こうしてあらかじめ絵のイメージを作っておくことは大切なことなのです。

例えば、、！

10ページ目のこの絵。上のコマにもハミ出しているため、なかなかダイナミックな絵を入れる予定だったようです。

この絵が何かおわかりになりますでしょうか？

答えは、、！

兄ぃにのバナナです。

こうしてネーム地図も完成しました。

いよいよ次は本番「ネーム」に入ります！

◆第４工程　ネーム

これがネームです(=ΦωΦ=)ノ　紙はB5です。

所要期間は約３週間くらいだったと思います。

ネーム地図を元に、各ページに絵とセリフを描いていきます。僕はネーム作業が漫画を描く上で一番好きで、やっとひとつの「漫画」として形になったような感覚を得ることができるため、最もテンションが上がる時間です！

しかし今回は苦戦しました。

何に苦戦したかと言いますと、、、

絡みのシーンです。

ただでさえ絡みは描くのが難しいのに、瑠璃子と慎也は身長差が大きいため、作画難易度が跳ね上がるのです。

しかし逃げるわけにはいかない、、！僕はネームの時点で絵のイメージも固めたくなるタイプなので、ここできっちりとデッサンを取り、自分で満足の行く絡みのポーズを作っていきます！

これはネーム中の机なのですが、絡みの絵を描く時に大活躍してくれるアイテムがこちら！

デッサン人形です。

デッサン人形に絡んでもらい、それを自分でスケッチすることで絡みのシーンを作っていきます。

こんな感じで！

絡みシーンはほぼ全てデッサン人形を参考に描いているので、もはやデッサン人形は僕のソウルメイトです。

次のシーンでも、デッサン人形が大活躍しました！

ご覧の通り、デッサン人形のポーズがそのまま完成原稿まで引き継がれています。こんな感じで僕は右手にペンを持ち、左手にデッサン人形を握ってネームを描いているのです。

しかし、デッサン人形があるからといって簡単な訳ではありません。一発で納得いくポーズを描く事はやはり難しく、何度も何度も描き直して理想の線を求めていかなくてはならないのです。

例えばこのコマ。瑠璃子と慎也の周りに段差があるのがご覧頂けるでしょうか。最初描いた絵が気に入らなかったため、別紙に描いた新しい絵を上から切り貼りしているのです。

このページも一見普通に見えますが、何度も何度も描き直しました。

裏返してみると、一目瞭然。

ツギハギだらけです。

納得行く絵にするべく切り貼りしていくうちに、ネームの紙はツギハギだらけのボロボロになっていくのです。しかし自分としてはこうした苦労の跡が愛おしく思ってしまうので、ネームというのは作品が完成してお役御免になったとしても捨てられずにずっと取っておいてしまいます。

さて、４つの工程を経てついにネームは完成しました！

大きな山を越えて、後はひたすら作画をするのみ！

・・・とは行きません。

まだタイトルが決まっていないのです。

◆タイトル

今回、タイトルがずっと決まりませんでした。決まったのはネームを描き終えた後、最後の最後にやっと決まった感じです。

漫画においてタイトルってその漫画を一言で表すものなので、ネームを最後まで描き終えたらこの作品にふさわしいタイトルが自然に見えてくるだろうと思って後回しにし続けてました。

しかし、完全に悩みの沼にハマってしまってしまいました。いくつも候補を作ったらどれも捨てがたくて決めることができないのです。

ちなみにどんなタイトルの候補があったかと言いますと、、！

◇候補１　ちっちゃくてエロくて世界一可愛い俺の妹

いや、長いよ！そしてラノベとかで１００回くらい聞いたことのあるタイトルだよ！

◇候補２　るりるり瑠璃子

意味がわからないよ！日曜日朝の魔法少女枠アニメだと誤認されるよ！

◇候補３　ちっちゃ妹　るりるり瑠璃子

「ちっちゃいもうと」のオヤジギャグ感がキツいよ！そして「るりるり瑠璃子」は気に入ってるんだっていう感じが今となっては未練タラタラで潔くないよ！

◇候補４　あそぼ、兄ぃに♡

・・・これでいいんじゃない？

みたいな感じで決まりました。対抗馬の弱さ！

いや、こう書くと「あそぼ、兄ぃに♡」でいいじゃん、って自分でも思ってしまうんですが、当時は本当に悩んでいたんです！

この作品は18禁のえっち漫画ではあるものの、瑠璃子というキャラを推していくキャラクター漫画を目指したいとも思っていたので、「あそぼ、兄ぃに♡」以外だと「るりるり瑠璃子」が正直一番気に入ってました。

ただ、先述の通り「るりるり瑠璃子」は何の漫画かよくわからん、とも思ったんで決めきれず、悩みの沼にハマってしまいました。

そんな折、ふと一番最初に描いた瑠璃子のラクガキのセリフが目に留まりました。

「あそぼ　兄ぃに♡」

こ　れ　だ　！

という感じで「あそぼ、兄ぃに♡」に決まりました。答えは始まりの地にあったのです！もっと早く気づけたんじゃないかとも思う！

さて、これでタイトルも決まったので、長きに渡ったネーム作業は完了しました。自分としても納得のいくネームができたと思っているので、自信をもって作画に入ることができそうです！

その作画メイキングは、、！

◆To be continued

次回に続く！

◆　◇　◆

以上、エロ同人誌のネームができるまでのメイキングでした。長々とお付き合い頂きありがとうございました。初めてのメイキング記事でしたが、いかがだったでしょうか？

なお後編のペン入れ＆仕上げ編は、１０月上旬～中旬あたりに公開できたらと思ってます。１０月は萌王のイラストのお仕事も頂いたので、またバタバタしそうですが、そちらの進捗もFANBOXでお知らせできたらと思います。

ではまた次の記事でお会いしましょう！

【続き】

＞メイキング　エロ同人誌ができるまで後編　～作画編～

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