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※暴力・胸くそ描写あり。苦手な方はスルーしてください。

※CAUTION violence



ある国は、貧困に喘いでいた。

内政が不安定で犯罪が多発していても、政府は関与すらしない。

特に治安の悪いダウンタウンでは失業者など路上で生活する者で溢れている。


夜の暗い通り。数少ない電灯のもとに集まる老若男女。わずかな金が目当ての者、それを食い物にする者。

「おい、お前の口で抜いてくれよぉ」

大柄な男は酔っぱらっているのか、フラフラと体を揺らしながら声をかけた。

彼は男の言っている意味は理解している。

彼はつい先程も街に訪れていた外国人と、水とパンを引き換えに「してきた」ばかりだ。もうひと稼ぎと彼は電灯のそばで客を待っていた。


本来であればこういった声を掛けられたら、彼は嬉しくなる。

決して快楽のためではない。

街では似たようなことをしている同年代は数多くいるし、ぼさぼさの髪の毛、洗っていない身体、よれた服とお世辞にも清潔とは言えない彼の身なり、望んでも相手が見つかることの方が少ない。それでも危険を伴う盗みと違い、たった一回の欲望を満たすだけで、自らの空腹を満たせる。彼にとっては何よりも腹を満たすことが重要で、常に自分を「買って」くれる大人を探していた。


しかし、彼は男を無視して立ち去ろうとした。

これまで幾度も自分の身体を売ってきた経験から、この男は他者に与えるほどの金銭を持ち合わせてはいないと見抜いていた。このような男はやるだけやって、何の施しもなく、何か不満を言おうものなら暴力を振るう「あぶないやつ」だ。好きでやっているわけではないし、生きるための「商品」である自分を安売りをしたくないと、彼は考えていた。


だが無視された男は怒鳴り声をあげ、力いっぱい彼を殴りつけた。

突然殴られた彼は顔を押さえ、うめき声を上げた。男の怒りは収まらず、彼の足首を掴みそのまま路地裏へ引きずりこんだ。

「この薄汚いネズミが!よくも俺を!」

何度も殴り、踏みつける。彼は身体を丸めて泣き叫んだ。

男の怒号と彼の悲痛な叫び声は通りにも聞こえていたが、近くにいる人々は一瞥するだけで助けようとしない。この街の人間は誰であっても自分自身のことで頭がいっぱいで、何より身売りする「卑しい」彼がこういった目に遭うのは自業自得と考えている。実際によくあることであった。


力なく、ぐったりとする。

元々傷んでいた一張羅の服は破れ、下半身も露出していた。

はだけた傷だらけの彼の身体と幼茎を目にした男は欲情し、自らも下半身を露出した。そして自らの行いによって血にまみれた彼の口に、大きく膨れ上がったイチモツをねじ込んだ。

「へっ、へへへ・・・これが好きなんだろぉ?てめぇらはよぉ・・・」



「ぐぼっ、ぐぼっ」と喉を貫く気味の悪い音が、ごみの散乱した路地裏に鳴り響く。

彼は操り人形のように男の腰の動きに合わせて身体が揺れ、ゴツゴツとコンクリートの壁に頭を打ちつけられていた。

かろうじて意識のあった彼は男の不快な臭いと息の出来ない苦しさに耐え続けた。

噛みつけばもっとひどい目に遭わせられると直感していた。


時間で言えば数分、小さな口を十分に堪能した男は、うなり声と共に彼の口の中で果てた。口から引き抜くと糸が引き、まるで用を足したあと小便を切るようにイチモツを振り、便器を眺めるように彼を見下ろした。

男は喉に絡んだ痰を彼に吐きかけ、罪悪感を感じることも無くフラフラとどこかへ立ち去った。


自分の血と男の精液が喉に絡みつき吐き気がした。だが嘔吐してしまえば、せっかく腹に入れたばかりのパンまで吐き出してしまうと思った彼は必死に我慢した。

「早く・・・今日の寝床・・・探さないと・・・」


しんと静まり返った路地裏。

全身には無数のあざや擦り傷、腫れているのか片目が開かなかったが、不思議と痛みはあまり感じなかった。

冷たいコンクリートに裸で横たわっているせいなのか、体の震えが止まらない。さらにひどい眠気が襲い、彼は立ち上がれずにいた。


数刻後、彼は夢の中にいた。

あたたかい家で、目の前には沢山のおいしそうな料理、寝心地の良さそうなベッド、広い風呂、顔を知らないはずの優しい両親。彼の心は満ちて踊っていた。


寒空の下、路地裏のごみ溜めで彼はその一部になろうしていた。

これは、この国でよくある話。 END



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